インタビュー

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2014年1月に東京では1年半ぶりとなるライブ『七転び八起き』を開催する中村 中。新しい編成のバンドによるアンサンブルや、ライブ音源のダウンロードサービス、日替わりのカバー曲や未発表の新曲の発表など、様々な試みを行う同ライブの開催のきっかけから、お勧めのエンタメ、また自身が語る中村 中というアーティストまで、深く話を聞いた。

今年の活動を振り返って

――(質問事項の説明が一通り済んで・・・)では、インタビューを始めさせていただきます。
なるほど、質問事項を事前に説明していただけるんですね。
――はい(笑)わりと珍しいみたいなんですが、まず「敵じゃないよ」というのを先に知っておいてもらいたいというのと、あとは何となくでも質問を知っておいたほうが答えてもらいやすいかというのがありまして・・・。
そうなんですね。では佐久間さんも手の内を見せてくださったという事で、私も先に手の内を見せますと、(机においてあったリリース資料を手に取り)これに全て書いてあるんですよね。なのでこれを読んでいただければ・・・と言う感じです。
――あはははははは(笑)確かに凄くまとまっていますが(笑)
なのでこれをかいつまんで書いていただけたら良いと思います。
――(笑)
いや、もちろんお話もしますよ(笑)ただそれよりもこの資料に書いていない「中村 中ってどういう人なのか、こういう人だからこそ、今の活動にいきついているんだな」という風にまとめていただける人だと思うんだよなあ~、佐久間さんは。
――(笑)いやいや、もうそこまで言っていただけるなら、何とかそういうインタビューになるように頑張ります!
お願いしますね(笑)
――では、まず今年1年の活動を振り返ってみていかがだったでしょうか?様々な活動それぞれが印象深いとは思うのですが。
やはり残っているものいうと、色々な意味で舞台の『エドワード二世』ですね。昨日千秋楽を迎えたのですが、打ち上げが夜の8時からスタートして、今朝の5時まで。そのお酒がとにかく今も残っていて・・・(笑)
――そういう意味でも残っているんですね(笑)でも歌がない純粋なお芝居の出演は大きな挑戦だったと思うのですが。
これは大きかったですね。元々、CDデビューして初めての生の舞台がライブじゃなくてお芝居だったんですね。お芝居に呼ばれて歌を歌うというということで。正直、「何でだろう」って気持ちが強くて・・・「嫌だな」とすら思ったかもしれない。楽器をバックにライブをやるつもりだったのに、カラオケが流れて、フワーッと出て行くというのに、抵抗があって。
――確かに、CDデビューしていきなりがそれだと非常に抵抗があるかもしれないですね。いわゆるミュージシャン然とした出方ではないですもんね。
ただもしかするとその時からお芝居とは何かしら縁があったのかもしれないと思います。それから2年に1本くらいのペースでお芝居に呼ばれるようになったのですが、その全てが先ほど言っていただいたように「歌もあるお芝居」で。それで、「こんなに呼ばれるのなら、一度きちんとお芝居だけのお芝居に呼んでいただきたいな」と思っていたところに、このオファーが来たんですね。
――そうなんですね!
はい、なので願ってたら引き寄せるものだなと思いました(笑)

『七転び八起き』は全ての活動を集約するもの

――音楽面でいうと、今年は弾き語りのツアーなど行っていましたが、『七転び八起き』のようなバンドとともに行うライブは開催していませんでしたが、それは意識的に止められていたのでしょうか?
いや、止めてたってことはなかったですね。弾き語りのライブはバンドでは行けない所を巡れるので、これからも続けて行きたいなと思っていますが・・・。
――なぜ、こんな風に聴いたかと言うと、重複になってしまうかもしれませんが、今回、「七転び八起」を開催しようと思った一番最初のきっかけを中村さんの口からお聴きしたいなと思いまして
それは・・・小屋が取れたからです(笑)
――いやいや、でも勝手にボーっとしてたら小屋が取れたって事はない訳じゃないですか(笑)
確かに(笑)
――なので、誰かがイニシアチブを取って小屋を取ったんだと思うんですよ。
うーんと、CDもそうなんですけど、バンドで見せてないねっていうのはあったんですよ。それこそ、お芝居にも今年は2本出させていただきました、年末には泉谷さんとのライブもあります。要するにこれを全てまとめる場所が必要だね、という話になったんですね。
――はい。
楽曲書く仕事もある、様々な方とのコラボもある、舞台にも参加する、そんな風に色々な面を持ってると思うんですね、中村 中というアーティストは。でも、軸には自分で作品を作り、自分で歌うというのがあるんですね。そこに戻るという、例えていうなら網を撒いたから、それを回収する場と言うのが絶対どこかで必要だね、という話になったんですね。
――それは中村さんが望んだと言う事ですか?
いや、私は求められれば何でもやりたいんですが、基本的には怠け者なんですよ(笑)なのでスタッフからここでまとめましょうよ、という意見が出て、そうした感じですね。
――なるほど、この公演の告知で一番目を引いたのが日替わりのカバーなんですが。どんな楽曲を披露するのだろうとか、凄く気になるところなんですが。
これで言うと、カバーする楽曲ももちろん大事なんですが、私の中では日替わりと言うのが重要なんですね。
――と言うと?
単純に2日間来てくださる方が退屈しないように、というのが大きいですね。楽曲に関してはまだ何をやるか決めていないので・・・どうしようかな(笑)

中村 中お勧めの小説は・・・?

――(笑)次にお聴きしたいのが、公演とは少し外れてしまうかもしれないんですが、これまでのインタビューやTwitter、ラジオなどを拝見、拝聴させていただいて、中村さんは凄く芸術表現に対してジャンルを問わず敬意がある方だと思ったんですね、なので、単純に中村さんがおススメしたい芸術作品をお聴きしたいんですが。
最近読んだ小説で、映画化もされたんですけど、「ふがいない僕は空を見た」と言う作品を薦めたいですね。例えば今の人は気になる人がいたらTwitterなんかで「この人はどんな人なんだろう」とか探っちゃうわけでしょ?
――はい、僕なんかは結構そういうタイプですね(笑)
(笑)それで、どんな人かある程度その人の中で固まっちゃうわけでしょ?私は、逆に広くなった事で却って窮屈になってしまうネットワークの不便さを思っていて。私で言うと、世界中の人に好かれようとかは思ってなくて、ほら、隣に住んでる方がどんな方か知らないっていうのは、東京では普通じゃないですか。
――そうですね、僕も知らないです。
それで私は死んでいっても良いと思っていて、この作品はその「広いからこその窮屈さ」を表現していて、良いなと思ったんですね。最近で言うと、LINEなんかで既読しているのに返信がないと窮屈とか、私からすると良く分からない病気のようなものがあるじゃないですか。
――ニュースにもなっていますよね。
あれの延長線上を考えると、自分の思い通りにならないということが問題で、思い通りにしたいんですね、皆。そういう人って、世の中ってそうじゃないってわかってないと、思い通りにならなかった時に・・・。
――辛い?
いや、辛いではなくて、人を傷つけてしまいそう。いや、そういう言い方すると綺麗な言い方になるな、もっと短絡的に「思い通りにならないから殺してしまおう」というような、機械的な人間になってしまうと思ったんですね。その本を読んで、その部分をきちんと教えてくださってる作品だと思ったんですね。
――なるほど。
私なんかは携帯電話を忘れて家に出ると晴れやかな気分になるんですよ。なりませんか?
――あー、僕は逆かもしれないです。
そうですか!? 私は凄くさっぱりした気持ちになるんですよね。前に、携帯電話を持たないで家を出てしまい、次の日が休みだったんですけど、酔っ払って越谷の駅のホームで寝ていた事があって。
――なぜ越谷に(笑)
それから起きたんですけど。そこで普通は帰ると思うんですけど、私は急に高崎観音が見たくなって、そっちに向かったんですね。
――今度はそこから群馬に行ったんですね(笑)
ずっと連絡が取れなくて、随分マネージャーには怒られたんですけど(笑)
――そりゃそうだと思います(笑)
(笑)でも、そういう自分のレーダー、触覚に頼るというのを忘れてはいけないと私は思っていて。今の時代は恋人を決める時は顔が大きな比重を持つクセに、友達は顔が見えなくても良いみたいな感覚があるような気がしていて。それが常々怖いなと思っていて。便利になるということは、逆にそういう面も呼んでいるという事さえ分かれば、機械に使われる事はないのにな、って思ったりはしますね。
――身に沁みます(笑)
(笑)人々には携帯すらいつでもなくなっても良いと思っていてほしいなっていう願いですね。

反省しているあのライブ

――大きな話になってしまうかもしれませんが、中村さんにとってライブとはどういった場でしょうか?確認、挑戦、発散などなど・・・色々あると思うのですが。
セクシーな場だと思っています。人に見られている、そしてこちらから何かを放っている、凄くセクシーだなと思います。別に触られる訳ではないけど、凄く肉感的というか、やはりCDより現物がそこにある、触れそうな感覚というのがライブなんじゃないかな。
――中村さんの中でこれまで印象に残っているライブはありますか?
私のライブは色々楽しい事が起こるので、様々ありますが・・・これは反省も含めた思い出なんですけど、誕生日の周辺でライブがあったんですね、そこでスタッフがサプライズで祝ってくれる演出をしたかったんだと思うんですけど、それが私にバレちゃって(笑)本当は違うところで電気が消えるはずなのに電気が消えちゃって、知ってるバンドメンバーは「違う!違う!」みたいな空気を出して・・・「ああ、これなんかあるな」って(笑)
――なるほど(笑)
実際にその後ケーキが出てきたんですけど、「はいはい」みたいな感じのリアクションをしちゃって・・・それは反省してますね。私自身も若かったし、素直に喜べなかったな、って(笑)もっと喜んだほうが良かったなって今となっては思いますね(笑)今でも思い出すとうなされますね(笑)
――(笑)ありがとうございます。では今後の活動についてお話できる範囲でお願いいたします。
来年はアルバムを出したいなっていうのと、じゃあ誰と作るのかっていうのもありますし。でもぼんやり思っているのは、次のアルバムを作ったら、次の次は頑張らないで作れるアルバムにしたいな、って思ってますね。
――というと?
今作ってるものは苦しい作品になると思うんですね、というか現に苦しいんですよ今(笑)なので苦しみも全部見せていこうというのがこの『七転び八起き』なんですけど、次はもっと楽しみながら作りたいですね。いや、今の作品もきっと楽しいんですよ、でももっと「作らなきゃ」って言わないで作りたいなって思うんですよね。ほら、さっきも言ったみたいに、怠け者で根が不真面目なので(笑)
――(笑)いやいや、そうは見えないですよ。
いや、本当そうなんですよ。どうして今日も取材なんてあるんだろうって思ってて(笑)
――あはははは(笑)
(笑)いや、今は本当に楽しんでやってますよ。

中村 中は「未完成」

――ありがとうございます。では、中村 中というアーティストを俯瞰で見た時に、どんなアーティストだと思いますか?例えば、いちリスナーだったとして、中村 中をどんな風に薦めるだろうって。
うーん、どんな風に薦めるだろう?うーん・・・。
――例えば、「この人不真面目だ」とは薦めないですよね(笑)
(笑)ひとつ思うのは、中村 中と言うアーティストは「ずっと未完成」というところですね。その「出来上がらないもの」を見るというのは楽しくないですか?
――はい、凄く分かります。
まあ、それ自体も今私が言ってる事なので、ずっと未完成が続いていくのかは分からないですが、日々変わっていくから楽しいよ。とは言いたいですね。
――それは、楽曲においてもずっと変化し続けていると言う事でしょうか?
そうですね、変わってると思います。
――例えば、デビューの頃と今とで、どういう所が変わっていると思いますか?
若い頃はどんどん感覚で楽曲を作っていたと思うんですが、その時期はもう終わったと思いますね。昔より頭を使うようになったなと思います。でも、これも周期があると思うので、もしかするとまた感覚で作る時期が来るかもしれないし…それはちょっと分からないですね。
――ありがとうございます。では最後に、このページを見ている方に、一言お願いしたいんですが・・・。
一言・・・うーん。
――例えば、ライブに向けての意気込み出会ったりとか・・・
それはこの資料見ていただければ・・・(笑)
――そうなんですが・・・(笑)例えば、どういう人に来て欲しいかとか・・・(笑)
あ、それはあります!友達が沢山いる人!(笑)友達を沢山連れてきてください!。
――(笑)では、このライブをやったことで、中村さん自身何かが変わると思いますか?
変わる・・・うーん、でも何でこのタイトルにしたかっていうのは、私のデビューが7周年から8周年にかかってる、というのもあるんですが、私のこれまでの楽曲を振り返って、普通に歩けている人じゃなくて、転んでる人の歌が多いなと思っていて。
――はい。
私がそういう歌を歌うのは、普通に歩けてる時に歩調が軽やかになるための音楽をやりたいんじゃなくて、どうしても転んでしまう時に、助けになる音楽をやりたいなって思ったからなんですよ。私が好きな音楽はそういう音楽なので。だから7年やっても転んでる、それでも起き上がる、そういう事を常に思ってる人なんだって事ですよね。
――だから七転び八起きだと。
うん、なのでこのライブを期に変わるといえば変わるだろうし、この後も変わらず転び続けるだろうし・・・タイトル七転八倒でも良かったんですよね(笑)でも、七転び八起きにしたのは、転んでも起き上がるんだぞ!っていう精神を持ってる、って意味の現れだと思います。
――なるほど。
あと今回のライブは、やはり間隔が空いているというのもあって、アルバムを作りたいというのが大きいです。色々な試みをするのも、全てそのアルバムを作りたい一心ななので。だからそこへのパワーや発想が生まれるような公演になれば良いなと思っていますね。

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