インタビュー

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今年で創立35周年を迎える劇団SET(スーパー・エキセントリック・シアター)の記念公演『Mr.カミナリ』。「Mr.カミナリ」というサイボーグが登場する近未来の物語のヒロインを、乃木坂46の桜井玲香と衛藤美彩が、ダブルキャストで務めることになった。オーディションで選ばれ、初めて本格的な舞台に立つことになったふたり。三宅裕司率いる手練のなかで、演じることの楽しさを存分に感じているようだ。

台詞の掛け合いが楽しい!

──『Mr.カミナリ』の稽古が始まって1週間が経ちました。SETのみなさんと一緒に芝居をしてみての感想は?
桜井玲香: 私たちふたりはもう緊張してしまって、なかなか自分たちから話しかけることができなかったんですけど、みなさんすごくやさしくて、みなさんのほうから来てくださって。すごく温かい現場です。それでもまだ、緊張はしてるんですけど。
──昨日の稽古に、それまでと違う何かがあったんでしょうか。
桜井: 今まで稽古してきたなかで、いちばんコメディ要素が強い場面だったからかな。

おじさまたちをメロメロにするんです(笑)

──ダブルキャストでおふたりが演じるのは、ヒロインの七音(どれみ)という女性です。どんな人だと捉えてますか?
桜井: 九州から東京の小学校に赴任してきたばかりの新任の音楽教師なんですけど、この物語の近未来の世界では歌うことが禁止されてて。「こんなにすばらしいものなのに、なんで教えちゃいけないの?」って疑問に思いつつ、反発できずに、自分をグッと抑えてるんですね。だから、すごく芯の通った子だと思ってます。
──サイボーグである「Mr.カミナリ」さんたちとは、どんなふうに関わっていくことになるんですか?
衛藤: 七音は少し天然で小悪魔なところがあって、知らない間に、「Mr.カミナリ」のおじさまたちをメロメロにさせちゃうんですよね(笑)。
──ちなみに、「Mr.カミナリ」は、“昭和のカミナリ親父”の働きをしてくれるサイボーグですが、そんな叱ってくれる存在は必要だと思います?
衛藤: 大分の地元には、“カミナリおばさま”がいたんです(笑)。今思うと、子どもたちを厳しい目で見てくれるやさしさのある人なんですけど、小学生の私にとってはめちゃくちゃ怖かったので、その家の前を避けていつも遠回りして帰ってました。でも、親以外の人に怒られるっていうのは、すごく大事な経験だったなって思います。

三宅さんがすべて笑いにしてくれる

――SETは<ミュージカル・アクション・コメディー>を追求してきた劇団。先ほども台詞の掛け合いが楽しいとおっしゃっていましたが、SETの芝居の面白さもつかめてきました?
桜井: 掛け合いのテンポ感が上手く出せたときは、本当に面白いです。
――ミュージカルという音楽の部分でも、乃木坂46でやっている音楽とは違う発見もありますか。
桜井: 同じところがまったくないぐらいです(笑)。
――稽古も見学させていただきましたが、みなさんのハーモニーがすでにとても美しかったですね。
衛藤: はい。みんなで歌うシーンがたくさんあるので、そのハーモニーがこのお芝居の大きな魅力だと思います。

SETファンにも、乃木坂ファンにも

――今はまさに、稽古でいろんなことを吸収している最中ですね。本番の舞台に立つときには、どんな自分になれていたらいいなと思いますか。
衛藤: たぶん、SETのファンのみなさんも、私たち乃木坂46のファンのみなさんも、観に来てくださる舞台になると思うんですけど、両方に受け入れてもらえるようなものをお見せできたらなと思うんです。乃木坂ファンの方には、いつもの私たちじゃなく、まず役として見えて、そのなかにふっと、「やっぱり玲香だ」「やっぱりみさみさだ」っていうところも感じてもらえたらいいなと思いますし。SETファンのみなさんには、アイドルとのコラボレーションを受け入れてもらえるのか不安なんですけど。でも、アイドルもすごいなって思ってもらえたらうれしいですね。
(稽古場リポ)
真剣に笑いを生み出す稽古場
休憩の合間にお邪魔したというのに、稽古場は熱気であふれていた。どうやら、この直線に稽古した場面を、それぞれに復習しているようだ。ダブルキャストでヒロインを演じる乃木坂46の桜井玲香と衛藤美彩も、すぐに目に飛び込んできた。共演者の野添義弘がアドバイスしてくれる立ち方を、何度も繰り返して体に叩き込んでいる。稽古を再開する前には三宅裕司から台詞の変更が告げられた。が、次にはまた変更される。どうすれば面白くなるのか、その試行錯誤ぶりはハンパない。芝居のなかでも三宅が率先して変化を試みては、笑いが起こる。桜井と衛藤にとって、刺激的な創作の現場になっているに違いない。

取材・文:大内弓子