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後編

中西:オルテガも入ってますよね。
村上:オルテガ、どうなんですか? もういいじゃないですか、オルテガ。率直に言って皆さんどうですか。オルテガがいなかったら、アルゼンチンはワールドカップでもっと勝ったと思うんですけど。でも、そのくらいアルゼンチンでは尊敬されてるんですか。
中西:僕はもう少し早く世代交代してほしかったですね。
村上:ねぇ。パルマにいた時とかオルテガは最悪だったじゃないですか。
中西:で、アイマールなんですけど、すごくないですか。
村上:最高っすね。
中西:顔は子どもみたいなんですけど。
村上:でも2枚目じゃないですか。王子様って感じで。ワールドカップの時の髪型もなんか“おしゃれアフロ”みたいな。狙ってやってるとしたら、相当にクセ者ですよ。
中西:アイマールは、今、本当にすごい。なんですかね、あのボールの触り方。
武田:南米ってグラウンドが悪いじゃない。そこで試合をしてるから、タッチとか、どんどんうまくなっていくんだろうね。
中西:じゃあ、日本はいい芝生は作っちゃいけないんですね。
武田:日本はどちらかと言うと、雨とかでグラウンドが悪い時の試合は勝てない。南米ではそういうところで、裸足でやってるんだから、子どもの頃から。
中西:裸足でやってる感覚で靴を履きますからね。
武田:だからタッチが違う。
村上:グラウンドが悪いからだって、よく言われますけど、ヨーロッパでは子どもの頃から芝生のグラウンドでやってて、逆じゃないですか。ヨーロッパでは、整備された環境で、選ばれた子どもが小さい頃からトレーニングを受けて、トップ選手に上がっていくわけですよね。南米はそれと反対のところにあるわけ。ストリートサッカー上がりみたいな。元々、みんなそうでしょ。それで、トップまで行くんですから、本当にすごいですよね。アイマールもあんな顔してますけど、ものすごい気合なんでしょうね。
中西:負けず嫌いなんでしょうね。
村上:ものすごい気合なんでしょうね、サビオラとかも。サビオラとかデコピンしたいですけど、そんなことをしたら、張り倒されるんでしょうね。
中西:リケルメ(フアン・ロマン、スペイン・バルセロナ)もやっと来ましたね。
武田:良かったね。高原がゴールが決まった時に耳の後ろに手をやるじゃない。あれ、リケルメの真似なんだってね。あいつリケルメが大好きなんだよね。
中西:仲が良かったみたいですよね。観たいですよね、リケルメ。ボカ・ジュニアーズでもたくさんパスを出してくれたって高原選手が言ってましたよね。
村上:アイマールとリケルメは、全く同じポジションだと考えていいんですか?
中西:完全に重なってますね。
村上:やっぱりそうですよね。となると分が悪いですよね、リケルメ。
中西:でも、このメンバーを見ると、どうやって並べるんですかね。キーパーはどっちだろう。カバジェロ(パブロ、スペイン・セルタ)よりはボナノ(ロベルト、スペイン・バルセロナ)ですかね。
村上:どっちもあまり良くないですよね。アルゼンチンって昔からキーパーは……。
武田:アルゼンチンというか、南米はみんなキーパーをやりたがらないじゃない。
村上:なんか、ヘコヘコヘコヘコ、前に出てくる人が多いですよね。
中西:ディフェンスは、サムエル(ワルテル、イタリア・ASローマ)、アヤラ(ロベルト、スペイン・バレンシア)、ポチェッティーノ(マウリシオ、フランス・パリSG)かな。サネッティ(ハビエル、イタリア・インテル)、ソリン(フアン、イタリア・ラツィオ)。中盤はアルメイダ(マティアス、イタリア・インテル)。
村上:アルメイダで決まりですかね。
中西:ベロン(フアン・セバスティアン、イングランド・マンチェスター・ユナイテッド)はボランチですかね。
武田:ベロンねぇ、この間マンチェスター・ユナイテッドを観に行ったけど、良くなかったよ。調子悪いんじゃないのかな。
村上:なんとなく、雰囲気的にベロンは厳しいっすよね。
中西:前線はクレスポ(エルナン、イタリア・インテル)。インテルで絶好調ですよね。11月12日のチャンピオンズリーグのアヤックス対インテルの2点。
村上:神ですね。
中西:右足でも左足でも、どっちも完璧にボールを扱えて。
村上:ロナウドのインテルからレアル・マドリッドへの移籍のゴタゴタに、クレスポも巻き込まれたわけじゃないですか。ロナウドの背番号を背負わされて、ビッグクラブに来るプレッシャーって、もう信じられないくらい大きいと思うんですよね。それを、モノともしないじゃないですか。クレスポがゴールをする瞬間はビビビビビビッときて、感動しちゃうんですよね。すごい熱いですよね。
中西:前線はサビオラ、クレスポ、キリ・ゴンサレスですかね。
村上:ちょっと下がり目でキリ・ゴンサレス。
武田:でもビエルサ監督はオルテガが好きじゃないの。
村上:でも、そのビエルサを国民は支持をしているわけですよね。
武田:そうだね。他の人はやりたくないんじゃない、監督を。
中西:監督に給料を払えないという話もありましたよね。
武田:監督はやりたくないですよ。すぐ責任取れって言われるから。
中西:脅迫電話はガンガンかかってくるし。
村上:並大抵のプレッシャーじゃないけど、それはどの国でも代表監督ってそうでしょ。

中西:そして、このアルゼンチン代表を迎え撃つ日本代表。ゴールキーパーは曽ケ端(準、鹿島アントラーズ)、楢崎(正剛、名古屋グランパス)。ディフェンスは秋田(豊、鹿島アントラーズ)、名良橋(晃、鹿島アントラーズ)、中西(永輔、ジェフユナイテッド市原)、田中誠(ジュビロ磐田)、山田(暢久、浦和レッズ)、松田(直樹、横浜F・マリノス)、坪井(慶介、浦和レッズ)。ゴールキーパーとディフェンス、どうですか。ゴールキーパーはいつも通りですけど、ディフェンスは新しい選手がふたり入ってますよね。
中西選手と坪井選手。
村上:中西選手はうれしいっすね。
中西:身体能力が高いですね、やっぱり。
武田:永輔はね、2年間、ジェフで一緒だったんです。本当に1対1に強いよ。多分、止めちゃうんじゃないかな、アルゼンチンの選手でも。
中西:中西選手が対するアルゼンチンの右はサビオラかオルテガですよ。
村上:じゃあ、オルテガの方がいいや。ほら、中西選手は'98年ワールドカップの日本対アルゼンチンの時に、右サイドでスーパープレイがあったじゃないですか。
中西:あったね。
村上:サビオラみたいに相手を抜いていきましたよね。間をキュッと。ジェフでもフォワードをやってた時もあるけど。
武田:俺がフォワードやってた時、あいつもフォワードだったからね。点を取っちゃうんだよね、ドリブルがうまいから。
村上:なんか、申し子ですよね。何をやらせてもうまい。
武田:ただね、ケガをしやすいんだよ。そこは気を付けてもらいたいね、試合前は。
中西:左サイドバックは、高校時代にずっとやってましたからね。好きなポジションなんじゃないですかね。左サイドから中央にカットインしても、タテでもいけますからね。左足も蹴れるし。そして、坪井選手が入りました。足がメチャメチャ速いですよね。テレビで観てて速いなと思ってたけど、生で見たらもっと速かった。びっくりした。11月4日のナビスコカップ決勝、レッズ対アントラーズの時。落ち着いてるし。
村上:坪井選手っていくつですか。
中西:大卒1年目じゃないですか。
村上:23歳。昔でいうルーキー。
中西:小野選手、稲本選手と同期じゃないですか。
村上:その世代。スピードは一番……あ、山田選手の方が速いのかな。
中西:山田選手は、身体能力がすごい。ただスタメンはおそらく名良橋、秋田、松田、中西。このディフェンスの4人、どうですか?
武田:強いよね。
中西:みんな、超身体能力がある。
武田:肉体派だね。
中西:跳ね返せる。これで、キリ・ゴンサレス、クレスポ、オルテガを抑えなきゃ。
村上:名良橋さんがマッチアップするわけですか。名良橋さんが勝つね。僕と同い歳ですよ、1971年生まれ。同じ歳の選手って、応援しちゃうんですよ。
武田:ですよね。
村上:俺、サッカーを辞めようと思ったきっかけが、同じ早稲田大学の同い歳に相馬(直樹、東京ヴェルディ1969)と原田(武男、アビスパ福岡)がいるんですけど、原田さんが国見高の時に、うちの国学院久我山高に練習に来たんですよ。それで原田さんが練習しているのを見て、これは大学でサッカーを続けても意味がないなと悟った。
中西:高校選手権の時ですか。
村上:そうそう。選手権は昔は1月2日開催だったじゃないですか。俺は高校3年で引退してたんですけど、元旦に観に行ったんです、うちの高校に国見が練習しに来るからって。そこでやってる原田選手を見て、全然話にならない。いつも自分が使ってるグラウンドで見たら、ありありと差がわかったんですよね。国立競技場とかで見てても、どうしても高校生の試合だと、そんなに差がないんじゃないかと甘いことを考えちゃって。
中西:俺でもいけるんじゃないかって。
村上:でも普段の自分のグラウンドで、自分が使ってる間尺で見た時に、「あ、スミマセン、歌やります」みたいな。「甘かったです、俺は」。
中西:そうなんだ。
村上:やっぱり同い歳の選手って、応援したくて。'98年ワールドカップの時ってさ、同い歳の相馬選手が出てたから。今回、名良橋選手が復帰したのは、ジーコが監督になった時に予想できたことではあるんですけど、すごくうれしかったですよね。
中西:この間のジャマイカ戦はキレキレでしたよね。そして、ミッドフィルダーは、上野(良治、横浜マリノス)選手、福西(崇史、ジュビロ磐田)選手、三都主選手、中村選手、小笠原(満男、鹿島アントラーズ)選手、中田(浩二、鹿島アントラーズ)選手、遠藤(保仁、ガンバ大阪)選手。どうですかね。
武田:中盤は今回、中田や小野がいない分、チャンスだからね。出た選手には、ちゃんと自分をアピールしてほしい。今回は重大だよね、中盤は。
中西:予想スタメンの福西選手と中田浩二選手のダブルボランチを見てみたい気がするんです。絶対にあり得ない組み合わせじゃないですか。いつも代表に選ばれているこの2人をセットでボランチで。すごく楽しみですね。福西選手は少し前の位置になると思うんですけど。それと三都主選手。ぜひ出てほしい。今、リーグ戦で好調じゃないですか。フォワードやってますけど。福西選手が入ったのもうれしいですね。
武田:福西はいつも代表に入ってるけど、なかなか試合に出られなくて。
中西:途中出場だったり。
武田:やっぱり一緒のチームだった選手は特に応援したくなりますよね。
中西:武田さん、いろんなチームに行ってますからね。
武田:ちなみに福西の奥さんは俺が紹介したから。だから特に福西には頑張ってほしい。あ、そうだ。田中誠の奥さんも俺が紹介した。
中西:それよりも、自分はどうなんですか。
村上:俺にも紹介してくださいよ。なんか武田さん、キラキラしてましたよ、今。
中西:なんか、いっぱい知ってるぞ、みたいな。
村上:さすがに違うなあ。でも、俺も福西選手には期待したいですね。なんかトルシエ監督時代は苦しい時にパワープレイを期待される使われ方をしていたじゃないですか。何をやらせてもイケるところがすごい。
中西:組み立てもできるし、シュートも打てる。セットプレイは強いし。
村上:そうそう。前でもやれるし。すごい選手ですよね。
中西:僕は中田浩二のボランチを見たいですね。トルシエ監督の時はディフェンスラインをやってたじゃないですか。本人はボランチをやりたいと言ってるわけですから。遠藤選手が入ったのもうれしかったですね。このところ、相当レベルの高いプレイをしていますからね。いつ観てもいいなと思うプレイをしていますし、冷静だし。頑張れば代表に選ばれる、状態が良ければ代表に選ばれるっていいですよね。
武田:頑張れば選ばれる。
中西:そしてフォワード。中山選手、高原選手、鈴木(隆行、ベルギー・ゲンク)選手、柳沢(敦、鹿島アントラーズ)選手。武田さん、フォワードとしてどうですか。
武田:やっぱり勝っているチームのフォワードは選ばれるよね。高原は妥当じゃない。
中西:そりゃあ、もう。
武田:ただね、俊輔に「フォワードの誰と一番やりやすい?」って聞いたら、柳沢だって。他の選手かなと思ってたら、柳沢が一番パスを出しやすいって。意外だったんだけど。
中西:僕は黒部(光昭、京都パープルサンガ)選手、調子いいから選んであげてもいいかなと。
村上:確かに。でも、このフォワードのメンバーは妥当ですよね。
中西:あとは入れるとしたら、武田さんですね。
武田:まあ、俺は関係ないけど。でもジーコ監督ってさ、ひょっとしてカズが得点王を取ってたら、カズを代表に呼ぶだろうね。
中西:そういう人ですよね。
武田:だからフォワードはちゃんと得点ランキングのトップに入ればさ、代表に入れるわけだから、チャンスだよね。
中西:選ぶ基準がわかりやすいですよね。中盤は数字に表れるわけじゃないから。
武田:そうだよね。今回、フォワード陣は頑張っていかないと。
村上:それ、いいですよね。高原選手みたいにブッちぎっちゃう人がいて、それをどんどん追いかけてほしいですよね。点を取ってほしい。
武田:特に高原はアルゼンチンに行ってたから、やりやすいんだよね。ボカ・ジュニアーズにいたから。大体、アルゼンチンの選手の特徴がわかってるじゃない。だからこそ、今回は点を取ってほしいよね。
村上:昨年のトヨタカップ、バイエルン・ミュンヘン対ボカ・ジュニアーズで来日できなかったのは、残念だったじゃないですか。ボカの高原が観たくて行ったのに。
中西:僕の希望ですけど、今回は、ジュビロ磐田セット、鹿島アントラーズセットで試合に出てほしいな。
武田:そうするんじゃないのかな。
中西:前半と後半をあらかじめ決めておいてね。ダメですかね。
武田:でもね、先に言ってもらってた方が、途中で出る方も楽でいいかもしれないね。
中西:いつ出るかわからないと、合わせるのが大変なんですよね。
武田:だったらさ、前半は全部鹿島アントラーズの選手を出して、後半はジュビロ磐田の選手を出せばいいんじゃない。
中西:今回はジュビロ磐田は2人、名波(浩)選手と服部(年宏)選手が出場しない。
村上:あれは辞退なんですか、それとも……。
中西:本人じゃないからわからないですけど、ああいうのはどうなんですか、武田さん。
武田:たとえ代表チームに行きたくなくても、一度辞退しちゃうともう代表には呼ばれないからさ。
中西:そうでしょ。僕も、それがすごく気になっていて。チーム側が代表に出したくないっていうのがあるじゃないですか。これだけいっぱい自分ところの選手が選ばれていると。で、ちょっとケガをしている名波選手と服部選手を出すのをやめようかなと思っても、もし僕が名波選手や服部選手だとしたら、「俺、あんまり必要じゃねえのかな」って。高原選手や中山選手は選ばれてるわけですから。そういう気持ちになっちゃいませんか。
武田:どうなのかな。
中西:全員選ばれないなら、わかりますよ。
村上:そうそうそう。
中西:選ばれてる選手と選ばれない選手がいる。複雑な気分になるんじゃないかな。
武田:いつも代表に入っている人たちと、たまに入る人たちは違うから。いつも入っている人たちは自信があるよ。あまり選ばれていない人たちは、今回アピールしようって。
村上:名波選手や服部選手は何度も呼ばれてますからね。
中西:でも、新しい監督になったばかりですから、不安ですよ。
村上:アルゼンチンは、フルメンバーで来るわけじゃないですか。すごく疑問なんですけど、アルゼンチン代表の選手も、ヨーロッパ各国リーグやチャンピオンズリーグを戦ってますよね。でも、アルゼンチン代表ってほとんど代表を辞退しないですよね。
中西:ビエルサ監督が足を運ぶみたいですよ、各選手の所属チームまで。
村上:ジーコ監督がチームを訪ねていたら、海外の日本人選手も来たのかな。同じヨーロッパのリーグを戦っているのにと思っちゃう。
中西:それは、みんな思ってると思いますよ。同じリーグで戦っていて、アルゼンチン代表は日本に来てるのに、なんで来ないのって。
村上:同じ飛行機で来りゃいいじゃんって。まあ、それが大変なのはわかってるけど。
中西:相手がこれだけのメンバーなんだから、日本もベストメンバーで観たいという気がしたんだけどね。
武田:中田英寿選手に取材に行った時に、田嶋幸三(日本サッカー協会技術委員長)さんが来てたよ。パルマに「中田選手を貸してください」って。
中西:そうなんですか。
武田:そこのところが本当にダメだったのか、よくわからないけど。
村上:やっぱり監督が行かないとダメなのかな。
武田:監督が行ってもさ、代表の試合で所属選手がケガをしたりすると、チームとしては大損害だもんね。
中西:ケガもそうだし、疲れもそうだし。まあ、今回はメンバーがもう決まったわけですから、この人たちにすごいプレイを見せてほしい。
村上:そうだね。特に福西選手、三都主選手はまだ最高のパフォーマンスを代表の試合では出してないと思うんですよ。それを見たいですよね。そういう意味では、これまでとポジションが違う中田浩二選手も。前のディフェンスのポジションでは、すごいプレイの連発でしたけど。新しいボランチのポジションで、フルの力を見たいですね。
中西:小笠原選手と中村俊輔選手のコンビも僕は見たいですね。
村上:どうなるんだろうって、楽しみですよね。
中西:フリーキックは、どっちが蹴るんだろう?
村上:口ジャンケンですか。
中西:小笠原選手もフリーキックがすごいじゃないですか。だから、キッカーとしても楽しみだなって。
村上:カップとか懸かってる試合だと、必ずMVP になるじゃないですか、小笠原選手。今回も、何か賭ければいいんじゃないですかね。必ず点を取るじゃないですか。
武田:本当に大一番に強いよね。
村上:ああいう雰囲気で勝負強いのは最高に頼もしく見えてくるじゃないですか。
中西:決勝戦とかね。
村上:大事な時には必ず点を取るという。シメオネみたいですよね、ある意味。
中西:内容なんですけど、この試合、このメンバー、どうですか、武田さん。
武田:アルゼンチン、試合の2日前に来るの? 体調は良くないよね。長時間飛行機に乗って、2日後に試合。90分、走れないですよね。
中西:気圧が変わるから、体がキツいんじゃないんですか。
武田:キツいと思うよ。
村上:飛行機の中で、ちゃんとマスクしてる?
武田:してない。
村上:した方がいいですよ。
中西:違う空気が流れてるんですか。
村上:全然違いますよ。マスクをすると、まったくノドを痛めないんですよ。飛行機で寝ると、口が開くじゃないですか。俺は、100 パーセント、口が開くんです、寝てるとね。
中西:エヘン虫が入ってくる。
村上:だからマスクをする。あと、口を開けてるのを見られるのが恥ずかしい。
武田:マスクするの、大事だね。
中西:じゃあ、中村俊輔選手にも教えないと。
武田:マスクしろって?
村上:でも、声が出ない時って、元気が出なくないですか。
中西:出ません、出ません。はい。では質問にいきましょう。
客:サッカー初心者でも、アルゼンチン戦のここに注目したら楽しめるという見方を教えてください。
中西:僕は、キリ・ゴンサレスに注目してくれれば。
村上:女性ファンにはやっぱり、いろいろな意味でルックスが重要ですから。
中西:じゃあ、クラウディオ・ロペス?
村上:いやいや。キリ・ゴンサレスの顔を見て、何かソウルの部分ででわかるところがあれば。
中西:テレビで観て、「この人がこの間聞いたコワモテのキリ・ゴンサレスだ」って思ってくれれば。
村上:きっとキリ・ゴンサレスのいいイメージがインプットされてると思うんですけど。
中西:でもクラウディオ・ロペスが先発したら、ロペスがカッコいいと思うかも。
村上:帰る頃にはサビオラかな。
武田:だね。
村上:サッカーを観る時に、フォームというか、ボールを蹴る形そのものの美しさがすごく好きで。
中西:お~、専門的ですね。
村上:いや、ただ単に見て。写真が大好きなんですよ。バティストゥータがシュートをする瞬間の手の広がり方とかすごくきれいじゃないですか。各自のクセがありますよね。ベッカム(デイビッド、イングランド・マンチェスター・ユナイテッド)の手の位置もそうだし、中田選手のつま先の角度とか、すごく気になるんですよ。
中西:マニアックですね。
村上:男から男を見て、サッカー選手を見て惚れ惚れするんですよ。アルゼンチンで言うと、ハビエル・サネッティの走っている時の肩の高さを見てほしい。すごくスピードのある選手なんだけど、重心が高い。
中西:けっこう、肩が上がってる。
村上:そういう美しさを見てほしい。名良橋選手の走り方とかね。
武田:すごいね、選手の走り方まで見てるんだね。
村上:歌手でも手の動きがいいとか、そういう要素がある。ステージを見て誰かを好きになるのは、ステージングの魅力なんですよ。立ち姿。ちょっとした足の開き方とか、立ち方とか。特に女の子は過剰に反応しますからね。無意識でも。
中西:立ち振る舞いですよね。
村上:ボールを蹴る姿だけよく見てると、それぞれに個性があるから。超一流選手には。
武田:そう言われてみれば、僕も走り方ですぐわかるって言われますね。試合見てて。
村上:武田さんの走り方も特徴的でしたよね。
中西:武田さん、サッカー的にはアルゼンチン戦の見どころはどうですか。マニアック的には今の話でいいと思いますけど。
村上:マニアックじゃないですよ!
中西:だってサネッティの肩の位置を見てる人なんて、そうそういないですよ。
村上:そぉ? 「俊輔がコーナーキックを蹴るときの美しさ」でもいいんですよ。蹴る前から、ボールが曲がりそうだって思わせるじゃないですか、蹴る前に。
中西:武田さん、どうですか。
武田:やっぱり、カッコいい選手を見つけて、その選手を追うのがいいんじゃない。ベッカムがそうだったじゃない、ワールドカップで。いまだに人気があって。
村上:イライラしますよね、本音を言えば。何がイルハン(マンスズ、トルコ・ベジクタシュ、トルコ代表)ですか。カッコいいですよ、そりゃ。カッコよけりゃいいのか。
中西:でも、それはさっき村上さんが言ったのと一緒だよ。つま先の角度とか。
村上:顔とはちょっと違いますよ。サッカーのプレイの話ですから。
中西:ベッカムもイルハンもカッコいいんだからいいじゃないですか。
村上:うまいですしね。まあ、トッププレイヤーですからね。
武田:うまくてカッコいいからね。
客:ずばり、アルゼンチン戦の勝敗の予想スコアを聞かせてください。
武田:俺はね、キリンカップで実際にアルゼンチン代表とやったときに1対0で負けたんですよ。その気持ちを込めて1対1かな。
中西:僕もそうですね。
村上:2対1で日本。素人ですいません。
中西:でも、最初から負けると思ってやる人はいないですからね。
村上:点を取られてもいいから、多く取ってほしい。アルゼンチン相手に、こんなことを言うのは恐れ多いですけど。でも観たい試合としては、先制して、追いつかれて、最後に逆転。2対1の試合が見たいですね。ゴールは誰が決めますかね、日本代表は。
中西:誰かなぁ。僕は、秋田豊。
村上:中西のクロスからね。
中西:ガツンといってほしい。「ウォーッ」て叫んでヘディングしてほしい。
村上:2002年ワールドカップのアルゼンチン戦だって、秋田のヘディングが入ってたら。
中西:秋田選手はこの間も言ってました。「あれが本当に悔やまれる」って。バティストゥータに点を取られたのはしょうがない、不運だったから。でも、俺があそこで決めてればって。秋田はフォワードじゃないけどね。
村上:武田さんはあります? あの時、あの点を決めていれば、人生が変わったなって思うような場面。
武田:そういうのはないんだけど、自分がPKを取った時に、もっと自分で蹴っていれば良かったなと思うね。例えば'93年のJリーグ・チャンピオンシップでヴェルディがアントラーズとやった時に、俺が倒されてPKになったのに、カズが蹴って入っちゃった。もし自分で蹴ってたら、記録に武田の名前が残ってたなぁって。
中西:十分、記録は残ってるじゃないですか。
武田:でも大体、PKは他の人が蹴ってる。シュートの場面どうこうより、ゴールポストに当たったどうこうより、PKを決めておけば良かったなって。
村上:試合の後に悔やまれて、引退してからも、なお悔やまれる。
中西:PKを蹴ってないのに、これだけ得点記録が残っているのはすごいですよ。
村上:武田さんは日本リーグとJリーグを合わせて90点くらいですか。
中西:いや、もっとですよ。150 点くらい。PKのゴールは1点もないんですか。
武田:ありますよ。3、4、5点くらい。小学1年からサッカーをやってきて、PKでゴールしたのは5点くらい。
中西:僕の方が多いです。普通では決められないから、PKは蹴ってましたね。
村上:武田さんは昔から点を取りまくっているわけじゃないですか。それなのにPKキッカーを担当しなかったのは、何が原因だったんですか。
武田:あのね、簡単なシュートは苦手なんだ。難しい変なボールや、来たボールをオーバーヘッドキックするのは得意なんですけど、キーパーと1対1とか、キーパーの前にボールをちゃんと置いて蹴るというのは苦手。基本ができてないんですよ。
村上:それはむしろ、気持ちの問題なんじゃないですか。
客:ワールドカップが終わって、監督がトルシエさんからジーコさんになって、サッカー的に一番変わったところはどこだと思いますか。
武田:ひと言で言えば、自由になったのかな。決まりとか規則とか、「こう動け」と指示するより、個人に任せたサッカーになったと俺は思うな。
中西:練習以外のところでも、そうみたいですね。トルシエ監督は選手に「新聞は見るな、ネットは見るな、テレビは見るな」でしたから。
村上:ネットは見るな、ですか。厳しいですね。サッカーと休憩以外の時間はナシって感じか。
中西:朝でも練習していたらしいですよ。要するに「練習時間とか、普通になったね」ってこの間中山さんが言ってました。今までは抑えつけられていた。
武田:俊輔選手は、「ジーコ監督は何も言わない」って言ってたよ。
中西:服部さんも言ってましたよ。
武田:秋田選手にインタビューした時に、秋田選手はジーコ監督と一緒のチームでやってたじゃないですか。ジーコ監督は今のメンバーに自由にやらせておいて、選手たち自身にコンビネーションを感じ取ってもらうんじゃないかって言ってたね。
中西:トルシエ監督は、まず始めに戦術があって、その戦術に合う選手を呼んできたと思うんですよね。逆にジーコ監督は、選手の良さを見極めて、その個性を出すようなシステムや戦術にしようと思っているような。
村上:さすが元・名選手ですよね。代表チームとしては、あまり練習をしないそうじゃないですか。それで約束事もない。すごい自信ですよね、ジーコ監督が。
中西:もっと用意周到にやると思ったのにね。
村上:すごく信頼してるってことでしょ。自分の目と、自分が選んだ選手を。そうなったら選手はやる気になりますよね。
中西:選手に責任感を背負わせる。
武田:読売クラブもそうだった。だから食事の時間は決まっていなくて、勝手に食べて、服装も自由。試合や練習が終わった後は、各自で勝手に帰っていい。新幹線の切符も自分で取る。とにかく自由だけど、グラウンドでは勝たなきゃいけない。
村上:まばゆいほどに強かったですからね。
武田:ブラジルの監督って似てません? 
中西:選手の自主性に任せるところが。
村上:俺が中学の時のユニフォームは、読売クラブの真似をして、黄緑にしましたからね。本当は濃い目の緑が良かったんですけど、当時ダメでね。ちょっと明るい色しかなかった。胸の文字の入れ方もそっくりにしたんですよ。
中西:「読売」って?
村上:レタリングというか、文字の形を真似た。「読売」って入れたら変じゃないですか、区立中学のチームですよ。
中西:それはないね。
村上:影響を受けまくりましたよ、読売スタイルに。バケツサンバとか繰り返していましたからね、大田区サッカー大会で。ゴールが決まると鳴り響くんですよ、バケツの音が、スコンスコンって。すごい中学でしたよ。その伝統は残らなかったんですけどね。
客:気の早い話なんですけど。ジーコジャパンになって、4年後のワールドカップ・ドイツ大会で日本はベスト16以上にいけるでしょうか。
村上:次の大会では日本は開催国ではないじゃないですか。だから同じベスト16でも、価値は倍ぐらいですよね。決勝トーナメントに進出はできると思いますし、ファンがそれで十分って言うのは変ですけど、それぐらい違うことだと思うんですよ。ドイツでやるのと、日本・韓国でやるのとは。それぐらいのレベルになると信じたいですけどね。
中西:でも予選ですよね、武田さん。予選が大変でしょ?
武田:中国も韓国も強いですからね。
中西:イランやサウジアラビアもいる。どのチームも、日本や韓国を目指してくるわけじゃないですか。ワールドカップであれだけの成績を出したんですから。
村上:予選がやっぱり一番泣けません?
中西:観ていて楽しいというか、一番感動しますよね。
武田:でもねえ……。
村上:やってる方は大変でしたよね。
武田:今の日本は勝って当たり前という風潮になってるじゃない。勝って当たり前という空気の中で勝つのは大変。昔はバングラデッシュに勝ったぐらいで「良かった、良かった」って満足していたけどさ。ワールドカップに出て当然とか、アジア大会なら決勝までいかなきゃいけないというプレッシャーは相当なものだよね。
村上:以前はタイに負けたりしてましたもんね。今じゃ、そんなの考えられない。
武田:だからトルシエ監督でベスト16まで進んで、次の監督に代わる時に、あれ以上の結果を出すのが大変だから、監督になりたくないってみんな言ったの。ベスト16には入ってほしいけど、選手も大変だと思うよ。
中西:まずは予選ですよね。これがまずは、しびれる戦いになりそうですから。
村上:予選を観て、日本中の人がもっとサッカーを好きになるんじゃないですか。今回はワールドカップ本大会に出たけど、予選がなくていきなり出たわけだから。予選ですよね。'93年のドーハもそうだったし、'97年のジョホールバルもそうだったし。
武田:でもね、日本では盛り上がってるけど、UAE とかで試合していると、日本の情報が入って来ない。日本がどれだけ盛り上がってるのがわからないわけよ。
中西:メチャクチャ盛り上がってますよ。
武田:“ドーハの悲劇”の時も、1カ月ドーハにいると全く日本の状況がわからなくて、日本から新聞が送られてきて「ああ、新聞に出てるな」って。日本に戻った途端に、「うわぁ、すげえな」って。やってる選手はあまりわかってないんだよね。
村上:日本に帰ってきてら、ドラマが出来上がってた感じでしたよね、ドーハは。
中西:選手たちはわりと冷静だったんですね。
村上:でも中央アジアとかで予選を戦っていても、なかなかイメージしづらいじゃないですか。加茂(周、元日本代表監督)さんは監督を辞めた後、カザフスタンからどうやって帰ってきたんだろうとか。直行便じゃないですよね?
武田:選手も命がけだよね。例えばアジアカップの遠征で、バングラデッシュとか、中国の遼寧省まで試合に行くじゃないですか。飛行機で行って、そこからボロボロの国内線に乗り換えるわけですよ。「これ、落ちるんじゃねえのかな」って心配になるぐらいの飛行機に。行きたくない選手はいっぱいいますよ。
中西:僕がサウジアラビアに行った時は、帰りたくなった、本当に。前に香港に行った時は、尖閣諸島問題があった時で、対日感情が良くなかったんですよ。ホテルから出してもらえなくて、ワンフロア貸切りで。警官が銃を持って立ってるし、散歩にも行けない。で、試合が始まるじゃないですか。物は投げられるし、僕はサイドにいたんですけど、サイドだと直接物が当たるし。
村上:スタンドと近いですよね。
中西:サウジアラビアのチームとやって負けたんですけど。あれ、負けたから帰れたんですけど、もし勝ってたら帰れなかった。本当ですよ。会場に7万人ぐらいいるんです。みんな真っ白い洋服を着て。スタンド全体が真っ白ですよ、サウジアラビアだから。もう、名古屋グランパスの選手は何もできないの。負けたのにですよ。スタジアムから2時間も動けなかったんですから。
武田:ワールドカップ予選って、試合もそうだけど、行くのも大変だよね。
村上:スポーツで海外に行く人を尊敬するのは、元々は1個のボールを蹴って、ゴールに入れたり、ドリブルで楽しく抜きたいぐらいの気持ちから始まっても、海外遠征となるとピッチの90分間以外の戦いがすごいじゃないですか。ホームとかアウェイという言葉も、やっと日本にも根付いてきて定着したけど。音楽の世界で味わうアウェイ感覚もありますよ、ジャンルの全く違うイベントに飛び込んでいって、「どーも! ゴスペラーズでーす!」、会場「……」みたいな。
中西:無反応。
村上:俺らもそういうのをひとつひとつ乗り越えたというのはあるけど、それがサッカーだと2週間に1回ぐらいアウェイに乗り込む機会があるわけじゃないですか。日本国内でやっていても、相手サポーターにいろいろ非難されるわけじゃないですか。武田さんみたいに幾つかのチームでプレイしていると、前のチームのファンの複雑な感情とか。移籍に関しては、そういうの絶対ありますよね。
中西:いやぁ。
村上:そういうのを見てるだけでもすごいなって。それが最後にゴールというわかりやすい形に集約されるところに、ジェラシーを感じますよ。音楽というのはゴールがないから、楽なんですけど、つらいですよ、やっぱり。どこがゴールなのかわからない。
中西:僕、サウジアラビアで7万人の前でゴールを決めちゃったんですよ、たまたま。
村上:じゃあ、1番やられた?
中西:1点取られて、後半に僕が1点入れて追いついたんですけど、ゴールが決まった瞬間に自分で引きましたね。「ヤベッ」って。静かなんですもん。
村上:ゴールを決めた後、バーッと走ってすぐ減速、みたいな。喜んでるのは選手とベンチだけみたいな。
中西:ものすごく静かでしたもん。7万人いるとは思えないくらい。びっくりしました。
そうなった瞬間に、快感ではあるけど怖いなと。
武田:乱闘は怖いね。インドネシアで試合をしたことがあって、日本の選手が相手選手を削ったの。そしたらお客さんがスタジアムにワーッとなだれ込んでくるわけ。一体何が起こったのかわからなくて。インドネシアのキーパーが後ろから走ってきて、頭を殴られた。それで試合が中断して。その後、試合はなんとか続けたけど。
中西:命がけですよ。では、最後にひと言いただいて、締めようかと思います。まずは武田さん。
武田:俺はキリンのトークバトルは2回目なんですけど、自分の言いたいことをしゃべっていて、気が付くともう時間が終わっていて。楽しいんですよね。
中西:いやぁ、うれしいです。
武田:本当に楽しくやらせてもらって。今日はお忙しい中、ありがとうございました。
村上:今日はすごく緊張してて。
中西:ええっ?
村上:いや、サッカーの話題はやっぱり緊張しますよ。でも、しゃべり出すとついつい。サッカーじゃないサッカーまで行っちゃうんで。今日は楽しい時間を過ごさせてもらって、ありがとうございました。
中西:サッカー以外の業界の人がサッカーの話をしてくれると盛り上がりますから、これからもどんどんお呼びしたいと思います。皆さん、今日はありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

構成・文:CREW
撮影:源賀津巳