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豪華ゲストたちとともにあらゆるスポーツについて、熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。
今回は11月4日に行われた「どうなる! サッカー日本代表」をテーマにした第14弾の模様をそのままお届けします。

ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2001 Vol.14 Supported by
KIRIN
「どうなる! サッカー日本代表」
~キリンチャレンジカップ2001をどう戦うのか~
前編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト・左)
'69年、愛知県生まれ。'92年に名古屋グランパス入り。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たした。その後引退し、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

<ゲスト>
白石美帆(スポーツキャスター・左からふたり目)
'78年、茨城県生まれ。短大ではスポーツに携わる栄養学を専攻し、食物栄養士の資格を取得。'98年10月より、TBS系列の「スーパーサッカー」でキャスターをつとめる。
木村和司(サッカー解説者・右からふたり目)
'58年、広島県生まれ。'81年に日産自動車入り(現横浜F・マリノス)。'86年には日本リーグで初のプロとして契約。日本代表では54試合に出場し、27得点をマークした。現在はフットサル日本代表監督を務める。
勝村政信(俳優・右)
'63年、埼玉県生まれ。劇団第三舞台を経て、蜷川幸雄、野田英樹らの舞台で実力を開花。最近は「HERO」、「スタアの恋」などの人気テレビドラマでも活躍中。


中西:本日のゲストをご紹介いたします。元日本代表であり、サッカー解説者の木村和司さん。TBSのスーパーサッカーのキャスターを務める白石美帆さん。同じく俳優の勝村政信さんです。どうぞよろしくお願いいたします。
白石、木村、勝村:よろしくお願いします。
中西:それでは、近年の日本代表の印象というところから総括していきたいと思います。順番に最近の印象を簡単に聞いていきたいと思うのですが、白石さんはこの1年ぐらいの日本代表をどう思いますか。
白石:アジアカップ、コンフェデレーションカップとすごく活躍しているなぁというのが一番の印象なんですけど。私が前から思っているのは、食べ物には気を使って欲しいと思うんですよ。
中西:はい? 食べ物?
白石:試合前や遠征ではシェフの方が栄養管理をキチッとされていると思うんですけど、普段からもっと気をつけて欲しいなと。そこをすごく心配しているんですよ。
中西:なんか選手のお母さんみたいですね。
白石:「おふくろ」って呼ばれたいんですけどね。あとは得点力を上げて、もう少し爆発して欲しいです。
中西:木村さんはどうでしょう?
木村:いいんじゃないの。
場内:爆笑
木村:いや、だってホントにいい結果出してるし。今度もイタリア代表と対戦するけど、僕らはイタリア代表と試合なんかできなかったんだからね。やってくれなかった。遠征に行ってもクラブチームとやって、それでも負けてたんだから。今はうらやましいよ。イタリア代表ともスペイン代表とも試合できるんだからね。僕らなんか韓国代表ぐらいまでですから。ほかは国際試合なんかさせてもらえなかったんだ。弱いからね。
中西:弱くはないと思うんですけどね。メキシコ・ワールドカップ予選の時は、本当におもしろいサッカーをしてたと思うんですけど。
木村:う~ん。キリンカップの前身のジャパンカップの時だって、来るのはフル代表じゃなくてクラブチームだったし。ウルグアイ代表とはやったことがあるけどな。
中西:キリンカップがあったから、ある意味国際試合ができた部分はありますよね。
白石:そうですね。
中西:勝村さんは最近の代表、どのように考えますか。
勝村:よくわかんない(笑)。いろんな人がいろんなことを言うので、よくわからないんですよ、正直なところ。勝つに越したことはないんですけど、どこがいいとか本当にわかんないんです。ある人は白って言うし、ある人は青って言うし、ある人は黄色って言って、どれも正しいことを言ってるような気がするじゃないですか。
木村:そうやってみんなが監督になるもんなんだよ。サッカーっていうのは答えがない、だからおもしろい。でもしょうがないよ、応援していかないと。
中西:それでは後ろのポジションから順番に検証していきたいと思います。2002年に向けて、もう1年を切っているわけですけど。後ろから前に順番に選手を挙げて、いろいろ話していきたいと思います。ではまずゴールキーパーからですが、現在代表のゴールキーパーのレギュラーは川口(能活/ポーツマス)ということになっていると思うんですが、白石さんはどう思いますか。
白石:川口さんはアジアカップの時から神がかり的なセーブ力がすごいですね。Jリーグではなかなかいい場面がなかったりもしたんですけど。本人も言ってたんですが、「相手が大きいほど燃える」ところがあって。この間のスペイン戦の時は「10-0で日本が負ける」っていう横断幕を見て奮起したらしいんですよ。
中西:それは当然、スペイン語で書いてあるわけですよね。彼はスペイン語を勉強してましたからね、ずっと。
白石:あ、そうですか。
中西:川口は大きな大会とか、相手が強ければ強いほど真価を発揮しますよね。
木村:そういう力を持っているんだよ。本当に川口の成長というのは大きいよね、サッカー界にとって。判断力も良くなって、前よりちょっと大人になった。飛び出しのタイミングとか前は良くなかったけど、今は本当に安定してる。’98年よりも精神的に強くなってるのかな。ゴール近くにいればいいのにすぐ出ていったりしてたでしょ。あれがなくなって落ち着いた。ま、うちに来てお好み焼きを2枚ペロッと食って帰ったのが良かったのかもしれないね。
場内:笑い
中西:やっぱり広島風で?
木村:そう。
場内:爆笑
中西:勝村さんはどうですか。いま日本代表のゴールキーパーは川口、楢崎(正剛/名古屋グランパス)、都築(龍太/ガンバ大阪)、そして曽ヶ端(準/鹿島アントラーズ)くらいだと思うんですけど。
勝村:やはり川口がいいと思うんですけど、彼は身長の足りないから、違うキーパーが出てきてそれを補うという関係がとてもいいと思うんですよ。小回りの効く川口のプラスアルファの要素と、身長の高い楢崎らが、お互いの良さを出し合う関係性がとてもいいんじゃないかと思います。
白石:川口選手はよく髪の毛立てているじゃないですか。ポーツマスの入団発表の時に「髪の毛を立てているのは身長をカバーするため」と地元の新聞で紹介されていましたね。
木村:あのオールバックは良くなかったね。
場内:爆笑
木村:うちに来たとき言ったもん。「似合わねえよ」って。それから変わったでしょ。
白石:木村さんは似合いますよね、オールバック。
木村:どうもありがとう(丁寧に一礼)。
中西:川口は公称180cmですよね。
白石:今は公式記録179cmに変えました。
木村:今は世界的に190cm以上のゴールキーパーが当たり前だからね。でも、サッカーは頭を使ってするスポーツだから。ただ足が速い、大きい体に恵まれている人っていうのは、あんまり考えないでしょ? だからもったいないなぁと思う。僕なんかチビだけど、それでもサッカーできる。川口はそういうところが賢いんだよね。
白石:ゴールキーパーは固定した方がいいんでしょうか。
木村:う~ん、何とも言えないけどキーパーは最後の砦だからね。あまり変えない方がいいね。
白石:たとえば、ワールドカップの予選で3試合とかあるじゃないですか。そういう時っていろいろ使っていった方がいいのかなぁとか思うんですが。
木村:できれば固定した方がいいね。
中西:川口のバックアップなんですが、最近は都築がいいプレーを見せてますけど、どうですか。
木村:やっぱり楢崎かな。
中西:トルシエはうまくモチベーションをコントロールしているように思います。川口も'98年ワールドカップが終わってからしばらく出てて。次に楢崎が出て、また川口が出て。どっちがいい悪いと言うことではなくて、モチベーション・コントロールという意味では勝村さん、どうですか。
勝村:サブのメンバーは、出られないとどうしても気持ちが落ちるじゃないですか。そういう意味で、5分でも10分でもピッチに立てるということはとても重要だと思うので、入れ替えというのはわりとやった方がいい。3人は代えられるわけですから。
中西:川口も、代表の試合に出られない時にクラブでがんばろうとして空回りしてる時が一時期あったじゃないですか。ああいうことがあったから今があるというのはありますよね。
木村:うん、それはあるね。そういう経験が良かったのかも知れないね。
中西:それではディフェンスの方にいきたいと思います。フラット3というシステムで、言葉だけがひとり歩きするような状況だったんですが、それも全て選手の能力あってのことだと思うんですが。
白石:ディフェンスラインって、見ていて難しそうだなと思うところもあれば、キチッと統一されていてオフサイドを取れることもありますよね。実際に戦っている中で、どういった時に「フラット3が確立できている」と評価されるものなんでしょう?
木村:トルシエの持ってきた一番の戦術はフラット3だよね。危ないところはいっぱいあるけど、失点も少なくなったって言うか。ただ、ラインの上げ下げだけじゃなくて、最後の局面は1対1なんだよね。そこを強化しないといけないんだけど。あとは、フラット3と連動するボランチの絡みを考えておかないと、どうしてもラインを下げた時にスペースが空いてくるんだよね。オフサイドを使うっていうのは、あくまでもフォワードに対して、その動きを封じるための戦術で、ひとりでもズレたらダメだから、誰かの集中が切れると危ない。
勝村:今の木村さんのお話ですけど、1対1ってどうやったら強くなるんですかね?
木村:トレーニング次第だね。
中西:最近どのチームでも、人数かけてボールを奪う練習ばっかりですからね。
木村:だから中田(浩二/鹿島アントラーズ)なんか下がるばっかりで、中村(俊輔/横浜F・マリノス)とか左サイドにいる選手は引っ張られるでしょ。攻撃に持っていかないもん。でもトルシエは好きなんだよね、中田浩二。
場内:爆笑
木村:1対1になった時に不安だよ、あのディフェンスラインは。
中西:中田浩二はボランチにした方がいいんじゃないかと思うんですけどね、僕は。
木村:あのロングパスは魅力的だよね。
中西:僕が一番不安なのは、フラット3は3人だけで守っている感じがすることなんですよ。たとえば、フランス代表のアンリ(アーセナル)が来たら誰も止められないんじゃないかと思うと不安なんですよ。
勝村:止められないですね。
中西:僕、アーセナルで一緒に練習してたんですけど、止められないです。僕じゃなくても、誰も止められないですよ。普通じゃないですもん。
白石:見ただけで萎縮しちゃいますよね。
中西:だから、いかに人数を使ってスペースをどう消すかということになると思うんですけど。ひとつ崩れると全部崩れちゃうじゃないですか。
木村:チームとして、「どこでボールを奪うか」っていうのがなかなか見えて来ないね。ただラインの上げ下げだけで。
白石:フラット3って、ヨーロッパとか南米とか、「○○の国の戦術に当てはまる」っていうのはあるんですか。
木村:ほとんどやってないね。あれだけ極端にはやってない。状況に応じてラインを上げるとか、そういうのはあるかも知れないけどね。でも、最後のところは1対1で守るっていう基本的なところがないとね。
中西:でも選手はいろいろ考えたみたいで、監督と話し合って、最近はそれほどリスキーなフラット3は形成しないようにしてるって話はしてましたけど。そこらへんが最近はちょっと見えますよね。
木村:そこで中盤からの、前線からのディフェンスっていうのが大事になってくるんだよね。ボールに寄せてないのに上げたり下げたりするのは恐いもん、見てて。
中西:やっぱりトルシエに対して意見を言い始めて、それが変わったのがいいですよね。中盤とリンクして動き始めて、フラット3もリスキーなことをやめて。選手って、監督の言うことを全部聞くのも大事なんですけど、ある程度意見を言って、監督との間に妥協点を見出す方がいいですよね。そういう意味で、選手がトルシエに言ったっていうことが僕はよかったなぁと思うんですけど。あとディフェンスラインの人選ですけど、今は右が松田(直樹/横浜F・マリノス)、真ん中が森岡(隆三/清水エスパルス)、左が中田浩二でほぼ固定してますけど、これはどうですか?
勝村:不安ですね。なんかこう、脅威がないじゃないですか。体がデカイとか、目つきが悪いとか、足がメチャクチャ速いとか、何でもいいんだけど。1対1で、相手に「この人は抜けるんだろうか」って思わせる何かがないと。
中西:じゃあ逆に、「コイツは入れたらいいな」と思う選手はいらっしゃいますか。
勝村:僕は秋田(豊/鹿島アントラーズ)選手がいいと思うんですけど。何となく顔も恐いし、血だらけになっても立ち上がりそうじゃないですか。
白石:中山(雅史/ジュビロ磐田)選手が、「秋田選手のアゴが頭に刺さった」って言ってました。
場内:爆笑
中西:確かに秋田がいれば何となく恐いですね。日本人的には。
勝村:技術的には3人の方が全然うまいとは思うんですけど、秋田がいた方が何となく安心できるっていう。
中西:他は誰かいますか?
勝村:他はいないなぁ。やっぱり秋田を入れて欲しいなぁ。もう無理なんだろうけど。
白石:でも出て欲しいですね。
中西:秋田は中学校の時、僕のひとつ下だったんですよ。
白石:えっ? 秋田選手より中西さんの方が年上なんですか?
中西:はい。
白石:ええっ!? そうは見えない。意外ですね。
中西:名古屋市の同じ区域の中学校で。中学校の時は全然あんなんじゃなかったんですよ。おとなしい感じだったですね。高校の時、徐々にヘディングに目覚めはじめて恐くなったです。ヘディングする時、「ワーッ!」って声を出すし。
木村:秋田のように体も強い、精神的にもタフっていう選手は必要だと思うけどね。
中西:次に中盤なんですけど、今は5人、もしくは6人という3-5-2、または3-6-1でやっていますね。まずは守備的ミッドフィルダーと言うかボランチからいってみたいと思うんですけど。勝村さん、今はボランチと言うと稲本(潤一/アーセナル)とか、ケガしてますけど名波(浩/ジュビロ磐田)とか、もしくは戸田(和幸/清水エスパルス)あたりだと思うんですけど、誰がいいでしょうか。
勝村:稲本君がいいんじゃないかな。ボランチって名前は僕らの頃になかったんで、本当に役割を理解してやっているのかよくわからないんだけど。難しいじゃないですか、ボランチって。
中西:確かに難しいですね。稲本は体も大きいし、威圧感っていうのはあると思います。
木村:稲本はもちろんだけど、戸田の成長というか、いい動きができるようになった。ワシはあんまり「ボランチ」という言葉は使わないんだよね。「守備的ミッドフィルダー」とか言われるけど、いわゆる中盤の下がり目なんだよ。稲本は海外に行って、今は試合に出してもらえないけど、「修業してきたい」っていう考えがいいよね。一度海外へ出て、日本代表に戻ったこの間のセネガル戦やナイジェリア戦、稲本が一番良かった。
中西:僕は8月の第2週くらいにアーセナルの練習を観に行ったんですけど、非常に充実してますね。ベンゲルも彼を100%信頼していて、「今は使う時期じゃない」と。日本でどこにも移籍していない選手が、海外で初めて移籍したんだから、移籍に慣れていない。まずそこが問題だと。次に言葉の違うイギリスに慣れて、その次が戦術。その3ステップをわかってベンゲルは獲ってるんです。今年急成長したアンリにしてもピレス(アーセナル)にしても、去年の今頃は全然でしたからね。そういう計算がベンゲルにはあるんですよね。
白石:この間テレビで観たんですが、稲本選手が試合中に倒された時、すっごい形相で相手をにらんだんですよ。そういうところが「変わったなぁ」って思いましたね。
木村:赤ちゃんみたいな顔してるのにね。
場内:爆笑
木村:180cmくらいあるのに、わりと敏しょう性とかもあるし。あとはもうちょっと正確性が増せばね。それは意識してやっているみたいだけど。
中西:実際、アーセナルで練習やっている時も、ゲームをやっている時も目立っているんですよ。局面局面ではすごくいい動きをしているんで、それが持続すれば。あと、ほかの選手がやりたいことがわかってくるといいですね。試合に出てなくても、サテライトリーグでいい動きをしているし。サテライトリーグといってもベルカンプ(アーセナル)とか、カヌー(アーセナル)とか出てて、かなり強烈ですからね。
木村:確かに稲本はもっと良くなるね。
中西:次にアウトサイドに移りたいと思うんですが、アウトサイドは懸案と言うか、いろんな意見があると思うんですが。
木村:あのやり方はキライなんだな。たとえば俊輔、伸二(小野/フェイエノールト)、中田(英寿/パルマ)、森島(寛晃/セレッソ大阪)はポジションチェンジを自由にさせてやりたいね。
中西:トルシエのやり方は枠にはめますからね。
木村:今、サイドは攻撃と守備の基本になっているけど、相当大変だよ。だから、ゴール前に行ってクロスを上げて、という形がほとんどないね。
中西:さっき言ったとおり、相当バックラインに引っ張られますからね。
木村:だから、徹底してそれでやるんであれば、ビルドアップの時、もっともっと後ろからつないでいかないと。
白石:セロ・ボルテーニョで活躍する廣山(望)選手はどうなんでしょう?
木村:彼はいいと思うんだけどねぇ。
中西:少ない時間で、かなり結果出していると思うんですけどね。
木村:「海外に行ったから代表に呼ぶ」っていう考えが僕はあんまり好きじゃないんだよね。まだまだ成長している段階だからね。今なんかジュビロの川口(信男/ジュビロ磐田)が良くなってきた。アレックス(清水エスパルス)が帰化するっていう話もあるし(11月12日に帰化し、日本人名は三都主アレサンドロ)。本当に極端な話、あのふたりであれば昔で言うウィングバックみたいに使うことができるかも知れない。服部(年宏/ジュビロ磐田)も、守備的ミッドフィルダーよりも3バックに入れた方がいいね。
中西:勝村さんはアウトサイドについてはどうですか。
勝村:とにかく僕は外からボールを上げてもらいたいんですよ。ベッカム(マンチェスター・ユナイテッド)やギグス(マンチェスター・ユナイテッド)みたいに。フラット3って、攻撃的なシステムって言ってますけど、今まで本当に左右をフリーランニングしてセンタリングを上げたっていうところを見たことがないし。それに、今の日本って、ストライカーが出てこないじゃないですか、どんな状況でも点が取れるっていう。だから、今のフォワードに合わせて点が取れるっていうシステムを作らなきゃいけないと思うんですけど。それができるはずなのに見えてこない。アウトサイドが外に張っているんだからどんどんボールを散らして、空いたポジションにフォワードが走り込むっていうのが、僕なんか見てて可能なんじゃないかなって思うんですけど、ひとつもできていないからどうなのかなって。とにかく、昔の木村さんとか、金田(喜稔/元日本代表)さんとか、杉山(隆一/元日本代表)さんとか。「何だこのドリブルは!?」っていうような、どんどん抜いてバンバン上げる、ああいうのが見たいですね。
中西:実際、上げられる選手というのは選ばれていないですね。
木村:フランス・ワールドカップの時も、ゴール前まではいい形でパスがつながるんだけど、そこからなんだよ。フィニッシュにかかる前の仕事が大事なんだけど、それができない。ひとつでも「こういう形になった時はこうする」っていう攻撃の形を持っていないと。「こうなったら絶対抜ける」っていう。ただ上げるだけだと、クロスの精度も低いしね。
中西:選手として期待しているのは?
勝村:とりあえず誰でもいいですよ、ホントに。今は、「フラット3を覚えました」っていうのが見えるだけだから、とても悲しいですね。
中西:そして最後はフォワードの選手です。
勝村:日本にはどんな状況でも点を取れる人はいないわけで、そこに期待してもしょうがないんですよ。誰でもいいんですが、今いるフォワードが点を取れるように形を作れば問題ないわけで、そのために外を使うとか、中で崩していくとか、どうしてそういう作業をしないのかなって思うんですよ。昔のワールドカップのビデオ見るとマラドーナ(元アルゼンチン代表)とか、ブルチャガ(元アルゼンチン代表)とか、相手ディフェンダーがひとりでも何人でもワンツーでどんどん抜いていこうとするんですね。それを見て鳥肌が立ちましたね。サッカーの楽しみとか、ボールを持った楽しみってああいうところじゃないですか。木村さんの現役時代って、ボールを持ったらワクワクしたんですよ。「どんなことが起こるんだろう」って。そういう選手がいないからそこに期待してもしょうがないんで、高原(直泰/ボカ・ジュニアーズ)でも鈴木(隆行/鹿島アントラーズ)でもいいんですけど、彼らが点を取れるためのシステムをどんどん練習すればいいと思うんですよ。
木村:すごくいいこと言うね。。チームとして誰に点を取らせるかっていうのはとても大切で、そのための仕事には役割があるんだよ。「どうやってこの選手に点を取らせるのか」をきちんと考えることは必要かも知れないね。でも、柳沢(敦/鹿島アントラーズ)が良くなってきたし、鈴木、高原も良くなってきた。それにワンポイントで気合いを入れるためにゴンを入れるとかね。ようはサッカーというのは点を取るゲームなんだから。でも柳沢は本当に良くなったよ。もともとボールをもらう動きは良かったけど、そこから点を取る動きが出てきた。もっともっとドン欲に狙っていけばいいんだよ。日本のサッカーは失敗を恐れるというか、だからストライカーが出て来ないのかもしれないけど。でも、シュートの技術や力はもっと伸ばしていかないといけないし。シュートへの意識、意欲も大事だよね。本当にシュートは打ってナンボ。
白石:私も木村さんと同じ意見で、中山選手に頑張ってもらいたいですね。ドン欲さというか、体のどこに当ててもいいからシュートを打とうというのがいいですね。あと、Jリーグの得点ランキングを見ても、上位が全部外国人というのが悲しいですね。
木村:ゴンはどんどんうまくなってるね。
白石:年々持久走のタイムが伸びているんですって。福西(崇史/ジュビロ磐田)選手とか、若い選手がすごく触発されているみたいですよ。
中西:ジュビロは練習もすごいですからね。まず中山さんがすごいから手を抜けないし。代表でも、中山さんが雰囲気を作っているところがありますよね。
木村:ああいった選手はカンフル剤としてチームの中に必要なんだよね。

後編へつづく

取材・文:CREW
撮影:源賀津己