その時代時代の作品として録音していくのは面白い事だと思う
- ――今回のベストアルバムの中で何曲かは新たに再録されていますが、レコーディング前に過去のアルバムって聴きましたか?
- 今回アメリカでレコーディングをしたんですけど、向こうに着いて、さあ始まるっていう前くらいのタイミングで一応オリジナルテイクはずらっと聴きましたね。
- ――その時に何か思う事はありましたか?
- 去年からずっとツアーでやっている曲を録音することになっていて、それほど久しぶりにやる曲というわけではなかったので、良い意味であまり変わっていないなって。ただその当時の景色が蘇るというか、時空を超えてタイムスリップしたような、それはライブで同じ曲を歌っても感じなかった、ちょっと不思議な感覚でしたね。
- ――そもそも今回のベストアルバムのリリースはどういった経緯で決定したのでしょうか?
- 昔からKEMURIを知っていてくれるレーベルのスタッフに「今のKEMURIが一番良いから今のメンバーで今のKEMURIを表現できる楽曲を録り直そう」って言われたのがきっかけだったんだけど、最初はあまりピンと来なかったんですよ。2007年に一回ベスト盤は作っているし、どうなのかな~って感じだったんですけど。
- ――完成したものを改めて聴いた時はどう思いましたか?
- いや、再録のベスト盤ってありだな~って思いましたね。やっぱりライブで歌うのとは全然違って、レコーディングの時、ちょっと遊びでなんだけど最近ではほとんど使わないようなギターとか、1stアルバムを録音した時に弾いていたベースがちょうどスタジオにあったんで、そのベースで弾いてみようとか、機材を変えてやってみたりして、いざ自分が歌う番になって、歌詞を目の前にして色々な言葉を歌うでしょ、そうすると、「ああ~、こんな事歌っていたんだ」とか「こういう表現していたんだ~」とか、しばらく自分がしなかったような、1stアルバムとか2ndアルバムの時ってまだ夢を叶えたいっていう想いばっかりの何にもない時代だったんだけど、いつしかそういう言い方をしなくなっちゃったんですよね。今回のレコーディングではそういう所とか感じながら歌ったから本当に凄く面白かったし、新しいアルバムを作るのと同じ位その時代時代の作品として録音していくのは面白くて良い事だなって思いましたね。