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後編


中西:そして第5問「ジーコ監督にドイツワールドカップまで指揮をとってほしい」。僕を含めて全員「yes 」で、井原さんだけ「yes 」「no」だったんですけど。井原さん、どういうことですか。
井原:
もちろんやってほしいし、それが一番だと思うんですけど、ただ流れのなかでね、来年、予選でつまずいたりとか。
中西:
流れが悪くなったりとかね。
井原:
2004年7 月のアジアカップ中国大会もありますし、そこでもし全然日本のサッカーができなかったりしたら、きっとそういう話が。今でもなっているくらいだから。だからずっと続けて監督をやってほしいという気持ちと、監督を代えなきゃいけないという話になる可能性だってあるわけで。その辺はわからないなってことでそうしたんですけど。
中西:僕は「yes」なんですけど、常に次の監督は探していてほしいですね。常に2 、3 人リストアップして。この監督あいてるからと。僕はサッカー協会に望みたいですね。
早野:ジーコを決めたのは誰なのか。加茂(周、元日本代表監督)さんが就任したときにもネルシーニョ(名古屋グランパス監督)という話もあった。強化部が決めるのかとか、そういう部分がしっかりしてれば、ジーコ監督は信頼しているし、2006年までしっかりとチームを作り上げて、2002年、2006年、そして2010年へのパイプが、ベクトルが上がってくるようにしてほしいんだけど、勝負の世界はどうなるかがわからない。それを準備をしていくのがフロント。だから一番最初に言ったように、誰が監督の選定をできるのか。
中西:明確にするというのは。
中西:その辺をこれからはしっかり。誰が監督を決めるのかというセクションを。
井原:誰なんですか。川淵(三郎、日本サッカー協会キャプテン)さんですか。
早野:新聞にも出てたからそうなんじゃないの。
中西:その辺も明確にしてほしいですよね。監督を決めるセクションでリサーチして。
早野:中西君が言うように、やっぱり信頼は置いてるけど、フロントというのは恒久的に物事を作り上げていかないといけない組織だから、それがよければ、これを捨てればいいだけの話。準備というのはしておかなければいけないと思います。
中西:進藤さんはジーコ監督を見てて、とりあえず、このまま指揮を取ってほしいというか、何事もなく指揮を取るのが一番ベストですよね。冷静に考えて。
進藤:ただでさえ集まる機会が少ないのに、コロコロ代わるときっと大変なんだろうなと思います。報道する側としてはいろんなドラマがあれば、ワッと動かざるを得ないですけど、なかにいる方としては定着した方がやりやすいんですよね。どうですか。
平野:そう思います。
中西:あと自分のことを好きな人が監督になってくれる。自分のことを選んでくれる人が監督になった方がうれしいでしょ。
井原:まあ、それはね。
中西:井原さんも、加茂さんのワールドカップ予選のときの監督交代を経験していますけれども、どうだったんですか。いきなり代わったときの衝撃というのは。
井原:監督の途中交代は、僕はけっこう経験してますから。代表でももちろん、マリノスでも早野さんに急に代わったときもありますし。
早野:あれは急だったね。
中西:急でしたね。加茂さんのときはどうだったんですか? しかも海外で。
井原:でもね、選手はやるしかないので。そういう人事の部分は上の人が決めることだから。選手は監督が誰になろうが、その監督の元で自分たちを表現するしかないから。あの時期が時期でしたし、ワールドカップの予選中だし、僕らはやるしかないわけで。
中西:もうギリギリでしたもんね。
井原:もう、目一杯でした。
中西:平野さん、あのときはいきなりどういう感じで発表されたんですか。
平野:みんな集められたんですよね。
井原:いたよな? いない奴もいたから。
中西:平野さんもいて、集められて「監督代わるから」って言われた?
平野:そうっすね。
中西:そのとき加茂さんは最後のあいさつをしたんですか。
平野:いなかったです。
井原:当時の会長が来て。
中西:長沼健(日本サッカー協会最高顧問、埼玉スタジアム場長)さんですよね。
井原:「加茂さん更迭」と。みんな更迭って何や、って。初めてでしょ、「更迭」って聞いたの。
中西:確かに更迭っていう漢字が出ると。
進藤:あんな熟語、聞いたことがなかったですよね。
中西:確かに更迭って文字で見ると辞める人だなって思うけど、言葉で更迭だって言われてもわからないですよね。「更迭」って言ったんですか。
井原:言った。言ったよね。
平野:言ってました。後ろの席にいたんですけど、みんな「?」マークでしたもん。みんな首かしげてました。
中西:ワールドカップ予選で監督が突然代わるのはあまりいいことではないですもんね。
早野:チーム状態がよくないから何かをしなきゃいけなくて、ショック療法のひとつとして監督交代があるんで、チームが順調にいってるんであれば、そういうことは起こり得ないし。ただ、さっき言ったように勝負の世界に予定はないから。
中西:ないです。準備はしておくべきですよね。では第6問「日本代表の中心は、何といっても中田英寿だ」。当然これは全員「yes」。進藤さんはどうですか。中田選手。
進藤:アトランタオリンピックのときに初めて取材をして、あのとき「自分はそんなキャプテンなんて無理です」って感じだったんです、ご本人も。それが今や、あんなグイグイと引っ張る立場におなりになって。すばらしいなと。
中西:井原さんもフランスのときに1年、一緒にやってますけど、中田選手がキャプテンになるというイメージは当時、ありましたか。
井原:あのときまだヒデは若かったけど、自分の自己主張はすごくしたし、チームのなかでも要求みたいなものを、俺らにも普通どおり、もっとああしろよ、こうしろよって。
中西:井原さんにも言ってくるんですか。
井原:それが普通ですよ。リーダーシップがすごくありましたから。中堅になってきましたから、キャプテンはヒデしかいないでしょう。誰もがヒデの実力を認めているじゃないですか。みんなが付いていこうと思える選手。全員に聞いても、ヒデがいいって言うと思うんですね。そういう部分では適任じゃないかと思います。
中西:中田選手が俺はキャプテンをやるタイプじゃないって実際言われてきましたけど。変わったんですかね、やっぱり。
早野:僕は監督になる前はマリノスでスカウトやってたんですけど、ヒデを取りに行って、最後ベルマーレ(平塚)にかっさらわれたんですけど。
中西:持っていかれたんですか。
早野:いろいろあってね。練習まで来たのに、マリノスのね。
井原:来ました。高校のときに一緒にやってるから。マリノスのグラウンドで。
中西:当時の印象はどうでしたか。
早野:韮崎高校まで行って、先生と本人とも話したんだけど、芯がやっぱりピシッと通ってるね。考え方があやふやではないというか。昔はそれが、進藤さんが会ったときには、まだ線が細くて本人も自分がキャプテンをやるぞって感じではいなかったと思いますよ。ただ状況のなかで、やらなければいけないという責任感がそういう形になっていると思う。まあ、井原もキャプテンをやってて、チームを引っ張ってくときには、いろんなタイプのリーダーがいてね。人間的に付いていく親分みたいなタイプだとか、井原みたいに自分がとにかく選手の先頭に立ってやるタイプだとか。非常に頭がよくて説明ができるタイプとか。いろんなリーダーがいて、やっぱりヒデの場合は、文句は言ってるけど、自分がとにかくやっていく感じだと思うんですよね。
中西:平野さんはもし代表に選ばれても、中田選手がキャプテンというのは一番いいと思われますか、やっぱり。外から見てても。
平野:と思います。もちろんプレイもそうなんですけど、チームのために自分が身を投げ出してでもするプレイは、周りの人たちにもやる気を持たせる。犠牲心というのがあると思うんで。そういう意味では、一番ヒデがやるべきものなんじゃないかなと思います。
中西:中心は中田選手だと思うんですが、その前のポジションですね。第7問「ツートップは高原と大久保のコンビで決まりだ」。4 人が「no」、進藤さんだけが「yes」。
進藤:すみません。この間取材したばっかりなんです、おふたりとも。だから何か、すごく感情移入してるんです。
中西:でも、すごくいい感触を、進藤さんは持っていらっしゃると。
進藤:ええ。それこそホントに何が起こるかわからない期待感があるような気がするんですよね。もちろん他の選手の方でもそうなんですけど、特に。激しさというか、私がボールだったら怖いだろうなという目で、ふたりともカーッと来るじゃないですか。
中西:ボールにならないから大丈夫ですよ(笑)。
進藤:何かね、あのふたりは見てて興奮しますよね。
中西:今まで日本にはいろいろなストライカーがいましたが、あのふたりは野生味あふれるというか。粗削りな感じはしますよね、そういう意味でね。おそらく僕も早野さんも井原さんも平野さんも同じ考えだと思うんですけど、決まりはないということでしょうね。
早野:「今、ホントにこいつは外せない」って思える選手がいたら、もっと点が入っていると思うし。
中西:要するに点を取りまくっている選手がいれば、こいつが軸だとなる。でも実際、そういう選手は今のところはいない。
早野:と思うんだよ。話題ズレるけど、大久保(嘉人、ガンバ大阪)っていう選手をどう扱うかについて、僕はやっぱりオリンピックでしっかりとやらせるべきだと思う。
中西:現時点で。
早野:ユースの年代があって、オリンピック年代があって、A代表があるというカテゴリーでしっかりとした組織がないと、選手はそこを育ち上がってこない。今は飛び級にしてるけど、ベースがないものに飛ばしても何の意味もなくて。オリンピック代表でもっと結果を出したら、A代表に行けるという形で見てあげないと、監督が代わって今度は呼ばないということになってくると、下の組織が死んじゃうでしょ。だから大久保はもっとU-22でやらせて。で、これだけ成績が出たという結果がある程度出たら、もう一回A代表に戻しても全然問題ないと俺は思う。もう一回その辺整理した方がいいんじゃないかな。
中西:大久保選手も過密スケジュールになっているじゃないですか。オリンピックもやってるし、フル代表もやってるし。そういうなかで疲れも出るし、トップコンディションを維持するのは難しくなってる状況ですもんね。
早野:釜山でのアジア大会(2003年9 ~10月)を見てても、彼らは大会に行く前から「狭間の世代」と言われていて、その分すごく頑張って。大会に行って銀メダルを取ったときは自信になったと思うのね。あの頃の松井(大輔、京都パープルサンガ)とかがいたときの大久保と、A代表になった大久保を見てると、今はオフサイドラインのギリギリでインザーギ(フィリッポ、ACミラン) みたいに飛び出してばかりなのが気になる。飛び出して、あいつ自分を「猪」って言ってたから、それでいいのかもしれないんだけど。でもそればっかりでオフサイドにかかっても。前と変わってきちゃったなと。もう少し幅があった方が怖い選手なんじゃないのかなと思うんですよね。
井原:たぶんそれは、中盤に中村(俊輔、レッジーナ)とか中田とか、球を出してくる選手がいるから、お前が持ったら裏を狙えと言われている部分を忠実にやってると思うんですよね。どんどん裏を狙ってるし、実際に走れるから、そういう特徴を出してるのかなと思います。確かにいい選手だし、怖さもあるし、可能性がある選手だと思うんですよ。ただ、代表ではそのときに調子のいいフォワードを使うのが一番いいのかなと。
中西:今、現在の時点で。
井原:そうですね。一番そういう部分を要求されるポジションでもあるし。
中西:得点がほしい場所ですからね。
井原:逆に点をいっぱい取っている選手が何でA代表に入れないんだ、となってくると思うんですよ。だからいい選手をどんどん使って、そのままの調子で代表でもゴールするかもしれないし。そういう選考があっても僕はいいかなと思うので。確かにふたりは、代表に絡んで試合にも出てくると思いますけど、決定ではないなというのはありますよね。
中西:平野さんにあえて僕が聞きたいのは、平野さんが左の中盤の外側をやっていて、やりやすいフォワードって今のJリーグだとどなたですか。一緒にやった選手でも、見ていてやりやすそうだなと思った選手も含めて。海外の選手は抜きにして。
平野:Jリーグですか。
中西:いろんな選手とやってるじゃないですか。ジュビロ磐田にもいたし、ヴィッセル神戸にもいたし、グランパスにもいたし、ヴェルディにもいるわけですから。
平野:ポジション的に僕はセンタリングを上げるところなんで、やっぱりそれに飛び込んでくる選手は好きですね。中山さんは無理な体勢からでも、ちょっとでもボールを触って軌道を変えたり、ゴールを狙っていく。やっぱり上げる方としてはすごくありがたい。
中西:飛び込むタイプの人で、中山選手以外で誰かいますか。
平野:高原(直泰、ハンブルガーSV) とかやっぱりいいんじゃないですかね。
中西:ジュビロで重なってますか。
平野:はい。ちょっとですけどね。すぐ、アルゼンチンの方に移籍して。
中西:一緒に練習していて、よかったという感じですか。
平野:そうですね。
中西:さあ続いて第8問「バックラインの統率は宮本に任せておけば心配ない」。これはけっこうわかれました。誰が選ばれるかわからないし、宮本(恒靖、ガンバ大阪)選手も怪我をしている状況でしたし。質問を変えて、今フォーバックでやってますけど、ディフェンスラインはどんな組み合わせがいいですかね。
早野:この間(10月8 対チュニジア戦1-0、10月11日対ルーマニア戦1-1)は、中澤(佑二、横浜F.マリノス)はすごくよかったと思いますよ。
中西:今一番いいですよね、おそらく。安定感としては。
早野:高さ的にも、ハート的にもいいものを持ってると思いますからね。ただね、松田(直樹、横浜F.マリノス)が、井原に聞いたらもっとよくわかると思うけど、ときどきわかんなくなくなっちゃう。集中力がどっかに行っちゃうときがあるんだよね。
井原:でもね、彼は本当にいいですよ。
早野:すごく能力高いんだけど、魂が抜けるときがある。
中西:そうですか?! どういうふうに抜けるんですか。
早野:5mのパス、人に渡したりするから、いきなり。
中西:先の先まで考えてるんですかね。
早野:たぶん。いやでも井原なんか後ろから操っていたタイプだから、乗ってものすごく集中しているときなんかは、そこから絶対にもれなかったと思う。だからほとんどカバーしなくても大丈夫だった。
中西:1対1に強いし、ヘディングも強いし、人にも強いしって感じですよね。
井原:あとはボールを持って上がれるし、フィードもいいから。
中西:それを見ると、マリノスのコンビは一緒にやってる部分も強いですもんね。
早野:強いと思う。まあ、宮本もガンバのときには。
中西:ガンバで監督をやってらっしゃったとき。
早野:一応な。だからあのときにトルシエがスリーバックをやってて、必ず真ん中で。あいつやられるときって、必ずボールにちょっかいを出しに行ってやられちゃうの。
中西:それこそラインから飛び出して、ラインブレイクして前に出てやられる。
早野:必ずポジションがフラット3の真ん中にいて、ビハインドケアができなくなっちゃう。井原のときには、少し余るような形でやってた。
中西:スリーバックでラインが並んでいて、普通なら3人が並んでいるときに真ん中の選手はカバーリングケアをして少し下がるんですけど。宮本選手がやられるときは、前の方をケアし過ぎて裏をやられる。
早野:そういう方法もあるんだけど、トルシエのやり方というのはラインでオフサイドを取るやり方だったから、そういうふうに癖がついてるんだと思うんだよね。センターでリーダーだったら、ラインって自分で考えればいいと思うから。ワールドカップのときは、見たらわかると思うけど、若干ラインを深めにしてやり始めてた。
中西:深めにしてましたね。
早野:それで、ミスが多くて1対1にならないの。やっぱりディフェンダーって局面では最後、井原もカバーしてるけど、1対1になったときに勝つのが仕事だから、だったらこのまま宮本がスリーバックの真ん中で笛をふいてラインを取ってたら、こいつは絶対に強くならない。フォーバックにしてセンターにすれば、イヤでもタイトになる。片方の選手は必ずタイトにならざるを得ないから。
中西:人をつかまなきゃいけないですからね。
早野:そしたらもうね、1対1でクルクル。ディフェンダーというのはボールから目を離しちゃいけない。それがクルクル回る癖もある。カットして読みのところもほとんどないから。そこはやっぱり修正をかけていって。少しよくなったと思うけど、まだフォーバックでも。とにかくリードする。フォーバックのセンターって井原に聞けばわかるけど、いつもリードしているわけじゃないから。自分が行ったときは。
中西:自分がマーカーになるときもあるし、カバーリングに回るときもある。その二刀流が瞬時に変わるんですもんね。
早野:そういうところで、よくはなってるけど。まあ、さっき言ったマツ(松田直樹)も
いるし、佑ニもいるし、ツネ(宮本恒靖)もそうだし。他に坪井(慶介、浦和レッズ)みたいにいい選手も出てきているし。最後は監督の好きな選手になってくると思うけど。
中西:好みの選手にね。井原さんはどうですか。
井原:その通り。でも、組み合わせは難しいところですね。
中西:僕は中澤選手がいいと思ってるのですが、人に強いのと、あとはセットプレイで点が取れるところですね。ワールドカップ予選なんて、膠着状態になって、止まったボールからのチャンスが一番大きなチャンスになると思ういますね。
井原:坪井と宮本のセンターふたりだと、ちょっと小さいんですよ。世界には上背のある、身体能力の強い選手が絶対いますから、そういうときに中澤みたいな選手がひとりコンビでいると、高さのケアもできる。ストッパーのふたりとも高さがないと怖さが。
中西:怖いですよね。特に中東は大きい選手が多いですし。あとはワールドカップの予選だって、膠着状態のセットプレーで中村俊輔選手がいいボール蹴れるわけですから。そうなったときに、僕はJ リーグで一番ヘディングで点を取れる選手として、一番は秋田(豊、鹿島アントラーズ)選手で、その次は中澤選手だと思っているので。ヘディングで点を取れる選手ってなかなか少ないんですよね。実際にディフェンダーでも。高くて強くても。ヘディングで点を取る技術というのは特殊だと思うんで。そういう意味では、中澤選手というのは新しい切り札になるかなと思うんですよね。
井原:そういう感じはしますね。だから宮本とかだとラインでのコントロールや駆け引きはすごくできるから、そういう部分でうまく凌いでいるんですよね。だけど実際、相手にパワープレーをされたりとか、力でねじ伏せられるようなことをやられたときに、ちょっと不安はありますよね。
中西:進藤さんはどうですか。ディフェンスラインは。
進藤:やっぱり最後の最後に、ガッと抑えてくれる方たちじゃないですか。
中西:そこはやっぱり言うなれば、男っぽさというか、激しさがなきゃいけないし。
進藤:それぞれ皆さん、ガッと。お父さんみたいな感じが。
中西:平野さん、どうですか。ディフェンスラインは。
平野:ディフェンスラインですか。中澤はいいですね、本当に。
中西:違うチームですけど。
平野:すごくいい選手だと思います。すごく伸びた選手だと思うし。
中西:ここ1年2年ぐらいで。マリノスに行って特に変わったと思いますね。
平野:もちろん、そうですね。身長があるというのももちろんそうですし、ルーマニア戦でも効いてましたし。2回ぐらい見たんですけど、ビデオ。いい選手だなって。
中西:今、ヴェルディの米山(篤志)選手も調子いいですけど、米山選手も代表に入れていいんじゃないかと最近思うんですけど。安定してるし。
平野:と思います。
中西:えー、第9問「今の日本代表に入れたい選手がいる」。
平野:もうひとりいるんですけど。
中西:早野さんはいらっしゃいます?
早野:うん。もう少し見てあげたいなというのがあって、マリノスに久保竜彦っているでしょ。すごく武骨な奴で、インタビュー殺しっていうぐらいしゃべらなくて。
会場:笑い
中西:そう言われてますよね、業界では。
早野:で、あいつ、デビュー戦は長居スタジアムかどこかで、エジプト戦('98 年10月28日、1-0 で日本勝利)でちょっと出たのかな。裏で心臓が破裂しそうだったって言うくらい緊張したらしくて。インタビューで聞いたらもう、何を考えてるかわからなかったぐらいあがっちゃったんだって。かわいそうだから、もう少しチャンスあげてもいいんじゃないかなって。彼の左足のシュートは強烈ですよ。ヘディングも。
中西:今年のマリノスでのプレイを見ててもそういうところ、よくわかりますよね。
早野:飛び道具じゃないけど、ちょっと変わった奴がいると、相手も「こんな奴おるんかい」みたいな。秋田は顔で点取ってる。あれは相手がビビるよ。中澤は頭でかいし。
中西:そういう話じゃないと思う……。
早野:何かないと点取れないよ。
中西:進藤さんは、誰か。
進藤:おっしゃった通り、久保さんとか。あとは招集されてるけど、奥(大介、横浜F.マリノス)選手とか。この間、奥選手にインタビューしたときに、日本代表どうですかって伺うと「いやあ僕ね、ああいう集まりごと、苦手なんっすよ」とおっしゃって。お誕生日会とかそういうことじゃないんでっていう感じだったんですけど。なんか、ああいう選手もね、職人的な感じが。今目の前にあることをコツコツやっていく選手もすてきだなって思っていて。ただ呼ばれるだけじゃなくて、ぜひともと思います。
中西:平野さんは誰か入れたい選手はいますか。
平野:すごく内輪なんですけど、小林慶行(東京ヴェルディ1969)とかどうですかね。
中西:昔から彼のこと知ってますけど、今、本当にいいっすよね。
平野:いいですね。気が利くプレイをしてくれるんですよ。
中西:ボランチをやってる選手なんですけど。小林慶行選手。知っていらっしゃいますか。ちょっと地味めな感じなんですけど。
平野:ホント地味なんですけど。僕も周りでやってますけど、楽なんですよね。思いっきりいけるし。
中西:どこでも顔を出して。ボールを取られないし、テクニックあるし、守備もけっこうしっかりできるし。
平野:そうなんですよ。だから任せておけるというか、中盤は任せておける。もちろんディフェンシブの部分でですけど。そういう意味では面白いかなって思うんですけど。
中西:平野孝代表復帰はないんですか。
早野:肉離れしなきゃね(直前の試合で肉離れのため途中交代)。
中西:前半7分でしたからね。
早野:アップしたのかよ、お前ってね。一応、強く言っとく。
平野:すみません。
中西:僕は、あるかなとずっと思ってたんですよ。
早野:いや、復活した。
会場:拍手
早野:拍手なかったら最悪だったぞ。
中西:今シーズンの平野はいいっすよ、本当に。縦に行きますしね。一時期ずっと行かなかったんですよ。僕も偉そうに言うのはあれなんですけど、「縦に行けばいいのに」って電話したことあったんですけど。
早野:点も取れてたもんな。
平野:多少、はい。
中西:苦手なヘディングで。
井原:アツ(三浦淳宏、東京ヴェルディ1969)がいるのも大きいでしょ。
平野:そうなんですよ。
井原:ね、後ろに。
中西:だから肉離れがなかったら。
早野:今ヴェルディが首位を走ってる。そこには必ず原因があるはずだから。でもヴェルディってなかなか見つけにくいのよね。来週の中継で中継車に乗ってなんかやらなきゃいけないんだけど、ヴェルディは小林慶行が非常にバランサーとしてはいい。ヴェルディは球を動かそうとするから、あそこで川の流れのようにせき止めない。スッスッと流していくと、周りが動きやすいんじゃないかなと思っているんだけど。
中西:観ていても僕、最近面白いから見るんですけど。ボールをどれだけ回すんだよというか。20本ぐらい平気で回しますからね。ポンポン、ポンポン。
早野:そうそう。データを取って今もらってんだけど、レッズはだいたいね、あ、ばらしていいのかな、これ。
中西:いいんじゃないですか。
早野:レッズは3本か2本くらいの本数でシュートに持っていく。ヴェルディで一番多いのが20何本。
中西:僕が観ていてもそうですよ。何本つなぐんだろうって。しかも上から観てて、そこに出してほしいなっていうところに必ずボールが行くんですよ。
早野:だんだんでも、ヴェルディの本質でね、ボールがだんだん中に入ってくるの。そのときに、うまくいかなくなるの。
中西:そこであの男が・・・
早野:いないから、左サイドいないから、また中に入ってくるの。
中西:最近ホントね、今年に入ってから縦に行ってクロス上げなかったんで。
井原:エムボマ(東京ヴェルディ1969、カメルーン代表) もいるしね。ターゲットがいると大きいでしょ。
平野:はい。
中西:何か監督に言われていることあるんですか。
平野:監督にですか。左サイドはもうとにかく任せた、自由にやれと。
中西:そういうふうに言われると、選手ってうれしいですよね。代えられるかなって思ってやっていくよりは。「お前、任せたから好きなようにやれ」って言われたら、自分で思いきってやれるじゃないですか。
平野:攻撃の部分では自由にやっていいから、その代わり、守備のときはもちろん、決め事みたいなことはありますけど。
中西:じゃあ、ケガが治ったら。
早野:そうやってみんなが代表に入りたい、代表を目指していく。若い選手も、35歳であろうと目指していくということは、代表になる人たちが増えるわけだからやっぱり強くなる。そこに「わしゃ、ええわ」っていう人がいたらね、チームに入ってきたってなかなか馴染めないんじゃない。
中西:井原さんは、誰かひとり。
井原:中盤とかいい選手いっぱいいるんだけど、あのなかに入っていくのはやっぱり、大変ですよね。レイソルの玉田(圭司)とかね。
中西:いいですよね、今。
井原:いいでしょ。彼とかね、チャンスをあげてもいいかなっていうくらいいいし。あと、レッズの田中達也(浦和レッズ) とか、オリンピック代表世代ですけど。
中西:玉田選手も田中達也選手も結果出してますからね。
井原:ドリブルで勝負しているところを代表チームでも見てみたいというのはあります。
中西:僕、玉田選手はすごい好きなんですよ。点を取るところのツボをわきまえてて。そこですごく冷静なんですよ、シュートの瞬間に。強く打たないシュートもありますし、コントロールショットもありますし。ツボを知っている選手なんで、ああこの選手、途中からでも使ってみたら面白いかなって。まあそれはジーコ監督もいろいろ見てて、考えているでしょうね。それと田中達也選手なんかもね。
早野:選手を見て、代表で見てみたいなと思っても、ジーコのシステムは4-4-2ですから。どこで入れていくのかとか、スリートップにしちゃったらどうなるのか考えたら。まあ、4-4-2っていうのは、あまり崩してないから。
中西:そうですね。
早野:田中達也は今すごい旬だから、自信を持っちゃってると思うから、止められないんじゃないの。
中西:そうですよね。
早野:そういう選手をどこに使うのか。玉田も左サイドで使うのか。
中西:それでは次に行きましょう。第10問「キリンチャレンジカップのカメルーン戦、日本は勝てる」と、第11問「日本代表はまだまだ伸びる余地がある」。早野さん、井原さん、平野さん、進藤さん、全員どちらの質問も「イエス」ですが。「日本代表は伸びる余地がある」っていうのは、当然の話だと思うんでね。最後にキリンチャレンジカップ、いよいよ迫ってきたカメルーン戦の話をきっちりしておきたいと思います。カメルーン、すごくいいチームじゃないですか。以前、コンフェデ(2001年6月2日新潟スタジアム、2対0で日本代表勝利)でもやりましたけど、今回もジーコ・ジャパンにとっていいステップアップになるゲームになると思うんですが。どうですか早野さん、このゲームの見どころをあげていただくとしたら。
早野:ジーコ監督の考え方ってさっきからずっと言っているように、ヨーロッパ組も含めて必要なメンバーを全員集めることができるだったら、同じメンバーである程度熟成させたいという考え方だと思うんですね。まあ、その進捗率っていうか、どれだけスムーズに攻撃できたのか計りたい。それと、今ディフェンスラインが一生懸命やってるけど、もう一回組み合わせを変えてくるのか。組織的に最終ラインが安定できるのかどうかというのが、次のステップに行くと思うので。たぶんカメルーンは、今選手が変わりつつあるときなんで、若いすごい選手が来たときに日本代表がどうやって戦うのかなっていうのを見てみたいですね。
中西:未知数の選手と。
早野:ただ、日本でやるときって海外から来るチームは持っている力を100%は出ないじゃないですか。
中西:だいたい60、70%ぐらいですよね。
早野:そこはちょっと残念なんだけど、だったらね、もういっそのことやっつけちゃってほしいなって。
中西:そうですよね。やっつけてほしいですよね、カメルーン。平野さん、チームメイトのエムボマ選手(東京ヴェルディ1969)がカメルーン代表に選ばれる可能性も十分ありますが。
平野:そうですね。
中西:今、絶好調じゃないですか。
平野:調子はいいですね。
中西:やっぱり、チームにとって彼の存在感は大きいんですか? どうですか、エムボマは。
平野:もう、彼はとにかく身体能力が高いので、日本代表も身体能力で勝負しようとして行っても勝てないと思うんですよね。だから、いかに組織で戦っていくかってことじゃないですかね。
中西:一緒にやっていて、練習のときからすごいですか。
平野:あり得ないですね。エムボマは、僕たちからしたらあり得ないようなプレイを平気でしますから。
中西:どういうところがあり得ないんですか。
平野:もう、発想そのものがあり得ないんです。おいおい、こんなところからシュート打つのかよとか。
中西:規格外って感じですか。
平野:そうですね。あれを真似しようとしても、日本人選手には真似できないですね、やっぱり。リーチも違うし。もう、意外、意外ばっかりで。
中西:それを止めなきゃいけないのは大変ですね、ディフェンス。
平野:そうなんですよ。
中西:進藤さんはどういうところを楽しみにしてますか、今度の日本代表対カメルーン代表の試合は。
進藤:そのあり得ないプレイに対してですね、さっきからさんざん出てましたけど、コツコツとやってほしいんです。ずっと努力を重ねてるけど、なかなか代表戦でプレイできない選手はたくさんいると思うので、新しいスターがどんどん誕生してくれればいいなと思います。
中西:見たいですよね。
進藤:次のワールドカップまで、まだまだ時間はありますし。一つ一つの試合はもちろん大事ですけど。
中西:そうですね。いつも候補って言われながら、まだキャップがついていない山田卓也選手とかね。ホント最近調子がいいんだから、やっぱり見てみたい気はしますよね。
進藤:呼ばれてまだ出られない選手もいるし、その下にも控えてらっしゃる方がいらっしゃると思うので。
中西:井原さんは。
井原:日本代表とカメルーン戦の見どころですか。いや、今回カメルーンは誰が来てくれるかなってところですよね。エトー(サムエル、マジョルカ)とかね。皆さんもエトー見たいでしょ。あいつが来たら、坪井(慶介、浦和レッズ)かどっちかわからないかもしれないけど。
会場:笑い
井原:エトーと坪井の勝負、見たいと思わないですか。そんな感じですよね、タイプ的には速いし。
中西:速いし、シュート力もあるし。
井原:あのスピードにね、坪井とかがどれくらい対応できるかとか。今一番見てみたいですね。
中西:僕は、ジェンバ=ジェンバ(エリック、マンチェスターU)とか見たいですね。今マンUでに出てますから。
井原:レギュラークラスに全部来てほしいっていうのが一番ですよね。こないだのときも来なかったからね。
早野:11月ですからね、全部は来ないでしょ。
中西:いや、来ますよ。
早野:来ますよね。
会場:笑い
中西:もう時間がなくなってしまいました。最後は皆さんに一言ずつ。進藤さんどうですか。初めてでしたけど。
進藤:いやあ。楽しかったです。
中西:今、強制的に言わせてしまいましたね。
進藤:そんなことないですよ。あっという間でした。
中西:でもまた、来てくださいますか。
進藤:もちろん、呼んでいただければ喜んで。でも本当に、ピッチの上での生の話が今日は伺えたので楽しかったです。勉強になりました。
中西:ぜひまた、来てください。本当にありがとうございました。
進藤:ありがとうございました。
中西:そして早野さん。今日はどうでしたか。この初めてのトークバトル。
早野:たくさんの方に来ていただいて楽しいトークをさせていただきました。光栄です。
中西:いや、そんな。優等生のコメント。
早野:最後ぐらいはね。本当にね、いろんな楽しい話をさせてもらえたので自分自身も楽しかったです。ありがとうございました。
中西:そして平野さん。どうでしたか。
平野:勉強になりました。
中西:勉強。いっつも言うんですよ、「勉強になりました」。最後に必ず言うんですよ、この人は。何があっても。
平野:楽しかったです、本当に。
中西:また来てくれます?
平野:ぜひ。よろしくお願いします。
中西:今、早かった。即答ですね。ケガを早く治して、代表の方も、ヴェルディの方も優勝を目指して頑張ってください。
平野:はい、頑張ります。ありがとうございます。
中西:それしか言わないんですね。
平野:はい。ありがとうございました。
中西:そして井原さん。2回目でしたけど。今回はミシェルさんがいなかったので。
井原:そうですね。ミシェルさんがいなかったので、ミシェルさんのときとはまた違って、今日は大勢の方々と一緒にいろんなことを話せて楽しかったです。
中西:また来てくださいますか。
井原:もちろん。また呼ばれれば。3回も出ることはないのかなと。
中西:ありますよ。ミシェルさんなんか3回も4回も5回も出てますから。
井原:ではそんなに出てるんですか。
中西:出てます、出てます。
井原:またぜひ呼んでいただければ。
中西:これからもよろしくお願いします。
井原:よろしくお願いします。ありがとうございました。
中西:そうだ、井原さん、試合があるじゃないですか。
井原:自分の宣伝するの忘れてました。
中西:宣伝しなくてもいっぱい来ますよ。
井原:来年の1月4日に、引退試合を、ようやく。1年経ってからなんですけど。
中西:そのためにトレーニングしてらっしゃるんですよね。体が全然変わってないじゃないですか。
井原:これからしっかりとやらないといけないんで。まあ、早野さんもコーチで来ていだく予定になってます。
中西:1月4日ですよね。
井原:国立競技場で。
中西:すごいメンバーが。
井原:ほとんど両チームとも、代表クラスであったり、元代表だったりという選手ばかりが集まりますので。ラモス(瑠偉、元日本代表)さんも来ていただける予定です。
中西:いやあ。ケンカになる? また早野さん、マイクのないところでそんなこと言って。でも本当に楽しみですよね。今年、北澤(豪、元日本代表)さんの引退試合も、僕も井原さんと一緒に出場してすごく盛り上がりましたもんね、あの試合も。だからすごく盛り上がると思うんで、ぜひ足を運んでいただいて。皆さんで国立を埋めましょう。
井原:よろしくお願いします。
中西:今日も、4人の方をお迎えしてやってきましたけど、本当に今日はわざわざ足を運んでいただいて、ありがとうございました。またぜひいらしてください。久々に大人数でしたし、時間が足りなかったですね。僕、最初から足りないと思ったんですよ。あと4時間くらいいけましたね。『淡麗』を飲んでれば、もっといけましたね。オールナイトとか、昔やってたじゃないですか。またやりたいですよね。みんなも話し足りないことがあると思うんで。今日は平野選手のね、リアクションが面白かったですね。でも現役の選手が来てくれるのってうれしいじゃないですか。いろんな話が聞けるし。給料の話から何から。ぜひ、今日のメンバーの方にまた来ていただいて、そしてさらに面白い話を聞かせていただいて。サッカーを語る楽しみを今後も続けていければと思います。皆さんも聞いてる楽しみがあると思います。ただ、心のなかで「いや違うよ。俺はこう思ってるんだよ」ということもきっとあると思うので、それはこの後、お友だちと飲みに行って。この辺りはいっぱい店がありますし、明日はお休みですから。自分たちで語る楽しみも、これから楽しんでいただいて。この勢いでこの周りの街に繰り出してください。今後とも来ていただいて楽しんでいただけると幸いです。今日はありがとうございました。

取材・文:CREW
撮影:大崎聡