リー・リトナー&ジャパニーズフレンズについて
- ──まず“リー・リトナー&ジャパニーズフレンズ”で共演する日本のアーティストとの馴れ初めをおうかがいしたいと思います。渡辺香津美さんについては、今回のステージ上でも「年齢も近いし、共通点がたくさんある。ベスト・フレンドだよ」とご紹介なさっていましたね。
- カズミとは1977年に日本で最初に逢った。まだ二人とも若かったね(笑)。音楽的にやっていることが似ているなと思って、友達になった。翌年には彼がLAの自宅に遊びに来てくれ、僕が"ジェントル・ソウツ"を率いて日本に行った時に、『マーメイド・ブールヴァード』(1978年)というアルバムをいっしょにレコーディングしたんだ。いっしょにやればやるほど、何でもできるヤツだなって思ったよ。それからは機会がある度に遊びに行ったり来たり。いっしょにライヴをできるのは、本当に楽しいよ!
- ──では神保彰さんとは?
- 一番最初に彼を知るきっかけは、ずいぶん前のことだけど、カシオペアが僕のオープニング・アクトをやってくれた時がある。最近では“東京JAZZ 2009”でいっしょに演奏した。最初からオリジナルなスタイルで演奏するドラマーだと思ったけど、その後はプログレッシヴな、イノヴェーターとしての革新的な方向に向かって、エレクトリックも使いつつ、本当に面白いことをやっていると思うよ。
- ──ヴァイオリンの寺井尚子さんについては?
- 彼女については、非常にユニークなヴァイオリニストがいるんだけれど音を聴いてみて、良かったらプロデュースしてみてくれないかといって紹介されたのがきっかけだった。それで聴いてみて、これは良い!と思ってプロデュースしたのが『Princess T』(2000年)というアルバム。その後のツアーの模様をレコーディングした『Live』(2001年)にも参加しているんだ。
- ──ということは、それぞれのメンバーと深く長い付き合いがあるわけですね。
- そう! 次回はその全員と1つの公演で共演するという初の試みになるんだ。
- ──その“リー・リトナー&ジャパニーズフレンズ”というコンセプトの提案を受けた際、どのように思われましたか?
- 日本のアーティストとは、渡辺貞夫さんをはじめとして、これまで多くの人とコラボレーションしてきたけれど、特にこの公演は、音楽的に凄く近いところにいると感じる人達とのライヴなので、非常に面白いものができるんじゃないかと思っているよ。
- ──公演内容について、すでに具体的なアイデアがあったら教えてくださいませんか?
- これはまだアイデアの段階なんだけど、特別に話しちゃおうか! まず、みんなアコースティックな演奏ができるプレイヤーなので、アコースティック・ギターにアコースティック・ヴァイオリンみたいないわゆるアコースティック・セット。それからアコースティックになるのかエレクトリックになるのか分からないけど、ジャジーなセット。それからもうひとつは全員がエレクトリックな楽器でファンキーな演奏をやろうかなって、色々考えている最中なんだ。
- ──今回のBlue Note TOKYOのライヴでは、渡辺香津美さんがアームを駆使する一方で、リー・リトナーさんがスライド・バーでそれに応えるというひときわ印象的な形で、ギタリスト同士のコミュニケーションの名場面を見せていただきました。こうしたコンビネーションは、あらかじめスタジオのリハーサルで選んだものなのでしょうか、それともライヴならではのスポンテイニアスな現象なのでしょうか?
- ああいうのは、ごくごく自然にステージ上で瞬間的に起きることなんだよ(笑)
- ──素晴らしい! それこそまさに音楽のマジックですね! 今回の公演でこうした渡辺香津美さんとの共演があるということは、リー・リトナーさんと渡辺香津美さんが、“リー・リトナー&ジャパニーズフレンズ”の軸となるようにも思われるのですが?
- う~ん、もちろん今回のカズミとの演奏が一つの要素になることは確実なんだけれど、神保さんにしても寺井さんにしても、みんなそれぞれのキャラクターを持っている人達だから、次回はみんなが対等な形でやるということを、大切に心がけているんだ。
- ──バンドのように?
- そういうことだね。
- ──ということは、渡辺香津美さんとの間に起きたマジックが、今度はバンドのように一体となったメンバーとのコンビネーションで起きるということですね。
- うん、それは確実に起きると思うよ(笑)