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後編


福田:じゃ、J1の話に戻そう。
中西:あと、絶対に話をしなきゃいけないのはマリノスですね。僕も本命だと思うんですけど、井原さんは? ミスターマリノスですけど。
井原:いや、俺ミスターマリノスじゃないって、水沼(貴史、サッカー解説者、元横浜マリノス)さんに言われた。
白石:そうなんですか?
井原:ミスターマリノスは木村和司(サッカー解説者)さん。その後、俊輔(中村、イタリア・レッジーナ)まで飛んだって言われたんで。「俺も違う」とは言ってましたけどね。
中西:でも、僕らから見たらミスターマリノスですよね。
白石:はい。
井原:まぁマリノスは戦力が整っているしね。ただケガ人が多いっていうのが。
中西:異常に多いでしょ? だからどうするんだろうっていうのが気になるんですけど。坂田(大輔)選手がケガした時、本当に「どうするんだろ」って思いましたもん。
井原:そんな中でも岡田さんがいろいろメンバーを組み合わせて。若い選手も頑張るし、能力も高いから、そういう選手でうまくしのいでくるじゃないですか。
中西:しのぐっていうか、全然やれてますよね。
福田:若い選手にチャンスが来るっていうのはいいことかも知れないね。それをうまく岡田さんが使いながら、我慢しながらコンスタントに成績を残して、去年、一昨年と優勝したんだと思うし。今年もやっぱり本命であることは間違いないんじゃないかな。ただ、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)があるから。1シーズンを考えた時にコンディションってものすごく重要で、井原は行ったことあると思うけど、東南アジアに行ったりすると非常に過酷だから、そうやってコンディションをくずしていくとね。代表であれば、何人かの選手がコンディション落として帰ってきてもそれをチーム内の他の選手で補えばいいけど、チーム全部がコンディションを崩すっていうことがあるから。相当選手層がないとやっていけないっていうことを考えると、ケガ人をできる限り出さないっていうのがマリノスにとっては重要なことになってくると思う。
中西:これ以上ケガ人出ると厳しいですよね。
福田:ACLに関しては、マリノスとジュビロと両方あるので、その2チームに関してはコンディションっていうことが大きな課題。ジュビロにもマリノスにも代表選手がいるし、その3つの中では浦和が一番有利なのかな。
井原:5月まで、ACLも代表の試合も間に入ってくるので、それまでにケガ人が多いと最初につまずく可能性もあるから、開幕からどうやって行くか、すごく難しいと思いますね。
中西:いまACLの話がありましたけど、世界クラブ選手権が今年12月から始まるじゃないですか。これが始まったことで、Jリーグのクラブのモチベーションって、かなり上がってくるんじゃないですか? 日本代表でしかヨーロッパの選手とはプレーできなかったのが、Jリーグのチームが世界のチームと戦えるようになってくれば、サポーターも世界のクラブと戦えるわけじゃないですか。それに対する各チームのモチベーションって、それまでとは計り知れないくらい高いんじゃないですか?
井原:ACLもホームの試合で満員にならない試合もあるので、アジアの大会をJリーグと同じようにもっと盛り上げていくのも大事だと思うんですね。
中西:ヨーロッパチャンピオンズリーグは、向こうでは相当盛り上がってますからね。
福田:だからACLも盛り上がると思うんだよね。その上があるから。今まではそこで終わりだけど、これからはそこで権利を得れば、世界と戦える。
中西:しかも日本でやるんだもんね。
福田:そう。そういう意味じゃ、ACLに対する価値はものすごく高まったんじゃないかな。選手たちもモチベーションが持てるだろうし、世界を念頭においてプレーができる。それにはJリーグで優勝しないといけないので、Jリーグの価値も高まったと思う。
白石:今までは国対抗で見ていたものが、チーム対抗で見られるのが嬉しいんですよね。たとえば大久保(嘉人、スペイン・マジョルカ)選手のマジョルカと日本のチームが戦ったら、Jリーグのチームの方が強いんじゃないかなって思う試合もあるでしょうし。私が言うのも変なんですけど。そういう試合も見てみたいし、絶対できると思うんですよね。
福田:それが親善試合じゃなくて、公式戦で戦えるって言うことが大きいと思うんだよね。実際ヨーロッパのチャンピオンが日本に来て、どれぐらいのコンディションかはわからないけど、どれぐらい力の差があるかはかるっていうのもいいことだし。「けっこうやれるじゃん」って思えるのかもしれないし。それでJリーグのレベルっていうのもわかると思うんで。けっこうやると思うんですよ。
中西:できますよね。
井原:あと、賞金もかかっているから。ヨーロッパのチームとか選手って、お金がかかってないと本気で来ないでしょ。そのへんはしたたかだし、取りに来ると思うんですよね。そうしたらすごく熱の入った試合になると思うんで、日本のチームはアジアでチャンピオンを取って欲しいですね。せっかく日本でやるんだからねサウジとかクウェートとかイラン、そんなチームが出てきたら悲しいじゃないですか。
福田:応援できないよね。わかんないもんな。まぁ、知ってる選手がたぶんいると思うけど。
中西:いや、Jリーグが一番強いと思いますよ、アジアの中では。ただ、それを出せるような状態かっていうのはありますけどね。それを考えると、最近は日本でもターンオーバー制っていうのをやらなきゃいけなくなってきましたね。
井原:ACLに出るジュビロとマリノスは、A契約の選手が前よりも2人増えましたからね。選手層が厚くないと戦えないから。
中西:マリノスに死角はないですか?
井原:やっぱり、2年連続タイトルを取っている部分だと思うんですよね、それプラス、今年は目立った補強をしていないから。山瀬を取ってきましたけど、それ以外はあまりないのと、逆にケガ人が多いし。それも長期離脱っていうケガが多いから。特に攻撃陣がね。全員ケガっていう感じで、いかに点を取るかじゃないかと思いますけどね。
中西:後ろはそれなりに守れるしね。栗原(勇蔵)くんもいるし、中西(永輔)くんもいるし。中沢(佑二)くんや松田(直樹)くんが代表に行っちゃっても頑張ってますもんね。美帆ちゃん、他はどこか気になるチームはありますか?
白石:長谷川健太監督はどんなチーム作りをしていくのかなっていうのはすごく楽しみですね。ここ最近、清水エスパルスは年間で下のほうの順位だったじゃないですか。どうやって巻き返しするのかなっていうところではけっこう注目してますね。
中西:福田さんはうなずいていらっしゃいましたが。
福田:それは僕のひとつ上だし、井原にとっては大学の先輩だし、日産でも先輩だし、NHKの解説でも先輩だし。よくいじめられたし。
会場:笑い
福田:俺も報知新聞の解説では先輩だし。いや、楽しみです本当に。どういうサッカーするかっていうのも楽しみだし、エスパルスの状態が悪くなってきている時に就任されてるし。そういう時にオファーがあって、逃げるわけにいかないみたいな、そういう男気的なところを持った人なんで。やっぱり再生させてもらいたいなっていう思いはありますね。ただ、1年目からそんなスムーズにはいかないと思うんで、クラブが2年、3年っていうスパンで健太さんを見てくれれば、いい結果を出せるんじゃないかなと思いますますけどね。
中西:やっぱり1年目から結果出すのは難しいですか?
福田:1年目からいろんなものを求めてしまうとプレッシャーになるし、監督がプレッシャーを受ければ選手もプレッシャーを受けるから、そういう状況にだけはならないように最初いい形で勝ちが続くような戦い方ができればいいなと思ってますけどね。すごく楽しみです、本当に。
井原:今まで清水は3バックが中心のチームだったんですけど、健太さんは4バックにして新たなフォーメーションでサッカーやろうとしているし、韓国人選手を取ってきたり、ディフェンスでブラジル人を1人取ってきて、補強もしながらチームを作っていくと思いますけど。プレシーズンマッチでジュビロとやった試合を見たんですけど、その時はエスパルスが合宿の最終日でみんな疲れきっていて、メンバーもまだ固定していない段階だったのでちょっとわからないですけど。2-7くらいで負けたんですけど、試合の時には「まだ不安はあるけど、これから修正していく」みたいな感じでした。それなりに健太さんも厳しくやってて、やる気をすごく感じたし、「コンビニもダメだ」って私生活にもけっこう規律を与えながらやってます。自分がさんざんコンビニ行って買い物してたのにね。
会場:笑い
井原:長いからね、つき合いが。大学の頃から知ってるから。「監督になると違うんだなぁ」って。
中西:福田さんも監督になったら変わりそう。
福田:いや、俺は変わらないと思うよ。
中西:けっこう厳しそうですよね。
井原:でも、サントス(元清水エスパルス)をヘッドコーチにしましたし、いいスタッフと目指すサッカーの理想を持っていると思うし。楽しみですよね。
中西:ジュビロはどうですか?
井原:僕はジュビロは一番手だと思っています。補強も含めてね。もちろん、マリノス、レッズの3強だとは思うんですけど、やはりジュビロが一番いい準備をしている。まぁ能活(川口)がケガをしたり、鈴木秀人が腰痛とかあるみたいですけど、一番いい状態で来ているんじゃないかという感じはしますね。
福田:いい補強してるしね。センターライン補強したでしょう。能活、チェ・ヨンス、茶野(隆行)、弱いって言われていた左に村井(慎二)も入って。
中西:茶野くんだってジェフ(ユナイテッド千葉)で左のストッパーやってたじゃないですか。その前が村井くんで、その前がチェ・ヨンス。ジェフで2年間やってたメンバーだから、すごくコンビネーションがいいと思うし。村井くんのクロスをチェ・ヨンスが合わせるっていうのはジェフの中で確立されていたパターンだったので、セットをそのままっていうのは、ジュビロにとっていい補強ですよね。
福田:じゃ、ジェフはどうなんだっていう話だよな。
会場:笑い
中西:どんどん持って行かれてるぞみたいな。
福田:だけど外国人選手いいらしいよ。センターライン3人取ってきたけど、かなりやるよ。
中西:あとはコンビネーションだよね。
福田:かなりやると思うよ、監督のオシム。普通じゃないから。
白石:そうですね。
福田:とんでもないね。
中西:あの監督、すごい。
福田:ヘッドコーチも持っていかれましたからね。「江尻(篤彦)がいたからジェフがあった」っていうところがあったからね。
中西:江尻さん、本当にうまく監督と選手の間に入ってうまくやっていたと思うんですよね。練習見ていてもそうだし。それに、キーパーコーチも移りましたからね。
福田:あ、そうなの?
中西:芦川(昌彦)さん、名古屋グランパスに移ったの。
福田:でも、それでもやっていくんだからすごいよね。上位行くんじゃないの今年も?やりようっていうか、あの監督はすごい。
中西:その江尻さんが行ったアルビレックス新潟はどうなの?
井原:新潟も期待しているんですよ。
中西:監督の反町(康治)さんも世代的に近いから。井原さん、力入っている理由は?
井原:また今年名古屋から3人補強して、岡山(哲也)くんや海本兄弟(慶治、幸治郎)とか、あとブラジル人も補強したり。反さんブラジル好きだからね。キャンプも行ってたし。反さん厳しいし、反町イズムが浸透してきていると思うんですよ。全員で走って、全員で守る。そんなに派手なサッカーじゃないけど、堅実なサッカーしてるじゃないですか。「走れない奴は使わない」っていうプライドもあるし。
中西:去年もセカンドステージ良かったですもんね。
福田:よかったよかった。
井原:鈴木慎吾とか、エジミウソンとかいい選手いますから。
中西:あそこは大崩れしないから。
井原:反さんがしっかりとした戦術のなかでいろいろ説明してたから。そういうことが徹底されてるんで大崩れしないし、やっていくことに成熟度っていうのが見えるから楽しいですよね。
福田:町とサポーターがいいよね。あとね反町さん、時々わかんない言葉使うんだ。横文字。
中西:頭いいから。慶応大学出身ですからね。
福田:よくしゃべるよ。すごいよ。
白石:スーパーサッカーで「俺キン」に行ったときに、収録が終わってからもず~っと私たちのところでいろんなことをぶつぶつ言ってました。
井原:日本代表で一緒だった時は、反さんはいじられキャラだった。
福田:そうそう。
井原:柱谷哲さん(哲二、浦和レッズコーチ)とかがめっちゃいじめてた。反さんのほうが年上なのに。
福田:そういうキャラなの、選手の時は。
中西:今は新潟のカリスマですよ。チームをあそこまで持ってきて。スタジアムもいつも満員だし、新潟っていう町が元気になったのはアルビレックスのおかげだということになってますからね。
井原:素(山口素弘)が効いてるね。あそこがけっこうチームの中心だし、彼の経験とかがすごく生きていると思うんですよ。
中西:アルビレックスも、Jリーグのいい成功例ですよね。「サッカーで町が元気になる」みたいな。ワールドカップもやったし。仙台もそうだけど、ああいう風になってくるとサッカーが町に根付いている感じがしますよね。
白石:愛されている感じがしますね。
中西:あと気になることはありますか? 僕からもうひとつ言ってもいいですか?
福田:名古屋。
白石:神戸。
井原:レッズ。
中西:いやでもヴェルディすごいよ。彼らは本当にサッカーうまい。ボールつながせたら本当すごいよ。練習でも試合でもボールが回る回る。
福田:ボール回してシュート打たないんだよ。
中西:それが今までのヴェルディの良くなかったところ。でも、去年からだいぶ変わってきたと思います。みんな得点に対しても貪欲になってきたし、平本(一樹)くんも成長してきてるし、森本(貴幸)くんもいるし。とにかくボールをしっかり回して、遅攻で崩せるサッカーをするじゃないですか。遅攻で崩せるチームってやっぱり強いと思うんですよね。速攻だけじゃなくて。あれだけ崩していって、回していって点が取れなかったゼロックススーパーカップ(2005年2月26日、日産スタジアム、ヴェルディ2-2横浜F・マリノス、PKヴェルディ5-4横浜F・マリノス) で、強引にこじ開ける選手が入ってきて、よかったと思いましたけどね。一番ヴェルディに足りな買ったというか、強引さというか。ワシントンを見て思いましたけど。
白石:3度心臓病の手術をしたとは思えない。去年はブラジル選手権で34ゴールを挙げて、無名のチームを引っ張り上げた選手なんですよね。何よりも大型(189cm)で、前線で強いっていうのがすごい。
中西:けっこう足技もよかったですよね。
井原:あとはどれだけ幅広く動けるかどうかだよね。エムボマ(ヴィッセル神戸、元カメルーン代表)も前ヴェルディにいたけど、彼はゴール前で待っていることしかあまりやらないっていうプレースタイルだったけど、今のヴェルディだと裏にもドンドン出て行くプレーも必要だし。そこがどこまでできるかだなっていうのはありますね。
福田:ブラジル人なのにワシントンだからね。まぁやるとは思うけどね。
中西:どういうことなんですか。
福田:まぁ名前がすごいなと思って。でも本当にフィットすれば、哲生が言ったようにヴェルディにないものを持っているんで、すごくアクセントになるし。
中西:僕はワシントンがもし20点から25点くらい取ったら、ヴェルディ優勝だと思う。そういう人が1人いないと、優勝争いをするのは難しいと思う。優勝争いをする資質はあるし、選手もいい選手いっぱいいるし。小林慶行選手を代表に選んで欲しいですけど。相当点も取れるし、組み立てられるしテクニックもあるし、ゲームを読む力もあるし流れを変える力もあるし。円熟味を増してきた選手だと思うので。彼を中心としたボール回しとか、かなりいいと思うんで。ヴェルディは試合を見ていて面白いですよ。ああいう面白いサッカーをするチームが勝ってくれると、サッカー見る人の目もまた肥えてくる。
井原:今年は天皇杯を取っていいスタートを切っているんで勢いはあるし。天皇杯を取ったチームはその年リーグで低迷するんだけど、今年のヴェルディはそういうのはないのかなという感じはしますね。
福田:説得力ねぇな、それ。
井原:なぜかというと、優勝した時ってあんまりチームが補強をしないんです。だけど今年ヴェルディは優勝したのにいろんな選手をいっぱい出して、かなりまた取って、チーム内の新たな活性化をしているので。優勝したメンバーでも、桜井(直人)が大宮アルディージャに行ったりとか、富澤(清太郎)が仙台に行ったりとか、飯尾(一慶)がフロンターレに行ったりとか、いろいろメンバー出したり、戸田(和幸、元清水エスパルス)が入ったりとか、また競争を生まれさせてるし。アルディレス監督はその辺うまいから、期待はできますね。
福田:ただ、新外国人がキーになるっていうのはけっこう恐いよ。出来不出来によって、計算してたけど思うようにいかないっていうのがあるから。2ステージ制であれば、ファーストステージはとりあえず様子を見てセカンドステージ、っていうことがあるけど、1ステージ制なんで、監督が新しくなったり、キーになる選手が外国人だったり、3人とも変わったりっていうのは非常に最初の頃うまくいかないんで。ちょっと出遅れる可能性がある。鹿島も去年センターフォワードが点取れなくて今年変えてきたけど、その選手の出来不出来によって大きく順位が変わるのかなっていう気がするし、ヴェルディもゼロックスのときは勝ったけど、果たして本当によくなっていくのかはわからないので、そこに大きな比重が行っているチームっていうのは計算しづらいね。逆に言えば、大化けする可能性もあるっていうことなんだけど。
井原:去年FC東京もルーカスとか来たじゃないですか。ルーカスも鳴り物入りで入ったけど、最初はなかなか点取れなくて、スタートつまずいたので優勝にからまなかったんで。
福田:FC東京も頑張ってもらいたいね。原(博実)さんが監督だから。去年初めてタイトル取ってるでしょ。
中西:僕はFC東京は「あの」サッカーをやってるっていうのが価値があると思う。あのシステムで、あのサッカーをやっていかないと。日本の中で3-5-2が主流になっているのはよくないと思うんですよ。世界の流れから見てもかみ合わないし。超一流のチームはほとんど4-4-2だったり4-3-3だったり、新しいシステムに移行しているなかで、日本だけ3-5-2のチームが多いんですけど、あえて最初から4-2-3-1でやっているというのが嬉しい。
福田:原さんの考えがそうだからね。頑固だもん。すごくスペインのサッカーの影響を受けているから。攻撃的なサッカーをしたいということでやっていると思うんだけど、ずっと貫いて来ているからね。ここで変えるっていうことはあり得ないと思うから、リーグをかき回してもらいたいよね。スペインにしょっちゅう行ってるし。浦和にいたベギリスタイン(バルセロナGM)のところに行っていろいろお世話になったりしてるみたいだけど。暇を見つけては勉強しに行って刺激を受けてるみたい。すごく勉強する方なんで、ぜひとも日本人監督として成功してもらいたいなと思います。
中西:僕もリーガ・エスパニョーラの番組やってるでしょ、WOWOWで。「いつも、毎回見てるよ。録画して」って言われて。そういう監督もいいですよね。「自分が好きなサッカーをやる!」っていう。
福田:原さんには監督としてものすごく色があるじゃない。チームとしてはオファーを出しやすいんじゃない? こういうサッカーをするっていうことがはっきりしてるから。自分のスタイルを持っているっていうことは、非常にいいことだと思う。
白石:あと、サポーターの方も好きなんですよ。試合前に必ず歌う歌がしびれるんですよね。
中西:かっこいいよね。僕はヤジとか飛ばされてたから、ちょっとヤダなとか思いながらも、ちょっと憧れてた。
白石:女性には出ない低音の声で歌うんですよね。なんかそれが本質的にサッカーを愛してるなっていう感じで。
中西:でも、FC東京のサポーターはかなり熱いよね。あと、フロンターレはとにかく残留してほしい。僕は上がって1年でポーンと落ちちゃったんで。
井原:だけど関塚(隆)監督は、ベスト5、5位以内狙ってきてるって。そういう高い目標を持っていたら、けっこう行くんじゃないか?
福田:補強してないだろ?
中西:補強してるけど、ガラッと変えなかったから。僕は上がったんですけど、次の年にベンチすら入ってなかったですから。
福田:それもひとつのやり方だけど、今回そういう経験を踏まえて、関塚さんも大きくいじらない。ダントツでJ1に上がったっていう自身もあるんだろうけど、そういう意味じゃ楽しみだよね。
中西:かなり成熟してきていると思いますよ。僕の時は、J2でレギュラーだった11人のうち、10人が変わっちゃったんですよ。それがやっぱりよくなかった。あの時はまとまっていて、「このままJ1のチームとやっても勝てる!」と思ってみんなやっていたんですよ。今回は幹を変えずに枝葉の選手を少しずつ変えたっていうようにやっているんで、何とか残って欲しいなと思います。
福田:まぁフロンターレもそうだけど、大宮もどこまでやれるか楽しみなんじゃない?両方とも監督さんは日本人なんだけど、日本人が好むようなシステマチックなことを徹底させながらやってきてるし。そういう意味では楽しみなんじゃないのかな。
中西:サッカー解説者っぽい。
福田:ありがとう。
会場:笑い
中西:じゃ関西の方に行こうと思うんですけど。今はガンバ大阪の大黒(将志)くんが「そこまで」っていうくらいやたら追われちゃってますけど。
白石:ワイドショーとかでもすごかったですよね。なんかかわいそうとか思いながら見てたんですけど。
福田:でもマイペースみたいな。
井原:だからいいよね。
中西:でも、取り上げられることはやっぱりいいことじゃないですか。ガンバどうですかね、井原さん。
井原:そろそろ行かないとダメでしょう。でも西野(朗)さんは「3位以内」とか消極的な発言なんだよね。でもまぁそろそろタイトルを取って欲しいなと思うし、関西も盛り上げないとっていうのもありますし。まぁ軸がしっかりしてるから。宮本(恒靖)がいて、シジクレイがいて。遠藤(保仁)が最初ちょっと出られるかどうか分からないですけど、大黒も軸になってきているし。
中西:あと、アラウージョっていういい選手をエスパルスから取ったじゃないですか。ちゃんと日本で結果出していて、点が取れる選手っていう。ちょっと小粒な気はしますけどね。
井原:中盤のフェルナンジーニョもいい選手ですよね。ガンバは恒とゴールキーパー。恒がガンバだと、あんまりいいパフォーマンスができていなかったんですよ。使われ方もボランチで使われたり。日本代表のキャプテンだし、チームに帰ってポジションがなかったときに、プロフェッショナルとしてチームを盛り上げるためにやってましたけど、ちょっと寂しいじゃないですか。ディフェンスの部分を西野さんがどう思っているかという部分はあると思うんですけど、恒が軸になってチームを引っ張っていかないとダメなのかなとは思いますけどね。そういう形ができれば、優勝があるっていうことだから。
白石:去年マグロン選手が抜けた時に大黒選手がけっこう頑張って、日本人で得点王じゃないですか。
井原:そう。20点取ってますからね。
白石:今年も頑張ってもらいたいですね。
中西:吉原(宏太)くんも、松波(正信)くんもいるしね。
井原:けっこう小粒だけどね。
中西:二川(孝広)もいい選手だよね。素晴らしい選手。あと神戸、楽天ですよ。ユニフォームも一新されて、チームカラーも変わって。
福田:ヴィッセルは土屋(征夫、柏レイソル)が抜けちゃったからね。そこをどうするのかな。室井が入ったけどね。
中西:新しいメンバーがけっこう多いですよね。
福田:その辺がどうかみ合うかっていうか。また誰かすごい選手取るとかって言ってたじゃないですか。
井原:お金はありますからね。去年ちょっと変な使い方しましたけど。
会場:笑い
中西:それ言っていいんですか。
井原:すみません!
福田:いいんだよ別に。お前の金じゃないんだから。
井原:でももったいないよね。もっと試合見たかったけどね。ケガもあったけど。
中西:でも、結果的にお客さんが見に行ったっていう効果はありましたよね。
白石:試合後にちょっとインタビューしたんですけど、白いスーツをビシッと着て、王子様みたいでした。
福田:じゃ俺も白いスーツで出ようかな。
中西:似合いそうですね。
福田:やっぱ白いスーツがかっこいいですか?
白石:かっこいいんですけど、でもスタジアムで白いスーツはけっこう浮いてましたね。でも福田さんだったら似合う。
福田:いや~。
中西:まんざらでもないくせに。
福田:ちょっと嬉しい。
中西:さあ、セレッソ大阪は?
井原:大久保(嘉人、スペイン・マジョルカ)くん抜けましたし、ディフェンスけっこう補強したよね。前はあんまり変わらない。森島(寛晃)くんがいて、西澤(明訓)くんがいて。
福田:黒部(光昭、元京都パープルサンガ)が入ったでしょ。
井原:セレッソが去年一番悩んでいたのはディフェンスが安定しないこと。だからその辺の補強で、どういう形でいい守備ができるか。前は日本人だけでけっこう点は取りますからね。
福田:セレッソのサッカーってイケイケじゃない。ディフェンスを固めて、ワンチャンスをものにするっていうサッカーじゃないから大味だよね、どっちかって言うと。それで去年相当苦しんだと思うけど、変えられないでしょう、あのサッカースタイルは。
中西:でも、後ろはある程度安定してくれないと厳しいよね。
福田:だけど何となくそういうチームじゃないじゃん。「みんな行っちゃえ!」みたいな。何かそれが色みたいな感じがするんだよね。
中西:僕、苔口(卓也)くんとか好きですよ。
井原:いや、いい選手だよね。
中西:形を持ってるじゃないですか。すごく速いし。カットインしてシュートするのうまいし。右利きなんだけどいい左サイドで。あと、右サイドでバカバカ点取ってる古橋(達弥)くんとか。
福田:攻撃的なんだよ、みんな。そういうスタイルなんだな、たぶん。
白石:長いシーズンだから、本当に調子が乗ってくればけっこういいところに行くんじゃないかなと思います。今年は戦い方に注目したいと思うんですけど。
中西:名古屋グランパスはどうですか?
福田:グランパスはやっぱり外国人じゃないの? ウェズレイ。去年はケガして点取れなかったけど。
井原:僕は本田(圭佑)に期待したいですね。
中西:本田くんはいいらしいですよ。開幕スタメンですよ。この間(2月28日) 「ぴあトークバトル」を初めて名古屋でやって、僕と秋田豊選手と…
福田:秋田豊? しゃべれた?
会場:笑い
中西:ガンガンしゃべった。僕、司会取られるかと思った。「お前司会かよ!」ってくらい。僕は1年下でずっと知ってるし、仲よかったから「やってください」って感じだったんですけど。バンバンしゃべってましたよ。あと楢崎正剛選手と、古賀正紘選手ですけど。「本田くんはいい」って言ってましたよ。物怖じしないって。どんどん要求してるって。
白石:そうなんですか。
中西:「ウェズレイとマルケスに要求してるの本田くんくらいだ」って。頼もしい。
井原:ヒデ(中田英寿、イタリア・フィオレンティーナ)もそんな感じだったからね。高校生の時に何日かマリノスに練習に来て、チームに参加した時でさえそんな感じだったから。「よこせ」、「パスくれ」とか、そんな感じだったんで。だけどベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)に行っちゃったけど。
中西:でも3人とも「あれはいい」って言ってましたよ。
福田:そこがうまくかみ合ってくるとおもしろいね、グランパスは。どうしても外国人頼みみたいなところがあるけど、日本人がしっかり入ってくると、かなり良くなるんじゃないのかな。あとアン・ヨンハッ(元アルビレックス新潟)が入ってきて。
中西:アンもスタメンみたいですね。あと、4バックでやるみたいなんで。
福田:攻撃陣は問題ないんだよね。
中西:後はケガ人がね。ウェズレイもケガしがちじゃないですか。でも、ケガがなかったら20点は取る選手だからね。マルケスだって10何点取るじゃないですか。
福田:ウェズレイの3年続けて20点はすごいよ。これは評価できるよ。キープされたらボール取れないもん。上半身が強い。日本人って上半身弱いんだよね。外国人はすごく上半身が強い。ちょっと手で押さえられたら入っていけないから。まぁ井原は手使って入っていくけど。
会場:笑い
福田:俺はもう「あ、ダメです」っていう感じ。本当ボール取れないよね。ボール見えないもん。
井原:坪井(慶介、浦和レッズ)でもぶっちぎられるくらい。
福田:坪井の苦手なタイプだよね。
井原:坪井もスピードあるんだけどね。体を預けられてやられてしまうから。
中西:他の話もしたいんですけど、時間なのでこれで終わり。質問コーナー行きましょう。
客:私は去年のフロンターレの強化指定選手の矢島卓郎選手と学校で同じゼミなんですが、今年も指定強化選手に選ばれている彼は、中西さんから見てどんな選手でしょうか。
中西:フロンターレに強化選手で来ているということは、フロンターレに入って欲しいですね。強化指定の選手ですぐに試合に出るのはなかなか難しいし、特に今年はJ1なんでチャンスは少ないと思うんですけど、J1が間近で体感できるというのは強化指定選手の良さだと思うので、どんどん力をつけていって欲しいし、いいシステムだと思うので、ぜひフロンターレで選手になってもらいたいです。可能性があるからこそ来ているんだと思います。それでは、次の方。
客:今年はエメルソンの合流が遅れているんですが、今年も得点王は取れるかどうかということと、福田さんからキャプテン山田への今年のアドバイスをお願いします。
福田:エメルソンの得点王は十分可能性はあると思います。コンディションさえ整えば、間違いなく得点王の候補の筆頭だと思いますし、彼が得点王争いをしなければ浦和の優勝っていうのはあり得ないと思うので、得点王を取ってもらいたいです。山田に関しては、今は別に言うことはないです。去年のシーズン終わった後で彼にちょっと話を聞きましたけど、彼は自分の立場っていうのも理解して、監督からの信頼も得ていますし、年齢的にももうそういう年齢になっています。そういう意味ではかれは1プレーヤーとして、1人間として素晴らしく成長したと思うので、彼は彼なりのキャプテンとしての役割を果たしてくれたと思うし、彼がそういう役割を果たさなければ優勝ということはあり得ないと思うので、僕は彼に対しては全く要求することはないです。監督に対しては、やっぱり右サイドで使ってもらいたいなと。代表に選ばれて欲しい選手なので、本職の右サイドで彼には勝負してもらいたいですね。
井原:最初の10の質問でJリーグの10000ゴールは? というのがありましたけど、エメルソンだと思うんですよ。
福田:あといくつなの?
白石:261ゴールです。
井原:エメルソン、一番確率が高いでしょ。いっぱい点取るから。で、やっぱり彼に取ってもらいたい。今までもあれだけたくさんのゴールを決めてくれてるし。
福田:日本人がいいんじゃないの?
中西:僕も日本人がいいですね。
福田:たぶん俺たちは見てる世界が狭い。海の外に出られないタイプだと思う。井原はいつも世界を見てるから。違うんだよね。
中西:僕はやっぱり、日本人が歴史に名前を刻む人になって欲しい。美帆ちゃんは10000ゴールは誰がいい?
白石:私は中山ゴン選手。
福田:それはいいですね、美しいですね。
中西:カズ(三浦知良、ヴィッセル神戸)さんとかゴンさんとか、そういう人がいい。
福田:ベテランで引っ張っている人か若手か、どっちかだな。中途半端だとイヤじゃん。たとえば、今年加入した外国人選手で、それもディフェンダーとか。Jリーグの初ゴール決めた人みたいな。
中西:マイヤー(元ヴェルディ川崎)?
会場:笑い
福田:でもそうなりそうだよね。初ゴールがそれだし。10000ゴールもそうな気がする。
中西:それでは、そろそろ時間となりました。立ちましょうか。
司会:楽しい楽しい2時間、本当にみなさんありがとうございます。
中西:美帆ちゃん久しぶりでしたけど、どうでした?
白石:3年ぶりだったんですけど、なんかもっと話したいですね。
中西:それはあえて隣の人(福田)に何か言いたいということですか?
白石:そんなことないです。楽しい話がいっぱい聞けたので楽しかったです。ありがとうございました。
福田:ごめんなさい。
中西:でもサッカーのこととは違うフィールドでも活躍してますけど。
白石:ちゃんとやってますから! あまり追い出さないでください。ありがとうございました。
中西:福田さんお疲れさまでした。
福田:今年はW杯の最終予選で、代表の注目される年だと思うんだけど、その代表を支えているのはJリーグの選手。サッカーを発展させていくためにはJリーグが盛り上がらないといけないと思うんで、そういう意味では僕も井原もプレーヤーではないですけど、違った角度からJリーグを盛り上げて行かなければいけない。ぜひともJリーグを盛り上げていってもらいたいし、僕らも盛り上がって行きますけど、サポーターの人が好きなクラブを思い切って応援するというのは非常にいいことだと思うので、みんなでJリーグを盛り上げていけたらいいなと思います。どうもありがとうございました。
中西:最後かっこいいこと言うねぇ。締めるところは締める。
白石:ミスターぴあトークバトルですね。
会場:笑い
福田:ありがとうございます。
中西:井原さん。
井原:もう福田さんがすべて言ってくれたんですけど、今日のぴあトークバトルは僕6回目なんですけど、サントリーさんの協賛をいただいて、楽しいトークができました。2時間でしたけど、あっという間に終わってしまいました。今年はW杯の最終予選があったり、1シーズン制になった新しいJリーグがまた開幕するんで、今年も日本のサッカーをみなさんでドンドン応援してもらって、盛り上げて欲しいと思います。僕も競技場にはなるべく行って、テレビ・ラジオ等含めて、いろんな意味でサッカーを盛り上げていきたいと思いますので、みなさんも日本のサッカーをこれからも応援して欲しいと思います。今日はありがとうございました。
司会:今日はありがとうございました。みなさんもう一度盛大な拍手をお願いします。では、ゲストの皆さんご退場下さい。どうもありがとうございました。本日のゲスト、白石美帆さん、福田正博さん、そして井原正巳さんでした。
中西:今日もまた時間をオーバーしてお送りしましたぴあトークバトルですけど、僕が言うこと何もないんですけど、Jリーグは今年13年目で、僕もJリーグがあったからここに立っていられるんですけど、みなさんもJリーグがあったからここに集ったりとか、いろいろなところでいろいろな人に会ったりとか、いろんな生き方ができたりということがあったと思うんで。僕はいつも言っているんですけど、これからもサッカーというものを両手で扱っていきたいと思っているので、皆さんもサッカーを両手で扱っていただけるとよりサッカーがうまくいくと思いますし、サッカーが繁栄していくと思うので、ぜひとも両手で扱っていただきたいなと思います。特に今日はサントリーさんにも協賛していただいて、Jリーグのメインスポンサーですから、サッカーのことを大事にしていただいてるし、Jリーグもサッカーのことを大事にしてるし、何よりもサポーターや選手のことも大事にしていると思います。皆さんには、わたしたちが支えているんだという気持ちでやっていただけると嬉しいですし、実際そうです。さっき美帆ちゃんも言ってましたけど、皆さんが会場に足を運ぶことで得る入場料収入で、選手の年俸や新しい選手を獲得するための予算が確保されていくわけですから、そういう意味では1試合でも多く現場に出かけて、J1のみならずJ2も素晴らしいチームがたくさんありますから、ぜひとも足を運んで頂いて声援を送って頂けると嬉しいです。僕は明日日産スタジアムでぶざまな姿を見せないようにしないと。現役時代の僕のことを知らない人がいっぱいいて、「中西さん、昔何やってたんですか?」って聞く人がいっぱいいるんで、明日は現役時代同様、素晴らしいパスや、素晴らしいシュートを一切狙わず、地味~にプレーしたいと思います。僕、現役時代には隣にストイコビッチ(セルビア・モンテネグロサッカー協会会長、元名古屋グランパスエイト)っていう素晴らしい選手がいたんで、ボール持ったら全部ストイコビッチにパスしてたんです。僕よりも素晴らしいパスやシュートを打ってくれるんで。明日は隣にラモス瑠偉さんや北澤豪(以上サッカー解説者、元ヴェルディ川崎)さんとかいらっしゃるんで、僕はボロを出さないようにしたいと思います。
司会:福田さんはおもしろい方だし、井原さんは紳士だし、中西さんの解説も、私この間聞いてて感動しました。わかりやすかったし。
中西:ありがとうございます。
司会:ちょっと持ち上げましたけど。
中西:本当に今日は楽しくできましたし、雪で寒い中来て頂いてありがとうございました。また何度もこういうイベントやっていきますので、ぜひとも足を運んで下さい。そして明日、明後日は、Jリーグの会場に足を運んで下さい。そしてこのあとは三々五々、みなさんで飲みに行って、続ぴあトークバトルを楽しんで下さい。
司会:ということで、本日のホスト、中西哲生さんでした。どうもありがとうござした。

取材・構成:CREW
撮影:新関雅士