インタビュー

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結成20周年を迎えた日本が誇るスカパンクの雄。6月には現在のメンバーでの再録を含むベストアルバム『SKA BRAVO』、7月には通算11作目となるオリジナルアルバム『F』をリリース。各地の夏フェスへ出演、全国ツアーと休むことなく前進を続けるKEMURIの中心人物、伊藤ふみお(Vocal)にベストアルバムのレコーディング秘話、新作への想い、ツアーに向けての意気込みなどを語ってもらった。

その時代時代の作品として録音していくのは面白い事だと思う

――今回のベストアルバムの中で何曲かは新たに再録されていますが、レコーディング前に過去のアルバムって聴きましたか?
今回アメリカでレコーディングをしたんですけど、向こうに着いて、さあ始まるっていう前くらいのタイミングで一応オリジナルテイクはずらっと聴きましたね。
――その時に何か思う事はありましたか?
去年からずっとツアーでやっている曲を録音することになっていて、それほど久しぶりにやる曲というわけではなかったので、良い意味であまり変わっていないなって。ただその当時の景色が蘇るというか、時空を超えてタイムスリップしたような、それはライブで同じ曲を歌っても感じなかった、ちょっと不思議な感覚でしたね。
――そもそも今回のベストアルバムのリリースはどういった経緯で決定したのでしょうか?
昔からKEMURIを知っていてくれるレーベルのスタッフに「今のKEMURIが一番良いから今のメンバーで今のKEMURIを表現できる楽曲を録り直そう」って言われたのがきっかけだったんだけど、最初はあまりピンと来なかったんですよ。2007年に一回ベスト盤は作っているし、どうなのかな~って感じだったんですけど。
――完成したものを改めて聴いた時はどう思いましたか?
いや、再録のベスト盤ってありだな~って思いましたね。やっぱりライブで歌うのとは全然違って、レコーディングの時、ちょっと遊びでなんだけど最近ではほとんど使わないようなギターとか、1stアルバムを録音した時に弾いていたベースがちょうどスタジオにあったんで、そのベースで弾いてみようとか、機材を変えてやってみたりして、いざ自分が歌う番になって、歌詞を目の前にして色々な言葉を歌うでしょ、そうすると、「ああ~、こんな事歌っていたんだ」とか「こういう表現していたんだ~」とか、しばらく自分がしなかったような、1stアルバムとか2ndアルバムの時ってまだ夢を叶えたいっていう想いばっかりの何にもない時代だったんだけど、いつしかそういう言い方をしなくなっちゃったんですよね。今回のレコーディングではそういう所とか感じながら歌ったから本当に凄く面白かったし、新しいアルバムを作るのと同じ位その時代時代の作品として録音していくのは面白くて良い事だなって思いましたね。

歌詞は当時の言葉や表現を噛み締めながら向こうで全部書き直した

――そして今回は同タイミングでニューアルバムのレコーディングも行ったという事ですが制作は順調でしたか?
歌詞は全部僕が書いているんですけど、英語の歌詞でそんなに難しい事は歌ってないんだけど、キャッチーな言葉を今回はすごく選んだかな。基本的にはPMAだしスカパンクだし、怒りがっていうのは忘れたく無いんですよね。それをどういう言い方をしたら自分の中でクールで下品にならないかっていうのはなんとなく考えるんです。そういうのが根底にある中で毎回今の自分にしっくりくるモチーフをみつけるまではすごい時間がかかりますね。変に新しいものを見ようとしたり、小手先のものだとあまり感動できないっていうか、言葉に重みがなくなっちゃって。歌詞書きながら映画とかみるんですけど、良い言葉だなぁ~って思ってもそれを使って歌詞に書いたりすると何か違うんだよね。案外、昔自分がジーンとした景色をふと思い出すタイミングとかあると、それをモチーフにして書いたりするほうがスルスルって書けますね。今回も、昔のアメリカツアーで北カリフォルニアから南カリフォルニアに行く時に見た景色をふと思い出してモチーフにしたりとか、そういう作業は結構時間がかかるかな。

それでも今回の新曲に関しては去年の10月から半年位ツアーをやっていたのもあって、ホーンアレンジも構成も最終形になったのはほとんどの曲が向こうに行ってからですね。今回タイトなスケジュールの中で最初にベスト盤を録ってその後に新しいアルバムを録るっていう手順だったんですけど、メロディーが変わるとかのそこまでのややこしい事はなく、歌詞に関してはほとんどは出来ていたんでど、でもなんかやっぱりベスト盤を録る時に1stアルバムの曲とかを歌い直してみて、当時の言葉や表現を噛み締めながら向こうで全部書き直しましたね。そういった作業をずっと続けて結局歌詞が形になったのは最後の最後、歌入れする朝くらいですね。

アルバムタイトルの『F』は森村亮介へのオマージュ

――『F』というタイトルに意味などあれば教えて頂けますでしょうか?
Fは森村亮介っていうトランペッターがいて、交通事故で亡くなったメンバーなんですけど、彼が『song for my"F"』っていう曲をずいぶん前に書いていて、それで当時「何なの"F"って?」って聞いたら、ファミリーとかフレンズとか色々な"F"なんですって話しをしたことがあって、ちょうど今年彼の13回忌なので、何か色々な意味で彼へのオマージュをと思ってつけました。まさか20周年を迎える時にみんなとこうやって楽しくやっていると思ってなかったし、だからまあ、みんな元気で楽しくやっているよって事も兼ねて、その亮介が付けた"F"をもらって、その"F"に亮介がいなくなった後もずっと自分たちで構築してきた色々な"F"をぶち込んでそれをもってこれから未来へフューチャーへ進んでいこうって気持ちですね。
――ちなみに色々な"F"というのは?
今までのことは今までの事として、フューチャーに向かって、ファミリーとフレンズを大切にしてファング(牙)、あとはファックユーっていうアティチュードだよね。そういうのを絶対無くさないように、お互いにフェイス、信じる心を持って進んでいきたい。
ざっくり言うとそんな感じですね。

今のKEMURIを120%表現できるようなツアーにしたい

――そのアルバムを引っさげての全国ツアーも決定していますが、意気込みなどございますでしょうか?
自分もバンドも日々変わり続けていて、4月に行ったアメリカツアーもたったカリフォルニア5公演だけだったけど、向こうでライブをやってずいぶんバンドは変わったから、しっかり準備して今のKEMURIを120%表現できるようなツアーにしたいと思います。
――最後にファンの方にメッセージをお願いします。
色々あったけど20年前にKEMURIというバンドをはじめて良かったなってバンドのメンバーとすごい話をしています。やっぱりそれも応援してくれている人がいなかったら今はないと思うので、すごく感謝しています。応援してくれている人がハラハラドキドキするような活動をこれからも心がけていきたいと思うので引き続き、応援宜しくお願いします。


取材・文:岸本淳

INFORMATION

  • KEMURI 20th Anniversary Tour 2015「F」 2015/10/4(日)~12/20(日) 全国

PROFILE


『F』
2015.7.15 リリース

★CD+DVD
品番:CTCD-20025/B
価格:4,200円+税

★CD
品番:CTCD-20026
価格:2,500円+税

詳しくは公式サイトへ
こちら

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