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チケットぴあインタビュー

三浦淳寛

三浦淳寛
2011シーズンのヤマザキナビスコカップもベスト8が出揃った。1回戦から勝ち上がってきた4チームに、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)に出場した4チームが激突。タイトルを賭けた戦いは、ますます激しさを増していく。そんな大会のみどころを、今春現役を引退した元日本代表の三浦淳寛氏に聞いた。自身も1997年にニューヒーロー賞を受賞しているが、ナビスコカップの魅力はずばり「若手の飛躍」。三浦淳寛流の楽しみ方を指南してもらった。

━━日本のサッカー界にはリーグ戦、ヤマザキナビスコカップ、天皇杯と3つの大きな大会がありますが、選手にとって、ナビスコカップとはどんな位置づけにある大会でしょうか?


やっぱり3大タイトルの1つですから、大きな意味のあるタイトルです。選手たちのモチベーションも高く、当然、勝ちにこだわる戦いが繰り広げられます。リーグ戦とはまた別のスタイルで行われる大会ですし、一発勝負で勝ちあがっていく天皇杯とも違った形式なので、僕の個人的な印象としては、より攻撃的なサッカーを楽しむことができる大会だと感じています。


━━リーグ戦とは戦い方も変わってくるのでしょうか?


勝ちにこだわる気持ちは同じだと思うのですが、リーグ戦は試合の内容よりも、とにかく勝ち点を取ることに意識が向くものです。でも、ナビスコカップでは、リーグ戦の流れを変えたいというチームもあるだろうし、どのチームもすごく挑戦的な試みをしてきます。新しい選手にチャンスを与えたり、より積極的な攻撃を試してくるものです。選手の心理も微妙にリーグ戦のときとは違っていて、ナビスコカップではチャレンジするプレーが多くなるんですよね。若い選手が試合に出る機会が多いのも、積極的なプレーが見られる理由だと思います。


━━若手のプレーがみどころの1つということですね。


ナビスコカップの最大の魅力が、若手が飛躍にあるといってもいいのではないでしょうか。ナビスコカップをステップにして、日本代表まで駆け上がっていった選手がたくさんいます。とくに攻撃的なポジションからいい選手が出てくるのが、ナビスコカップなんですよね。若手のいきいきとしたプレーを見てやってください。「ここでアピールしたい! オレが活躍するんだ!」という強い気持ちは、見ている人たちにも伝わってきますよ。


━━三浦さん自身も、1997年の大会でニューヒーロー賞を受賞されています。当時もチャンスをつかむという気持ちが強かったのですか?


ニューヒーロー賞を特別に意識していたわけではないのですが、ナビスコカップで優勝したいという気持ちはすごく強かったですね。とにかく自分をアピールするんだって気持ちでプレーしていました。その年の準々決勝では、レイソルとの初戦に負けてしまって、第2戦はすごく積極的なサッカーをして逆転勝ちしたと思います。どこのチームも同じようなことを考えて戦っているので、ナビスコカップでは攻撃的で見ごたえのある試合が多くなるんでしょうね。


━━今大会で、三浦さんが注目している若手選手というと?


僕の一押しは、なんといってもセレッソ大阪の清武選手(清武弘嗣)です。


━━今、日本代表でもJリーグでも最も注目を集めている選手ですね。


僕の場合は、ちょっと理由が違っていて、清武選手と僕は同じ大分県の出身で、実は小学校の恩師も同じなんです。ここで清武の名前を挙げておかないと、先生に怒られちゃう(笑)。


━━そうなんですね(笑)。プレーヤーとしての、清武選手の魅力はどうですか?


もちろん、いい選手です。僕は清武選手の試合後のコメントが好きなんですよね。落ち着いてしっかりとした分析ができている。プレースタイルも好きだし、いまの流れなら、やっぱり後輩の清武に注目ですね。


━━セレッソ大阪というと、活躍した若手選手が続々と世界へ羽ばたいていますね。


清武選手もすごく評価されているけど、代表や海外に目を向けるよりも、まずJリーグの大会でしっかり結果を出してほしい。ぜひ今年の大会でナビスコカップの優勝、そしてニューヒーロー賞という勲章を手にしてほしいですね。


━━清武選手以外では? やはり攻撃的な中盤の選手に目が行きますか?


もちろんです。横浜F・マリノスの小野選手(小野裕二)、レッズの原口選手(原口元気)もいい選手ですよね。フォワードだったら、やはり名古屋の永井選手(永井謙佑)に注目ですかね。スピードは図抜けていますからね。今の若い選手はみんな世界を経験しているので、いかに試合に出た90分間で自分のプレーを発揮できるかです。なにも臆することはありません。観客、サポーターを魅せるプレーで沸かせてください。


━━今大会の優勝候補というと?


それぞれ強さに特長があって、どこが優勝するかわからない楽しみがあるのですが、ACLに出場した4チーム(名古屋グランパス、ガンバ大阪、セレッソ大阪、鹿島アントラーズ)は、最近のリーグ戦でもいいサッカーをしていますね。僕は、優勝するチームにはとにかくいいサッカーをしてほしいと思っています。サッカーとは、より攻撃的に、ボールを奪い、いかに相手のゴールに入れ、それを阻止するかという戦いです。引いて守るだけの試合ではなく、見に来た人に「もう一度見たい」と思わせる試合を続けていけば、リーグ全体が盛り上がっていくはずです。僕がナビスコカップという大会が好きなのも、積極的なサッカーが見られるからなんです。ナビスコカップは新しい発見がある大会です。ぜひ、今年のナビスコカップでは、僕の視点も参考にしてもらい、サッカーを楽しむ人が増えてくれたらいいなと思っています。



取材・文:赤澤誉四郎
撮影:鈴木俊介