Last Robots

ワルシャワ出身のBertとIgorからなるこの2人組は以前Electricity!という名で6年以上活動してきた。だがそれ以前からそれぞれDJとしてのキャリアを磨いてきた。
Bertは90年代末、The Breakfast Collective Boogie Mafiaというチームの一員としてワルシャワのクラブシーンに顔を出すようになる。その後PiekarniaというカルトクラブのレジデントDJとして暗躍しつつラジオ局RadiostacjaのDJとしても世間に名を知られていく事となる。2006年からRadio BIS(現在はRadioEuroとして知られている)にて自分の番組を持つまでになり、2009年以降はRadio BIS内の音楽ディレクターとして仕事をしていくようになる。また彼は音楽ジャーナリストとしてテクノパーティーのLaifやDziennikについてのレビュー記事などを残している。
BertはDJとしてJaque Lu Count、Marshall Jefferson、Roger Sanchezのような世界各国のトップDJ達とも共演を果たしてきた。それにNokia DJ's CupやHeineken Thirstなど数々のローカルDJコンテストに審査員を務めたりCoke Live Fresh Noiseにて講座を開き若いDJ育成の場を作っている。また、若いDJを育てていく一環としてPiekarniaにてPierwsze KotyというDJコンペを開催している。このコンペから近年のワルシャワのクラブシーンを揺るがしている若い世代のDJが次々と飛び出していき、いわばDJの金の卵発掘のような企画であった。その2002年の大会で2位を勝ち取ったのがその後のパートナーとなるIgorだ。この大会で名を知られたのを機に彼のDJキャリアは一気に波に乗っていく事になる。彼はPiekarniaのレギュラーDJとなり、ポーランド中のクラブで引っ張りだこの存在になっただけではなくHeineken Thirst、Nokia DJ's Cupでもセミファイナルまで残る実力を見せつけていた。この頃Deepconnection collectiveの一員として活動していた彼は帽子ブランドのプロモーターとして自らモデルとして身に付け、Instytut EnergetykiのレギュラーやIsle of MTVやImport!などの有名なパーティーの常連となっていた。また、Ukraine Electric Music Festivalの一端を担う機会も得ていた。
こうしてIgorがDJとしてのキャリアを積んでいく中で2005年にBertとコラボレートする機会を得る。二人はOn-Off club(のちのVinyl)のレジデントDJを任されElectricity!と名付けられた彼らのパーティーで強烈な存在感をアピールしながらFelix Da Housecat、Annie Mac、Touche、Justin Robertson、King Roc、Yuksek、Alex Metricなど国内外の強者DJをゲストに呼び噂を呼んでいく事になる。
彼らの連携されたDJスタイルはその後スタジオでの作業まで発展していき、現在のLast Robotsの現場の域を超えたスタイルを確立する事となる。何より彼ら自身の音楽をプロデュースし、Plastic Fox、Artybishop、Novikaなどミュージシャンへのリミックス提供などより幅を広げることになったことはとても意味がある事であった。また、数々のエディット作品やブートレッグ作品も残す事になる。彼ら流にリメイクされたポーランドの伝説的なカルトグループKultの作品Piosenka Mlodych Wioslarzyは2008-2009年のフェスティバル、パーティーでオーディエンスを魅了した。
現在もLast Robotsはポーランド中のクラブだけに留まらず大きなフェスティバルなど休む間もなく駆け回っている。The ProdigyのオフィシャルサポートアクトとしてOpen'er、Audioriver、Coke Liveなどでプレイし、Trends LabではSoulwax、Booka Shade、Max Sedgleyとも共演を果たしている。今ではBertとIgorそれぞれ国営放送のラジオ局で番組を持っているのでポーランド中どこでも聞かれているはずだ。Igor's Last Robots Aliveという番組はRadio Roxyにて、Bert's KlubotekaはCzworka Polskie Radioにて放送されている。

Last Robots インタビュー
──今Last Robotsに関して、日本語で手に入る情報がほとんどありません。改めておふたりのプロフィールからお聞きしたいのですが、まずおふたりはいつ、どんなきっかけで出会い、なぜユニットを組んだのでしょうか?
Igor(以下I): Bertとは2001年にPiekarniaで会ったんじゃなかったっけ?
Bert(以下B): そうそう、僕はPiekarnia clubでレジデントDJをやってて、若くて才能あるDJの子達にクラブイベントをやらせたりしてたんだよ。それが2001年頃だね。Igorはその中の一人でヤバいミックステープを作ってたんだ。その時はこのミックス、きっとコンピューターで作ったんだろうなと思っていたんだけど、その年の暮れに僕が主催したDJコンペで彼が2位を取ったんだ。その時の素晴らしいDJスキルに僕は間違ってたって思ったよ。そこで僕らは出会って一緒に活動を始めたんだ。
──出会う以前はそれぞれどんな活動をしていましたか?
I: 僕はその頃色んな音楽を聴くようになっていたんだけど、90年代にはロックバンドでベース弾いたりしてたよ。
B: 僕はずっと伝説的なクラブPiekamiaでレジデントDJをやってたんだけど、友達のHarperってヤツとBoogie Mafiaってプロジェクトをやったりもしてた。彼はデッキ4台とミキサー2台使ったりしてたなあ。凄く楽しかった。90年代後半にBig BeatやFunky Breaksなんかが流行ってた頃だね。
──公開可能なら年齢を教えてください。
僕らは永遠に18歳だよ!
──おふたりの役割分担は?
その時その時で変わるなあ。その方が楽しいだろ?
──Last Robotsというグループ名の由来は?
僕ら2人ともスターウォーズの大ファンなんだ。その中でもR2-D2とC-3POが大好きでさ。彼らはスターウォーズの中のリアルヒーローだからね!
──facebookには影響を受けたアーティストがたくさん記載されていますが、なかでも決定的に影響を受けたと思うアーティストは?それはどのような部分で影響を受けましたか?
B: プリンスだね。彼は確実に僕の中で一番の存在。DJやClub界隈だとSoulwaxのDavidとStephen兄弟だね。彼らはあらゆるジャンルの音楽知識を持ってる上に自分自身の音楽も素晴らしいときてる。
I: 沢山ありすぎて迷うけどDaft Punkは僕のヒーローだよ。彼らは本当にいい音楽の趣味しててエレクトロミュージックの革命児だから。
──Last Robotsの音楽スタイルを理解するうえでキーワードになる言葉を教えてください。
modern-retro-disco-party-music
──音楽を作る際に最も重要視していることはなんですか?
心を開くこと...あ、あと近所のお店のクッキーもないとダメだ。(笑)
──SoundCloudでたくさんの音源を発表していますが、そのなかでもおすすめのトラック(1曲だけじゃなくても構いません)とその理由を教えてください。
I: んー、難しいな。多分僕らの友達のインディーバンドDick4Dick(D4D)のBunioとやったRobots Friendかな。それかKamp! remixだね。
B: 僕はThrill Killのリミックスが好き。あとポーランドのバンドAXmusiqueの為にやったリミックスもいいね。今年中にはリリースされるよ。
──毎月発表されている"Chart Mix"はどんな意図で作られていますか?
毎月僕らが好きな曲を集めたコンピレーションを作ってるんだ。その時クラブでいつもかけてるようなね。そして一年に一回だけもっと洗練されたミックスも作ったりしてる。最近は70'sと80'sの曲だけ集めた一時間のレトロミックスなんか作ってるよ。
──ポーランドのクラブシーンは今、どんな音楽が流行っているんですか?
最近だとダブステップが主流だね。若い子はこの手のダーティーでエネルギッシュな音が好きだね。他にはディスコ、エレクトロ、テックハウスやドラムンベースなんかも人気あるね。もちろんコマーシャルなハウス系のクラブも沢山あるけど興味ないかなあ。
──ポーランドのシーンにおいて、他の国にはない特徴はありますか?
僕らの国にはショパンって人がいて凄くオリジナルな存在だよね……もしエレクトロミュージックでっていう意味だったら他のヨーロッパ諸国とあまり変わらないかな。ポーランドはヨーロッパの中心にあるから色んな音楽的影響が周りから入ってくるんだ。まさに音楽は国境を越えた言語なんだよ。
──日本の音楽シーンの印象は? 気になっている日本のアーティストはいますか?
B: 自分の中で一番引っかかるのはYMOと坂本龍一ね!彼は素晴らしい音楽家でプロデューサーだよね。Riot in Lagosは時代を超えてクラシックだと思う。最近も僕のラジオショーで彼について話したばっかりだったんだよ。
I: 僕はよく大沢伸一や80 Kidzの曲をプレイしてたよ。彼らはとても素晴らしいプロデューサーだと思う。
──今回のイベント以外で、日本に来たら行ってみたい場所はありますか?
B: 日本は長い間培ってきた素晴らしい伝統があるよね。いくつか行ってみたい場所があるよ。特に見たいのが琉球の与那国海底ピラミッドだなあ。だってきっと世界で最も古い都市の一つだもんね!!! あとは広島へ行って戦争の背景を見てみたい。でも東京からは遠すぎるから無理だよね。
I: 僕は原宿の5Gヴィンテージシンセショップに行ってみたいな。
──では最後に…今回が初めての来日となりますが、日本のリスナーにLast Robotsのどんな部分に注目してほしいですか?
日本のオーディエンスってみんな音楽が大好きだって聞いてるから、とても楽しみにしてるんだ。もちろん僕らもみんなと同じで音楽大好きだし、いいエナジーを届けられればと思ってる!
──ほかに伝えておきたいメッセージなどあればご自由にお書きください。
Love Is The Message!