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後編


佐藤:まあでも、今日は特別なんで答えましょう。
川崎:外ではみんな、言わないでくださいね。
佐藤:履いてない。
川崎:本当ですか。
佐藤:っていうのは、あのー違う違う。
会場:笑い
川崎:大谷さんも私も、一歩引いた感じが。
佐藤:たぶん、答え方が悪かったんだね。答えはそのどちらでもないっていうのが正確な言い方なんだけど。実はこれ、すごい厳格なルールがあって。実はその、レーシングスーツも、例えば火にあてても15秒間は燃えないとか溶けないとか、要するに耐火服なわけですよ。で、中も当然、下着もFIAという主催者のルールを通っていれば、耐火服を着なきゃいけないんですね。耐火服のかっこいいトランクスとか、かっこいいブリーフっていうのはなかなかなくて。本当に情けないんだけど、ももひきみたいなのがね、あるんですね。去年まではそれを僕は切っちゃって、トランクスのようにしてたんだけれども、今はもう首までタートルだし、手首も長袖、足ももう全部すっぽり覆えるような、もじもじ君状態。
会場:笑い
川崎:「し」とか書けちゃうじゃないですか。
佐藤:そうそう。それを着たときに、やっぱ自分の持ち前の下着をつけると、いざというときにやっぱり熱いかなと思って。で、本当に何て言うのかな、ももひきみたいなのを着て、初めて、レーシングスーツ。だから逆を言えば、それしか着ちゃいけないっていうルールなんですね。
大谷:ちょっとバラシ入れていいですか。
川崎:お願いします。
大谷:あのね、琢磨くんはね、レース前は昼寝するんだよね。
佐藤:昼寝します。
大谷:そのときはどんなスタイル。
佐藤:そのときはまさに、もじもじ君で。
会場:笑い
佐藤:一番楽で。伸びる素材で、ノメックスっていうね。レーシングスーツの内側もそうなのかな。内側がこれ、ちょっと肌色っぽくなってるんだけど、これですね。結構、肌触りのいい、柔らかい。もう、パジャマにもってこいっていう。
川崎:よく、そういうおじいさん、いますよね。
会場:笑い
川崎:そういう感じで寝ていらっしゃる。
大谷:もうちょっとごめんなさい、一つ追加で。腕時計はしてる?
佐藤:あ、腕時計はさすがにできない。できないっていうか、やっぱり壊れちゃうんですね、振動がすごくて。だからギリギリまではしてるけども、グリッドに立つあたりから、外しますね。
大谷:腕時計も、たぶんF1ドライバーの方はしてないでしょうけども。もしもしてると、要はいくら耐火服を着てても、上から火があたると腕時計だけが熱くなっちゃうんですね。これで火傷することもあるんで、もししてたら、しないでくださいね。
川崎:ご忠告もかねて。やっぱり、そういった事故と背中合わせの部分もありますからね、その部分で。残念ながらどっちでもなかったということで、ご納得いただけましたでしょうか。ありがとうございます。さあ、いろんな質問が出てきますけども、まだまだいきたいと思います。質問のある方、手を挙げてください。じゃあ、質問。次、男性の方、いきますか。
佐藤:そうですね。どうしよう。じゃあ、両手を挙げているお父さん。
客4:琢磨さん、こんにちは。
佐藤:こんにちは。
客4:肩の故障は完治可能なものなんですか。
佐藤:えーと、そうですね。実はあの、すごくね、深い筋のところに炎症があって。表面の筋肉であれば、当然、血行もいいんで2週間ぐらいでどんどん新しい細胞に生まれ変わるんでね、シーズン中の完治も可能なんですけども。とにかく深くて血行が悪いところなんで、4週間以上は少なくとも安静にしてくれって言われたんですね。ところが、2週おきのグランプリで、その間にはテストが入ってっていう、もう絶対に無理なんですよ。だからシーズン中は何とかごまかして。レース後、あるいはテスト後は痛みだけをとって次に臨むと。だから自分のコンディションは何て言うかな、ウィンターテストの状態から上がらない。ウィンターテストっていうか、バーレーンね、第3戦の4月から、上がらない状態で、何とかだましだまし走ってきて。当然、後半戦は車もどんどん速くなってくるし、体にかかる負荷も強くなって。そのたび炎症がひどくなるっていうのがあって、そういう意味ではちょっと終盤戦、きつかったんだけれども。まあ今、こうして1ヶ月間、完全休養できてるんで、今はね、痛みもとれてるし、大丈夫だと思います。
客4:ああ、そうですか。完治しなければ、名医を知ってますので、ぜひ私のところに。
会場:笑い
客4:それと、日本唯一のドライバーっていうことで。琢磨さん以外、これからも出てこないんじゃないかなと思うぐらい、世界で五分に戦えるドライバーさんだと思います。それなので、来シーズン、絶対にセンターポールに日の丸を揚げてください。お願いします。
佐藤:はい、頑張ります。ありがとうございます。
客4:ありがとうございました。
会場:拍手
川崎:ありがとうございます。温かい応援をいただきました。それでは次の方。
客5:10歳になる息子がいるんですけれども、息子も琢磨さんみたいにすてきな男性になってほしいと思ってるんですけれど、琢磨さんはお母さまとどのように接して、お母さまから言われた何かエピソードだとか、そういうことを聞かせていただけたらありがたいなと思っております。
佐藤:いやー。
大谷:まずい?
佐藤:まずいです。
川崎:ちなみに琢磨さんはお母さんっ子だったんですか、お父さんっ子だったんですか。
佐藤:どうなんでしょうね。まあ、男の子はやっぱり、お母さんっ子になるんじゃないかなっていうのがあると思いますけど、でもうちの場合は、ほとんど放っておかれてましたから。
川崎:そうなんですか。
佐藤:とにかくもう、好きなことをやれと。やるからには一生懸命やりなさい、途中で諦めるなっていうことは言われたけども、いっさい、「何、何せい」っていう形で強制されたことはないんで。自分自身も言われてもたぶん、自分が納得しないと動かない子どもだったから。そういう意味でいい諦めがあったのかもしれないですね。
川崎:でもお話を聞けば、高校を選ぶときも大学を選ぶときも、ご自分でパパンと。
佐藤:そうですね。だから、まあ、こだわりは多少あって、昔から。例えば高校受験するときも、一つ自分の希望校が見つかって。担任の先生からは、「お前の成績じゃ無理だ」と。
川崎:あら。
佐藤:だから、すべり止めじゃないけど、公立校で、ここに一応願書出しなさいって言われたんだけど、僕はでも、落ちたらそこに行くつもりなかったんでイヤだって言ったんですよね。
川崎:あら、頑固。
佐藤:中学校のときって、放課後、みんな揃って願書を出しに行くじゃないですか。
川崎:ああ、そういえばそうでしたね。
佐藤:勝手に帰っちゃいけないんですよね。でも僕はもう、願書出すつもりがなかったんで勝手に帰って。
川崎:えーっ。
佐藤:そしたら家に電話がかかってきて、「両親、連れて来い」と。
川崎:希望するところにしか行きたくないと。
佐藤:そうそうそうそう。もう何かね、あのときは、どうなんだろう。とにかく自分がやっぱり一番やりたいことができる環境を求めて、とにかく自由な高校をって。それだけに、熱心になってましたね。
川崎:それ、結果はどうなったんでしょう。ドキドキ。
佐藤:何とか受かりました。
大谷:ちょっとお母さんエピソード1個だけ。お母さん、すみません、ばらしちゃいます。’02年(5月12日)に琢磨くんがF1デビューしたとき、オーストラリアグランプリで、レース前にね、琢磨くんたちと夕ご飯を1回食べたことがあって、そのときにね、お母さんもいらっしゃってて。でね、ホテルまで僕ね、お母さまとふたりだけでタクシーに乗って帰ったんです。そのときにね、僕は琢磨くんのこと、F3 に乗る前から知ってて、いつか上に上がってきてくれるなとは思ってたけれども、お母さんの気持ちにしてみれば、きっとドキドキだろうと。それでね、お母さんに聞いたんですよ、失礼ながら。「お母さん、本当に琢磨くん、F1に来れると思ってましたか?」って聞いたら、そしたらお母さんが、「この人、何、言ってんの?」っていう感じでね、「そんなの当たり前じゃない」っていう感じでね、僕、冷たい目で見られたのを今でも憶えてるんですけど。
会場:笑い
大谷:つまりね、僕が言いたいのは、お母さんは放任だったって今、琢磨くんが言いましたけども、それぐらい琢磨くんのことを深く信じていたんだなっていうことだけね、ちょっとお母さん、憶えておいてください。それがたぶんきっと、こういうお子さんを育てる、一番、最大の秘訣なのかなって思いました。
客5:ありがとうございました。
川崎:ありがとうございます。さてさて、どんどんじゃんじゃん、まいりましょう。キャップを挙げてる方。さあ、マニアックな質問でもなんでもお願いいたします。
客6:こんにちは。『カーグラフィック』で「GO FOR IT!」を初めて見たときからずっと応援しています。
佐藤:ありがとうございます。
客6:質問なんですけれども、元々、ジャック・ビルヌーヴ(ルノー)のファンでずっと応援してて、今年はちょっと複雑だったんですけど。ジョック・クレア。
佐藤:レースエンジニア。
客6:レースエンジニアですね。元々ジャックと組んでて、来年、ザウバー(ペトロナス)から復帰するということで、どっちに付くのかなっていうのはすごく個人的には不安なんですけど、どうなるんでしょうか。
佐藤:ジョックは僕とやります。
客6:あ、そうですか。
会場:拍手
川崎:もう、心は一つです。
客6:安心しました。
佐藤:もちろん彼らは8年近く、ジャックがF1に上がってきたときからずっとやってきた。そういう意味ではすごい特別な関係を築いてきたわけですけども、ジョックと僕も特別な関係。初めてBARでいっしょに仕事をしたときから、この人僕に対して何となく雰囲気が違うなって。しゃべり方一つにしても、ちょっと一目置いてくれてるっていうのがあって、やっぱりうれしかったんですね。彼の経験も僕はものすごいと思っていたし、何とかアピールしようとして、1年間のテストのなかでもう、ジョックにラブコールをずっと送っていたわけです。結局、2003年鈴鹿で突然の出来事であったんだけれども、いっしょに初めてレースすることになって。それ以来、「よし、やっていこう」っていうことで今シーズンが始まり、来年もいっしょにやっていきます。
客6:頑張ってください。
川崎:一安心っていう感じですね。ありがとうございます。
会場:拍手
川崎:さてさて、どんどんいきましょう。それでは続いての方。
佐藤:あ、今ちょっと、いい声が聞こえた、ちびっ子。
客7:琢磨選手は、どうやってF1ドライバーになれたんですか。
川崎:はい、「どうやってF1ドライバーに」。僕はF1ドライバーになりたいのかな。
客7:はい。
佐藤:これはもうね、どれって言われたらやっぱり、やる気一本だと思いますね、やる気一本。だって実際ね、僕、モータースポーツの世界に来たのが遅かったっていうのもあるけども、基本的には0から始めたわけですよね。レーシングスクールっていう大きな大きな何て言うのかな、踏み台っていうかきっかけはあったけども、そこに入るのも最初は大変だったけども、やる気だけは誰にも負ける気がしなかったのね。その情熱一本で、何とかF1 までは入れました。
川崎:大谷さん、いろんな今までドライバーを見てきて、小さい頃から英才教育を受けてる方もいればっていう感じだったじゃないですか。
大谷:そうですね。ま、琢磨くんの場合は10歳のときに日本グランプリを初めて見て、そのときに情熱に火がついたわけなんですよね。それから実際にレース活動に足を踏み入れたのが18歳、19歳。8年間も9年間もたぶん、ずっと燃え続けてたんでしょ。
佐藤:そうですね。そういう意味ではね、僕もやっぱりレースをやりたかったんですよ。やりたかったけども、まずどうやってやったらいいかわからなかったし、周りでレースをしてる子もいなかったし、もう自分にとっては一番身近にある車輪の付いてる自転車に乗って、頭のなかはF1のことしか考えてないんですよね。そういう感じで毎日毎日自転車で遊んでた日々でしたね。
大谷:だからそうやってずっと強く思い続けること、諦めずに何年でもね。でもそれがきっと夢を実現する力になっていくんじゃないかな。
佐藤:そうですね。とにかくやる気を持って、とにかく自分ができること全部、行動して動いてけば、必ずチャンスはつかめると思います。頑張って。
川崎:頑張って。F1ドライバーになれるかもって。
佐藤:待ってる、グリッドで。
客7:頑張ります。
会場:拍手
川崎:いいお返事でした。
客7:琢磨選手も頑張ってください。
佐藤:頑張ります。ありがとう。
川崎:励まされちゃいましたね。
客7:頑張って優勝してください。
会場:笑い
佐藤:わかりました。頑張ります。
川崎:ありがとうございます。さてさて。
客7:ありがとうございました。
川崎:ありがとうね。さあ、続いての方。
大谷:そろそろ難しい話、しましょうよ、どなたか。レースの難しい話、したい人。
川崎:そうですね、柔らかい質問からコアな質問までというのが今日のテーマですからね。はい、お願いします。
客8:琢磨さん、こんにちは。
佐藤:こんにちは。
客8:私も、ホンダのビートに乗ってるんですけど。
佐藤:なるほど。
客8:その後、ビートの調子はどうですか。
会場:笑い
川崎:ある意味、マニアックです。
客8:夏場とかビートが温まっちゃって、エンジンがかからないとかありますか。
佐藤:僕のはね、秋・冬限定なんで。夏はやっぱり日本に。ま、今年はね、ちょっと帰ってきたんですけども、でもそのときも期間が短くてね。あのときはちょうど保険も切れてたんで、ビートは走らせられなくて。だからまあ、僕の場合はそうですね、今この時期ですね。涼しい時期しか乗ってないんで、ずっと好調に走ってます。
川崎:ちなみにどうですか、そちらのビートは。
客8:えーと、今エアコンが壊れてまして、同じく夏場は乗らないですし、あと雨漏りもするんで梅雨は乗れないんで、同じく今が快適です。
会場:笑い
川崎:よかった、よかった。
大谷:でも琢磨くん、本当に小さい車が好きだよね。
佐藤:何か小さい車、好きですね。何かこう、何て言ったらいいんだろう。大きい、もちろんスーパーカーもね、魅力的なんだけど、やっぱりこう使い切る楽しさがあるじゃないですか。なかなか一般道だとそんなの無理な話だし。かと言って、わざわざ休日に「サーキットでも行くか」っていう感じじゃないじゃないですか。だから普段の生活でもちょっと走りが楽しくなるような、それでいて流れに乗るだけで精一杯な車が結構、好きですね。
大谷:でも、F1ドライバーが流れに乗るだけで精一杯の車で東京を走ってるっていうのはかなりおかしいですよね。
佐藤:でもまあ、自転車のように気軽に扱えて、小さい車は楽しいですね。
川崎:ありがとうございます。さてさて、続いてのご質問はどなたでしょうか。
佐藤:先ほどから一生懸命手を挙げてくれてる、女性の方。
川崎:はーい、じゃ、こちらの女性の方にお願いします。
客9:こんにちは。
佐藤:こんにちは。
客9:F1のドライバーの方で、よくお話をされる方とか、あとは気が合いそうだなって思う方って。
佐藤:なるほど。なかなかね、なかなかドライバー同士で話す機会そのものがまずないんですよね。ドライバーズパレードのときと、それから毎レース、必ずレース前にミーティングが、安全に関することとかのミーティングがあるんだけども、そのときぐらいしかないんですよね。あとはコース上でやりあってるかしかないんで、チームメイト、あるいは元チームメイトとか、あるいは何かクラッシュして1回接触を持ったドライバーとか、そういうきっかけがないとなかなか話せないんですよね。まあ、そういう意味ではジャンカルロ・フィジケラ(ザウバー・ペトロナス)とジェンソンが一番よく話すドライバーになるんだけども、気が合うかどうかってなると、ちょっと微妙。
会場:笑い
川崎:えっ、あれ。
大谷:深~い発言ですね、今のは。でもほら僕は、ニュルブルクリンクでルーベンスと一発あったじゃないですか。あのあと、ルーベンスとの仲はもうダメかなって思ったら、その直後、ドライバーズパレードで話をしてたよね。
佐藤:そうそう、うん、そうですね。ニュルのあと、カナダ(’04年6月13日)のモントリオールだったじゃないですか。モントリオールで走ってて、えーとね、サーキットに行く途中に普通の一般車を運転してて、すごい背の高い、アメリカのピックアップトラックって言うのかな、赤いね、フォードか何かのトラックが、すんごい勢いで割り込んできたんですよ。ブワーッて。何すんだろって思ってたら、ルーベンスなんですよね。
会場:笑い
佐藤:それで向こうは窓からキキキッて感じでね、笑ってるんですよ。そういうおちゃめなところがあるんで、ああいうクラッシュのあともお互いに、全然違和感なく。サーキット行ってから、あのときはどうのこうのっていう話もあって。お互いにあれはフィフティフィフティだったと思ってて。まあ、彼、当てられた直後はちょっと興奮して、「あいつはアマチュアだ」みたいなことを言ってたけども、たぶんビデオを見て反省したと思う。
会場:笑い
川崎:あれ、言いすぎちゃったかなーみたいな。俺も大人気なかったかなーみたいな。
大谷:そういう意味では、ラテン系の人の方が肌が合いますか。
佐藤:そうですね。でも意外とね、ミハエル・シューマッハとは結構、普通に話せる。
大谷:どんな話するんですか、ここだけの話。言えない話?
佐藤:あのね、真面目な話が多いの、やっぱり。ミーティング中とかだから、真面目な話とかでやりあうこともあるんだけど、彼の意外な一面を見たのは、モナコのドライバーズパレードのときね。僕、ちょうど隣にいたんですよ。で、何だかんだって話してたら、彼がずっと上を見てるんですよね。「琢、ちょっと上を見てみろ」とか言って、「はぁ」って見たら、ベランダにきれいな女の人たちがいっぱいいるんですよ。
会場:笑い
川崎:モナコって本当に、そばで見れて。
佐藤:それでね、普通の場合、観客席は僕らと平行なんだけど、モナコだけは真上だから、「これはいい眺めだ」とか言って。シューマッハはかなり喜んでて。
川崎:そんなところで気が合っちゃった?
佐藤:そんなところで気が合っちゃった。
会場:笑い
川崎:そんな感じのドライバー同士の会話があるようなんですけれどもね。
客9:ありがとうございます。来年は、バトンをぶち抜いて、ぜひ。頑張ってください。
佐藤:わかりました。頑張ります。
会場:拍手
川崎:力強い応援をいただきました。ありがとうございます。
佐藤:そういう意味ではね、ジェンソンとはサーキット場ではものすごくうまくいってますね。いっしょに情報交換して、まあ、いい意味でライバルで、お互いにプッシュし合ってね。だけどなかなかプライベートでいっしょに食事に行くとか、時間もないし。そういうのはね、ほとんどないですね。
川崎:なかなか難しいでしょうね。
佐藤:でも来年はね、ぶち抜けるように頑張ります。
会場:拍手
川崎:さてさて、残すところあとおふた方ということになりましたが、質問したい方。このなかでじゃあ、ちょっとマニアックで琢磨さんを困らせちゃおうかなっていう方。
佐藤:結構、それでもひるまないですね。
川崎:ひるまないですね。どうですかね。
佐藤:じゃあ、どうしよう。あの、フラッグを振ってくれてる、シャツを着てる方。
客10:こんにちは。
佐藤:こんにちは。
客10:琢磨さんが通っていた大学と同じ大学に行ってます。
川崎:後輩。
客10:後輩です。で、私にとってすごいすばらしい人で、パーフェクトな人っていうイメージがあるんですけど、人生のなかで、一番こう、失敗しちゃった、かわいい失敗は何ですか。
佐藤:かわいい失敗。うーん。僕、人生、失敗だらけですからね、そういう意味では。いや、本当に。
川崎:案外そうなんですか。
佐藤:いやいや、そうなんです。例えばみんなほら、毎日こう、ステップアップして、F3 成功してF1に行ってって言うけども、それは確かに目標は突破しないといけない。でもそこに行くまでに、本当にたくさんの失敗をしてきてるんですよ。で、逆に僕の場合はそういう失敗があったからこそ、それを乗り越えて次にいこうっていっつも思ってるから。何て言ったらいいかな。どれが一番の失敗かって言われるとちょっと困っちゃうんだけど。どうだろうな。でも、レースに関して言えばやっぱり、’00年のマカオ(11月19日)の1コーナーっていうのは相当、悔しいですね。かなりの大失敗です。
川崎:先日もテレビで、CSか何かでやってて。
佐藤:そうそう、あれは未だにやっぱり。何がそんな一番悔しいかって、自分でわかってたんですよ、あそこが危ないっていうのが。
川崎:そうですよね。松本浩明さんの写真集のなかでも対談が載っていてですね。よかったら皆さんも読んでいただきたいんですけれども、あそこは松本さんが事前にお知らせしてたって。
佐藤:そうそう。松本さんが1コーナーにいて、直前のサポートレースでアクシデントがあって、オイルがね、ばらまかれて。それを除去するために石灰がまかれてて。だから真っ白で。僕はスタート前に、彼から電話が来て、なぜかわかんないけど、スタート直前なんだけど、とったんですよね。「もしもし」と。そしたら「これこれこうで危ないから、気をつけろよ」と。
川崎:「あそこは気をつけろよ」と。
佐藤:忠告されて、僕も「わかった」と。フォーメーションラップでしっかりとチェックをして、それでスタートしたら、ドンッとぶつかっちゃいました。
会場:笑い
大谷:あのとき、僕もいたんですけどね。
川崎:そうなんですか。
大谷:パドックで待ってましたが、しばらく帰ってきませんでした。あれ、ホテルに行っちゃったの、あのとき。
佐藤:えーそうですね、はい。
大谷:僕らもね、取材する人間としてね、辛いんですよ。ドライバーが今、一番辛い思いしてるっていうのは僕らもわかるでしょ。でも、そんなときに「ね、ね、今、どうしたの?」って聞くのはすごく辛かったんで。
川崎:「どんな気持ちだった」なんて聞けないですよね。
大谷:だから周りの僕らもちょっとね、あのときはシュンとしてたかな。
佐藤:でも何か、どうだろう。やっぱり最近はこう、失敗してる方が楽しいですね。
川崎:でも、失敗は成功の元ですから。
佐藤:そうそう。
川崎:それをたくさん作っているっていう感じ。
佐藤:そういうことをたくさんすれば、もうきっと、もっともっと強く、もっともっと速くなれるだろうと思ってますから、はい。
客10:今、機械の研究してるんですよ。なので、将来、琢磨選手のエンジンを開発できるように頑張ります。
佐藤:わかりました。
客10:待っててください。
佐藤:わかりました、待ってます。
大谷:エンジンブローはさせないでください。
会場:笑い
川崎:ありがとうございました。いやー今、そうですね、メカニックに女性の方がいたりとか。
佐藤:そうですね。いや、本当にね。今、女性がすごいF1の世界でも頑張ってて、何て言ったらいいんだろう。例えばウィリアムズのマシーン、あれはね、今は違うんだけれども、一番最初は女性がチーフデザイナーで。BARでもたくさんの女性スタッフ、デザイナーが働いてるし、どんどん。
川崎:ぜひね、頑張っていただきたいと思います。それでは最後の質問になりました。質問したいという方、手を挙げてください。
客11:鈴鹿でですね、ピット作戦がわかれて、琢磨さんが1回多かったじゃないですか。
佐藤:はい。
客11:序盤ずーっと後ろを行ってましたよね。チームとしてはそれは、どうだったっていうのはなかったんですかね。
佐藤:えーと、まあ、ありましたね、やっぱり。僕の方がペースが速かったのと、もともと3ストップと2ストップで、大きく戦略をわけていたんで。あのときは結構ね、ジョックもその、何て言ったらいいかな。えーと、日本語で言うと…「今、いろいろやってるからちょっと待ってろ」と。要はジェンソンに話しかけてるっていうことですね。あからさまなチームオーダーは今のF1は出せないんですよ。出せないんで、結局はドライバーの意思で、譲るぶんには構わない。
川崎:あーなるほど。
佐藤:だからジェンソンが前で走ってるけれども、後ろの方が速いから先に行かせようという気を起こさせるようなセットアップをしなければいけないわけですよね。
川崎:誘導尋問みたいな感じですね。
佐藤:そうなんです。それがやっぱ時間がかかる。
川崎:あーなるほど。じゃあそういったキーマンってすっごく大事ですね。
佐藤:そうですね。そういう意味ではフェラーリなんかもうね、完璧なそういうチームワークがありますけども。でも、基本的にはドライバーもやりあってね、前に前にいきたいと思ってるんで。あのときばっかりはまあ、多少ちょっと、これじゃあ僕の作戦もうまくいかないかなと思ったけども、そのあと何とか挽回しようっていうつもりで走ってました。
客11:ごめんなさい、もう1個だけ。来年のマシンは今年みたいに戦えそうですか。
佐藤:えっとですね、つい一昨日かな、栃木研究所の方でそういうテクニカル、技術的なミーティングをしてきて。これはそうとうよくなりそうだという感触を得ました。
会場:拍手
佐藤:もちろんね、大きくレギュレーションが変わるんで、やってみなきゃわからない。なおかつ、データも豊富で資金も豊富なトップチームが一番早く順応するとは思うんだけれども、僕らは去年から今年のステップアップと同じぐらいの前進ができるだろうと。一応、机の上の、机上の計算ではそうなってるんで、楽しみにしてるところです。
客11:どうもありがとうございます。
会場:拍手
川崎:ぜひぜひ頑張っていただきたいという感じなんですけれどもね。最後に大谷さん、もうずっと「GO FOR IT!」で琢磨くんと接してきて、そんな大谷さんから今年の琢磨くん、そして来年の。大谷:あーはい。まず最初にお知らせしなけばいけないのが、今年の12月にですね、「GO FOR IT!」をまとめた単行本が発売されます。
会場:拍手
大谷:こちらの方は、皆さんぜひとも書店の方でお求めください。えっと、それとどうだろうな。昨日もね、ちょっと今シーズンを振り返っていろいろ話をしてたんだけれども、アメリカグランプリで表彰台にも上りました。でも、琢磨くんは’97年、’98年にレースデビューしてから、ずっとやっぱりチャレンジし続けてる、階段を上り続けてる。で、それはまだ、頂上に達したわけではない。アメリカグランプリで表彰台には上ったんだけれども、やっぱりそれはまだ階段をかけ上がっている途中。それはまだまだ今年もその途中だった。来年もそうで、再来年あたり、かなり頂上に近いところにいくらしいんですけど、そんな感じでチャレンジしている琢磨くんを、これからも僕らは応援したいと思うし、もう一つはやっぱり、彼が見せてくれるオーバーテイクのエキサイティングなシーンね。それは今、F1ドライバーのなかで、琢磨くんとあともうひとり、ふたりぐらいしかできる人がいません。それが日本人であることが、僕はすごく誇らしく思っています。たぶん、ファンの皆さんもみんないっしょだと思うんですけど。そんな佐藤選手をこれからも応援していきたいと思います。
佐藤:ありがとうございます。
川崎:ありがとうございます。Q&Aコーナー、参加していただきました、大谷さんでした。ありがとうございます。
会場:拍手
川崎:いやいや、身近な方からああいうコメントをいただくってどうですか。
佐藤:いやぁちょっと、恥ずかしいです。
川崎:ね。恥ずかしいのとうれしいのと。
佐藤:でも、うれしいです。やっぱり大谷さんは、レースという意味では一番身近な存在でね、僕の「GO FOR IT!」を含めていろんな心境を知ってる方なんで。本当にこれからもね、「GO FOR IT!」は僕のこだわりなんで、続けていきますんでね、皆さんもぜひ読んでください。
川崎:よろしくお願いいたします。
会場:拍手
川崎:さてさて、皆さまと楽しく過ごしてまいりましたこちらの会も、そろそろ終了の時間が近づいてきたわけなんですけれども。皆さん、短い時間でしたけどお楽しみいただけましたか。
会場:拍手
佐藤:ありがとうございます。
川崎:琢磨さん、いかがですか。
佐藤:楽しかった、本当に。両会場ともすごい盛り上がったし、何しろ自分もずっとやっぱり海外でね、レースを続けてて、みんなの元気な顔をなかなか見れないんで、こうしてね、本当に僕もたくさん元気をもらって。本当にたくさんの応援、ありがとうございました。
会場:拍手
川崎:来年もぜひ頑張っていただきたいところなんですが。
佐藤:本当にね、今日はこれだけのトークショーを開いてくれて。まずやっぱりみんなの、本当にみんなの熱い応援のおかげです。本当にありがとう。それからこの大会を実現してくれたスタッフの皆さん、この場を借りて感謝したいと思います。本当にありがとうございました。
会場:拍手

取材・構成:CREW
撮影:保高幸子