最後にお客さんをまとめられるのがエースの役目
- 最近のプロレス熱が再び盛り上がりを見せていますね。
- みなさんのプロレスに対する先入観が変わってきましたね。僕は、誰でも見に来て平気ですよ、男女年齢問いませんよってことをずっと言ってきたんです。幸い、僕はプロレスラーらしさがあまりなかったので、先頭を切って"ようこそようこそ"って間口を広げていく作業をずっとしていましたね。
- あと、プロレス女子="プ女子"というワードができるくらい、女性ファンが増えましたよね。
- 会場の空気がすごく華やかになるのでいいことですね。多いところだと、後楽園ホールなんかは4割くらい女性だったりします。女性のニーズが、ちょっとずつ変わってきたんでしょうね。あと、お子さんも多いですね。
- 子供のお客さんが増えるのは、将来的にも嬉しいことですね。
- 一番大きいですね。世代が一巡して、僕くらいの世代に子供ができて、一緒に来るという傾向があると思うんです。小学生がまるで仮面ライダーを見るような感覚で、僕を見ていて。場外でやられて吹っ飛んだら、僕の側で"たな!たな!"ってかわいい声が聞こえるんです。その子の方を向いて"がんばるから"って言ったりしますね。
- その子にとってはヒーローなんですね。そんな新しくプロレスを好きになったお客さんに、ずっとファンでいてもらえるためにどんなことを心掛けていますか。
- どんな試合をしたら、ファンが一番楽しいか、笑顔で帰れるかを一番考えます。あとはファンサービスも。できるだけサインしたり、写真を一緒に撮ったり。僕は小さい頃からずっとプロレスが好きだったんですが、会場に行って選手と写真撮ったり握手をしてもらったことが嬉しかった記憶があるんです。その記憶をもとにして、どうしたらファンが笑顔になるかということを具体的にイメージしています。
- 自分もファン目線で見れるというのは大事ですね。棚橋選手の考えるエースの条件というのは?
- 今は客層がほんとに広いんです。全ての方に満足してもらい、どんな状態でも、最後にお客さんをまとめられるのがエースの役目だと思ってます。
- 最後にお客さんをまとめられるのがエースですか。
- はい。昔は、ヒール軍が勝って新日本本隊はボロボロに負けて退場しても、お客さんのコールが止まずに、もう1回リングに戻って挨拶して"愛してまーす!"ってやってましたから。今は、最後締められる人が僕だけじゃなく、オカダ(カズチカ)、中邑(真輔)、真壁選手であったり、いろんな選手がその役割を担えるようになってきた。それがまたいいリズムを生んでいて、誰のエンディングを見たいかで、応援の仕方が変わってきたんです。"愛してまーす"が見たかったら棚橋を応援すればいいし、"イヤァオ!"が見たかったら中邑を応援すればいいし。今のRPGゲームで言うところの、マルチエンディングみたいな感じになってきてますね。
- 新日本プロレスも苦しい時期を乗り越え、多くの方が観に来てくれるようになった訳ですが、ずっと支えてきた棚橋選手としても嬉しさも大きいと思うのですが。
- すごく嬉しいですね。やってて良かったな、がんばってきて良かったなっていつも言いますよ。地方会場でも満員になって盛り上がって、お客さんが笑顔で帰っていったということをスタッフの方から聞くと、すごくいい流れができてるなって思います。でも、まだ全然ゴールじゃないんで、これからですね。