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suzumoku


suzumoku
1984年生まれのシンガー・ソングライター。中学2年でギターを持ち、同時に作詞・作曲を開始。地元静岡のストリートで弾き語りを始める。楽器製作の専門学校を卒業後、岐阜にある国産手工ギター工場に就職するも、プロミュージシャンになることを決意し、2007年1月に上京。同年10月にアルバム『コンセント』でデビュー。ブルース、フォークを基調とした楽曲に卓越したギターテクニック、そして豊かな感情表現を伴う歌声が注目を集め、さらには「PE’Z」との合体ユニット「pe’zmoku」でも話題に(2009年10月活動休止)。その後もコンスタントに作品を発表し、2011年7月にはエレキギターによる弾き語りアルバム『Ni』を発表。さらなる進化を遂げた2012年3月、最新シングル『蛹 -サナギ-』を発表し、6月まで全50公演にもおよぶTOUR「生声弾語りSolo Live」を敢行中。


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SHIMOKITAZAWA SOUND CRUISING出演者インタビュー第2弾は、時代をリアルに切り取った世界観を、卓越したギターテクニックとエネルギー溢れる歌声で表現するシンガー・ソングライターのsuzumoku。歌い手として、ギタリストとして、ソングライターとして、昨年は自身を成長させる出来事が数多くあったという彼に、ここ最近の進化について語ってもらった。


エレキギターで引き出しがひとつ増えた



──ずっとアコギ弾き語りがメインでしたけど、昨年からエレキギターを持ち始めましたよね。どんな心境の変化で?

suzumoku:弾き語りはアコースティックギターでやるっていうのが中学生の頃から定着してて、エレキと弾き語りっていうのが全然結びつかなかったんですよね。それで、去年ALBUM『Ni(ニッケル)』のレコーディングをするために沖縄に行って、最初はアコギでやる予定だったんですけど、スタジオに着いたら名だたるエレキギターが置いてあったんですよ。それをポロポロ弾いてたら、弾き語りしてみようかなって、やってみたら…。

──いい感じだったと(笑)。エレキとアコギじゃまったく違うと思うんですけど、実際やってみて新しいアイディアが湧いてきたりは?

suzumoku:今までアコギじゃこれはなぁって思っていたような勢い重視の曲とか、ロックンロールなテイストの曲とか、そういったものがエレキだとすんなり作れるようになりましたね。アイディアとしてはひとつ引き出しが増えたなぁっていうか。もうちょい早くに持っといてもよかったなって(笑)。

──エレキでやるのとアコギでやるのとでは、歌うときの気持ちも変わってくるんですか?

suzumoku:やっぱり鳴らしている音が変わると、テンションも変わりますね。エレキって、強く弾いたら、それだけの音がボンと出るかといったら、そういうわけでもなくて。アコギだったら、そういうのは音と弾いてる姿で伝わるものかもしれないんですけど、エレキってその分をアンプでカバーできるので、それだけ歌に集中できるんですよね。

──ギタリストとしてもさらなる成長を?

suzumoku:僕なりにやればいいのかなって。ロックバンドと対バンしたときとかに、テクニカルな奏法のギターソロを見て「ああいうのできたらいいのにな」って思うこともあるんですけど、そんなに気にすることもないのかなって。逆にずっとアコギを持っていたから、そのテイストをエレキに入れれば、自分なりのものができると思うんです。まぁ、練習は怠らないようにはしてますけどね。


すべての曲に喜怒哀楽の「怒」と「哀」が入ってる



──最新曲の「蛹」でもエレキを使ってて、すごく攻撃的な曲ですけど、改めて曲ができた経緯を教えてください。

suzumoku:東京に出てきてから、自分ひとりの空間ができるようになって、いろいろ考える時間も増えて。簡単に言ってしまえば、部屋のなかでずっと考えてるだけで、何も行動に移せない状態。それを「蛹」みたいな感じだなと思って、そこから膨らませた曲です。ただ、それが単純に自分のなかだけの問題なのかというと、パッとしない世の中のせいもあると思うんです。別に心のなかに閉じこもってるわけでもなくて、やりたいことは自分のなかにはたくさんあるんだけど、それをやるステージ=社会自体が閉鎖的なものだから、その一歩が踏み出せなかったりもして。

──いつ頃作った曲なんですか?

suzumoku:イメージはかなり前からあって。新しい曲を作ろうと思って、古い自分のメモとかを見返していくうちに、「蛹」っていう殴り書きのメモが出てきたんです。それを書いた当時がどんな世の中だったかは覚えてないんですけど、今の状態と類似するような表現があったりして。それを改めて今の気持ちで書き直して。当時はアコギで作ってたのかなと思うんですけど、都合のいいことに弾き方を忘れていたので、エレキでやってみようっていう。

──suzumokuさんって、他の曲でもわりと攻撃的なことを歌ってるじゃないですか。そういうのを聴くと「全然踏み出してるじゃん」と思っちゃうんですけど。

suzumoku:そういう曲って、全部自分に対する戒めみたいに書いてるんですよね。「今のお前はこういう状態じゃないのか」、「こうしたほうがいいんじゃないのか」って、自分自身にナイフを向けたような曲でもあって。もともと考えすぎる性格なんですよ。布団に入った途端にいろいろ考えだして眠れないとか。でも、そんだけ考えてるのに、なかなか行動しない。悪いクセだなと思って。そういう自分の一面を曲にして、歌うたびに「果たしてこうは歌ってるけども自分はどうなの?」って問いかけるみたいな。

──後ろ向きだからこそ生まれた前向きな曲みたいな。

suzumoku:そうですね。実際曲を作ったときに、すごいハッピーな曲と、こういう曲だったら、自分自身も攻撃的な曲のほうが心に残るので。だから今まで、100%ハッピーな曲は書いたことがないと思います。何かしら喜怒哀楽の「怒」と「哀」が入ってる。


震災をきっかけに生まれた「僕らは人間だ」とその後の変化



──去年震災直後に「僕らは人間だ」という曲を発表されましたけど、震災以降で曲の作り方が変わったりは?

suzumoku:「僕らは人間だ」は本当に今まででいちばん衝動的に書いた曲なんですけど、書いてからしばらくは、それを超えるものが全然イメージできなかったんですよね。本当に今まででいちばん衝動的に書いた曲で、その後も曲はできてはくるんですけど、そこまで衝動的じゃないのかなと思えて。

──その超えられないと思った壁は、どう破ったんですか?

suzumoku:最初は地震が起きてできた曲というイメージとセットだったので、いつか歌わなくてもいい世界になればと思っていたんです。でも、曲そのものの根本的な意味が、地震があったからとかじゃなくて、自然災害はもちろんだし、戦争は相変わらず続いているし、事件や事故も絶えないし、そういうのが歴史上無数にあったなかでも、こういう世界を築き上げてきたのが人間のなせるわざで、我々はその人間であるということを歌っているんだから、今後も胸を張って歌えばいいじゃないかと思えて。そういう気持ちの変化もあって、「僕らは人間だ」を超える超えないじゃなくて、自分がいいと思うものを作っていけばいいんじゃないかって。

──純粋に曲作りができるようになったんですね。現在全国47都道府県をまわっている「生声弾き語りSolo Live」をやってますけどこれはアコギで生声?

suzumoku:そうです。マイクも一切使わず。昨年の12月にもやったんですけど、ストリートライブに似てるようで、すごい楽しかったんです。自分を拘束するものが一切ないので、好きに体動かしながら歌えるし、お客さんとの距離も近いので、変な壁もできずにリラックスした状態で歌もトークもできる。6月までに50本やるんですけど、それが終わったら歌うことに対して考え方がすごい変わるのか、相変わらずな感じなのか、まったく想像できないですけど楽しみですね。

──SHIMOKITAZAWA SOUND CRUISINGの出演は、その生声弾き語りツアーの最中にやるわけですけど、どういう編成で?

suzumoku:たぶん、ベースとドラムを加えた3ピースですね。エレキも弾くと思うので、弾き語りワンマンとは別の顔を見せることになると思います。

──サーキット系のイベントはけっこう出てると思うんですけど、どんな印象ですか?

suzumoku:下北沢一帯が音楽でお祭りみたいなムードになると思うと、テンション上がりますよね。出演者としても、めちゃくちゃバンドも出るので、いつも以上に負けてらんねぇ感もありますし、ワクワクしてます!