インタビュー

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今年1月に歌手・Coccoを主演に招いたOFFICE SHIKA × Cocco「ジルゼの事情」で、異ジャンルとの創作舞台の醍醐味を強烈に見せつけプロデュース公演第一弾を成功させたOFFICE SHIKA。つづく第二弾となる「山犬」の上演が8月決定した。今回も鳥肌実、森下くるみ、ISOPPと、各フィールドでカリスマ的人気を誇るメンバーが集結。「山犬」への出演が、実に15年ぶりの舞台出演となる鳥肌実氏に、出演の経緯から舞台にかける思いまで余すことなく話を訊いた。

丸尾さんなら、きっと上手く料理してくれると思います。

――15年ぶりの舞台出演となりますが、今回オファーを受ける決め手となったことはなんですか?
やはり森下くるみさんとの絡みのシーンが無いという事で大変悩んだんですが、最終的には手は繋いでいただけるという事だったので決断致しました。という冗談はさておき、舞台の出演はオファーさえ頂ければいつでも受ける用意はあったのですが、単純にオファーが15年間来なかったもので、それだけのブランクが空いてしまいました。ですから劇団鹿殺しさんからのオファーは驚きと感謝でいっぱいでございます。今はオファーしてくれた鹿殺しの為にも何とか筋肉をつけなければならないと日々鍛練しております。
――劇団鹿殺し・丸尾作演出の作品を何作品かご観劇いただいていますが、どのような印象をお持ちですか?
丸尾さんの作品は今まで2つ見させて頂きましたが、いずれも斬新な内容で簡単に抜けました、いやっ引き込まれました。高いポテンシャルの役者やミュージシャンを伸び伸びと演技させて、上手く使いこなしているなという印象を受けました。問題は今回の私の場合のように、低いポテンシャルの芸人をどう使って頂けるのか。歌えない踊れない泳げない三重苦の芸人ですが、丸尾さんならきっと上手く料理してくれると思います。

常に問題児として扱われていました。

――今回演じる役どころは、同級生たちにとけこめない、内にこもる人物ですがご自身の学生時代はどうでしたか?
同級生達に溶け込めないというのは、ぴったりハマリ役だと思いますが、内に籠るというよりは外に発散するタイプでした。嫌われれば嫌われるほど、暴走して奇行に走っていたような、迷惑をまき散らすタイプでしたから、何となく今の芸風に通づる所が幼少期からあったような気がします。特別不良というわけではないんですが、なぜか僕の周辺ではトラブルが絶えない常に問題児として扱われていましたね。
――今回の役はヒロインを一途に思う役ですが、ご自身の恋愛観と比べて共通するところはありますか?
女性に対しては、とにかくおぼこかったですから、高校生になっても、まだ好きな女の子をいじめたりして、いつまでたっても好きな相手に正直伝えるという事は出来ませんでした。さすがに歳を取って今は変わりましたが、それでも美人と出会うとかなり挙動不審な態度になってしまう事はあります。ブスには偉そうに自然体で接する事が出来るんですがね。まあこれは誰しも大なり小なりあるとは思いますが、僕の場合かなり極端なんですよね。

映像よりも、舞台の方が向いてる!?

――鳥肌さんは映画、テレビドラマなど「俳優」として映像作品には数多く出演されていますが、「俳優」としての舞台出演は限られています。活動初期は一人芝居の作品も発表していると伺いました。「舞台」に対して特別な思い入れがあると思うのですが、その思いをお聞かせいただけますか?
映画やドラマの現場で痛烈に思い知らされた事がありまして、私の場合、テスト、テスト、テスト、はい本番!とやってるといつも1回目のテストが一番出来がいいんです。しかし2回目、3回目と何回も同じ事をやらされていると、段々テンションも落ちてきて、やってる事が段取りっぽくなってくる。これはかなり悩みましたね。芸人の場合、常に1発勝負みたいな所がありますから、どうしても最初に出し切っちゃう体質が抜けなくて、テストの時はわざと力を抜いてやった方がいいのかなと。 まあそんな事しても結局、「はい本番!」でどうも調子が狂ってしまうので、結局、監督さんに無理言って1発目からカメラ回してくださいとお願いした事もありました。 だから役者さんは本当に凄いなと思うのは、何回も同じ事が同じテンションで再現出来るんですよね。素人臭い事を言って申し訳ないんですが、それがやはり芸人にとってはかなり異質な作業というか。芸人でも落語とか一人芝居のように正確な再現性を求められるジャンルもありますから、一概に芸人という括りで言うのはおかしいんですがね。何が言いたいのかというと、テスト無しの1発勝負という意味では、映像より舞台の芝居の方がまだ向いてるんじゃないかと勝手に前向きに考えております。
――最後にファンの皆さんに、一言意気込みをお願いします。
今まで15年間、なぜ私にオファーが一切来なかったのかは謎でございますがこの度、めでたく劇団鹿殺しに参戦させて頂く事となり、これまで私の存在を無視し続けた業界関係者達に一矢を報いる事が出来れば本望でございます。健全なる精神は健全なる肉体に宿る私、鳥肌実は三島イズム最後の継承者と致しまして、現在、8月の本番に向け角刈りにして筋肉増量トレーニングの真只中でございます。台詞を忘れても骨太な演技で観客を魅了したいなと考えております。何卒、宜しくお願い申し上げます。

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