今の時代に生きている歌舞伎を創りたい
- ――串田さんとは演出や音楽をどうするといったお話はもうされていますか?
- 勘九郎: そうですね。串田監督の話だと歌舞伎の音は使わない方向でやるらしいです。 この前の『天日坊』(第十三弾・コクーン歌舞伎)では長台詞のところにギターのソロが入ってきて、そのときは何とか音に合わせることができましたが、今回はどうなるか…ですね。歌舞伎俳優というのはメロディの中に魂を入れる作業をしています。けれど、歌舞伎の下座音楽を使わない(「月も朧に白魚の…」の名台詞で有名な)“大川端”の場面をどうやるんだっていう、ワクワク感もありますが未知のものと戦う感じですね。
- ――それは、演じる世代が代わったことで「コクーン歌舞伎」を新しくしたいという思いが串田さんにあるからでしょうか?
- 勘九郎: より、今の時代に生きている歌舞伎を創りたいということだと思います。もしもいま(現在)、黙阿弥が「三人吉三」を書き上げて初演したらどうなるだろうかってことじゃないかと。