インタビュー

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2月27日から全国で公開の映画『ライチ☆光クラブ』。古屋兎丸氏のロングセラーマンガで同作を映画化したものだが、その中でジャイボ役を演じる俳優・間宮祥太郎氏と、同作のテーマソングを歌うミュージシャン・HAKUEI氏。作品を通じての異業種イケメン対談が実現。各々の“表現”について語り合う。

映画『ライチ☆光クラブ』について

―― 今回は、『ライチ☆光クラブ』でテーマソングを担当されたHAKUEIさんと、ジャイボ役を演じられた間宮祥太朗さん、お二人の異業種対談企画が実現しました。早速ですが、映画『ライチ☆光クラブ』はお二人から見て、どんな作品になったと思いますか?
間宮: 僕はこの映画に参加させていただくにあたって、初めて漫画を読ませていただいたんですが……漫画をまず読んでその後に台本を読むと、全然イメージが違うんですよ。文字だけで見ると、結構キツい物語なんです。漫画って、2次元の独特のポップさみたいなものが加わるから、結構サラっと読めるんですよね。でも台本で文字列だけで読んだとき、ト書きを読むと「このシーン、思ったよりすごいことやってるんだ!?」ってなるんですよ(笑)。そういう意味では、今作は漫画へのリスペクトもしつつ、脚本から感じたような生々しさというか……リアリティみたいなものが出せたんじゃないかと。改めて漫画を読んだ後に映画を観ても、映画の方がエグみが出ているかと思います。

HAKUEI: 俺は、この『ライチ☆光クラブ』という漫画作品ができたときから今までに、何十回も読んでいるんですよね。ソロプロジェクトとして同名の音楽ユニットをやっているので、歌詞を書くときなどに読み返すことが多くて。間宮くんの思ったこととも少し共通しているけど「これが本当に生々しい映像になったときに、耐えられるのかな?」って思った。結果、出来上がった映像を観たらすごくバランス良く作ってあって。もちろんエグいしグロテスクなんだけど、なんか漫画っぽいというか……ちゃんと残酷なファンタジーに見える。キャスティングの完成度もすごいし、ずっと携わってきた作品なので、うれしかったですね。
―― では、今回の映画の中で一番の見所シーンはどこだと思いますか?
間宮: 見所というよりは、作品のギアとなっている箇所が、カノンが初めて出てくるシーンだと思うんですよ。ライチがカノンをさらってきて、ライチの足元に倒れているカノンの寄りを初めて見るシーン。僕はこの映画の中で初めて光が出てくるシーンだと思っていて。今作にはいろんな変化とか驚きが散りばめられていると思うんですけど、あそこのシーンがいちばん大きく空気が変化したシーンだと思うんです。まさにマンガそのままのカノンの寄り、アレを内藤監督は見せたかったんだろうな、って。

HAKUEI: 俺はさっき言った、ゼラとジャイボのシーン……あれはやっぱり一番見所かな。本当に生々しいし。僕はこの作品の中ではジャイボが一番好きなキャラなんですけど、本当にジャイボってまっすぐなキャラクターだと思うんですね。役柄的には悪役(ヒール)なんだけど、すごく愛おしいというか。器用そうに見えてすごく不器用なんですよね。間宮くんが演じたジャイボにもすごくリアリティがあったから。あのシーンがすごく映えたよね。

お互いのイメージは?

―― では、HAKUEIさんから見た俳優・間宮祥太朗というのは、どういうイメージの人ですか?
HAKUEI: すごく色気がある俳優さんですよね! 「ジャイボが間宮くんで良かった」ってお世辞じゃなくて思いました。ただキレイ、だったり、可愛らしい顔っていうのだけじゃダメじゃないですか。独特の色気や雰囲気を持っていますよね。目にも力があるし。“男前”だけで片付けられない、片付けたくない俳優というか。

間宮: ありがとうございます……!! 色気が出ているかどうかはわからないけど(笑)。
―― では、間宮さんから見たミュージシャン・HAKUEIさんとはどんな人でしょうか?
間宮: 僕にとってのHAKUEIさんのイメージは、“男らしい人”というか……僕からしたら大人で、僕らの世代にはあまりないエネルギーを持っている人。言い方が難しいんですけど、“男”特有の勢いを、僕らの世代に足りてないものを持っている人なのかなっていう印象ですね。
例えば、作中のタミヤも自分の中のエネルギーがあるキャラクターじゃないですか? そういう人が、周りの世代にはあまりないんです。だから、HAKUEIさんのような男が憧れるような男性っていうのがすごくかっこいい。そういう、芯の強さを見習っていきたいなぁって、常々思っています。
―― 二人とも、俳優とミュージシャンとして表現の世界で活躍されているわけですが、お二人が表現活動をする上で、心がけていること、決めごとなどはありますか?
HAKUEI: 自分はもともと、音楽始めたきっかけが「とにかくライブやりたい」だったんですよね。とにかくライブにたどり着くことが目標だし、自分の人生が終わるときにはステージの上で終えたいって思うくらい、ライブは大切にしていますね。ファンの子に看取られて、ステージの上で死にたい(笑)。
―― カッコいい!
間宮: HAKUEIさんに対して大変恐縮なんですけど、実は僕、ミュージシャンに対してすごい嫉妬があるんですよ……。それがまさにライブで。役者って、“ライブ”がないから。同世代のミュージシャン友だちのライブを観に行くと、ライブ中のミュージシャンって輝きが尋常じゃないんですよね! 普通に話してるときとは別次元の爆発力というか……本当に命燃やしてます、みたいな。そういうエネルギーを感じると、すごく刺激にもなるし、悔しくもなる。男同士でもむちゃくちゃカッコいいって思うし。
あとは、歌詞や曲を作るって、0から1を作る作業じゃないですか? 僕ら役者は、0から1じゃなくて、脚本や演出があって、その土台の中で「今10あるものをどこまで伸ばしていけるのか?」という勝負をしてるんだと思う。芝居は生み出す作業ではなくて、可能性を拡げる作業だと思うので……。そう考えたとき、僕は芝居に対して自分の “エゴを出し過ぎない”というのを常に意識しているところですね。
―― 俳優さんによって演技への入り方は違うと思いますが、間宮さんの演技の哲学は“自分を出し過ぎない”ということなんですね。
間宮: 人それぞれ違うとは思うんですけど、あまり自分を出し過ぎない方が、僕は良いなと思っています。

お互いに質問してみたいことは?

―― では、お二人がお互いに質問してみたいことなどはありますか?
HAKUEI: 間宮くんはさっき「役者さんにはライブがない」って言ってたじゃないですか? 自分でそこに行こうって思わないですか?

間宮: 自分がステージに、ってことですか?

HAKUEI: そう。間宮くん、まだ22歳でしょ? 俺、21歳のときにPENICILLIN組んだんだよ。だから、今バンド組めば良いとか思わない?

間宮: 僕、昔遊び程度でバンドをやっていて、曲とかも作ってたんですけど……。ミュージシャンの友だちとかも多いので、バンドやろうよって話にはなるんです。仲間内ですけどね。でも、不思議なもので、役者を始めてから“自分の表現”じゃないものを表現する機会が増えてから、全く詞が書けなくなっちゃって。「何か言いたい」ってう欲が消失していることに気がついたんです。だから、バンドとかもやる気がないというんじゃないんですが、できないんじゃないかなって思っていて。
―― 逆に、曲があるのであれば歌うこと自体はやぶさかではない? HAKUEIさんプロデュースで歌う、なんていうのも……。
間宮: いやいやいやいや!!!! それこそ滅相もないです!!(大慌て)

HAKUEI: 要望があれば、全然ウェルカムですよ(笑)!
―― では、逆に間宮さんからHAKUEIさんに聞いてみたいことは?
間宮: では……ライブをやったりするのって、自分のエネルギーをものすごく燃やすわけですよね? そういうのって、燃え尽きるというか、いつかなくなってしまうんじゃないかという恐怖心を持ったことはあるんですか?

HAKUEI: きっといつかは人間って死ぬし、いつかは衰えて燃え尽きるときもあると思うんですよね。ただ、まだそっちよりもやりたいことの方が多すぎて。いちおう24年目なんですよね、PENICILLIN結成して……あ、今気付いた、PENICILLINの方が間宮くんより年上なんだね(笑)。
―― 衝撃的ですね(笑)!!
HAKUEI: 24年経っちゃったけど、メンバーみんなあんまり変わってないです。もちろん、スキルや知識は成長してるとは思うけど。でも、音楽に対する思いが全然変わらないんだよね。
―― やりたいことは常にあり続けているわけですよね。
HAKUEI: あります。でも、自分がこれ以上ないっていうものが本当に作れたり、そういうパフォーマンスが出来たりしたら……ありえないんですけど。そうなったらつまらなくなるかもね。

間宮: 曲を書くって、自分の中身を削っていくような作業だと思うので、どんどんすり減って行くんじゃないかって僕は思ってたんですけど……それがすり減らない精神の奥の方のタフさというか……。いろんなものが詰まっている様子が、カッコいいですよね。

今後の活動について

―― お互い、違う表現のフィールドの上に立っているからこそのリスペクトが生まれるわけですね。では、今後のお二人の活動を教えていただけますか?
間宮: 僕は今年、3月19日に行われるTOKYO GIRLS COLLECTIONでランウェイを歩く予定になっていて……場違いかもしれないと思って、今からドキドキしてます(笑)。ただ、ブーイングするならするで思いっきりしてもらいたい……。僕が出てきた途端にブーイングされたりとかしたら、面白いじゃないですか(笑)? 場違いにお邪魔して、まじめくさってカッコつけるのも何かなぁって思うので……でも、いいステージになれば良いなと思います。

HAKUEI: 今年がソロワークの20周年の年なんです。ここ数年はソロ活動は“ライチ☆光クラブ”の名義でやってたんだけど、今年はせっかくなんでHAKUEI名義でCDをリリースできたらいいなと思っています。3月からはPENICILLINのメジャーデビュー20周年を記念して「メジャーデビュー20周年記念感謝祭的関東サーキット『めぐり合い“春”2016』」と題したライブツアーもありますので是非ファンの方のみならず、観に来ていただきたいですね。
―― 春から夏にかけて、2016年は忙しそうですね。
HAKUEI: あとは、古屋兎丸さんと平沼紀久さんとやっている“漫画兄弟”というプロジェクトから派生した“ねばねば元気プロジェクト”という活動で農林水産省の“フードアクションニッポン”の優秀賞をいただきまして、そちらの活動も要注目です!あとは、Lips & Tipsというシルバーアクセサリーをプロデュースしたり、モデル兼アドバイザーを務めているアパレルブランドのelements,Hとか……もう、いっぱいありますよ(笑)。ちなみに今日は、間宮さんにelements,Hのアウターをプレゼントで持って来たんで、ぜひ着てください。

間宮: えーー!? いいんですか!!? ありがとうございます!!!!

※このときのプレゼントのアウターを着用して、間宮さんは写真に写っていますので、ぜひチェックしてみてください!

PHOTO:小林裕和
TEXT:戸崎友莉

INFORMATION

  • ●HAKUEI INFO●
  • 3月19日の柏PALOOZAを皮切りに、PENICILLIN「メジャーデビュー20周年記念感謝祭的関東サーキット『めぐり合い “春” 2016』」開催。また、夏にはHAKUEIソロデビュー20周年を記念してアルバム発売、ワンマンなどを予定している。その他の活動、詳細はオフィシャルブログにて。
  • ●間宮祥太朗INFO●
  • 間宮祥太朗主演の『ニーチェ先生』がHulu、日本テレビにて大好評放映中。また、3月19日には国立代々木競技場第一体育館にて行われる『TOKYO GIRLS COLLECTION ‘16』に出演予定、6月4日に公開の映画「高台家の人々」にも出演する。詳しいスケジュールはHPにて。