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後編


福田:いつかは代表監督になりたいんでしょ、ふたりとも。質問は「いずれは、日本代表の監督になりたい?」なんだから「yes 」なんだよ!
高木:はい。そうですね。
中西:先輩からちょっと言ってくださいよ。
福田:みんな「yes 」です。やっぱり目標とするのはそこじゃないですかね。そりゃ、最初からなれっこないですし、オファーも来ないから心配しなくても大丈夫だよ。
会場:笑い
福田:ステップアップするにあたって目標には置いておかないとまずいんじゃないの、指導者になるなら。このくらいでいいっていうのはまずいと思うよ。選手だって代表を目指してやってくんだからさあ。って説教してどうすんだよ!
中西:アハハハ。
武田:でも、初めて登場したわりには仕切ってますね、福田さん。
中西:次から僕の席に座ってください。福田さんは代表監督をやってみたいって気持ちはありますか。
福田:責任もあるし大変だと思うんですけど、だからこそやりたいっていう気持ちは強いですよ。だって、それだけ責任を負える仕事ってないでしょ。自分からやりたいって言ってもやらせてもらえないんですよ。光栄なことじゃないですか。
中西:そうですよ。
福田:自分が認められるってことだから。それは当然そうなるように努力したいし、それを目指してやるっていうのは当然のことだと思います。
中西:まずはJ リーグのチームの監督をやりたいって感じですか。
福田:そうですね。サッカーの場合はライセンスがありますから。まずはこどもから徐々に上がっていって、最終的にはJ リーグの監督をやりたいと思ってますよ。
中西:J リーグだと、やっぱり浦和レッズですか。
福田:いや、そんなことはないです。浦和レッズに限ったことではないです。もちろんやれればやりたいですけど、いきなりJ リーグのクラブを任されるのは無理だと思うんですよ。やっぱりJFL とかJ2でキャリアを積んで、それを認められて浦和レッズでやるならいいけど。OBだからやるっていうのは話が違うかなって意味です。やりたくないわけじゃなくて、自信を持ってやっていきたいということです。
武田:いきなり浦和レッズの監督をやってくれっていうオファーが来たらどうします。
福田:それはタイミングなんだよ。自分ができると思えるタイミングのときにオファーが来れば。なんでも縁なんだよ! こういう会だって縁なんだから、大切にしなきゃ。
武田:前向きだね、福田さん。
中西:代表監督の前にJ リーグの監督があるけど、その前にJ2があるし。反町(康治、アルビレックス新潟監督)さんや柱谷(幸一、モンテディオ山形監督)さんみたいにJ2で実績を積んでいくのも一つの手ですよね。
福田:こういう形じゃなきゃいけないっていうのはないと思うんですよ。柔軟にいろいろと考えた方がいい。そういう意味で浦和レッズ以外でも、ということなんです。
中西:お三方ともJ リーグの監督をまずやって、最終的には代表監督にステップアップしたいということですよね。
武田:対決したいね。
中西:この3 人が監督になって対決したらおもしろいですね。
高木:同じチームに入ったらどうしよう。
福田:俺が監督だよ。じゃあ、武田が副キャプテン?
武田:そうそう。
中西:もし監督になったら他の2 人を呼びますか。

福田:呼ばない。ダメだよ、全員フォワードだもん。ロクなチームにならないよ。バランスが悪い。
中西:やっぱりディフェンシブな選手も必要。
福田:必要。
中西:ということで、この3 人が同じチームになることはないと。さて、ここから最初のテーマの「日韓戦はここに注目!」に行きたいんですけど、第7 問の「韓国戦で涙を流したことがある?」。これは全員「no」ですよね。
福田:はい「no」です。おい、お前ら参加しろよ。
会場:笑い
中西:福田さんがいるとすごく助かります。僕にとっては先輩なんで言えませんから。
福田:逆サイド(武田、高木)参加してないもん。ボーッとしてちゃダメだよ。
武田:テーマをよく読んで考えてんの。
福田:テーマ振ってるじゃん。
中西:韓国戦、4 月16日ですよ。やっぱり泣いたことはないですか。
大竹:ありません。
中西:ありがとう。福田さんは。
福田:僕もないです。どういうことですか、泣くって。負けて泣くってことですか。
中西:勝ってうれし泣きをするとか。
福田:それは普通の試合でもないよな。
武田:ないですね。
福田:まあ、J2に落ちたときは泣いたけどね。
中西:僕も入替え戦でミスしたときは死ぬほど泣きました。
会場:笑い
福田:普通ないでしょ。
中西:今までの韓国戦ではよっぽどの事はなかったんですか。
福田:高木はちょっと違うかもしれないけど、俺らの世代は横山(謙三)さんが日本代表監督のときで。武田はもっと古いよね。
武田:19歳の頃は石井(義信)さん。
福田:その頃の韓国と日本って差があったんだよね。オフトに代わってから徐々に勝てるようになってきたんだよな。だから負けてもさっぱりしてたもんだよ。
中西:大体負けてましたよね。
福田:大体。勝つことは稀。
中西:水沼(貴史、サッカー解説者)さんが点を取って、2 対1 ぐらいで勝ったことがありましたけど。
福田:それはわからないけど。本当に稀だったよね。
武田:韓国には大体勝てなくて、勝ててもPKとか僅差で。
中西:さっき話に出たダイナスティは2 対2 でPKでしたよね。
福田:そうです。まず予選で0 対0 。結局決勝で2 対2 になって勝つんですけど。あの辺くらいからだよね、勝てるようになったのは。
中西:あれは何年ですか。
福田:'92 年。
中西:じゃあ、10年くらい前は勝ててなかったということですよね。高木さんもやっているときは厳しいなって感じでしたか。
高木:韓国とは学生のときに定期戦とかよくやっていて、僕も入ってたんですけどやっぱり勝てなかったですよ。
中西:何が違うんですか。
高木:目の色が違いますよね。韓国の人の、日本には負けたくないというすごい闘争心がプレイに出てくるんです。
中西:気持ちが表に出る。
高木:ええ。もちろん、技術的にもかなわなかった部分はいっぱいあるんですけど。
中西:今はほぼ対等というか。一旦は日本が上に行ったかと思われましたけど。
福田:ワールドカップ前はそう言われてましたけど、ワールドカップの成績から言うと、まあ、同じくらいかな。
中西:ワールドカップでは韓国がちょっと上に行ったじゃないですか。そういう事も含めて、今回の日韓戦はすごく魅力的なカードだと思うんです。
福田:そうですね。日本人は相当注目してるし、期待してると思いますよ。アウェイだけど日本の方が強いってことを証明してもらいたいと強く願っていると思います。
中西:武田さんは韓国とやるときに一番気を付けるのはどういうところですか。
武田:気を付けるところはないですけど。前園(真聖、安養)が今韓国に行っていて、この間取材をしに行ったんですけど。前園いわく技術は日本の方があるんだって。だけど日本とやるときだけ違うんだって。
中西:本当にそうですよね。
武田:普段練習や試合をしてても、なんでこんな人たちが日本に勝つんだろうって。でも日本とやるときは違う。あと、ワールドカップでは開催国だったから日本と一緒でサポーターの声援があった。日本と違うところは、ワールドカップで決勝トーナメントに進出したら韓国は徴兵をなくすって言ったんですよ。そういうのがすごく大きかった。
中西:僕もワールドカップの前年K リーグの実況をやってたんですけど、J リーグのレベルと明らかに違いますよね。ボールをコントロールするテクニックとか試合のクオリティに関しては。それが代表に入ったらなんでこんなにに違うんだろうって。韓国はベストかどうかわからないですけど、恐らく日本はベストメンバーじゃないですよね。
福田:海外組がどうなるかってことですよね。
中西:来ないと思うんですよ。逆にJ リーグの選手はいいモチベーションでやれるんじゃないですか。
高木:海外組がいない分頑張ればっていうのがありますし。ワールドカップ前にフース・ヒディンクが監督に就任して、韓国のサッカー文化を変えた部分がすごくあったと思います。練習内容にしても戦術にしても、サッカーに対する考え方にしても。僕はある意味、パイオニアだと思うんです。ただ、韓国の国内リーグの方は代表と同じようなスタイルでやってるかというと、まだ追いついていない部分があるんですよ。
中西:そこがやっぱり違いますよね。
高木:韓国のサッカーが代表と同じようなスタイルでやっていけるようになれば、韓国というチームは伸びしろはいっぱいあるし、日本にとっては怖い存在になるチームですね。日本は監督も代わって、選手も代わってという部分があるので、今できることをしっかり韓国にぶつけてほしいなと思います。
中西:大竹さんは今回の韓国戦で、特に注目する選手はいますか。
大竹:注目する選手はみんななんですけど、韓国人と日本人のサッカー選手は筋肉が違うんですよね。
中西:おお。
大竹:柳想鉄(蔚山現代)選手がわかりやすいと思うんですけど、例えば彼が肉離れを起こしたとき、日本人に比べると治りが早いんですって。やっぱり元々持っている筋力が違う。ワールドカップのときに皆さんもご覧になったからわかると思うんですけど、日本人で1 回ダメだったところを、韓国人は2 回3 回頑張れるじゃないですか。
中西:無理がきくってことですね。
大竹:もちろん日本代表もそうなんですけど、執着するという意味では、韓国代表の方が上回っていると思ったんですよ。気持ち的にもそうなんですけど、筋肉の質が高い。私は体のききがいいっていうのを、ワールドカップですごく感じたんですよね。
中西:福田さんは、実際に試合をしてそういうのは感じますか。
福田:これはタケも言ってたけど、技術は日本の方が高い。日本人には日本人のいいところと弱いところがあって、韓国人にもあるわけです。だからそれぞれのスタイルで戦えばいいと思うんです。韓国はフィジカル的なこころが非常に強い。ただ、日本人の方が技術は高いかもしれない。話が戻りますけど、横山さんからオフトに代わったときっていうのは、結局そういうことなんですよ。オフト以前の日本代表は、韓国はフィジカル的に強くて彼らはこんな練習をしている。だからお前らはもっと練習しろっていうやり方だったんです。日本人のいいところを出すんじゃなくて、韓国が一番得意としているところで戦おうとしていた。それでは絶対に勝てるわけがないですよ。オフトになってからは、日本人は理解力が高いし技術がしっかりしている。じゃあ、そういうところで勝負すればいいんだと。それで無理がなくなって対等に戦えるようになってきたわけですよ。結局はそうした特徴が国のスタイルになるわけですから。
中西:そうですね。
福田:日本人は技術の高さには自信を持っていいと思うんですよ。ただ、世界と戦うにあたって、体の大きさとか筋肉とかフィジカル的なことは克服していかないといけないですけど、それは徐々にしていけばいいと思うんですよ。高い技術というのを前面に押し出したサッカーをしていけばいい。当然、韓国はフィジカルで勝負すればいいと思うし。
大竹:もちろんそうだと思うんですけど、私は体のききが一番重要だと思うんです。代表に選ばれるということは、当然技術があるわけですし。最近は変わってきてますけど、日本人って背が小さいし。「日本のサッカーを」と言いますけど、1 対1 で走ったときには速い方が有利ですし、センタリングでも高い方が有利ですよね。そういった意味で体はどうしても変えようがないので、私は現役時代も、どうしたら外国人に対して勝てるんだろうっていうのを追求してたんです。結局は答えが出てないんですけど。
中西:ああ。
大竹:韓国と日本に力の差はないと思うんですが、肉体は変えられないですよね。
福田:できないからこそ、いいところを伸ばすしかないんですよ。今の話だと韓国には絶対に勝てないってことになっちゃうから。今言われた肉体的な部分は、もちろん世界と戦っていく上では必要だから徐々に補っていく。ただ、その弱いところにばかり目が行くと、日本人がせっかく持っている良さを出せなくなるからね。いいところは絶対に残して、徐々に弱いところを補っていくやり方をとらないと。体質を変えるのは無理だし。
大竹:はい。
福田:日本人はもっと自信を持っていいと思う。タケもさっき言ってたけど、技術は高いんだから。もし彼らが走って勝負するのであれば、日本人はボールを動かせばいいわけですよ。ボールを速く動かすってことを考えればいいことだから。そうやって日本のサッカースタイルが決まってくるし、韓国のサッカーのスタイルも決まってくる。で、徐々に弱い部分を補っていくという努力は、世界と戦っていく上では必要だと僕は思ってます。
大竹:ごめんなさい。私言葉が足りなくて誤解されちゃって。
中西:大丈夫、バトルですから。韓国と日本って顔は似てますけど、フィジカルとテクニックという立場では対比的な構図が浮かび上がってくるわけですよね。今日本代表がしていかなければいけないことは、福田さんが今おっしゃったことで。それを全部理解した上で、今回の韓国戦はJ リーグの選手が中心になってプレイする。当然海外の選手は日々厳しい状況、自分が今までやったことのない状況でプレイしてるんで、少しずつレベルが上がる。J リーグの選手は、代表に選ばれたところで、何をすればいんですかね。試合の中でどういう部分をアピールすればいいんでしょうか。
福田:自分の力を証明することは大切でしょうね。自分の持っている力を出すってことでしょう。それしかないと思います。
中西:海外の選手は日々レベルアップしていくわけですが、J リーグの選手は彼らとレギュラー争いをしなければいけない。そういう選手たちはどうしたらいいんですか。日々のJ リーグもそうですけど、韓国戦についても。
福田:持ってる力しか出せないから、それを出すことだけを考えた方がいいと思います。その試合で特別なことをしたからといって海外組との差が埋まるものでもないし、与えられたチャンスですから、それをものにするには自分の力を100 パーセント出し切るってことですよね。出し切れないというのが選手にとって一番の不満ですから。
中西:福田さんが今回J リーグの中で選んで欲しい、見てみたい選手は誰ですか。
福田:黒部(光昭、京都パープルサンガ)をもう少し長い時間見てみたい気がするんですよ。フィジカル的な強さを持ってますし、ゴールを取るという感覚がすごくありますから。この間のウルグアイ戦みたいに15分しか出られなくて、しかも試合がああいう形になっちゃうと、ゴール前が固められちゃいますから。思うようにプレイできなかったと思います。もう少しいい状況で、長い時間プレイを見てみたいっていうのはありますね。
中西:相手は誰がいいですか。前回、スタメンのフォワード二人(鈴木隆行/ゲンク、高原直泰/ハンブルガーSV) は海外組でしたけど。
福田:難しいですね。フォワードがいないですもんね。
中西:じゃあ、いきますか。
福田:高木とか。
中西:アハハハ。武田さんは誰か見たい人はいますか。
武田:ウルグアイ戦での黒部の気持ち、わかるんですよ。初めて代表に選ばれて、ベンチに入っている人がいっぱいいるなかでピッチに出されて。彼自身いい刺激をもらったし、こういうのが日の丸なんだっていう雰囲気を覚えたんで、次の韓国戦で使えば彼はもっと伸びると思うんです。
中西:伸びる素材だと。
武田:あとはメンバーに選ばれてもヨーロッパ組が来ると出られない選手がいっぱいいるわけですよ。「なんだよ、海外に行けばいいのかよ」って気持ちの人もいるんで、そういう人たちにとってはチャンスだと思うから、代わりに出て活躍してほしいと思います。
中西:特に誰かいますか。中盤の選手は全員代わるじゃないですか。
武田:中盤、誰かなぁ。
中西:知らないんですか。
武田:知ってる知ってる。個人的には福西(崇史、ジュビロ磐田)が好きなんですよ。ジュビロ磐田のときにずっと一緒にプレイしてましたし、結構器用な奴でね。
中西:高木さんはどうですか。韓国戦で見てみたい選手。
高木:藤田俊哉(ジュビロ磐田)とかね。あと、フォワードで言ったら久保(竜彦、横浜F ・マリノス)。まだ1 回もジーコ・ジャパンになってからは呼ばれてないですけど。
中西:そうですよね。福田さん、若い選手はどうですか。
福田:U-22とか?
中西:試合やってるでしょ。
福田:知ってる知ってる。
中西:いきなりトップに上げるっていうのはどうなんですか。
福田:いやあ、そのレベルまで達している選手がいるかどうかってことでしょ。上げることは問題ないですけど。チャンスを与えることはいいことだと思いますけどね。
中西:なかなか名前が上がらなかったじゃないですか。例えば黒部の相棒は誰かとか。
福田:若い選手であれば、高木が言ったように久保とかは可能性があるのかなと。
中西:武田さんはどうですか。
武田:僕は大久保(嘉人、セレッソ大阪)。黒部とツートップで組ませて。
中西:1 回使って欲しいですよね。
武田:そう。好きにやって欲しいなと。
中西:大久保は可能性を秘めていると思います。馬力もあるし。
武田:あと、浦和レッズの坪井(慶介)とかね。サイドバック。
中西:サイドで使うんですか。
武田:はい。あと個人的には三浦淳宏(東京ヴェルディ1969)を。
大竹:私も同感で、三浦淳宏選手。
中西:僕は新井場(徹、ガンバ大阪)選手。左のサイドバックとして。
福田:それは日韓戦に使うってことですか。
中西:いえ、日韓戦に限らずチャンスを与えて欲しい。福田さんが言ったように日韓戦はちょっと意味があるじゃないですか。
福田:そうですね。
中西:今回は結果にこだわらないといけないゲームになりますよね。
福田:そうですね。ジーコになってからまだ勝ってないですから。
中西:それもあるし、韓国はワールドカップでベスト4 、かたや日本はベスト16。
福田:いろいろな要素が詰まった試合ですからね。
中西:今選ばれている選手をベースにして戦うんじゃないかという読みでいいですか。
福田:今までの流れから行くと、ジーコはそういうふうに来てますから、間違いなくウルグアイ戦のときのメンバーが中心になると思います。それ以外では、中山や柳沢(敦、鹿島アントラーズ)のケガがどうなるかわからないから、あとはフォワードってことになりますよね。中盤は、三都主(アレサンドロ、清水エスパルス)、中田(浩二、鹿島アントラーズ)、福西、小笠原(満男、鹿島アントラーズ)がいれば大丈夫ですから。
中西:前はやっぱり黒部選手。
福田:ケガから復帰すればやっぱり中山を使うと思うんですよ。そういう気持ちを持っている選手ですし、ジーコが好きなタイプですから。何かやってくれそうですしね。
中西:韓国と戦うときは、そういう気持ちが前に出そうですもんね。
福田:そうですね。
中西:中山選手と黒部選手の組み合わせも十分……
福田:ありじゃないですか。ただ、あまり組み合わせがないですよね。いないから。
中西:やっぱり、J リーガーの中でストライカーは物足りないものがあるんですか。
福田:不足してるよね。去年の得点王争いだって、高原がいて、あとはずっと。
中西:外国人でしたね。
福田:漢字じゃないのがたくさん並んでた。下の方に黒部ってあったけど。やっぱりJ リーガーのなかにセンターフォワードがいないんだよね。外国人がほとんど占めてるし、センターバックもそうかもしれない。その辺はやっぱり人材難でしょ。それは今に始まったことじゃない。ストライカーってことに関しては、日本がずっと抱えている問題。
中西:でも、福田さんはJ リーグで得点王を取ってるじゃないですか。
福田:取りましたけど、世界と戦うストライカーじゃないですよ。日本代表は世界と戦うためのチームですから。ちょっと意味合いが違うと思います。
中西:J リーグで点を取ることと世界で点を取ることは違うんですか。
福田:そう思います。フォワードの場合、国際試合になるとフィジカルコンタクトが非常にあるけど、負けちゃいけないし。中田のいいところはそういう強さでしょ。J リーグだとそういう強さがなくても点を取れることがありますけど。そういう意味で高原は非常に強いですし、鈴木や黒部も強いですよね。そうじゃないと国際試合では戦えない。
中西:少しですけど、違うんですね。
福田:そうですね。
大竹:高原選手はJ リーグでダントツだったじゃないですか。でも今、多少結果は出せてますけど、ドイツではJ リーグのようには取れないじゃないですか。
中西:出せないですね。
大竹:それが世界との差というか。
中西:高木さんは体が大きいですけど、国際試合になったらやっぱり違いますか。
高木:やっぱり強いですよ、海外の選手は。
福田:高木は負けてなかった。
武田:本当に大きいもんな。
高木:海外の場合、あたりは確かに強いですよ。福田さんがおっしゃるように、日本だとそんなにコンタクトは強くないけど、国際試合になると強くなる。それプラス全体的に組織的な守備をやっているところが多いじゃないですか。そのなかで、日本のストライカーというのもうまくはなっていますよね。だけどストライカーのなかで、例えば高原は何が一番うまいのか、黒部だったら世界で何が通用するのか、柳沢だったら何なのか。突出したプレイはちょっと少ないですよね。全体のベースは高くなきゃいけないけど、やっぱりずば抜けたものが1 つないと、これからのサッカーは厳しくなっていくと思いますよ。
福田:今トップでやっている選手をどうにか変えるっていうのは無理なんだよね、もう自分のスタイルが出来上がってますから。やっぱりそれは日本サッカー界が抱える問題だと思いますよ。不器用だけどこれは負けないっていうものが必要なわけでしょ。だけど日本は器用な奴にうまいっていう評価をするから、不器用な選手が育ちづらい。そういう環境もあるし、コーチもそういう選手をいい選手だと思って育てていくから。
中西:平均点の高い選手。
福田:そうそう。だから全てできるけど、これっていうのがない選手が育ってくるのは、そういう土壌が。
中西:コーチの土壌。
福田:コーチもあるし、日本人がそういう選手を好んでる。中盤でうまい選手が多く出てくるっていうのは、日本がそれを望んでいるからなんじゃないかな。
中西:突然変異はどうしたら現れるんですか。
福田:教育を変えるしかないかな、指導者の考え方を。日本のサッカー界全体がスペシャリストを養成する環境作りをしないと、ストライカーは育たたないと思いますよ。まあストライカーもそうですけど、ラストパスと呼ばれるクロスのボールがあるよね。ベッカム(デビット、マンチェスター・ユナイテッド、イングランド代表)はスペシャリストでしょ。ああいう選手はなかなか育ちづらい環境にあると思うんで、そういう選手を育てられるような環境作りと、指導者がそういう選手を育てられる目を養っていかないとなかなか問題は解決していかないと思いますよ。
中西:武田さんはどうですか。それがストライカーがいない原因ですかね。
武田:そう思いますね。ちょっと話が戻りますけど、国際試合をやっていつも何が足りないかなって思うと、走る体力と筋力、高木選手みたいな体。国際試合にはまずその2 つが必要だとすごい感じたんです。福田さんが言ったように、日本はあれはダメこれはダメって言うじゃないですか。いいところを消してしまって、平均点の高い選手を育てる。南米だと、サッカーがうまい奴のなかにはエメルソン(浦和レッズ)みたいに、勝手に行っちゃう奴もいるじゃないですか。でも、それってなんかストライカーぽいじゃないですか。でも、日本だとそういうことをやるとダメってことになっちゃうんで。個性を大切にしたらいいんじゃないかなって。僕が読売クラブに入ったときに、戸塚哲也さんとか大友(慧)さんとか昔の選手がいて、ラモス(瑠偉)もカズさんも。じゃあ、この選手のなかで何が勝てるかなって思ったら、俺は足が速いからスピードだと思って。とにかく技術どうこうより、スピードの練習ばかりした。自分のいいところを考えて、いいところで勝負するのが大事かな。そういう個性を伸ばす指導をしていきたいと思いますよ。
中西:これからそうなりますよね。ただ、フィジカル面で高木さんのような体という話が出ましたが、逆に言うと、サビオラ(ハビエル、バルセロナ、アルゼンチン代表)やラウル(ゴンサレス、レアル・マドリード、スペイン代表)は、体が大きくも強くもないわけだけど、世界のトップレベルでプレイしているじゃないですか。そういうのって日本の新しいストライカーの目指す形かもしれないですね。
高木:確かにそうですね。ただ日本人の場合、大きなストライカーは育ちにくい。小さくてスピードのある選手はたくさん生まれるんですよ、自然と。ただ、意識しなきゃいけないのは、福田さんがおっしゃったように、指導者が意識を変えなければ、大きな体のストライカーというのは難しい。でもまあ、いろいろな選手がいて、そのコンビでね。
中西:そうですね。
高木:僕も福田さんとやったけれども、僕はポストで構えて、福田さんが動いてくれてフォローしてくれる。組み合わせっていうのがあるので。
武田:南米、パラグアイに行ってたんですけど、そのときアイマール(パブロ、バレンシア、アルゼンチン代表)とかサビオラがリバープレートにいてね。
中西:背が小さい方が多かったですよね。
武田:あっちで練習をすると削り合いなんだよね。ちっちゃい子供でもボールをもらいに来るときは後ろから蹴りにくる。足元にピタッとボールをトラップすると、後ろから蹴られるんだよ。後ろから来られてケガしちゃうからパスを出さなきゃ、ってことを自然と頭の中で考えてる。体が小さくても頭の回転がどんどん速くなるわけですよ。アイマールとかサビオラとか、ちっちゃくても後ろから足を蹴られたり、後ろから来るなっていう感覚でサッカーをやってるから、自然と次はどんなプレイをしようという頭が働いている。南米のいい選手はああいう土壌で生まれるのかな。
中西:それは感覚的な部分ですよね。生活土壌というか。
福田:そうですね、全ては環境ですよね。いろいろな環境からそういうのが出てくる。日本がもしそういうストライカーを望むのであれば、環境を大きく変えなきゃいけない、見方を変えなきゃいけない、指導者の見方を変えなきゃいけないということでしょうね。
中西:指導者も当然変わってるだろうし。逆にJ リーグの最初のころは、下部組織を作る段階でミッドフィルダーのような選手が欲しかったわけじゃないですか。で、10年経って、これからはストライカーを作っていく時代だと切替えればいいんでしょうね。
福田:そうでしょうね。ただ、試合を見に来ているお客さんも切り離せないと思いますよ。お客さんがそういうものを好まなければ出てこないから。
中西:そうですね。
福田:日本人が何を望んでいるかってことが、国のスタイルにも反映されますから。さっきエメルソンの話が出たけど、あんな選手は日本じゃ絶対に生まれてきません。だってあんな言うことを聞かないわがままな選手は、小学校のときにもう来ないでいいって言われちゃうんだから。そうでしょ?
中西:そうですね。
福田:ということは、ああいう選手は出てこないんですよ。そこまでサッカー続けてないいんだから。違う方向に行っちゃって。そういうのは、国が持っている特質ですよね。
中西:今日のゲストの方はJ リーグでたくさん点を取ってらっしゃいますし、国際試合も経験されている方ですから、皆さんがこれからそういう選手を作っていけば代表にも供給されていく。期待したいですよね。大竹さん、女子もそういう選手が欲しいすよね。
大竹:男子の方を見ていて思うんですけど、あの選手がここの角度に行ったら絶対決めるといった形を、それぞれが持たないと。なんとなく可能性を感じるのが、稲本(潤一、フルハム)がミドルシュートを決めてますけど、見ていて稲本君の形だって思うんです。例えばロナウド(レアル・マドリード、ブラジル代表)選手もペナルティエリア内に入ったときに、最初のトラップで相手を抜きされる体とスピードを持ってるし、それが形だってことになってくると思うんです。でも日本人の高原選手や鈴木選手を見てますと、どれが形かっていうのを出せてない。持ってるとは思うんですけど。J リーグで出せても世界を相手にしたときに、自分の形を出せてないのが残念だと思います。
中西:武田さん、エジムンド(元浦和レッズ、元ブラジル代表)とヴェルディで去年一緒にやってましたけど。
武田:帰っちゃったじゃない。
中西:まあ帰っちゃいましたけど、必ず右サイド45度でボールを持ったら右に行くってわかってても、右に抜いてシュートするじゃないですか。
武田:そうなんだよね。エジムンドはわかってても取れないもん。
中西:わかってても右に抜けられて、わかっててもシュートを決められる。
武田:浦和レッズには必要だったと思うね。
福田:俺に言われてもね。帰っちゃったからしょうがないですけど。だから、形を持つっていうのは大切なんじゃないですかね。自分の長所を伸ばすってことだから。それが個性になってくるから。
武田:福田さんが代表のときに、ボールを持てば必ず2 、3 人抜いてシュートを決めるという形になってたもんね。高木選手がポストをすると。
中西:確かに高木さんがポストになって。
武田:福田さんが右から抜いて。
武田:そういう形は大事ですね。
中西:話は盛り上がっていますが、ここで質問コーナーにいきたいと思います。
客:日本代表はマスコミが取り上げてくれると思うんですけど、J リーグに関する報道は比較的少ないと思うんですが、選手から見てどうですか。
中西:福田さんどうですか。
福田:その通り。やっぱり興味がないってことなんでしょうね、代表と比べると。
中西:どうすればいいですか。
福田:やっぱりレベルを上げるってことでしょうね。試合内容のレベル。例えばジュビロ磐田なんてすごくいいサッカーをしてますから。今はジュビロぐらいしかないですけど、J1のチームが半分くらいああいうサッカーができれば、レベルが上がりますから。
中西:浦和レッズには熱狂的なファンがついていて、いつもお客さんが入るわけじゃないですか。浦和レッズや鹿島アントラーズを見習う部分というのはありますよね。
福田:なんでそうやって見に来てくれるのかがわからないからねぇ。
会場:笑い
武田:新聞のなかでも、野球の紙面、サッカーの紙面って決まってるじゃないですか。そうしたなかで、海外のサッカーと日本のサッカーをやったときに、どうしても海外に枠を取られちゃう。元々サッカーの枠って少ないんですよね。今はテレビの仕事をしてるじゃないですか、どうしても野球なんですよ。スポーツニュースって言ったら野球が中心でサッカーは少ない。日本にプロサッカーができて10年だけど、野球は本当に歴史があるので。ライバルとかじゃないけども、これから少しずつサッカーが認められて、サッカーの番組が増えたり新聞でも枠が増えたりするんじゃないかな。
高木:中継自体は増えてますから。J2も全試合やってますし、J1もたくさんやってます。
中西:よく言われるのが、スポーツニュースの枠のなかで、やっぱりJ リーグの選手の情報が少ないって。素材がないから報道が少なくなる。野球の方は選手のインタビューがたくさんあったりとか、試合に行ってるカメラが多かったりとか。映像がないとやれないわけですよ、基本的に。今はそんななかでも少しずつ増えていると思います。例えば僕もそうですし、高木さん、武田さんもテレビの方で仕事をしていますけど、J リーグのOBが少しずつ増えていきますから。福田さんも引退されて、これからそういう仕事をされるわけですから。枠を少しずつ増やしていこうって気持ちはみんなあるんですよ。例えば僕も毎週月曜日の「ニュース23」でサッカーのコーナーをやってますが、何がなんでも1 つはJ リーグのことをやらせて欲しいと。それは死守させてくれって言ってるんです。やっていけば興味も増してくると思うんで。もう少しお待ちください。頑張ります。
客:今までやってきたなかで、いやなディフェンダーとかゴールキーパーはいますか。
中西:大竹さんはどうですか。自分が見ててJ リーグのキーパーでいやだなとか。この人からマークされたくないなという選手は。
大竹:真ん中2 枚が背が高いのは。J リーグの試合になりますけど、FC東京対横浜F ・マリノスのナビスコカップで、FC東京の阿部選手(吉朗) がマリノスの松田(直樹) 選手と中澤(佑二)選手の2 枚に対して、大人と子供くらいの差があって何もできなかったんです。他の試合で阿部選手が活躍しているのを見ていて、やっぱりフォワードとして背の高い2 枚はやりにくと思いましたね。
中西:ディフェンダーでは。
大竹:背が高い人というか、ガッチリしている人はちょっと。
中西:あのふたりは特にね。福田さんはどうですか。
福田:誰っていうのはないんですよ、試合展開で大きく変わるから。フォワードの場合、プレイするエリアが全然変わってくる。向こうに押されていれば、ハーフウェイラインあたりでプレーしなくちゃいけなくて、ゴールまですごい遠いんですよね。そうするとなんか今日は全然仕事できないなって思うし。逆に押し込んでいればゴール前で仕事ができるから、どんなディフェンダーでもとは言わないけど、気持ち良くプレイできる。ディフェンダーだけじゃなくて、チームの相性もあると思いますね。それによって僕の受ける印象も変わってきます。僕は浦和レッズだから、どちらかとハーフウェイライン付近でプレイすることが多かったんで、どこのディフェンダーもいやだなって感じはしましたけど。
中西:ゴールが近くなればなるほど。
福田:思い切ってプレイできるし、ディフェンスはファウルできなくなってくるから。
中西:じゃあ基本的にはいないですか。武田さんはどうですか。
武田:僕は井原(正巳、元浦和レッズ)も汚いかなと思いましたけど。
中西:汚い?
武田:試合中に押したり引っ張ったり。引っ張られると俺も井原を引っ張り返すんだけどね。でも、秋田は引っ張り返してもびくともしない。コーナーキックでも、秋田はいやだね。ボールが来る前に押してきたりして、「なんだよ」って思っても勝てないんで。秋田選手が僕は一番いやですね。
中西:高木さんは。
高木:昔福田さんと話してたんですけど、相性が悪いチーム、なかなか勝てないチームですね。そう考えると、僕は横浜F・マリノスになかなか勝てなかったなと。僕自身もいい仕事ができなかったから、小村(徳男、ベガルタ仙台)とか井原はやりづらかった。
中西:高木さんは体が大きい選手と小さい選手だったら、やっぱり大きい選手の方がやりにくいですか。
高木:大きい選手の方がやりやすいですね。大体、どこにいるかわかるでしょ。小さい選手というのは、すり抜けて来られるときがあるんですよ。
中西:前に。
高木:はい。
福田:俺はそんなになに大きくないからわからないよ。でも高木は本当にすごいですからね、体が。格闘技に転向した方がいいくらい。
高木:その話はいいよ。
武田:格闘技に転向した方がいいよ、K-1 とか。
中西:福田さんは入れやすいキーパー、入れにくいキーパーはいますか。
福田:僕はPKを蹴ることが多かったんですけど、代表とかで一緒にやってた選手は蹴りづらいっていうのはあります。仲が良かったりするとなおさら蹴りにくい。
中西:例えば。
福田:えーと、いないですけど。
中西:いないんじゃないですか。キーパーで誰かいないですか。松永(成立、京都パープルサンガコーチ)さんとか。
福田:そうだね。小島(伸幸、ザスパ草津)さんとか。大丈夫だけど、蹴りづらい。
中西:どっちなんですか。
福田:心理的にいやなんです。成功するんだけど。結果と気持ちは違いますからね。
中西:武田さんはキーパーだと誰がいやですか。
武田:ヴェルディの菊地新吉(東京ヴェルディ1969ゴールキーパーコーチ)とはずっとやってて、俺がジュビロ磐田に行ったときはいやだったね。
中西:同い年ですしね。高木さんのいやなキーパーは?
高木:僕は能活(川口、ポーツマス)かな。能活って構えるんじゃなくて、前に出たりして動くキーパーだと思うんですよ。だからいやだったなあ。すごくボールに寄せてきたりとか。シュートを打つとき角度がなくなってしまうんです。そういうのがいやでした。
中西:大竹さんが入らなそうだなって思うキーパーは?
大竹:シジマール(元清水エスパルス)選手っていたじゃないですか。
中西:ああ。手が長い、足も長い。
大竹:狙いどころがなくないですか。
福田:すごい。よく知ってましたね。その通り。やりづらい。
武田:手を広げられるとね。
中西:やっぱり手が長い選手はいやですかね。大きく見えるとゴールが小さく見えて。
福田:そうでしょうね。大きいのは威圧感がありますから。
中西:さて、次の質問。
客:今までのサッカー人生で、これは忘れられないというパスを教えてください。
中西:大竹さん、ありますか。
大竹:現在、アメリカの女子プロリーグで活躍している澤穂希(アトランタ・ビート)選手。私は同じチームで代表でもコンビを組んでいたんですけど、やっぱり彼女とは「あうんの呼吸」がありますよね。ここに走れば出てくるっていうのがありましたね。
中西:見ててくれるっていうのがあるんですね。では、高木さん。
高木:あの、ハウストラっていうオランダ人がサンフレッチェ広島にいて。
中西:いました、いました。
高木:左利きの。浦和レッズのコーチをしているビム・ヤンセンが監督のときにいたんですけど、ドリブルで抜いたクロスもうまいんですけど、抜き切らずに半身で上げてくる。
中西:おお。
高木:クロスを待っている僕としては、あのボールは良かったな。どの、じゃなくて常にそういうボールが来るんです。
中西:いつも精度の高いボールが来るわけですね。そうすると受けやすいという。
高木:相手はタイミングが取りづらいんですよ。真ん中のディフェンスは絶対にまだだろうなっていうタイミングなんで。でもこっちは練習しているからよく分かってるし。
中西:「もう来る!」という。分かりすいですね。武田さんは。
武田:ハウストラって左サイドだよね。俺ね、ジュビロ磐田のとき右のサイドバックやってて苦労したもん、覚えてるよ。一番いやだったの、その人。自分の一番の思い出のゴールは、ジェフ市原戦。等々力競技場でラモスさんが3 人くらい抜いて。「武田! 武田こっちだ!」って言いながら抜いていくわけですよ。パスが来るなと思っていて、実際に来たんですけど、蹴る前にこれ決めなかったら怒られるなって思いながら、バーンと蹴ったんですよ。ゴールしたんですけど、それはラモスさんが3 人抜いて呼んでくれていて。
中西:3 人抜いてるとき、来るな来るなっていうのわかるんですか。
武田:あの人絶対にシュートは打たないから。どんなにシュートチャンスがあってもパスするから。抜いたあとに周りを見てくれるから、絶対に来るなって思いました。
中西:じゃあ、ラモスさんはやりやすかったんですか。
武田:だって僕のほとんどのアシストは、ラモスさんだと思いますよ。ラモスさんがボールを持ったとき、裏に走れば必ず出てくる。ここに来たらこう来る、こう動いたらこう来る。ラモスさんは全てわかりますから。もう十何年もやってましたから。
中西:大竹さんと澤さんみたいなもんですね。
武田:本当にそうです。で、簡単なシュートを決めないと怒るんですよ。その試合のあと。「てめえ、決めろよ!」って。それがいつもプレッシャーだったんで。
中西:アハハハ。福田さんは。
福田:タケとラモスさんと一緒で、得点王を取ったときは、ウーベ・バインとずっとやらせてもらってましたから。名古屋グランパスとの試合でもらったパスですね。
中西:僕、試合に出てましたか? 多分いないな。
福田:勝ったんだけどね。アウトサイドで止めて、そのままドリブルで行って左のインサイドに流し込んだんだけど、逆風にも関わらず正確に来たのですごいなって思いました。
中西:福田さんの気持ちがわかっていたんですね。どんなところが良かったんですか。
福田:判断の早いところ。あと、そこに通れば必ずシュートまで行けるってところを選択して、1 パーセントでも可能性があれば実行してくる選手なんです。だからいくらでもリスクを冒してくれて。
中西:99パーセントこっちに出した方が安全なのに、1 パーセントでも可能性があってシュートに行けるんであればそっちに出す。
福田:そういう選手ですね。だから1 試合のうち2 、3 回決定的な仕事をするんです。
中西:ありがとうございました。盛り上がってきましたが、時間となってしまいました。最後にもう一度皆さんにお立ちいただいて、締めていきたいと思います。一言ずついただきましょう。大竹さんどうでしたか、初めてで。
大竹:楽しかったんですけど、男だったら良かったと思いました。
中西:なんでですか。
大竹:もっと会話に入っていきたかった。
中西:次回また、タイミングをつかんで入ってきていただきたいと思います。
大竹:はい。今日はどうもありがとうございました。
中西:じゃあ、高木さんいきましょうか。
高木:今日はどうもありがとうございました。いつもは皆さんに飲まれる部分があってなかなかしゃべれなかったりするんですけど、今日は福田さんに飲まれました。
中西:武田さん、今日は楽でしたね。
武田:そうですね。今日は楽でした。雑談で終わりましたけれども、楽しかったです。皆さん、本当にありがとうございました。
中西:そして福田さん。初めてこのトークバトルに来られて。
福田:ありがとうございました。
中西:楽しかったですか。また来てくれますか。
福田:はい。
中西:高木さんとか武田さんとまた一緒にトークができれば楽しいと思います。
会場:拍手
中西:真面目なフォワードの話、これから日本のサッカーはどうしなきゃいけないかという話、ストライカーを作るにはどうしたらいいかという話。いろいろと話してくださいました。それにしても高木さんと福田さんの関係。先輩後輩の構図がはっきりしていてすごく楽しかったですね。こういう選手のプライベートな部分を知ることができるのもトークバトルのいいところですね。今日はありがとうございました。
会場:拍手

構成・文:CREW
撮影:星野洋介