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「劇団☆新感線」の人気演出家:いのうえひでのりが、久々にシス・カンパニー公演に登場! 2009年に話題を呼んだ『怪談牡丹燈籠』に続き、再び日本人の心の琴線を大きくゆさぶる舞台をお届けします! 堤 真一、宮沢りえ、岡本健一、小出恵介、小池栄子、村川絵梨、鈴木浩介、浅野和之、そして、風間杜夫らの強力キャストを得て、 新国立劇場中劇場の空間に解き放つ劇世界は、「侠客道」を貫く男たちと、至極の愛に生きる女たちの物語……。 独自の美学に裏打ちされた“いのうえ流ダイナミズム”で観客を魅了し続けてきたいのうえひでのりが、新たに挑む愛と情念の世界です。
本作『今ひとたびの修羅』は、昭和の国民的大河小説として親しまれた『人生劇場』を原作に、 劇作家:宮本研が戯曲化した作品です。原作は、昭和8年(1933)から長きに渡り連載された尾﨑士郎による新聞小説ですが、 連載中から幾度となく映画化され、その時代を代表する銀幕スターたちが総出演。 昭和13(1938)には古賀正男作曲の歌謡曲にも歌われ、現代にも歌い継がれている、“国民的”愛唱歌と言えるでしょう。 もしかしたら、この映像や歌詞の世界が伝えるイメージが、<人生劇場=任侠大作>という構図をより一層強く印象づけたのかもしれませんが、 この物語は、単に“任侠モノ”では片づけられない、日本人の心情に訴えかけるような大きな魅力にあふれています。
もちろん、“任侠モノ”の華である、血気盛んな男衆の出入り場面は原作最大の醍醐味であり、 戯曲にも重要な見せ場として描かれていますが、この物語の中心にあるのは、 彼ら任侠の徒の精神的根幹を貫く、日本人の美徳としての“義理人情”や“ 男気 (おとこぎ)”です。 そして、その美徳を尊び、その精神に殉じようとする男たちに、命がけの愛をかたむける女たちの姿が描かれています。 そんな原作の真髄を、よりドラマチックに、より濃密に、かつ細やかな筆致で舞台上に昇華させたのが、劇作家:宮本研でした。 特に、宮本が戯曲で描いた女たちは、抗えぬ運命に涙しつつも、己が人生の修羅に正面から向き合うことを恐れぬ強靭さをもち、 弱きを助け強きをくじく侠気(おとこぎ)の男たちと共に、この戯曲に「人間の魂の物語」としての輝きを与えています。
シス・カンパニーでは、これまで2作の宮本研作品を上演してきましたが、多くの作品に見られるように、 宮本の視線は、志の高さゆえに世間からはみだしたアウトローたちや、体制に抵抗することを恐れず大義や理想を追い求める人々に等しく注がれています。 そして、彼らが苦悩し葛藤する姿を詩情あふれる文体で描いています。本作『今ひとたびの修羅』は、まさに宮本戯曲の真骨頂を発揮した作品です。
出演は、デヴィッド・ルヴォ―演出『人形の家』(2008)以来、待望の共演を果たす堤真一と宮沢りえが、 運命の2人:飛車角とおとよを演じる他、昨今は演出家としても評価を高めている 岡本健一、 舞台での成長著しい若手実力派:小出恵介、潔さと繊細さを兼ね備えた魅力が光る 小池栄子、 舞台への飽くなき探求心で演技の幅を広げている 鈴木浩介、NHK朝ドラのヒロインを経て大人の女優へと輝きを見せる 村川絵梨、 作品ごとに変幻自在の表現力を見せる 浅野和之、 そして、軽妙洒脱から重厚な演技まで圧倒的な存在感を示す 風間杜夫 など、まさに戯曲の世界観を表現するに相応しい充実の顔ぶれです。
それぞれの「修羅」を生き抜く男と女の魂の物語は、演出:いのうえひでのりの美学で美しく哀しく艶やかに匂い立ち、 命を賭した男同士の対決は、エンターテインメント性とスピード感をMAXに高めながら、 生の演劇ならではの醍醐味で、新国立劇場 中劇場の空間を埋め尽くします。
2013年4月 シス・カンパニー公演『今ひとたびの修羅』に是非ご期待ください!
1926年、熊本県生まれ。12歳から中学卒業までを中国・北京で過ごし、帰国後、学徒動員された軍需工場で敗戦を迎える。 戦後まもなく進学した九州大学で演劇と出会い、在学中より劇作を開始する。卒業後、教職につくが同時に演劇活動を活発化。 '51年に教職を辞して上京し、法務省勤務と平行して劇作活動を重ねる。'62年に法務省を退職し、劇作家として本格的に活動を開始。 同年、「日本人民共和国』と『メカニズム作戦』にて第8回岸田國士戯曲賞を受賞。 また、『明治の柩』が芸術祭奨励賞(脚本賞)を受賞し、一躍、第一線に躍り出るスタートを切った。その後、精力的に創作活動を展開。
シス・カンパニーでも上演した『美しきものの伝説』('68年初演)や『新編・吾輩は猫である』('88年初演)をはじめ、 『阿Q外傅』('88年初演)、『夢・桃中軒牛衛門の』('76年初演)、『花いちもんめ』('82年初演)、 『ブルーストッキングの女たち』('83年初演)など数多くの代表作を残している。
本作の初演は、'85年(昭和60年)3月、新橋演舞場にて。 出演は、飛車角:中村吉右衛門、おとよ:太地喜和子、瓢吉:坂東八十助、お袖:いしだあゆみ、 宮川:菅野菜保之、黒馬先生:金内喜久夫、そして、吉良常:芦田伸介という顔ぶれであった。
‘88年2月、肺がんのため死去。享年61歳。劇作家としての円熟期を迎えたばかりの早すぎる逝去であった。
1898年、愛知県幡豆郡吉良町の綿実売問屋の息子として生まれる。 幼少期に一時期横浜に養子に出されるが馴染めず戻り、 その後、愛知県立第二中学校(岡崎高校)に学んだ頃から政治に関心をもち始め、社会主義思想に傾倒する。 その後上家し、早稲田大学政治学科に進学するが、在学中に学校騒動により退学。 この頃、社会主義者・堺利彦の売文社へ入社。
大正10年(1921)「獄中小説」が懸賞小説の第二度で当選し文学の道への専心を期す。 大正11年(1922)には女流作家:宇野千代と結婚するが破綻。 再婚後、「人生劇場」の成功で名声を得る。昭和39年(1964)、大腸癌のため逝去。享年66歳であった。
「人生劇場」は、昭和8年(1933)3月から都新聞(現東京新聞)にて連載が開始され、 「青春篇」から始まり、間を置きながら、「愛欲篇」「残侠篇」「風雲篇」「遠征篇」(のちに「離愁篇」と改題) 「夢幻篇」「望郷篇」「蕩子篇」などを発表。その完結まで約20年の年月を要した。 小説では、三州吉良横須賀村(現愛知県吉良町)から上京し、早稲田大学に学んだ青年:青成瓢吉の青春とその後の人生、 彼を取り巻く人々の人間模様を描いており、「人生意気に感ず」というロマンチシズムを波乱に富むドラマと共に描いている。
「今ひとたぴの修羅』の主人公<飛車角>は「残侠篇」で登場。 シリーズの中でもサプストーリー的な展開を見せる<飛車角>をめぐる人間関係は、多くの映画化作品の原型ともなっており、 瓢吉の父親に受けた恩義からその息子を見守る<吉良常>と孤高の渡世人<飛車角>の男同士の友情など、 日本人だからこそわかる心情にあふれ、心ゆさぷられる要素に富んでいる。 急速に資本主義や合理主義が広がっていった「昭和」にあっては、もはや時代遅れとなった「侠客道」の精神だったが、 一般大衆にとっては、体制への反発心も相まって、飛車角と吉良常の「反時代性」に“滅びゆくものの美”を感じとり、 共感を抱いたのかもしれない。
昭和初頭の東京・深川。義理の上から加担した出入りで人を殺め、警官に追われる中、 逃げ込んだ民家で飛車角(堤真一)は不思議な初老の渡世人と出会う。彼こそ伝説の侠客の血を引き継ぐ男、吉良常(風間杜夫)だった。 その民家には、三州吉良町(現愛知県吉良町)から上京し、早稲田大学に学ぶ青成瓢吉(小出恵介)が恋人お袖(小池栄子)と暮らしており、 瓢吉の父に恩義を受けた吉良常が彼を気に懸け、たまたま訪ねてきたところだった。
飛車角には、横浜のあいまい宿から足抜きし、共に命からがら逃げきたおとよ(宮沢りえ)がいたのだが、 己の不始末にけじめをつけるべく、泣きながら止める彼女を振り切り自首。前橋刑務所に送られてしまう。 しばらくは足繁く面会に通っていたおとよだったが、ある時期からふっつりと顔を見せなくなり、 心の支えを失い苦悩する飛車角を、吉良常が励まし支えていく。
それから数年の月日が流れ、飛車角の出所も近づいた頃、おとよの姿は玉の井の娼窟にあった。 そして、その傍らには、飛車角を兄と慕っていたはずの弟分・宮川(岡本健一)の姿が・・・。 男と女の運命の糸車が、転がり行きつく果てにあるものは・・・・?
2013年4月5日 (金) 〜29日 (月・祝)
新国立劇場 中劇場
チケット料金 (全席指定・税込) : SS席 10,500円、S席 9,500円、A席 8,000円、B席 6,000円
Pコード : 424-766
2013年2月16日 (土) チケット発売
4/5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | |
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金 | 土 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月 | 火 | 水 | |
13:30 | ● | ● | 休 演 |
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18:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||
4/18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | ||
木 | 金 | 土 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月 | ||
13:30 | ● | ● | ● | 休 演 |
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