――今回、wat mayhemで「桃天紅」を上演する理由は?
山内「中島らもさんに劇作家っていう印象は一般的にはあまりないと思うんですけど、実は書かれた戯曲の数ってハンパじゃなくて。僕はらもさんの台詞で育ってきたところがあるし、"劇作家・中島らも"を忘れさせたくないという思いはずっとあったんですね。で、業界関係者と話すと、今でもよく「『桃天紅』って面白かったよね」って言われるんです。これは躁鬱を患っていたらもさんが躁転(鬱状態から躁状態に転じること)しはった中で書いた作品で、やっぱりなんか他の作品とは違う面白さのある作品だったんですよね。wat mayhemで次に何かやるならバカバカしいもんをやりたいなと思ってて、「あ、『桃天紅』や」と。ほかにもいろんな思いがリンクしてやろうと決めました」
福田「嫁がらもさんと知り合いなので結婚式には来ていただいたんですが、僕自身は1本も一緒にお仕事ができなくて。いつからもさんのホンでやってみたいっていうのはすごく前から思っていたので、めちゃくちゃ楽しみですね」
――他の作品とは違った面白さとはどういうところにあるんでしょう?
山内「役者が遊ぶ割合の多い芝居だったんですよ。初演のとき、ホンだけ読んだら1時間半ぐらいやけど、千秋楽は2時間20分ぐらいになってて。だからこの作品においてはどれだけ演劇使って遊べるか、役者がどれだけ楽しめるかふざけられるかというのがコンセプト。話の内容なんて一切ないです! 改めてホン読んだら全然面白くなかったんですよ。(内容)薄ッ!みたいな(笑)。今回、らもさんの娘の中島さなえに脚色してもらったんですが、親が書いたホン読んでてムカムカしたって言ってました。あまりにヒドすぎて(笑)。逆に言うと、役者が遊ぶにはいいテキストやということですね」
――転球さんをはじめとする俳優はもちろん、椿鬼奴さんらのお笑い芸人など多ジャンルから、自由に遊べる方々が揃ってますね。
山内「やっぱり小劇場っていかがわしいもんっていうか、見世物小屋的なところがないと面白くないじゃないですか。僕が好きなのもそういう人たちなんで、極端なキャスティングになりますよね」
福田「僕の方が先輩ですけど立場すっかり逆転してもう、演出家先生というかね(笑)。演出される側としては、とにかく信頼してます」
山内「僕、転球さんは関西の小劇場で一番面白い人やと思ってるんです。ただそれが舞台上で発揮されたことが少ないので(笑)、主に楽屋で発揮されてるポテンシャルをそのまま舞台に乗っけて皆さんに楽しんでもらいたい。転球さんの台詞は全部空白のカギカッコにして、その日の思いつきでしゃべってくださいってことにしたろかなと思ってるんですけどね(笑)」
取材・文:武田吏都 撮影:源賀津己
▼wat mayhem「桃天紅」
4月15日(金) ~ 24日(日) 本多劇場(東京都)
4月30日(土) ・ 5月1日(日) イオン化粧品 シアターBRAVA!(大阪府)
[主演・演出]山内圭哉
[出演]兼崎健太郎 / 黒川芽以 / 中山祐一朗 / コング桑田 / 松村武 / 川下大洋 / 福田転球 / 平田敦子 / JUN / 椿鬼奴 / シューレスジョー / おかっぺ / 松尾貴史
□一般発売:東京=2月5日(土) 10:00
大阪=2月19日(土) 10:00
山内圭哉
福田転球