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ジュビロ・トークバトルVol.7
特別協賛:ネスレ日本株式会社
協力:株式会社ヤマハフットボールクラブ
大宮アルディージャ戦勝利の熱気も覚めやらぬ9月16日(日)、
前田遼一選手、成岡翔選手をお台場に迎え7回目となるジュビロ・トークバトルが開催されました。
サポーターの歓声と笑い声に包まれたトークバトルの模様をフルバージョンでお届けします!

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト)
1969年、愛知県生まれ。同志社大から1992年に名古屋グランパス入り。1997年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、1999年のJ2優勝・J1昇格に貢献した。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームインSUPER」(日本テレビ系)、「GET SPORTS」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>

前田遼一(ジュビロ磐田)
1981年、兵庫県生まれ。暁星高3年時にU-18日本代表に選出される。2000年ジュビロ磐田に入団。同年、U-19日本代表として「アジアユース」に出場。エースストライカーとして活躍し、MVPに輝いた。昨季は15ゴールを獲得。今季も抜群のテクニック、キープ力でFWとして定着している。

成岡翔(ジュビロ磐田)
1984年、静岡県生まれ。藤枝東高校卒業後、2003年ジュビロ磐田に入団。昨季より藤田俊哉から受け継いだ「背番号10」を背負う攻撃的ミッドフィルダー。パス能力だけでなく、得点力も備えている。また、「U-17世界選手権」、「U-20 ワールドユース選手権」などの世界大会にも出場の実績を持つ。


後編
中西:今回の「J リーグウイニングイレブン2007クラブチャンピオンシップ」はJリーグバージョンなんですけど、ものすごく出来がいいらしいですよ。やりました?
成岡:はい、やらせてもらいました。
中西:相当おもしろいらしいですよ。
成岡:おもしろいですね。
中西:僕も昔「ウイニングイレブン」の解説をやってましたけど、苦い思い出しかない。例えばいきなり会った人に「コメント、むかつくんだよね」って。
会場:笑い
中西:そう言われるんですよ。しかも、小学生や中学生とかから。一番衝撃的だったのが、地下鉄の銀座線に渋谷から乗っていて。東京ってハイソな小学生がいるでしょ。小学生の頃から地下鉄に乗ってるような。そういう子が3人くらい固まってて、パッと僕を見て「あ、中西だ」って。次に何て言ったと思います? 「“ウイイレ”やってるよ」って。「コメント、むかつくんだよね」って小学生に言われたんですよ。ちょっとへこむでしょ。結構最初のバージョンだと、「いや~、今の決めて欲しかったですね」って僕が言うと、「うるせ~よ」って必ずみんな言うんです。「哲生さんがもう少し優しく言ってくれればさ」なんて。
会場:笑い
中西:今はあんまり言われなくなりました。でも、言われなくなったらなったで淋しいですね。今は北澤(豪、サッカー解説者)さんがやってるんですけど。3年ぐらいやらせていただいて、反響のすごさにびっくりしますね。いまだに言われますから。たとえば僕は「ウイングイレブン6・7・8 」 とやったんですけど、いまだに8をやってる人とかいるわけじゃないですか。「毎日、声を聞いてます」なんて。嬉しいんですけど、小学生に言われるとへこみますね。でも、「ウイニングイレブン」は、いいイメージトレーニングになるんじゃないですか?
成岡:そうですね、ボール回しとか。
中西:中村俊輔(セルティック・スコットランド)選手とかもすごくやるんですけど、めっちゃ上手かったですよ。玉田(圭司、名古屋グランパス)選手とかも超上手いし。やっぱり自分の色が出るんですね。今日のデモ機は「ジュビロ対ジュビロ」モードになってるらしいですよ。そういうのおもしろくないですか?
成岡:ちょっとやってみたいです。
中西:例えば成岡選手と対戦できるわけですよ。逆のチームとして。そういうのちょっとおもしろいですよね。
成岡:ジュビロ対ジュビロだったら、勝った方が絶対「ウイイレ」が上手いっていうことですよね。同じチームだから。
中西:そうですね。そういうのもできる。では次の質問、「同世代の選手で、負けたくないライバルがいる」。いるんですか?
前田:この人というのはいないんですけど、同世代の人にはみんな負けたくないです。山瀬(功治、横浜F・マリノス)、啓太(鈴木、浦和レッズ)。
中西:濃いメンバーですね。
前田:闘莉王(田中マルクス、浦和レッズ)、佐藤寿人(サンフレッチェ広島)。
中西:強烈な世代ですね。個性のある。
前田:そうです。「谷間の世代」って言われてたんですけど。
中西:でも、今9年目?
前田:今年8年目です。
中西:8年間やってきて、だいぶ同世代も減ってきたんじゃないですか。
前田:僕の世代は結構多いです。
中西:連絡を取ったりします? 他に仲がいいのは誰ですか?
前田:那須大亮(横浜F・マリノス)、高松(大樹、大分トリニータ)とか。高松は点を取ると「俺の点、見た見た?」ってすごい電話来るんですよ。
中西:マジですか? 成岡選手の苦手なタイプじゃないですか。
成岡:そんなことはないです。
中西:ストライカーが多いじゃないですか。
前田:かなりストライカー豊富な世代です。
中西:僕の前田選手のイメージは、僕が引退した2000年が前田選手が入った年で、1年だけ一緒で、前田選手と2回か3回試合をしたことがあるんですけど。前田選手は全然僕のことを覚えていなかったんですけど。サテライトの試合で、ヤマハでもやったことあるし、川崎フロンターレとも試合やったんですけど、僕チンチンにされたんですよ。びっくりして。めちゃくちゃ巧かったんですよ。高校卒業した選手でこんなに巧い選手いるんだって。試合にもあんまり出てなかったですよね。1試合くらいしか出てなかった。「こんなに巧いのに試合に出られないんだ、ジュビロは」と思って。あの時ジュビロ磐田はめっちゃ強かったでしょ。しかも右でも左でもどっちでもドリブルできるじゃないですか。ポストプレーも。成岡選手、そうですよね。
成岡:そうです。
中西:珍しいんですよね、そういう選手って。
成岡:ディフェンスも速いですからね。
前田:それはちょっとバカにしてる。
会場:笑い
成岡:ホントですよ、ホントに。
中西:僕もその時9年目で、センターフォワードのいろんな選手をマークしてきたんですけど、右でも左でも受けられて、右でも左でもドリブルできる選手はいなくて。しかも、ペナルティエリアの中をすり抜けるドリブルとか巧いじゃないですか。これはすごい選手になるなと思って。嬉しかったですよ、その時は。
会場:拍手
中西:でも、最近そういうプレーをしないじゃないですか、あんまり。ドリブルしなくなったじゃないですか。それはどうしてなんですか?
前田:自分でもプレースタイルが前と全然違うなと思います。こういうタイプじゃなかったんですけど。
中西:なんかヘディングで点を取るとか、そういうイメージになってて。
前田:なぜかガツガツ。
中西:昔はヒラリヒラリという感じで。
前田:高校の同級生にも言われます。「いつからそんなになったんだ」って。
中西:でしょ? あのスタイルは出した方がいいと思いますよ。
前田:何かドリブルが段々取られるようになってきて。これじゃダメだと思って、最近は簡単に簡単に。
中西:やってますよね。でも、僕はドリブルした方がいいと思うんですけど。すごくイヤだったんですよ、ドリブルされるのが。ディフェンダーって背中で受けた方がドリブルする選手はイヤなんですよ、後ろからマークしてて。そのままどちらかに流れながらドリブルするの巧かったじゃないですか。
前田:あぁ、はい。
中西:それ、やった方がいいですよ。
前田:やります。
中西:ホントにやった方がいいですよ。ものすごくディフェンダーってイヤなんですよ。必ず「バックパスしてくれ」と思ってるんです、基本的に。半身で流れながらドリブルとかされるとすごくイヤ。特に、右利きだと右にしか行かないじゃないですか。左に行って左もあるじゃないですか。あれをやられたらすごくイヤ、ホントに。「ドリブルをやれ」と言われないですか?
前田:そうですね、そんなに。
中西:それをやらないと。「やるな」と言われてるのかなと思って。
前田:「早く放せ」というのは言われますね。
中西:ペナルティエリアの中とか、近くでやると、僕はまたすごくなると思うんですけど。振り向きざまにシュートみたいな。昔はやってたと思うんですけど。あの辺でクルクル、クルクルしてたじゃないですか。
前田:はい、持ち過ぎっていつも言われてました。
中西:持ち過ぎて持ち過ぎて、最後は股抜きみたいな。
前田:股抜いたら満足してました。
中西:僕、抜かれましたから、思いっきり。すごいなと思って。そういうプレーがあって、またガツガツ行くのもあると。多分、成岡選手はそういうの見たことないでしょ?
成岡:そうですね。僕のイメージだと、強いというイメージが。
中西:それはね、間違ってますよ。昔は違ってた。
成岡:今はすごいですよ。ボールキープもできますし、ヘディングも強いし。
中西:ヘディングは昔から得意だったの?
前田:いえ、全然。暁星高校の監督にも言われました。「お前いつからヘディングするようになったんだ?」って。
中西:ヘディングの得点がめちゃめちゃ多いでしょ?
前田:多いですね。
中西:得意になったんですか?
前田:気づいたらやってました。自分でもわからないです。
会場:笑い
中西:飛ぶタイミングとかもすごくいいじゃないですか、高いし。誰かに教えてもらったんですか。中山選手?
前田:中山さんのヘディングを毎日見てますから。
中西:そういうイメージトレーニング?
前田:はい、そういうのしかやってないですね。
中西:逆に、前田選手が成岡選手を見てて、こういうプレーをした方がいとかありますか。
前田:そうですね、翔はスピードがあるのでドンドン前に行ったら相手も恐いと思うんで、そういうのをやっていけばいいかなと思います。
中西:シンプルにやってるんですか、最近。動きがシンプルだけど。それは、前田さんから見ててもそう思いますか?
前田:はい
中西:ですって。
成岡:どうしたらいいですかね。
会場:笑い
成岡:僕もドリブルですか?
前田:じゃ、一緒にドリブルしよう。
中西:ボール2個ないから。
前田:二人して怒られたりして。
中西:まず、ミドルシュートじゃないですか。打った方がいいんじゃないですか?
成岡:それはすごく言われますね。ミドルシュートは僕の位置からもそうですけど、チーム全体として少ないって言われます。
中西:少ないですよね。成岡選手のシュートの弾道って低いですよね。あんまり浮かないじゃないですか。違うんですか、自分の中では?
成岡:うまくいくと結構、低い弾道ですね。
中西:決まるシュートは結構低い。
成岡:ふかすことも多いんですけど。
中西:あれを頻繁に出せるようになれば。
成岡:チームとしてもミドルシュートが決まればラクになるし、他のチームはすごく多いですからね。海外とかでも。
中西:それがあるからパスもドリブルも生きて来るし、そういうのはやっぱり・・・
成岡:わかりました。
中西:では、「同世代の選手で、負けたくないライバルがいる」という質問ですが。
成岡:悲しいことに同世代が結構いなくなってしまったんですよね、他のチームでも。ちょうどユースの代表とかで一緒にやっていた人がみんなJ2に行ったり、社会人チームに行ったりJFLに行ったり。ポジション的に言うと、一つ上なんですけど、藤枝東高校の先輩の長谷部誠(浦和レッズ)が気になりますけど。
中西:いきなり呼び捨て。
会場:笑い
成岡:やっぱり一緒にやってきて、もう代表を経験しているし、一歩先を行ってる選手ですから。そういう点ですごく気になりますね。
中西:いい選手ですよね。
成岡:はい、すごいです。
中西:じゃ、昔から2人でコンビネーションを組んでた?
成岡:はい。僕は高校の時は途中フォワードをやってたんですよ。それで長谷部さんが中盤をやってて、結構点を取ってましたね、ホットラインで。一緒に中盤をやったというのはあんまりないですね。
中西:長谷部選手には負けたくないと。
成岡:はい、結構気になります。
中西:今でも連絡を取ってるんですか?
成岡:はい、時々来ますね。飲みに連れて行ってもらったり。たまにですけど。
中西:さぁ続いて、「ここがすごいと感じるベテラン選手がいる」。誰ですか?
前田:中山さん。
会場:笑い
中西:「そう言え」というような質問ですよね。どうですか最近? 僕は最近会わないんですよ、あんまり。
前田:毎日どこか痛い痛いって言ってますけど、練習になると120%。
中西:絶対に手を抜かないでしょう。
前田:はい、手を抜いてるの見たことないです。
中西:いつも120%でしょう。
前田:はい。ここは80%のダッシュでいいよというところも、中山さんだけ100%。すごいです。
中西:あれは何なんですかね。井原(正巳、U-22日本代表コーチ)さんも言ってました。井原さんと中山選手は筑波大学の同級生なんですよ。井原さんはものすごいライバル心が旺盛なので、普通の持久走なんかでもすごかったらしいですよ。
前田:中山さん、相当負けず嫌いですもんね。
中西:井原さんも相当負けず嫌いだったらしいよ。すごかったらしいです。その頃から変わってない。成岡選手は藤枝東高校の後輩ですけど。藤枝東高校時代もすごかったらしいですよ。
成岡:どうなんですかね。僕もわからないですけどね。ちょうど中山さんが高校生くらいの時に生まれたんで。
中西:そんなに違うの?
成岡:多分そうですね。17歳か18歳くらい僕の方が下。
中西:じゃあ、中山さんの高校選手権は見てないんですか?
成岡:映像で見たくらいですね。
中西:中山さんがストッパーをやってた時代って知らないでしょう。
成岡:はい。
中西:中山さん、ずっとストッパーだったんですよ。前田選手は知ってました?
前田:映像で見ました。相当イヤですね。
成岡:すごくしつこそうで。
会場:笑い
中西:その時の静岡選抜ってすごかったんですよ。絶対に、武田(修宏、JFA アンバサダー)さんしかフォードをやらせてもらえないで。武田さんは19歳で日本代表ですからね。読売クラブに入って1年目で得点王ですよ。その時、中山さんはストッパー。それでまた前に行ってね。
前田:ボール回しとかやってても、中山さんがディフェンスをするとパス回しとかすごくイヤですね。迫力が違う。
中西:追っかけてくる? スライディングとかバリバリしてくる?
前田:スライディングもします。寄せが速いです。
中西:ディフェンダーみたい。
前田:はい。
中西:逆に、フォワードとして見習う点とかありますか?
前田:やっぱり前線からの守備です。
中西:それが武器。
前田:ボールを持ったら、止まらないで行きますから。
中西:すごいですよね。
前田:はい。あとはセンタリングへの入り方とか、動き方とはすごくよく見てます。
中西:巧いですよね。入っていくタイミングとか。
前田:動き方とか、よく練習の後に聞きます。試合でも「今日どうだったですか?」って聞くと、裏への入り方とか、すごく丁寧に教えてくれます。
中西:成岡選手がすごいと感じるベテラン選手はどうですか?
成岡:僕は名波さんですね。
中西:すごいですね。
成岡:頭がいいですね、サッカーに関して。
中西:何か、少しずつ悪意がないですか。
成岡:本当にすごいんですよ、やっぱり。サッカーを熟知しているというか、一緒にやっていて思いますね。
中西:一緒にやっいてたことがすごく勉強になってません? 言われたこととか。
成岡:はい、いつも後輩にもすごく声をかけて下さって。いろいろ教えてもらいましたね。
中西:僕は名波選手は早く監督になってもらいたいんですけど。監督に向いてますよ、すごく。
前田:監督みたいですよね。
中西:僕は藤田俊哉(名古屋グランパス)選手と名波選手には監督になってもらいたいですね。かつて、ジュビロ磐田のホットラインを支えた2人に。
成岡:はい。
中西:そばで見てると本当に巧いでしょ。どのタイミングで行こうかとか。
成岡:はい。
中西:どこでボールを取るかとか。
前田:名波さんの言うことを聞いてれば間違いない。
中西:的確ですよね。
前田:はい。
中西:僕も解説を聞きたいなと思いましたもの。
前田:僕も聞きたいです。
中西:聞きたいでしょう。現役だから失礼かなと思うけど。前にこのトークバトルに出てもらったことがあるんですよ。ものすごくおもしろかったですよ。『サッカーマガジン』の採点方法について熱く語ってました。
会場:笑い
中西:「あれはおかしい!」って。「誰が採点してるんだ」って。すごくそれを言ってた。気にしちゃいないって言ってましたけど。
前田:ものすごく丁寧に説明してくれるんです。
中西:しかも、わかりやすいでしょ。
前田:そうですね。前半上手くいかないと、ハーフタイムとかに「もっとこうした方がいい」って。それを後半やると上手くいって、実際その通りにやったら、勝ったことがあるんですよ。
中西:どんなことを言うんですか?
前田:試合でプレスがうまくかからないことがあって、名波さんが「お前がこうやって行け」みたいなことを言って、その通りやったらかかるようになって勝ったみたいな。
中西:すごいよね。
前田:はい。
中西:成岡選手は逆に戦術的なこととか、プレーの部分ではどうですか。スタイルも似ているし。
成岡:同じ中盤の中で、入ったら繋ぎとか、当時の中盤のメンバーは結構もうできあがってるんですよ。すごいメンバーの中に、ケガ人とか出場停止の選手がいると、いきなり入るんですけど、パス回しのリズムが狂うんですよ。
中西:あうんの呼吸の中にポッと入るのは難しいですからね。
成岡:そういう時に「こうしたらいい」とか。アドバイスはすごくわかりやすいんですけど、わかるんですけど、それができないんですよ。
中西:できない。
成岡:はい。何て言うんですかね,あうんの呼吸というか、動き出しがみんな早くて。ついていけなかったですね,その時は。
中西:今までのサッカー人生で、多分経験したことがなかったでしょう。
成岡:はい。すごくその時は悩みました。どうしたらいいんだろうって。
中西:その時、悩んでる感じがしました?
前田:しませんでしたね。
会場:笑い
中西:でも、名波選手、藤田選手、福西(崇史、FC東京)選手、服部(年宏、東京ヴェルディ1969)選手、誰がこう動いたらこう行くみたいな。決まってるでしょう。
成岡:中盤は結構ありましたね。ハットさん(服部)が開いて、名波さんが落ちて、俊哉さんが入るみたいな。
中西:オートマティックに全部動いてる。本当は一人ずつバラバラに動いてるのに、一気に3人がバッと動いて、3人のポジションが一気に変わる。そういうイメージ。
成岡:それを言われると、すごく頭ではわかるんですけど。やってみると、タイミングがずれたりして上手く繋がらなかったりするんです。すごく悩みました。
中西:あとは名波選手に何か言われたことあります?
成岡:基本的にいつも驚かされているというか、練習中でも的確な指示が飛んできて、そういうのを常に周りに気を配ってやっていて、素晴らしい選手だと思います。
中西:そして「前田選手、成岡選手、お互いに言っておきたいことがある」。前田選手は成岡選手に何を言いたいですか?
前田:勢いでYESに上げちゃったんで。
成岡:僕もです。
中西:こういうところはこうしてほしいとか。
前田:成岡組に入れてもらいたいですね。
会場:笑い
中西:一緒にプレーしていて、こういうことは言っておいた方がいいとか。
前田:ポジションが近いんで結構話し合ってます。
中西:こう行こうとか、こうしようとか。
前田:はい。非常にやりやすいですね、僕は受け手として。
中西:どういうところが? 出すタイミングとか?
前田:はい。左足にも右足にもどちらにも出てくるんで、どっちに動いても大丈夫っていうか。
中西:それはありますよね。右利きの選手が左足で持って動き出すっていうのはね。成岡選手は言っておきたいことはありますか。「ご飯食い過ぎだ」とか。
成岡:どうですかね。
中西:言っておきたいことというとイヤなことを言うみたいですけど、良いことでも。
成岡:僕は遼一君よりも後ろにいるので、前の選手を動かすプレーが多いんですけど、基本的に僕は遼一君の判断に任せています。守備の時も攻撃の時も。
中西:あっ、そうなんですか。
成岡:守備の時も遼一君が行く時に、後ろから僕もプレーしたり。
中西:結構、見てると自分から行くじゃないですか?
前田:そうですね。
中西:特に、サイドバックがもらって上がった時。
前田:はい。僕的には翔に任せているつもりで、今ちょっとびっくりしました。
中西:それは、今日はっきりさせておいた方がいいんじゃないんですか。
成岡:後ろでムリだなと思ったら止めます。でも、遼一君の判断で行った時は、結構いいことが多いんですよ。そこまで行くなという時はないです。ちょっと勢いに乗って深く行く時は僕も行きますけど。
中西:それだけ?
成岡:そうですね。僕はあまり言うことはないです。
中西:何かあるんじゃないの? みんなの前ではっきり言った方がいいですよ。
成岡:昨日の試合はすごく多かったんですけど、今まではフォワードが裏へ抜ける動きが結構少なかったんですよ。
中西:そうですね。行かなきゃいけないところで、ボールをもらいに下がって来ると出づらいですよね。
成岡:2トップになって、2人の連動で1人が裏に抜ける時があって、そこにボールを出す動きが昨日の試合は多かったんですけど、そうすることによって相手の守備を高い位置に押し上げられるし、中盤の選手もフォワードの動きを見てボールを受けて、パスを出して裏へ抜けて勝負できるし。僕は中盤の選手としてそういうのを作りたいなと思います。
中西:そういうことだよね。まず、2トップ同士で崩せるといいですね。
成岡:はい。
中西:それが距離が遠かったりとか、今まで前で孤立してたじゃないですか。周りの上がりを待たなきゃいけなかったし。それを2トップでクロスしたりとか。高原(直泰、ドイツ・フランクフルト)選手と中山選手の時とかすごかったですけど、あの時は本当にクロスしたりとか、2人で崩したりワンツーしたり。そういう崩しが2人でできると、だいぶ違いますよね。
前田:はい。高原さんと中山さんは理想です。
中西:そうすると飛び込みやすいよね。
成岡:はい。前が動くとスペースができて入れるので。
中西:では、「サッカー人生で、自慢できるゴールがある」。あるでしょう?
成岡:遼一君はあるんじゃないですか。
中西:ヘディング?
前田:強いて言うなら、J リーグでの1点目ですかね。フロンターレ戦じゃないです。エスパルス戦(2001年9月1日、静岡スタジアム・エコパ、ジュビロ磐田3 -1清水エスパルス)なんですけど。
中西:股抜きですか?
前田:はい。で、キーパーを抜いて決めたんですけど、それ以降そういうプレーが1回もできてない。
中西:それが一番、前田選手っぽいプレーじゃないですか。開いてから切り込んで行く。あれをやって欲しいですよ。
前田:はい、そうですね。またやります。
中西:成岡選手はどうですか?
成岡:僕は取らせてもらっている点が多いんで、自分で仕掛けていって自分の技術でというよりは、飛び込むタイプなんで。
中西:藤田選手タイプですよね。
成岡:そうですね。こぼれ球とかも多いし。そういうタイプなんで、あんまり自分で自慢できるゴールとかないですね。
中西:今は何点ですか、Jリーグで。
成岡:トータルでですか? 12~13点です。
中西:ミドルシュートが入ってるイメージがあるんですけど。
成岡:そこまで入ってないですけど、初ゴールがミドルシュートでした。
前田:すごかったね。
成岡:はい。
前田:すごかったですね。途中から出てきて。僕はそれまでチャンスが何度もあっても全然決められなかったんですけど。で、1年目の翔が途中から出てきて、すごいドリブルして、ホントよく決めたなと思って。
中西:それはどこですか?
成岡:ジュビロ磐田スタジアムで、ナビスコカップのヴィッセル戦です(2003年7 月2 日、ジュビロ磐田スタジアム、ジュビロ磐田3-1 ヴィッセル神戸)。
中西:他にはないですか。それぞれ1つずつですか。逆にお互いに見ていて「これはすごかったな」というのはないですか?
成岡:2~3節前のFC東京戦(2007年8月15日、ヤマハスタジアム、ジュビロ磐田5-2FC東京)の遼一君のシュート。ペナルティエリアで切り返して2~3人抜いて。
中西:あぁ、ありましたね。
成岡:すごいシュートでした。ジダン(ジネディーヌ、元フランス代表)かと思いました。
会場:笑い
成岡:言ってたんですよ、モニターを見てて。
中西:あれすごかったよね。1回まわして、2人くらいをかわして。
成岡:すごかったですよ。
中西:昔はああいう感じだよね。
前田:あれは高原さんが昔やっているのを見てて、その動きが頭に残っていたので巧くできました。
中西:そういうのって絶対にありますよね。海外の試合の映像を見ていて、自分もその動きができるとか。前田選手は成岡選手のそういうシュートはありますか。
前田:そうですね。
中西:アシストでもいいですよ。「俺にくれたこのパスすごかった」とか。2人のホットラインみたいなのは。
成岡:意外と僕はパスを出すタイプじゃなくて、裏に抜けてゴールを決めるタイプなんで。
前田:この間の横浜FCの試合(2007年6月16日、日産スタジアム、横浜FC1-2ジュビロ磐田)で、僕が出てこぼれたのを翔が裏へ抜け出して決めたのは覚えてます。
中西:あれ今年ですよね?
前田:今年です。
成岡:遼一君はスルーパスを競る時に勝ってくれるだろうと思うんですよ。それを信じて、僕は結構裏に走りますね。
中西:では、「サッカー人生で、ターニングポイントや意識改革などのキッカケになったゲームがある」。前田選手はいつですか?
前田:僕はケガをした試合なんですけど、ケガして半年間リハビリすることになって、そこから意識が変わってきました。それまでは先輩にも「遊びじゃないんだよ」みたいなことを言われたことがあって、そのくらい軽い気持ちでやってたんですけど。
中西:軽い気持ち? 軽くはないでしょう。
前田:軽くはないですけど、高校の延長みたいな、楽しむみたいな。必死さがなかったというのか。でも、ケガしてからはもう後がないという気持ちで、そこから変わったと自分では思います。ケガがなかったら、今頃いなかったんじゃないかなと思いますね。
中西:それぐらい自分と向き合った?
前田:はい。
中西:ケガすると大人になりますよね。だいたいサッカー選手って、ケガすると自分はサッカーできないからいろんなことを考えるようになるし、危機感も出てきますよね。
前田:「クビ」っていう文字がちらついて。それからは本当にやらなきゃという気持ちになりました。
中西:例えばどんなことですか。食事とか?
会場:笑い
前田:食事はいつも食ってたんで。特にウォーミングアップとか、練習前のアップを早めに行って、入念にするようになりました。早めにクラブハウスに行って温めたりとか。
中西:ケガしてからは。
前田:はい。早めに行っても中山さんはいつもいます。
中西:早い?
前田:早いですね。1時間半前に行ってもいつもいます。
中西:何時間前からいるんですか?
前田:毎日2時間前にはいると思います。
中西:早いね。普通はだいたい1時間前くらいじゃないですか。成岡選手は?
成岡:僕はジュビロ磐田に入ったことが多分変われるキッカケだったと思います。
中西:どういところが?
成岡:やはりあのメンバーの中でやることによって、あまりそれまではサッカーについて深く考えていなかったというか、高校の時は感覚でやっていた感じがあったので。すごくちゃんと考えてやらないとできないんだなとプロの目になって意識が変わりました。
中西:ジュビロの選手は意識が高すぎるんですよ。僕はジュビロの練習ずっと見にいってて、1回『Number』に原稿を書いて、いろんな選手に話を聞いたんですけど、普通じゃないですよ、サッカーに対する意識が。ミスしたりとか。
前田:すごい恐かったです。
中西:でしょう?
前田:鬼になりました。ボール回しでパスを取られたらみんな角が生えてました。みんなに言われました。
会場:笑い
中西:あそこまで突き詰めてやらないですよ。どっちの足を出して、なんて。ボールのないところでもそうでしょう。例えばボール回しの練習をしていて、遊びでもボールを取られたらミスした人のせいじゃなくて、「お前の出したボールが悪いから俺は入らない」とか、そういうところがすごかったですよ。Jリーグの中でも飛び抜けて意識が高くて。それを経験したということはね。「甘いな」と感じることってあるじゃないですか。「あの
頃の自分は」みたいな。何でそっちにコントロールするんだ、ちょっと詰めろよとか、そういうふうに細かいじゃないですか。
成岡:そうですね。ボールの置き場所とか、方向とか。「そっちじゃこうなるから、こっちだよ」とか。すごかったですね。常に日々の練習が勉強というか。
中西:あの時のあのメンバーだと恐いものないでしょう。勝てないやと思いましたね。「サッカー選手として、5年後の目標をハッキリ言える」はどうですか。
前田:僕は先の目標というよりも、1日1日をしっかりやるというか。あんまり先のことを考えてないです。
中西:1日1日を丁寧にやっていきたい。
前田:はい。
中西:成岡選手は?
成岡:僕はやっぱり代表になっていたいです。
会場:拍手
成岡:そういう経験をしたいですね。プレッシャーとか、すごいじゃないですか。代表選手から聞いても、ワールドカップ予選のすごいプレッシャーとか。僕は自分に甘えがあるんで。
中西:甘えがあるんですか?
成岡:すごく自分に弱いんです。甘えちゃうんですよ。全然自分に厳しくできないんです。
中西:そうなの?
成岡:辛くなったら、「もういいや」ってなっちゃうんですよ。
会場:笑い
成岡:だから、周りからプレッシャーを受けたり、どうしてもやらなきゃいけない状況に自分を追い込みたいんです。そうすればまた一皮むけるかなと。
中西:なるほど。自分で追い込んでね。代表に選ばれたい。
成岡:はい。
中西:やっぱりそのためには、チームが強くないといけないですね。チームの成績が良くなれば自然に代表に選ばれるし。そこで試合に出れば選ばれる可能性がある。選ばれて欲しいですし、そういうところに行けば、またレベルアップできますしね。前田選手はこの間、代表に呼ばれたじゃないですか(2007年8月22日、九石ドーム、日本代表2-0カメルーン代表)。
前田:はい。
中西:どうですか、呼ばれた時は。呼ばれる、呼ばれるって言われてたじゃないですか。
前田:そうですね。ずっと呼ばれてなかったんで。結果を出してる人が呼ばれていたんで。
中西:呼ばれてましたね。しかも、出てきたフォワードはボンボン点を取って。
前田:はい。あれからはジュビロで結果を出すことを考えてます。
中西:代表に呼ばれてどうでした?
前田:やっぱり練習からこんなに走るんだってくらい走りましたね。
中西:それはボール使って走ってるの?
前田:はい、ボールを使って。全面で犬のように走ってました。
中西:どういう練習だったんですか?
前田:全面で7対7とか、5対5とか。それをワンタッチとかでやったりするので、判断も頭をすごく使いますね。ビブスもいろいろな色を使って。
中西:ワケがわからないでしょう。
前田:はい。いろいろやって頭がごちゃごちゃになりました。
中西:ごちゃごちゃになるんですけど、後で楽になりますよ。
前田:そうですね。判断がちょっと早くなったような気がします。
中西:絶対に早くなりますよ。僕も昔あの練習をやってて、たとえば味方のチームが4色だったりすると、もう大変ですよね。
前田:そうですね。で、同じ色に出しちゃいけないとか言われるんですよ。
中西:そう。そうすると、いきなり普段からいろんなこと考えながら回してるじゃないですか。それで試合になったらユニフォームが2色しかない。考えなくていいんですよ。なかなか理に適っていて、ベンゲル監督(アーセン、イングランド・アーセナル監督、元名古屋グランパス監督)の時にやっていたんですけど、判断が断然早くなる。考えることが3つか4つ減るんですよ。「もらう人が何色かな」とか考えなくていいですから。
前田:時々、自分の色を忘れるんですよね。
中西:で、もらう人の前の人も見ておかないと、次に誰に回していいかわからない。そうすると3つくらい考えないといけないですよね。相手がいなくても。それが全部なくなって全員が同じ色だと、すごく楽になって、ボールが来るまでに余裕がある。そういうことです。
前田:今、意味がわかりました。
中西:みんな判断が早くなるんでますよ。他の色とか見なくていいから、その次の思考ができて、強いパスを出すか、弱いパスを出すか、どっちに出すかという思考に使えるからパスの精度が上がるんですよ。
前田:はい。ありがとうございました。
中西:僕がこの間そうやって説明したら、みんな「そうなんだ」って。考えることが減ることで、サッカーのボール回しの精度も上がるし、要するに次に出す人が出しやすいところに出そうと思うじゃないですか。
前田:そうですね。
中西:それでボール回しが良くなるんですよ。カメルーン戦をやってどうでしたか。僕はすごくよかったと思うけど。最後、もう少し前でからめればよかったなとは思うんですけど。
前田:やっぱりフォワードなので、ゴール前でやらないとダメだなと思いました。
中西:スタメンで出て、手応えはあったんですか。
前田:そうですね。ボールに結構触れて、ボールにからめたのはよかったと思います。そこは手応えがあったんですけど、シュートに行けなかったので、そこはまだまだですね。
中西:緊張はしなかったですか? 代表の試合はやっぱり緊張しますか?
前田:はい。かなり緊張しました。国歌を聞きながらずっと「これはいつものジュビロの試合だ」って言い聞かせてました。
会場:笑い
前田:「あれが誰々で、翔で・・・」って。そうしたら自然と落ち着きました。
中西:キーパーが川口選手ですからね。僕は結構緊張してないかなと思ってました。
成岡:僕、緊張する人じゃないと思ってたんですけど。
前田:結構、緊張するんですよ。
中西:全然ミスとかしなかったでしょ。ボールも収まっていたし。
前田:はい。
中西:しかも、ものすごく蒸し暑かったでしょう。
前田:はい。
中西:現場もむちゃくちゃ暑かったですから。で、次に呼ばれるかと思ったら呼ばれなかった。「呼べよ!」と思ったんですけど。
前田:もっと頑張らないと、と思います。
中西:チャンスは絶対にありますよ、今のプレーをしていれば。
前田:はい。
中西:成岡選手から見ても、代表に呼ばれてていい選手ですよね。
成岡:全然そうです。ずっと思ってました。これはホントです。
前田:これは? やっぱね。
中西:さっき言った仕掛けるプレー、あれをやった方がいいと思いますよ。
前田:やります。
中西:さぁ、最後の質問ですが「入団するチームとして、ジュビロを選んで良かった」。良かったに決まってますよね。ジュビロの良さは何ですか?
前田:先輩の選手がみなさん素晴らしい人が多くて、すごくいい人たちに囲まれてるなと思います。
成岡:指導者を含めて、環境が素晴らしいですね。
中西:それとサポーターでしょう。こんなに大勢の人が来るトークバトルないですから、ホントですよ。だって、東京のチームじゃないんですよ。磐田のチームでこんなに満員になるなんてすごいですよ。
成岡:確かに、なんで東京でやるのかと思いました。
会場:笑い
成岡:あんまり浜松とか磐田でトークバトルをやるの見たことないし。
中西:それだけ全国にファンが多いということですよ。東京にジュビロのファンはいっぱいいますよ。
会場:拍手
中西:今まで何度もジュビロのトークバトルをやらせてもらってますけど、全部満席ですからね。お金払って来てくださる、本当にありがたいことですよ。スタジアムに来てくださる方もそうですし、サポーターの方を選手の方も大事にして欲しいですね。当たり前だと思わずに。今後ともサポーターと一緒に頑張ってください。それでは質問コーナーに移ります。
客1:海外の選手で、戦ってみたい選手はいますか。
成岡:僕はデコ(スペイン・FCバルセロナ)がすごく好きなんですよ。ちょっと肌で実感してみたいというか。親善試合でレアル・マドリッド(スペイン)やバルセロナとか見てますけど、すごいですね。デコのプレーとか、いいものを見て盗んでみたいです。
中西:体はものすごく小さいのね。僕は何度も試合も練習も見に行ったことありますけど。小さいんですよ、ホントに。だから参考になりますよね、プレーが。結構リーガ・エスパニョーラはテレビで見るんですか?
成岡:僕は見ます。
中西:バルサのゲーム見ます?
成岡:はい、WOWOWで。
中西:あとは他に誰かいます? このフォワードとやってみたいとか。
成岡:フォワードの選手ですか? どうしても同じポジションの人を見てしまいますね。
中西:なるほど、気になりますよね。こういうプレーやりたいなとか。
成岡:フォワードの選手は・・・前田選手どうですか?
会場:笑い
中西:海外の試合は見るんですか?
前田:結構・・・たまにですかね。チャンピオンズリーグとか、そういう大きな大会は見ます。
中西:どういう選手が気になりますか?
前田:やっぱりアンリ(ティエリ、スペイン・FCバルセロナ、元イングランド・アーセナル)。
中西:タイプがちょっと似てますよね。
前田:あとはラウール(ゴンサレス、スペイン・レアル・マドリード)。
中西:ラウールのどういうところが好きですか? 勝負強いところ?
前田:そうですね。あとは相手の裏を取ってかわしたりとか。そんなにすごく足は速そうじゃないのに、本当にいいところに入って。
中西:そうですよね。そんなにすごい身体能力じゃないですよね。アンリは?
前田:アンリはあの速さですね。
中西:僕は引退してからベンゲル監督のツテでアーセナルに行って、アンリと一緒に練習したことがあるんですけど、ちょうどケガしてたんですよね。それで居残り練習を一緒にやって、すごいです。巧いし速いし。居残り練習でシュート練習しても速いし。トラップとかすごい巧い、止めるのが。
前田:吸い付いてますよね。
中西:吸い付いてる。その時はツルツル滑りそうなスパイクだったんですけど、あれでもピタッと止まる。関係ないんだなと思いました。僕は同じスパイクを履いていて、「滑ってやりにくいですよ」とか言ってたのに。
会場:笑い
中西:ものすごく巧いですよ。アンリって189cmあるんですよね。そんなに大きく見えないじゃないですか。でかいけど。フェイントとか全くしないんですよ。1対1をやって、手前で見てと思ったたらすぐ先にいっちゃったりするんですよね。速すぎて。しかも全然速く見えないんです。上下動しないから頭の高さがずっと変わらないんで。すごかったですよ。規格外です。日本人であんな速い人を見たことがないですね。それにすごく優しいですよ。ちゃんと話してくれます。
前田:ホントですか。
中西:いい人ですよ。他に誰かいますか。
前田:やっぱりロナウジーニョ(スペイン・FCバルセロナ)。
中西:そりゃそうでしょう。
前田:すごいですね。ドリブルとか、パスとか全部すごい。
中西:練習見たらすごかったです。遊んでました。一番すごいのは、ウォーミングアップがすごいですよ。デコと2人でウォーミングアップしていて、全員ボールを持ってないのに1人だけ持ってるんですよ。で、ボール持ちながらウォーミングアップやってるんですけど、それが本当に曲芸ばり。
前田:吸い付いてるんですか?
中西:全部吸い付いてます。ホントすごいですよ。「ウイニングイレブン」が大好きでね。
前田:そうなんですか。
中西:僕が解説をやってる時に日本に来て、「ウイニングイレブン」最新版が発売される直前だったんです。僕が試作品をギリギリに手入れて、それをロナウジーニョに渡したんですけど、すごく喜ばれてポロシャツを3枚くれました。
会場:笑い
中西:いい人だなと思って。たまたま僕が持っていたんでね。渡したらバルセロナのポロシャツに省略版じゃなくて、ちゃんと「ロナウジーニョ」ってサインをくれて。最近「ロニー」って短く書くんですけど、きちんと書いてくれましたよ。後で聞いたらすごく喜んでいたって。相当好きで、CMの撮影でもイチゴとプレイステーションがないとイヤだって。それくらい好き。僕は何回かインタビューしたことがあるんですけど、すごくいい人ですよ。
前田:いい人だらけですね。
中西:いい選手はいい人じゃないですか、やっぱり。人間的にもね。
客2:前田選手に試合中声をかけたいんですけど、何て呼んで欲しいですか? いい時だったら「遼ちゃん」とか言っていいですか?
前田:どういう意味ですか?
中西:それはどう呼んでほしいですかということですよね。
前田:いつでも同じがいいです。
会場:笑い
中西:何て呼ばれたいですか?
前田:「前田」でいいです。
中西:呼び捨てでいいんですか。
前田:いいです。
客3:国内でも海外でも構いませんが、よそのクラブからオファーがあったらそっちに行きますか。それとも生涯ジュビロがいいですか。
成岡:すごいリアルな話で。
中西:でも、それだけ魅力的な選手ということですよ。それは嬉しいことじゃないですか。で、どうですか? 国内は難しいですけど、海外だったら、「ここだったら行くよ」というような。レアル・マドリードだったら行くとか。
成岡:それは大きく出ましたね。でも、海外はすごく魅力的です。
中西:行きたいタイプですか?
成岡:やっぱり経験してみたいです。
中西:追い込まれたいから。行きたい国とかないですか。
成岡:スペインですね。やっぱり、攻撃的なサッカーというのが魅力的ですし。行ってみたいというのはあります。
中西:スペースは比較的ありますからね。
成岡:ドイツは行きたくないです。
中西:それは何か理由があるんですか?
成岡:すごいじゃないですか、デカいし。僕みたいなのが行ったらつぶされちゃいそう。
中西:踏まれちゃうわけじゃないから。
成岡:そのぐらいデカいじゃないですか、ディフェンスラインとか。192 メーター近くある人とか。崩せる気がしない。
前田:192 メーター?
会場:笑い
中西:192 センチですね。突っ込むところは突っ込むみたいな。
成岡:グラウンドよりデカい。
中西:前田選手はオファーがあったら海外は? 1回経験してみたいですか。
前田:僕はリーグ戦でまだ優勝してないので、ぜひジュビロで優勝したいです。
会場:拍手
中西:最近、優勝してないですからね。
前田:はい。
中西:じゃ、二人ともとりあえずジュビロ。優勝して、優勝させて。まだ天皇杯もありますし、タイトルを奪りたいですね。
客4:サッカーが巧くなるような練習方法を教えてください。
中西:では、成岡選手から。
成岡:わからないですね。
会場:笑い
成岡:それは巧い人に聞いてもらった方がいいかなと思いますけど。
中西:成岡選手、巧いじゃないですか。
成岡:わかんないですけど、自分がやってきたことは、常に毎日サッカーをやってました。僕は小学校の時は練習は週に1日しかなかったんですけど。
中西:それでプロになったんですか? すごいですね。
成岡:あとは全部学校で遊びでサッカーです。
中西:遊びで? 例えばどんな?
前田:僕もそうでした。
中西:小学校の時?
前田:練習は週1~2回で、あとはずっと学校で遊びで。
中西:遊びの中から学ぶものは大きい?
成岡:そうかもしれないです。
中西:遊びだといつも試合でしょう。
成岡:そうですね。試合やったり、ミニゲームやったり。
中西:リフティングとかやらなかったんですか。
成岡:僕はそんなにやらなかったです。ゲーム、ゲームで。
前田:僕も翔と同じような感じで学校に行って、1人でも結構練習しました。
中西:何をやったんですか。
前田:僕はリフティングボールでリフティングしたり、家の中とか狭いところでもできる小さいボールで。
中西:それはいつも左右両方で?
前田:はい。両足で同じようにできるようにやってました。
中西:だから、できるんですね。左右の足をなかなかあそこまで使えないですものね。
前田:右足をやったら、左足もいつも同じくらいやってました。
中西:小学校3年生の時はどんなことやってました?
前田:3年生の時は、ひたすらリフティングの練習をしてたかもしれない。リフティングボールじゃなくて、普通のボールでやってました。あと1対1もよくやってました。ドリブルをやって、次は守って。
中西:それは1対1のミニゲームみたいな?
前田:ゴールもなくて、ただドリブルでそういうのやったりしてました。
中西:あとは家の中でリフティングボール。
前田:たまに怒られるんで気をつけた方がいいです。物を壊さないように。
中西:ロナウジーニョのCMみたいにね。僕も家の中でずっとシザーズでボールをまたぐ練習をしてました。蹴ると怒られるんで。そういうのやったらいいですよね。
司会:それでは、最後にお二人から一言ずついただきたいと思います。
中西:2時間のトークバトルでしたが、どうでしたか成岡選手。楽しかったですか?
成岡:自分がこんなに喋れるとは思っていませんでした。ありがとうございます。
中西:また次回、ぜひお願いします。最初は緊張してましたけど、全然大丈夫だったじゃないですか。
成岡:結構みんな笑ってくれたりして、そういう雰囲気で緊張しなくて良かったです。
中西:前田選手は?
前田:楽しかったです。最初は2時間は長いなという感じで、絶対に喋れないと思ってました。
中西:最後に一言ずつ今後の抱負を述べていただきたいんですが、成岡選手は?
成岡:リーグ戦がまだ残っているので、できるだけ上の順位で終われるように日々努力していきたいし、試合に出たいです。ありがとうございました。
会場:拍手
前田:これから1試合、1試合を大事に戦って、少しでも上位に行って優勝争いにからめるように頑張ります。サポーターのみなさんと一緒に勝って喜べるように頑張ります。今日はありがとうございました。
会場:拍手
司会:それではみなさん、今一度大きな拍手をお願いします。前田選手、成岡選手、ありがとうございました。
会場:拍手
司会:中西さん、久々のジュビロ・トークバトルでしたけど、ジュビロ磐田のサポーターの方は本当に温かくて。
中西:素晴らしいですね。
司会:中西さんもジュビロ・トークバトルは第1回目からずっと出ていただいてますけど、今日はいかがでしたか?
中西:ジュビロのスタッフから「2人は喋らないよ」とプレッシャーをかけられてましたが、喋らなくないじゃないですか。どうですかみなさん、喋らなくないですよね。
司会:「びっくりした」という声もありますが。
中西:今日は喋ってましたね。前田選手、相当おもしろいですよ。
司会:突っ込みのセンスもね。
中西:トークバトルに向いてると思いますね。いろいろと普段聞けない話を聞けて。二人ともしっかり自分というものを持っていて、譲れないというところを持ってる。僕は二人とも好きな選手なんで。
司会:最後に、今日お集りいただいたジュビロ磐田のサポーターの皆さんに中西さんから一言お願いします。
中西:ジュビロ磐田ということだけでなくて、みなさんはきっとサッカーファンでいらっしゃると思うので、ジュビロ磐田のみならず、日本代表、そして日本女子代表、オリンピック代表、いろいろありますけど、ぜひともスタジアムに足を運んで応援してください。僕はなるべくわかりやすく、みなさんにサッカーを伝えられるように頑張っていきたいと思います。今季は現在12勝12敗1分と、ジュビロとしては本当に不本意な成績だと思うんですけど、成績が悪い時ほどサポーターの方の温かな声援というのは選手の身にしみると思うので、大きな声援を、大きなサポートをこれからもますますジュビロに送ってほしいと思います。今日は本当にありがとうございました。
司会:もう一度大きな拍手をお願いします。中西哲生さんでした。
会場:拍手
司会:9月はホームでガンバ大阪、横浜FCと試合がありますけど、ぜひスタジアムに行って勝利を導く熱い声援を送って、連勝といきましょう。今日はお集りいただきましてありがとうございます。またみなさんと、vol.8でお会いしたいと思います。ありがとうございました。
会場:拍手

取材・構成/CREW 撮影/新関雅士

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