チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら



豪華ゲストたちとともにあらゆるスポーツについて、熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。今回は4月28日に行われた「どうなる! サッカー日本代表」をテーマにした模様をそのままお届けします。

ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2001 Vol.16 Supported by
KIRIN
「どうなる! サッカー日本代表」
前編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト・左)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から、'92年に名古屋グランパス入り、戦術眼に長けたDFとして活躍。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たす。その後引退し、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

<ゲスト>
金田喜稔(サッカー解説者)
'58年、広島県生まれ。中央大2年時に日本代表に選出。'80年、日産自動車(現横浜F・マリノス)入り、2年連続3冠達成に貢献する。ドリブル突破が武器の攻撃的MFとして代表でも躍動し、'91年現役引退。現在はサッカー解説者として活躍。

松木安太郎(サッカー解説者)
'57年、東京都生まれ。16歳で読売クラブ(現東京ヴェルディ1969)に登録、日本リーグ優勝3回に貢献した。'83年に日本代表に選出され、右サイドバックを務めた。'90年に現役を引退。'93~'94年、'01年にヴェルディ、'98年にセレッソ大阪の監督を務めた。

武田修宏(元サッカー日本代表)
'67年、静岡県生まれ。清水東高1年時には高校選手権準優勝を果たす。'86年、読売クラブ(現東京ヴェルディ1969)入り。ポジショニングが良く、得点感覚に秀でたFWとして、20歳にして日本代表のエースストライカーに。'00年にはパラグアイに移籍、その後東京ヴェルディ1969に復帰し、今年、現役を引退した。

安岡優(ゴスペラーズ)
'74年、福岡県生まれ。ゴスペラーズのメンバーとして、'94年シングル「Promise」でメジャーデビュー。'00年発売のシングル「永遠に」がロングセールスを記録した。今年4月発売のシングル「エスコート」では作詩、作曲を担当。現在、7月7日(日)までの全国ツアー、「ゴスペラーズ坂ツアー2002GT」真っ最中。


中西:皆さんこんばんは。トークバトル第16回、今回は現役を引退したばかりで現在テレビなどで大活躍の武田修宏さん、同じくサッカー解説者の松木安太郎さん、金田喜稔さん、ゴスペラーズの安岡優さんをお招きしてお送りします。それでは、ここまでの日本代表の戦いを振り返って、ワールドカップ・ベスト16、あるいはもっと上を目指すには、どういったところを補っていけばいいか、または伸ばしていけばいいか。それについて話を進めていきたいと思います。安岡さん、率直に見ていまの日本代表はどうですか。
安岡:僕が偉そうに言うのも何なんですけど、いまは誰が守るのか、誰がパスを出すのかというのはだいぶ見えてきているじゃないですか。
中西:いきなり専門的ですね。

安岡:だけど、誰が点を取るのかがあまり明確じゃないところが問題だと思います。僕、小学校4年から9年間サッカーをやってたんですけど、ディフェンス出身なんですよ。だから、ずっと0-0の試合って、もう見ていられないんです。「どんな気持ちでディフェンスが守っているんだろう」って思うと。それで、日本代表の中で誰が点を取るのかというのを早く見せてくれると、見ていて面白いなと思うんですけどね。
中西:松木さん、どうですか。点を取る人は?
松木:点を取る人? 武田じゃないんですか?
会場:爆笑
安岡:ゴール前にはいつも武田さんが立っていると。
武田:俺の話はいいから。
松木:おいしいっ!
中西:いや、でもどうですか、ホントに。
松木:確かに、点の取り方が見えてこないですよね。どの国でも、代表チームのストライカーっていうとたいてい名前が出て来るんですけど、日本では「彼だ!」っていうストライカーが出てきていないのは事実でしょうね。武田もいなくなっちゃったし。
中西:武田さんはご自身フォワードでしたが、今の代表では誰がいいと思いますか。
武田:誰がいいというよりも、中盤次第だと思うんですよね。いいパスを出してくれる選手がいれば点は取れると思うので、その意味で今回のキリンカップは中田(英寿、パルマ)がいないのはちょっとキツイかなと思いますけど。とにかく、中盤にいい選手がいれば、誰がやっても点は取れますよ。
中西:金田さんはどうですか。
金田:誰でもいいやん。
会場:爆笑
金田:点が取れりゃいいんだよ。全員で守って、全員で攻めるのが日本代表チームなんだから。
中西:誰であろうと点を取ればいいんですね。
金田:そういうこっちゃ。
中西:安岡さん、そういうことらしいんですけど。
安岡:ありがとうございます。
中西:いま話にあったように、今回のキリンカップでは中田が来ないとか、いろいろありますけど、ワールドカップの話をちょっとしたいんですが。ベスト16に入る、予選を突破するためにはいろいろな要因が必要だと思うんですけど。松木さん、いちばん大切なのは何ですか。
松木:やはり選手がグラウンドに来ることですね、まず。
会場:爆笑
松木:遅刻しないとか。そういう話じゃなくて。やっぱり、グラウンドで戦う選手たちもそうなんですけど、せっかく日本でやる日韓共同開催ですから、日本のチームの利というものを選手に与えてもらいたいですね。
中西:それじゃ、今日ここに来ていらっしゃる皆さんも大事な役割を担うわけじゃないですか。
松木:そうですよ。たくさんのお客さんに声援を送っていただけるとがんばりますからね。そのへんがまず大事なところじゃないかなと思います。だって、今日まで練習してきた選手が、明日急にうまくなることはないんですから。その潜在能力を一層引き出すためには、僕はファンの力が大事だと思います。
中西:でも、競技場に行けない人もいるじゃないですか。そういう人はどうすればいいんですか。
松木:どこでも応援できるじゃないですか。でも、もうちょっとチケットが安ければね。
中西:もうちょっと競技場が大きければね。
松木:僕なんか自分の娘に「すごいスポーツイベントだから連れてってやる」って言えないんですよ。チケット買えないから。
安岡:僕はなんとか買いました。それくらいサッカー好きですから。「ゴスペラーズだからチケット用意してくれ」なんて言うの失礼じゃないですか。「やっぱり自分で取らなきゃ」と思って、自分で電話をかけて取りました。あれ、全部手続きが終わるまで30分かかるんですよ。
中西:電話つながったんですか?
安岡:つながるまでは毎日毎日電話しましたけどね。
松木:どのチケットですか?
安岡:日本戦も決勝も観たいんで、6試合パックのチケットです。
松木:いいなぁそれ。1試合くれよ。
会場:爆笑
安岡:いま僕らツアーをやっているんですけど、その移動日とかにちょうど試合があるんで、僕とリーダー(村上てつや)の2人で別ツアーを組んで日本全国観に行きます。
中西:ワールドカップ期間中もツアーなんですか。
安岡:そうです。
中西:たまに1人足りなかったりして。
会場:爆笑
安岡:「間に合いませんでした」なんて。
中西:次の日コンサートがあるのに試合で声出し過ぎちゃって。
安岡:ホントにコンサートの前の日までずっと試合を観てますからね。
中西:ノドが大事ですからおとなしく応援してください。
安岡:すみません。
中西:でもね武田さん、いまも話に出たとおりチケット取るの大変じゃないですか。
武田:俺はチケットないんですけど。
中西:けっこう切実な問題ですね、解説者として。
金田:安ちゃん、1枚持ってるでしょ?
松木:ファミリー向けの? 来ましたけど僕行けないんですよ。1枚だけでしょ。
金田:1枚だけ? 俺5枚持ってるよ。
松木:ホント?
金田:それはね、日本代表のOBっていうのは、申し込むと買えるのよ。
中西:買えるんですか?
金田:1試合につき1枚ずつね。
松木:ただ、名前が入ってるから僕のチケットを娘に渡すことはできないんですよ。それはないよなぁ。
金田:いや、それはできるって。
松木:実は僕、そのへんをいちばん聞きたいんですよ。もうちょっと考えてくれよ、日本でやるんだから。
中西:武田さんはそういうの持ってないんですか?
武田:代表に入ると貰えるんですか?
中西:武田さんも代表じゃないですか。
会場:爆笑
金田:武田もファミリー枠でサッカー協会に申し込んでおいたら買えるんだよ。
松木:ちょっとちょっと、今日は我々の話じゃないんだから。
武田:知らなかった。じゃ俺ももらえたんだ。
金田:もらえるんじゃない、買うんだよ。でも、まぁファミリー枠っていっても1枚だからな。1人で行けるか? 競技場に。だから譲るしかないのよ。
中西:僕は日本代表じゃないからそんな枠はないしなぁ。
金田:今日ここにいらしてる皆さんは、チケット持っているんですか? チケットのある方、手を挙げて。
中西:けっこう持ってますねぇ。
松木:俺のまわりではいないよ。日本でやるのに、これだけサッカーのファンの方がいらっしゃって、チケットを持っているのが1割弱っていうのは、ホントに考えなきゃいけませんよ。
会場:拍手
中西:松木さんがサッカー協会に入ればいいんですよ。金田さんも協会に入っていただいて、2人で何とかチケットを。
金田:俺は入ってたんだけど、文句を言い過ぎて辞めさせられたの。
中西:でもまた入れるかもしれないじゃないですか。
武田:金田さんや松木さんが入ってくれないと、次の僕たちが入っていけないんですよ。
中西:ですよね。そうすれば僕とか安岡さんのような一般のサポーターもチケットが買いやすくなりますよね。
安岡:チケットを買うためにホームページ見ても、わけがわかんなくなっちゃうじゃないですか。今回は、一般の人が情報を仕入れるのがすごく難しいんですよ。電話は最初からつながらないし、抽選も最初から当たらないし。
中西:そうすると、観に行ける人は幸せですね。
安岡:まぁ、でもテレビで観ても応援するっていうのは大事だと思いますけどね。
中西:テレビは全試合やるんですか?
松木:地上波は日本戦は全部やるよね。あとはBS関係の各社。そこにみんなかじりついて応援してね。キリンビール片手に。
会場:爆笑
中西:ちょっとマジメな話にいきたいんですけど、いま日本代表の中で当落線上の選手がいるじゃないですか。よく新聞に名前があがっているような。このあたりの選手は実際に選ばれると思いますか。どうですか、金田さん。
金田:しょうがないんじゃない? だって23人って決まってるからね。だからといって24人目、25人目、26人目って、落ちた選手だからみんなヘタというわけじゃないでしょ。それは監督が考えるサッカーの中で選手を選ぶわけだから、別に落ちたから力がないとか、そういうレベルじゃないのよ、もう日本は。それはトルシエの好みよ。好みで決められる権限っていうのを監督は持っているわけなんだから、それでええのよ。
中西:でもそれだとトークショー終わってしまうんで。
会場:爆笑
金田:まぁ俊輔(中村、横浜F・マリノス)には入って欲しいけどね。Jリーグでいちばん活躍してるんだから。そういう選手を自分のチームの中で機能させることができないっていうのは、指導者としては力量不足だと僕は思うけどね。どうですか、安太郎さん。
松木:全くその通り。僕は中村俊輔、小野(伸二、フェイエノールト)、中田の3人の中盤が見てみたいですね。日本はワールドカップでまだ1勝もしてませんし、前回270分試合して、1点しかとっていない国ですから、今回の大会で1勝するっていうのはすごく大変なことだと思うんですよ。逆に、ワールドカップに出て優勝を狙う国っていうのはもう決まっていますよね。日本はそれに対して、クリエイティブないい選手をグラウンド上で各国にたくさん見せるという仕事がひとつあるんじゃないか。それには僕は、俊輔は絶対に入ると思いますね。
中西:トルシエ監督が「組織に合わないから、三都主(アレサンドロ、清水エスパルス)が出れば、中村は出られない」っていう話をよくしていると思うんですが、僕は才能のある選手はみんなピッチの上に並べて、うまく調和させるのが監督の役目だと思うんですけど。
金田:それは当然でしょう。シドニー・オリンピックを振り返っても、予選3試合やって決勝トーナメントに行ったわけでしょ。アメリカに負けたけど。それだってトータルに使った人数は12.5人か13人ですよ。ということは23人もいらないわけよ、トルシエ監督としては。だからいつまでも競争させるな、っていうこと。
中西:なるほど。
金田:だって4試合やったって13人しか使わなかったんだから。あとは信頼してないっていうことよ、基本的に。まぁ監督っていうのはそういうものでいいと思うし。いまは23人枠があるけど、僕らの時は18人だったんだから。
中西:そうなんですか。
金田:そうよ。ベンチにも入れない選手がスタンドに行くなんて、そんな失礼な話ないやろ。いまは枠を確保しすぎ。いらないよ23人も。ベンチにも入れなくて行ったって、経費かかるだけやん。ホテル代とか。
会場:爆笑
金田:いや、マジな話よ。俺らが選手時代、ベンチに入らないとか、スタンドに座らせられるなんてとんでもないことで、「じゃあ次から行かないよ」って話じゃない。失礼な話だよ。
中西:「もう競争はやめさせた方がいい」とかいろいろ言われていますけど。もうそろそろ固定した方がいい、っていうことですよね。
金田:監督の頭の中はもう固定しているべきだと思う。ましていまはJリーグが中断したばっかりで、キリンカップに入る時にはメンバーを固定した方がいい。なぜ固定した方がいいかというと、個々の特徴をみんなが理解し合ってコンビネーションを高めるためには、ある程度固定したメンバーで戦っていかなきゃ絶対に上がっていかないわけ。
中西:「あうんの呼吸」は生まれませんよね。
金田:そういうこと。いつまでも競争していたら、自分のいいところよりも、監督の言ったことを表現することに力を注ぎすぎるでしょ。攻撃の時のコンビネーションが全然上がっていかないですよ。ディフェンスはOKだよ、ボールがないから。でもボールを持った時、攻撃の時は、コンビネーションの質を上げないとやっぱり点が取れないよ。何でもかんでも競争っていうのはもういいんじゃない。いまは結束の方が大事だと僕は思っています。
中西:武田さん、代表に入る選手っていうのは、競争しているとプラスアルファの面を出しにくいものですか。
武田:自分が選手だった立場で、いま当落線上にいるゴン(中山雅史、ジュビロ磐田)とかの気持ちを考えると、相当なプレッシャーだと思うんだよね。フランス・ワールドカップの時のカズさん(三浦知良、ヴィッセル神戸)と北澤(豪、東京ヴェルディ1969)じゃないけど、寸前に選ばれなかった時のショックってずっと残ると思うんですよ。そういう選手の気持ちを考えたら、本当に早くメンバーを固定してあげないと、寸前にダメになった選手は相当落ち込むと思うな。早めに「このメンバーで行く」っていう名前を挙げて、戦いに望んで欲しいなっていう気持ちはありますね。
中西:6月4日(火)にベストコンディションに持って行くべきですけど、いま選手は合宿や、監督の前でいいパフォーマンスをするためにベストコンディションに持っていくような動きになっていませんか、松木さん。
松木:いや、そうなんですよ。僕は先ほども言いましたけど、昨日まで頑張っていた選手が、明日急に良くなるなんていうことはないんですよ。ということは、潜在的な能力だとか、Jリーグで活躍している選手たちのパフォーマンスを見て、ベースになる質っていうものは確認できると思うんですよ、監督であれば。ですから、そこでメンバーを選んで、例えばそのメンバーが合宿に呼んだ時には1km走れなかったとしたら、それはトレーニングすればいいんですよ、1ヵ月あるんだから。まずはそういういい選手たちを集めて、その選手たちがいいパフォーマンスができるような状態に持っていくのも、僕は日本代表の監督やコーチの仕事じゃないかと思う。
中西:コンディショニングということですよね。
松木:僕は早く決めて、ムリしてケガをしたりすることがないようにやらせてあげたいですよね。他の国はリーグ戦が佳境に入っているから、ベッカム(デヴィッド、マンチェスター・ユナイテッド)が骨折したりとか残念なニュースも入ってきますけど、日本はもうカップ戦に入って、日本代表は残りの期間を大事にって、ある程度考えているじゃないですか。だったら、もっとそこで選手たちがパフォーマンスを上げられるような、そういう環境作りっていうのが大事なんじゃないかな。これは僕の個人的な意見ですけど。
中西:安岡さんはどうですか。
安岡:僕らからすると、「あの選手も見たい、この選手も見たい」っていうのはもちろんあるんですけど。
中西:例えば、どんな選手ですか?
安岡:僕は小野伸二選手が好きなんで。彼が左だけじゃなくて、右でやるプレイも見たいし、真ん中でやるプレイも見たい。伸二がボランチに入ったらどうなんだろうというのも見てみたい気がするし。それによって、三都主選手が出てきたり、先ほど言ってた中田選手と中村選手と小野選手の3人が同時にピッチに立つとどうなるんだろうとか。そういうのをいろいろ期待したりするんですけど。でも、本当に「結局誰がやるべき人なのか」っていうのを早く見せてくれないと、「誰がいい、誰が悪い」っていうのを僕らもマスコミと一緒に勝手に言っちゃうじゃないですか。でもそれって本当はすごく失礼なことですよね。
松木:いや、いいんですよ。
中西:サッカー界じゃない人がバンバン言ってくれるといいんですよ。
安岡:そうなんですか? でも、「この人が点を取るから、この人にボールを預ければいいんだ」っていうのが見ていてもわかるようになると、たぶん見る人ももっと見たいと思えるんじゃないかと思うんですよね。その人にボールが渡った瞬間に「あっ、点が入るんじゃないか」っていう、そういう時間がどんどんテレビを見ていて増えてくると、サッカーが商品としてわかりやすくなるというか。昔カズさんがボールを持った瞬間に「点が入るんじゃないか」って日本中が思ったようにね。そういう瞬間が画面の中に何分あふれているかっていうことがサッカーの商品価値だと思うんで、そういうのをたくさん見せてもらいたいなっていうのはありますね。
松木:さすがだなぁ。最高だな。
中西:でもお話を聞いていると、安岡さんはすごくわかっていらっしゃるなぁと思うんですけど、いまはサッカーを見ている方の目が肥えていますよね、松木さん。
松木:いやもう、皆さん本当によくご存じですよ。だから逆に、選手たちも中途半端なことができないくらい本当に真剣な目が見ているということで、選手たちが育てられているという面もありますよ。
中西:武田さん、選手の立場として、代表としてプレイしている時にいろんなこと言われるじゃないですか。そういうのっていうのはどうなんですか。
武田:僕は全く気にしていなかったですね。「自分は自分だ」っていう感じでやっていますから。
中西:新聞も見ないとか、そういう感じなんですか?
武田:新聞はあんまりね。だって、野球担当の人がサッカーの記事を書いたりするじゃないですか。とりあえず現役時代は、全くサッカーの雑誌も新聞も見たことはないんですけど。引退してこういう世界に入ってからは、新聞を見るようにしているんですけど、参考にはしますが、やはり自分の目で見たものをいちばん重視しますね。そういう意味で、選手っていろいろ言われますけど、書かれたらやっぱり気にするんですよ。カズさんなんか、一言でも悪口を書かれたらやっぱり気にしますからね。でも僕は叩かれまくっていましたから。
中西:じゃあ、一切気にしないと。
武田:「また書いてんなぁ」って感じで。
中西:松木さんどうなんですか、その辺は。
松木:選手は全然気にしないでしょう。気にしてる時間があったら練習している方がいいですからね。そういう頭の切り替えって大事ですから。ただそうした記事の中でも、当たっていることもあるんですよね。だから、それはちゃんと見た方がいい場面っていうのも、選手にとってあるんじゃないかと思いますけど。
中西:金田さんはどう思いますか。
金田:いいんじゃないの。っていうか、気にするだけサッカーの記事量が増えてきたんだっていうことを、あなたたちはわかんないでしょ? ワシらの時代なんか、誰も書いてくれんかったよ。スタンドだってさみしいもんやで、僕らの時は。いまキリンカップって言ってますけど前はジャパンカップって言って、僕はジャパンカップの第1期生です。今日みたいにこうやって、キリンカップを前にして語ろうよなんてやったって、誰も集まらんぞ。
会場:爆笑
金田:俺はうらやましいもん。悪く書かれようが良く書かれようが、こんなに嬉しいことないよ。サッカーのことに1面とはいわないけど、新聞の1ページ、2ページを使ってくれるわけやろ。それを楽しまにゃ。
中西:そういう余裕はあった方がいいですよね。
金田:そういう環境になったということを素直に喜ばないと。
中西:ちょっとまた話を変えたいと思うんですけど、いま日本代表の話が続きましたが、今回のワールドカップの大命題はグループリーグ突破じゃないですか。そのために必要なことっていうのは、金田さん、何でしょう。
金田:欠けているのは…
松木:ビールだそうです。
金田:あの、つまみもお願いします。
中西:乾きもので。
会場:爆笑
中西:武田さんはどうですか。
武田:僕? 欠けてるっていうかね、あんまり心配してないんですよ。僕は中田君が好きなんで。1週間前に取材でイタリアに行ってたんですけど、いろんな人たちと話をしてたら、日本で中田を外す、外さないっていう話になっていたのがイタリアでも話題になっていたみたいなんです。「どうして、セリエAで試合に出ている出ていないに関わらず、あれだけ経験を積んでいる選手を、日本の監督は外すって言うんだ」って。「それはおかしい」って言われているくらい中田の価値は上がっていると思うし、そういう意味でこの間のポーランド戦を見てもらえばわかると思いますけど、中田が入った時って全然違うじゃないですか。そういう意味で、マークされちゃうと思うけど、中田がいればって、けっこう信頼しているんですけどね。彼が4年間やってきた実績と、小野君、稲本(潤一、アーセナル)君、川口君(能活、ポーツマス)の経験が生きてくると僕は思いますけど。
中西:それが生きてくれば突破できる、と。
武田:そういう選手がいるっていうことが、4年前とは全然違うと思います。
中西:その結果、可能性が広がるという感じですか?
武田:あと、向こうの人たちは「日本と韓国でやるのが大きい」って言ってました。地元の声援とか、環境とか、そういう中で日本は戦えるし、韓国とワールドカップで同じグループのポルトガルのルイ・コスタ(ACミラン)にインタビューした時にも、「韓国はホームでやるんだから絶対に有利だろう」って言うんだから。
中西:それはルイ・コスタが言ったんですか?
武田:そうです。
中西:武田さんがインタビューしたんですか?
松木:何語でしたの?
会場:爆笑
武田:日本語、日本語。
中西:それくらいホームのアドバンテージっていうのはあるんでしょうかね。
松木:いや、ありますよ。そのへんをうまく日本のチームは利用してもらいたいですね。レフェリーだって人間ですからね。間違えて笛を吹いちゃうことがあるかもしれないしね。
中西:そういう人に当たればいいんだ。
会場:爆笑
松木:10人がワールドカップを見たら、10人とも「こういうメンバーで戦いたいな」っていうのがあると思うんですけど。僕が考えるベルギー戦の先発メンバーは、トルシエとぜんぜん違いますからね。
中西:それを教えて下さいよ。
松木:僕は日本でやるゲームなんで、逆にかなり選手にプレッシャーがかかると思うんですよ。「勝たなきゃいけない」っていうファンの期待もあると思うんで。だから1戦目には、僕はベテランを使いたい。先ほど武田が言ったみたいに、中田のような経験豊富な選手を使いたい。その中には、ゴン中山とか、秋田(豊、鹿島アントラーズ)とか、こういうタイプの選手も含まれますね。試合に出ても出なくてもいいんです。だけど、試合に臨むまでにチームを助けるだけのいろんな経験を持っている選手を加えたい。その中にはもちろん名波(浩、ジュビロ磐田)も含まれます。そういうタイプの選手をメンバーに加えるべきじゃないかなというのが僕の個人的な意見です。
中西:他には具体的に誰がにいるんですか?
松木:いやもう中田は絶対。先日のポーランド戦だって、どっちに転んでもおかしくないゲームですよ。あれは中田のひと振りで決まりましたから。あれで流れがガラッと変わるわけだから。流れを変えられる選手というのは絶対貴重ですよ。わかってるのかなぁトルシエ監督。
武田:そういうことをテレビでガツンと言って下さいよ、こういうところじゃなくって。
松木:そういう番組が来ないんだなぁ、俺に。
会場:爆笑
中西:安岡さんは「こういう人を第1戦に出してみたい」というのはありますか?
安岡:やっぱり海外組にはみんな出てもらいたいですね。向こうでプレイしてるのを見ていても、けっこうみんないつも通りやってるじゃないですか。Jリーグでプレイしていたときよりもプレイの質も上がっていると思うんですけど。相手が外国人だとか日本人だとか、たぶんあんまり関係なくプレイしているんだと思うんですよね。それがいちばん大事なんじゃないかなと思うんです。いまできるプレイが本当に当日できるかって、やっぱりハートの問題だと思うし。小野選手がホントに人を食ったようなプレイをするじゃないですか。そういうのが当たり前にできるっていうのがいちばん大事だっていう意味で、この間のポーランド戦も中田選手がボールを預けられたら、2秒は絶対持ってくれるじゃないですか。あの2秒が見ている側にとってもすごく重要だし、安心感なんですよね。
松木:いやぁ、いちばん専門的だよ。よくご存じで。サッカーって、いくら監督がイメージして、選手がどんなにいいトレーニングをしても、グラウンドに入って、ましてやワールドカップの初戦で、日本でやって、となったら予想通りのプレイなんてできないんですよ。「何でコイツこんなに固くなっているんだろう」とかね。そういう状態が絶対にありえるんですよ。その時に、選手間でリズムを変えられるのは誰かっていうと、僕はベテランだとか、経験豊富な選手がグラウンドにいなきゃダメだと思うんです。
中西:ましてや相手が日本人じゃないですからね。そういう意味でも海外組にはそれが日常じゃないですか。稲本がフランス代表と練習するのも、中田がイタリア人と戦うのも。
松木:武田なんかもパラグアイにずっと行ってて、帰ってきたら試合に出ても出なくてもチームにいい影響を与えてたしね。そういうことができるのが僕はベテランだと思う。
中西:やっぱり海外に行くと余裕が出ますか、武田さん。
武田:自信がつくんですよね。僕も日本代表で海外に初めて行った時も、「当たりがきついんじゃないかな」とかいろいろ不安はあったんですけど。南米に行って外国人と練習してそういう当たりに慣れてくると、試合前に自信が持てるんですね。「こんな相手は大したことない」って。そういう気持ちの面で全然違うと思いますよ。
中西:帰ってきてヴェルディでいきなり自信に満ちあふれたプレイをしてましたよね。
松木:昔からいい選手だったけど、やっぱり変わりましたよ。
武田:監督が良かったから。
松木:お互いヨイショしてどうすんの。
会場:爆笑
中西:ヤダなぁ大人は。あ、金田さん、つまみが来ましたよ。サラミ、さきいか、チーズ、完璧じゃないですか。ますます金田さん、話さなくなっちゃいますよ。
金田:俺、もうええわ。
中西:でももうちょっと話してください。いま話にあったんですけど、海外にいる選手が入って、自信を持ったプレイをすることで日本代表にもたらす効果は大きいですよね。
金田:そりゃそうよ。武田はよう行ったのう。僕は日産で、いまで言うF・マリノス出身で、松木さんも武田も読売、いまのヴェルディね。日本リーグではやり合ってたチームだったから、あまり交流はなかったの。でもね、武田は現役を長くやったでしょ。コンディションをちゃんと整えてない人間は30歳過ぎまでやれませんよ。そのうえで代表狙いながらジュビロに移って、ジェフにも行って、パラグアイまで行った時に、僕けっこう武田に感動したんですよ。ホントにサッカー好きなんだなって。
会場:拍手
金田:サッカー好きじゃないと、外国まで行って環境変えて、飯も違うし言葉も違うし、やろうと思わないよ。
中西:いまの生活で充分ですもんね。
金田:僕は陰では応援してたよ。
中西:なんか武田さんのためのトークショーになってきましたね。
武田:今日は金田さんも松木さんも大先輩なんで、体育会系としては緊張して、「あんまり話しちゃいけないかな」と思ってたんですけど。
金田:お前いちばんしゃべってるやん。
中西:でも、武田さんのように海外に行ってチャレンジするって難しいじゃないですか。
松木:僕はちょうど武田が南米に行ってるときにたまたま行って。いや、本当は武田に会いに行ったんですけど、一生懸命やってましたよ。「好きなんだなぁ」って。だから未だに独身でいるんだなって思いましたね。
会場:爆笑
中西:話がかみ合ってないじゃないですか。
松木:「サッカーが恋人」って。そこまでわかってくださいよ。
中西:遠すぎますよ話が。安岡さんは武田さんの現役時代の印象はどうですか?
安岡:僕がJFLの会員になった時が、ちょうど「牛若時代」と言って、武田さんがポスターのメインキャラクターになってたんですよ。
中西:出てましたねぇ。
安岡:僕は中学生の時、あのポスターを部屋に張ってましたよ。
武田:ちょっと待って。俺の話じゃないんだよ。キリンカップの話なんだから。
中西:そういう話も楽しいじゃないですか。そういうポスターが昔あったんですよ。
安岡:牛若丸の恰好を武田さんがして、ジャンプして。「牛若時代」って。
武田:よく知ってるね。いいから早くキリンカップの話に戻ろうよ。
中西:金田さん、完全に度肝を抜かれてますね。
金田:安岡さんがそこまでサッカー好きだとは知らなかった。ゴスペラーズってすごい有名なんでしょ? 
会場:爆笑
安岡:まぁまぁです。
中西:めちゃめちゃ有名ですよ!
金田:俺さっき聞いたのよ、「君が代を何回歌いましたか」って。そうしたら3回だって。北島三郎と一緒なんだって。だいたい1回しか歌えないのよ。天下のサブちゃんと同じ回数だよ。
会場:拍手
安岡:一応3回がいちばん多い回数らしいんですよ。光栄なことで。
金田:そのうえでサッカーについてこれだけ詳しいんだったら、俺は何も言うことない。今日は来てよかった。
中西:ゴスペラーズのメンバーとも友達になれたし、CDも2枚もらったし。
金田:女房喜ぶで。
会場:爆笑
中西:こうやって言ってますけど、安岡さんは今日僕たちが来たら、「初めまして」って必ずみんなの前に行って挨拶して。ものすごく腰の低い方で。「僕いつもスカパーで見てます」って言われて、「僕もテレビで見てます」って。
安岡:いやでも、僕自身ずっとサッカーやってたじゃないですか。自分がちょうどサッカーを高校で終えた時がJリーグができる年だったんですよ。自分はプロでサッカーができないってわかってるから辞めたんですけど、皆さんってホントに僕にとってのヒーローなんですよ。だからこういう場に来ると緊張しちゃうんですよね、ホントに。
中西:でも全然緊張してないみたいですけど。
安岡:今日はビールがあるんで。良かったです。

次のページへ