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LOVE/LOVE・YA・DAY

ライブレポート #06

宗家花火鍵屋15代目 天野安喜子先生

LOVE photoLOVEの自主企画イベント「LOVE・YA・DAY」(ラブ・ヤ・デイ)。第6回目となる11月22日は、“日本の伝統にうけつがれる心意気を学ぼうDAY”と題し、ゲストに宗家花火鍵屋15代目の天野安喜子を迎えて開催された。

鍵屋は、1659年に創業され、江戸時代から実に350年も続く花火屋の老舗である。花火の際の掛け声「たまやー、かぎやー」でも有名だ。ちなみに、「玉屋」は「鍵屋」から暖簾分けした屋号だが、現在残っているのは鍵屋のみだそう。天野は、その宗家花火鍵屋を女性で初めて襲名した15代目当主。また、柔道家で、国際柔道連盟審判員の資格を持っており、北京五輪で日本人女性初の柔道審判員を務めたという経歴の持ち主でもある。

まず、LOVEが女性で初めて当主となったことについて質問すると「火の神が宿る場所というのが花火の現場。女性は不浄のものだとされてたので、祖母からは現場に入ってはいけないと言われていたんですが、わたしは時代に恵まれましたね。『てやんで~!』という気持ちで2000年に襲名しました」と当主になったいきさつを笑いを交えながら語った。


LOVE photo 続いて、花火作りの工程を写真と共に説明。火薬の色を決め、花火が開くときの形を決め、玉に込めるまですべて手作業で行われる。その過程を見て、LOVEが「出来上がるまでに何日くらいかかるんですか?」と質問すると「尺玉といって、直径30センチほど、5秒弱で300メートルくらい揚がって280メートルくらい開花する花火があります。それだと半年くらいかかりますね。人が作り出すものだから人に多くの感動を与えることが出来る、これが私の持論なんです。観客に1喜んで頂くためには、私たち花火師は10以上の努力をしなきゃいけない、と思っています」と答えた。そして、花火の音の話になると「花火ってけっこう音が面白いんです。皆さん花火って揚がっていく音があると思ってらっしゃるんですが、実は笛という花火で効果音を入れてるんですよ」と明かし、観客を驚かせた。

また、柔道家であることについて「柔道をしていて、精神が鍛えられることってありますか?」というLOVEの質問には「柔道は畳で行うので、1日の終わりに畳に正座をして自分の今日やってきたことを後悔していないか振り返ることはあります。私自身悔いを残したくないんですね。たとえば明日体力を使うから今日80%であと20%は休みにしておこう、と思うと私自身が風船と同じでしぼんでしまう。そうすると翌日にしぼんだままでしかいられない自分がいるから、精一杯やっても8割しかできなくなる。だから毎日毎日を思いっきり生きて、そうすれば次の日それ以上に風船がふくらむはずだ、という思いでやっています」と独自の理論で答えた。

花火師と柔道審判員、二足の草鞋を履いていることについては、「父が柔道場を開いていたので柔道をしつつ、家は花火屋。小さい頃から自然な流れでしたね。花火は揚がると綺麗だけど扱いは爆薬と一緒なので、何かあったときには瞬時の判断をしなければいけない。審判のときも瞬時の判断が必要なので、そこが花火と共通していますね。プレッシャーもありますが、それを乗り越えたときは次に進む勇気に結びつくと思います」と語った。


LOVE photo最後に、LOVEが「天野さんにとって愛とは?」という恒例の質問をすると「愛というと対相手がいると思うんですけど、相手にとって表面的には厳しく見えるときがあっても、心からそばにいて支え続けることが愛だと思います」と答えた。終始、快活とした話し方の中に穏やかさと優しさがあふれ、アットホームな雰囲気の中トークは終了した。

そしてイベントは後半のライブコーナーへと突入。1曲目『Don't Be Sorry』は、LOVEが<この日本にうけつがれている粋で素敵な心意気ってやつをいま一度見直してみたくなりました 来年の夏休み花火を見るときに知らず知らずにうけついだ何か大切なものを ひとつ思い出すことでしょう>と今日の感想を即興で歌い、“天野安喜子先生スペシャルver.”となって披露された。続いて、LOVEが「今年もこの曲が皆さんに届くといいなと思います」と話した『ツリーを飾ろう』や、12月9日(水)にリリースされたニュー・シングル『君は僕のセンユウ』など全9曲を熱唱。

最後は、天野が「自分の娘が大きくなったときに、こんな風に思ってくれたら嬉しい」といってリクエストしたLOVEの曲『素晴らしき日々』をLOVEが心を込めて歌い上げ、今回のイベントも大盛況のうちに幕を閉じた。

撮影:山我祐生