今の自分をすべて表現した、最新アルバム『FACT』
- ――ニュー・アルバム『FACT』も、熱い曲が揃って充実した内容ですが、リラックスして制作できたアルバムだとお聞きしています。そういった心境になったのは、なにが大きかったんでしょうか。
- 30代となって、これまでは30代ということを意識しすぎて書いたところがあったんです。ちょっと背伸びをしたというか。こういうメッセージを伝えていったほうがいいのかなっていうことを、まだ探しているところだったんです。今、35歳になって、ようやく年齢なりのアルバムが仕上がったかなと。今まではどちらかというと、未来を見ながら描いていたものが多かったんですけど、今回は「今の自分をすべて出した」という感じですね。
- ――前作からの時間のなかで、自分の心持ちと帳尻が合ってきたということだと思いますが、今、30代半ばとなって見えてきたものはありますか。
- “攻めまくらない”、というところですかね。20代はかなりがむしゃらに走ってきたので、30代は落ち着いてみようかなと思っていたんですが。前作『MY SOUNDS』でいきなりは落ち着けないので。徐々に緩めていったところ、ちょうど最近ようやくゆっくりになってきたという感じですかね。
- ――そうしたなかで『FACT』の曲を作っていきながら、今の自分のモード感がいちばんわかった曲はありますか。
- それぞれの曲でテーマがあるんですが、この先、核になるだろう曲は「人生」だという気がしていますね。『FACT』のなかではいちばん最後に作った曲で。自分と対峙していく過程で、じゃあ“攻めまくらない”とはなんなのかと、それは守りたいものがあるからだと思った。これまではひたすら"攻めまくって"きたんですけど、守ることに対しての攻め方を学びたいなという思いで作った曲ですね。
攻めるって結局、弱いから攻めてしまうんですよね。ただ攻め続けていると、いつか、なんのために攻めているのかな?とわからなくなる時期もあるんですよ。そのなかで、守るものや大事にしたいものがあれば、立ち止まることもできるんだなっていうのをやっと感じてきて。両方必要なんですけどね。怖いゆえに攻めるという姿勢もあるし、弱いから攻めることなく守ってしまうというような。でも段々と、強くなってきた感がありますね。守るべきものに対する思いが。 - ――今、この先40代へと向かっていく中で、思い描く40代の理想像があるんでしょうか。
- 「人生」という曲は、まだ育っていないんです。年を重ねて、自分が育っていくと同時に曲も育っていって、40になった時に、過去の自分にこういうことが言えるところまで成長していきたいです。大事なのは、続けることだと思うんです。昔は早く30代になりたかったんですけど、やっと今、30半ばにさしかかって30代をわかりかけてきているので。40代になりたいというよりは、この30代をしっかり生きることで40代に向かっていけるのかなと思いますね。