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豪華ゲストたちとともにあらゆるスポーツについて、熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。今回は5月27日に行われた「どうなる! サッカー日本代表」をテーマにした模様をそのままお届けします。

ぴあトークバトル Vol.18
スポーツ快楽主義2002 Vol.18 Supported by
KIRIN
どうなる! サッカー日本代表 ~2002W杯いよいよ開幕!~
前編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト・右)
'69年、愛知県生まれ。'92年に名古屋グランパス入り。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たした。その後引退し、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

<ゲスト>
木村和司(サッカー解説者・左)
'58年、広島県生まれ。'81年に日産自動車入り(現横浜F・マリノス)。'86年には日本リーグで初のプロとして契約。日本代表では54試合に出場し、27得点をマークした。現在はフットサル日本代表監督を務める。

白石美帆(スポーツキャスター・中)
'78年、茨城県生まれ。短大ではスポーツに携わる栄養学を専攻し、食物栄養士の資格を取得。'98年10月より、TBS系列の 「JスポーツSサッカーPLUS」でキャスターとして人気を博している。


中西:こんばんは。今日はいつもと違った形式で行いたいと思います。楽しい会にしたいと思いますので、皆さんも大いに飲んで、トークを楽しんでいってください。それではゲストの方を紹介します。まずは、最近売れていますね、よくテレビで見かけます。「ワンダフル」(TBS 系) 、「スーパーサッカー」(TBS 系) などいろいろ出演しています。白石美帆ちゃんです。
会場:拍手
白石:こんばんは。よろしくお願いします。
白石:よろしくお願いします。
中西:続いて、日本のプロサッカー選手第1号、僕も昔はずっと見ていた憧れの人なので、いつも会うたびに緊張するんですけど。木村和司さんです。
会場:拍手
木村:こんばんは。
白石:よろしくお願いします。
中西:今日も楽しいトークをよろしくお願いします。それでは、乾杯しましょうか。
白石:はい。これすごいですね。
中西:あ、これ“キリンの淡麗”なんだ。
白石:ジュースのようなデザインの缶ですけど。
中西:スポーツドリンクだと思ってました。これ、特別バージョンなのかな。
白石:特別バージョンでしょうね、きっと。
中西:では日本代表がワールドカップで優勝するように、みんなで祈願して。乾杯!
白石:おいしいですね。
中西:これからまだテレビに出演しなくてはいけないんですけど。
白石:大丈夫でしょ、ちょっとだけなら。
中西:さて、いつもは何となくトークが始まるんですけれども、今日はあらかじめ用意された質問に3人が答えていく形式でいきたいと思います。質問に対して「YES」「NO」どちらかの札を挙げてください。「YES」「NO」以外の札はありませんから。
白石:両方はなしですか。ウソー。困るなあ。
ナレーター:質問は全部で11問あります。それでは始めます。
質問木村氏白石氏中西氏
1:今回の日本代表は98年フランス大会の時より強いyesyesyes
2:正直、秋田選手の選出には驚いたyesyesyes
3:今の日本代表に不安はないnoyesyes
4:フラット3はキライだyesnono
5:日本はベルギーに勝てるyesyesyes
6:日本はロシアに勝てるyesyesyes
7:日本はチュニジアに勝てるyesyesyes
8:日本はセカンドラウンドに進出するyesyesyes
9:初得点をあげるのは中田英寿だnoyes/nono
10:実は中山選手の得点を期待しているyesyesyes
11:トルシエ監督はいい監督だったnoyesyes

中西:では順番にいきましょうか。1問目「今回の日本代表は'98年フランス大会の時より強い」。3人とも「YES」ですね。
木村:強いというか、比べようがない。でも、強くなっていてほしいよね。この4年間で進化していてほしい。前回大会と今大会の間に中田(英寿、パルマ)、小野(伸二、フェイエノールト)、稲本(潤一、アーセナル)、川口(能活、ポーツマス)が海外に行けるようになった。
中西:そうですね。中田英選手も'98年フランス・ワールドカップの直後に海外に行ったんですから。この4年間で、日本代表には海外で活躍する選手が増えましたね。
木村:そういう意味では、強くなっていてほしいなと思いますね。実際、比べられないでしょう。わしらの時の日本代表と今の日本代表、どっちが強いかと言われても、比べられない。わしらの時の方が強かったかもしれんね。
中西:それは十分ありますよね。美帆ちゃんは?
白石:そうですね。前回は固定メンバーだったじゃないですか。今回はトルシエ(フィリップ、日本代表監督)さんが選手の競争意識を高めるために、いろいろな選手を試している。フランス大会が終わってからの4年間を見ていると、大勢の選手を起用しているがゆえに、この選手もいいんじゃないか、あの選手も入ってほしい、入れたらいいんじゃないかという期待感が強まった。ということは単純に考えて、代表に入れるだけの実力を持つ選手が着実に増えた気がするんです。
中西:層が厚くなったよね。なんか美帆ちゃん、サッカー解説者みたいですね。
白石:
いえいえ。
中西:僕もそう思います。層が厚くなっていますからね。単純には比べられないですけど、前回よりは当然、選手たちの経験値も上がっている。前回のワールドカップに出た選手はすでに1回、経験しているわけですから。そういうところで強くなっていると思いますね。続いて2問目「正直、秋田選手の選出には驚いた」。秋田(豊、鹿島アントラーズ)選手の選出に驚いていない人はいないんじゃないですか。だって本人が一番驚いていますから。
白石:聞いた話によると、5月17日の日本代表メンバー発表の当日、本人は鹿島のクラブハウスでミーティングがあって、みんなでテレビを見ていて一番初めに「ディフェンダー、秋田豊」と読み上げられた時に、「秋田ってほかにいたかなあ?」って言ったらしいですよ。で、そのまま2階に行って、会見に臨んだって聞きましたよ。
中西:僕も3月ごろ秋田選手と話をした時に、「一生懸命やっているし、代表に入る望みは捨てていないけど、なかなか厳しいと思うよ」と言っていましたからね。和司さんもそう思いますよね。
木村:そうねえ。だって代表の試合に招集されていなかったからね。
中西:日本代表の試合にずっと出ていなかったですからね。
木村:わしはずっと前から秋田は必要だと思ってたよ。
中西:秋田選手の選出は日本代表にとって良かった?
木村:そう思うよ。トルシエが「彼は3番目のグループの選手」と言うのも頭にくるけど。
中西:つまり雰囲気を良くするムードメーカー的な役割の選手で、試合に出ない。
木村:そうはならないでほしい。試合に出てほしい。
中西:本当に驚きました。僕は度肝を抜かれましたよ。
木村:木之本(興三、日本サッカー協会強化推進副本部長、ワールドカップ日本代表チーム団長)さんが選手の名前を読み間違えたのかと思ったよ。
中西:僕もそう思いましたよ。一番初めでいきなり爆弾を落としましたよね。
白石:5月のヨーロッパ遠征の代表メンバーに入っていたら、そんなに驚きはなかったと思うんですけど、遠征に行ってなくて、呼ばれてなくて、突然あの発表で言われたから、驚いた方が多かった。
中西:ヨーロッパ遠征のメンバーで代表選手は99%決まっているとトルシエが言ってたのに、「99%じゃないじゃん」って思いましたね、あの瞬間。だって秋田選手も会見で言ってましたもんね、「99%は嘘でしたね」って。
白石:“ドッキリ”かと思ったって。
中西:本当に思うよね。あんな“ドッキリ”はあり得ないけどね。続いて3問目「今の日本代表に不安はない」。僕と美帆ちゃんが「YES」で、和司さんが「NO」。ではまず、僕と美帆ちゃんの意見を。
白石:マスコミの方々も、ワールドカップ開幕直前のこの時点で不安にさせるような材料はあえて出していない気がするんです。私もここまで来たら、前向きに行くしかないという気持ちでいきたいので、不安に思わないようにしています。
中西:試合でミスが出たり、点を取られたり、マイナスの要素が出るたびに、選手たちはそれを解決しようとしている。ひとつミスがあったり点を取られたとしても、「このパターンでの失点はなくそう」とか「こうなったらこうしよう」といった改善策を考えているはずです。ミスや失点を逆にプラスに変えていける強い意志を持っている選手たちなんで、不安の要因はむしろプラスにつながると僕は思います。和司さんは「NO」なんですけど、不安ですか?
木村:不安はつきものよ。選手、監督、スタッフというのは常に不安を抱えている。それでも前向きにやっていくのがサッカー選手じゃないかな。ただ言えるのが、5月25日のスウェーデン戦もそうだけど、メンバーは23人に決まったんだけど、「俺が右をやるの?」、「誰がレギュラーなの?」という戸惑いが感じられる。そんな状態で選手同士が突っ込んだ話ができるのかというと、そこまでできないでしょう。選手間のコミュニケーションを考えると、この時期にきてまだメンバーを試すのは不安だね。いまだに「誰が先発で出るの?」という感じでしょう。
中西:はい。
木村:大体のやり方は一緒だけど、どの選手が左サイドにくるのか右サイドにくるのか、わしらにもわからんでしょ。
中西:わからないですね。特に前のツー・トップと両サイドは、起用する選手を決めかねている感じですからね。
木村:選手たち自身がそれを納得していれば、宿舎で集まった時でも話し合いができるんだろうけど。今の状態では話し合いもできないんじゃないかな。
中西:自分のポジションがどこなのかはっきりわからない状態で。確かにギリギリまで試していましたからね。試さないよりは良かったと思いますけど。いきなり本番で試されても困りますし。
白石:そうですよね。
中西:僕は日本代表に選ばれたことがないですし、代表が背負う国民の期待や不安というのはわからないですけど、和司さんが言うとグッと伝わってきますよね。
白石:重みが感じられます。
中西:「不安と戦わなきゃいけない」ということが。
木村:わしらは選手同士で飲んで、ひとつのチームになっていった。今は中田英が先頭に立ってチームをまとめようとしていると聞いたけど、それはすごくいいことだよね。ある意味、中田英の成長もあるよね。
中西:5月15日のノルウェー戦の後には監督に了解をもらって、みんなで部屋で飲んだと言うし。そういうことを中田選手が率先してやっているのは、彼のリーダーシップの表れだと思いますし、試合でもセットプレイでゲームが止まった瞬間、必ず他の選手に声をかけに行っている。「こうしよう、こうしよう」と言っているのは中田選手ですから。そういうのを見てると、和司さんが言うように、お酒を飲んだりコミュニケーションを取ることでチームは成長していくんだなとよくわかりますね。
木村:そういうのはピッチ上で出なくていい。その前だよ前。ピッチに上がる前。
中西:そして、次は4問目「フラット3はキライだ」。和司さんだけ「NO」。
白石:答えにくいですよね、ここでは。嫌いではないです。自分もフットサルはやりますけど、サッカーについてはプレイヤーではないので……。
中西:それはわかってますよ。
白石:選手が一体どう思っているのか。こうやれと指示されたら、やっぱり監督さんが一番という部分があるじゃないですか。
中西:本当にその通りですよ。僕も好きとか嫌いとかの問題じゃないと思います。監督が持ってる戦術で、監督が信じる方向でやる。選手がフラット3が嫌いだから4バックをやろうなんて、できるわけないじゃないですか。3バック、4バック、それぞれいいところも悪いところもあって、どっちがいいかなんてわからないわけですから。世界的に見てどちらが主流なのかという違いはありますが、その時の選手の個性にもよりますし、いい悪いとは別。これをやると言われたら、それを信じることが大事だと思いますよ。和司さんは「キライだ」ということなんですが。
木村:キライだよ。でも人それぞれだから。わしはあのやり方は嫌いだ。ディフェンスラインの上げ下げだけじゃなくて、相手をどういうふうに自分たちのゾーンに入れるかということまで考えた方がいいんじゃないかな。1対1の時に、特にサイドが下がり過ぎたり、センターバックに特に宮本(恒靖、ガンバ大阪)が入った時なんかは前に出過ぎて、あとのディフェンスふたりに負担がかかってしまう。相手に攻められる場面で特に目立つんだけれど、1対1の局面になった時に自陣にズルズルと下がってしまう。この前のスウェーデン戦でもそうだった。もっとボールに寄せるとか、基本的なことをできればなあと。
白石:フラット3でも、勝てる要素はたくさんありますよね。
木村:うん。スウェーデン戦もけっこうオフサイドがかかったんだけどね。それがワールドカップ本番になった時に、一発目でかかればね。ノルウェー戦の時よりは進歩があったよ。状況判断がしっかりできていた。
中西:そして5問目「日本はベルギーに勝てる」。3人とも「YES」なんですけれども。美帆ちゃんどうですか。
白石:この場で「勝てない」って言ってたらとんでもないことになってしまいますからね。
中西:とんでもないことにはならないでしょう。
白石:なんかそうなってしまいそうな。ベルギーは本当に高さがあるチームじゃないですか。平均身長185cmで。
中西:詳しいですね。
白石:高さがありますし、守りも堅いチームですし。でも、初戦が大事じゃないですか。前回のぴあトークバトルでも言ったんですけれども、ワセイジュ(ロベール、ベルギー代表監督)さんと「日本とベルギーで一緒に決勝トーナメントに進みましょう」と約束を交わしてきたので、負けることはないと思います。すみません、根拠がなくて。
中西:和司さんはどうですか。
木村:勝てないということはない。
中西:そうですよね。
木村:絶対勝てるということもない。
中西:勝てる可能性は十分にありますよね。
木村:十分にある。悪いけど、4年前の日本代表よりは点を取れる可能性は増えたと思う。4年前は良くて引き分けかなという感じがあったね。ただ、俊輔(中村、横浜F・マリノス)が代表から外れたからね。ベルギーの守備はきついよ、なかなか割れないよ。スウェーデンの守備も良かったでしょう。
中西:はい、良かったですね。
木村:あれと同じようなレベルか、それ以上にもっと気持ちが入ってくるからね。
中西:本番になりますからね。この間の試合はあくまでテストマッチですからね。それを考えると、やっぱりワールドカップは初戦が大事ですよね、和司さん。
木村:もちろん、そう。レベルが全然違うけど、20年前ぐらいのオリンピック予選で、ロサンゼルス・オリンピックだったかな、最初の第1試合、タイに5対2ぐらいで負けたのよ。それまですごく調子良かったのに、1戦目に大敗してボロボロにされた。そしたらチームがバラバラになった。だから1戦目って大事なのよ。
白石:1戦目って、それによってチームが受ける影響が大きいってことですよね。
木村:実際、その時は実力もなかったんだけど、立て直すというのは難しいよね。しかも予選は3試合しかない。やっぱり1戦目は大事だよ。それから先制点が取れるかどうか。できれば30分以内が理想的なんだけど、先制点は大きい。2001年11月のイタリア戦の時もそうでしょう。先制点というのは大事だよね。
中西:先制すれば、最低でも引き分けに持ち込めると。
木村:そう。
中西:去年、コンフェデレーションズ・カップの前も「日本代表はダメだ、ダメだ」と言われていて、でも初戦のカナダ戦で、前半はあまり良くなかったですけど、小野選手がフリーキックを決めて、それからガーンといったじゃないですか。
白石:そうですね。
中西:日本は得点が取れてないと言われてますけど、きっかけだと思うんです。1点取れれば、相手は前に出てきて、その分後ろにスペースができるから点が取りやすくなる。やっぱり初戦の先制点がほしいですね。もし取れなかったら、和司さん、0対0の引き分けも視野に入れないといけないですよね。
木村:うーん。取れないとやばいかもしれないね。
中西:ベルギーのセットプレイは脅威ですよね。5月26日のコスタリカとのテストマッチでもセットプレイで点を取っていました。
木村:あのビルモッツ(マーク、シャルケ04)、あいつを抑えないとな。
中西:彼が当然キープレイヤーですよね。そして第2戦で戦う相手ロシア。「日本はロシアに勝てる」、全員「YES 」ということですが。
木村:勝てないことはないよ。でもやっぱり初戦だよ。その結果次第でゲームプランが全く変わってくるでしょう。
中西:変わってきますよね。
木村:だからベルギーには勝ちたいよね。
中西:勝ってロシア戦に臨むのと、引き分けもしくは負けて臨むのとでは、全然変わってきますよね。
木村:実力的にはやっぱりロシアは強いよ。
中西:テストマッチを見ていても、フランス相手に引き分けて。
白石:堂々としていましたよね。
中西:ロシアの関係者が言うには「ロシアはフランスとはもともと相性がいいから、たいして驚きはない」。それを差し引いても、フランスのサンドニ・スタジアムという完全なアウェイの雰囲気のなかで引き分けたのはすごい。
木村:サンドニでフランスを負かしたチームはベルギーとロシアだけなんでしょう。どうなってるんだ。
中西:ただフランス代表もわからないですよ。
木村:テストマッチだからな。
白石:5月26日のフランス対韓国のテストマッチを観ていたんですけど、ジダン(ジネディーヌ、レアル・マドリー)選手が負傷で交代して。
木村:大丈夫なの、ジダン。
中西:僕に聞かないでください。
白石:開幕戦はちょっと……。
中西:開幕戦は無理でしょう。重症かどうかは5月28日にならないとわからないけど。
白石:5月28日に発表されるということなんですけどね。
中西:日本が3戦目にあたるチュニジアですけど、テストマッチに負けているじゃないですか。
白石:そうですよ。J1(ガンバ大阪)、J2(大分トリニータ)のチームに負けています。
木村:テストマッチだからな。
中西:ですよね。だから、練習試合に勝っていても本番には関係ないですよ。
白石:本番に照準を合わせてくるかもしれませんよ。
中西:本当にそれが一番大事だと思いますよ。
木村:チュニジアはフォワードがおもしろいよね。ジャジリ(ジアド、エトワール・シャヘル)。
白石:5月26日、デンマークを相手に8試合ぶりのゴールを決めたんですよね。
木村:3戦目というのは、それまでの結果次第でそのチームのモチベーションが変わってくるでしょう。だから3戦目は、そんなには……。
白石:そんなには?
木村:要は、3戦目までに日本は絶対に勝ち点を取っておかなきゃいけない。
中西:もしチュニジアがそこまでに2連敗するようなことがあれば、日本としては点を取るチャンスがありますよね。
木村:フランス大会の時みたいに「目標は1勝1敗1引き分け」なんて監督(岡田武史、サッカー解説者)が言ってはいないでしょう。それでいいんだよ。3戦全勝、そういう気持ちや。
中西:全部必勝ですよね。
木村:そう思っていたら勝てるよ。
中西:こう考えていると、やっぱり1戦目の結果を見て次の試合を考えないといけないから、2戦目、3戦目のことなんて、今は考えられないですよね、和司さん。
木村:1戦目に100%の力を使っていかないと。今はそこまでのレベルだから、世界と比べたら。フランス大会の時もそう。アルゼンチン、クロアチア……クロアチアは何位だっけ?
中西:3位です。
木村:彼らは1次ラウンドの時と決勝トーナメントに入った時では、動きが全然違ったもの。
白石:違いましたね。
中西:日本は初戦にピークをもってこないと。他のチームは初戦を通過点にして、徐々にコンディションを上げていく感じでいいかもしれませんけど。
木村:日本はまだそこまでの経験をしてないしね。前回大会よりは1点でも多く取る。できれば勝ち点をあげる。そしてこういうチャンスはめったにないんだから、できれば1次ラウンドを突破してほしいよね。それがきっと経験になるだろうから。
中西:8問目「日本がセカンドラウンドに進出する」、つまり決勝トーナメントなんですが、みなさん「YES 」。これは当然ですかね。
白石:はい、それはもう。頑張ってほしいと思うんですけれども。
中西:行けると思います? 美帆ちゃん、僕の顔を見ないでください。
白石:困りますよね、みなさん。
中西:会場のみんなはどうなんですかね。日本がセカンドラウンドに進出できると思う人。ほとんどの方が手を挙げていますね。では逆に、厳しいなと思う人いらっしゃいますか。10人くらいいらっしゃいますね。厳しいと思っている人たちはほかの国を見て不安なんですかね。
白石:ただ楽観視はできないけど、気持ち的には決勝トーナメントに進出してほしいという方が多いんじゃないですかね。
中西:進出してほしくない人は誰もいなくて、当然進出してほしいんだけど、不安になっているんでしょうね。和司さん、行けますよね。行ける可能性は十分ありますよね。
木村:あるよ。みんな行きたいと思っているんじゃないかな。フランス大会の時もそうだったけど、「日本はすごいよ。アルゼンチンと0対1か。クロアチアと0対1か」。でも、1次ラウンドで敗退したら日本代表のことはもう話題にのぼらない。だからやっぱり決勝トーナメントに進出してほしいという期待はある。進出は難しい、不安だという気持ちも正直なところだと思う。
中西:期待もあるし、不安もあるということですよね。
木村:サッカーはわからんからな。
中西:本当にサッカーというスポーツは番狂わせが起こりやすいですし。Jリーグのチームも高校生に負けたりするわけですからね。それも十分あり得るんですよね。
白石:そうですよね。
中西:それを考えたら、日本はワールドカップ本大会で優勝する可能性もあると思うんですよ。データからいくと開催国を経験した国しか優勝した例がない。優勝はないとは言い切れない。サッカーというスポーツは何が起こるかわからない。和司さん、それは言い過ぎですか。
木村:いいんじゃないの。
中西:サッカーは可能性のあるスポーツですからね。
白石:そうですよね。5月26日のフランスと韓国のテストマッチでも、韓国が逆転したんですよ、結局3対2で負けてしまったんですけど。前回王者のフランスでさえも、100%優勢で勝てるわけじゃないんです。2失点はしてるわけだし。7割の優位で勝ったような試合もたくさん経験してきたと思うんですよね。そこで日本がどれだけ可能性の高いパーセンテージで勝てるか。可能性を考えると、決勝トーナメントに進出できるかもしれないし、優勝できる可能性も十分にあると思うんですよね。
中西:絶対はないですよね、和司さん。このワールドカップという舞台において。
木村:絶対はない、この世の中で。
中西:そういう意味で、いいサポートをするのは大事ですよね。そして9問目「初得点をあげるのは中田英寿だ」。僕と和司さんは「NO」で、美帆ちゃんは?
白石:両方ですね。どなたに得点してもらっても1点取ってほしいという気持ちから。
中西:そのなかで、あえて誰に得点してほしいですか。
白石:予想ですか。
中西:予想でいいですよ。
白石:誰でしょうねえ。じゃあ、これが“toto”だとして予想しますね。何かもらえるかもしれない。
中西:“氷結”を。
白石:“氷結”1年分? やっぱりフォワードに取ってほしいですよね。
中西:僕は初得点は鈴木隆行(鹿島アントラーズ)選手だと思ってる。
白石:十分あり得ますよね。
中西:彼はね、そういう男です。理屈じゃない。彼は責任感が強いから、ここのところ点を取ってないことで、追い詰められた気持ちを持っている。でもね、去年のコンフェデレーションズ・カップのカメルーン戦で、初めてのスタメン出場でいきなり2点取ったじゃないですか。信じられなかったです。1年間で、もしかしたら2点ぐらいしか取れないこともあるかもしれない選手なのに。悪い選手だってことじゃないんですよ。彼はフォワードとして、やるべき仕事をいろいろやっている。そのなかで点が取れないことは決して悪いことじゃないんです。取れるに越したことはないんですけど。一番大事な時に取れる選手だと思います。勝負強い。
白石:確かにコンフェデレーションズ・カップの時、当日試合の数時間前に「今日は先発で行け」ってトルシエ監督さんに言われて、2ゴールしたんですよね。勝負強さがある。鈴木選手は2回ぐらいブラジルで修行していて、その時の話を聞いたんですけど、料理も自分でするし、グラウンドの芝生がちゃんと整備されていなくて、シャワーも水しか出てこないすごい環境でやってきたんだそうです。それで本当に自分が今までぬるま湯に浸かっていたのを実感して。あの経験があったからこそ今、頑張れるんだという話を聞いて、頑張ってほしいなって思いました。
中西:今時、あんな若者がいるなんて不思議な感じですね。僕が年寄りみたいだけど。すごいストイックなんですよ。楽な方を絶対に選ばない。もっともっと苦労したいって思っているみたいですよ。彼はこれからが本当に楽しみですよ。
白石:和司さんは、まだまだ苦労したいですか。
木村:え? 苦労したくないね。楽に生きたいね。
中西:和司さんは誰が初得点を挙げると思いますか。
木村:質問に「NO」と答えたのはわからんという意味。でもフランス大会を上回るよう、2点以上は取ってもらいたい。ただ鈴木選手の話だけど、彼はすごく能力が高いんだけど、わしから言わせると、いらない仕事をしている。
中西:はい。
木村:一番大事なところで、点を取る時にこそストイックにいってほしい。多分、トルシエが彼に守りも要求しているのかもしれない。みんなで守ってみんなで攻めるというのが今のサッカーなんだけど、彼は一番大事なところで疲れている。プレイが遅い、振りも遅い。点が取れる選手だよ。コンフェデレーションズ・カップの時にも得点している。だけど大事なところにいない。一番肝心なところで100%に近い力を使ってない、使えてない。確かにボールキープや体の使い方はいいけど、いいポジションにいない。自分がもし中盤にいたら、「そこにおれよ!」と言いたい。
中西:ゴール前、点が取れる場所にね。
木村:柳沢とか、鈴木とか、そういうことが多いんじゃないの。だからJリーグでも点を取ってないんだと思う。そういう意味では、ずっと言ってきたけど、森島(寛晃、ガンバ大阪)をトップで使って自由にやらせる。ツー・トップのトップ下は絶対に森島には合わない。あまりにも下がり過ぎるし、自分が活きるスペースがない。あいつのいいところは、チャンスの時に絶対にシュートレンジに入っていくこと。わしのイメージのなかでは森島が点を取るんじゃないかなっていうのがある。
中西:そして10問目「実は中山選手の得点に期待している」というのが、僕と美帆ちゃんが「YES」なんですけど。
白石:はい。
中西:僕はただ単に、点を取って盛り上げてほしいなと。
白石:中山(雅史、ジュビロ磐田)選手、前回のワールドカップで体のどこに当ててもいいからゴールを決めるぞという気迫が伝わってきたじゃないですか。
木村:すごいな、アイツ。いつだったかな、俺が解説していたんだけど。ゴールポストにぶつかった試合があったよな、Jリーグで。
白石:4月20日のジュビロ磐田と横浜F・マリノスとの試合ですね。
木村:そうや、そうや。「こいつ、アホやな」って思って。
会場:爆笑
木村:「そこまでいくか?」って。本当に、ピッチ上の選手に勇気を与えるよな、アイツは。たいしたもんや。
白石:ジュビロ磐田関係者のみなさんに聞くと、今、トップチームとサテライトチームは別々に練習をしているんですって。でもサテライトチームも、ぜひ中山さんと一緒に練習をさせたいと言っていましたね。あれだけベテランであっても、第一線でチームを引っ張っていく強さを持っているし、若い選手にかなり影響を与えられる選手だと思うから、一緒に練習をさせたいと言ってましたね。それは日本代表においても同じことですよね。
木村:カメラの前での表情とか、日本代表に選ばれてから中山らしさが出てきたけど、ことサッカーに関してはまじめ過ぎるくらいまじめだよね。もっと遊べよと言いたいよ、わしは。でも遊ぶとダメなんだろうな、アイツは。
中西:練習でも、全然手を抜くことがないですよね。あそこまで自分を追い込む人っていないですよ。
白石:本当に。練習とか見に行くじゃないですか。練習が終わった後に必ずひとりで腹筋とか、トレーニングをしてるんですよ。すごいと思いました。意識の高さが。
木村:わしもやるよ。
白石:毎晩ですか?
木村:おう。1に練習、2に練習。
白石:本当ですか。
中西:フリーキック、ずっと蹴っていましたよね。
木村:そうそう。ジュースを賭けてな。
中西:本当に、中山選手が代表メンバーに入ったのは大きいですよね。
木村:トルシエは、ずっと考えていたんじゃない?
中西:中山選手はいつチームに入っても大丈夫だと思っていたんでしょうね。僕は、いろいろなところでご一緒する機会があって、某ゲームの記者会見の時に……。
白石:バレバレじゃないですか。
中西:中山さんと話をしていて、「ワールドカップで最初に点を取ったのは中山さんじゃないですか」って言ったら、中山さんが「今年もワールドカップがあるから、また誰かが点を決めるだろうから、最初が俺で良かった」って言うんですよ。それで、「じゃあ今年のワールドカップも全部中山さんが決めればいいじゃないですか」って僕が言ったんです。そしたら「そうだな!」って。「俺がもうワールドカップで唯一の得点者になっちゃえばいいんだよな」って。
白石:またギネス・ブックに載っちゃいますね。
中西:そう。今回は3点ぐらい取ってね。「日本人で唯一点を取ったのは中山だって言えますよね」って言ったら「それにしよう!」って。
木村:でも厳しいようだけど、中山は今、もう1テンポ遅れている、シュートゾーンに入ってくるのが。だからフランス・ワールドカップの時が一番良かった。
中西:前回のね。
木村:そう。あのジャマイカ戦での得点、呂比須(ワグナー・アビスパ福岡)は狙ってたね、ヘディングミスではなくて。ボールが落ちたところにちゃんと中山がいる。今はそこにちゃんと森島がいるという感じだよね。
中西:そして最後の質問、「トルシエはいい監督だった」という過去形なんですけど。僕と美帆ちゃんは「YES」、和司さんは「NO」。僕は、日本に新しい風を吹き込んでくれた監督なので、掛け値なしに「YES」。契約更改を望むかどうかは別として、それは協会が決めることですからね。彼が日本代表の監督になってくれたおかげで、変わったところがいっぱいあった。それは良かったなと思いますね。
白石:'99年のワールドユース準優勝とか、'00年アジアカップ優勝とか、国際大会で一緒に勝ち上がってきたという感じがするんですよね。
中西:僕も番組などで以前のVTRを見て、改めてユース代表の頃から選手を育ててきたのを見ていると、貢献してるなと実感します。昔は20歳で代表に入るなんてありえなかったじゃないですか。
木村:わしは20歳で入ったよ。
中西:和司さんは例外ですよ。それを言わせようって思ってたんですから。和司さんは20歳で入っているんですけど、今はそのくらいの年代の選手が主力として何人も代表に入っている。トルシエさんの功績ですよね。
木村:まあ、トルシエだけの功績じゃないけどな。
中西:まあまあ、そうですけど。
木村:わしが「NO」と答えたのは、“過去形”が入っていたことと、わからんっていう意味だから。
中西:「いい監督ではない」ということではない?
木村:ではない。いろんな結果を出してるし、指導者たちにも勇気を与えたかもしれない。ただ好きではない、わしはね。嫌いでもないけどな。どっちかと言うと、嫌いに近いかな。
会場:爆笑
木村:いい教育者ではあるよね。まず人間を育てようという彼の考えでね。ただ、わしから見ると「育っているのかな?」という疑問はある。監督というのはよくオーケストラの指揮者にたとえられるけど、特異ないい音色を出すのを、何か違う楽器を持たせているような。わしはそういう気がするんだ。でも、それでもいいんじゃない。
中西:和司さんが近いうちに代表の監督になるという可能性は十分ありえますよね。
木村:そりゃあ、あるよ。
中西:やりたいですか。
木村:やりたいっていうか……やってみたい。
会場:爆笑
木村:それも経験じゃない。死ぬまで追求していきたいよ。サッカーっておもしろいじゃない。だからそういうのを経験したいよね。
中西:代表の監督になってもぴあトークバトルに出てくださいよ。
白石:お願いします。
木村:なんぼでも。
会場:拍手
木村:キリンビールが飲めるから。
会場:爆笑

後編へつづく