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ガンバ大阪との首位決戦から一夜明けた9月25日(日)、曽ヶ端準、岩政大樹の2選手を招いて行なわれた初めての「アントラーズトークバトル」。大いに盛り上がったトークの模様を完全掲載!

『アントラーズトークバトル』

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TFTホール500

前編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンをつとめ、'99年にはチームをJ2優勝・J1昇格へ導いた。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ニュース23」(TBS系)、「GET SPORTS」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>
曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)
'79年、茨城県生まれ。187cm、80kg。'98年、鹿島アントラーズユースからトップチームに昇格、'99年5月のアビスパ福岡戦でJリーグデビューを果たす。守備範囲が広く、1対1にも強い、J屈指のGK。'01年11月に日本代表デビューを果たし、'02年「W杯」代表メンバーに名を連ねた。


岩政大樹(鹿島アントラーズ)

'82年、山口県生まれ。186cm、82kg。大島JSC、岩国高、東京学芸大学を経て'04年鹿島アントラーズ入り。同年4月の名古屋グランパス戦でJリーグ初出場。フィジカルコンタクトとヘッドに無類の強さを誇るディフェンダー。2年目の今季、鹿島の最終ラインに完全に定着した。

枦山(司会):『アントラーズトークバトル』supported by SUNTORY。このイベントは、鹿島アントラーズ・クラブオフィシャルスポンサー、サントリー株式会社の特別協賛でお送りします。こんにちは。ナビゲーターを務めさせていただきます枦山南美です。よろしくお願いします。昨日の試合(2005年9月24日、万博競技場、ガンバ大阪3-3鹿島アントラーズ)は、もちろんご覧になられましたよね?
会場:挙手
枦山:興奮さめやらぬ中、今日は生トークが聞けるということで、私も楽しみにして参りましたが、楽しい2時間を過ごさせていただこうと思います。ではまず、本日のホストをご紹介しましょう。スポーツジャーナリストの中西哲生さんです。
会場:拍手
枦山:中西さんこんにちは。やせましたね! どうしちゃったんですか?
中西:いや~、運動しているからじゃないですか。
枦山:さすがスポーツマン。
中西:実はサッカーの練習をしないと。来週、鹿島アントラーズのファン感謝デー(10月2日、鹿島アントラーズ フリークスフェスティバル2005)に出るんです。
枦山:サッカーをするんですか?
中西:そうです。
枦山:中西さんってサッカー選手だったんですよ。
中西:お前っ。サッカー選手ですよ。一応ね。
枦山:ご立派になられて。ね?
中西:立派じゃないですよ。やせたのは事実ですけど。
枦山:ということで、昨日の試合は中西さんもご覧になりました?
中西:ハイ! いろんな意味でハラハラドキドキして。
枦山:観客動員数も過去最多。
中西:この中で行かれた方いらっしゃるんですか?
会場:挙手
中西:すごいですね。
枦山:今日帰って来られたんですよね?
中西:そりゃ選手も帰ってきたんだから、今日帰ってきたと思うよ。
枦山:そんなガンバ大阪戦だったんですが、中西さんは実際に現場に行かれて?
中西:行かれませんよ! こっちにいて、みっちりJリーグ3試合をテレビで観て。『速報Jリーグ』も観て、『スーパーサッカー』も観て。
枦山:お勉強されてきて。
中西:観るのも仕事。中村俊輔(スコットランド・セルティック)選手の試合も観て、中田英寿(イングランド・ボルトン)選手の試合も観て。
枦山:夜中の野球も観ました?
中西:気がついたら寝てた。気がついたら松井秀喜(ニューヨークヤンキース)選手の試合がやってた。
枦山:ということで、アントラーズとの初めてのトークバトル、この間は本田泰人選手(鹿島アントラーズ)に来ていただいたんですよ。
中西:嬉しいですね。現役時代の僕のアントラーズの印象は最悪ですから。
枦山:えっ、どうしてですか?
中西:カシマスタジアムで1回も勝ったことないんですよ。
枦山:アントラーズに入りたかったですか?
中西:入れない、入れない。ホント、1回も勝ったことないんですよ、僕。
枦山:そうなんですか?
中西:はい。だからカシマスタジアムに来週リベンジしにいこうかなと。
枦山:なるほどね。
中西:ホントにイヤだったですよ、名古屋グランパスエイトでやってたとき。やりにくいし。
枦山:やっぱり強かった?
中西:強いし、サポーターもすごいじゃないですか。
枦山:じゃ、現役を離れて、いまの立場から見たアントラーズって?
中西:いいチームですね。よく言うんですけど。
枦山:ではその「いいチーム」という中西さんの印象の鹿島アントラーズから、2人の選手を。
中西:たぶんもう、「早く呼べ!」って感じですよね。
枦山:ごめんなさいね! 今シーズンの好調ぶり、サッカーの話はもちろん、プライベートのお話も聞き出していただこうと思います。それではお待たせいたしました。鹿島アントラーズの誇るお二人の選手をご紹介しましょう。曽ヶ端準選手、岩政大樹選手です。
会場:拍手
枦山:大きいですね。
中西:デカイね。さっき話してたんだけど、曽ヶ端選手の方が1cmでかいの?
曽ヶ端:微妙に。調子がよくて187cm。
中西:調子がいいって、どうなってるときが調子いいの?
曽ヶ端:関節の開き具合ですかね。
中西:関節がちょっとこう開いてて。いいストレッチしてると。
曽ヶ端:はい。
中西:岩政選手は?
岩政:186cmです。
中西:あ、靴のヒールがちょっと高いんですね。どうですか曽ヶ端さん、岩政選手のファッションは。いつもこんな感じですか?
曽ヶ端:そうですね。
岩政:まだおとなしい方です。
中西:おとなしい方?
曽ヶ端:色がおとなしい方。もっといろんな色が入っているときがあるんで。
枦山:何色がお好きなんですか?
岩政:いろいろ。
曽ヶ端:原色が。
中西:原色が好きなんですか?
岩政:けっこう使います。
中西:そのあたりの話はあとでさっくり聞きたいと思うので。トークショーをやったことはあるんですか?
曽ヶ端:僕は2回目です。
岩政:僕はほとんどないですね。
中西:さっき話してたんですけど、「今日の人選は最悪だ」って。
枦山:本当はサッカー選手って寡黙なんですよね。
中西:「中西さんとは違って」って最初言ってただろ。
枦山:そうなんですよね。びっくりしましたけど。
中西:寡黙じゃないですよ。しゃべりますよ。
枦山:じゃ、今日はたっぷりと。
中西:黙っている人ほど怒っているんじゃなくて、しゃべることがいっぱいあるんです。黙っている間にいろいろ考えてるんだって。
枦山:そこらへんを今日はいっぱい引き出してもらおうと思いますので、じっくりと楽しんで下さい。ということで、お座り下さい。
中西:どうです、この人は?
曽ヶ端:ちょっと面白いです。
中西:面白いでしょ? いまテレビ東京でお天気キャスターやってますから、早起きしたらちょっと12チャンネル見てください。
枦山:『ズームイン!! SUPER』見ないで、テレ東を見てください。
中西:はきはきと天気予報やってるんで。
枦山:曽ヶ端選手と同い年だったんですよね。年下だと思ったのでびっくりしました。
中西:そんな個人的な話はいいですよ。
枦山:ということでトークバトル恒例、10の質問をしたいと思います。では選手の皆さんはYES、NOの札を持って下さい。準備はよろしいですか? では、まいりましょう。

質問 岩政 曽ヶ端
第1問 現在チームは良い感じでまとまっている  YES YES
第2問 今シーズン、現在までのチーム成績には満足している NO NO
第3問 同じく、現在までの自分のプレイには満足している  NO NO
第4問 昨日の試合には反省点がある YES NO
第5問 チーム内に、ライバル視している選手がいる! NO YES
第6問 将来できれば海外でプレイしてみたい  NO YES/NO
第7問 代表に入っても他の選手に負けないプレイができる! NO YES
第8問 来年のW杯に絶対に出たい!  NO YES/NO
第9問 優勝に向けてまだまだ越えなければならないライバルチームがある YES YES
第10問 今シーズンは必ず10個目のタイトルを獲る! YES YES


中西哲生
中西:あのさ、聞きづらいじゃん、昨日の試合を見てて。
会場:笑い
曽ヶ端:何で笑ってるんですか?
中西:どうですか? 僕は今日ここにきて最初に言ったんですよ。「あり得ないよね?」って。だってさ、あり得ないでしょ? いつも言ってるんですけど、僕はJリーグのキーパーの中では、たぶん曽ヶ端選手が一番キックとか足技はうまいと思いますよ。そうですよね、岩政選手。けっこうボール回しとかうまいですもんね。
岩政:僕よりうまいです。
会場:笑い
中西:それも問題だけどさ。びっくりしなかった? 昨日キックミスしたとき(後半6分、曽ヶ端のキックミスから鹿島アントラーズ失点)。
岩政:まぁそうですけど。でも同点だったので切り替えてやろうと思ってました。
中西:でもサッカー選手の見方で言うと、ボールの回転が自分の方に向かってくる回転だったので蹴りづらいボールでしたよね。しかもちょっと最後ボールが跳ねてて。
曽ヶ端:・・・まぁそうです。止めようかなとも思ったんです。その回転もあったんで。でも、やっちゃいました。
中西:初めてでしょ、ああいうの?
曽ヶ端:直接、失点につながるのは初めてですね。何回か相手に当たったりとかはありましたけど。
中西:で、その後にもう1回同じようなのが来て、それをまた、よせばいいのにまたダイレクトで蹴ろうとしたわけですよ。僕はその瞬間にまたイヤな予感がしたんですけど。それはちゃんとこう、新井場選手(徹、鹿島アントラーズ)のところにいいパスで。よく蹴りましたね。
曽ヶ端:ミスしたからって慌てるのもイヤだし、なめられるのもイヤだし。
中西:1回そういうふうにやると、相手に狙われますしね。
曽ヶ端:そうです。
中西:でもその後、遠藤選手(保仁、ガンバ大阪)がフリーで抜け出して1対1になったとき、岩政選手、「やられた!」と思わなかったですか? 完全にやられたという感じでしたよね。
岩政:対応のしようがなかったですね。
中西:2列目から絶妙のタイミングで抜けられて。僕もやられたなぁと思ったんだけど、よくさわりましたね。VTRやらなかったけど、よくさわったね。
曽ヶ端:駆け引きの中で左手で対応できましたけど、まぁ何と言ってもミスキックがあったんで。
中西:僕にしてみればあれでチャラなんだけどね。ディフェンスとキーパーって、岩政さん、そうはならないですよね。それがやっぱり辛いですよね。
岩政:辛いですね。
中西:1発やっちゃうと・・・
岩政:チャラにはならない。
中西:失点につながるミスをすると、スーパーセーブしてもダメでしょ。自分がまず許せないでしょ? 確実に。でも結局引き分けで。昨日のゲームはどうでした? 後ろから見ていて。
曽ヶ端:最初はすごく入りも良くて、リズムも良くて。
中西:新井場選手張り切ってたね。
曽ヶ端:最初はものすごい勢いで。後半かなり失速してました。
中西:ま、「らしい」というか。でもやっぱり、ガンバに対しては思い入れあるから。
曽ヶ端:それはもちろんあると思います。
中西:だから、すごく立ち上がり良かったですけど。
曽ヶ端:その中で点も取れて。同点に追いつかれましたけど、前半また満男(小笠原、鹿島アントラーズ)が決めて。まぁ何よりも・・・
中西:その話はもういいですから。
曽ヶ端:試合を振り返るとそこに行かざるを得ないので。
中西:その後に、大黒選手(将志、ガンバ大阪)がロスタイムに左サイドでボールを持ってアシストしたんですけど。僕もディフェンスの人間なんで、あそこは普通は右足で来るはずなんですよね。
岩政:ああいうストライカーの選手であれば、やっぱり時間帯も時間帯だし、シュートに来るっていうイメージがあったんですけど。
中西:「自分が決めてやる!」と思うのがストライカーですからね。それなりにいい方へ打てるから。岩政さんもそういうふうに見てたでしょ?
岩政:はい。僕は大黒が青木(剛)と対峙したときに中に、入ってシュートするイメージがあったんで。かわした瞬間に寄せてやろうって思いました。
中西:はい。
岩政:縦に行ったんでびっくりして。何とか中のシュートコースを切りに行こうと思って行ったら、いいところにアラウージョ(ガンバ大阪)がいて。
中西:当たったもんね、たまたま。
岩政:はい。何とか当たってくれたんですけど。
中西:自分的には「よく当たったな」と思うじゃないですか。
岩政:そうですね。何とかゴールの方向だけには行かないようにって、ちょっと内側に当てるようにして。何とかあそこに味方がいてくれればと思ったんですけど、振り返ったらアラウージョがいたんで。
会場:笑い
中西:わかんなかったでしょ、その瞬間。縦に行かれると思ってなかったから。
曽ヶ端:そうですね。そしてニアの方に寄っていって、岩政選手の足に当たって。中にこぼれてポジション取り直しているときに、もうすでにニアに行かれちゃって。
中西:あれ? って。ああいうところ、大黒選手うまいですよね。ストライカーなんだけど、アシスト役に徹しているところあるじゃないですか。
岩政:そうですね。レイソル戦(2005年9月17日、柏スタジアム、柏レイソル2-1ガンバ大阪)のアラウージョのゴールもそうですね。
中西:カシマスタジアムでやったとき(2005年3月12日、カシマスタジアム、鹿島アントラーズ2-2ガンバ大阪)もけっこうやられたでしょ、大黒くんのパスから。
岩政:そうですね。シュートかなと思ったら中に折り返して。
中西:大黒選手は代表でもやってますけど、そういう柔軟さはありますよね。シュートに行くところはガツガツ行くんだけど。
岩政:まぁやっぱり、よく周りが見えてるなっていう印象がありますね。
中西:岩政選手は、昨日ガンバと試合やってて、いまガンバは絶好調ですけど、その理由はどこにあると思いますか。
岩政:何といっても勢いですね。2人、3人がからんでっていう場面はそんなに多くなかったんで。
中西:昨日は少なかったですよね。
岩政:そんなにイヤというわけではなかったですけど、勢いがホントに。圧力というんですかね。点が取れているという自信もあるんでしょうけど、そういう印象を受けました。

岩政大樹
中西:でも昨日、僕思ったんですけど、前半1-1になった後で、アラウージョと1 対1 になったじゃないですか。あのとき点を取られてたら、試合は多分悪い流れに行ってましたよ。岩政選手があのときカバーに入ってなかったら。
岩政:あれ、よく当たってくれました。
中西:僕、股抜かれるかと思った。
岩政:けっこうありがちなんですよね、カバーに入ったときに股抜かれたりするのは。
中西:股抜けそうだったでしょ?
岩政:抜けそうでした。「あ、やべえ」と思ったら当たってくれたんで。またこぼれたから危ねないと思ったら、剛さん(大岩)カバーに入ってくれたんで。
中西:大岩選手はいるのよ、ああいうところに。昔っから結構。
岩政:こぼれ球のときに結構いますね。いつもいいところにいてくれる。
中西:あれは大きかったと思いますよ。あそこで取られたら流れがキツくなる。
岩政:キツイですね。先行されちゃうとホームだし。
中西:まぁでも、最終的に大黒選手に折り返されてアラウージョに決められて。あのときどうでした? 「ちょっとヤバイな」と思いました?
曽ヶ端:時間も時間でしたし。でも、まだ時間があるからどうにかなるかなと。そううまくいくもんでもないですから。ダイキが上がって、うまいこと点取れてよかったです。
中西:何であそこにいたんですか?
会場::笑い
中西:僕は見逃さなかったですよ。誰も触れてなかったですけど。何でここにいるんだろと思って。キックオフの瞬間から前に行ったの?
岩政:キックオフになったときにセレーゾ(トニーニョ、鹿島アントラーズ監督)に「上がれ」って言われたんですけど、上がろうとしたら確か1回向こうの攻撃が来そうだったんで。キックオフの後、審判に当たったんですよ、マイボールで。
中西:そうだ、そうだ。上がろうとしたら審判に当たったんだ。
曽ヶ端:審判に当たって向こうの選手にこぼれちゃって。
中西:それ多分、テレビに映ってなかったかもしれない。
曽ヶ端:そうですか。
中西:でもその後、前にバーッと蹴ったの誰ですか?
曽ヶ端:剛さん。
中西:あれ、大岩選手が蹴ったんですか? で、何で行ったの?
岩政:審判に当たった後、ずっと前に上がってたんですけど。
中西:上がる約束になっているんですか。
岩政:試合によるんですけどね。
中西:それ、練習でやったりしてるんですか、上がるの。
岩政:ゼロです。でも、試合の最後の方になったらセレーゾは「上がれ」ってけっこう言いますね。
中西:だってこの間フロンターレ戦(2005年9月11日、等々力競技場、川崎フロンターレ2-1鹿島アントラーズ)の時も、「やられたな」って思ったの1発あったでしょ。
岩政:ありました、最後の最後に。
中西:折り返したのに誰も合わなかった。で、「上がるのかな」と思ったら前に行ったから、「あ、前にいる!」と思ったらもうボールがこぼれて。いいところにこぼれた。
岩政:そうですね。最近いい具合にこぼれてくれるんで、セレーゾが試合後に「アタッカンチ!」(アタッカー)ってほめてくれたんですけど。
中西:フォワードとかやったことないんですか。昔からディフェンスですか?
岩政:はい。
中西:小学生のときからディフェンス? 小学生のときから大きかったんですか?
岩政:はい。ずっとディフェンスの真ん中。
中西:で、ヘディングが得意。
岩政:それだけやってきましたからね。
中西:ポジションが全然変わってないのも珍しいですね。
曽ヶ端:そうですね。普通は前をやってて下がってくるパターンで。
中西:曽ヶ端くんは?
曽ヶ端:ずっとキーパーです。
中西:変わってないんだ。でも、本当にボール蹴るのがうまいじゃない。遊びとかでやってなかったの?
曽ヶ端:それはやってましたね。小学校高学年か中学校のときに、バックパスが手で取れなくなったり、ルールの変更があったんで。
中西:僕がJリーグに入った頃ですよ。10年違うんでしょ。
曽ヶ端:そうです。
中西:僕が22歳のときだから。
曽ヶ端:僕の1 年下の後輩に上手なキーパーもいたんで、練習試合でフィールドプレイヤーとかやらせてもらってたんですよ。フォワードやったりサイドバックやったり。
中西:フォワードやったりしたんですか?
曽ヶ端:ヘディングだけですけど。
中西:ヘディングするんですか? ヘディングは得意ですか?
曽ヶ端:まぁ、それなりに。
中西:昨日1発、よく出てきましたね。裏を取られたときあったじゃないですか。
曽ヶ端:フェルナンジーニョ(ガンバ大阪)がすべってくれたんで。
中西:でも、あそこで出てこなかったらやられる可能性あったでしょ。そういう感覚はありますよね。
曽ヶ端:う~ん。「出なきゃ」という感じですけど。
中西:フィールドをやってたから、やっぱりそういうところあるでしょう? だって、そうじゃないと出られませんよ。難しいと思う。左足はどうですか? そんなに悪くないですよね。
曽ヶ端:まぁそれなりに普通に。
中西:岩政くんとどっちがいいですか?
岩政:いい勝負するんじゃないですか。
会場::笑い
中西:左足はダメですか?
岩政:僕ですか? でも、まだましになった方ですよ。去年セレーゾに特訓されたんで。まだ試合に出てなかった頃、セレーゾにずっと居残り練習をやらされてたんです。
中西:左足の?
岩政:はい。だいぶましになりましたね。
中西:でも、絶対練習した方がいいですよ。代表に呼ばれたら、両方ともできるのがすごい大事なんですよ。あんまり代表に意欲なさそうなんだけど。
会場:笑い
中西:俺はすごくテレビで、「岩政選手がいい」と言ってるんですけど。
岩政:拝見しました。
中西:さっき話してたんですけど、僕けっこう『Get Sports 』とか『筑紫哲也のニュース23』とかで、「岩政選手を代表に呼んだ方がいい」と力説しているんです。中澤選手(佑二、横浜F・マリノス)しかヘディングに強い選手がいないからって。で、たまたまそのテレビを見てたんでしょ?
岩政:はい。
曽ヶ端:僕も見てました。
中西:どうですか、全然ボケーッと見てたんですか。
岩政:ちょうど寝るところで。ちょど1時くらいだったんで。
中西:僕はいつもその時間ですよ。今日も生ですよ僕は。その間に『NANDA!?』の収録もありますよ。いろいろやってますけど。で、それを見てて「もう寝ようかな」って。
岩政:もう寝る寸前でチャンネルを回してたときで、パッと見たらサッカーが始まったから。
中西:僕とセルジオ越後さんと。「提言!」みたいな。
岩政:そしたら急に自分の名前が出てきたんでビックリして、目が覚めちゃいました。
会場:笑い
中西:いきなり言われたらビックリしますよね。
岩政:しますね。
中西:僕は長谷部選手(誠、浦和レッズ)と2人の名前を挙げたんですけど、あんなにいっぱい映像を使って紹介するとは思わなかったんで。しかも、「ドンキーヘッド」って言うの?
岩政:あれ以来、結構周りでも言われるんです。
中西:何でドンキーヘッドなの? テレビで言ってたの? 俺は知らなくて。
岩政:鹿島の選手は誰も知らないです。
中西:マジですか?
曽ヶ端:名付けた人は誰なんですか。
中西:僕も知らないよ。岩政選手がそう言われてるって『Get Sports』の人が言ってましたよ。
岩政:大学(東京学芸大学)の友達が名付けたんです。
中西:あ、そうなんだ。
岩政:大学時代に合同練習とかでたまに言ったりしてたんです。
中西:「ドンキーコング」って言われてたんですか?
岩政:あんまり広めたくないんですよ、この話題。
曽ヶ端:事実だってことですね。
中西:鹿島で言われてないんですか。
岩政:全然。
中西:何て言われてるんですか。
岩政:ダイキ。「ドンキー」も、別に仲のいい2~3人が言ってただけで、大学内で広まってはいないんですよ。
中西:何でテレ朝の人は知ってたんだろう? 相当マニアックじゃないと知らないよね。映像が流れて、「そのヘディングはドンキーヘッドと呼ばれていた」って。
会場:笑い
中西:「そうなんだ!」と思って。僕は結構見ていたから知っているつもりだったんですけど。「知らねぇわ」って。大学のときに言われてたんですか?
岩政:そうですね。
中西:大学のときもヘディングでけっこう点を取ってました?
岩政:今ぐらいですね。
中西:高いですよね。
曽ヶ端:そうですね。人と競るとなおさら高いですから。競り方がうまいです。
中西:『Get Sports』では使われてなかったんですけど、もっといろいろ言ったんですよ。なぜ岩政選手がいいか、なぜ代表に選んでほしいかという話を。さっきも言ったんですけど、サッカー選手の見方としては、3バックのセンターをやってる選手よりも、4バックのセンターをやってる選手のほうが信用できるんですよ。そうでしょ?
曽ヶ端:そうです。言い方は悪いけど、3バックは4バックよりは簡単だし。
中西:3バックはひとりひとりの能力で守ろうと思えば守れるから。4バックだと意志の疎通がなきゃいけないし、基本的に真ん中の2人でカバーもしなきゃいけないし、競らなきゃいけないし、しかもサイドのカバーもしなきゃいけないし、ボランチとも連携を取らないといけない。やることがいっぱいあるでしょ。それもあったし。ヘディングも前から来るボールにメチャクチャ強いじゃないですか。バーンとキーパーが蹴ったボール。
岩政:はい。
中西:まぁ、秋田選手(豊、名古屋グランパスエイト)あたりも強いですけど。でも、あれが一番得意な選手はいっぱいいるんですよ。でも岩政くんは、横から来るボールにも強いんですよ。まず圧倒的に背がデカイから。で、横から来るボールって走り込めないでしょ。ポジショニングの良さとスタンディングジャンプが高くないと勝てないですよ。アテネオリンピックでイタリア代表と試合(2004年8月15日、ギリシャ・ボロス、イタリア3
-2日本)したときも、全部サイドからやられたでしょ。長いボールで真ん中が全員かぶって、ひとりだけ1mぐらいしか間が空いてないところでトラップされてシュートを決められた。ああいうのは絶対さわれると思うんですよ。そこが多分違うんじゃないかな。横からのボールにさわるでしょ、高いボール。
岩政:セレーゾが外からのボールに対する練習よくやるんで。そのお陰がありますね。大学の時はあまりやってなかったんで。大学時代、鹿島の練習に参加したときにその練習を僕はやらされて。それで自分で意識してやるようになりました。
中西:最初はさわれないでしょ。
岩政:最初は結構イヤなんですよ。
中西:慣れるとさわれるんだけど。それに、高くないとさわれない。番組でもそれを言ってほしかったんですけど、結局は「ドンキーヘッド」だけ。
会場::笑い
中西:僕はその説明をしたのに。「点を取るヘディングじゃないんだけど」みたいな。でも、代表とか自覚ないですか、全然? まだ自分に自信がないってこと?
岩政:そういうわけじゃないですけど、あんまり意識してないですね。
中西:じゃ、僕が意識させちゃったの?
岩政:そういう意味じゃなくて。意識していないっていうわけじゃないんですけど。
中西:まだそういう段階じゃない? 自分をもうワンランク上げたいとか。
岩政:というか、あまり代表を意識してプレイしたくないんですよ。チームでいいパフォーマンスするのに集中したいんで。鹿島での結果にずっとこだわっていたい。
中西:その理由は何ですか。
岩政:う~ん、やっぱり人が選ぶことなんで。誰も文句を言えない結果を出せば別ですけど。人が選ぶことに目標を定めると、自分の方向性がブレるわけじゃないですか。それが好きじゃないんです。自分ができることというのは鹿島で優勝することだし、その方が自分の中での目標だし、サッカーを長く続けていきたいというのもあるので。代表に入ることだけがすべてじゃないです。
中西:でもさっき、高校(岩国高校)でサッカーをやめようと思ってたって言ってたじゃないですか。
岩政:山口県にはそういう土壌がないんですよ、大学で続けるっていう。
中西:その話はみんな知ってるんですか、高校でサッカーをやめようと思っていたという話。あんまり知らない?
曽ヶ端:僕も知らなかったです。
中西:国体に出て、大学ではサッカーやらずにやめようと思ってたらしいです。
岩政:国体の2日前に骨折して、「これでサッカーやめるのもキツイな」と思って、進路を急に変えたんです。
中西:最初はどこだったんですか。
岩政:最初は近くの広島大学に行く予定だったんですけど。
中西:で、広島大学のサッカー部に入る予定は?
岩政:微妙でしたね。でも、そこで入って中国地方の代表でやっても、あんまり次もないんで、決めてなかったんですけど。
中西:で、学芸大学に入って。それはサッカーで入ったんですか。
岩政:あまり詳しく大学を知らなかったんで。本当に、学芸大学がどこにあるかも知らなかったんですけど、ただ教育学部というのと、サッカー部が関東リーグに所属しているという条件だけだったんで。入ってみたら意外と強かったんでビックリしました。
中西:学芸大学の時に、いつからプロを意識したんですか。ユニバーシアード選ばれたから?
岩政:たまたま1年の時に新人王をもらって、大学選抜に入ってからですか。僕だけだったんです、無名な選手は。他の選手は市船(市立船橋高校)出身だ何だという選手ばっかりだったので。
中西:だって、あり得ないパターンですよね。山口県の岩国から来て、いきなり。ないですよね、サッカー界として。
岩政:そうですね。
中西:珍しいでしょ。だってさっき言ってたけど、山口県出身って田中達也(浦和レッズ)選手しかいないんでしょ、代表は。
岩政:あと高松(大樹、大分トリニータ)も山口県です。あいつは高校まで一緒だったんで。
中西:みんな同い年くらいなんでしょ。
岩政:そうです。そのへんがたまたまいるだけで、上の年代にも全然いなかったから。
中西:じゃ、みんな違う高校ですか?
岩政:違います。
中西:じゃ、山口県の国体選抜は強かったんですか? だって岩政選手いて、田中達也選手がいて。
岩政:田中達也はいないです。
中西:彼は帝京高校か。で高松くん。
岩政:まぁそのときは多々良学園高校が強かったので。そのメンバーがほとんど9割で、そこに僕とか2~3人が入ってたんです。
中西:で、アントラーズに練習に行って。その時はどうでした、最初?
曽ヶ端:やっぱりね、秋さん(秋田豊、名古屋グランパスエイト)にすごく似てるなと思いました。強さとか。
中西:似てるよね。系統がね。
曽ヶ端:はい。
中西:系統が似てません? イヤですか?
岩政:イヤじゃないですけど、いつもいろんな人に言われるんで。
中西:僕もずっと言われてたよ。「豊が僕に似てる」って。同じ愛知県で、国体選抜もずっと一緒で、僕の1歳年下だったんだけど、僕が選抜に入って、次の年に豊が入ってきて。僕は高校のユースの時はストッパーとかやってたんですけど、そしたら「中西に似てるね」って。昔、秋田選手は華奢だったのね。
曽ヶ端:細かったんですよね。
中西:そう。中学の時は162~3cmだったね。すごい小さくて。高2ぐらいからかな、ちょっと大きくなったの。でも、大きかったけど華奢だったよ。だから似てる感じだったの。愛知県で選ばれていたのが、たまたま僕と豊だったから。今では全く似てないけどね。
会場:笑い
中西:キャラかぶってるよね、ちょっとね。
岩政:どうなんですかね。
中西:性格が似てるんじゃないの?
曽ヶ端:性格はちょっと違いますね。
中西:「よかった」みたいな?
会場:笑い
中西:後で電話して言っとく(笑)。でも時期はかぶってないでしょ? 入れ替わりでしょ?
岩政:そうですけど、練習に来たときにはいました。
中西:いろいろアドバイスしてくれたでしょ。
岩政:そうですね。話は自分からもしに行きましたし。
中西:秋田選手は超ストイックじゃない? メチャメチャ練習するでしょ?
岩政:はい。迫力ありました。
中西:秋田選手は大学(愛知学院大学)のときからああだったからね。競りたくなかったもん。でも曽ヶ端選手から見ていて、岩政選手は代表に行ってもできると思わない?
曽ヶ端:そうですね。入った去年の最初は試合に出てなかったんですけど、セカンドステージの途中から出るようになって。それまではちょっと不安定な部分もあったんですけど、出るようになってすごく安定してきましたし。そういう試合を重ねていって、今すごく良くなっていると思います。
中西:今いいですよね。すごく安定していると思うんだけど、自分としてはどうですか?
岩政:最近やっと少し手ごたえが出てきましたけど。
中西:ここ最近?
岩政:というか、ごまかしながらはうまくできてきたと思うんですけど。
中西:どうごまかしているんですか。
岩政:試合に出始めた頃は、まだ不安な部分もいろいろあったんで、割り切って自分の中ではとにかくチームが勝つために自分ができるところだけしようと思っていた部分もあるんですけど。それがごく最近、夏ぐらいからやっと自信を持って試合に挑めるようになった。
中西:そしたらいきなり2 回続けて退場して。
岩政:そうなんですよ。
中西:ちょうど僕が見に行った試合(2005年8月20日、カシマスタジアム、鹿島アントラーズ1-2サンフレッチェ広島/2005年8月27日、味の素スタジアム、東京ヴェルディ1969 2-0 鹿島アントラーズ)、2回続けて退場してたよ。俺が『Get Sports』で言った直後だよ。僕、人に言われたもん。「岩政、退場してるねぇ」って。「そういう選手じゃないんだけど」みたいな。
曽ヶ端:イエローカード少なかったですからね。
中西:そう。だから僕も「そのことは言わなくてよかった」って。言おうと思ってたから。イエローカードが少なくて止められる選手が一番いいじゃないですか。けが人が出ても困らないし。そしたらいきなり続けて。でも、サンフレッチェ広島とやったとき(2005年8 月20日)は、あれは違うよね。あれさわってないよね。
岩政:はい。
中西:あの時、サントリーキッズプロジェクトの子どもの指導で来てたの。で、井原正巳さん(サッカー解説者)と見ていて、「ない」って。「哲生、今見てた?」「ないっすね」って。
岩政:ないっすね。台無しでしたね。 
中西:あれキツイよね。ああいうのイヤでしょ。
岩政:ちょうどうちの親が山口から見に来てたんですよ。
会場:笑い
中西:本当に?
曽ヶ端:「岩政様ご一行様」だったらしいです。
岩政:かなりあれはキツかったです。
中西:審判に言っておけばよかったのに。「今日は親が来てる」って。そういうことをするタイプの選手じゃないってわかるじゃないですか。Jリーグやってるとわかるよね。
岩政:そうですね。
中西:身体で止めることをする選手もいるんですよ。実際、外国人の選手とかで。でもフェアなことをやってる選手は、とことんフェアだからね。「あいつはちゃんとフェアにやってる」って。わざと止めたりしないもん。だって止めたらレッドだってわかってるから、やらないじゃないですか。
岩政:痛かったです。
中西:そしたら次の試合(2005年8月27日)にまた大岩選手がいなくなって。
曽ヶ端:次から次へといなくなりました。
中西:あの試合、大岩選手は何やってたんですか。最後に押した? 足か。キレてたもんね、結構。

曽ヶ端準
曽ヶ端:その前にフリーキックか何かですごく引っ張られてるんですよ。それを審判が見てなかったみたいで、ブチッといっちゃったんじゃないですか。
中西:大岩選手もそんな選手じゃないから、珍しいよね。僕、よく知ってるから。うちに住んでたし。
岩政・曽ヶ端:エッ?
中西:マンションを昔貸してたこともあるし、大岩選手んちに泊まったりしてたし。僕、家から一番、大岩選手の家が近かったから。一番落ち着いてるしね。望月重良選手(横浜FC)とか平野孝選手(東京ヴェルディ1969)とか、大岩選手とか仲良かったから、独身の時は東京でもよく飯食ってたもんね。最近結婚したからそうでもなくなったけど。子どもがいるからさ。でも落ち着いてるよね。大岩選手は一緒にやってて、だぶん岩政くんにはすごくいいパートナーだと思いますよ。教わることがいっぱいあると思う。
岩政:そうですね。本当に自分からもいろいろ話聞きに行きますし。プレイを見ながら、僕もやり方を変えた部分もあるし。剛さんはどう思ってるかわからないですけど、最初から個人的にフィーリングが合ったんですよ。
中西:大岩選手はどう思ってるかわかんないけどね。でも、剛も絶対に岩政選手がいいと思ってるよ。自分がカバーリングタイプだから。昔、大岩選手がグランパスで初めてセンターバックをやったときはトーレス(元名古屋グランパスエイト)の隣で。トーレスがカバーリングタイプだったんで、大岩選手が前に行ったんだけど、アントラーズでは多分やりやすいと思いますよ。前に話したときに褒めていたもん、「いいよ」って。やり方を変えたというのは、どういうことなんですか。大岩選手って結構、前に行くことにリスクをかけないでしょ? 「無理だな」と思うとスッと我慢する。
岩政:判断がハッキリしてますね。
中西:そう。迷わないでしょ。迷って「行こうかな、行こうかな、行こう」っていうのがないでしょ。で、あんまりビッグなミスはしないでしょ。曽ヶ端くんから見ていてどう?
曽ヶ端:そうですね。センスがすごくあるなというのを感じます。
中西:フィードもうまいもんね。
曽ヶ端:ダイキと2人でやるようになって、なおさら2人の関係も良くなってるし。真ん中2人が出場停止がなく、出ていてくれれば。
中西:突然来たもんね。その影響もあるよね、最近の試合で勝ち負け勝ち負けっていうの。
曽ヶ端:ヴェルディ戦(2005年8月27日)のダイキの退場も。
中西:あれも微妙だよね。たぶん曽ヶ端くんと岩政くんと大岩選手が3人出てるときって、あんまり負けてないでしょ?
曽ヶ端:多分そうです。
中西:引き分けはあっても負けはないでしょ?
岩政:セレッソ戦(2005年5月1日、カシマスタジアム、鹿島アントラーズ0-1セレッソ大阪)くらいですかね。
中西:大岩選手が、アントラーズに行くときもすごく悩んでたから、「どうするの?」って。あの当時は史上初じゃないですか、ジュビロ磐田とアントラーズがダントツに強くて、そのチーム同士で移籍するのは大岩選手初めてだったから、若干迷ってたんですよ。
曽ヶ端:他のチームからも誘いがあったみたいだし。
中西:でも、鹿島に行って正解だよね。鹿島としても正解だし。


後編へつづく

取材・構成:CREW
撮影:新関雅士