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豪華ゲストたちとともにあらゆるスポーツについて、熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。今回は7月6日に行われた「~2002W杯を終えてPART1・激闘編~」をテーマにした模様をそのままお届けします。

ぴあ30th Anniversary
ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2002 スペシャル2DAYS Vol.19 Supported by
KIRIN
~2002W杯を終えてPART1・激闘編~
前編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト・左)
'69年、愛知県生まれ。'92年に名古屋グランパス入り。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たした。その後引退し、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

<ゲスト>
高木琢也(サッカー解説者・右)
'67年、長崎県生まれ。国見高、大阪商業大を経て、'90年にフジタ工業(現湘南ベルマーレ)入社。'91年にサンフレッチェ広島に入団。'92年には日本代表デビュー。'01年1月に引退し、サッカー解説者に。

白石美帆(スポーツキャスター・中)
'78年、茨城県生まれ。短大ではスポーツに携わる栄養学を専攻し、食物栄養士の資格を取得。'98年10月より、TBS系列の 「JスポーツSサッカーPLUS」でキャスターとして人気を博している。


中西:乾杯しましょうよ、いろんな意味で。まさか今日はソフトドリンクじゃないですよね。土曜日ですよ。明日は日曜日。僕は「サンデーモーニング」(TBS 系) あるけど。まあ、とりあえず飲まないと始まんないでしょ。今回ちょっと悔しいようなところも当然あったと思うんですけど、ワールドカップを楽しめたということと、日本代表がノルマ、ベスト16を果たしたということで。ここで乾杯して、2006年、ドイツでベスト4を目指して頑張れるように、祈願して乾杯しましょう。
会場:乾杯!
中西:じゃあ、質問いきましょうか。

質問中西白石高木
1:正直言って、日本代表の決勝トーナメント進出は厳しいと思っていたnonono
2:2勝1分、勝ち点7という成績は出来過ぎだnonono
3:鈴木隆行の初ゴールには驚いたnoyesno
4:ベルギー戦の引き分けには腹が立ったnonono
5:ロシア戦の初勝利で涙が出たyesyesno
6:日本代表のMVPは中田英寿だnoyesno
7:トルシエ監督の采配にひと言、言いたいnonoyes
8:審判の判定にはひと言、言いたいyesyesno
9:秋田豊のプレイが見たかったyesyesyes
10:韓国のベスト4進出は、正直悔しいnoyesno
11:ドイツ大会ではベスト4まで行ける?yesyesno

中西:それではひとつ目「正直言って、日本代表の決勝トーナメント進出は厳しいと思っていた」。「NO」、「NO」、「NO」ですけれども。これは高木さん、行けると思っていましたよね。
高木:ちゃんとね、日本のやることさえすれば行けるかなっていうのはありましたね。そんなに驚きはないですね。
中西:美帆ちゃんは?
白石:私はちょっと難しいかなって思っていたんですけれども、油断をしないためにそう思っていただけで、でも絶対心の中では行けるって思ってましたね。
中西:みんな思っていたと思いますけどね。そして2番目の「2勝1分、勝ち点7という成績は出来過ぎだ」。これも「NO」なんですけれども。これはふたつ、リンクしていると思うんですけれども。最初高木さんは、日本代表はどこまで行くと予想してたんですか。
高木:うーん。ボクはベスト16ぐらいまでかなって。シミュレーション的には、しっかり日本のやることさえすれば、それなりの勝ち点は取れるんじゃないかって。目標は達成できたんで、良かったです。問題ないです。
中西:美帆ちゃんは、勝ち点7?
白石:勝ち点7はすごいなって思ったんですけれども。でも、1勝1分で3試合目に行ったじゃないですか。でも3戦目で負けてしまったら、もしかして決勝トーナメントに行けなかったということを考えると、すごくいいことだって。出来過ぎとかじゃなくて、行けるか行かないかっていう瀬戸際もあったと思うんで、そういう意味で出来過ぎではないと。
高木:ベスト16に行くためのグループリーグ第3戦というのは、どこのグループを見ても、だいたい厳しいのよ。すごいおもしろいゲームがあったんだけれども。日本は、割と計算できる状況でやってたんでね。
中西:負けても1点差以内なら上がれる。
高木:だからすごく良かった。リラックスして戦えたと思うんで。
中西:ボクは1勝2分で勝ち点5。ロシアとベルギーと3チーム並んで、得失点差で抜けると予想してたんで。1位で。それを考えると、日本代表が持っているものはすごいなって気がしたんですけれども。
白石:あとやっぱりベルギーのワセイジュ(ロベール)監督に、一緒に決勝トーナメントに……。
中西:ああ、約束してましたね。
白石:そう、約束してたんですよ。インタビューした時に。
中西:その約束を覚えているかわかんないですよね。
白石:それは冗談だと思いますけど。だから、ベルギーも勝って良かった。一緒にね、行けた!
中西:考えてみると、初戦のベルギー戦がやっぱり、高木さん、ポイントだったんじゃないんですか。
高木:そうでしょうね。
中西:まあ、高木さんは韓国で解説してて、日本にいなかったんですけど。
高木:テレビで観てました、しっかり。すごく最初のゲームは大事だって、いろんな意味で言われて、その通り、その大事さを感じましたね。できれば勝ってほしかったけど、でもまあ勝ち点1を取れてね。そこから選手たちも、こんなもんだって感じで戦っていって。
中西:平常心に戻った感じはしましたよね。
白石:先制されて、それから追いついたってことがすごいことじゃないですか。
中西:一旦、逆転しましたもんね。
白石:そうそうそう。雰囲気が違いますよね。
中西:そのベルギー戦の先制ゴール、鈴木(隆行、鹿島アントラーズ)選手。美帆ちゃんは……「YES 」だったっけ。
白石: 「YES 」。驚いたってどういう意味かわからなくて。鈴木さんがゴールしたことに驚いたのか、鈴木さんのあの恰好のゴールに驚いたのか、私は聞きたかったんですけど。
中西:ボクもわかんないよ。どういう意図で聞いてるかは。
白石:でも、だって、あの、ロナウド(ブラジル代表、インテル)選手もああいう恰好のゴールを決めましたけど、やっぱりゴールはゴールじゃないですか。
中西:それはどういうことですか。
白石:なんて言うんだろ、なんか魂の入ったゴールに驚いたって感じかな。
中西:ああ。それで「YES 」?
白石:うーん、なんか、サプライズっていう意味の「驚いた」ではなく……。
中西:いい意味での。
白石:そう。いい意味での驚きっていうのがあったので「YES 」にしました。
中西:高木さんは?
高木:ボクは別に驚きではなかったですね。ただやっぱり、フォワードの選手が取ってくれるだろうと思っていたので。そうなると、鈴木隆行選手が結構近いところにいるのかなって思って。
白石:中西さん、予想していましたよね。先制ゴールを決めるのが、日本人で、鈴木隆行選手だって。
中西:当たりましたね。入れた瞬間、「やったね、隆行!」って思いました。
白石:あははは。何の根拠もないのにね(笑)。
中西:何てことを言うんですか(笑)。一応ボクにも根拠ってものがあるんですよ。根拠はあったんですよ、ボクには。
白石:何ですか。教えてください。
中西:ずっと試合出てて、ずっと点を取ってなかったじゃないですか。隆行って、点をたくさん取るタイプのストライカーじゃないんですよ。
白石:ほう。
中西:重要な時に、一番点を取れるストライカーなんで、ボクは彼はそういう星の下に生まれている選手だと思うし。去年のコンフェデレーションズ・カップの時もね、いきなり出て、2点取ったじゃないですか。
白石:そうですね。
中西:その後、点は取ってましたけど、要するにたくさん取っていたわけじゃないんですよね。だから、そこまで点を取っていない過程においても、でもこの選手は日本チームに必要な選手だってわかってたんで。トルシエ監督は、絶対スタメンで出すと思ってたんですよ。そうなると、彼が得点する可能性は高いし。当然、そういう星の下に生まれたことと、トルシエがスタメンで使うっていうことと、後はさっき言ったボクの勘ですよ。
白石:なるほどね、勘の部分が大きかったんですよね(笑)。
中西:違うよ!(笑) 高木さん、1点取られたことで、日本代表はリラックスしたと思うんですが、
どうですか。
高木:うーん、あれは確か先に点を取られて追いついたんですよね。
中西:もう忘れたんですか。
白石:2分後でしたっけ。4分後?
中西:高木さん、ずっと韓国にいたから。
高木:やっぱね、臨場感がない。テレビでしか観てないから。
白石:ああ、韓国で観てたから。
高木:そう。だからこう、自分にグーッと残るものが。もちろん、試合が終わった後、「やった」っていうのはあるんだけれど。
中西:ボクはカフェで実況解説をやっていたんで、ガーッとまわりが盛り上がっていましたけど。
高木:ただやっぱり、あの得点シーンっていうのは、彼のプレイを象徴するような。ああいう点の取り方は、「これからいくぞ」っていう雰囲気になるんじゃないかな。
中西:気合で。
高木:そうそう。
中西:それまでやっぱり、日本代表は堅かったじゃないですか。1点目取られて、すぐに取り返したことで、自信も持てたし。日本代表としてはすごくうまくいき始めたかなって。そういう感じはなかったですか。
高木:でしょうね。まあ、相手も油断した部分はあったね、逆に。
中西:あの瞬間。
高木:0対0で、均衡した状況で進めば、あの辺はディフェンスラインとキーパーの連携がうまくはまっていたと思うけど。
中西:たぶんついていきましたよねえ。
高木:あそこでちょっとゆとりって言うか、気のゆるみって言うか。
中西:まあ、1点取っていたっていうことがありますよね。美帆ちゃんも点が入った時は、やっぱりうれしかったでしょ。
白石:うれしかったですよ。
中西:あの瞬間、鳥肌が立ったもん。
白石:私もスタジアムに行ってたんですけど、ベルギー戦の時。その鈴木選手のゴールで一気に沸きましたからね。
中西:ボクは行ってないからね。どうだったの。
白石:ワーッという感じで。先制されてからの時間がすごく短かったので、このままいけるぞっていう雰囲気になりましたよね。
中西:正直、先制された時は、スタジアム、どうだったの。
白石:私は、絶対この後挽回できるなって。
中西:ああ。
白石:勘じゃないですけど。
中西:美帆ちゃん、プラス思考だからね。スタジアム全体はどうだったの? 取られた瞬間、静かになりませんでしたか。
白石:なりましたよ、一瞬。先制された時はすごくシーンとしてたから「今のオフサイドかな」っていうような雰囲気、「入ってない!」っていうような雰囲気があって。
中西:ああ、シュートが入った瞬間はね。
白石:でやっぱり、ホーム&アウェイっていうのを、すごく感じた試合でした。
中西:具体的にどういう?
白石:ゴールされて、ヨーロッパの試合を観ると、入ったんじゃないって、シーンと静まり返るじゃないですか。そういう雰囲気だったんで。
中西:ああ、先制された時に。
白石:そうそう。
中西:そういう雰囲気、ボクも高木さんも味わってないっすからね。味わいたかったですよね。
高木:ないねえ、考えたらねえ。
中西:全然味わってないっすからねえ。
白石:すみませんねえ、味わった人間があまりうまく伝えられなくて。
中西:で、2点目。稲本(潤一、フルハム)選手の。あのゴールは、ボクまた鳥肌が立ったんですけれども。立ちませんでした?
白石:立ちました。泣きそうになりましたね。
中西:ボクも泣きそうになった。高木さんは?
高木:あれはね、やっぱりベルギーが焦ってね、前からガンガン来て。ちょっとパニックに陥ってる部分があって。攻め合いになっていて。稲本の成長も感じましたね。
中西:ですよね。あのドリブル。
白石:体がすごく強いなっていうのを感じましたし。ゴールに向かって「取ってやる」っていうのを感じましたよね。
中西:ボクは柳沢(敦、鹿島アントラーズ)選手のパスにしびれましたね。あれで一気に3人ぐらい置き去りになりましたからね。でも結局、最後に追いつかれたじゃないですか。その瞬間はどこで観てたんですか。
高木:ちゃんと観た。「あー!」って感じで。やっぱりやられたかなって。うまかったね。ディフェンスラインとか、選手を責めるどころではないと。やっぱりあのパスのタイミングと強さとシュートはうまかった。
中西:相手、うまかったですよ。
白石:しかも森岡(隆三、清水エスパルス)選手がケガというか、倒れてしまって。すごく気になってたんですよ。
中西:代わった直後だったんだよね。宮本(恒靖、ガンバ大阪)選手に。
白石:そうそう。あの時間帯って落ち着いてない雰囲気があったというか……。
中西:チームが動揺している感じになりましたよね。宮本選手がかわいそうなことに、ラインを上げて戻る時に、ベルギーの選手にブロックされたんですよ。で、カバーに行けなかったんですよ。あれを観てても、「ベルギー、うまいなー」って思ったんですけど。要するに、1回ラインを上げるじゃないですか。3人うまく揃ってたんですよね。揃ってて、戻る予定だから戻ろうとしたら、真ん中の宮本選手のすぐ後ろに相手がいて、体をバーンってぶつけられて戻れなかった。こういうところやっぱりうまいなって思いましたけどね。
白石:あと、練習とか観に行ったんですけど。
中西:どこに?
白石:磐田に、日本代表の。その時に、宮本選手が白いフェイスガードをしていて、試合の時も白いのかなって思ったんですけど。まあこれ、全然関係ないんですけど。
中西:確かに。話がいきなり飛びましたよね。
白石:でもね、フェイスガードってすごく視野が狭くなるんですよ。で、いきなり森岡選手から交代するじゃないですか。だから視野の問題もあるし、自分が交代して途中から入ってっていう、何て言うんだろ、落ち着かないような雰囲気が……。
中西:全然関係ない話じゃないじゃないですか。
白石:本当? 大丈夫かなあ。
中西:確かに視野も狭くなって。高木さん、フェイスガードしたことありますか。
高木:いや、ボクはない。
中西:ボク、したことあるんですけど、すごくやりにくい。あれでよくやってるなって。
高木:圧迫感もあるしね。
中西:そう。それに汗をかくじゃないですか。汗を吸ってね、臭くなるし。ねえ。
高木:あれ、誰かが黒く塗ったんでしょ。
中西:そうですよね。塗ってるの見ましたよ。
白石:そうなんですか?
高木:協会の人?
中西:協会のドクターが塗ってましたよね。
白石:だから私はじめは夜じゃないですか。ライトを吸収しないために黒くしたのかなって思ったんですよね。
高木:黒だと吸収するんじゃないの。
白石:いやいや、よく目の下に……。
中西:プロ野球選手とかね。
白石:そういう感じで、白から黒にしたのかなって。
中西:それはわかります。でも、あれ、黒に塗って良かったですよね。結果的にね。彼にとってね。
高木:そうね。
中西:それで、バットマンとか言われてましたからね。世界中から。
高木:そこら辺のことは知らなかったから。
白石:ウソッ! 知らなかったんですか。
高木:日本の情報は、詳しいことはあまりわからないですよ。浦島太郎状態。
白石:浦島太郎状態。
中西:いつ帰ってきたんですか。
高木:30日。決勝戦の日。
中西:それまでずっと向こうで。
高木:そう。
中西:次、行きましょうか。「ベルギー戦の引き分けには腹が立った」。これはみんな「NO」なんですけど。腹は立たないですよね。高木さんは?
高木:ベルギー戦の引き分けでしょ? 腹は立たないですよ。
中西:実際、印象としてはどうだったんですか。
高木:うーん。やっぱり印象としては、まあ勝てたゲームって言ったら普通っぽくてイヤなんだけど、確かに勝てたゲームだと思うけど。でも、初戦っていうことで、引き分けでも、OKでしょっていう感じで。
中西:美帆ちゃんは?
白石:さっき言ったように、先制されて、追いついて、引き分けになったことで、いい雰囲気になったと思いましたね。
中西:うん。
白石:2対2だったっていうのも。0対0ではなく、2対2だということが。点を取れたということが。
中西:さすが、よくわかってらっしゃいますね。0対0より2対2というのが、高木さん、絶対良かったですよね。
高木:もちろん、そうです。
中西:点を取ったっていうのが。流れの中で。しかも1点は力でもぎ取ったって感じだし、1点は執念でもぎ取ったって感じだし。すごくいい点の取り方じゃないですか。
白石:そうそう。
中西:次のロシア戦ですよ。「ロシア戦の初勝利で涙が出た」。ボクと美帆ちゃんが「YES 」ですよ。高木さんが「NO」なんですけど。それはやっぱり臨場感がないから?
高木:もちろんそれもあるし、あと、ベルギー戦の戦いを観た後、ロシアには勝てるんじゃないかと思って。自分の中で、勝てるだろっていうのが先にあったんで。気持ちが先行してしまったというか。
白石:選手の勘みたいなのが、あったんですか。こういう雰囲気だったら勝てるだろうっていう。
高木:ロシアのチームって、ボクは初めから評価してなかったんですね。例えば、大会前の親善試合で、フランスがロシアに引き分けたりしましたけど、あまりいいチームだとは思ってなかったし、逆にあの試合ではフランスが良くない部分がいっぱいあったんで。だから、ボクはロシアには勝てるだろうって。それに若い選手をどんどん使ってきてほしかったんですよね。ロシアの選手で。で、「これはいけるな」って。
中西:高木さんの予想通りじゃないですか。優勝チームも当たってますからね。
白石:ブラジルって言ってましたもんね。
高木:はい、スポーツニッポンで。
中西:優勝予想も当たってますからね。ボクのは外れてるのに。
白石:私も、なんかね。
中西:ね。それはやっぱり、ロシア戦で勝てるっていうのは、自分の中では、ある程度予想が出来たってことですか。
高木:ボクは、そういうふうに予想したんで。
中西:じゃあ、終わったら、当然勝つゲームだったなって感じですか。
高木:終わってみたらね。相手を見たらそうだったけど。ただし、日本選手も一生懸命にやってるし、その結果が勝利に結びついたっていうことで。
中西:高木さんは、日本代表バリバリでしたからね。どうなんですか、今回のワールドカップを観てて、元代表として、今の日本代表というのは。
高木:やっぱり強くなってるし、うまくなってるよね。特に、各国の監督がコメントの中で、記者会見とかで、よく「経験の差」って言うよね。「あのチームはうちより経験があった」、逆に「相手よりうちの方が経験があった」とか。「経験」っていう言葉は、言うのは簡単だけど、すごく重みがあるようにずっとボクは聞いてた。その「経験」っていうのは、日本になかった部分でしょ。それを国際ゲームをたくさん積むことによって、いろんな試合をいろんなところに行ってやることによって、積んできた結果が、少しずつ出てきたっていう部分で。
中西:そうですよね。ビビってませんでしたよね。なんか、平常心で。ボク、思ったんですけど、普通にやってませんでしたか、日本代表の選手。最初は当然、ちょっと緊張してました。でも、普通に何事もなかったように、ワールドカップでやれてるっていうのがね、すごいなって思ったんですよね。あれってなかなかできないもんなんでしょうね。
高木:でしょうね。で、やっぱりグラウンドに立った人間じゃないと、その時のことってわからない。ボクらがいろんなことを言っても。
中西:でも、高木さんはわかるじゃないですか。例えば、アジア大会に出てたりとか。
高木:それとWは違うもん。
中西:W!
白石:AとWは違う。
中西:まあ確かに、アルファベットとしては違いますけど。でもワールドカップの予選にも出てるじゃないですか、高木さん。
高木:予選ともまた、違うもんがあると思うんで。そのへんはね、うらやましい。
中西:ボクは日本代表に選ばれたことがないから、全然わからない。まず、国を背負うプレッシャーがわからない。それはどういうもんなんですか、例えば。ものすごい数の人が応援してて、みんな観てるんですよ。ドーハの時も高木さん、出てたじゃないですか。その時も、みんなに観られてるじゃないですか。どうなんですか。
高木:いやあ、うれしいけど、やっぱりストレスがある。プレッシャーという形で返ってくる。
中西:ホームってことを前提にしてますけど、そのプレッシャーになっている部分も当然あったんでしょうね、きっと。
高木:ひとつのプレイで、その緊張感が切れて、すごくリラックスできるっていうのもあるからね。ゲームの中で。
中西:ふっ切れるというか。それを考えると、今回の日本代表は、途中まではホームであることをストレスに感じていたかもしれないですけど、逆に、それを力に変えることができたんじゃないですか。
高木:と思いますね。
中西:美帆ちゃんは外から応援してて、まわりの人たちの応援、すごいじゃないですか。みんな、どういうパワーを持ってるんですかね、あの中に。
白石:パワーって言うと、まず一番驚いたのが、チュニジア戦の時かな。隣に、大阪の小学生の男の子ふたりと、お母さんがいたんですよ。
中西:美帆ちゃん、一般席で観てるんですか。
白石:一般席でした。で、小学生の男の子が、「いや、あいつ、14番、気をつけたほうがいいんだよ」ってお母さんに言ってるんですよ。お母さんはビデオを回しながら、「あーそうなんだー」って。今時の小学生はすごいなって。
中西:でも、みんなよくわかってますよね。
高木:よく観てるよね。生意気なくらいに言うよね。
白石:言いたい放題ですけどね(笑)。
中西:まあまあ。皆さん、1億2千万人、総日本代表監督ですから。言いたいことはたくさんありますけど、そこがサッカーのいいところじゃないですか。
白石:ねえ。日本戦の帰り、たぶんアメリカ人の方だと思うんですけど、「ニッポン!」って言って、ルンルンで帰っていきましたよ。
中西:ルンルンって、それ、完全に死語ですね。
会場:爆笑
中西:ルンルンは今、言わないよ。
白石:何て言うんですか?
中西:「楽しそうに帰った」
白石:楽しそうに、跳ねるように帰っていきました。
中西:それでよろしいと思います(笑)。
高木:外国人の人の中にも、日本を応援する人、多かったですか。
白石:多かったですね。結構いましたね。
中西:街中でも、日本代表のユニフォームを着てる外国人の方、いたよね。
白石:いました、いました。
中西:負けちゃった国の人が、日本を応援しようとしていましたもんね。
白石:いた、いた。
高木:いや、韓国もね、韓国のチームが勝っていくごとに、外国人の人が応戦して。たぶん同じような状況だったと思う。
中西:でも、高木さんはあまり知らないと思いますけど、日本は、本当にすごかったんですよ。
高木:テレビで観てるじゃない。スタジアムを観ても、青ってさ、あんまり映えないのよ。
白石:韓国の赤、すごいですよね。
高木:だから、あれ、何かなあーって。
中西:何かなあじゃなくて。すごかったんですよ。
白石:韓国のTシャツが800 円って、本当ですか。
高木:700 円から800 円ぐらいのが、だんだん落ちていった。
白石:だんだん、落ちていったんだ。800円だったら、お子さんでも買えるじゃないですか。でも、日本ってなんであんなに高いんだろうって思って。ユニフォームとか。
高木:ユニフォームを買う人、少ないんですよ、韓国では。レッドデビルのTシャツが売れてる。
中西:でもあのTシャツ、好きに何枚でも作っていいって書いてあったけど、本当に好きに作っていいんですか。
高木:あれはそうなの。
中西:誰でも作っていいんですよね。
高木:誰でも。
中西:くり抜いて、ペンキを塗って作ってましたもんね。
白石:ワールドカップ期間中にKAMO(スポーツ用品店)に行ったんですよ。
中西:KAMOに行ったんだ。
白石:はい。イオンブレスレットを買いにね。ジャパンとコリアのを。
中西:イオンブレスレットって何ですか。
白石:知らないんですか。マイナスイオンの。皆さん、知ってますよね。
中西:流行ってるの?
白石:流行ってますよ。
高木:森島(寛晃、セレッソ大阪)がはめてたよ。
白石:首のところに。
中西:あー、あれか。
白石:あれですよ。
高木:グミみたいなやつ。
白石:グミって。で、あれを買いに行ったらね、女子高生から、OLの方から、中学生の男の子から、ダーッと並んで。
中西:みんな、それを買ってるの。
白石:ユニフォームとか。あ、イオンブレスレットは買ってなかった。
中西:買ってないんじゃん。ボクも、高木さんと同じで、結構知らないことがいっぱいありますよ。ワールドカップ期間中は家とテレビ局の往復しかしてないから。あとはゆりかもめに乗ったりとか、JRに乗ったり、地下鉄に乗ったり。
白石:あのフィーバーぶりははすごかったですよ。店員さんに聞いたら、ワールドカップが始まる前から、ずっと行列だって言ってましたよ。
中西:KAMOショップでですか。
白石:はい。
中西:僕も3日前に原宿のKAMOショップに行ったら、人がいっぱいいました。ボールに空気を入れる小さなピンを買いに行ったんですけど。120 円の。人がいっぱいいましたよ。すごいなあって思った。
白石:そういう意味では、今までサッカーを観てなかったとか、遠ざかっていた方が戻ってきた、観るようになったっていう意味では、すごく良かったなって思うんですけど。
中西:いやあ、良かったですね。
白石:でもね、Tシャツとかもっと安かったらなって思いました。だって、韓国は800 円だもん。なんで日本は高いの。
中西:そりゃ、そうですね。安い方がうれしいですけど。韓国でも赤い服は買って着てましたよね。
高木:買ってましたね。ファッションのひとつですね。
白石:すごかった。浮いてるように感じましたもん。
中西:青は、沈む色だって言われてて。
高木:特にナイターは、あんまり映えなかった。
中西:でも日本は青の方が良くないですか。韓国が赤なら。日本も赤だとまたね。高木さんのユニフォーム、青だったでしょ。
高木:赤もありますよ。横山(謙三、元日本代表監督)さんの時、少し代表に入っていたので。
中西:じゃあ、赤と青、両方?
高木:うん、赤(シャツ)、赤(パンツ)、赤(ストッキング)で。
中西:ありましたねえ。でも、どっちがいいですか。
高木:いやあ、青がやっぱりいい。
会場:爆笑
中西:まあ、いいや。ちょっと次に行きましょう。「日本代表のMVP は中田英寿だ」っていう質問なんですけど。えー美帆ちゃんが「YES 」で、ボクと高木さんが「NO」。ボクはね、誰がMVP とかじゃなくって、みんな頑張ったから、誰って決める必要はないなって思ってるんですけど。
高木:ボクも同じ。そうですよ。
白石:私もそうですよ。
中西:じゃあ、なんで「YES 」なんですか。
白石:だから、その中のひとりだから、中田選手も「YES 」ってしたんですよ。
中西:なるほど。奥深いんだね。
白石:一応、いろいろ考えて。
高木:かわいい人は何を言ってもね。
白石:いやいや、ちゃんと考えてますよ。
中西:それはすごくわかりました。

以下、後編に続く

取材・文:CREW
撮影:源賀津己