- 『ぴあ&ASKA』
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ASKA |
ASKAの最新形&集大成的なステージは宇宙を駆けるロケットのようにパワフルでダイナミックでロマンティック! |
2012.12.14.FRI “ASKA CONCERT TOUR 12>>13 ROCKET” オリンパスホール八王子 |
CHAGE and ASKAとして1979年にデビューして33年目。2009年からはソロ活動に専念していて、オーケストラとの共演、日本の名曲のカバーの配信など、意欲的な音楽活動が目立っているASKA。約7年ぶりのオリジナルアルバム『SCRAMBLE』を携えての全国ツアー“ASKA CONCERT TOUR 12>>13 ROCKET”でも鮮やかにロケット・スタートを切った。
ロケットに例えると、ライブ序盤から一気に加速して大気圏を突破して、広大な宇宙へと羽ばたいた、といったところだろうか。“ASKA CONCERT TOUR 12>>13 ROCKET”の初日、12月14日の東京・オリンパスホール八王子。ASKAがステージに登場して、アコースティックギターを弾きながら、1曲目を歌い出した瞬間に、このツアーがすごいものになっていくのは間違いないと確信した。スケールが大きくて、温かくて、力強い歌声がホール内に満ちていくのと同時に、濃密な一体感が漂っていった。孤独感と高揚感とが交錯していく「SCRAMBLE」、みずみずしくて人懐っこい「朝をありがとう」などなど、彼の表情豊かなボーカルによって、1曲ごとに歌の世界観がガラッと変わっていく。これはイマジネイティヴな音楽の旅でもあるだろう。
バンドも人間味あふれる演奏を展開。ギター2名、ベース、ドラム、キーボード、バイオリン、コーラス2名にASKAという9人編成で、これまでも一緒にツアーを回ってきた気心の知れた百戦錬磨のメンバーが中心となっているのだが、バンドというよりもオーケストラと言いたくなるような広がりのあるバンドサウンドへと進化していて、一体感と立体感と臨場感がハンパではない。歌と演奏にすっぽり包み込まれていく気持ち良さを何度も味わった。
「今回のツアーは“ROCKET”というタイトルなんですが、タイトルを決める時期にアルバムができてなくて、勢いで“ROCKET”で行こう!って。でもアルバムは“ROCKET”ではなく『SCRAMBLE』になりました。勢いを持って最後まで突き抜けるライブができたらと思っています」
いきなりハイライトから始まっていくような大胆かつダイナミックな構成。最新アルバム『SCRAMBLE』の中でも重要な位置にある代表曲が惜しげもなく前半から繰り出されていく。ASKAが歌のポテンシャルを引きだしているのと同時に、歌がASKAのシンガーとしてのポテンシャルを引きだしていると感じた。つまり相乗効果がある。やはりニューアルバムがあるって、素晴らしい。この最新作にはライブ映えする曲が揃っていて、大きな空間で鳴らされることで、個々の歌がさらに深みのある表情を見せていく。まるで歌そのものが人格を持ち始めて、その歌の気配までもが伝わってきそうだった「歌の中には不自由がない」を始めとして、1曲ごとに感動したり、興奮したり、驚愕したり。
過去のナンバーもバランス良く配置されていて、集大成的なライブとしても成立していた。ガラッとアレンジが変わった曲もたくさんあって、その変貌ぶりもスリリングだ。ジャジーなピアノで始まって、ミュージカル的にドラマティックに展開していく「Kicks Street」を始めとして、どの曲にも共通しているのはヒューマンだということ。「けれど空は青~close friend~」での広がりのある歌声にも聴き惚れた。CHAGE and ASKAの初期のレア曲も披露された。多彩な選曲となっていて、最後まで一気。つまりそれだけ個々の曲の密度が濃いということ、そしてすべての曲が同じ方向に向かって突き進んでいるということ。本編の最後の歌のあるフレーズでは一気に鳥肌が立った。それがどこかはこのライブを体験すれば、きっと実感できるだろう。極論するならば、この日のステージだけでなく、ASKAが作ってきたすべての曲を繋いでいくようなフレーズでもあるのではないだろうか。
アンコールでは東日本復興支援アルバムとして会場限定で先行リリースされている『僕にできること』から「木綿のハンカチーフ」も披露された。このアルバムは彼が愛している昭和歌謡の名曲のカバー集なのだが、観客のハンドクラップとともに、この中の楽曲を歌う時の彼は本当に楽しそうだった。ただの音楽好きとしての素顔が見えてくる。と同時に、彼が音楽の持っている力を信頼しているのだということも伝わってきた。来年春まで続くツアー。彼の歌声が広大な宇宙へ、懐かしいあの景色へ、内なる小宇宙へと、自在に連れて行ってくれる。音楽のパワーを燃料として、ASKAという名前の“ ROCKET”がさらに加速していくのは間違いないだろう。
text by 長谷川誠
12/14(金) 東京・オリンパスホール八王子
12/19(水) 千葉・森のホール21
12/22(土)・23(日・祝) 宮城・仙台サンプラザホール
12/25(火) 神奈川・神奈川県民ホール
1/5(土)・6(日) 大阪・オリックス劇場(旧 大阪厚生年金会館)
1/11(金) 愛知・刈谷市総合文化センター
1/13・14(日・祝) 愛知・名古屋国際会議場センチュリーホール
1/19(土) 北海道・ニトリ文化ホール(旧 北海道厚生年金会館)
1/20(日) 北海道・旭川市民文化会館
1/25(金)・26日(土) 東京・東京国際フォーラム ホールA
1/31(木)・2月1日(金) 福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
2/3(日) 福岡・サザンクス筑後
2/9(土)・10日(日) 広島・広島文化学園 HGBホール
2/11(月・祝) 岡山・岡山市民会館
2/15(金) 新潟・新潟県民会館
2/16(土) 埼玉・さいたま市文化センター
2/22(金) 群馬・桐生市市民文化会館
2/23(土) 栃木・宇都宮市文化会館
3/1(金) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール
3/3(日) 石川・本多の森ホール(旧 石川厚生年金会館)
3/15(金) 静岡・静岡市清水文化会館マリナート ホール
3/17(日) 香川・アルファあなぶきホール(香川県県民ホール)
3/19(火)・20(水・祝) 大阪・オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)
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