──対談がはじまる前から、いきなり打ち解けていますね! 初対面と思えないほどで。
槙野智章(以下、槙野) あくまで自称ですけど、僕はサッカー界、スポーツ界で誰よりも芸人さんを知っていると思ってます。はんにゃさんのネタをパフォーマンスで使わせてもらったこともありますし、テレビで良く拝見していますので、こうやってお目にかかれて緊張しています(笑)。
川島章良(以下、川島) 何をおっしゃいますかっ!
金田哲(以下、金田) 今日会ってすぐに思ったのが、髪型が一緒だって(笑)。親近感がかなり沸いてます。精神的な距離感が、グッと縮まってます。
槙野 このまえ番組でご一緒した加藤浩次さんも、この髪型ですよね。「これ、大変なんだよなあ」って盛り上がりました。
金田 セットしないと、もう、だっさーいですからね。紙一重の髪型ですね。
川島 僕が思っていた槙野選手のイメージは、ちょっと芸人寄りじゃないかと。ゴールパフォーマンスとかインタビューを見ると。
金田 ノリがね~。
槙野 ハハハハハ。
金田 そう、あと、もっと怖い方だと思ってたんです。プレー中の表情を見てると。
川島 そりぁ、顔付きも変わるからね。闘争心剥き出しだから。1試合にユニフォームを3枚ぐらい破いてるんじゃないですか?
槙野 ハハハハハ。試合中はスイッチが入ってますから、表情は厳しいですね。
金田 だから、全然違う印象だなあって。めっちゃ喋るし。真剣勝負だから当たり前なんでしょうけど、サッカーをしているときとのギャップにびっくりしました。
槙野 僕は普通のサッカー選手と、少し感覚が違います。プロですからプレーで魅せるのは何よりも大事で、その気持ちは僕も強いですけど、ひとりでも多くのファン・サポーターの皆さんにスタジアムに来てほしいし、ひとりでも多くの子どもたちにサッカーの楽しさを知ってもらいたいんです。そういうことで、ゴール後や試合後のパフォーマンスを始めたり。すべてを含めてサッカーを好きになって欲しいな、という気持ちがあります。
金田 その気持ちが嬉しいんですよね~。プレーで頑張ってる人はもちろん凄いですけど、パフォーマンスを楽しみにしている人も、実際のところ多いんじゃないですか。
川島 すべてがサッカーですからね。
槙野 ふざけるな、って言われることもあります。たとえば、ゴールを決めたあとにパフォーマンスをしますけど、そのゴールが勝利につながったかどうかで印象は変わります。先制点を取ってパフォーマンスをしてたけど、最終的に逆転負けをしたら、『あのパフォーマンスがいけなかったんだ』と言われることもありで。負けたときは難しいです。あとはやっぱり、ホントにサッカーを好きな方からすると、『何をふざけてるんだ』って言われることもあります。いろんなものと闘いながら……。
川島 周りの空気を読んで……それっ、完全に芸人じゃないですか!
金田 どんなパフォーマンスをするのかは、事前に考えてるんですよね?
槙野 みんなに分かってもらえたほうががいいので、流行りのものが多くなりますね。
金田 ゴールしてめっちゃ嬉しくて、パフォーマンスを忘れちゃうことはないんですか?
槙野 それは絶対ないですね。カメラ位置を前もって確認して、自分たちの顔とスポンサーのロゴが映りやすいアングルを把握しておきますよ。
川島 それもう、完全に芸人ですよ!
金田 演者の考え方だ!
槙野 で、ひとりでやるよりはみんなでやったほうが注目されますし、自分が得点しなくてもみんなが参加できるので、チーム全体でやるようにしてます。チームが一体となるんですよね。
金田 次はだから、川島さんが推してるアレをやってもらったら。「どえもん」を。
川島 あれか……(苦笑)。やっていただけるなら有難いけど、申し訳ないぐらい流行ってないし…。
槙野 えっ、どんなギャグなんですか?
金田 川島さんがデビュー当時からやってる、自己紹介ギャグです。どうも~っていう意味らしいです。8年ぐらいやってるんですけど、誰ひとり真似できません。
川島 紹介されてステージに出て行って、「どうも、はんにゃで~す」って最初に挨拶するときにやるんですけど、世間には一切知られてませんね。僕のファンの人たちは、知ってるんですけど。
槙野 それやると、どんな空気になるんですか?
川島 シーンです。
金田 シーンもないでしょ、スン。
川島 たまあに、大学生が『どえもーん』とか言ってくれるんですけど。
金田 まあ、知ってる人が二人ぐらいしかいないですから。
川島 もうちょっといるわっ! 5人ぐらいは。
槙野 5人ですか! もっと増やしましょう!
パフォーマンスをやると、「あれは何でしたか?」って絶対に聞かれるんです。そこでちゃんと、川島さんのギャグだって説明します。
──浦和レッズ発信で芸人さんのギャグを流行らせていくという、これまでにないパターンですね!
金田 槙野さんたちがやってくれるなら、ホントに一度見たいなあ。
川島 オレはお金払ってもやってもらいたいですよ!
槙野 ホントにやります! 僕たち浦和レッズは三菱自動車さんがパートナーなんですけど、唐沢寿明さんと本仮谷ユイカさんが出ているミラージュのテレビCMで、決めポーズがあるじゃないですか? あれもやりました。チームのみんなも実はけっこうやりたがりですから、大丈夫ですよ。
川島 チームメイトから「何でこれやるの?」って聞かれたら、「(お金を)包まれた」って言って下さい! あとでホントに包みます!
──スタジアムの空気がどうなるのか、楽しみですね。
金田 サッカー番組で取り上げられて、矢部浩之さんがイジってくれる可能性もあるかな。
レッズのゴールシーンに、川島さんの「どえもん」がインサートされたりして。
川島 そういえば今日、矢部さん出演のサッカー番組の関係者さんと、フットサルをしました。何だ、お願いしておけば良かった!
槙野 J1リーグで優勝すれば色々な番組で話す機会もあるでしょうから、裏話的に紹介できれば。「どえもん」推しでいきます。
金田 もし、サポーターの方もやってくれるようになったら、浦和レッズさんのものでいいです。川島から飛び立って。
川島 いいです、いいです! 今度のゲームからやって下さい。
──はんにゃのお二人は、サッカーがお好きだそうですね。
川島 学生時代にやってましたので。
金田 あんまり知られてないですけど。
川島 めっちゃ下手だしね。
金田 芸人さんには、サッカーがうまい人がたくさんいるんです。ペナルティさんは全国優勝ですし。名門校のキャプテンだった人とか、県の選抜に選ばれた人とか。地元でまあまあぐらいの僕らレベルだと、「サッカー部でした」とは言えないですねえ。
槙野 逆にどれぐらいなら言えるんですか?
川島 やっぱり、全国出場とか。
槙野 芸人さんもサッカーが好き、サッカーがうまい人、って方が多いですよね。ナインティナインの矢部さんもうまいですし。
川島 今日は10時から午後1時まで、矢部さんも一緒にフットサルしました。
槙野 僕らの練習時間とほとんど同じ時間だ。
金田 でも、質が違いますよ!
川島 こんな腹ですから(と言って、Tシャツをめくり、お腹をポンポンと叩く。)
槙野 金田さんはやらないんですか?
金田 そういう機会があっても、コンビだとどっちかひとりが呼ばれることが多いんです。僕はサッカーの前にやっていた剣道で番組に呼ばれることが多いので、サッカーのイメージが薄いかな、という気もします。
槙野 ううん、確かに。
金田 Jリーグも海外のサッカーも、時間があるときは観ますけどね。
川島 日本代表も気になりますね。日本代表の試合は、セルジオ越後さんと一緒にツイッターで呟いてました。仕事なんですけど、興奮して仕事目線になりにくいという(苦笑)。
川島 てか、槙野さん、お笑い詳しいじゃないですか!いつ頃から好きなんですか?
槙野 ずっと前からです。ボキャブラぐらいからですかね。そうそう、カラテカの入江さんが出してくれたお笑い関係のクイズに、全部答えました!
川島 いまパッと質問しても答えられます?
槙野 はい、いやっ、ちょっとハードルを上げ過ぎたかな(笑)。じゃあ、5問のうち3問答えたらOKってことでどうですか。
川島 よーし、 コンビ名でいきますよ。
金田 簡単なところからで。〈ぬりえ〉は?
川島 難しいわっ! テレビにも出てないし、舞台にも上がってないぞっ!
槙野 それじゃあ、情報を得られないじゃないですか~。
金田 すいません、おふざけです!
川島 よし、真剣勝負でいきますよ。
槙野 僕が負けたら……。
川島 「どえもん」を絶対にやってもらう!
槙野 分かりました! 僕が勝ったら、テレビか劇場で、レッズのユニフォームを着てもらうと!
川島 よし、やりましょう! 5問中3問正解で勝ち。
金田 第一問! 〈ジャングルポケット〉。
川島 お、いいところだ!
槙野 ……知ってます! ジャンポケさん。
はんにゃ おおっ。マジ手ごわいぞ。
──3問経過──。槙野、怒涛の3連勝!
槙野 よっしゃあ~。やったー。
川島 うわっ、悔しいなあ。
金田 って、いつお笑いを観てるんですか。そんな時間あります?
槙野 ハードディスクに撮りだめして、時間のあるときにガンガン観ます。
川島 やられた~。
槙野 じゃあ、僕からもクイズを出しましょうか。
金田 PKは何の略か、とか?
槙野 ハハハハハッ。そんなんでいいんですか。
金田 ペナルティキック! こんなんじゃ、つまらないですね(笑)。
槙野 第一問いきます。プロサッカーのJリーグがスタートして、今年で……。
金田 はい、20周年!
槙野 ……ですが(笑)、今季J1に上がった3チームのうち、どれかひとつを上げて下さい。
金田 川島さん、答えて!
川島 ああっ……あそこですよ、ゴンさんがいるところ。ええと、コンサドーレ札幌!
槙野 正解っ!第二問。じゃあ、僕のことを少しでも分かってもらえたらという質問です。今シーズン浦和に移籍してきた僕は、ここまで何ゴールを決めているでしょうか?
はんにゃ おおっ~。ムズい。三択はどうですか。
槙野 1点。3点。6点。ちなみに、ここのところは、7、8、7点というシーズンを送ってます。
川島 これはもう、分かりますよ。
金田 一緒に答えましょう。せえの、6!
槙野 ……ブウウウウッ! 正解は3点!(10月3日時点)
川島 えっ!最後の説明がズルい。
金田 うあああっ、誘われた~。
──4問を終えて2勝2敗。最終問題に勝負がかかる!
槙野 浦和レッズと言えば……。
金田 サポーターが熱い!
槙野 ……ですが、監督さんの名前は……。
川島 ブッフバルトさんではない!
槙野 ……ですが(笑)、ミスター・レッズと言えば誰でしょう、か!
金田 出ました~。
川島 いやいや、いやいや。あっ、あの人でしょ(金田に耳打ちをする)。
槙野 ちょっと難しいそうなので、三択にしましょう。 武田修宏さん、岡野雅行さん、福田正博さん。
川島 ああ、そうだ。分かった!
金田 じゃあ、一緒に言いますか。
川島 福田!
金田 岡野!
川島 ボケなくていいだろっ!
槙野 福田さんで正解です。じゃあ、「どえもん」を今度必ずやりつつ、何かプレゼントをしますね。ぜひ試合も見に来て下さい!
──はんにゃさんは劇場、槙野選手はスタジアムでお客さんを魅了するのがお仕事ですが、ライブの魅力はどんなところにありますか?
金田 リアルな反応が、すぐに返ってくるところじゃないですか。テレビは対視聴者ですけど、ライブは自分がやったことに対して、反応がすぐに返ってくる。すべてにリアリティがあります。臨場感がいいですね。
川島 お客さんと会話ができるんですよね。お客さんをいじったり。トークのときはじかに話しかけたりもできますし。
金田 みんなで一緒に作ってる、という感じですね。
川島 たまに寝てる人もいますけど。
槙野 マジですか?
金田 います、います。そういうのも含めて面白いというか。寝てる人がいればイジりますしね。『ルミネtheよしもと』はいい空間ですよ。確か僕らがNSCに居たころに、できたんじゃないかな。あそこを目ざして、ずっと頑張っていきましたから。
川島 初めて舞台に立つ本番前、緊張し過ぎて吐いちゃいました。朝食べたバナナを全部。
金田 ライブはめちゃくちゃ緊張しますよ。
槙野 バナナって、めちゃくちゃ消化がいいんですけどね。それを吐くってことは、相当な緊張ですね(苦笑)。
金田 それぐらいルミネに出たかったんです。
川島 チケットも手売りして。よしもとはケチだから、売れない分は自分で買い取りなさいって(苦笑)。さすがにいまは、自分で売ることはしないですけど。
金田 いまでも、特別な舞台なのは間違いないです。
槙野 話を聞いてると、僕らと似たところがあります。芸人さんはお客さんと一緒に、僕らはファン・サポーターと一緒に試合をつくる。僕たちも小さい頃は自分が応援する側で、ずっと憧れていた舞台でサッカーをできるのは嬉しい。なおかつ、浦和のスタジアムは他のチームとはまったく違う環境ですし。
川島 雰囲気が凄いですもん。テレビでも伝わりますから、スタジアムだともっと迫力があるんでしょうね~。
槙野 サッカー専用のスタジアムなので、いいプレーへの拍手、不甲斐ないプレーへのブーイングなど、どっちもダイレクトにピッチへ伝わってきます。やり甲斐があります。
川島 緊張することってあります?
槙野 あります、あります。コレオグラフィーって分かりますか? 選手入場のときにサポーターの皆さんが絵を作ってくれるんですけど。
はんにゃ ああ、分かります。
槙野 それを見ると、鳥肌が立ちます。たくさんの方が入ってないと出来ないものですから。今日も頑張るぞって気持ちになります。
川島 あれは凄いですよね~。スタジアムで見ると、ホントに凄いんだろうなあ。
槙野 ダイレクトな反応なので。
金田 ライブって、テレビでは見られないものがありますよね。劇場だから、スタジアムだから感じられることがある。
川島 テレビではあまりネタをやらない方も、ステージに立ちますし。
金田 吉本新喜劇は面白いですよ。
槙野 僕も行ったことがあります。めっちゃ楽しかったです。
金田 ライブは前説とかも面白いですから。
川島 11月10日に、ルミネで単独ライブがあります。槙野さんも、ぜひ来て下さい。
槙野 試合と重ならないときは、ぜひ行かせていただきます。浦和レッズの試合にも来て下さい! ひとりでも多くの方に来てもらいたいですし、僕は注目されるほど燃えるタイプですし。
金田 川島は”持ってる男“ですから、川島が行けば勝てると思います!
槙野 負けた試合だとパフォーマンスも響かないので、絶対に勝ちます! 優勝争いを制して、「どえもん」が広まるように頑張りますよ!