ジャック・ジョンソンを筆頭とするサーフ・ミュージック・シーンから登場した女性シンガー・ソングライターが、セカンド・アルバム『ハロー』を携えて再び来日する。アコースティック・ギターの響きを軸に、ロンドン・レコーディングで完成させたバラエティに富んだ楽曲の数々を、成長著しいライブ・パフォーマンスで披露してくれる。
カリフォルニア出身の女性シンガー・ソングライター、トリスタン・プリティマンは、ジャック・ジョンソン運営の映像集団ムーンシャイン・コンスピラシーが制作した映画『Shelter』のサントラに参加したことで注目を集めた。そのため2005年にアルバム『トゥエンティスリー』でデビューした時は、ジャック・ジョンソンを筆頭とするサーフ・ミュージックの女性アーティストとして紹介された。確かにサーフィンを中心とする日常生活を、アコースティックなサウンドで軽快に綴った作風は、そうしたイメージを育むに十分なものがあり、日本でも10万枚という大ヒットを記録するに至った。
ただしそうした括られ方は、彼女自身が望んで獲得したものではなかった。それから2年半ぶりとなるセカンド・アルバム『ハロー』は、ロンドンでレコーディングされ、そんなイメージをナチュラルにはみ出す内容となっている。その理由の一つは、以前の彼女のライブが、アコースティック・ギターの弾き語りを軸としていたのに対し、近年はバンド編成でのツアーを経験したことで、音楽的に様々な表現方法を身につけたことが指摘できる。例えば『イン・ブルーム』は、ピアノとストリングスによるバラード。彼女自身はこれらの楽器を奏でることができないため、以前だったらアルバムに収録することを躊躇っていたかも知れないが、本作では後半の流れを締める重要な楽曲としてパッケージされている。他にも本人がニルヴァーナからの影響を認めている『ウォー・アウト・オブ・ピース』なども、ドラマチックな表現方法が印象的だ。
すでに彼女は2006年1月に東名阪ツアーを行い、7月にはフジロック・フェスティバルにも参加しているが、今回はその後のアーティストとしての成長ぶりも存分に見せてくれる機会となるだろう。(2008/3/7)