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LOVE/LOVE・YA・DAY

ライブレポート #04

山我祐生氏(フォトジャーナリスト)

LOVE photoシンガーのLOVEによる月イチ開催の自主企画イベント「LOVE・YA・DAY」(ラブ・ヤ・デイ)。第4回目となる今回は、2001年に起こった9.11テロ現場に日本人国籍のジャーナリストとして唯一居合わせた、フォトジャーナリストの山我祐生氏をゲストに迎えて開催された。

今回、山我氏をゲストに迎えた理由についてLOVEは「私たちがどういう風にTVやラジオから届いてくる現実を受け止めたらいいのかを考えられたら」と語り、また9.11についても以前から気になっていたと話した。そして、「私は歌い手だから、平和産業をやろうと思って作った命を祝う歌、です」と、『ツリーを飾ろう』を披露し、イベントは幕を開けた。
その後山我氏を迎え入れ、トークがスタート。もともと映画関係の仕事をしていた山我氏が、新聞記者になり、フォトジャーナリストになるまでの経緯が語られた。山我氏は「現場主義だったのでデスクワークが性に合わず、希望を出したが、移動になった先がアフリカだったんですね。ホームステイといっても家がなく、寝ていて目が覚めたら隣にトカゲが居たりして、最初の1ヶ月間は気が狂いました」と当時を振り返った。「フリーの記者とは?」というLOVEの質問には「命の保障がないかわりに、自己責任なので自由がきき、奥まで入っていけるんです」と、体験者だからこその重みある言葉で会場をうならせた。


LOVE photo そして話は9.11当日へ。消防隊員や警察官の間で交わされた無線の内容や、ノースタワーが崩壊して克明に語られた。山我氏の真後ろにあったサウスタワーが崩壊したときは、「逃げたが、後ろから追いかけてくる煙が早くて巻かれました。鉄のゴミ箱のスキマに逃げ込んで間一髪助かりましたが、煙がすごくて呼吸ができなくて。初めて、予期できないことへの恐怖を感じましたね」と危機一髪のところで難を逃れたことを明かした。
また、戦争とテロの大きな違いについては「戦争には軍人が最前線に行くが、テロには消防士やレスキュー隊が最前線に向かう、それが最も大きな違いですね。あと、軍人は逃げるけれど隊員たちは逃げませんからね」と話した。「私たちが報道を受け取る際に気をつけることは?」というLOVEの質問には、「どんなことでもまずは自分の身に起こった出来事として解釈するとニュースの見方は変わります」と的確な答えを述べた。最後に、「山我さんにとって愛とは?」とLOVEが恒例の質問をすると、「相手の生命を慈しむこと。それさえ持っていればすべては円満にいくと思います」と山我氏は答え、また「戦争に戦争を重ねあっても無駄なことで、対話しかないと思うんです」と平和への道をアピールした。事実を曲げずに伝える山我氏の口調からは、当時の緊迫感が鮮明に感じとれ、ニュースからは伝わりきれない体験談に観客は終始興味深そうに聞き入っていた。


LOVE photoイベントは後半のライブコーナーへと突入。1曲目『Blue Finch』のイントロでは「この東京でいつ起こってもおかしくない悲しいことが世界の裏側で起きていたこと、忘れずに忘れずにさりげない毎日を一緒に生きていきましょう」と、トークコーナーで感じたことからのメッセージがアカペラで歌われ、それに共鳴するように大きな拍手がLOVEに贈られた。続いて『あなたを忘れるその前に』『Confetti』など全6曲を熱唱。また、ラストの楽曲『パレード』では、9.11で実際にやりとりされた無線記録と山我氏が撮影した9.11の写真が映し出された。緊張感漂うサイレンの後から、LOVEの優しい歌声が聞こえ、絶妙にリンクした写真と楽曲に、会場には深い感動が広がった。少し重いテーマとなった第4回だが、観客の拍手は最後まで鳴り止まず、イベントは大成功で幕を閉じた。