中西:そして次の質問6「平山相太(国見高)はすぐにでもA 代表に招集すべきだ」というのに皆さん「no」なんですけど。武田さん、まだいいですか。 武田:えーっとね、自慢じゃないですけど僕も19歳で初めて。 中西:自慢じゃないですか。 会場:笑い 武田:日本代表に入ったんですけど、こんだけマスコミとかにいっぱい騒がれるじゃないですか。自分が自分でなくなっちゃうんですよね。わかります?高校サッカーで活躍した選手、オリンピックで活躍した選手が、もう日本のトップで実績がある、そういった扱い。日本のスーパースター、それぐらいの扱いになっちゃうんです、日本だと。そうするともう周りがね。自分が自分でなくなっちゃう。自分はこれぐらいのプレーじゃないのに、ちょっと点を取っただけでも「スーパーゴール!」ってバーッて書かれちゃうと、何かドンドンドンドン変わってきちゃうんですよ。調子がいいときはいいですよ。それで全然調子悪かったときに「何だ!」って言われると、確かに技術的には成長してますけど、精神的にはまだ若いんで。そういった将来のことを考えたら、やっぱり少しずつ体もちゃんと作ってやった方が。上がりが早いと終わりも早いじゃないですか。だから少しずつ。 中西:でも、上がりが早くっても安定してやってる方もいますよ。 武田:そこまでだからね。自分の経験ですよ。 中西:何か言ってくださいよ。 福田:だから、自分のことを言ってるんじゃないですか。 会場:笑い 福田:武田はそういう経験して苦しんだから、もっと慎重にやったらどうですかっていうことだと思いますよ。 武田:平山選手がこれだけ活躍するじゃないですか。まだ若いですよね。23歳、24歳になって同じ活躍しても、評価されないんですよ。それ以上の評価をされなきゃいけないわけですよ。そうなったときに、彼のサッカー人生がまだ長いときに、本当に大変だと僕は思いますよね。だから彼のことを思ったら、やはり少しずつ大事にしてあげた方がいいのかなと。みんな、まだ高校生っていうのを忘れているかのような扱いじゃないですか。 中西:福田さんどうですか。 福田:僕が代表に入ったのは24歳で。 会場:笑い 福田:自慢じゃないですよ。それは冗談ですけど、実力があれば入ればいいと思います。本当に代表でジーコが必要として、その実力だけを見て入れるんであればそれは問題ないと思います。メディア的に注目を浴びてる、期待があるからっていうことで早めに入れる必要性はないと思います。本当にそれだけの実力があって、出てすぐに活躍できるんだったら、入れてればいいと思います。 中西:ほしいという気持ちがジーコ監督にあればね。 福田:ただ成長させるためとか経験させるために入れたりすると、余計なプレッシャーを受けることになるんで、そういうような扱いはしない方がいいと思います。本当に実力があるんであれば。それぐらいやっぱり、非常に難しい時期だと思うので、それぐらい配慮してあげる必要はあると思いますけど。そこまでは今、ないんじゃないかなっていう。 中西:まだそこまでは。 福田:と思いますよ。 中西:そして高木さんは。後輩ですね。 高木:そうですね。 中西:タイプ的にもやっぱり、体が大きいし。 福田:平山よりも高木の方がいいんじゃないですかね。 会場:笑い 高木:いいですよ、やっぱり。 福田:戦えるしね。 高木:そうそうそう。僕も武田と一緒なんですよ。実力的には確かにすごくいいものを持ってると思うんですけど、やっぱりまだ高校生。体的には大きいですし、スケールのすごく大きいプレーをしますけど。 中西:高木さんより大きいんですか。 高木:大きかったですね。何回か会いました。でも、プレー的にはそうなんですけど、内面的には彼は非常にいい性格というか真面目な性格で、考え方があって自分の考えをしっかり言えるんですけど、ただやっぱり高校生ですよね、まだまだ。そういうなかで、そういうところにいって、武田が何回も言ってましたけど、調子がいいときにはいいけど、悪いときにはいろんなことを言われてすごく悩んでしまって、自分の本来のプレーができなくなったときに、どうやってリカバーしたらいいかっていうのをまだまだ養えていない部分があるので。少しずつ慣らしていってほしいなって思いますね。 中西:ここは直してほしいってところはあります? 高木さんは大きい選手で、ポストプレーもできて。胸トラップとかするところがすごい似てると思うんですよ。 福田:高木の胸トラップはすごいっすよ。来た瞬間、ボンッと落としますからね。平山の方はしなやかな感じですけどね。高木の方が力強いってこと。 中西:左利き右利きの違いはあるにせよ、ヘディングも強いし、胸トラップができて。胸トラップからボレーって高木さん、よくやってたじゃないですか。 高木:1 回だけ、ね、福田さん。 武田:アジアカップの決勝('92年11月8日日本 1-0 サウジアラビア)ですね。 福田:うまいですよ。 中西:大学のときも僕、同志社で高木さん大阪商大だったんですけど、僕ヘディングで競って高木さんに胸トラップされてましたから。上を通ったボールとか。ね。 高木:本当? 中西:してたじゃないですか。 高木:でも彼はね、僕もけっこうあれだったんですけど、走り方がちょっと。 中西:走り方。 高木:もうちょっと細かいステップワークをやってほしいなって。 福田:ゴール前はやっぱりね、細かいステップが踏めないとダメなんだよね。体の向きを変えたりとかいろいろしないと。背が大きくても。体勢を変えたりとかって。 中西:ターンとか。 福田:ゴール前はスペースと時間がないんで。 中西:それはどうやって養えばいいんですか。 福田:それは高木に聞いた方がいいよ。 中西:いやいや、別に福田さんだっていいじゃないですか。 高木:やっぱりそういうラダー系の。 中西:梯子みたいなのがあるんですよ。マスがあいてるやつ。 高木:いろんな踏み方があってね。あとね、あいつは周りから足元がイマイチだって高校時代に言われて、手を縛ってドリブルをしてたとか聞きました。 中西:言ってましたね。 高木:努力家っていうのは言ってますね、みんな。 中西:真面目ですよね。 武田:高校の監督が怖いんじゃないの。国見の選手はすごいですよね、みんな。小嶺(忠敏)さんがいると今だに直立不動になりますからね。相当厳しかったでしょうね。 高木:厳しかったですよ。特に僕が高校時代に練習試合をやるとき、ツータッチプレーなんですよ。 中西:高木さんだけ制限を設けられた。 高木:それでスリータッチとかすると、呼ばれて……。いろんな意味での厳しさですよね、愛情を持ってのね。でもよくよく考えるとそれは周りを見るとか、ファーストタッチを大事にしろってことにつながっていくんですけど。当時は考えられなかった、ただいやがらせだとしか。 会場:笑い 中西:いやがらせ。この間もU-23のイラン戦の後に、けっこう足元に入ったボールを取られてたら「小嶺先生に叱られます」ってインタビューで言ってましたよ。試合が終わった後に「たぶん怒られちゃいます」って。 高木:小嶺先生が言ってたんですけど、ワールドユースから活躍して帰ってきたときに、先生が平山相太に対して「お前の良さは何なんだ」ってもう一回問いかけたみたいですね。ああいうところに行くと、足元で何かしたくなるっていうところがあるじゃないですか。若いし、自分を見失う部分がちょっとあったりね、プレーで。それをもう一回本人にわからせるために「お前は何が特徴なんだ。高さだろ、強さだろ」って。そういうのをしっかり伝えてた。そういう意味での、平山相太のコメントだったと思います。ちょっと足元で色気を出して何かをしようとして取られる。じゃなくて、はたいてゴール前。 中西:簡単にボールを預けてゴール前に行けと。 高木:たぶんそういうとこだと思いますね。 中西:武田さん、また的確な小嶺先生のコメントですね。 武田:ね。でも、小嶺さんが監督やるしかないですね、これからもずっとね。それが彼のためになるよ。たぶん小嶺先生がですね、三浦淳(淳宏、東京ヴェルディ1969) とか永井(篤志、モンテディオ山形)君の監督をプロになってもずっとしてたら、永井君はスーパースターになってたでしょうね。それぐらいね、影響力って高校の監督はありますから。これから平山選手が高校卒業してからね、プロになってから言ってくれる人はなかなかいないですからね、ね。 中西:何で福田さんに聞いてるんですか。 福田:急に振られて同意求められてもね。・・・はい。 中西:福田さんは一つ上ですもんね。 福田:一つ上です。 中西:ここふたりは同期ですよね。 武田:福田さんは一つ上なんで、やりにくい。言うこと聞かないといけないですよね。 中西:高木さんと武田さんが同期ですもんね(笑)同期ツートップですもんね。それでは質問7「オマーンは危険な相手だ」。危険な相手ですよね、全員「yes」ですけど。 福田:当然危険だと思いますね。一次予選では最も危険な相手だと言っても過言ではないんじゃないですかね。中東のチームですし、非常にフィジカルコンタクトも強いですから。まして初戦でしょ。非常に神経を使うと思います。 中西:まずこの初戦というプレッシャー、さっき話をしましたけど。僕たち見てる側も不安ですもんね。先に点を取られたりしないかなとか、ヤバイかなって若干不安な部分がありますよね。選手はもっとあるでしょうね、きっと。 福田:当然周りがそういう緊張感を持ってるから、選手たちもそういう緊張感が伝わってくるし、それによってまた緊張するから。その選手を見てるとまた周りの人も緊張する。だからもう、盛り上げる必要は全くないですよね。その試合の重要性はみんな知ってるし、見てる人たちは。今までワールドカップが終わってずっと親善試合ばかりだったから、ここからはとんでもない緊張感のなかでのワンプレー、ワンプレーになってくるんじゃないですか。楽しみですよね、だからね。 中西:逆に楽しみですよね、見る側にとっては。 福田:やる側にとっては大変でしょうけど。 中西:高木さん、オマーンの情報がいろいろと入ってきていますけど、若いチームだったりとかね、オリンピック代表組が多くてとか。まあ、韓国にホームで 3-1 で勝ってるていうのがありますけど、一番気を付けるべきことって何ですかね。 高木:やっぱりまずは自分たちだと思いますね。自分たちが日本のサッカーをすれば、たぶん普通に力的には勝てるチームだと思いますよ。それがあって初めて相手がどういう出方をしてくるのかっていうのはしっかり勉強していかなければいけない部分だと思いますけど。意外とああいうチームって、ドリブルで突っ込んできますよね。ドンドンきます。パスチームではないんですね。 福田:思いっきりやってきますから。 中西:怖いものなしですもんね。 福田:そうです。本当にそういう感じです。 中西:いきなり、もうガーンと。 福田:守ってバーンとカウンターして、そのまま前線の選手がガーッと行くっていうか。もうミスを誘うような、そういうプレーをしてきますよ。だから非常に怖い。相手として戦うには非常にイヤな相手だと思いますね。 中西:監督さんが何か日本のことを褒めちぎっているじゃないですか。どのメディアでも。その辺が逆に。 福田:油断でしょ。 中西:油断させようとしてるんだと思いますけど。 福田:それはもう、心理的な作戦だと思いますけど。 中西:「日本に勝てるわけない」とか。オリンピック代表がほとんどなんですよ。日本と同じでもう少しであるんで、オリンピックの最終予選が。「そっちの方が大事だから」、「プライオリティはオリンピック予選だ」って言ってました。 武田:あの監督はクウェート代表監督時代に日本とやったときに日本に勝ったんですよね。テレビでね、韓国との試合('04 年2 月14日蔚山ワールドカップスタジアム、韓国 5-0 オマーン) を見たんですけど、テレビで見る限りは「弱いな」って。逆にこれが作戦なのかなって。 中西:ドンドンドンドン悪い方に深読みしちゃって。 武田:右サイドの選手なんかもずっと抜かれっぱなしで。そうすると左サイドは三都主じゃないですか。向こうの監督は日本のビデオもちゃんとチェックして、左サイドの三都主は上がるっていうのも知ってるっていう情報が入っているわけですよ。それで14日のビデオを見ると右サイドがやられまくって、「これ、本当に作戦なのかな」と思って。選手の顔をよくチェックしたんですけど、みんな似てるんですよね。 会場:笑い 武田:僕、解説をやるんで、名前をチェックしても登録していない選手が出てたりしてね、けっこうわからないですよ、あれ。 中西:背番号とか変えたりしてますよね、直前とか。 武田:してるしね、キーパーが一番中心だって言うから見てたらキーパーは出てこないし。フォワードのツートップも19歳の若い選手が出てるし。ケガして来ないとかいう情報も入ってて。本当に強いのか弱いのかはっきり言ってわからなかったですね。 高木:オマーンが危険な相手っていうのは確かにあるんですけど、オマーンが危険ではなくて、初戦っていうものが危険ってことですよね。さっきも言いましたけど、自分たちのチームは何をしなきゃいけないのかっていうのをしっかり整理して、90分のなかで出していけば僕は絶対に負ける相手でもないし、絶対に勝つチームだと思いますね。 中西:まず何をしなきゃいけないですか。 高木:最初の一点ですね。その最初の一点を早い時間帯、20分ぐらいまでに取れば一番いいのかなって、バランス的に。あまり早く取ってしまうとよくない。 中西:早すぎるとまた。 高木:取った後も怖いし。 中西:福田さんどうですか。 福田:結局自分たちでリズムを壊すっていうことが危険なんで。例えばうまくいかなくても、それは仕方ないというぐらいの気持ちを持って戦えればいいと思うんですよね。 中西:焦らずにね。 福田:やっぱり焦りからリズムを壊してって無理をしたりして、そしてカウンターをくらってっていう形があるので。うまくいかなくてもワールドカップの初戦はそんなもんだと、仕方ないと。だからできることをやろう、冷静にやろうっていう気持ちを持ってやれれば、高木も言ってましたけど、実力的には日本の方がはるかに上だと思う。自分たちでリズムを壊す、それはワールドカップの初戦っていうこともあるので。うまくいかないのは当たり前だと思って臨めば、実際試合になったときにうまくいかなくても、こんなもんだと思ってやれれば冷静にプレーができると思うんだけど。こんなはずじゃないと思った瞬間に慌ててしまって、思ったようにリズムが出なくて。そして、リスクを冒さなくなって消極的なプレーに走ってっていうことになっていくと、なかなかうまくいかなくなると思うんで。自分たちの心理的な問題だと思うんだよね、一番は。そのくらいの気持ちで臨めれば問題ないと思う。そういう意味では、ヨーロッパから帰ってくる中田っていう選手の存在。チームのなかで、どんな状況でも淡々と自分のプレーをやれる選手がいると、そういう選手にみんな自信を付けてもらえて、自分のプレーを確認してできるようになってくると思うんで、中田っていう存在は大きいなって思ってますけどね。 中西:とにかく結果が一番ほしいじゃないですか。僕、先週川淵(三郎、日本サッカー協会キャプテン) キャプテンと対談したんですけど、そのときも「今までは内容とかも気にするけど、ワールドカップだけはどんなダメな内容でもとにかく勝ってほしい。イラク戦のような内容でもいいから、1-0 でも 2-0 でも勝ち点3を取れればいい」と言っていました。武田さん、そういう戦いでしょうね、もうここからは。 武田:そうですね、結果ですよね。日本がワールドカップ、今まで挑戦してますけど、予選10大会やって、フランス大会の一回しか勝っていないんですよ。みんなたぶんそれを忘れてて、前回大会が開催国で出て、2 回連続出てるなんていう安易な気持ちでいますけど、まだ予選、一回しか勝ってないんですよ。そういうことを考えれば、第一戦、相当緊張すると思うし。予選を経験してるのは、中田選手と楢崎(正剛、名古屋グランパスエイト)選手、このふたりだけなんですよね。 中西:ですよね。 武田:そういった雰囲気を知ってる経験のある選手がチームを盛り上げて、1-0 はきついと思うんで、2点差ですよね。2点差以上で、結果ですよね。結果のために、サポーターの応援とかね、そういった雰囲気を作り出すのも大事だと思いますね。 中西:向こうのシステム的には、完全に引き気味で3バックでマン・ツー・マンでフォワード付いて、ひとり余るって言ってたんで、たぶん引いたらスペースがないじゃないですか。そのスペースがないなかで活躍できるツートップが必要になってくると思うんですけど、今日は皆さんフォワードですから、どういう組み合わせがいいのかなってお聞きしたいんですが。武田さんどうですか。どんなツートップがいいですか。 武田:高木でしょうね。高木みたいにもポストプレーができて、サイドのクロスボールにヘディングが強い選手ですね。僕みたいにスピードがあっても、トラップが下手な選手は、たぶん試合では相手が引いてしまうのでダメだと思うので、ヘディングがうまい選手か、ミドルシュートがうまい選手ですね。 中西:誰がいいですか。コンディションは抜きにして、わからないですから。 武田:そうですね。 中西:呼ばれる選手で。 武田:高原選手はヘディングが強いんで、サイドからクロスボールが多くなったときに。あとポストプレーがうまいのはやっぱり柳沢選手ですよね。あと鈴木(隆行、ベルギー・ゾルダー)選手があのゴール前で体を利用して、ポストプレーでガチッと。 中西:ガチッと。 武田:転ばされて俊輔がフリーキックを取るのか。そういうことを考えると。 中西:そういうことも大事ですよね。 武田:体の張り合いになるので、そういう選手もいいかなって。 中西:福田さん、どうですか。どの組み合わせが。 福田:引かれればスペースがないので、サイドからの攻撃が重要になってくるので、やっぱりゴール前の高さっていうのが一つポイントになると思うので、そういう意味では高原は当然ポイントになると思うけど、久保(竜彦、横浜F.マリノス) っていうのが高さを持っているので。ちょっと親善試合2試合では「大丈夫かな」って。 中西:コンディション的にはね。 福田:高さっていう意味では久保の高さは魅力的なものだと思いますね。 中西:とにかく久保選手と高原選手でスタートっていうのがいいってことですか。 福田:うーん・・・そうでもないかな。 中西:どっちっすか。 高木:決めてないんでしょ、まだ。 福田:決めかねてるな。 中西:でも難しいですよね、どういった組み合わせにするかって。この間のイラク戦を見ていると、久保選手のやっぱりセットプレーでのヘディングは。決まらなかったですけど高いですもんね。 福田:セットプレーっていうのは、なかなか流れのなかで点を取るのは難しいと思うんですよね。だからそういう意味じゃ、中村俊輔っていう選手、ああいうフリーキッカーがいて、今度高さってなってきたときに、やっぱりどうしても高さが必要になってくると思うんだよね。そういう意味では、ディフェンシブな福西なんか。 中西:いいですよね。 福田:いい武器になると思うんで。攻守両面に渡ってね、高さって非常に大切なんで。そういう意味では高さがどうしても必要かなっていう気はしますね。 中西:セットプレーで決めるヘディングって特殊な能力じゃないですか、ある意味。日本でそういう選手ってけっこう少なくて、例えばセットプレーでヘディングが決められる選手って秋田(豊、名古屋グランパスエイト)選手とか、中澤(佑二、横浜F.マリノス) 選手とか、福西選手とかだいたい決まってくるじゃないですか。過去そのセットプレーでヘディングで決めてた選手っていうのはそういうところを得意にしてるし、そういう選手を後ろの方にも入れるってことはいいと思いますね。 福田:ポイントだと思いますね。 中西:例えば時間がなくなってきて、後ろに中澤選手を入れるっていいと思いますね。彼は絶対にヘディングシュートが得意ですから。以前の小村選手のように、秋田選手のように。ポイントに逆に入れるけど、セットプレーのときに必ず前に上がるパターンにしといてっていうのも。最悪のことを考えたら、そういうのもよくないですか。 福田:それはありだと思いますけどね。 中西:高木さんはどうですか。 高木:僕は引かれた状況を考えて、高原と久保ですね。 中西:やっぱり久保ですか。 高木:はい。久保の場合は高さもあるんですけど、ちょっと意外性の部分。決定力はあれですけど意外性の部分で。引かれてる相手に対して、こう来たからこう止めてこうするような、そういうフォワードってあんまり点は取りづらいと思うんですよ。 中西:規格内の選手。 高木:そうですね。彼の場合は本当に「こんなことするの」、「こんなところからシュート打つの」、「こんなのとどくの」っていうぐらいのものを持ってると思うので。 中西:今選ばれてるのは、フォワードは久保選手、柳沢選手、鈴木選手、高原選手、本山選手。あとは途中から出る選手。当然本山選手っていうのは、途中から入ってくるには、福田さん、いいカードになるんじゃないですか。 福田:切り札的になりますね。 中西:時間が短いなかであれだけやれて。 福田:そうですね。スピードもありますしひとりで行けるから。それで点も取れるしチャンスメイクもできるから、すごくいい選手だと思いますね。 中西:あとは今言った、中村俊輔選手のキックですよね。それが一発で決めてくれれば、直接決めてくれればそれでもう終わりですから。武田さんが言ったように、ペナルティエリアの前でファールをもらうことのできる鈴木選手ですね。 武田:日本にはキックのうまい俊輔選手がいますから、それを数多く作ればですね、確率的には得点になりますから。そういったところから本当に一点、一点ですよね。 中西:次の質問なんですけど、質問8「4-4-2の日本代表より、3-5-2の日本代表の方が強い」っていう話なんですけど、これはみんな「no」になってますけど。うーん、システムはどうですか、福田さん。3-5-2 の方がやりやすそうには見えますけど。 福田:後ろのメンバーを考えればそれはそうですね。システムって、絶対的なシステムはないわけで、4バックにしても3バックにしてもいいところもあれば弱いところもあるわけだから。そのいいところが出せればいいわけですよね。そういう意味では、中盤にタレントが多いので、中盤にね、攻撃的な選手をふたり使うっていうことになると、3バックではちょっと難しいから4バックっていう選択になると思うし。そこに攻撃的な選手はひ とりでいいっていうんであれば、3 バックの方が後ろのディフェンスの選手は慣れてるし、やりやすいと思います。そこの兼ね合いだと思います。ワントップにするしかないっていうことになっちゃうんで。その辺の選択ってことになると思いますけどね。 中西:後ろの3人プラスα、両翼は、おそらく三都主選手と山田選手になるので、純粋な中盤の選手っていうのは、3-5-2だと3人になっちゃうんですよね。 福田:そうですね。攻撃的な選手がひとりになっちゃうから。 中西:W ボランチ、トップ下ひとりだけが攻撃的な選手になっちゃう。4-4-2だと、少なくともそういう選手がふたり置ける。 福田:そういうことですね。 中西:そういう利点があるのでやっぱり。 福田:中盤にタレントが多いので、それを生かしたいっていう意味で考えると、4バックの方がすっきりするのかなって思いますけど。 中西:もしも、自分が代表チームの監督であればどっちのシステムにされますか。 福田:悩みますね。でもやっぱり3バックの方がいいかなっては思いますね。 中西:もうちょっと役割は整理できる。 福田:そうですね。ひとりひとりの役割っていうのが明確になってくると思うので。そうすると中盤のタレントがうまく使えないっていうことになるので。 中西:共存っていうのは難しいですね。武田さんはどうですか。 武田:福田さんが言ったように、システムは4-4-2だろうと関係ないと思うんですけど、チーム内でうまくバランスが取れた方がいいのかなって。特にどうこうっていうのはないですね。ただ右サイドバックやらせていただいたことがあるんですけど、やっぱりそういった選手とか慣れていない選手は4-4-2の右サイドはすごくやりにくいので、3-5-2の右サイドの方が。代表の合宿でも本当に、三都主選手はすごい攻撃がいいんですけど、逆に裏をやられてて。三都主選手を左サイドで使うのに4-2-2でやるのは、結構監督も悩んでました。例えばそうなることによって中盤の選手を下げたりとか。宮本(恒靖、ガンバ大阪)選手とかは3 バックがやりやすいのかなとかね。 中西:彼は3バック得意ですからね。 武田:そういったところで、オリンピックを見ると何か3-5-2でやってて、ジーコ監督は4-4-2でやってたりとか、そのときの状況に応じてやればいいのかなと思います。 中西:高木さんどうですか。3-5-2 だと。 高木:今現在の選手を見ると、どちらにも対応できる選手が揃ってる。 中西:揃ってますよね。 高木:だからシステムから選手を選ぶのではなくて、こういう選手がいるから4-4-2とか3-5-2とかっていう形を取ると思うので。そういう意味では、どっちもうまく能力的にはできる選手が揃っていると思うんですけど。うーん、相手によって変えてもいいと思うんです。どっちが強いという感じではなくて。例えば初戦のオマーン戦であれば、本当に初戦ということもあって、少しバランスよく全体を埋められるポジションだと、一般的に4-4-2っていう感じの方が。 中西:スペースは埋められますからね。 高木:お互いがカバーリングできるような状況をすぐに作りやすいっていうのはあるし。センターバックが3 枚ですと、どうしても最後にスペースがあって、その辺、サイドの選手がドンドンドンドン上がってきますので、そこをちょっと突かれるイヤな感じっていうのは残るので。相手によってこの辺は変えていってもいいのかなと僕は思います。 中西:福田さん、オリンピック代表が3バックでやってるじゃないですか。全く違うシステムっていうことについては。 福田:あまり好ましくない気はしますけどね。 中西:やっぱりそこは代表チームとリンクしてた方がいい。 福田:やっぱり日本のスタイルみたいなのが確立されてる方がいいのかなっていう気がしますけど。下から上がっていく選手がたくさんいるなかで、システムが変わったりやり方が変わるっていうのは、非常にとまどいもあるし、上がってすぐに活躍するっていうわけにはなかなかいかないと思うので。ただ監督も違いますし、ブラジル人と日本人っていうこともあると思うしね、いろんな考えがあっていいと思いますけど、選手としたらやりづらいような気がしますけどね。 中西:それだったら例えば極端な話ですけど、代表チームに選んでいたメンバー以外で、オリンピックの選手はオリンピックで調整してても、いきなりポッと、大久保選手や石川 選手や茂庭選手のようにオリンピック代表でずっと調整してて、人数がちょっと足りなくなってきたから補充しようってというときに対応はできますよね。 福田:そういうことですよね。 中西:素直に順応できるというか。そういうところもうまく連動してくれると。 福田:それが一番いいと思いますけどね。まあ、今のあり方も悪くないとは思うけど。 中西:どっちがいいとは一概には言えないですけどね。さあそれでは質問9「移動が大変な海外組より、国内の選手で臨むほうがいい」っていうのはさっき話をしましたからね。当然海外の選手も一緒だっていう話はしましたけど。その次、質問10「一次予選は必ず突破できる」。武田さんは「no」っていう札が出てましたけど。 武田:突破できると思うけど、絶対っていうのがないのがワールドカップだから。だってオリンピックもね、パラグアイ代表とブラジル代表がやって、ブラジルが負けちゃいましたからね。それぐらい絶対っていうのはない。質問に“必ず”っていうのが書いてあったんで。 中西:高木さんはこれ、突破してくれないと困りますもんね。 高木:困りますよね。ね、福田さん。 福田:困りますよ。ただね、そんな実力じゃないですよ。ワールドカップ予選を通じてね、アジアで日本がこれだけ強いんだっていうのを証明するチャンスだと思うから。 中西:逆にね。 福田:それぐらいの力を示してもらいたいですよ。それだけの力ありますって。でも、武田も言ってましたけど、何が起こるかわからないのがサッカーですし、スポーツだから、油断はできないですけど、でも大丈夫でしょう。 中西:僕もそう思いたいですけどね。 福田:いくらなんでも。 中西:いくらなんでも一次予選で敗退なんて勘弁してほしいですよ。 福田:それはないと思いますよ。 中西:どうすんだよ、ドイツみたいな。 福田:油断はしちゃいけないけど、大丈夫ですよ。 中西:そういう意味では、最初の試合は一番緊迫するでしょうし、10月13日) にオマーンと試合があるじゃないですか。そのオマーンの試合でもし引き分けだとしても、結構しびれません? そうなったら。 福田:そうですね。 中西:そこまで得失点差がついていればいいですけど。引き分けだけでもちょっとイヤだなっていう。何対何でもいいですから、勝ち点3を取ってくれれば。得失点差は他の試合で広げようと思えば広げられるじゃないですか。勝ち点の差だけは縮められないんで。 福田:初戦なんですしょうね、やっぱりね。初戦、スッと入れれば、もう一次予選は問題ないと思いますよ。 中西:味方となるのはホームっていう地の利、応援でしょうし、あとは埼玉スタジアムのナイターで寒いっていう。オマーンがやっぱり寒いっていうのがあんまり得意ではないみたいですから。この間の韓国との試合もそうですし、しかも日本はナイターだし。6度から4度の間なんです、埼玉スタジアムの午後7時から9時の試合って。その寒さっていうのは逆に、日本の多少アドバンテージになるかなって思うんですけどね。 福田:6万人入るんでしょ。暑くなるんじゃないの。 会場:笑い 福田:じゃあ、あんまり行かない方がいいのかな。そしたらすごい寒いでしょ。 中西:違う意味で寒いでしょ。 福田:違う意味で寒いけど、ね。ライトアップもちょっと暗めにして。 会場:笑い 高木:え、ライトまで暗くするんですか。日本人選手も見づらいじゃないですか。 福田:寒くなるじゃん。 中西:でも、取材してて寒くないですか、埼玉スタジアム。僕座ってて、この間のイラン戦のとき、すごく寒かったですよ。 福田:でも、人が入るのと入らないのとでは全然違うんだよね。 中西:それは違うと思いますよ。 福田:100 万人入ったら結構温度上がると思うよ、1 、2 度。だから8 度くらいかな。 会場:笑い 高木:それでも、オマーンの選手にとったら寒いでしょ。 福田:オマーンが何度か知らないからわからないけど。 中西:少なくとも、もっと暑いと思いますよ、それはね。そして最後、質問11「オマーン戦に負けたらジーコ監督は解任だ」。3 人とも「no」ですけど。 武田:一試合だけでしょ。 中西:はい。 武田:まあ、ジーコ監督はワールドカップに出るっていう目標がありますから、予選で負けちゃったらクビだと思いますけど、最後までね。 中西:予選で負けたら代えるしかないんじゃないですか。 武田:第一戦のオマーン戦で負けてクビにするとか、途中でそういうのは、僕はよくないと思います。 中西:途中で代えない方がいいですか。 武田:第一戦に負けたとしても、万が一ですよ、まだ試合はありますし。 中西:今度のオマーン戦に負けても次があるから。代えない方がいいですか。 武田:代えない方がいいと思うけどね。 高木:僕も結論から言うと、その一試合に負けたとしても、代えない方がいいと思いますね。それだけの準備を普通しないでしょ。協会も、次は誰にするのか。 中西:でも、それぐらいしててほしくないですか。僕はいつも考えててほしいんですけど、やっぱり最悪のことは。考えてて損はないじゃないですか。 高木:そうですけど。損はないけど、得はあまり。 中西:代えてほしいわけじゃないですよ。常に何人かと、接触しておくことは必要でしょうね。ジーコ監督に全部任せっきりっていうのは怖いと思うし。 高木:プレッシャーを与える意味でもね。 中西:そういうのでも、これからコネクションをつけてって、いろんな監督と。僕はある雑誌にもしも最悪ダメだったら、アルディレス(オズワルド・セサール、東京ヴェルディ1969監督) 監督とかだったら日本の選手のことを知ってるから、緊急としてはいいんじゃないのかなって。僕はでも、負けてほしくないですからそんなこと考えたくはないんですけど、はっきり言って。 高木:昔でも協会の人が監督を選考するときに、ワールドカップ経験者、要はオフト( ハンス、元日本代表監督) がダメだったときに、彼がやっぱり経験してなかったっていうのがちょっとあって、経験者がいいんじゃないかっていう話になりましたけどね。 中西:違うじゃないですか、じゃあ。 高木:そういうのどうなってるのかなって思って。 中西:僕わからないですよ。僕に聞かれても協会の人じゃないから。JFA アンバサダーがあそこにいらっしゃいますけど。 福田:どういうこと? 高木:だから監督を選考する基準としてですね、ワールドカップに出た、ジーコは選手として出てますけど、監督としてはないじゃないですか。 福田:監督として出たことがあるっていうことが基準になる。 高木:基準っていうか、協会の人がちょっと言ってたことがあったんで。 福田:はあ~。 会場:笑い 中西:どうなんですか。 福田:どうなんですかね。そしたら日本人だったら岡田さんしかいないでしょ。 高木:それが絶対条件ではないと思いますけどね。 武田:日本ぐらいですよね、こんなに監督が代わらないのはね。 中西:確かに代わらないですね。 武田:海外のチームって3敗すると、ファンが暴動してほとんど解任させちゃうんですよ。日本は例えばJ リーグのチームが負けても、怒らないんで。この間、ヴェルディのアルディレス監督と話をして、「日本とイギリス、何が違いますか」て言ったら、「日本はサポーターがあまり言わないんで、一番過ごしやすい国だ」って。 中西:過ごしやすいかどうかはわからないですけど。 武田:ジーコ監督なんかもうね、相当なお金をもらっているわけです。プロフェッショナルとしてお金をもらっていて結果が出ないのは、僕は絶対にいけないと思うわけです。プロですから。一番びっくりしたのは、この間のイラク戦を見に行って、前半試合を見てて、僕の気持ちなんですけど、0-0 だったじゃないですか、内容もよくなくて。客席から「ブー」って出るかなと思ったら、みんな拍手してたんで、「あれ、みんな文句とかないのかな」って。「みんなお金払ってきてるのに」って感じて。プレッシャーを与えた方がいいのかなって個人的には感じてしまったんですけど。そういったところでもっと厳しくね 、ジーコ監督も結果が求められると思いますけどね。トルシエ(フィリップ、元日本代表監督、カタール代表監督)さんのときはトルシエさんのやり方で頑固にやったけど、結果が出たじゃないですか。トルシエさんが今監督をやっててこういう試合内容だったら、ファンの人、みんな文句言ってると思いますよ、たぶん。だからジーコ監督がやってるってことと、自分の出てほしい選手が出てるからあまり言わないんだと思うんですけど、平等に見てちょっとどうかなっていうのは感じるんですけどね。どうですかね。 福田:それはやっぱりジーコが持ってる、選手のときのアドバンテージていうことなんじゃないかな。 中西:いいアドバンテージですよね。 福田:トルシエには、現役時代のそういうものがないから。いろいろなやり方があるっていうことだと思うけど。ジーコはかなり有利な立場ではやってると思いますけどね。 中西:それでは最後にちょっと聞きたいんですけど、ジーコ監督に、やる前にこれだけは言っておきたいっていうことを一言ずつ。じゃあ、僕から言いましょうか。僕は、早めに決断してほしい。カードを切るタイミングが遅い。それだけを僕は言いたい。我慢することも大事ですけど、90分ですから延長ないですし。カードを切るのをためらっていてうまくいってないシーンが多いので。カードを切るタイミングだけを、思い切って切ってほしい。我慢して我慢して我慢して終わっちゃったよっていうのは、ちょっと僕としては。ここまでの親善試合を見てて、本番勝てばいいと思ってたんで。本番が始まるにあたって、「ああしとけばよかった」っていうのだけは勘弁してほしいなって。「何で何もしなかったんだろう」って。決断をして使わないっていうのは全然いいと思うんですよ、あえて。そこの決断だけ、自分のなかで早くしてほしいなって。 高木:僕はですね、そういう監督がやる仕事に関しては人それぞれあるんで特にないんですけども、長い予選が始まるんでね、最後まで本当に何が起こるかわからないのがサッカーだとよく言われるし、何が起きても自分たちの力と、そしてジーコ本人の力を最後まで信じて戦ってほしい。 中西:そうですね。武田さんは。 武田:内容とかよりもワールドカップに出るためにジーコはやってるわけですから、そこまでとにかく連れてってほしいですし、あとは選手の気持ちとしてドーハのときは誰がどういう役割でっていうのははっきりしてたと思うですよ。こうなったらたぶんここで中山(雅史、ジュビロ磐田)が出てくるなとか、サイドバックはこうなるっていうやり方がしっかりしてて、選手の役割も、そしてチームが一つになってて、すごいうまくいってたと思うんで、明確にシステムとか役割とか。選手が困っちゃうといけないんで。選手も自分の役割はたぶん後半からだなとか、高さが必要だったら、自分は高さで出るんだなって。選手もはっきりして、もうちょっとうまくやってほしいなって。 中西:福田さんは。 福田:一つだけ。コンディショニングのいい選手を使ってもらいたい。名前でサッカーをするわけじゃないんで、本当に。今までは親善試合なんで、いろいろそういうことではいいと思いますけど、これからはしっかりとコンディションを、選手のコンディションを見定めて、コンディションのいい選手を選んで使ってもらいたい。それだけ。 中西:あとは選手たちにいいコンディションで頑張ってもらって。 高木:ジーコですからね、監督がね。ワールドカップには出てほしいですよね。選手としては出てるわけですけど、異国の地で日本代表の監督としてワールドカップの舞台に立つってかっこいいじゃないですか。 中西:やっぱりこのままこのメンバーで、いろいろあると思いますけど、苦しんだりはすると思いますけど、出てほしいっていうのはみんな思っていますからね。頑張って下さい。さあここからは質問コーナーにいきたいと思うんです。ぜひともせっかくですから質問していただければと思います。さあ、どうぞ。 客:僕は個人的なことからなんですけど、今日は福田さんのファンで来ました。ご質問なんですけど、中西さんも含めて、皆さんが代表監督を選べる立場だったら、ジーコ監督も含めて、誰を選びますか。 中西:僕はベンゲル(アーセン、プレミアリーグ・アーセナル監督)。ベンゲルがいいです、知ってるから。 会場:笑い 福田:そうなるよね。たぶんみんなベンゲルって言うんじゃないかなと思いますけど。日本でそれだけの実績を残してるし、日本のことも理解してるし、なおかつプレミアであれだけの仕事をされてる方で、それだけのものを持ってるからね。 客:日本人では。 福田:ワールドカップに出たことのある監督がいいんじゃないですか。 会場:笑い 福田:当然、去年、成績を残してますし、今選べって言われたら、岡田さん以外ちょっと浮かばないんじゃないですかね。日本人であれば。実績とか、経験とか言うと。 高木:僕はそういうのをなしにして選ぶとすると、原(博実、FC東京監督) さん。 中西:原さん。何でですか。 高木:意外に攻撃的なサッカーでおもしろいかなと。 中西:スペイン好きですよね。 高木:そう。それだけです。 中西:武田さんは誰かいますか。「俺」とかいうのもありですよ。 武田:やっぱり岡田さんでしょうね。結果を出してますから、結果が全てだと思いますから。岡田監督がいいと思います。 中西:僕は冗談じゃなくて、中田英寿選手に監督をやってほしいなって、いつか。あれだけ選手で経験もあって、実績もあって。戦術的にも理論を確立されてるし、選手なのに全体を俯瞰して見られるような分析力はあるし。日本がワールドカップで優勝するとき、中田英寿選手が監督なのかなっていう気がしますね、僕は。はい、よろしいですか。 客:ありがとうございました。 中西:ちなみにベンゲル監督はやらないと思います。可能性は現在0ですね、おそらく。僕に言ってた話だと、まだクラブチームの監督しかやらないです。代表チームの監督ってやっぱり年齢のいった方がやるっていう、彼のなかでイメージがあるので、バイタリティがあったり、自分自身が動けるうちは、クラブチームで毎日選手を指導したいと。一緒にボールを蹴ってますからね、たまに。あんまりうまくないですけど。でも、まあ今はないと思いますね。もうちょっと時間がかかりそうな雰囲気ですね。 高木:スタジアムも作りますしね。 中西:お金ないお金ないって言ってたんですけどね、レジェス(ホセ・アントニオ)をいきなり取って、39億円払ってましたけどね。でもまあ、今はちょっとないんで。ただはっきりと明言してるのが、フランス以外のチームだったら日本の監督を一番やりたいって言ってました。それは僕にもはっきり言ってたし、彼自身語ってるし。間違いないんじゃないですか。フランス代表の監督のオファーが来てるんですけど、やりたくないって言ってました。「何で世界チャンピオンのチームをやらなきゃいけないんだ」っていう気持ちが強いみたいで。「日本の方がおいしいじゃないか」ってリアルなことを言ってました。じゃあ、次の質問にいきましょう。どうぞ。 客:福田さん、大好きです。 会場:笑い 中西:いきなり、もう。もう今日ね、おもしろかったんですけど、始まる前にね、武田さんがチラッと舞台の袖から来ている人を見て、言ってましたもんね。 福田:何て言ってたんだっけ。 武田:「男の人たちはたぶんみんな福田さんのファンだと思うよ、レッズのファンの方がたぶん来てると思うよ」。 中西:って言ってましたもんね。どうぞ。 客:18日からオマーン戦、ワールドカップ一次予選が始まりますが、ついこの前のイラク戦で日本代表が2得点して、無失点で抑えて。結果としてはよかったんですけど、内容はたぶんあんまりよくなかったと思うんですよ。それで、もうすぐ始まるってことで、今の日本代表の完成度として、皆さんが考えるので何点ぐらい付けますか。 中西:完成度。でも僕は、「いやあもう完璧だぜ」っていう状態で入るよりは、ダメな方がよかったと思いますよ、ダメな方が。でもあれがいい方向に働くんじゃないかなって個人的には思ってますけど。高木さん。 高木:完成度っていうのはまだまだで、これから進化していかなきゃいけないし、伸びていかなきゃいけない部分がいっぱいあると思うんですよね。まあ、ワールドカップの予選が全てではないですからね。そこの先がやっぱり最終的な目標だと思うので。 中西:ワールドカップが。 高木:だからそのために少しずつチーム全体が、そして個人ひとりひとりがうまく育っていけばチーム全体も大きくなっていきますからね。そのなかでいろいろ経験するもので強くなっていくところがあると思うので、60点、70点ぐらい、70点ぐらいですね。 中西:武田さんは。 武田:60点か70点ぐらいだと思いますけど、1週間前のああいった試合っていうのは、選手としてはケガもしたくないし、結果も出さないといけないんで、非常に気持ち的にはやりにくい。1週間前の試合だったのかなっていうのを考慮しながら見てたら、ああいう試合になっちゃうのかなって。まあ60点、70点ぐらいですかね。 中西:確かに選手の立場からしたらやりにくいでしょうね。 福田:1週間後の試合を考えてのトレーニングゲームっていうこともあるし、ヨーロッパから誰が帰ってくるかもわからないし、難しいコンディションで、ケガっていうこともあるし。その辺では難しい試合だったと思います。その相手に関して言うと、イラクはかなり手強かった。 中西:手強かったですね。 福田:激しい相手ですから、中東で。だからああいう試合になってしまったのかなっていう感じはしますけど。まあ、1週間前だったのでよかったって見た方がいいんじゃないですかね。いろんな悪いところが出たんで、それを修正する時間が1週間できたっていうね、これは大きいと思いますけどね。一番大切なのは、今置かれている目標として初戦のオマーン戦、18日ですから、そのことを考えればそんなには。何て言うのかな、危機感を持つ必要はないのかなって思います。慌てる必要はないってことですね。 中西:福田さんに何か言いたいことがあれば。好きです以外で。 客:田中達也(浦和レッズ)選手はどうですか。代表に。 福田:いや、代表は慌てなくていいんじゃないですかね。オリンピックでしっかり仕事をして、実力を認められて入ってくればいいと思います。たとえ今入ったとしても、出番はないでしょうし、なかなか。そういう意味ではしっかりと実績を積んで、そしてジーコが必要だって言って、それで入ってくるっていうのは非常にいいことだと思いますね。 中西:よろしいですか。ワールドカップ予選に向けて、最後に皆さんから一言。 高木:久しぶりにワールドカップの予選があるっていうことでね。これから段々皆さんもそして僕らも伝える側として盛り上がっていくと思います。何があっても日本チームを信じて応援していきましょう。 中西:ありがとうございました。 会場:拍手 中西:そして武田さん。 武田:今日はありがとうございました。本当に選手は頑張ると思うんですけど、サポーターの人たちとかファンの人たちの声援は選手の励みになると思うので、ぜひみんなですね、日本代表を応援して、またドイツワールドカップに行けるように頑張りたいと思います。そしてこの3人がまたどこかでピッチで戦ったらもっとおもいしろくなるなと思うので、何十年後かに会えるように頑張りたいと思います。今日はありがとうございました。 会場:拍手 中西:福田さん。 福田:今日はありがとうございました。予選とかいろいろあると思うんで、楽しいと思いますから、楽しんで。そして興奮してサッカーを見てください。応援してください。僕をじゃなくて、チームを、サッカーを応援してください。以上です。ありがとうございまし た。 中西:ありがとうございました。 会場:拍手 中西:今日は本当にありがとうございました。今日のゲストは福田正博さん、武田修宏さん、高木琢也さんでした。どうもありがとうございました。 会場:拍手 中西:あっという間の2時間。さっき高木さんが言いましたけど、ワールドカップ予選って久しぶりなんですよね。もう思い返せば'97年のジョホールバルで日本がイランに延長Vゴールで勝ったときから予選をやってないんですよね。他のヨーロッパの国々とか南米の国々の人たちは、ワールドカップの本大会も楽しみにしてるんですけど、予選も本当に楽しみにしていて、徐々に気持ちを盛り上げて、ワールドカップに向かっていくっていう楽しみ方をしてるんですね。日本はたまたまホスト国となって逃れることができたわけで、本当に死力を尽くした、選手たちにとっては本当に厳しい戦い。先ほど福田さんも言ってました、高木さんも武田さんも、皆さんワールドカップ予選を経験されてる方ですけど、僕は経験してないんでわからないですが、本当に厳しい戦いなんで、ぜひとも皆さまの応援と皆さまの声援、そして信じる力が日本代表に対する想いっていうのが絶対に選手には伝わると思いますし、それはテレビの前だろうが、競技場のスタンドからであろうが、パワーを送ってですね、勝ってほしいっていう気持ちを共有して、また2002年のワールドカップのときのような盛り上がりがこれから少しずつ出てくると思いますね。何とか日本代表を選手たちだけじゃなくてみんなで戦って、ワールドカップに行きましょう。そして、アテネオリンピックの最終予選。同時にそういう代表の選手たちっていうのは、J リーグから供給されているわけですから、J リーグにもぜひとも足を運んでいただいて、ひとりでもふたりでもサッカーのファンを、近くにサッカーが好きだっていう方がいらっしゃれば、その方を連れて、いつも言ってるんですけど、ひとりでも多くファンの方を増やしていいただれば僕はうれしいです。本当にサッカーはすばらしいし楽しいスポーツなんで、サッカーっていうものをワールドカップを通じて、J リーグを通じて日本の隅々まで行き渡らせていきたいなと僕も思いますし、ぜひ皆さんにもその力をお借しいただきたいなと思ってます。ありがとうございました。 会場:拍手 取材・文:CREW 撮影:田中秀宏 |
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