インタビュー

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10月にアルバム3枚目のフルアルバム『Human hymns』をリリースしたNUBO。昨年10周年を迎えて、バンドは2013年をどんな想いで過ごし、同作をリリースするに至ったのか、今年の振り返りから、取り組み方が変わったと話すライブについてなど、Voのtommyに話を聞いてみた。

今年の振り返りから、取り組み方が変わったと話すライブについて

──2013年の活動を振り返ってみていかがでしたか?
2012年がリリースが無かったんですが、ちょうどその年の初めにツアーが終わって、そこから自分たちで何ができるかっていうのをもう一度見つめなおす期間にしようっていうのは決めていたんですね。なので自分たちの中ではまず2012年から2013年の2年間が大きくひとかたまりって感じで。
──なるほど。
ちょうど昨年がバンドを結成して10周年というタイミングで、お世話になった人たちや場所で色々企画をやったりして、そこで得たものをどうやって楽曲に反映させていこうかっていうのが今年のテーマで。シングルを5月にリリースして、数は少ないんですがリリースツアーをして、2013年はそこで色々得るものが大きかったような気がしてます。
──具体的に得たものってなんですか?
これまでのリリースツアーは僕たちが冠でやらせてもらって、それはそれで凄く有意義で素晴らしいものではあったんですね。例えばそのリリースした楽曲たちをどんな風に見せればお客さんに伝わるかを考えたりとか。
──大事なところですよね。
はい、ただそこも考えつつ、今回のリリースツアーではその日、一日一日のライブをどうするかをもっと考えました。他のバンドがやっている瞬間もこれまで以上に気にしたり、もっと極端に言えば僕たちがライブをやっていない時間をどういう風に過ごすか。ライブに来てくれた人がみんな楽しめるように、普段からそういう所を考えるようになったのが大きいと思います。
──ライブ全体を考えるようになったと言う事でしょうか。
そうですね。それで結果、ライブ全体が良いものになって、これまで以上に深い所で感動を得る事ができるようになった気がします。
──そういう点は、10月にリリースしたアルバム『Human hymns』にも反映されているでしょうか?
そうですね・・・製作期間が長くて、その間に色々心境の変化もあったんですが・・・一貫して、より人と共有できる作品を作ろうっていう気持ちになりましたね。その場で騒げて終わりって言うんじゃなくて、スピーカーで聴いても、イヤホンで通学途中とか、仕事帰りに聴いても共有できる所っていうのは無意識で考えていたのかなあとは思いますね。
──なるほど。僕が聴いて感じたのは、間口が広いアルバムだな、と思ったんですね。
はいはい。
──歌詞はtommyさんのほかにも、DrのサブさんやVoの一成さんが書かれているんですが、きちんとNUBOとしての考え方がしっかりとあるから、作品のメッセージはブレていなくて。その上で狭いコミュニティに向けて楽曲を提示している訳ではなくて、ロック好きもポップス好きも、ずっとNUBO追いかけている人も、深くメロコアを好きな人も、全員がいいと思えるアルバムに仕上がっているなと思いました。
ありがとうございます!聴いた方にはそう思えてもらえたら良いなあと思いますね。
──tommyさんの中で、特に印象に残っている楽曲はありますか?
うーん、そうですね・・・。
──それぞれ思い深い楽曲だというのは凄く伝わってくるんですよ。特にアルバムのライナーノーツを読ませていただいて、ああいう風にメンバー5人全員が全ての楽曲にコメントを寄せているライナーノーツというのは見たことがなかったので(笑)
あははは!そうですよね(笑)うーんと・・・3曲目に『アンブレラ』という曲があるんですけど、このアルバムに収録されている曲の中でこの曲が一番古くからある曲なんですね。前回の大きなツアーが終わって、節目迎えたときに「これからどうして行きたい?」っていう所で最初に作ったのがあの曲なんです。
──なるほど。確かにあの曲はこれまでのNUBOの楽曲とはひと味違う楽曲ですよね。
はい。あの曲を作るまでにも「どんな曲を作ろうか?」っていう話し合いはメンバー間であって。これまでは「踊らせたい」っていうのがどの曲でも出て来てたんですけど、何となくそういうキーワードを取っ払って、じっと沁み込ますような楽曲を作れたら良いねって話をしていたんですね。ビートとかもこれまでとは違う感じで作っていって挑戦した楽曲で、そこからスタートできたっていうのは今回のアルバムにとって凄く大きいと思っていて。なので印象に残ってますね。
──なるほど。ちなみに今楽曲のお話が出たんですが、詩に関して言えば、これが印象に残っているとかはありますか?
詩で言うと、10曲目の『セーフティードライバー』ですかね。好き・・・というか、凄くスルスルーっと書けたんですよ。NUBOって歌詞を8割9割僕が書いているんですけど・・・僕書くのが凄く遅くて(笑)。
──(笑)へえー!
これはみんな大体それぐらいかかっているのかなーと思っていたんですけど、歌詞を書いている人に話を聞いたら「ああ、自分が特別遅いんだ」って分かって(笑)そんな中でもあの曲は数時間で歌詞が書けちゃった曲なんですね。一個ヒントを見つけたら、あとはザーッと書けて。これまでも時々そういう曲はあったんですけど、歌詞に時間がかからなかった曲って、メロディに対しての詩の乗り方が素直なんですね。あの曲って構成とか拍とかはちょっと変わってるんですけど・・・簡単に言うとノリづらいというか(笑)
──(笑)でも確かにあの曲はノるのは難しいでしょうね。
はい(笑)でも歌詞と言葉は凄くまっすぐなんですね。そういう作り方ができたというのは、自分の中では大きかったですね。あとは、一番早く書けたので、一番自分が伝えたかった事なんだろうなって思うし。
──僕も『セーフティードライバー』は凄く好きで、それと同時にライナーノーツで見させていただいたんですが、あの作り方は(※ツアーの帰り道、目の前のトラックに書いてあった注意書きから歌詞のテーマを着想したという話)ひとつ発明に近いものがあるんじゃないかと思っていて。なのであの曲が一番早く書けたというのが意外でした。
ハイエースで全国を周っているバンドマンっていう環境だから書けたのかなとは思いますね。無理な想像をしていないというか、素直で良いと思ってます。
──ちなみに、今tommyさんが歌詞を書くのに時間がかかるという話を聞いて、聞いてみたいなと思ったのが、tommyさんが歌詞を書く上で、何かポリシーみたいなものはあるのかなと思ったんですが。
ああー、なるほど。
──企業秘密であれば全然内緒でも・・・
いやいや、そんな事はないです!(笑)・・・多分僕の性格的に、一個の答え、「これに間違いない!」っていう風に決められない。だから書いてて迷っちゃうっていうのがあるんですね(笑)
──なるほど。
前はそういうんじゃ歌詞書くのにダメなのかなって思ってて、現に以前に比べてもっと時間がかかるようになってきてるんですけど。
──そうなんですね。
はい・・・だから前は「答えがこれ!」っていうのがある歌詞を書きたかったんだと思うんですよ。でも、そういう人間じゃないって分かったというか(笑)。だから前なんかは1番まで書いてたのに「これ全部無し!」ってことよくありましたね。「この歌詞はウソ!」って(笑)
──(笑)
ただ最近は「これもいいと思うし、これもいいと思う」ってふたつの矛盾を気にしないで書けるかなっていうのがここ2~3年ですかね。
──じゃあまさにこのアルバムはそういう感じの歌詞ということですよね。
そうですね、白!とか黒!って決め付けない表現っていうのは大きく出ているような気がします。
──ありがとうございます。次に大きくなってしまうんですが、NUBOにとってライブというのはどういう場ですか?
うーん、もちろん、楽曲製作だったりというのもバンド活動においては大事なものなんですけど、元々NUBOがコピバンからスタートしたバンドなんですね。ライブハウスでノリでわーってやってたらライブハウスの人に「曲とか作ってみたら?次ライブ入れとくからさ。20分くらいできるようにしといて!」言われて、何もノウハウも無いのに・・・(笑)
──あははは!
バンドをやるにあたって順番がおかしいんですよ、僕たち(笑)一番最初がライブで、そこから曲作り。その延長線上においてレコーディングなんてものがあるのも知らなかったし(笑)
──(笑)
(笑)自分らがやるなんて考えもしなかったし。そういう感覚が今もこびりついて離れないんですよね。だから、ライブはバンドなんですよ。僕たちにとって。切り離せないというか。
──同意義と言う事ですね。
うん、始まりからそこにあったもの、ですね。僕らはライブをやりたいからバンドやってるんだな、って。
──ちなみに、tommyさんが今年の夏ぐらいに「ライブへの取り組み方が変わってきた」って書いていらしたのを読んだんですが、それは最初のほうで話していただいた「得たもの」と同じですか?
うーん、その「ライブへの取り組み方が変わってきた」って考えたのと、さっきの話は少し違って、ステージ上の5人が一個の方向を向いてライブをやる、っていう事の強さに気づいたというか。
──はいはいはい。
その意思をすり合わせる作業に時間をかけるようになったんですね。リハーサルだったり、日々のミーティング、セットリスト決めたりとかもそうなんですけど。今までは「そこは前提で」って言う空気で、今ぐらいはそこに重きを置いてやってなかったんですけど、色々なバンドとライブをしていく中で、自分らが他のバンドを見たときに、同いう所に感動したか考えたんですね。
──そこの意思確認をした訳ですね。
そうなんです、その時に「誰の何が凄かった」っていう事よりも、ステージ上のメンバーがひとつの塊になって、お客さんにドーンって行ってる時、余計な言葉が無くても伝わる時があって、そういうバンドが好きだなって結論に達したんですね。で、そういうバンドが普段何やってるかを見ていたら、バンドとして動いていく中で、「意思」を確認しあう事に凄く時間を割いているって印象があったので、「俺たちに足りないのはそこだな」って思って。
──なるほど。
ライブ前に「今日はこうしたい」っていう意志を確認して、納得できないところがあればすり合わせてっていう意味でやり方が変わってきたと思いますね。
──差し支えなければ、それを一番強く感じたバンドってそのバンドですか?
凄く近い存在なんですけど、OVER ARM THROWですね。地元一緒なんですけど、そういう力を凄く感じましたね。
──10月からスタートしているNUBO"Human hymns"TOUR 2013-2014。このツアーのファイナル2014年3月22日(土)は初の渋谷CLUB QUATTROワンマンなんですが、意気込みをお聞かせいただけますか?
渋谷CLUB QUATTROはバンドを始める前から、聖地と言う言い方したらちょっとオーバーかもしれないんですが、いつかはそこでやりたいなって具体的に出せる名前がそこだったんですね。
──憧れの場という感じですね。
はい。で、ずっとワンマンやるのに踏ん切りがつかなかったんですが、バンド組んで10年過ぎて、メンバーも大体31とかで、ここで次のステップに行かないとずっとこのままじゃないかな、今回で渋谷CLUB QUATTROやらないと、次のツアーでも「やりたい!」って言い出さないんじゃないかと思ってて。
──なるほど。
夢を夢で終わらせないためには、ギリギリのタイミングだと感じてて。なのでここでのライブがありきなのが今回のツアーですね。
──アルバムの曲がどんな風にライブで披露されるのかも凄く気になります。
そうですね、今ちょうどやってるんですけど・・・難しいっす(笑)
──あははは!でも確かにセットリストとか難しいだろうなって思います。
そうなんですよ!(笑)
──でもツアーを重ねていくうちにどんどん昔の曲とこのアルバムの曲が上手く融合していくんだろうなと思います。
このアルバムの曲でいうと、単純に、レコーディングしただけでは分からなかったメンバーの中での解釈みたいなものも浮き彫りになってきて。凄く手のかかる楽曲だなって改めて思うんですけど(笑)でもはじめから分かりきっている楽曲をやるのも面白くないし、そういう面も含めて今回のツアーは楽しいですね。
──最後の一言の前に、NUBOと言うバンドは一言で言うとどういうバンドだと思いますか?っていうのをお聞きしたいんですけど・・・
うーん、難しいな(笑)
──っていうのは、このページではNUBOを名前は知ってるけど、初めて良く知るって言う方もいると思うんですね。なので、ご自身でどういうバンドって思ってるかをお聞きしたかったんですが・・・
この前も友達に聞かれて上手く答えられなかったんですけど(笑)音楽的なことで言うと色々あって、説明が難しいので・・・ただ自分たちで大事にしているのは、「地元の友達」っていう感覚で。NUBOは「いいからついて来いよ!」っていうタイプでも「背中を押す」っていうタイプでもないかなって思っていて。でも曲聴く人が元気な時も元気じゃない時も話を聞いてあげられるような、そんな存在でいたいなと思っていて。
──なるほど!なんかNUBOの曲を聴いてると、確かに肩を組んでもらってるような感覚になります。
うん!リスナーの人たちと僕たちで、自然に一緒に進んでいけるような楽曲だったり、ライブだったりを目指していますね。
──確かにメンバーの皆さんの雰囲気や格好も、地元の友達っぽいというか(笑)
本当はそういうのじゃない所を目指していたんですけどね(笑)
──(笑)最後に、このページを見ている方に一言お願いいたします。
楽曲を聴いてもらうのも大前提なんですが、やはりライブに来て欲しいなと思いますね。さっきも言ったみたいに、NUBOにとってライブは欠かせないものなので。きっといい時間を共有できるんじゃないかと思います。なのでぜひ来てください。

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