安岡:そういうなかで、僕はやっぱり今回、大久嘉人(セレッソ大阪)選手が呼ばれたのが。本当に呼んでほしかったんで。Jリーグで点を取ってるっていうことはすごいじゃないですか。チームはちょっとアレですけど。そういう意味では呼んでほしいと思ってたのが、今回呼ばれたんで。それが一番うれしかったですね、今回のメンバーで。 井原:僕は、そうですね。ふたりぐらいいるかな。ひとりは左サイドで。左サイドって三都主(アレックス、浦和レッズ)がいるんですけど、三都主以外はなかなか、淳(三浦淳宏、ヴェルディ1969)が入ったりしてますけど、層が薄いんで、村井(慎二、ジェフ市原)とか試してほしい。それとセンターフォワードで、大黒将志ってガンバ大阪にいるんですけど。日本人で20点取ってる。 中西:しかもハットトリックもありますからね。 井原:エメが23点で、あと3点なんですよ。日本人で20点取ってるから。結果を残してますからね、一度呼んで試してみてほしいなって。 中西:で、ワールドカップ最終予選の話になるんですけど。質問7「最終予選に向けて、少し不安がある」。これはどうですか、不安は。 安岡:僕が一番不安なのは、本当に今、呼んでいるメンバーだけでいっちゃうのかっていうことですよね。新しいメンバーをもう試さないのかと。それこそもしこのままドイツに行けたとして、それまでもずっと試さないのか。試すタイミングがまさに今回だと思ったんですよ。最終予選に入る前の最後の試合だから。でも今回でも大久保選手しか呼ばれなかったことで、何で試さないんだろうというのがすごくあるんですよね。 村上:今回ちょっと「えーっ」と思ったのが、「オイオイちょっと、オリンピック代表チームは無しかい」みたいなこと。あのなかで当然、あの年齢の選手がA代表に残れる選手が残ってないんだったら、何でオリンピックをあんなにみんなで一生懸命応援したのよっていうことにもなるじゃないですか。 中西:つながっていってない部分は多少、ありますよね。 村上:つなげてよみたいな。大久保選手が入ったことで、やっぱりアテネで点を取ったっていうことがすごい大きかったと思うんですけど。それこそオリンピックにあんなに予算をかけてるのは日本しかないわけじゃないですか。 安岡:アジアカップそっちのけで行った感じがありますよね。 村上:世界一でしょ、たぶん。 井原:世界一ですね。 村上:オリンピック代表に予算とか、いろんな条件とか組んでるのは。間違いなくそうですよね。それが「ちょっとあれ、何だったの」っていうのが、今回のメンバー発表。試したい選手がいないんだったらいないって先にジーコ言っとけよってぐらいに思ったんですよね。だってあのチームは一切、活動しないわけじゃないですか。オリンピック代表チームは絶対にないわけじゃないですか。あのチームのコンビなんか、どうでもいいわけじゃないですか、今さらああだこうだ言っても。単体、もしくはペアで使う関係というのが代表に生きないんだったら、何であんなに一生懸命応援したのかという気持ちになる。最終予選でいきなりそれが来るのも考えにくくて。今回は入れてほしかったなっていうのは。 中西:例えば、闘利王(マルクス、浦和レッズ)選手とか今野(泰幸、FC東京)選手とか阿部(勇樹、ジェフ市原)選手とか田中達也選手とか、そのあたりの選手は呼ばれても。 村上:呼ばれてもいいんじゃないっていうのが。 中西:そういう気はちょっとしましたね。それに行くことによって、雰囲気もね。 井原:そういう競争させたり、雰囲気を味わわせるだけでも違うと思うんで。そのへんはまだ、融合がないですね。 中西:日本選抜がハンガリー代表と国立でオリンピックの50周年、40周年の試合(2004年10月10日、国立競技場、日本選抜1-2ハンガリー選抜)かな、あったんで、僕はあのときのメンバーが少し代表にスライドするのかと思ったんですけど。それがスライドしなかった。それはちょっと残念だったという気がしますからね。安岡:2006年まで、今のメンバーがどの状態でなるかわかんないじゃないですか。年齢のことが問題ある選手もいるし。そういう意味では、今のメンバーだけで大丈夫なのかっていう不安がありますよね。別に若けりゃいいってわけじゃないと思うんだけど。 井原:バックアップの部分の不安は確かにありますよね。だからもし宮本(恒靖、ガンバ大阪)がケガしちゃったら誰が真ん中をやるのっていうところであったり。そういう部分も補強ポイント、選手層を厚くしておく必要はあるのかなと思うんですよね。 村上:田中達也選手も、Jリーグで点をすごく取ってるときに呼んであげればよかったなって思ったんですよ。A代表でチャンスを生かせるかどうかまだ全然わからないと思うんですけど、観てる側としてはやっぱり、日本人でJリーグで20点取ってる。10点以上取るって相当大変なことだと思うんで。そのときに呼んでほしいなって。 井原:活躍したその時期の代表に呼ばれて行くっていうのが一番いいケースなんで、そういう部分は必要かなと思いますよね。 中西:それと最終予選に出てくる国がある程度決まってるところがあるんですが。ウズベキスタンとか、日本もそうですけど、あとは北朝鮮。 井原:サウジ、イランみたいな感じでしょう。 中西:サウジ、イラン。そうですね。あと、韓国。中国は厳しいです、ほぼクウェートで決まり。 井原:バーレーン。イヤだね、行きたくないね。 中西:この間のアジアカップで日本代表が対戦したチームが結構いるんですけど、90分以内で勝利したチームって結構ないんですよ、実は。延長に入ってPKで勝ったりとか。そういうことを考えると、イランにも引き分け(2004年7月28日、重慶、日本0-0イラン)でしたし、バーレーン(2004年8月3日、済南、日本4-3バーレーン)も90分では引き分け、ヨルダン(2004年7月31日、重慶、日本1-1ヨルダン)もそうですし。だから不安はアウェイ。中立国ではやってますけど、じゃあ日本で勝てるのかというとちょっと不安ですよね。しかも韓国と同じ組にならないってもう、決まってるじゃないですか。韓国以外のチームだったらもうたぶん中東のチーム。あとはウズベキスタン。 井原:それか北朝鮮か。それから、また予選が2月、3月、5月と、1カ月半おきぐらいに飛んで行われるんで。 中西:2月がまた一発目、イヤですよね。 井原:調整がすごく難しいと思うんですよね。海外組の選手とかも招集すると思いますけど、向こうはシーズン中じゃないですか。だから呼ぶ期間が限られて、合宿できる時間が何日か前にしか合流できないなかで、日本の選手たちもまたオフ明けで、2月に調整してっていう分では、一つになるのは難しいと思うから。一次予選のときとはまた相手が違う。簡単に勝てる相手は一つもないと思うんですよね。 中西:たぶんないですよね。一個もないですよね、簡単に勝てる相手は。 井原:だから毎試合、チーム状態をピークに持っていって。4チームのうち2チームはワールドカップに必ず行けるんで。そのへんは少しは楽ではあると思うんですけど。3試合勝てば行けると。ホームだけ、3試合を絶対に勝てばワールドカップに行ける。 中西:可能性は高い。 井原:高いという、そういう勝ち点の計算をしておけばいいかなと思うんですけどね。 中西:一次予選は1 チームしか抜けられなかったから、ミスを1 個したらアウトじゃないですか。そういう怖さがあったんですけど、今度は8チームの4チームですからね。2つに割って、4チームのうちの2チームで。 井原:もしそれがダメでも、3位になった場合に、3位同士でプレーオフやって。 中西:それで勝ったチームが、北中米カリブ海のチームとプレーオフをやって勝ったら、そこもワールドカップに出られるんですよ。 村上:なるほど。そういう4.5枠っていうことが、ワールドカップで韓国がベスト4、日本がベスト16に行ったことで獲得できるのが、こういう予選に生きてくるんですよ。 井原:4.5も行けるんですよね。 村上:自分の国でやったのにお前ら勝てなかったじゃねーかよってことになると、簡単に、「アジアは2つ」とかで。 安岡:ドーハのときって、2だったんですよね。 井原:ドーハのときは2です。その前のイタリア・ワールドカップのときも2です。アメリカ・ワールドカップのときに2で、サウジと韓国が出場して、サウジがベスト16に入った。それで、フランス・ワールドカップときは3.5になったんですよ。 中西:3.5だったら行けたんですよね、あのときね。 井原:だから日本はまだ2 位以上になったことはないんですよね。ドーハのときも3位だったんです。フランスに行ったときもジョホールバルで3位だったんです。 中西:3位で抜けたんですよね。ドーハのときも3.5だったら行けたんですよね。 安岡:ぶっちゃけあのときも、もし4なら行けてたし。 中西:3でも行けてたし。 村上:実はそういうからくりじゃないけど、そういうことが関係してるんです。だから今回もすごくいいんですよね、環境がね。 井原:次のドイツ大会に行ってアジアのチームがしっかり勝てば、この枠はそのまま継続されますけど、みんな予選で負けちゃったら、次の南アフリカ大会のときにはまた2.5とか2とかに減ってしまう。 中西:2.5はきついですね。最低3はないと。4でもギリギリかなって。 村上:ほら、2002年ワールドカップでサウジがドイツに8-0ぐらいでやられたじゃないですか。ああいうことがもう一試合、韓国と日本で起きてたら。フランス・ワールドカップでヒディンク(フース、オランダ・PSV 監督、元韓国代表監督)が率いていたオランダに、韓国がめちゃめちゃにやられましたよね。 中西:5-0ですよね。 村上:5-0ぐらいで負けて、「やっぱりダメだアジアは」みたいなことがあったけど、そのヒディンクが韓国に来て、ああいうことをやるわけですからね。サッカーの縁って恐ろしいですよね。そういう意味ではね。 中西:さあ質問8「ジーコの采配に疑問を感じることがある」。井原さんは「no」。 井原:はい。 中西:「yes」って挙げてましたね、ふたりはね。 安岡:やっぱり選手をどんどん見たいっていのがあるから、とにかく交代させてくれよ、みたいな。交代しないのを説明してるのを聞くとわかるんだけど、でも明らかに疲れてて、まだまだ選手もいっぱいいるのに何で出さないんだと思うときがあるんですよね。 中西:でもそれは、交代のタイミングが多少遅いというのは。 井原:前からですけど。動くケースが増えてきましたけどね。でも実際、動いたときって、出した選手が必ず活躍してるんですよ。采配はとりあえず僕は、信頼してるというところで、「yes」。 中西:井原さん、腑に落ちないんじゃないですか。 井原:でも、結果が全てですからね。選手たちも試合に出れなかったりするけど、監督が代えて使った選手が結果を出して、試合に勝ってるから、勝率もすごいいいんですよ。そういうときは、監督を選手たちは信頼するから、出られないけど我慢して、チームの雰囲気を盛り上げてという感じでは、みんなやってますから。不協和音が出ちゃうとチームのなかがバラバラになっていくんですけど、今の代表はすごいまとまってますんで。 中西:めちゃくちゃまとまってますよ、本当に。この間、藤田選手と話したときにも、福西(崇史、ジュビロ磐田)選手も言ってたんですけど、「まとまってる」って。 村上:昔のチームは一触即発でしたか。 井原:いや、一触即発っていうよりも、まとまらなかった。まとまらないような個性の強い選手がいっぱいいたから。まとめようと思うと無理ですね。自然にまとまってる。 村上:そうですよね。プレーで見せるっていうことしかないですよね、キャプテンのというか、信頼させる求心力みたいなところは。 井原:そうですね。あとはやっぱり、選手ひとりひとりがそういう高い意識を持って。やっぱり目標があるとそれに向かっていくんで、そんなにバラバラにならないんですよね。結果が出ないと、そういう方向にちょっと走りやすくなるから。 村上:なるほど。以前の方が、代表選手の年齢が高かったですもんね。 井原:ファミリー的な要素は、前の方が高かったですね。一つ、これをやるぞって言ったら、みんなが付いていかないといけないような怖い人がたくさんいたんで。 中西:誰ですか。 井原:顔の怖い人もいたし、ちょっと日本語が下手な人もいたし。 安岡:「井原、飲むよ。飲むよ、井原」。 井原:そうですね。そしたら「行きます」って言わないといけないんで。 安岡:でも、本で読んだんですけど、井原さんがフランス・ワールドカップ予選のときに、アウェイのホテルで「みんなで一回、ちょっと飲もうよ」って言って、選手が集まって飲んだっていうのを読んだんですけど。キャプテンとして。 井原:よく知ってますね。やっぱり負けて、監督が、加茂(周、現解説者)さんが辞めたときで。雰囲気的にもすごい悪いときだったので、やっぱりもう一度選手みんなの気持ちを一つにして戦わなければいけないときだったので、ちょっと酒でも飲んで。予選中なのにね。そんなことをしてていいのかと思いながら、でも飲まなきゃやってられないような状況だったんですよ、あのとき。 安岡:でもそこで「やろうよ」と言うのがキャプテンだし、ね。ベテラン選手の。 井原:全員が集まってそうやって飲んだりするときって、あんまり今の代表はないと思うんですよね。まあ、仲のいい奴は何人か集まってっていうのはあるかもしれないけど。 村上:だってゴスペラーズ5人だってないですからね。終わった後の飯は一緒ですけど。 安岡:飯だけ一緒なんです。だけど休日とかに集まったりはしないです、やっぱり。 村上:代表選手だって試合が終わった後は、食事は一緒ですよね。次の日コンサートないから飲み行こう、みたいなときはあるけど、5人で同じ店に行くことはないですね。それは代表チームもそういうことだと思うんですけどね。 中西:それはサッカーと同じですね。みんな一緒に行くのは珍しいですからね。行けないしね、11人いっぺんに。 安岡:僕らもそうなんですよ。バンドさんを合わせると11人なんですよ。全員では、お店に入れないっていうのもあるんですけどね。 井原:昔の代表は、そういうのがしょっちゅう、あり過ぎるぐらいありましたから。 中西:あったんですか。 井原:今日は「武田の日」とか言って。 安岡:ユニフォームの色がちょっと統一されてませんか。 井原:「武祭り」とか勝手に名前付けちゃって。「カズナイト」とかね。 安岡:真っ赤なスーツで、カズ(三浦知良、ヴィッセル神戸)さん、やっぱり出てくるんですか。風船のなかから、バーンとかって出てくるんですか。 井原:いやもう、ノリというか、みんなで騒いでっていう感じでしたね。 村上:だってカズさん、踊りとかがすごいっていう話じゃないですか。 井原:カズさんのショータイムを見てるような。 中西:この間、僕、行ったんですよ、「カズナイト」。たまたま僕の家の前の飲み屋で違う人の誕生日会に出てたんですけど、そこの誕生日会にカズさんが来て。カズさんに「行くぞ」って言われて、いっしょに付いていって、「カズナイト」、体験しました。 井原:すごいでしょ。あのパワーはすごいよね。腹筋とか、仮面ライダーだもんね。 中西:本当にそうです。で、僕がサザンの歌を歌ってたんです。すみません、ゴスペラーズの歌じゃなくて。歌ってたらいきなり前から人が入ってきて、僕、おでこをパーンッと叩かれて。誰だこの人だって思ったら、田原俊彦さんだったんですよ。人生で5大衝撃のうちの一つぐらい。「うわーっ」と思って。だって僕、そういう世代ですから。 井原:カズさん、トシちゃんを崇拝してるから。カラオケは田原俊彦だけだから。 中西:「抱きしめてTonight」とか。 安岡:チャッチャラ~、チャッチャ、チャラ~だ。 中西:そう。しかも、ふたりで一緒に歌ってた。超アリーナだよ。だって僕は田原俊彦さん知ってますけど、僕のことを知ってるとは思わないじゃないですか。いきなり「何、歌ってるんだよ、中西!」って言われておでこをバーンッて叩かれて。ちょっとうれしかったですけど。びっくりした。そんな感じですよね、「カズナイト」はおそらく。飲むものはテキーラだけっていう。僕、テキーラしか飲まなかったですからね。 村上:今の代表の雰囲気で、そういうのは絶対になさそうですね。「久保ナイト」とかあったらすごそうですね。 井原:「久保ナイト」はたぶん、焼酎かなんかで。 安岡:焼酎ね。「今日は飲んでたらよかと」とか。優しく言われちゃったりして。 村上:「玉田(圭司、柏レイソル)、点取れ」とかってね。 中西:「井原さんナイト」はないんですか。 井原:なかったです。僕は付いていく方でしたね。 中西:「都並さんナイト」もすごそう。 井原:柱谷哲二(元日本代表、浦和レッズコーチ)さんとか。松永成立(元日本代表、京都パープルサンガGKコーチ)さんとかいて。もう、そろそろ帰りたいな、もう4時だよと思うこともあるじゃないですか。そういう時はガンガン飲ませてそろそろ帰りたいなって飲ませる。ところがどんどん元気になっちゃって、どんどん目が冴えて終わらなくなっちゃうんですよね。 中西:何時ぐらいまでですか。 井原:僕は早く帰ることが多かったですけど、朝までいることもありました。次の日、何もないときは。 中西:大体、次の日、休みですよね。 井原:そういうときにしか行かないです。 中西:最近そういうの、ないですよね。選手とかみんなで試合が終わった後。 井原:何人かでは行ってると思いますけどね。 村上:管理も厳しいんですよね。 安岡:飲まないっていう選手も多いですからね。 井原:多いです、多いです、今は。 中西:昔、写真週刊誌とかあったら大変でしたね。朝まで飲んでるところ撮られちゃって、「代表選手が!」って。 井原:代表の合宿中には行かなかったですけどね。 中西:当然、そうですよね。それぐらい今はもう公人というか、みんなもう、いつも狙われてるって言ったら変ですけど。かわいそうですよね。常に私生活も管理されて。 井原:そうでしょうね。携帯とかでもすぐ写真が撮れちゃうしね。昔はだって、カズさんが初めて携帯を持ってきたときは、どこのこんなでかいトランシーバーだよみたいな。 安岡:弁当箱みたいの持ってましたもんね、昔はね。 村上:でもやっぱり、携帯を最初に持ってきたのはカズさんだったってことですよね。 安岡:そのへんがさすがだね。 井原:そうですよ。何でもカズさんが持ってきたものをみんな、次の選手が追いかけて。俺も、俺もっていう、そういう時代でしたからね。 中西:カズさん、時代を引っ張ってましたもんね確実に。そう考えるとカズさんすごい。 村上:そういう流れを作ったのは、間違いなく、カズさんですよね。 井原:Jリーガーに夢を与えてた。 安岡:Jリーガー自身に夢をね。 中西:では質問9「最終予選は、別の監督で戦ってほしい」。これはまあ、ちょっと。 村上:今さら、何を言ってるんだっていう。 中西:質問10「日本代表選手の技術は、アジアでも飛びぬけている」。これは「no」と言ってる人もいましたけど。 村上:「no」ですよ。 井原:僕も「no」。 安岡:僕は「yes」かなって思ったんですけど。 井原:飛び抜けてとまではいかないでしょ。今はどこの国でも強化しているし。 中西:今は結構ね、ヨーロッパに行ってる選手もいますもんね。 井原:そうです。だから中東とかもやっぱり技術的にはすごくレベルは高いし、まだ飛び抜けてるとは言えないのかなって思いますけどね。 村上:トップスピードになれば当たり前ですけど、パフォーマンスは落ちるわけですよね。そこでの落ちがやっぱり。意外にアジアの無名の選手でも、中東の選手とか、たまにすんごい選手がいると思うんですよ。トップスピードで、切り替えしであったりシュートであったりキックであったり。日本の選手っていうのはボールを扱うのはもうめちゃくちゃうまいじゃないですか。だから僕はえらそうなことを言ってるんじゃなくて、もう一歩、そのスピードに乗ってる状態のそういうプレーがもっとすごくなると楽しいのかなと。 井原:そこが、世界との差なんですよ。世界のトップレベルの選手ってもう、自分が全速力で走っていても、普通のようにプレーができるんですよね。でも日本の選手は、本当にスプリントかけたときにはまだブレたりする。精度が落ちるんですけど。外国のトップ選手はもう。 中西:トラップですよ。全速力で走っているときのトラップ。 井原:アンリ(ティエリ、イングランド・アーセナル、フランス代表)とか。 村上:接着剤付けてるみたいなね。 安岡:編集したのかっていうぐらい。 中西:ボールがピタッと止まって。 村上:たぶん難しいボールを止めてみろって言われたら、日本の選手、ものすごいと思うんです。だからそれがプラス、スピードってことになると。 中西:トップスピードになるとね。 村上:そういう要素が入ったときに、ね。そこがもっとすごい選手が出てくることを期待したいっていうことだけなんですけどね。そうすると観ていても、もっとダイナミックさが増えるかなって。 井原:そうでしょうね。 中西:スピードでしょうね、これからは。そして質問11「日本代表は、最終予選をトップで通過する」。トップじゃなくても通過してほしい気持ちですけどね。 村上:順位なんかどうでもいいっちゃあ、どうでもいいんですけどね。 井原:そうですね。でも1位でもう早々と決めてほしいなっていう気持ちはあります。 中西:1位だと要するに、各組の1位、2位がアジア1位、2位になれるじゃないですか。それを考えると、トップ通過だと1位か2位だから、そうなってほしい気持ちは多少、ありますよね。 安岡:なるほど、そうですね。そのあとの組み合わせを考えるとね。 中西:あとはコンフェデレーションズカップ(2005年6 月ドイツで開催)が第6戦と第5戦の間にあるんで、5戦までに決めておくと、ドイツがいいシミュレーションになる。 村上:あ、そうかそうか。日本はブラジルと同じ組なんですよね。 中西:コンフェデレーションズカップに危機感を持っていくよりも、「来年、ここドイツに来てやるんだ」という気持ちを持ってドイツに行くのとは、全く違うじゃないですか。 井原:ここで戦うんだなという感じで行くと全然違うと思うんですよ。 村上:上の空になっちゃわないとも限らないですもんね、本当にシビアな状況だと。 中西:それで最後の試合で決まっちゃうという状況だと、そこがまたちょっと違った意味合いになっちゃうんで。第5戦までにビシッと決めて、コンフェデに行って、第6戦目は、ワールドカップ本大会に向けた戦いにしてほしい。 安岡:5つのうち3つ勝っておけば大概決まるってことですよね。 中西:それまでいけば、たぶん大丈夫じゃないですかね。ほぼ決まると思います。 村上:でもワールドカップ予選ですよ。だってほら、天国も地獄も見てるっていう。 中西:井原さん、そうですもんね。 村上:2002年のワールドカップ、何がつまらなかったかって言うと、予選がなかったことなんですよ。こんなこと言うと不遜だけど。 中西:予選が一番おもしろいんですよ。 村上:予選が一番おもしろいんだから。チームのパフォーマンスの差があるし。いろんな要素があるから。やっぱり、ドーハもジョホールバルも、いいことも悪いことも含めて、本大会もすごかったんですけど、2002年のフランスもアレだったんだけど、予選のときの気持ちのジェットコースターぶり。あれですね。 安岡:その日を迎えるこう、ハラハラ感みたいなのがありましたよね。 中西:「もうダメかもしんない!」みたいなね。 村上:あの気持ちにまたなれるのかって思ったら、ドキドキワクワクで。 井原:また長いですからね。2月からもう何カ月もかけてですからね。最後はプレーオフまで入れたら9月頃までになっちゃうんで。今までは短期集中だったじゃないですか。ドーハのときも何週間のなかで決めてたし。ジョホールバルのときも、3カ月ぐらいでパッとやったんで。今回は毎回毎回、月ごとに変ってきますから。すごく長丁場ですし、ピークに合わせるのは難しいし。そのなかで、そういう部分を高めながらやっていくおもしろさはあると思うんですよ。これからは絶対、こういう予選がスタンダードになってくると。アジアだけがこういう形じゃなかったから。他の地域はこういう形でやってるから。 中西:元々そうですもんね。国際Aマッチデーという日が定められていて、その日しか、国際試合はできなかったんですね、代表チームは。そういう日にアジアも当てはめるようになってきたので。今までアジアは別にやっていたところがあるんですよね。 安岡:シーズンのサイクルが違うからね。 中西:だから今度からこうなるんで、たぶんそういう楽しみ方ができるのは。 村上:もちろん、最初に3勝とかしてくれれば、それはそれでうれしいですけど。 中西:また、こういう話は近い将来、来年、できるといいですね。「しびれるねー」みたいな感じで。「もうダメかよー」じゃなくて。では質問コーナーに移ります。サッカーの話に限っていただいて。 客:先日のオマーン戦で監督の通訳が退場になった瞬間から、私、見たんですけど。 中西:鈴木(国広)さんですね。 客:そのときにアナウンサーが「監督の言ってることが、これで全然もう選手に伝わらなくなってしまいました」と実況で言ってたんですけれども、普段から、ものすごいスタジアムの騒ぎのなかで、監督が飛ばしてる指示はどの程度伝わっているものですか。 井原:たぶん、監督が出て行って、一番近くの選手にまず伝えるんで、ある程度伝わっていると思います。だからこの間、通訳の人が退場したときには左サイドに三都主がいたんで、三都主に指示を出したり、あとは誰かを呼び止めて、「こっちに来い」と言って、アウトオブプレーになったときに、その間に誰かに指示を出したりっていう部分では声は通るんで。そういうときに指示をしますけど、普通にただ、試合が流れてるときに指示を出しても全然聞こえないと思います。 村上:そこから付随して、おふたりに聞きたいんですけど。判断ってあるじゃないですか、試合の。例えば1-1 で後半35分まで来ました、と。勝った方がいいのか、負けない試合をするのか。よく、解説とかで。 安岡:「引き分け狙いですね」みたいなね。 村上:引き分け狙いということは、それから試合時間がある以上、負けるかもしれないってことですよね。点を取れば負けないわけだから。どんな場合であれ、勝った方が悪いっていう方向はなかなかないと思うんですけど、でも引き分けでこの試合は終わらせた方がいいんじゃないかっていう展開に最後の残り10分、15分でなったときに、そのへんのニュアンスは、どういう指示が監督から来るものなんですか。それとも、そんなことは周りが言ってるだけでないんですか。 安岡:意思統一をする瞬間っていうのがあるのかっていうことですよね。 村上:平たく言えば、「お前ら、この試合、このまま守れ。1-1でいけ」とか、そういうことを言われることってあるんですか。監督の直接の言葉で。それともそれは選手がみんなの共通意識、経験でそのままいくんですか。そんな質問自体がナンセンスですか。 中西:いやいやいや。いい質問です。 井原:大体、ゲームプラン的に、試合前にこの試合は引き分けで十分だというときもあれば、勝たなければいけないっていうときもあるんで。それはもう、試合をやる前に理解してるんじゃないですか、選手は。 村上:それはミーティングで言うんですか。 井原:言いますよ。 村上:やっぱり、はっきり言うんですか。 井原:だから、この試合は引き分けでもOK。だけど守りに入らないで攻めていこうっていう言い方をするときもあるし。その1-1をキープするための守り方も、監督によってやり方が全然違いますよね。もう全員が引いて、守備を自陣に戻ってやるやり方もあれば、ある程度前から守備を置いて、何とかそのまま守りきろうっていうやり方もあるし。選手交代も、守備的な人に交代して。 安岡:布陣から変えるってことですね。 井原:フォワードの選手を代えて、もう1点狙いにいく攻撃的な部分も残して、前からのディフェンスを考えてやるっていう、そういう選手交代をするときもあるし。そのへんは監督によっても違うし、あとは中の選手によって、意識が統一してないときは確かにあると思うんです。 安岡:30分から守り始める選手と、35分から守り始める選手が出ちゃったりもするってことですよね。それは誰か、フィールド内でキャプテンが「このへんから」みたいな指示は出したりするんですか。 井原:うーん。そうですね。ただやり方として、基本的には同じやり方を45分、通すことが一番なんで。あんまり守りきろうとかっていう。 安岡:突然、変えたりはしないってことですね。 井原:そうですね。 村上:そんな具体的に、試合中に出てくることはない。 中西:あんまりないですね。試合前に言ってて、あとは代わりに入る選手が、監督のメッセージだと思って僕はやってました。守備的な選手が入ってきたら、「あ、ここから少し守りに入るんだな」とか、攻撃的な選手に代えるんだったら、誰かがディフェンスするってことはありますけど、基本的に点を取りに行こうとしてるというのは漠然と感じたりしてることはあります。大体、同じチームだとパターンが決まってるじゃないですか。 井原:守り方にも、「もっとバックライン全体を上げて守れ、下がるな」っていう指示が出るときがあるんですよ。そのときはもっと前から守備にいって。 中西:高い位置で保ちながら、プレスをしっかりかけさせて。逆に引いて守って、相手を来させてから裏に出るパターンもあるし。それはもう、臨機応変に。11人の意識が統一がされてないときは多々ありますけど。 井原:みんなが前から行こうって言ってるのに引いて守ってる奴とか。守ろうとしてる奴もいれば、そこからボロが出てきたり。 中西:そうなると崩れるんですよ。そういうところで少しずつほころびが出てくる。 井原:そういうときは、キャプテンとかゲームの流れをわかってる奴がそういう選手に指示を出して、「もっと前から行け」とか「引け」とか、そういう声をゲームのなかで出さなきゃいけないですよね。 中西:少しずつ自分たちのなかで意識を変えていって、しかも同じ意識でやれていればいいんですけど、スタートするときは同じ意識でやってるんですけど、疲れ方が違うし、ちょっと疲れてるから今、休もうと思ってる選手もいるけど、走れるからプレスに行こうと思ってる選手もいるじゃないですか。そうなると意識のズレは少しずつ出てくるわけです。そのときに誰かがまとめないといけないんですけど、それはキャプテンだったりとか、ボランチの選手だったりとか、チームの真ん中にいる選手がやってることがほとんど。 村上:監督に名指しで怒られたりってあるんですか、試合中。 中西:怒られは……終わってからだと。 村上:高校ぐらいまでのサッカーだと、フォワードがディフェンスさぼってるのがばれるじゃないですか。「村上、さぼんなー!」みたいな。俺、そういうのは声でごまかしてたんだけど。「集中!」とか言って。「お前、集中って言っててサッカーになるんのかよ」みたいなね。 中西:名指しで怒られるのは、練習試合とかだったらありますね。イージーなミスをすると。ミスがやっぱりダメですよ。さぼってるってことよりミスが。あと、ガーガー言ってるのは聞こえないですよ、やっぱり。止まったときに選手に指示してるのはちゃんと伝わってきますよ。三都主選手が言われたのは、彼はポルトガル語がわかるし、日本語が話せるから、そういう風に言って伝えてるわけだし。大体、日本の選手はポルトガル語わかりますから、ある程度は。ブラジルの選手が各チームにほとんどいるし。 安岡:右とか左ぐらいはわかるんだ。 中西:全部わかります。右、左、あとは数とかね。3-4-3にしろとかね。そういう数字は全部知ってるから。それは大丈夫ですよ。 村上:いわゆるシステムの変更とかが試合中にあるとして、数字で言うんですか。 中西:そうですね。ここからボランチ3枚並べろとか。 村上:それはきちんと、そうやって言うわけですか。 安岡:そう言われたらわかるように、何パターンか練習しておくってことですよね。 村上:実は、メディアで言われてる言葉じゃないですけど、代表には代表ワードとかがあるんじゃないかと思って。 安岡:例えば「山!」「川!」とか言ったら、3-4-3になるとか。「フォーメーションZだ!」みたいな。 村上:ここで遠藤を入れるってことは、その時点でそのシステムの名前が付いてて、そうなるとか。 中西:それはあるかもしれない。その選手が入ったらこのシステムにするというのは。 村上:それに「山」とか「川」とか名前が付いてるっていうのは俺たちの幻想ですね。 安岡:翼君(「キャプテン翼」の主人公)世代だってことですね。 中西:でも海外のチームとやるとき、日本語で話した方が全部伝わる。 井原:コーナーキックでも、「前に蹴るぞ」とか「深く蹴るぞ」とか。日本語で言わないと。逆に「ニア」って言ったら相手にわかっちゃうから。 安岡:トルシエのときに言ってましたよね。全部日本語で喋るのがばれない戦術だって。 中西:「コーナー」とか「ニア」とか「フォア」とか日本語に聞こえちゃうんですけど、使っちゃいけないですよ。安岡:「右、右!」とか言えば絶対にばれないってことですね。 中西:あとばれるのは、名前を言うとばれます。 安岡:そうですね。「伸二!」とか言っちゃうと。 中西:番号とか。「なな」とか。「なな」とか「はち」とか言ったら、その番号の人のところに蹴けばいい。 安岡:もしくは、ニックネームとかで呼んじゃうとかならいいんですかね。 中西:それがいいですね。「ナカタ!」とか言ったら、わかっちゃいますからね。 村上:アフリカの子どもも知ってますからね。 安岡:「ナカタ」。 村上:ハイタッチしちゃうからね、ヒデと。 安岡:すいません、話がずれて。 村上:もう一個だけ、今の質問、膨らませて。 中西:あなたは会場にいる人ですか。 村上:あのときはね、ジーコが退場じゃなかったんですか、あれは。 井原:鈴木さんは、あのままいったらジーコがやばいと思ったらしくて、自分がちょっとラインを出ていって、自分が退場になってもいいことにしようとしたらしいですよ。 村上:あれ、プロフェッショナルファールだったんだ。 井原:そうです。ある程度わかっていて、自分も熱くなったふりをしながら前に出て行って。あのまま放っておいたら、ジーコが退場になったって言ってましたよ。 村上:でも、監督と通訳の責任分担として、そんなことがあり得るんですか。だって通訳は、監督が言ったことを表現してるってこと以外の権限、権限っていうか立場があるってことじゃないですか、そうすると。 安岡:その人に人格っていうものまで考えられるってことですか。 井原:いやあでも、監督より前にいって、指示を出してる通訳の人っていますよね。トルシエのときのフローラン(ダバディ)なんて、感情が入りまくりなんですよ。 安岡:「しっかり集中しなくちゃいけないよー。キャプテン、宮本」。 村上:トルシエの言葉じゃなく、聞こえてくるもんね。 安岡:トルシエの顔を見るとなぜかダバディの声が浮かんでくるっていうね。 村上:でも俺、あそこで通訳が退場になったのを見て、すごいパワーとかって思ったんですよ、ちょっと。 安岡:ジーコを退場にするつもりで寄ってきたんだけど、もっとすごい奴がいたからそっちを出しちゃったっていうことですよね。 井原:あとは、ジーコの顔を見て「出せねぇ」って思ったかもしれないですよ。 安岡:それは思いますよね、それは思いましたよ、僕は。 村上:だから実は、ジーコが代表監督っていうのは、すんげーことだなと。 中西:僕、イングランド戦があったときに思いましたね。 安岡:警備員に、サインしてましたからね。 中西:インドのサッカー協会の質問は、全部ジーコが対象ですからね。ジーコに聞いてました。昔の話も聞いてました、記者会見とかで。 井原:だからイングランドと試合やれたんじゃないですか。ベッカム(デビット、スペイン・レアル・マドリッド、イングランド代表)とか、ジーコにサインをもらいに来てましたよ。それより以前にはジダン(ジネディーヌ、スペイン・レアル・マドリッド、元フランス代表)も。 安岡:まあ、そういう人ですもんね、実際ね。 客:来年2 月から最終予選が始まると、代表は1月から合宿に入ると思うんですけど、その時期はJリーグのクラブでチームを作る大事な時期だと思うんです。Jリーグの合間に代表戦があって、代表の選手はその合間にまた試合をやって、チームに戻って、パフォーマンスがクラブで落ちたりする選手が実際いたと思うんですけど、そういうことを踏まえて、代表とJリーグがうまく共存するにはどうしたらいいと思いますか。 村上:あなた、『サッカーマガジン』(ベースボール・マガジン社)の方ですか。 中西:ものすごく、核心を突く質問ですね。それはもう例えば、三浦淳宏選手は代表に行っていたおかげでJリーグのヴェルディでレギュラーを取れなくなっちゃいましたからね、実際。そういうことも当然あるし。 井原:そうなんですよね。かと言って、代表選手が誰もこのチームから出ない。その代わり自分のチームの調整はしっかりできたけど、代表選手がいないチームも寂しいじゃないですか。そのへんは共存していくしかないと思うんですよね。 中西:表裏一体ですよね。日本代表というチームが強くなってほしいという気持ちがある限り、代表には選手を出していかないといけないし。日本みたいな発展途上の国だったらなおさら代表チームが勝つことで国のレベルも上がっていくわけじゃないですか。 安岡:日本だけじゃないですもんね、その問題を抱えてるのはね。 中西:そのジレンマはやっぱり、韓国が今、抱えてると思うんですよね。日本はその問題が少し早く来たんですけど、韓国は今、抱えていて、すごい苦戦してるんですよ。海外に行ってる選手が帰ってこれなかったり、国内の選手と融合できなかったりとか。 安岡:半分ぐらい行ってますもんね。 中西:だからそれを考えると、日本はそういう問題が比較的早く来て、今は少しずつ今回Jリーグ組とうまく融合してやれるようになってきたじゃないですか。海外に行くのも当たり前になってきたし。そこで代表の選手がJリーグのクラブと代表を両方うまくやるっていうのは、本当に難しいですよ。 井原:難しいですけど、来年の2 月からワールドカップの最終予選が始まります。そのとき代表の方が始動が早いと思いますね。チームは1月元旦までやってるチームがありますから、月末からスタートになると思うし。そうすると代表の方は逆に1月の途中からキャンプに入ったりするから。そっちで早く調整をしていくという形になると思います。来年Jリーグはワンシーズン制になるんで。 中西:そうですよね。 井原:そのあたりの日程もうまく調整しないといけないから難しいとは思いますけどね。 中西:代表の選手と話をしていると、「休めない」っていつも言いますもんね。 安岡:スター選手になればなるほど、年間の試合数がね。 井原:だけど、それがもう誇りだし、すごく充実してるんですよ。「また休みかよ」って思うよりも、「休めねぇ」って言ってた方が絶対に幸せですよ。代表に入ってるときってやっぱり休めなかったですけど、充実していたし、代表から外れて休みが多くなると、嬉しいのか悲しいのかわからないなって。 中西:選手である限り代表に選ばれるのが誇りですからね。ただJリーグの方でもいいパフォーマンスをしてほしいし。逆に代表選手が抜けてるときに、他のいい選手がね。 安岡:抜けてるからこそね。 中西:いい選手が出てくるわけですから、それを凌駕するのが代表選手であればいいわけで。三浦選手にこの間会って話をしたんですけど、「試合に出てないけど、すごい一生懸命練習してますから大丈夫っすよ」と言ってましたし。みんな誇りを持ってやってますしね。代表に行って出られなくて、チームに行っても出られない選手もいますけど、そういう選手ほど、きっと今、一生懸命やってると思います。そういう日本代表に最近なってきたんで。そこはこれからもう一つ乗り越えないといけない日本サッカーの壁ですよね。ものすごくいい質問、ありがとうございました。でも今、一番直面している問題なんで。Jリーグ各チームが。難しいとは思うんですけど、少しずつよくなっていくと思います。 さて、今バックで流れているのが10月27日リリースの「ミモザ」なんですけれども、先ほどもちょっと触れましたが、11月17日シンガポール戦の日にベストアルバムが出ます。 安岡:30万人の方々がリクエスト投票してくださって、その上位の曲が入っております。 中西:ゴスペラーズのメンバーも投票されたんですよね。 安岡:しました。僕ら、普通に自分のメルアドを入れて。 中西:自分は何を一番にしたんですか。 村上:順番はつけてないです。 安岡:10曲、選べたんですね。でも、自分が選んだの4つしか入んなかった。でもまあ、たくさんの曲のなかから、みんなのちっちゃい好きの気持ちが溜まってですね、今回のアルバムができてますんで、楽しみにしてください。 中西:もう1位とか発表になってるんですよね。もう皆さん、知ってますよね。今発売中の『ウィークリーぴあ』(ぴあ)、そして『ロックンロール・ニューズメーカー』(ぴあ)、こちらの方にも書いてありますけれども、ゴスペラーズのメンバーの皆さんのインタビューが掲載してありますので、ぜひこちらもチェックしていただきたいと思います。 安岡:お願いします。 中西:それでは最後に、ゲストの皆さんから一言いただきたいと思います。井原さん、今日はゴスペラーズと一緒でしたけれども。 井原:一緒に楽しいお話をさせてもらって、本当によかったです。あっという間の2 時間っていう感じで。これからもね。僕もまだ、ゴスペラーズさんのライブには行ったことないので、ぜひ。 中西:本当にいいですよ。あとね、ゴスペラーズのファン方、さっき楽屋で話したんですけど、みんないい人ですね。ゴスペラーズのファンの方々は大人だし。 井原:さっきもそう言ってましたよね。 中西:楽屋でも話したんですけど。すごくいい方ばっかりですねって話したんです。 安岡:上がり症なんですよね。僕らもそうだから。 中西:みんな上がり症なんですか。何で上がり症なんですか。 村上:コンサートなんかで、まあ、いろんな方がいらっしゃるじゃないですか。 安岡:客席にね。 村上:そういときに、礼儀知らずの奴っているじゃないですか。そういう人たちが少ないっていうのはいいと思うんですよ。 中西:すっごい礼儀正しい。この間行ったときも、僕なんかは誰が見ても何とも思わないんですけど、僕の隣の隣がISSAさんだったんですよ。ISSAさんですよ、DA PUMPの。そのISSA君がいても、誰も声を掛けない。 安岡:礼儀正しい方が多いですね。 村上:ぜひ、来てください。 中西:あとは、サッカー界の人間としては、音楽界の方々がサッカーのことを話してくれるのは嬉しいですよね。 井原:嬉しいですね。 中西:だから、こういう方をどんどん増やしてください。 井原:あとこれからも、日本のサッカー、まだまだね。Jリーグもこれから残り3 試合ありますし、チャンピオンシップ、それから。 中西:入れ替え戦もありますよ。 井原:入れ替え戦があって、天皇杯があって、ワールドカップ予選があって、来年は最終予選ですからね。本当に日本のサッカーを皆さんの手で盛り上げて、これからも応援してほしいと思います。今後ともよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。 中西:さあそして、リーダーは。久々ですけど。 村上:久しぶりに何かこう。高校のサッカー部の友だちなんかとたまに会って、深夜のファミレスなんかで3 時間ぐらいサッカーの話をしてるときが一番楽しい時間だったりするんですよね。サッカーの話って本当に尽きないじゃないですか。音楽の話に勝るとも劣らない、サッカーのことって、話してるともう、あれやこれやと楽しくなっちゃって、人の質問、横取りしちゃったりね。 中西:なるほどね。 村上:正直、シンガポール戦に関してはですね、自分たちのCDの発売日ですから、その前に決まってよかったねっていう。 中西:なるほど。 村上:ゆっくりビデオを録って見れるかなっていう気持ちはありますよね。もし懸かってたら、もう仕事の合間に携帯チェックして「ああ~もう!」ってね。 中西:その日は皆さん、ちゃんと「G10」を買って、家で試合を観て、聴いて、寝ると。それが一番健全な形ですね。 村上:っつーかレッズの調子もいいですから、特に皆さん、スタジアムに足を運んでね。 中西:そうですね。 村上:すぐ近くにスタジアムもいっぱりありますからね、ぜひスタジアムに行って、サッカーの興奮を味わっていただけたらいいなと思います。今日はどうもありがとうございました。 中西:そして安岡優さん。 安岡:はい。本当に毎回、ありがたいイベントで。僕にとっては「安岡優のあの人に会いたい」みたいな会で、今日は井原さんとこんなに長くお話ができて。井原さんは覚えていらっしゃらないかもしれないですけど、1年前にご挨拶したのが、ちゃんと話した最初のときなんですよ。最初に僕の顔を見て井原さんが言った一言が「ちっちゃいなー」。 井原:言ってない、言ってない! 中西:本当ですか。 安岡:本当ですよ。 井原:そんなこと、言わないですよ。 安岡:僕は井原さんが大きいのがわかってるから、「小さいんです、そうなんです」なんて言いながら。今日は改めてですね、井原さんが大きいのもそうですが、僕が小さいんだなっていうのを改めて感じるいい機会でした。でも本当に、リーダーも言いましたけどダラダラとサッカーの話をしてるっていうのが、本当に僕とリーダー、楽屋でも多いんですね。仕事の現場で。やっぱりこういうことが毎日の生活の楽しみだと思うんでね。こういう場に呼んでいただけるのは光栄です。本当にありがとうございました。 中西:僕は、こうやって並んでちょっとゴスペラーズ気分。並んで。リーダー真ん中、みたいな。ちょっと並びがコンサートっぽいね。 安岡:僕だけジュニアみたいですね。 中西:歌っちゃうよ、みたいな。楽しい会でした。本当にありがとうございました。いやあ、おもろかったですね、今日もね。毎回ゴスペラーズの回になるとうれしいのは、こうしてサッカーから入ってきた人ではなくてですね、音楽、ゴスペラーズっていう枠から入ってきて、サッカーに触れたという方も当然いらっしゃるわけじゃないですか。そういう方々が、こういうサッカー話、しかもレアなディープな話をしても付いてきてくれるわけですよ。そういうのは僕としても嬉しいですし、サッカーを好きになってくれる方々がひとりでも増えてほしいという気持ちはいっぱいあるので。今日ここにゴスペラーズのファンで来てくれた方にもすごく感謝したいですし、同時にサッカーが本当に好きで、元々ぴあトークバトルが好きで来てくださってる方もいらっしゃるわけで。そういう方が逆に今度、ゴスペラーズのことも好きになっていただいて、ちょっとコンサートに行ってみようかな、とかね。ゴスペラーズのコンサートって、サッカーっぽいんですよ、何か。臨場感があって気が抜けない。気が抜けるのはリーダーのトークのとこ。いいんですよ。格好よくていいなといつも思うし。歌を聴いてもビンビンくるし。ぜひ、サッカーファンの方で、ゴスペラーズのコンサートに行ったことがない方は、ぜひ一度行ってみてください。ありがとうございました。 取材・構成:CREW 撮影:新関雅士 |
|