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「FIFAワールドカップ」開幕直前の2006年6月4日、日本代表の応援基地「KIRIN SUPPORTER'S STATION」にて、トークバトルが開催された。日本が誇る解説者陣が、「どうなる!? サッカー日本代表」をテーマに大激論! 熱いトークの模様をフルバージョンでお届けします。

ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2006 Vol.51
in SAMURAI BLUE PARK内 KIRIN SUPPORTERS' STATION
「どうなる!? サッカー日本代表」

Supported by:
KIRIN

横浜・赤レンガ倉庫内イベント広場B
KIRIN SUPPORTERS' STATION

<ホスト>
水内猛(スポーツキャスター)
'72年神奈川県生まれ。旭高から'91年に三菱自動車工業(現・浦和レッドダイヤモンズ)入り。Jリーグ元年には、浦和で出場試合数18試合、7得点と好成績をおさめる。'96年ブランメル仙台(現・ベガルタ)仙台に移籍。'97年の引退後はスポーツキャスターとしてテレビ・ラジオで活躍中。


<ゲスト>
宮澤ミシェル(サッカー解説者/ツエーゲン金沢スーパーバイザー)
'63年、千葉県生まれ。'86年にフジタ工業(現湘南ベルマーレ)に入社。'92年にジェフ市原に移籍。'93年には日本国籍を取得、アジア大会日本代表候補に。'96年現役引退後は、スポーツコメンテイターとして活躍。'06年1月、石川FC「ツエーゲン金沢」のスーパーバイザーに就任、JFAへの昇格を目指す。

岩本輝雄(元サッカー日本代表)
'72年、神奈川県生まれ。横浜商大高を経てフジタ工業入団。チームがベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)となり、'94年Jリーグ昇格を果たす。同年日本代表にも選出され、その後川崎フロンターレ、ヴェルディ川崎、ベガルタ仙台を経て、2004年シーズンに名古屋グランパスエイトを退団。現在は、フリーのプロサッカー選手。国際Aマッチ9試合出場2得点。

司会:「ぴあトークバトル・スポーツ快楽主義VOL.51 Supported by KIRIN」。このステージはキリンビール株式会社の協賛でお送りします。それではさっそく、本日のホスト役を紹介したいと思います。今日も午前中、テレビで見たという方もいらっしゃると思います。スポーツキャスターとして大活躍中のこの方です。タケシ ミズウチ! 水内猛さんです。お願いします。
水内:こんにちは。
司会:水内さんは横浜出身ということで、この地元・横浜で、日本代表に声援を送るベースがあるというのは大変うれしいことじゃないですか?
水内:ホントですね。僕は横浜といっても海側じゃなく、戸塚、泉区の方なんですけど。中村俊輔(セルティック)が隣の中学校なんです。
司会:そちらの方から来られてる方いらっしゃいますか? ああ、いますか。いいですねぇ、ジモティですね。
水内:ここ横浜にこういうキリンさんのブースが作られているというのが素晴らしいですよね。いいですね! もう、ビールはキリンですよ!
司会:イエーイ! とにかく「FIFAワールドカップ」が始まる前、そして期間中は大変お忙しい水内さんですけれども。普段は2時間のトークバトルなんですが、今日は1時間の凝縮バージョンで行きますので、また鋭い視点でゲストの方々にいろいろ聞いていってください。それではさっそく、本日のゲストの方々をご紹介します。大きな拍手でお迎え下さい。テルオ イワモト! ミシェル ミヤザワ!
会場:拍手
司会:いやぁ、ミシェルさん、今日もダンディに決まっていますね。
宮澤:いやぁ、着るものないんだよね。いつも同じのになっちゃうんで、今日は選んできちゃったよ。
司会:宮澤さん、トークバトルは数多く出場していただいていますけども、なんと今回はFC石川ツエーゲンのスーパーバイザーに就任されたということで!
会場:拍手
宮澤:それ、どこにあるのってね。みなさん全然わかってないと思いますけど。
司会:この“ツエーゲン”て、ドイツ語っぽいですけど。
宮澤:“ツエー”はドイツ語で2つ、“ゲン”は進むという意味。だから、“共に進む”という意味で名付けられましたが、金沢の方言だと“強いじゃん”という意味らしいんです。「強ぇーげん」。ちょうどチーム名にいいでしょ。でも、最近勝てなくてねぇ。「弱ぇーげん」と言われてますよ。
会場:笑い
司会:本当にお忙しい宮澤さんなんですが、シャープなしゃべりを期待してたくさんの方々が集まっていますので、よろしくお願いいたします。そして、岩本さん。岩本さんも地元が横浜でしたよね? 地元にこういう場所ができていかがですか?
岩本:うれしいですね。赤レンガ倉庫にはよく遊びにくるんですよ、プライベートで。
宮澤:そのカッコだとね……
岩本:スリッパで気軽にね、近所に買い物って感じで。
司会:このラフさがね、また良かったするんですよね。
宮澤:うらやましいよ、こういうカッコできないもんなぁ。
司会:最近はよく歩いてらっしゃるということで、かなり健康的に日焼けされていますが。
岩本:そうですね。この界隈を歩いてるんですけども。あと100km という……
司会:ご存知の方いらっしゃいますか?
会場:拍手
司会:さすが! 東京の日本橋から京都の三条まで歩く旅ということで。NHK BSの「東海道五十三次完全踏破 街道てくてく旅」という番組ですけども。
岩本:500 km歩くんですが、今ちょうど400km 終わってあと100km です。
司会:だいたい、いつ頃までに踏破される予定なんですか。
岩本:あと一週間ですね。6 月11日に終わる予定ですから、ちょっと「FIFAワールドカップ」にかぶっちゃうんですけど。
司会: NHK BS の番組の方もみなさん、ぜひご覧になっていただきたいと思います。せっかく元日本代表選手の岩本選手に来ていただいてるので、今日も素敵なご意見をたくさん聞かせてください。よろしくお願いいたします。アレッ、ということはこのメンバーは、水内さんが前、フォワードじゃないですか。真ん中、ミッドフィルダーが岩本さんで、後ろ、ディフェンスが宮澤さんと。もう完璧です。このメンバーでたっぷりと1時間やってまいりますので、みなさん最後までお楽しみ下さい。それではお座りになっていただいて、ぴあトークバトル恒例「11の質問」からスタートして行きたいと思います。お手元には「YES」「NO」の札がありますので、その札を持って答えていただきたいと思います。それではさっそく参りましょう。恒例!「11の質問」!

質問宮澤岩本水内
Q1 日本代表ゴールキーパー、対戦相手によって先発を替えるべきだ!NONONO
Q2 日本代表ディフェンダー、空中戦は心配ない!NONONO
Q3 日本代表ディフェンダー、ラインコントロールは心配ない!YES YESNO
Q4 日本代表のパスワークは、まだまだ遅い!NONOYES
Q5 空中戦で競り合って負けるならロングシュートを狙う方がいい!YES NOYES
Q6 自分が監督だったら、試したい先発メンバーがいる。YESNOYES
Q7 オーストラリアの弱点がわかっている。知っている。YESNOYES
Q8 クロアチアの弱点がわかっている。知っている。YESNOYES
Q9 ブラジルの弱点がわかっている。知っている。YES/NONOYES
Q10 日本代表は1 次リーグF組を2位で通過する。 YESYESYES
Q11 日本代表は1 次リーグF組を1位で通過する。 NONONO

司会:興味深い回答がありましたね。ここからはメイントークへ移ってまいります。今の質問を一つ一つ紐解いて、水内さんに突っ込んでいただきたいと思います。私はまた後ほど現れますので、このあたりでドロンさせていただきます。
水内:すごいですね。ミッシェルさんより濃い顔をして「ドロンさせてもらいます」って。ここからは僕が二人の話を聞きながら進めてまいります。時間あまりないですから、どんどんいきますか。
宮澤:それは、俺に余計なことは言うなと言ってるんだな。
水内:そんなぁ。では、第1問「日本代表ゴールキーパー、対戦相手によって先発を替えるべきだ! 」。まぁ、全員「NO」ですよね。その理由から。
岩本:誰がやっても変わんないんじゃないですか。わかんないですけど。だって、3人とも日本代表に選ばれているんだから。でも、川口(能活、ジュビロ磐田) がずっと出てるじゃないですか。コミュニケーションもあるし。そういう意味では彼がいいんじゃないですか。
宮澤:そういうのを、東海道を歩きながら考えた方がいいんだよね。
水内:「なんで、ゴールキーパーは川口なんだろう」って考えながら歩いててもイヤですけどね。ミシェルさんは?
宮澤:前回2002年の「FIFAワールドカップ」、川口は1試合も出てなくて、今回こうやって自分のチャンスをものにしたわけだけど。ヨーロッパ回ってきてね。彼は乗ってるときは最高のプレイをするんですよ。今はそういう風に見えるんですね。でも、乗ってないときは誰でもそうなんだけど、特にポカやるでしょ? だから、乗ってるときは彼に任せたら怖いくらいシュートを防いだりしますよ。楢崎(正剛、名古屋グランパスエイト) も土肥(洋一、FC東京) も素晴らしいキーパーだけれど、川口が乗ってるときはスゴイぞと。
水内:我々の印象としては、「アトランタオリンピック」の予選とか、本大会のブラジル戦とか、ああいうのを見せらせるとやっぱり能活すごいなっていう。
宮澤:2001年の「コンフェデレーションズカップ」、あれ決勝まで進めたじゃない。決勝ではフランスに負けたけど。あれも川口だ。あそこまで行ったのはミラクルだったもん。
水内:じゃ、テルは3人だったら川口でいいかなって感じ?
岩本:僕は個人的には楢崎の方が好きなんですけど。空中戦が強いですし、大会前(6月30日) 、親善試合で戦ったドイツ(ドイツ・レーバークーゼン、2-2)は、クロアチアやオーストラリアと一緒じゃないですか。とにかく、でかいですからね。たぶんすごいクロスボールとか入ってくると思うんで、個人的には空中戦に強い楢崎の方がいいと思いますね。
水内:それでも、メンバーは相手によって替える必要はないと。
岩本:敢えて替えるより、これまで通り行った方がいいですよね。それは一緒の考え。
水内:本当はキーパーが目立っちゃいけないじゃないですか、サッカーって。だけどそういうときでも、川口だととんでもないシーンとかでも止めちゃいそうな反応をしそうでしょ?
宮澤:周りの選手にすごく影響を与えるんですよ、あの選手は。
水内:まぁ、たぶん川口だと思いますよね、実際ね。
宮澤:ジーコはほとんど替えないもんね。
岩本:ブラジル人の監督はなかなか替えないですよ。僕もブラジル人の監督のもとで何度もプレイしたことありますけど、なかなか替えないですからね。彼らはこの選手って決めたら。
水内:さぁ、次いきましょう。「日本代表ディフェンダー、空中戦は心配ない! 」これは心配ですよねぇ。
宮澤・岩本:心配です!
水内:この前のドイツ戦もセットプレイで得点されましたけど、空中戦ということになったら……
宮澤:前半だけでコーナーキックが8本くらいあったんだけど、それはよくしのいでたよ。根性いれてね。あの宮本(恒靖、ガンバ大阪) はぼくより小さいぐらいだからね。正当に競るときに、まぁ正当に競ってないで体からグッと入って競ってるけど、そういう時はいいんだよね。だけど、問題は不利なとき。自分が下がりながら競らされるって時は、モロに相手の方がでかいと取られちゃうじゃないですか。やられるんですよね。その前に対処しておかなくちゃダメだ。その前の勝負だね。
水内:まぁ、そればっかりはどうしようもない体格差。身長がこの何日かで伸びるわけないですから。テルはどう?
岩本:その通りです。
水内:テルはけっこう大きいじゃない?
岩本:僕、ヘディングしたことないです。相手のヒジが鼻にあたるんですよ。あまりヘディングするタイプじゃないし。
水内:やっぱり心配? 日本代表は空中戦が。
岩本:そうですね。中田(英寿、ボルトン) 選手は強いですけど。やっぱりオーストラリアもクロアチアも高いから。オーストラリアはヴィドゥーカ(マーク) がいますからねぇ、彼のヘディングすごい強いですし、188 cmかな、91kgですよ。
宮澤:やっぱ、宮本選手のところですかね。宮本選手のところがどうしたって低いのわかるから、そこをカバーしてしかないとね。でも、うまくカバーしてるよ。だって、ドイツ人なんだもん。全部でかいんだから! だから小さいタイプを見たら、いろんな手を使ってきます。
岩本:あんまり早めにクロスを上げさせない方がいいんじゃないですか?
水内:空中戦は心配だけれども、上げさせないということで。わかりました。あと「日本代表ディフェンダー、ラインコントロールは心配ない!」。
宮澤:心配したらキリがないんだけど。あぁいう感じで後ろでラインコントロールするのは日本だけで、僕は世界一だと思うんです。あそこまでマメに上げたり下げたり、相手の状況を読んでやるのは。そういったことをトルシエ(フィリップ、前日本代表監督) のときからずっとやってきてるから。あれはトルシエのときの持ち物だからね。それを完璧に宮本はやってるから、それで破られても後悔はない。
岩本:ラインコントロールとかよくわかんないですけどね、僕は前の選手なんで。
水内:後ろのことは後ろでやってくれと。
岩本:そういうわけじゃないですけど。それはミシェルさんが詳しいんで。
水内:前から行かないと押し上げることもできないし、僕がちょっと心配だって思うのは、基本的には心配してないんですけど、電池切れしたときですよね。相手に押し込まれてボールがこぼれたときに、勇気を持って上げたりすることができるかっていう。
岩本:後ろから高いのが来るじゃないですか。それでヘディングして入れますよね。それが落ちたときに2列目から相手が出てくる。オーストラリアの試合見たんですけど、ヘディングに関しては4年前の韓国代表と同じで、後ろからどんどん出てくるんですよ。そのときに後ろの選手を捕まえなかったら……
宮澤:やられる。
水内:そのためには上げたほうがいいんですか?
宮澤:上げたほうがいい。前の状況によるんだけどね。
岩本:上げるんだけど、上げた瞬間に2列目の選手に飛び出されたら、中について行けないのが心配ですね。
宮澤:一番見てて危ないのは、ロングボールが入るときに下がるっていうこと。ウワーッと真っ直ぐ下がってくる。3バックの時には、例えば1トップでもふかしちゃう。ふかすっていうのはフリーにさせちゃうていうこと。最初に。パッパッパッとコントロールして。マズイっていったときにスーッと行って、真っ直ぐ引いたときにはフリーなんだよ、その相手の選手は。ここをやられるんだよ。そこは中沢(佑二、横浜F.マリノス) はもう上がりながらつかんで、下がるときは踏ん張るしかない。やっぱり下がっていた方がいいな。そうだよ、もうやるしかない!
水内:確かにやるしかない状況にきてますからね。
宮澤:サッカーってそういうもんなんだって。
水内:そういうことばっかりするんです、この人は。
宮澤:僕は井原(正己、元日本代表) ほど汚くないよ。
水内:NHK で井原さんがしゃべっているのを聞いて、この人ほど汚い人はいないんじゃないかって思ったことがありましたね。
宮澤:僕は解説者になって一番最初にそれを思いました。ウワァー、アジアの壁ってこんなプレイしてたんだってね。いない人のこと言っちゃいけないけど。
水内:それぐらいやらないと世界に通用しないですからね。
岩本:サッカーはそういうスポーツですからね。
水内:そして、日本のパスワークというのは生命線だと思うんですが。「日本代表選手のパスワークは、まだまだ遅い!」
岩本:僕はねぇ、相当速いと思います。この間のドイツ戦もそうでしたけど、中盤ダイレクトで結構最後までチャンスがありましたし、全然速いと思いますよ。日本は他の国より脚さばき、瞬間的なスピードが速いのでダイレクトに入れば必ずチャンスはできると思いますけど。
水内:ドイツ戦のあのパス回しはすごかったですね。
宮澤:すごいねぇ。前半、中村俊輔が苦しんで何もできなった。でも、必ず後半は何かをやってくれるのが10番だな。キュッキュッだもんな。朝の4時半(日本時間) に、ざまぁみろと思ったもんね。ドイツ人、ざまあみろみたいな。ヒュッヒュッなんてあんなのできないからね。
水内:確かにそれはね。カウンターから入ってのことだし、左サイドをポンポンとつなげて柳沢(敦、鹿島アントラーズ) が出て、高原(直泰、ハンブルガーSV) のシュートが入ったシーンなんて。
岩本:あれは中田のダイレクト。
水内:あれが常にできるかどうかですよね。
宮澤:ドイツが仕掛けた最初のプレッシャーに負けずに何とか耐えていて、後半に勝負が持ち込めるっていうのは成長したよね。
水内:あそこでまず、面食らっちゃうじゃないですか。それをしのぐっていうことが。
宮澤:感動したね。前半だけで8本、いや9本だよ、コーナーキック全部防いで。
水内:今回「FIFAワールドカップ」に出場するイングランドとかも、大会前にいい試合やって勝ってるじゃないですか。チェコとかも。あぁいうチームも、最初立ち上がりは攻め込まれてもしのいでるんですよね。やっぱり、先制点はぜったい上げられたくないですよね。
宮澤:やりたくないねぇ。逆にこっちが取って、終盤にプレッシャーかけられるゲームもありじゃない。どんどん両サイドから攻めていって。そうなれば、後半しのげなくなってくるもんね。
水内:この前なんかもやっぱりドイツは本気になって、どんどんきましたよね。あぁいう時って、ディフェンダーの心境はどうなんですか。
宮澤:ディフェンダーは耐えるしかないね。それより、中盤に聞きたいよ。だって、ディフェンダーは相手が動くのに対して付いていくでしょ。そこに応対するしかない。中盤の問題なんだよ。
岩本:いゃー、僕としたら交代です。
水内:もう自分は必要ないと。
宮澤:この間のドイツ戦は良かったじゃないですか。
岩本:だけどあの時はバラック(ミヒャエル) 、ドイツのスーパースターの。全然本調子じゃなかったから。彼が本調子だったらどうなのかなって思うんですよ。
宮澤:2004年横浜でやったとき、3-0 で勝っているから日本代表を甘く見ていたっていうのもあると思うよ。
水内:でも、慌てたと思うよ。完全に。ヤツら2点取られてねぇ。他にもチャンスがあったわけですから。
宮澤:中盤の両サイドからガンガン行かれちゃってるから、ドイツ人が頭を下げて必死に戻る。ざまあみろと思ったね。素晴らしかったね。
水内:向こうも、4バックだの3バックだのいろいろありましたけど、シュバインスタイガー(バスチャン) っていうね、加地を後ろ倒した選手。彼のコメントにもありましたけど、「チームにカツを入れるため」だって。あんな若造に言われているわけですよね。でも、替わりに入った駒野(友一、サンフレッチェ広島) も良かったですよ。
宮澤:チームの中ではいじられ役なんだってね。だから、緊張感なく上手くできたんじゃないの。
水内:途中から出る選手というのはどうですか?
岩本:大変だと思いますよ。
宮澤:テルはね、攻めてる時は大丈夫なの。いろんなアイディアを出してね、とんでもないクロスボールまで入れるから。それが、守りに入るといきなり蚊帳の外になるんだよね。あーあ、どうすんのかなぁって。
岩本:いや、そうじゃない。僕はカウンター狙っているんですよ、一発。
宮澤:カウンター狙ってんの? それで前線で休んでるのか。
岩本:あれは休んでるんじゃなくて、監督の清水(秀彦) さんの指示です。いろんな見方があるんですけど、僕は結構後半ディフェンスとかはってるんですよ。そうすると「なんで戻らないんだ」って言われるんですけど、ロナウジーニョ(ブラジル代表) だって戻らないじゃない。
水内:だから、清水さんが好きなんだろ?
宮澤:何気なくロナウジーニョと自分比べたよ。
岩本:そうそう。まぁレベルは違うんだけど。
水内:でも、そういうことだよね。すごいわかりやすいよ。
宮澤:でもね、もっと早くそういうことを伝えてくれないと俺は上から解説として「サボってます」って言っちゃうんだな。
岩本:それは間違いです。もちろん点は取られちゃいけないけど、攻撃しなきゃおもしろくないじゃないですか。それなんです。まぁ、次いきましょう。
水内:では、「空中戦で競り合って負けるなら、ロングシュートを狙う方がいい! 」。これ、ちょっと質問が難しいですけど。たぶん、ゴール前に高いボールとか上げて競ってヘディングでいくよりは、遠くからでも打った方がいいってことだと思うんですよ。
宮澤:攻めとしてね。おお、そうかそうか。
水内:ゴール前で競りあって負けるなら、守りではなく攻めですね、だったらどんどんロングシュート打ったほうがいいっていう。これはそうでしょうね。
宮澤:これは絶対必要だと思うな。スペイン行ったことがあるんだけど、日本との一番のレベルの違いはそこだと思う。ミドルシュートの威力。これは、ちょっと海外には追いつかないかなぁ。見てると単純な練習だけど、打ってるんだよね、遠くからガンガン。海外の選手は。下の年代から。これは身に付けた方がいいと思うなぁ。
水内:シュートレンジが遠いわけですよね、中田は。でも、逆にテルなんかはそういう所からどんどん打って、実際決めてたから。どうですか?
岩本:そうですね、僕はシュート好きなんで。
宮澤:打っておいて、相手デイフェンスが出てきたときにワン・ツーとか行きたいイメージがあるのねぇ。
水内:セオリーがあるんだ。だけど、ついついいってしまうのがサッカーの難しさっていうかね。
岩本:まぁヘディングっていうか、ロングボールも僕はいいと思います。その落ちたところを狙えばいいし。半分半分でいいんじゃないですか。
水内:こぼれ球を拾うっていうのは、日本の生命線ですよね。
宮澤:そうだね。そこはマメに予測しておいて。まれに一人で行って、1対1でぶつかっちゃってもね。だから、向こうが先に取ってもこっちは二人で。
岩本:落ちた所に中田がいるから大丈夫じゃないですか、彼は強いし。
水内:でもヒデのミドル、コンフェデレーションズカップの時(2005 年6月23日) のブラジル戦(2-2) 、俊輔のミドルも凄かったけど、ヒデのあの左足は気持ち良かったし。
宮澤:この間のドイツ戦も惜しかったなぁ。あのオーバーラップから、キーパーの内腿かなんかに当たって出て行ったんだけど。しかし、あのゲームでの中田の存在感は凄かったですよね。
水内:やっぱり中田は必要だなぁって、ああいう時に思ってしまうんですよね。
岩本:必要じゃないですか。みんないろんなこと言いますけど、日本代表では一番。
宮澤:強いよなぁ。
岩本:強い! だって一人だけ負けてないし。どう隠しても全然余裕かましてるし。
宮澤:我々専門家からすると、体全部で突っ込んで行くっていうのはわかるんだけど、時々足首だけでいっちゃう。足だけグーっと。あれ絶対俺達だったら持っていかれるよな。あれがなんで持っていかれないんだろ。足首だって手術してさ。なんでだろうね。
岩本:もともと体が強いんだよね。
水内:はっきりいうとケガに強いですよね。ほんとだったら痛いっていうレベルが、ヒデはこれくらいだったら別に痛くはない、できるっていう。前回の「ワールドカップ」、初戦ベルギー戦。ヒデがケガしたじゃないですか。大会が終わったあと、総集編の取材かなんかでヒデのところに行ってきたんですけど、まだ足がこんな腫れてるんですよ。よくやってたなっていう。
宮澤:ケガした翌日、ヒデがベッドに寝てマッサージを受けてるときにトレーナーが見に行ったらね、「うわっ、これはまずい、無理だ」と思ってヒデに聞いたらしいんだ。そしたら、「え? 何ですか。全然大丈夫ですよ」って。トレーナーと昌邦さん(山本、前日本代表コーチ)、目が合っちゃって、ホントかみたいな。
水内:ケガに対する強さ、痛みなんていうのはね、人それぞれで。「痛いからできませーん」っていう人もいれば、ヒデみたいにプレイできる強い選手もいる。
宮澤:テルは一緒にプレイしたことあるけど、繊細だったでしょ、彼?
岩本:昔だから覚えてないですね。3年一緒にやったんだけど、わからないです。でも、体は確かに強かったです。
水内:それがさらに、だんだん強くなっていくからね。
岩本:10年前のことはわからないです。
水内:10年? 俺は15年前のオマエのことを知ってるよ。
宮澤:俺だって知ってるよ。
水内:中学校の頃から一緒にやってるんですよ、横浜選抜で。
宮澤:そのまんまだな。そんなにガッチリはしていなかったけど、そのまんま。
水内:ニコニコしながら結構悪いことするんですよ。
宮澤:いいよなぁ。髪の毛も変わんないし、サラサラだしよぉ。
水内:引越しの用意してたら、ミシェルさんのジェフ(市原)のときピッチで横になってる写真の名刺が出てきたんですよ。
宮澤:ハッハッハッ。あの時はフサフサしてただろ。大きなお世話だよ! 次!
水内:「自分が監督だったら、試したい先発メンバーがいる」
宮澤:これはみなさんあるでしょう。
水内:テルは「NO」ですよねぇ。
岩本:今のメンバーでいいと思います。ドイツ戦、フォワードは高原、柳沢でしたけど。僕は高原・玉田で行くと思ったんですが、柳沢も調子いいし。でも、玉田も速いじゃないですか。途中から出ても。オーストラリア、クロアチアは速い選手に結構弱いんで、足ひっかかってPK、そういうイメージがあります。
水内:ミシェルさんはどういうメンバーですか?
宮澤:今のメンバーも間違いなく素晴らしいと思うけど、じゃあ小野(伸二、浦和レッドダイヤモンズ)をどういう形で使っていくかとか。サブからっていうタイプじゃないしねぇ。
水内:やっぱり試合の最初から出た方が、試合の流れをつかめるっていうのはありますよね。
宮澤:僕は逆に小野も、以前も言われていたように、中村俊輔、中田、いい選手を使ったらいいと思うんです。中村がちょっと疲れてるなと思ったら、小野にそこ任しちゃえみたいな、大胆なやり方でやるほうがいいと思います。トップ下かボランチでいくのか。試合が優勢に戦えてれば、彼はボランチってあると思うけど、試合があまり押し込まれるような状態のときは、ぼくは逆に小野はそこで使わないで……
水内:小笠原(満男、鹿島アントラーズ)だね。
岩本:3-5-2ですよね? 
水内:全然変えていいよ。
岩本:僕は3-5-2がいいと思います。4-4-2だったらやられると思います。
水内:それは左サイドから?
岩本:ええ。
水内:僕はアレックス(三都主アレサンドロ、浦和レッドダイヤモンズ)を活かすために3-5-2がいい。やっぱり彼の良さは絶対攻撃なんで、彼にディフェンスをやらせたくないし。
宮澤:ここへ来てよく3-5-2に辿り着いたと思わない? まぁ並行してやってたけど、ジーコは4-4-2じゃないですか、どう見たって。ここで3-5-2を使うっていうのは凄いことだと思うよ。
水内:今年の「キリンカップサッカー2006」(5月9日大阪長居スタジアム、ブルガリア戦。5月13日埼玉スタジアム2002、スコットランド戦)でも4-4-2でやってきてたわけですから。
宮澤:やってきてたでしょ。最初は3-5-2でやってたけど。この時期に4-4-2じゃなく、3-5-2にしていく? それは運の強さなのか、チームメイトが全部やってるのか分からないけど、すごいなぁ。これで勝ったらジーコすごいと思う。
水内:今回のメンバーには入らなかったけど、こいつは入れて欲しかったなぁという選手はいます?
宮澤:久保(竜彦、横浜F.マリノス)っていう選手もいたけれども、ちょっと小さくまとまりすぎちゃったよな。
水内:ダイナミックさがちょっと。
宮澤:まぁケガのこととか。昨日(6月3日、ナビスコカップ)はゴールしてくれて俺は嬉しいんだけども。まぁ他に、どういう選手いたっけ? 代表のことばっかり頭にきちゃって。
水内:代表から落ちた時点でそっちは忘れちゃうんでしょうか。
宮澤:そうだね。松田(直樹、横浜F.マルノス)選手もいるしさ、まだまだいっぱいいるよ。
水内:ちょっと記憶がね。まだ1ヶ月前ですけよ。他に誰かいる?
岩本:僕は松井(大輔、ルマン)です。
水内:ジーコがいうには松井は、小野、小笠原みたいなタイプがいるからとはいってましたけど。ジーコの中では彼らより松井は下だったということだよね。よくジーコのいう順番待ち。
水内:僕はね、闘莉王(田中マルクス、浦和レッドダイヤモンズ)。
宮澤:あの熱さっていうのはね、「アテネオリンピック」のときもそうだった。最後に入ってきてガーッと。
水内:あの高さと守備っていうのは、松田もそうですけど。松田、闘莉王、中澤っていう3バック見たいですよね。あとは長谷部(誠、浦和レッドダイヤモンズ)なんかもそうですし。彼らがもし来年くらいに「ワールドカップ」があったら入ってくるかもしれないっていうところもあるんで。
宮澤:レッズばっかりだな。
水内:実際に活躍してるからさぁ。
宮澤:がんばってるよなぁ。
水内:だから、巻(誠一郎、ジェフユナイテッド市原・千葉)が入ったからすごく嬉しかった。
宮澤:本当ににそうだね。ジーコとトルシエの違いっていうのは、トルシエはもう片っ端から代表に呼んで、ダーッとロボットのように使ったじゃん。代表選手が一気にすごい増えたわな。でも、ジーコになって声かからない選手もいっぱいいたじゃん。でもさ、ジーコの代表の考え方って違うんだよね。もう古典的に。それはそれでいいと思うし。ただ、次の代表が心配だなっていうのもあるけどね。
水内:だって今、小野たちが26~27歳ですから、次の「ワールドカップ」のときは30歳なんですね。だけどあのメンバーから半分くらいは行かない? きっと中田は必要なんじゃないかとか、中田待望論みたいなのになるんじゃない?
宮澤:中田は次は33歳かぁ。
水内:その頃、もう引退するんじゃない?
宮澤:あいつの存在は大きいよ。ヤツの言葉でチームを支えたっていう場面も。
水内:今回選手を決めるのはジーコ監督ですから。今日(6月4日)のマルタ戦もそうですけどね。ドイツ戦のメンバーがほぼ出場する形でしょ、ケガした加地(亮、ガンバ大阪)の問題はありますけど。
宮澤:どうかなぁ、同じになるかなぁ。
水内:フォワードは変わりますけど。
宮澤:もう一週間あるから、いろんな選手にやらせてもいいのかもしれないけど。マルタってどこか知ってますか?
水内:イタリアのシチリア島の近くにあってね。人口39万人です。
宮澤:スウェーデンと同じブロックだったんだって。スウェーデンに7-0、6-0で負けるチームだった。
水内:だけど、クロアチアに引き分けてるんですよ。
宮澤:間違いです、それは。クロアチア、出場が決まってからじゃないの?
水内:いや、決まってないですよ。
宮澤:探してみると、ホントにポチッていうような島なんだ。
水内:そう。小さいですねぇ。和歌山市と同じくらいだそうです。
宮澤:和歌山市? それはわかりづらいですねぇ。
水内:東京23区の半分。
宮澤:あ、そんなに大きいの? でも全然マルタ知らないですよ。
水内:そんな試合が今日ありますけどね。そして、いよいよ「ワールドカップ」対戦国の話をしたいんですが。オーストラリアの弱点! どうですか?
宮澤:オーストラリアはディフェンスの裏なんだけど、ビデオ見てるとディフェンスが直線的に入るボールに対しては強いわけ。
水内:前から来るボールに対して、縦のボールですね。
宮澤:ただ同じような大きなボールでも、斜めに入ると弱いんです。
水内:クロス気味ということ?
宮澤:クロス気味! 流れて来たら、チャンスがあるよね。3-5-2ではまるかもしれない。サントスが例えば斜めに入ってくると意外ととんでもないことが起きる。かぶっちゃったりね、2度ぐらいある。あとコーナーキックのマークのズレね。一回動き直したら外れるのよ。最初のマークは強いけど、クックッと動き直すとね、全員外れるんだよね。それは狙いどころだと思います。
水内:それは日本人の得意なところですね。
宮澤:フォワードの選手が1 回誘って、逆ふって。そういうところで崩れるでしょ。さっき言われてたスピードなんかは日本の方が上だと思う。ただ、走るだけのスピードはダメよ。ここからそこまで走れっていったらあいつら速いよ。
水内:速いですね。横のスピードと縦のスピードを入れてね。岩本テルさんも、弱点わからないと言いながらもでもああいうチームとやる場合は……
岩本:やはり速いパス回しじゃないですか。足も長いじゃないですか。ゴール前でそういうことをすると、ダイレクトに入ると必ず引っかかるんで。さっきも言いましたけど、フリーキックのチャンスもあるしといういうイメージなんです。空中戦に関してはミシェルさんがいいましたけど、僕はわからないんで。微妙な所に入ってくるし、でかいですからねぇ。
水内:守るとしたら、守りは高さじゃなく蹴らせないとかそういうことをやりながら、流れを受けたりスピードでいくとか……
宮澤:とにかくこぼれ球。何とかしてドーンといい競り合いをして、落とさせて、そこでドカーンとやられちゃったら、そこには宮本が全身でグワーッと体投げ出して! ドイツ戦みたいにドーンと投げ飛ばされちゃダメ。
水内:それだけやらなければオーストラリアに対しても勝てないということですよね。
宮澤:ビッグマンがいます。キーパーの控え(ゼリコ・カラッチ)が2m2cm だよ。でかくねぇ? それでもって先発のゴールキーパー(マーク、シュウォーツァー) が196cm 。守れんのか、でかすぎるんじゃないかって。
会場:笑い
水内:それだけ大きなオーストラリアですけど、十分勝つ可能性はあるわけですからね。これで勝たないと逆に困りますからね。ここは絶対勝たないといけないんで。さぁ、そして2戦目のクロアチア。もし、ここで勝ったとしましょう。いや、勝ちました。勝ち点3。
宮澤:勝ち点3? 大胆に来るねぇ。
水内:クロアチアはどうでしょうか。
岩本:僕はオーストラリアと戦い方は似ててもいいと思うんですよ。やっぱりクロアチアも大きいし。彼らって意外と足元上手いんですけど、ディフェンスへのパス回しが……だから、あれをしっかりとプレッシャーかけていけば、僕は今回いけそうな気がするんですけど。
宮澤:クロアチアは予選のときは守って、守って逆襲だったじゃないですか。ところが今やってることって攻撃! 攻撃! 攻撃! だから、あれはいいなぁと。日本に対してガンガン来てもらったほうがいいと思うんだよね。
水内:得点のイメージがあまりなくて。でも、何であんなになっちゃったのかなぁ。
宮澤:何でかなぁ。やっぱり守ってても先につながらないっていう。それか、守りはもう計算できているのか。
岩本:アルゼンチンとの試合見たんですけど、ディフェンス非常に強いですよ。メッシ( リオネル) 以外はみんなやられてましたからねぇ。メッシは取られなかったんですが。他の選手はみんなクレスポ(エルナン) にしてもそうですけど、みんなつぶされてたからねぇ。
水内:個人のディフェンス力っていうのも強いんでしょうね。それでやっぱり守れる。
宮澤:だって、ペナルティーエリアの中に入って守っちゃってな。アルゼンチンは入って行けないんもん。だけど、さっきおっしゃっていたように自分たちが入るより向こうが入っちゃって、何かするとバックパス。それをミスして、横パスカットされ。絶対、日本は覚えておいた方がいい。
水内:日本もこの前のドイツ戦みたいに来てもらった方がはまるじゃないですか。
宮澤:クロアチアは初戦ブラジルだから。
水内:ちゃんとブラジルが勝って欲しいですよね。
岩本:勝ちますよ、ブラジルが。2-0ぐらいで勝つ。
宮澤:クロアチアに?
岩本:2-1……3、いや2-0だな。
水内:なにそんなに当てにいってんだよ。
宮澤:けっこう当たるんだよ。コイツ、勝敗と株はよく当たるんだから。
岩本:2-0ぐらいでブラジルが勝つと思いますよ。
水内:ブラジルはちゃんとクロアチアに勝っておいてもらって、日本もオーストラリアに勝って、クロアチアと戦う方がいいわけですよね。
宮澤:クロアチアもどんどん攻めてくるから……そしたらそこでありがとうって、この間のドイツ戦と一緒だって。
水内:ああいうシーンが見たいですね。あと、しっかり頑張れれば。
宮澤:あぁなったら、3バックどうするかだなぁ。最後のスペース、グングン来られるからなぁ。
岩本:右サイドバック来ますからねぇ。
水内:まぁそんなクロアチアにも勝ってという気がしますけど、最後ブラジル戦。ブラジルというチームは完全に強いチームですからね。
宮澤:
強いよなぁ。見てて楽しいもんなぁ。
水内:僕はでも、普通に「FIFAワールドカップ」でブラジルとやれるってことが嬉しいなと思いますけど。弱点、どこですか?
宮澤:不思議なくらいブラジルとよく当たるな。「アトランタオリンピック」から、去年の「コンフェデ」から。
水内:どうでしょう、このブラジル。ブラジルが2勝してほぼ予選突破を決めておいてくれているという状況で、日本とやったらジーコさんのマジックが出ますか?
宮澤:ブラジルが引き分けたら日本が決勝トーナメントに行けるんだったら、必ずそういうことはある。確信してる。
水内:そのためにジーコを雇ったんだっていう人もいますからね。
宮澤:そうだ。いやいや、“そうだ”って、解説者がうなずいちゃっても困るんだよね。でも、そういう気持ちが働くのが人間だと思うよ。日本とは引き分けでいいんだ。日本がブラジルに勝たなきゃ上に行けないってなって、それでわざと勝たせるっていうのはそれはブラジルのプライドとしてありえない。でも、引き分けならってわかっててやってるんだったら。「コンフェデ」みたいに。
水内:どのみちブラジル戦は、とにかく点が取れるかどうかですよね、日本は。
岩本:ブラジルは優勝すると思う?
宮澤:僕は優勝してほしいですね。
岩本:じゃあ、します。日本 vsブラジルはですねぇ、ジーコのこととかありましたけど、やっぱりみんな得点王とかもかかってるので、得点を取りに来ると思うんですよ。だけど、日本は2点とか取れるチャンスはあると思う。絶対にチャンスはあるけど、前半の早いうちに点を取られたら5-2とか、6-2とかいう可能性もある。
水内:まぁ、2点は取れても。
岩本:うん。6点とか取られる可能性はある。それくらい強いです。
水内:ジーコはブラジル戦だけ4-4-2でやるような気がするんですけど。
宮澤:ありえるねぇ。そのほうが逆にいいかもしれない。3バックで、相手があのスピード持っててテクニック持ってたら……もうサイドガンガン行かれて、行ったら中に入れられてみたいな。それだったら、4-4-2の方が面白いかもしれないね。
岩本:僕の意見は4-4-2でも3-5-2でもやれれると思いますよ。ブラジルめちゃ強いですよ。
宮澤:そりゃあね、おっしゃるとおりだけどねぇ。穴はあるってことでしょ。
岩本:だから、上がるじゃないですか。だんだん上がってくるじゃないですか。そこを突っ切ればと思います。
宮澤:バランスを崩すって。「コンフェデ」のとき、あのボランチの前のセンターサークル辺りにどれくらいスペースが空いていたか。そこでみんなフリーになったじゃん。あんなことってありえない!
岩本:だからダブルボランチで行くんですけど、エメルソンとゼ・ロベルトでしたっけ、エメルソンはあまり上がらないじゃないですか。それでも、彼を捕まえないと僕はやられると思いますよ。
水内:いろんなことが考えられてしまいますけど、この予選リーグF組、日本の1位通過はなく2位通過とみんなの意見が一致しましたけど。
宮澤:2位通過でイタリアとやるのが見たいです。
水内:グループEのイタリアが1位できて、日本が1位だと決勝トーナメントはイタリアと当たるわけですね。せっかくの「FIFAワールドカップ」だから、それも見たいですよね。
宮澤:見たいねぇ。あのイレブンがイタリアにぶつかって行く姿を見たいねぇ。それでもってさ、トッティ(フランチェスコ) さんの横をスーっと抜けて行っちゃうのよ。それ見たいねぇ。
水内:イタリアだったら、勝てる気がするんですけど。
宮澤:埼玉スタジアムでやったとき(キリンチャレンジカップ2001、11月7 日、日本1-1 イタリア) 、柳沢が入れたあの試合は?
岩本:あれも引き分けだよ。
宮澤:あれも引き分けかよ。勝てねぇなぁ。
水内:イタリアとはどうですか、日本は。
岩本:正直言っていいですか? みんな結構こういう場だと、本音を言わないじゃないですか。イタリアに勝つのは厳しいと思いますよ。今回のイタリアっていうのは攻めにも来るし、ディフェンスも完璧だし、なかなか厳しいと思いますよ。でもチャンスはあると思うけど。ブラジルよりは勝つ可能性はある。
水内:そう、そういうこと。
岩本:もしね、それに勝つと今度はフランスと続くんだよね。
宮澤:そこおいしいな。
水内:韓国だって、前回の「FIFAワールドカップ」でそれをやってきたんですから。
宮澤:韓国ねぇ。そうだ、イタリアに勝って、スペインに勝ってなぁ。
水内:それが「ワールドカップ」ですからねぇ。
宮澤:でも、イタリアあんまりテストマッチの成績良くないなぁ。
水内:あそこもよく分からないチームってありますよねぇ。強いのはめちゃ強いですけど。
宮澤:結構、イタリアが優勝候補だと思ってるんじゃないの。
岩本:ブラジルかイタリアって思っています。
宮澤:ヨーロッパで行われる「FIFAワールドカップ」は、みんな優勝国がヨーロッパなんだよね。
水内:そうですね。でも、今回はもう違うかもしれませんね。
岩本:イタリアは強いですけど、トッティの調子次第じゃないですか。
宮澤:別にヨーロッパでやるからって、アジアが優勝したっていいよな。
水内:するなら日本がいいですよね。
宮澤:やっちゃおうぜ! みたいな。
水内:予選を突破するということが、まず第一目標なのはもちろんなんですけど。では、ズバリこの予選リーグ、何勝何敗だったら2位通過でいけますか? 
宮澤:4か5、勝ち点取らなきゃいけないでしょ。 1勝1敗1分だと厳しいからね、1勝2分か。1勝2分ってなぁ。
水内:ジーコも1勝2分って言ってますよ。
宮澤:だいたい、そうだろう。
岩本:僕は2勝1敗だと思います。オーストラリアとクロアチアには勝つけど、ブラジルには負けると思います。
水内:僕もね、2勝1敗で行ってくれる気がします。そんな気がしてしょうがない。
宮澤:俺だけひとりぼっちにさせられて……いずれにしてもそういう勝ち点かなぁ。
水内:だから絶対的に、最初の2試合は負けっていうのは許されないんですよ。
宮澤:1998年のときも岡田(武史、元日本代表監督、現横浜F.マリノス監督) 監督は1勝1敗1分けでっていったんだよ。
水内:あの時と今度は順番が逆ですからね。アルゼンチン、クロアチア、ジャマイカ。最初アルゼンチンに負けるのは計算内。で、クロアチアに負けてしまって目がなくなってしまったんですけど。
宮澤:クロアチアには勝てたもんね、あのゲームは。向こうはバテバテだった。
水内:そういう試合にはなって欲しくないですね、今回は。
宮澤:いや、今回は負けませんよ。みんなにもメッセージカードとかいっぱい書いてもらって。あれほんとにボンに送るんだってよ。航空便で。
水内:でも、ホントに「FIFAワールドカップ」はみなさんが盛り上げるといったら変ですけど、我々はもちろんですけど、やるのは選手とはいいながらも、やっぱりこういうところからメッセージを送ることはできますからね。
宮澤:いやぁ、嬉しいね。夢のような世界が我々が現役のときはなかったですけど。
水内:僕ら、Jリーグができたときですから。
宮澤:信じられないよ。サッカーの「FIFAワールドカップ」の話を聞いてくれるって人たちがいてくれて、一緒に応援してくれようとするんだからな。嬉しいですよ。
水内:寝不足になると思いますけど、みなさん一緒に応援しましょう。僕らは仕事しましょう。ドイツ行くの?
岩本:僕は個人的に決勝トーナメント、7月から行こうかなと。
水内:じゃあ、その前にしっかり歩いて。
岩本:はい。
水内:とにかく「FIFAワールドカップ」、ぜひ日本代表が予選突破できるように! 僕らの話がためになったのかどうかはわかりませんけど、なってますかね?
司会:きっとね、ためになってますよ。このトークも試合を中断するレフェリーのような感じで非常に辛いんですけども、時間がやってきちゃったんですが。残念ですね。あっという間の1時間だったんですけども、みなさん楽しんでいただけましたでしょうか?
会場:拍手
司会:普段はこのトークバトル2時間でやっているんですけども、今日は1時間の凝縮版ということで、お別れの時間となってしまいました。最後に一言ずつ、お三人からいただきたいと思いますので。会場にいらっしゃる方に一言、お願いします。まず宮澤さん、1間足りないですよね?
宮澤:僕は全然足りないですね。
司会:どちらかというとキリンビール片手にというような。昔、このトークバトルっていうのは、お酒飲みながらというのもあったんですが。また、そういう機会を設けたいと思
いますが。それではミシェルさん、一言お願いします。
宮澤:今日はお越しいただきましてありがとうございます。そして、これだけの方々が日本にいながらドイツの応援をしてくれるっていうことは非常にね、ありがたく思うのと力強く思います。ぜひ、日本から気を送って、みんなで楽しい「FIFAワールドカップ」にしましょう。ありがとうございました。
司会:宮澤ミシェルさんでした。ありがとうございます。それでは、岩本選手、いや岩本さんよろしくお願いします。どうしても僕、選手っていうイメージがずっと頭に残ってるんですよね。
岩本:いやいや、まだ引退してないから大丈夫です。「FIFAワールドカップ」、日本代表を応援すると思うんですが、世界の素晴らしい選手もぜひ見て欲しいなと思います。とにかく、日本代表を応援しましょう。今日はありがとうございました。
司会:みなさん、あたたかい拍手でお二人をお送り下さい。どうも今日はありがとうございました。なんか岩本さんはまだしゃべりたりないという感じでしたけれども、あっという間の1時間で。これから「FIFAワールドカップ」が本番に入るとテレビやメディアを通していろいろ取り上げていくわけなんですが、水内さんからもその立場として今日お集まりいただきました皆さんに一言お願いしたいと思います。
水内:「FIFAワールドカップ」が4年に一度、日本の恒例行事的な感じになっていますけども、日本代表選手、一人一人が頑張って予選を突破して、みなさんの力があって勝ち上がっていくと思いますんで。僕も「FIFAワールドカップ」景気に乗って、ぜひ仕事をしたいなと思っております。もちろん、ここに来ている方はサッカーが好きな方が多いと思うんですけど、「FIFAワールドカップ」でにわかサッカーファンと呼ばれている方もたくさんいますけれども、そのうちの一人でもぜひJ リーグの方もスタジアムに足を運んでいただければ日本のサッカー盛り上がります。日本のサッカーが盛り上がると、僕も盛り上がります。ですから、みなさんと一緒に、「FIFAワールドカップ」を1ヶ月応援できるように日本代表に頑張ってもらって、僕も頑張って行きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
司会:水内さんは来週、再来週とこちらの方であるトークバトルにまた出場していただきますので、よろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。さて1時間にわたってお送りしてまいりました、「ぴあトークバトルVOL.51 Supportde by KIRIN どうなる!? サッカー日本代表」。先ほどもちょっと触れましたけど、来週11日はオーストラリア戦の前日ですね。ここキリン・サポーターズ・ステーションで、サッカー解説者早野宏史さんん、そして武田修宏さんをゲストにお招きして、「ぴあトークバトルVOL.52 オーストラリア戦直前スペシャル」をお送りしていきますので、また皆さん集まってくださいよ。そして18日、またこちらの方でトークバトルを行いますので、そのあたりスケジュールを入れながらみんなで一緒に盛り上がっていきましょう。そして日本代表を応援していきましょう。みなさんよろしくお願いしまーす。


取材・構成:CREW
撮影:新関雅士