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'05年10月1日(土)、恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催された「ジュビロトークバトル vol.5」。味の素スタジアムで試合を終えたばかりの川口能活選手、田中誠選手を迎えて行なわれたトークの模様を完全掲載!

『ジュビロトークバトル Vol.5』

supported by特別協賛:ネスレ ジャパン グループ
恵比寿ザ・ガーデンホール

前編

<ホスト>
青島健太(スポーツライター)
'58年、新潟県生まれ。春日部高~慶応大~東芝と進み、'85年にヤクルト・スワローズに入団。同年5月の公式戦初打席でホームランを放つ。5年間のプロ生活を経て、現在はスポーツライター、キャスターとして様々なメディアを通じてスポーツの醍醐味を伝えている他、'06年からの活動開始を目指し創設した社会人野球チーム「セガサミー」の監督も務めている。

<ゲスト>
川口能活(ジュビロ磐田)
'75年、静岡県生まれ。清水商高卒業後、'95年に横浜マリノス(現横浜F・マリノス)入り。同年の柏レイソル戦でJデビューを果たすと瞬く間に頭角を現す。翌'96年にU-23代表としてアトランタ五輪に出場すると、以降「日本の守護神」としてA代表のレギュラーに定着。'01年にイングランド・ポーツマスへ移籍、デンマーク・ノアシェラン('03-04年)を経て、今季からジュビロ磐田の一員に加わった。


田中誠(ジュビロ磐田)

'75年、静岡県生まれ。清水第二中、清水商高を経て'94年ジュビロ磐田入り。同年のベルマーレ平塚戦(現湘南ベルマーレ)でJリーグデビュー。'96年のアトランタ五輪にU-23代表として出場を果たす。鋭い読みを生かしたカバーリングやヘディングの強さを持つ、ジュビロ最終ラインの要。ジーコJAPANになりA代表に招集されると3バックの右に定着した。

司会:『ジュビロトークバトル VOL.5 supported by Vittel』。お待たせしました。これより、本日の主役であるゲストの方々を紹介させていただきます。ステージから見ると、皆さんの持っているカメラの音、光がとてもきれいです。写真の準備もよろしく。それではまず、本日のホスト役であるこの方からご紹介させていただきます。野球のみならず、ラグビー、サッカーとテレビやラジオで幅広く活躍中のスポーツライター、青島健太
さんです。
青島:こんばんは。
司会:こんばんは、どうぞよろしくお願いします。青島さん、相変わらずものすごく日焼けしていらっしゃいますね。
青島:現場に行ってますからね。1年中この顔色なんですけどね。
司会:Jリーグもいよいよ大詰めとなって来ますけれども、今日はジュビロ磐田の誇るディフェンスの要の二人をお迎えするということです。
青島:責任が重いですね。なかなか会場のみなさんの方を見づらいんですけれど。
司会:いやいやそんなことは。
青島:ジュビロといいますと、実は今年の初め浜松で山本昌邦ジュビロ磐田監督と、やはりトークバトル(2005年1月8日、アクトシティ浜松 中ホール、「どうなる! ジュビロ磐田」)をさせていただいたきました。
司会:そうでしたね。
青島:そのときは、今年2005年に賭ける気持ちというのをうかがいましたが。今年はジュビロ磐田は本当にタフなスケジュールで、実に多くの試合をこなしながら、それに日本代表選手もチームにたくさんいますので、みなさん厳しい試合が続いています。
司会:それでもがんばってますからね。
青島:いよいよ大事なところに来ましたし、今日はJリーグのゲームが終わったばっかりなんですけども、あの二人がこの会場に来てくれてますので、私も本当に楽しみにしてきました。
司会:お二人からはいろいろと、普段は聞けない話もたっぷりと聞いていただきたいと思いますので、青島さん、よろしくお願いします。
会場:拍手
司会:それでは本日のゲストをご紹介しましょう。ジュビロの守護神、そしての日本代表の守護神! バックナンバー1! ゴールキーパー、川口能活! 
会場:拍手
司会:安定した技術はいぶし銀の光、ジュビロ不動のセンターバック! バックナンバー5! ディフェンダー、田中誠!
会場:拍手
青島:すごいですねぇ。もう今日の味の素スタジアム状態になってますよ。
司会:ビックリしましたね。
青島:試合(2005年10月1日、味の素スタジアム、東京ヴェルディ1969 4-4 ジュビロ磐田)を終わったばかりの田中誠選手、そして川口能活選手に来ていただきした。このトークバトルというイベントは、もう70回近くを数えるんですけど、実は第1回は能活くんと私と金子達仁(スポーツライター)、そして当時ジェフ市原にいた小倉くん(隆史、ヴァンフォーレ甲府)というメンバーで開催したんですよね。今日、能活くんにそのことを
聞いたら「覚えてない」って言うんですけど。
司会:ホントですか。
青島:能活くん、どうなっているんですか、そのあたりは。
川口:いやぁ、ちょっと。
青島:この話自体で、能活くんがどれだけサッカーに入れ込んでいるかがよくわかると思うんですけど。
司会:ハイ。
青島:一方、田中選手はいいですよね、いつもクールな感じが。
田中:緊張してます。
司会:試合のスタジアムと、こういう会場でファンの方と接するのとでは、どちらが緊張しますか。
田中:こっちの方が。
司会:そうですか。ということで、この後もたっぷりとお話をうかがっていこうと思います。それではまず、恒例の11の質問から参りたいと思います。川口選手と田中選手それぞれにYES、NOの札をもっていただいて、これからの質問にYES、NOで答えていただきたいと思います。それではさっそく行きます。

質問 川口 田中
第1問 今日は反省点の多い試合だった。 YES YES
第2問 残り8試合全勝で、優勝はまだ射程圏内だ。 YES YES
第3問 今シーズンの前半戦のつまずきは予想外だった。 YES YES
第4問 現在の順位には納得している。 NO NO
第5問 今シーズンの自分のプレイには満足している。 NO YES/NO
第6問 最近の若手の活躍には目を見張るものがある。 YES YES
第7問 試合中のコンビネーションは、まただまだ高めることができる。 YES YES
第8問 やりやすい対戦チーム、苦手な対戦チームがある。 NO YES
第9問 やりやすいフォワード、苦手なフォワードがいる。  NO YES
第10問 柏戦での中山雅史選手の活躍には勇気づけられた。 YES YES
第11問 サポーターの応援は、いつも良く聞こえている。 YES YES


青島健太
司会:それでは青島さん、よろしくお願いします。
青島:了解しました。それではお二人にお話をうかがっていこうと思います。私も今日の東京ヴェルディ1969対ジュビロ磐田の試合は観ていました。会場にいらっしゃる方のなかにも、味の素スタジアムに行かれた方がずいぶんいらっしゃるんですよね。もう一度手を挙げていただけますか? 
会場:挙手
青島:スゴイですね。ざっと見て8割方くらいはいらっしゃったということですか。でも、今日は正直言って能活くんとマコ(田中誠)はトークバトルに来てくれないんじゃないかとと思ってました。
会場:笑い
青島:「やべぇな。ワシントン(東京ヴェルディ1969)、もっと気を遣えよ」って思ってたんですけど。ハットトリック(前半36分、後半19分、後半44分)しましたしね。これは相当、お二人は来たくないムードだったのではないかなと思ったんですけど。直球で聞いてみましょう。どうですか能活くん、気分的には?
川口:そうですね。もう少し、気分良くここに来られればよかったんですけど。まぁ負けていないし。ワシントンも今日は素晴らしかったということで、こういう日もあると思います。
青島:何だか、今日一日のまとめみたいな話になりましたけど。「さあ、寝ようか」みたいな。マコ、どうですか、今日は?
田中:ダメですね。
会場:笑い
田中:すみませんでした。
青島:ここで謝らなくても。
田中:でも、まだ諦めません。
会場:拍手
青島:大半の方が、今日、味の素スタジアムに行っていらっしゃいますけど。残念ですがお仕事があったり、別のところに行かれて、テレビを見られなかったり、スタジアムに行けなかった方もいらっしゃると思いますので、ゲームの流れをザッと説明しておきますとですね・・・
会場:笑い
青島:言わない方がいいですかね。傷口にまた塩を塗るような話になるかも知れないんですけど。でも、ヴェルディもいま負けられないポジションですよね。超やばいポジションにいますので、前半はもう必死でしたね。もちろん、ジュビロも負けられないですけども。まず前半36分にワシントンの先制ゴールがありました。そして、ハーフタイムでどんな話があったのか、後でうかがおうと思いいますけど。後半はいきなりジウ(東京ヴェルディ1969)にシュートを打たれて。能活くんのセーブというのがありましたね。
川口:そうですね。ありましたね。1対1になって。
青島:能活くんの好セーブもありまして、その後にゴンちゃん(中山雅史)がやりました。2試合連続ゴール。
会場:拍手
青島:18分くらいでしたでしょうね。でもこの後、みなさんはもう何が起きたかわかってますよね。
会場:笑い
青島:18分ぐらいですね、スコーンと点取ったんですよ、ゴンちゃんが。そしたら次のヴェルディの得点が19分。喜んでいたの、1分くらいですよね。
川口:同点にしたときに、「これは行けるな」と思ったんですけどね。
青島:これでヴェルディ2点、ジュビロ1点。その後にジウ選手ですか、すかさず3点目を取られる。これでヴェルディ3点、ジュビロ1点ですよ。お待たせしました。ここからは怒濤のジュビロ3連発。成岡(翔)が決めた、ヘッドを。そして、そして西(紀寛)のボレー。
会場:拍手
青島:さらに、締めくくりは太田(吉彰)。逆転ですよ! ジュビロ4点、ヴェルディ3点。後半だけで4得点。あ、これはちょっと触れないでおこう。ゴンちゃんのPKがあったんだよな。ロスタイムが3分と表示が出てて。もう残りで言うと、47分の50秒とか56秒とか、そのくらいのタイミングだったと思うんですが、フリーキックです。ワシントン選手に同点ゴールを決められてしまいました。田中選手、大丈夫ですか?
田中:大丈夫です。
青島:今日の公式飲料Vittelがありますけど、どうぞ飲みながら。お二人とももうこれしか体質に合わなくなってると思いますけど、チームの公式ドリンクですよね。サポーターの皆さんにも飲んでいただいていると思うんですよね。さあ、スポーツ、特にサッカー何が起こるかわからないっていうその怖さが、今日はまざまざとありましたね。マコはどうですか、今日は4-3となったところで、ヴェルディの選手が退場になったりして、イヤな間がありましたよね。あの時はどんな感じでした?
田中:でもPKもらったんで、今日は勝ったなと思ったんですけど、正直。
会場:笑い
青島:・・・ですよね? 「あ、この後は恵比寿に行ってトークバトルかな」とか思ってましたよね。
田中:とりあえず勝って、トークバトルができるなと思って。
青島:あの最後のワシントンのフリーキックの同点弾って、能活、さわったよね。
川口:さわりましたね。
青島:そうですよね。
川口:まぁ専門的な話をすると、フリーキックの前に壁を作るんですけど、だいたいボールとポストのライン上に人を置いて、それから外に1人分置くんですよ。そうすれば壁になるんですね。
青島:左サイドは絶対、大丈夫ということになります。
川口:いつも壁はそうするので、そのポジションを取ったんですよ。取っていたんですけど、ワシントン選手が本当に狭いところを狙ってきて。今日の彼のシュートは本当にうまかったですし、壁サイドっていうのはキーパーはボールによってはどうすることもできない。
青島:意識としては、こっちは壁を立ててるから。そうじゃない方にウェートで行けば、ファーの方に意識があるよね。
川口:そうですね。ちょっと真ん中より横でしたから。壁があって、壁サイドとキーパーが守るサイドっていうのがあるんですけど、キーパーの守るサイドに入れられてしまうと、ゴールキーパーの責任になるんですけど。
青島:ええ。

川口能活
川口:あの低いところをボールが抜けてくるというのは、全く予測ができなかった。一応反応はしたんですけどね。それだけワシントンがうまかったし。まぁ、ちょっと流れが悪かったと思います。
青島:すごいフリーキックだった。本当に低いところですよね、ゴールキーパーにとったらイヤな高さ。
川口:はい。あれがもう少し高いボールだったら、防げる可能性もあったんですけど。あれももう少し練習しないと。いつかは防ぎたいなと思いますけど。
青島:本当に、でもイヤなところなんですよ。最後は地面に付くぐらいのところで。能活くん行くんだけど、ポストにぶつかってたもんね。
川口:そうですね。
青島:でも、ワシントンは今日、当たってましたね。
川口:はい。前半で、オフサイドになったんですけど。
青島:ありました。
川口:彼は非常に調子が良かったんで、あれでちょっと波に乗せてしまったかなと。その後、ジュビロのバックラインも、マコを中心としたディフェンス陣が非常にいい対応をしていたんだけど、それをあきらかに上回るぐらいワシントンの動きの良さが光っていましたね。
青島:いきなり先制点かと思ったんですけど、それがオフサイドになってしまった。でも、それでもきっちりシュートを決めてましたもんね。
川口:そうですね。
青島:今日は前半で0-1だったじゃないですか。マコ、ハーフタイムのロッカーはどんな空気だったんですか?
田中:いや、まだ0-1だし、後半45分で絶対同点に追いつけると思って。みんな「次行こう、次行こう」っていう感じで言ってました。
青島:我々には、ゲームのさなかのハーフタイムのロッカーって、どんな様子なのかわからないじゃないですか。
川口:はい。
青島:勝ってる展開と負けてる展開とでは、いろいろ空気が違うだろうし。山本昌邦監督はどんな話するんですか。
田中:勝っているときは「みんないい感じでいってるから、このまま集中を切らさずに」とか。負けているときは「もうちょっと動きが足りない」とか、「プレスが足りない」とか修正をして話します。
青島:けっこういろんな話をしてたりするの? それともみんな何も語らず準備に余念がないっていう状態なの? ・・・マコ、そんなにVittelのボトルばかりを見ててもしょうがないじゃないですか!
会場:笑い
田中:ごめんなさい。
青島:そんなところでスルーしないでください。目線をはずすんだもん。マコ、どうですか?
田中:まぁ、細かい修正はしますけど。でも、とりあえずは気持ちのというか集中力の問題だと思うんで。まぁ「ちょっと動いて」とか、「もらいに来て」とか、そういう話をすれば修正はできます。
青島:能活くんはロッカーに帰ったら、ワーッとか言ってたりするの?
川口:僕はそれほど・・・たとえばリードされてる試合で、ハーフタイムにみんながロッカールームに帰ってきたとき、トーンが落ちて下を向いているように感じたら、「まだまだ、これからだよ」って声をかけるし。勝っているときはそのまま、特に何もいわずにその流れのまま、という感じですね。
青島:ハーフタイムには着替えたりとかは、してるわけでしょ?
川口:そうですね。夏場は特にユニフォームがびしょ濡れになるので。
青島:まぁ、トークバトルの場合こんな感じで話は進んでいくんですけど、マコ、いいですか?
田中:いいですよ。
会場:笑い
青島:でも今日は、よく追いつきましたよね、1-3から。最後は悔しい取られ方ではあったんだけど。1-3になったときには、それこそ今日はお二人は来ないだろうし、そうなればお客さんも来ないんじゃないかと思いましたもの、私。「ヤバイな、こんな日に限って、どうしてこんなゲームになるんだよ」と思ってたんですけど。
川口:でも、見てるお客さんにとっては、本当にエキサイティングな楽しいゲームだったとは思いますけど。ジュビロを応援しているサポーターの人たちには、本当に申し訳ない試合ではありましたけども。
青島:Jリーグは残り8試合。まだまだ可能性は充分ありますし、お二人とも「残り8試合全勝で、優勝はまだ射程圏内」という質問にはYESと答えましたし。どうでしょう、残り8試合のリーグのゆくえは?
田中:そうですね。上位チームも今日、うちがやったような試合をやるときもあると思うので。
会場:笑い
田中:この間のガンバと鹿島(2005年9月24日、万博競技場、ガンバ大阪2-2鹿島アントラーズ)もそういう感じだったので、まだまだ諦めません。あとはうちがこういう試合をしないようにね。それが前提です。
青島:このすごく引いた、客観的にJリーグ全体を見ているような感じですね。「他のトップチームもうちみたいな試合やることもあるだろうし」ってね。そのへんキャプテンという立場でものを見てますよね。
田中:客観的に見てます。
青島:能活くんはどうですか。まだまだ、もちろんジュビロが優勝できる可能性はありますよね。
川口:まだありますね。本当にサッカーは何が起こるかわからないし。マコも言ったように、今日みたいな試合をしないように、ひとつひとつ戦っていきたいです。
青島:そうですよね。お二人とも今シーズンの前半のつまずきは、ちょっと予想外だったというのもありましたし、現在の順位には納得していないと答えもありました。先ほども言いましたけど、今年の年頭に浜松でジュビロの山本昌邦監督と話をさせてもらったときに、これはもう当たり前なんだけど、今年はアジアのチャンピオンズリーグもあるし、代表の試合もあるし、そしてJリーグもあるし。ジュビロは本当に厳しいスケジュールを戦わなければならない。我々は本当にタフなシーズンになるだろうし、その中でやっぱり勝ち抜いて、本当にレベルの高いサッカーをやり抜きたいという話を山本さんがされていたのを思い出すんですけど。去年からワールドカップ予選も戦いながらJリーグの試合をやっていて、今年に入ってからはどんな感じですか。
田中:3月、4月は確かに試合数が多くて。試合が終わる度に、疲労感がありましたね。なかなか全体的に集中しきれない試合がありましたし。
青島:そのへんはやはり、前半戦のつまずきっていうところの原因というか。ある意味ではわかりやすい理由ではあるけれど。
田中:そうです。あとは新しい選手が入ったり、新しいシステムになって、なかなかコミュニケーションがとれないまま試合に入ってしまって。そのへんの連携のまずさというのは出ちゃいましたね。
青島:能活はどうですか。日本に戻ってきて、そしてジュビロに入って、代表の試合もある。選手としてはいちばんやり甲斐のあるところだと思いますけど。
川口:まず最初は、春に骨折してしまったので、試合ができる喜びを感じていましたね。なかなか思うような結果が出なくて。自分としても、何とかチームの流れを変えたい、発奮材料を与えたいとずっと思っていたんですけど。徐々にかみ合って、全体として守りも安定してきて。マコを中心に代表でも一緒だった選手もいて、僕としてはすぐになじめたし、ジュビロのサッカーにも慣れた。あとはワールドカップ予選もありましたし。しかも移動がありましたから。移動しながらシビアなゲームをしていくという点では、体力的にも非常にキツイ面はありましたね。
青島:心配したのは8月の24日でしたっけ、ガンバ戦のとき(2005年8月24日、石川県西部緑地公園陸上競技場、ガンバ大阪3-1ジュビロ磐田)かな。途中で左膝が痛いということで、試合を離れたじゃないですか。その次の日の新聞に「膝が動かない」って出ていて。それこそ代表の試合もあるのに、どうなるのかなと思ってました。
川口:8月13日にジェフ市原・千葉とナビスコカップの試合(2005年8月13日、ヤマハスタジアム、ジュビロ磐田2-2ジェフユナイテッド市原・千葉)をしたんですけど、その時に膝を打撲して。かなり痛かったんですけど、とりあえずできて。できたというか、本当に我慢してやってたんですけど。まぁそれほど問題もなくて。これでこのまま治るだろうなと思っていたら、ガンバ戦のウォーミングアップで左に飛んだときに、いきなりそのま
ま痛みというか、足が動かなくなったんですよ。
青島:ええ。
川口:そういうケガっていうのは時々ありますから。試合になれば集中力が高まって痛みがなくなるだろうなと思ってピッチに入ったんですけど、どんどん足が動かなくなってしまって。ゴールキックも途中でマコにお願いしようかなと、「ちょっとマコ蹴って」ってひとこと言ったんですけど、「それはダメだ」って。で、ボールを蹴ったんですけど、全然蹴れないんで。何本か蹴ったんですけど、最後にパントキックっていって・・・
青島:ボールを浮かせて。
川口:はい。パントキックというのはボールを持って蹴るんですけど、それができなくて。ドロップキックといって地面にワンバウンドさせて蹴る方が、膝に負担がかからないんですよ。それで、そのキックにしたんですけど、ドロップキックでもうボールが蹴れなくなってしまって。「これはもうダメだ」って思って、すぐに自分からダメ出しをしたんですけどね。
青島:いや、これは長期離脱とかになったらどうなるのかなと思ったんですけど。9月に入って、10日の大宮アルディージャ戦(2005年9 月10日、ヤマハスタジアム、ジュビロ磐田2-0大宮アルディージャ)から戻ったんで、よかったと。本当、ジュビロにとってはよかったですよね。
川口:比較的、すぐに治ってよかったです。

青島:今日、会場にお集まりの方々はジュビロのサポーターの方が大半だと思いますので、二人の生い立ちっていいいますかね、関係は詳しくご存じだと思いますけれど。マコの方からも先程、山本監督が就任されて、チームの側、選手たちも慣れるまで戸惑う部分があって。さらに、前半戦はつまずきもあって、チームのコミュニケーションが問題となったという話もありましたけど。でもこの二人に関しては、本当に心配ないというか。能活くんも今年、日本に戻ってきたんだけど、もちろんまったく心配なくやっているわけですよね。能活くんとマコ、最初に二人が出会ったのは幾つくらいの時ですか? 覚えてますか?
田中:中学2年くらいの静岡県選抜チームで初めて会いました。小学生の頃から「富士市にいいキーパーがいる」っていう話は聞いてましたけど。
青島:待ってよ。マコは当時の清水市で、能活くんは富士市。
川口:マコは清水FCにいたんです。エースストライカー。
会場:笑い
青島:そうなんです。センターフォワード。その頃に、「富士にちょっと気合いの入ったキーパーがいるぞ」と。
田中:清水FCの中でけっこう話題に上がってました。
川口:それはない。
田中:ホントに。
青島:珍しくマコの方がいい感じで話してる。
会場:笑い
田中:今日だけです。
青島:能活くんは、マコのことは知ってたの?
川口:もう有名でした。全国大会の得点王ですから。全国的にも「清水といえば田中誠」という感じでした。
会場:笑い
青島:お互いに持ち上げてますね。じゃ、小学校くらいのときは「ちょっと気になるヤツがいるぞ」みたいな感じで。実際に出会ったのは、中学生になってからと。でも、中学校はまた別なんでしょ。
田中:あっちはエリートですから。
川口:また。
青島:でも、能活くんの中学校は本当にエリートなんだよね。
川口:地元の富士の中学はあまりサッカーが強くなくて。それで家族と離れて、私立の東海大第一中学に行ってました。
青島:そのとき、マコは清水の地元の中学校?
田中:普通に。小・中学校とも歩いて5 分ぐらいのところに通いました。
青島:いい感じですね。普通はそうですよね。それで、静岡の選抜チームで二人がついに出会う。
会場:笑い
青島:このときマコは、まだ当然フォワードですよね?
田中:選抜の頃はフォワードとディフェンス、両方でした。
青島:半々くらい?
田中:はい。
青島:何なんですか、そのあいまいな記憶は。
川口:選抜のときはディフェンダーでした。
青島:能活くんのほうがよく覚えているんじゃない。だんだん距離が近くなってきましたね、二人の。選抜では何か印象に残ってたりします? どうなんですか中学のときは?
会場:笑い
川口:でも、まぁ・・・。静岡県選抜、東海選抜でマコと一緒にプレイして。マコはサイドバックだったと思うんですけど、僕はフォワードのイメージが強かったんで、「マコはディフェンダーもできるんだ」という驚きがありましたよ。
青島:今日は私、最初からマコ、マコって呼ばせてもらっているんですけど。もしこれがですね、ラジオ放送かなんかで今ぐらいから聞いた人がいたら、「マコはフォワードで」「マコはサイドバックやってた」なんて聞くと、能活くんが女子サッカーの人と話してるのかなっていう気がしますよね。
会場:笑い
青島:昔からマコは「マコ」?

田中誠
田中:そうですね。そう呼ばれてました。
青島:何か怒ろうと思っても、なかなか気合いを入れて怒れない呼び方ですよね。「マコ、こら!」って。「怒り過ぎちゃってごめん」みたいな感じで。優しい感じですよね・・・すみません。
会場:笑い
青島:このぐらい広がればいいですかね。で、何となくお互いが意識し合うような歴史を経ながら、清商(清水商業高等学校)にお互いが「行こうぜ、行こうぜ」っていう感じになったんですか?
川口:そうですね。静岡県選抜と東海選抜のいい選手たちがみんな「清商に行きたいね」っていう話をしていて。そのときの選抜メンバー6~7人が、そのままみんな清商に行ったんです。
青島:ここでやっとマコと同じ学校で、チームを組むことになったんですね。
田中:憧れの高校選手権に出て、優勝するのが夢だったので。いいパートナーができたと思いました。
青島:マコ、まとめるのうまいよね。
会場:笑い
青島:どう? ぶっちゃけ、どうだったの高校時代、二人はお互いに。
川口:全然別でした。
田中:でも、クラスは一緒だったんだよ。
青島:さっきパトリック(司会)も言ってたんだけど、誕生日も8月で一緒?
田中:そうです。お互い30歳になりました。
青島:ようこそ30代へ。もうぶっちぎって、ひとりで40代行ってますけどね。ついに来たか、君らも30歳まで。ここからですよ、円熟味を増すのはね。まぁその、ともに30歳になった二人の16歳から18歳くらいまでの話をもう少し伺いたいと思いますが。当時の能活くんはメチャメチャ熱かったんですか?
田中:もう練習の鬼でした。帰りの時間とか、絶対一緒にならないです。
会場:笑い
田中:僕が帰る頃、「あ、まだやってるんだ」みたいな感じで、まだ練習を続けていましたね。
川口:マコはスーッとフェイドアウトして。
田中:「あ、お疲れ」みたいな感じで。
青島:「俺、やることやったから」って。
田中:練習がハードだったんで。朝もやって、昼もやって、放課後もやって。「もう、いいや」って。早く帰りたいって感じで。
青島:「もういいや。早く帰りたい」みたいな。
田中:はい。
青島:清商って朝からゲームやってたりするんでしょ?
川口:はい。
青島:皆さん、学校行く前に90分ゲームやるんですよ。スゴイっすよね。でも能活くんなんか、全体練習が終わってから、また1人で練習してたの?
川口:そうですね。ゴールキーパーもたくさんいましたし、清商の伝統みたいな感じでキーパーはみんな居残り練習はやってましたね。
青島:ある意味では、フィールドの他の選手にプレッシャーをかけてるような部分もあるでしょうね。「俺かこれだけやってるんだから、お前ら、点を取れ」みたいな。「マコ守れ、この野郎」みたいな。
田中:熱かったですけどね。後ろからヤジなのか指示なのか分からないような、熱い言葉が飛んで来ましたから。
青島:マコって、軽い言い方の中に、すごいトゲがありますね。「指示なのかヤジなのか」って。
会場:笑い
青島:じゃ、高校時代から熱い能活はガーッとスパークしていたわけですね。
田中:能活自体が熱い男ですからね。
青島:田中誠はフェイドアウトしていく。
田中:俺はちょっともう。
青島:試合で守ったら、すっと消えるみたいな。この間のスポニチの裏1面にも、田中誠がドワーッと取り上げられて。
会場:拍手
青島:額に入れて飾っている方もいらっしゃるでしょうけど、なぜかガンダムと一緒だったんです。高校時代から機動戦士ガンダムを集めてたりしたんですか。
田中:高校の頃は練習でいっぱいいっぱいでした。
青島:会場のあちらの方でその新聞を持っている方がいますよ。出してますよね。ちょっと借りてきましょう。
田中:いいですよ。
青島:見ていない人もいるかも知れないから。スポニチの1面ですよ、すごいですよ、裏ですけどね。表は原監督 (辰徳、読売ジャイアンツ) だもん。
会場:拍手
青島:原監督か田中誠か、ですよ。すごいですよ。でも、なぜか芝生に寝そべってサッカーボール持ってるんだけど、ガンダムが並んでるんです。
会場:笑い
青島:ロッカーにいっぱい集めてるんですって?
田中:そうですね。午前と午後との練習の合間におもちゃ屋さんに行って・・・
会場:笑い
田中:「いいな」と思って買ってきていたら、そうこうしているうちに、集まっちゃいました。
青島:いいですね、4-4のゲームの後に、こういうゆるい話が。そういうところがマコのいいところなんですよね。能活さん、いかがですか? どこまで話が行ったんでしたっけ。そうそう高校時代でした。そしてセンターバックをやったのは、高校3 年くらいからですか?
田中:そうですね。
青島:Vittelを見ないで下さいよ!
会場:笑い
青島:そのあとは二人はチームは違うんだけど、代表やいろいろな場面でずっとお互いにトップレベルで活躍するんですが。高校を出てからは、二人はどうだったんですか? あまり話をする機会はなかった?
川口:高校を卒業してすぐに五輪代表に呼ばれて、そこでは普通に話してました。
青島:思い起こせばアトランタ・オリンピックですね。でもあれ、1996年ですからね。もう9年前ですね。
田中:「老けたな~、こいつら」と思ってるでしょ。
青島:そこでそう来るか、マコ。この人は本当に場を見てますね。そこで「老けたな~」って来るとは思わなかった。さすがですね。ということで、二人は以心伝心という間柄と言っていいですか?
川口:そうですね。
青島:ぶっちゃけどうですか、そんなに仲良くない?
会場:笑い
青島:二人の牽制し合っているような持ち上げ方。
田中:いや、普通です。
青島:微妙な言い方ですよねぇ。
川口:普通です。


後編へつづく

取材・構成:CREW
撮影:新関雅士