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チケットぴあインタビュー

光田健一

光田健一

ピアニスト、キーボーディスト、シンガーとして、たくさんのアーティストから支持されているマルチ音楽家・光田健一。高貴で懐かしい音律を奏でる、日本では稀少のイタリア製ピアノ「Fazioli F308」を使用して制作された彼の初のオリジナル・ピアノアルバム『♪ピアノびと』。心の安らぎと音楽の驚き、音楽の持つ力を届ける光田健一が語ってくれた。

――『♪ピアノびと』は初のオリジナル・ピアノアルバムですね。


「僕が音楽の仕事をし始めた頃、グランドピアノよりキーボードが当たり前になってきていた時代で。でもキーボードを弾いているうちに何かが物足りなくなってきて、僕も若かったのでその理由に気が付かなかったんですね。メッセージを伝えたいというよりも自分の中で音楽の表現をする魂みたいなのが行き詰まっちゃってて。作曲をしてもどうやったら届くんだろう? やっぱり歌詞がないと音楽は伝わらないんじゃないか? という結論を出して、それで意を決して歌おうって決めたんです。歌を始める前から、ピアノも歌っているような気持ちで弾くという気持ちがあったから、今回の『♪ピアノびと』でも歌心は自然と表現できているだろう…という、自負みたいなものはあるかな。震災のことも大きかった。音楽が本当に必要になる時がくるのだろうか?と、そんなことに自信を持てる余裕がなかったし。でもそこをプラスに変えようと思ったのが、自分は何ができるんだ? まず自分が出来ることをやってから、そこからでもいいから歩んでいこうと決意をした時に、一番長く付き合ってるピアノからだな、と、原点に戻りました。とにかく決意を持って一歩踏み出せば、きっと伝わる…という風に考えを変えるようにしたんですね。自分の決意が間違っているか正しいか、好きか嫌いかも聴く人が決めることだし。いつか届くんじゃないかっていう風に自信を持てるようになってきた気がしますね」


――バラエティに富んだアルバムですね。


「ある程度各国のあらゆるジャンルの音楽の要素がいいバランスで出揃ったような気がします。作曲した順にどんどん録っていって、気が付いたら16曲ありました。締切ギリギリまで、全10曲くらいに絞り込もうと思っていたんですけれども、出さないまま曲の命をなくしたり、知られないままなのはもったいないと思って、全部聴いてもらおうって思いました。音的に、どこから聴いてもすぐに聴く人の心に飛んでくるようにチャレンジしたつもりです。聴いてて飽きないように、とにかく独りよがりにならないように…って。これは常にモノを作って誰かにお届けする際の、自分の中のルールとして決めているつもりなんです」


――ツアーも今回のアルバムメインですね。


「今回はほとんどの公演でマイクを使いません。生音でクラシックのスタイルで聴いてもらうという。耳だけじゃなくて体全体で風の振動・空気の振動を受けられる距離感なので、ぜひピアノの音によって空気が震える様子を感じてほしいし、またピアノの音だけじゃなくていろんな意味でのちょうどいい距離を感じてもらえると思うんですよね。演じ手と受け手の考えが合致するってことは、厳密にはなかなかないと思うんですけれど、僕は実はそれでもいいと。音楽を聴きに来てるのに他のことを考えてることって、結構あると思うし(笑)、それでも全然良くって。その中に一瞬でも効果を示す時がくるんじゃないかって。その瞬間こそが大いなる共感だと思う。そういう意味で、お客様と演じ手の僕との合致する一瞬を探したいですね。僕の音楽はこういうものなので、端から端まで聴いて下さいって強制しようとは思わないし、聴きながら自由発想出来るリサイタルにしたいと思っています」


――最後にみなさんへメッセージを!


「今までピアノのアルバムやコンサートと言うと、固いもの、ピアノ好きの人だけが集まるというような暗黙の流れがあったかもしれないんですけれども、ふらっと立ち寄ってもらえるような空間にしたいし、何か探している人、迷っている人にこのピアノから流れ出る音楽の風を受け取ってもらいたいなって思います。『♪ピアノびと』は、誰の心にも優しく届くようにと思って紡いだものなので、その風を少しでも感じてもらえるように努力していきたいんです。僕自身がまだまだいろんな人生経験を重ねて、その経験を皆さんとともに分かち合う…。僕が音楽家として、自分の経験をあたかもしゃべって歌っているようにピアノで語っていけるように…。それを日々考えて過ごしているので、そんな姿をちょっと覗いてくれたら嬉しいなって思います」




◆光田健一ニュー・ピアノソロアルバム「♪ピアノびと」リリース記念
光田健一 ソロピアノ・リサイタルツアー「♪ピアノびと 2011」
□11/20(日) sonorium(東京都)
□11/26(土) 大名MKホール(福岡県)
□12/1(木) ボトムライン(愛知県)