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LITE


LITE
2003年結成。武田信幸(Gt)、楠本構造(Gt/Synth)、井澤惇(Ba)、山本晃紀(Dr)からなる4人組インストロックバンド。独自のプログレッシブで鋭角的なリフやリズムからなる、エモーショナルでスリリングな楽曲で、2005年にミニアルバム『LITE』でデビューするや瞬く間に話題に。アルバムはヨーロッパ諸国でもリリースされており、これまでにヨーロッパ、アメリカ、アジアでもツアーを成功させるなど海外でも活躍。2009年に自主レーベル「I Want The Moon」を立ち上げた以降も、TORTOISEやThe Sea and Cakeなどを手掛けるJohn McEntireを迎えた『Illuminate』をリリースするなど、海外との交流はますます加速する一方で、FUJI ROCK FESTIVALや朝霧JAMなどへも出演し、国内外で飛躍を続けている。2012年3月21日に最新ミニアルバム『past, present, future』がリリースされる。


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SHIMOKITAZAWA SOUND CRUISING出演者インタビュー第1弾は、日本屈指のインストバンドとして知られ、海外での活躍も著しいインストロックバンド、LITE。バンド史上初のゲストボーカルを迎えるなど、新たな実験的要素をふんだんに詰め込んだ新作について、そしてここ最近のライブに臨む姿勢について、バンドの中心人物・武田氏に語ってもらった。


新作はバンドの次の可能性を感じてもらえる作品



──3月21日にミニアルバム『past, present, future』がリリースされますけど、前作『For all the innocence』のリリースが去年7月で、かなり短いスパンでのリリースですよね。

武田:そうなんですよ。もうLITE史上初っていうくらいの詰め込みようで。

──それは何かきっかけがあって?

武田:『For all the innocence』で自分たちが長年やりたかったことがようやくできたので、そのモチベーションのまま、もう1枚作りたいなと思って。そのひとつ前の『Phantasia』というアルバムを作ったときに、4人だけでやるっていうことに対して、自分たちのなかで飽和状態を迎えたんです。それで、新しい何かをやろうとシンセを入れ始めて、そこから2年かけてようやく『For all the innocence』までたどり着いたんです。

──そうだったんですね。今回はイチから曲を作り上げたんですか?

武田:そうですね。一回まっさらになって、ニュートラルな状態から作り始めました。『For all the innocence』では、メジャーコードで、いろんな音を詰め込んで、サウンドスケープも幅広い感じだったんですけど、それを一回リセットしたら、今度は反動でマイナーチューンの曲が自然に生まれてきたり。一回やり終えたところから始めてるので、すごいトッ散らかってるんですけど、個々の曲にバンドの次の可能性を感じてもらえるような作品になってると思います。


ボーカル曲はセンターにくるものが楽器から歌に変わっただけ



──その「次の可能性」で言えば、その最たるものがMice Parade(ニューヨークのポストロックバンド)のCarolineをゲストボーカルに迎えた曲ですよね。

武田:前作でもフレーズの一部を「おーおーおー」って歌うみたいな感覚で作った曲があったんですけど、今回はそれよりももう一歩進んだ、歌詞もちゃんと入ってくる歌を作りたいなと思って。歌う人も自分ではなく、本職のボーカリストというか、オルタナ感をわかってくれる女性に歌ってもらいたかったんです。それで、去年CarolineがHer Space Holidayと一緒にツアーをしてたんですけど、そのときにベースの井澤がたまたま知り合いになって。それでCarolineってMice Paradeで歌ってる人だよね、絶対に合いそうだよねって。

──LITEと言えばインストバンドというイメージですけど、その辺はどう考えてるんですか?

武田:「オレらインストバンドだから」っていう意識は薄くて。たまにインストバンドっていうことを忘れちゃったりするくらい(笑)。歌のあるバンドと対バンするときも、自分たちとしては全然違和感ないし。だから歌が入ってきたからといって、何かが崩れちゃうとか、そういう感覚がないんですよね。曲のセンターにくるものが楽器から歌に変わっただけっていう感覚なので。

──なるほど。でも、普通に新しいバンドなんじゃないかくらいのインパクトがありました。

武田:何も知らずに聴いたら、違うバンドのCDが入ってるよと言われてもおかしくないくらい、チャレンジはしましたね。もともとLITE用として作ってなかったところがあったんですよ。オレの中だけで完結するようなものが、バンドの要素を加えていったら、LITEに聴こえるんじゃないかなってところから始まって。後半はバンドがガッと出てくる構成なんですけど、録り終わったときに自分たちらしさをまだ感じられてると思ったので、いいところに落とし込めたんじゃないかと思ってます。

──アルバムのタイトルは直訳すると「過去、現在、未来」ですけど、どんなアルバムになったと思いますか?

武田:例えば1曲目の「bond」は初期の頃のテクニカルな要素もあれば、音の広がりや重なり具合は前作の流れから来てるなと思ってて。なんかリンクするものを作りたかったんですよね。ここでガラッと変わるよりは、ここからこっちにも行けるし、あっちにも行けるなっていうものを。だから全部繋がってるものとして、『past, present, future』をタイトルにして。昔のイメージと今のイメージ、そしてこれからこうなるかもねっていうイメージが入った作品になったんじゃないかと思います。


タイトにできるからこそ、アドリブも入れられる



──昔と比べてライブの仕方も変わってきたりは?

武田:前はカチカチっと決めるのが演奏の楽しさっていうか、そういうものを見せたいなとずっと思ってたんですよ。CDと同じことをやれてるよくらいの。そういう見せ方が好きだったんですけど、いまはアドリブを入れてみたりとか、曲の尺を変えちゃおうとか、けっこう実験的なこともやってますね。あとは感情を表に出すとか。そういう手法に変わってきてますね。

──それは何かきっかけが?

武田:シンセを使うようになったタイミングもあったと思うんですけど、わりと自然に。ずっと無駄のないものを求めていたんですけど、柔軟になってきましたね。タイトにできるからこそ、アドリブもできるみたいなところがあるし、全部ぐちゃぐちゃだったら曲として成り立たないので、筋を通ったうえでなら、新しいことを取り入れるのもありかなと思えるようになってきました。

──5/19のライブは新しい曲を中心に?

武田:そうですね。このアルバムからもやるし、一個前のアルバムからもやると思います。最近は新しく変わったLITEをもっと出していこうっていう方針なので、新しい曲が多くなると思います。

──武田さん自身はSHIMOKITAZAWA SOUND CRUISINGをどう楽しもうと思ってますか?

武田:オレも自分の出番が終わったら、いっぱい飲んで(笑)、他のバンドのライブを見ようと思ってます。ジャンルレスなバンドもいっぱい出るだろうし、いつも見ないようなバンドを見たいですよね。新しい発見があるといいなって、楽しみにしてます。