チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら



豪華ゲストたちとともにあらゆるスポーツについて、熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。今回は7月6日に行われた「~2002W杯を終えてPART1・激闘編~」をテーマにした模様をそのままお届けします。

ぴあ30th Anniversary
ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2002 スペシャル2DAYS Vol.19 Supported by
KIRIN
~2002W杯を終えてPART1・激闘編~
後編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト・左)
'69年、愛知県生まれ。'92年に名古屋グランパス入り。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たした。その後引退し、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

<ゲスト>
高木琢也(サッカー解説者・右)
'67年、長崎県生まれ。国見高、大阪商業大を経て、'90年にフジタ工業(現湘南ベルマーレ)入社。'91年にサンフレッチェ広島に入団。'92年には日本代表デビュー。'01年1月に引退し、サッカー解説者に。

白石美帆(スポーツキャスター・中)
'78年、茨城県生まれ。短大ではスポーツに携わる栄養学を専攻し、食物栄養士の資格を取得。'98年10月より、TBS系列の 「JスポーツSサッカーPLUS」でキャスターとして人気を博している。


■前編を読む

中西:「トルシエ監督の采配にひと言、言いたい」。ボクと美帆ちゃんが「NO」で、高木さんが「YES 」。
高木:ボクはやっぱり、決勝トーナメントの1回戦。
白石:トルコ戦ですね。
高木:はい、トルコ戦。先発の西澤(明訓、セレッソ大阪)と、三都主(アレサンドロ、清水エスパルス)が、あのポジションをやったっていうのが、ちょっと不思議だなって。だって、トルコって韓国で3試合やってきて、それから日本に来て三試合やったのを観ましたけど、一番悪かった、日本戦が。
中西:あの日が一番出来が悪かったですよね。最悪でしたね。
高木:だから、勝てたのになって。
中西:それは、みんな思ってるんじゃないですか。
高木:だから、やり方、それは。
中西:いや、やり方じゃなくて、勝てたなっていうのは、要するにトルコは調子が悪かったじゃないですか、明らかに。日本代表の方が、絶対チーム力は上だと思ったし、勝てたなっていう気はしましたよ、当然。
高木:そこで、トルシエの采配が。
中西:でも、それだけじゃないと思うんですよね。いろんな要因があると思うんで。
高木:でも、やっぱり最終的に責任を問うのはトルシエだから。言ってもいいと思う。
中西:ボクはね、日本代表監督という仕事を任された時点で、彼はベスト16というノルマを課せられたわけですよ。そのベスト16というノルマを課せられたからには、それを達成すればボクは、彼に文句を言う権利はないなって思ってるんで。それでボクは、何も言うつもりがないんっすけど。そこはやっぱり、逆に言うと予選リーグで負けてたかもしれないんですよ。だってあの予選リーグの最後で、スーパーな監督采配があったじゃないですか。森島選手と市川(大祐、清水エスパルス)選手ね。入れたのが、大当たりしたじゃないですか。あんなすごい采配、ないっすよ。
高木:ただボクは、監督という仕事は、別に当たったからすごく褒められることではないと思う。やって当たり前だし。良くても、いいってなかなか言われない部分ってあると思うし、逆に、悪かったら、すごく言われる仕事だろうなって思ってるんで。
白石:体力を維持するという意味では、もしあのトルコ戦で勝って、次の試合に予選のときと同じ先発メンバーで出て、いい試合が出来たら、それも采配が良かったって言われちゃうんですよね。
中西:だから、結果論なんですよね。
高木:結果論でしかないんですけど、だけど疑問に思うことはそこを。
中西:それは当然、疑問にはボクも思いますよ。
高木:それを伝えてほしいかなって。伝えることもないのかなって気もするんですけど。
中西:ボクは、スターティングメンバーに関しては、あの三都主のフリーキックが決まってれば、勝ってたと思うんですよ。
高木:まあね。
中西:それを考えると、あれが決まってればあの采配は大当たりだったんじゃないかと思うし。本当に、5cmの差ですよ。ボクはそれをとやかく言うつもりはないんですけど、稲本選手と三都主選手を下げたことに関しては、多少疑問は残るなって。スターティングメンバーに関しては、毎日練習を見てるのは監督と日本代表の人しかいないわけですよ。ボクたちが何を言っても、毎日見てるわけじゃなくて、もしかしたら、鈴木隆行選手も柳沢敦選手も、調子が悪かったかもしれない、体調が良くなかったかもしれない。だから、コンディショニングの問題なんで、何も言えないと思うんですけど。ただ途中交代に関しては、ボクはやっぱり予選リーグの最終戦で、自分の采配に魔力が宿ったと思ったと思うんですよね。そうなってもしょうがないくらいの采配だったんで。
高木:難しいね。
中西:難しいっすよね。
白石:難しい。
高木:向こうでいろんな監督の記者会見を聞いてても、結構言ったりするんだよね、明日はこいつを使う、あいつを使うって。
中西:へー。
高木:あれ、おもしろいなって思って。
中西:日本は結構、そういうのを言わないですよね。アイルランドなんか、練習を全部公開ですよ。あれもすごいなって。「俺たちには隠すことは何もない」って言ってましたから。そういう姿勢は素晴らしいなって。まあ、素晴らしいかどうかは別にしても、そういうやり方もあるかなって思いましたけど。トルシエ監督には、4年間お疲れさまでしたってボクは言いたですし、ノルマは果たしたと思うんで。次、ステップアップするためには、新たな要素がいろいろと必要かなって。
白石:決勝トーナメントの戦い方っていうね。
中西:そして「審判の判定には、ひと言、言いたい」。ボクと美帆ちゃんが「YES」で、高木さんは?
高木:「NO」。というのは、レフェリーも含めて、ジャッジメントも含めてサッカーだと思う。そこで例えば、ビデオとか機械を導入したら、サッカーのおもしろさは消えてしまう。ただそれは、韓国を例に言えば、韓国の試合で、誤審じゃないかっていうシーンが何度かあった。でも、そういうシーンって、今までいろんな大会、いろんな試合であったと思う。で、それがたまたま韓国であって、アジアのチームだった。アジアのチームって、やっぱり世界から見ると、まだまだっていう国、地域で。それだけで、言われるのも、イヤだなって感じもしますから。
中西:ボクも高木さんと全く同じ意見なんですけど、それにしても、ちょっと多かったかなと、今回。当然、選手もヨーロッパに集まってきて、世界最高レベルのサッカーが集まってきているわけなんですけど。そこで日々、その試合を見て笛を吹いている人に比べると、中南米のある程度レベルが伴わないところで笛を吹いている人は、絶対、見る目も肥えないと思うし、当然養われないと思う。そういう意味では、審判をキャスティングする側でも、次のワールドカップでは最高レベルのレフェリーを揃えてほしいということで、「YES 」。当然ミスもあるし、さっきも言ったように、それも含めてサッカーだから。ビデオを導入するって、ボクは違うと思うんですよ。そんなこと言ったら、プロ野球だって、ファールをホームランにしてる。それは、ボクも選手だったからわかるんですけど、泣かされることもあれば助けられることもあるんですよ。
高木:あるある。
中西:五分五分ですよね。
高木:おう、そうそう。
中西:「あーもう」ってこともあるけど。ボクのホームページにいろいろメールをもらって、「お前、わかってねえ、死ね!」ってよく来るんですけど。
白石:本当ですか。
中西:本当ですよ。いっぱい来ますよ。毎日来ますよ。
白石:すみません、私でした(笑)。
中西:やっぱり(笑)。でもボク、本当に、「死ね死ね死ね」っていうのがいっぱいあって。「お前は韓国の味方だ」とかいろいろ言われて。でもボクはそうじゃなくって、さっき高木さんが言ったようなことを言ったんですけど。それをわかってもらえない人には、「4年間頑張ってきたのに、それで納得できるのか」、「お前は選手だったのに、わかんないのか」って言われるんです。でも、実際はそれで泣かされることもあるけど、助けられることもあって。それもまた人生の一部だし、サッカーの一部だと思ってるんで。ただ今言ったように、審判問題に関しては、最高レベルの審判でね、「これでやったらしょうがない」っていうね。実際、そういう審判でやって、問題が起きなかったじゃないですか。準決勝、決勝と。じゃあ、全員ヨーロッパの審判にすればいい、となるんですが。他の地域の審判がダメなんじゃなくって。南米のチームが南米のチームを裁けば、密約があるんじゃないかって言われて難しいところが確かにあるんですけど、ボクは、ヨーロッパの審判にするべきだと思います。最高レベルのものを見ている人にしてあげた方が、正確に見れると思うし。そこは例えばJリーグの留学制度みたいなものがあってね、向こうにたまに行ったりとか、FIFAの一級審判員の人がたまにセリエAやプレミアに行ったりしてれば、ワールドカップが始まる前、1ヶ月、そこで吹いてるとか、そういうのがあればいいと思うんですけど。ボクはそこがひと言、言いたかったんです。
白石:私もなんか観てて、明らかに違うなっていうのがあったので。
中西:あれは、ライン出てなかったよね。
白石:そう、ライン出てなかったのに。「あれー?」みたいな。それは本当に納得いかないなっていうのがあったんですけど。でもそれが覆るわけじゃなくて、それが覆ってしまったらFIFAの方も。難しいなって思うんですけど、やっぱりブーブー言いたいなって気持ちで。
中西:「ブーブー言いたいな」。特にスペインと韓国の試合。
高木:あの試合ね。
中西:その後ヘディングシュートが決まっちゃいましたからね。
白石:物議をかもしだして。
中西:キーパーもはじいていれば良かったのに、止めちゃったから。
高木:もう、流してたよね、笛が鳴ってから。
中西:笛が鳴ったから。だから、キーパーが反応しなかった。しかもボールがゴールに入っちゃったから余計にそういう思いも募ると思うんですけれども。でもそれはもう今、高木さんがおっしゃったように、それも含めてサッカーだということです。
白石:観る側も心構えが必要だってことですよね。
中西:そうですね。向こうも人間ですからね。
高木:後は、レフェリーをどれだけ自分の味方にできるかっていうね。
中西:では、次に行きましょう。「秋田豊のプレイが見たかった」。これは当然みんな、見たいっすよね。
高木:そりゃあ、あのヘッドをね。
中西:どれだけ通用するのかっていう。
高木:そうそう。
中西:特にボク、攻撃のセットプレイで見たかったですね。
高木:あーそれもあるかもしれないね。
中西:要するに、Jリーグの中で、ヘディングで一番点が取れるのは、彼だと思うんですよ。セットプレイでね。それがあるからボクはもう、いざというときピンチヘッダーでもいいから。
高木:“ヘッダー”。
白石:うまいこと言いますね。
中西:ありがとうございます。
高木:試合中の秋田に、私用マイクを付けてほしいね。
白石:何を話してるんですかね。
中西:ボクも高木さんも知ってるんですけど、すごいっすもんね。
白石:どんな感じなんですか。
中西:ヘディングする前に、ウオーッていう声にならない声を発するんですよ。
白石:聞いたことある、それ。
高木:ウリャーってね。
中西:今に始まったことではなくて。
高木:そう、昔から。
中西:高校生かな、いや大学生かな。愛知学院大の頃からですね、彼がそうなったの。
白石:そうなったの。
中西:僕はよく知ってるから。愛知高校だからね、彼。彼はボクの1コ下だから。選抜が一緒だったりしたし、中学校の時も、よく一緒に試合してたんで。ただね、少なくても、中学校の時は、まだ吠えてなかったですね。高3ぐらいじゃないですか。
高木:掛け声ね。
中西:高木さんなんか、よく後ろから……。
高木:よく、聞こえてました。
中西:何を言ってるか、わかんないですもんね、でも。
高木:でもね、言ってるんじゃなくて、掛け声でね、威嚇してる。
中西:これは、見たかったと思いますね。そして「韓国のベスト4進出は、正直悔しい」。これは高木さんも「NO」、ボクも「NO」、美帆ちゃんは「YES」。
白石:うれしいんですけど、アジア勢でベスト4に上がったっていうのはうれしいんですけど、でもなんか、正直うらやましいっていうのはありましたね。
中西:ボクはうれしくないですよ、全然。良かったなとは思います。共催だったし。良かったなとは思いますけど。ボクが良かったなって思っている理由は、日本代表より上に行ってほしかったんです。
高木:またそういうふうに言うと、メールが……。
白石:来ちゃいますよ。
中西:ちゃんと面と向かって言ってくださいね。お願いします。で、日本代表よりも、韓国代表の方が、ワールドカップに多く出ているわけですよ。もう6回出てるんですよね。日本はまだ2回目なんです。だから上に行ってくれた方が、日本はそこを目標にできるじゃないですか。ここ数年、日本の中で、韓国に追いかけられているっていう意識が強かったでしょ。ワールドカップ、フランス大会の後かな。そういう状況の中で、早く立場が逆転しないかなって思ってた。常に追いつけ、追い越せでやってた方が、アジアもそうだし、韓国も日本も強くなると思うんで。ここで韓国が上に行ったことでね、日本代表の目標は、ベスト4しかないわけですよ。で、次ベスト4に行けば、ホームじゃないのにベスト4って言えるわけじゃないですか。それを考えると、上に行ってくれて良かったなって。
白石:そうですよ。憎しみのライバルじゃなくって、いい意味でのライバルってやっぱりいた方がいいですよね。
中西:そうです。本当に、何かね、ボクはそう感じましたね。
高木:あのね、同じようなことを、洪明甫(浦項スティラーズ所属)が言ってたんですよね。スペイン戦が終わって、やっぱり韓国としては、日本は負けてるわけだし、韓国はベスト4に入って、本当だったら、喜んでもいいと思うんだよね。韓国の人だし。でも洪明甫は、すごくうれしいでしょって感じで聞いたら、そうじゃなくて、「これで、同じライバルとして、日本もいろいろ勉強する部分、切磋琢磨していく部分っていうのがあると思うんで、アジアのためにはいいんです」っていう答えが返ってきて。
中西:うれしいですよね。
高木:「いいねー、洪明甫は」って感じだったんですけど。
中西:でも今まで韓国って敵だったと思うんですよ、戦うね。でも今回のワールドカップの時は、ライバル、ライバルって。ボクは、敵とライバルは違うと思っていて、日本にとって韓国は敵じゃなくてライバルだったんだなって思ったんで、ボクはそれがすごくうれしかったんですね。微妙な違いがあると思うんですよ。実際問題、そう思いません?
白石:後ね、去年韓国に行った時に、ある女子大生に聞いたんですけど、4、5年前は、日本代表のユニフォームも手に入らなくて、そのユニフォームを着て日本を応援すること自体ダメだっていう雰囲気があったんですって。でもやっぱり日本も応援したいしってことで、やっと最近、大々的に日本を応援できるようになったって話を聞いて、やっぱり韓国の人も、日本を意識はしてると思うんですけど、仲間意識を持って、これからアジアとして世界と戦っていきたいなっていうのが伝わってきたんで。
中西:そうですね。特に高木さんはずっと韓国にいらっしゃったじゃないですか。その辺の話を。
高木:でもねえ、その期間中はやっぱり韓国の人は、まったく他の国を応援してない。
中西:そうですよね。
高木:日本の人は、どっちかというと、ベッカム(デビッド、マンチェスター・ユナイテッド)だ、トッティ(フランチェスコ、ASローマ)だって。
白石:ベッカム本がすごい売れてますよね。
中西:めちゃくちゃ売れてますよね。だって日本はすごいですよ。ベッカム様ですから。様付けですよ。
白石:そうそうそう。
高木:この間美容室の人に、「ベッカムにしてくださいって言う人、いっぱい来ました?」って聞いたら、「来たよー」って言われて。で、「でもボクは断った。お前はベッカムじゃない」って。
中西:いっぱい街にいましたからね。
白石:いましたよ。サッカーを知らない女の子から、携帯に画像が送られてきたんですよ。見てみたら、ベッカム選手の画像だったんですね。で、「美帆知ってる? ベッカム様」とか書いてあって。サッカーを知らない女の子でも、ベッカムから入ってたりとか。大分県の中津江村のおばあちゃんとかが、カメルーンが負けて泣いちゃったりとかね。そういうのを見ると、浸透っていう意味では……。
中西:すごかったよね。
高木:こうやって、大きな大会を日本と韓国でやって、そこでのホーム&アウェイっていうのを、観てる方も感じられたっていうのは、いい経験だと思いますよ。これだけ、日本のことを応援するってなかなかないでしょ。
白石:そうですよね。
中西:本当に、うれしかったよね。最後は「ドイツ大会ではベスト4まで行ける?」ということなんですけど。ボクが「YES」で、高木さんは「NO」で、白石さんは「YES」。高木さん、これは。
高木:可能性はあると思うんですよね。だけど、また予選から戦っていかないといけない。予選の厳しさがあるからね。
中西:でもこれは、おもしろいと思いますよ。Jリーグもおもしろいと思うし、予選もおもしろいと思うし、アテネのオリンピック予選もあるし、ワールドカップ予選もあるし、楽しいなって思うんですけどね。みんなは終わっちゃって、燃え尽き症候群とか?
白石:そう。ワールドカップ症候群。私も一時期なったんですけど。本当にガックリ。
中西:下向いちゃうんだ。
白石:そう。やっぱり予選の盛り上がりは違うから。
中西:ワールドカップは予選が楽しいですよね。
高木:予選から観ていくとおもしろいかもしれないね。
中西:これまた、楽しいんですよね。
高木:これまた勝っていくと盛り上がるだろうし。
白石:だって結局ドイツとかって、プレイオフに持ち込んで、勝ち上がってきて。ワールドカップ本大会の予選で、爆発しましたけど。そういう物語が観れるから。
中西:今回のアジア予選も、韓国と日本が出ていなかったんで、レベルが低かったと思うんですよね。それもつまらなかった原因ね。
白石:ああ、サウジアラビア戦ね。
中西:だってサウジアラビアと中国、弱いもん。
白石:初戦はかわいそうでしたね。
中西:かわいそう。ボクね、タイトなゲームをやってなかったと思うんですよ。
高木:そう。
中西:8点ですよ、ドイツに取られたのは。だから韓国と日本が予選にいなかったっていうのは、すごく大きいと思いますよ。アジアの国々にとっても。日本、韓国、まあ中国もそうだし、サウジアラビアもそうですけど、引っ張っていくと思うんですけど。予選に日本や韓国が入ってくるとおもしろくなる理由は、アジアの中で、日本や韓国に勝つんだっていう気持ちが強くなってきてると思うんですよ。今回韓国は、あんなところまで行ったし、日本はベスト16に入ったし。みんなそこを目指してくるんで、そういう相手を蹴落とすのは確かに大変ですよね。
高木:そうだね。勝ったら勝ったで苦しいよね。韓国はベスト4に入ったでしょ。日本はベスト16で。それ以上のものを目指していかなけばいけないっていうのがあって、辛い部分が残っていくんだよね。
中西:みんなにターゲットにされるからね。
高木:そしたら周りから、アジアの国々からそういう目で見られるし、このチームには勝ちたいっていう気持ちで戦ってくるから。
白石:観ている方は楽しいですよね。
高木:すごく楽しみですもんね。
中西:その延長線上にJリーグもあるわけですからね。
高木:もちろん。
中西:昨日から、また始まりましたからね、J2も。
高木:代表選手は、代表チームだけでうまくなるってことはなかなか難しいじゃない。で、日頃のトレーニングの中で、いかにテーマを持ってやるかっていうことでうまくなっていくっていう部分だから、Jリーグが大事な土台になっていくよね。
中西:ここに来ている方にもお願いしたいんですが、Jリーグを間接的でもいいし直接的でもいい。テレビでもいいし、いろいろなところで観てほしいんですよね。で、ワールドカップと比べてダメだな、ではなくて。ダメで当たり前なんですから、ワールドカップのレベルはないんですから、それで、意見を言っていただいて、ダメなものはダメだし、いいものはいいって、愛情を持ってサッカーを観てほしいですし。逆に言うとみなさん、ひと言、ひと言選手に要求していってほしい。それがやっぱり日本代表を強くするだろうし。2006年、勝つ日本が観たかったらなるべく日頃から、やっぱりサッカーに対して意見を言っていただけると。
白石:そうですよね。
中西:「私はにわかサッカーファンだから、なんかねえ……」じゃなくって。
高木:好きな選手がいれば、その人を追いかけて行って、その選手が2006年にどんなプレイをしてくれるか。楽しみじゃないですか、長い目で見て。
白石:そうそう。長い目で見てね。
中西:逆に、全然代表にならない選手でも、1人の選手にフォーカス当てて、こうやって観ていくことで、彼の人生を追ってみよう、っていうのもおもしろいかもしれないし。そういうなんか、1人の人間、1つのチームにフォーカスしていって、サッカーを観てもらえるとうれしいですよね。
白石:うれしい。
高木:美帆ちゃんにも頑張ってもらって。
中西:そうですよ。
白石:頑張ってお伝えして。
中西:そういう仕事をして。いろんな男を惹きつけて。
白石:どういう意味ですか、それ。
中西:男の人が、どうして美帆ちゃんはサッカーが好きなんだろうって。
高木:いや、だから美帆ちゃんが観て、思ったことを伝えてほしい。
白石:それ、でも感じます。私が言ったことで、「ああ、こんな女の子でもサッカー楽しめるんだ」っていう見方をね、してもらえると思うんで。
高木:そうそう。
中西:ボクと高木さんがややこしい話をしてもね。
高木:ボクはあまりややこしくない。簡単な話しかできないですから。
白石:いや、持ち上げるわけじゃないんですけど、辺見えみりさんとかマネージャーさんとか、「中西さんわかりやすい」って。
中西:南原(清隆)さんと「ゲットスポーツ」(テレビ朝日系)っていう番組をやってたんですよ。南原さんも、4月の番組が始まった時点では何もわからない。そこからボクが代表の試合に毎回一緒に行って、隣で完全解説。
白石:ぜいたくだ。いいなあ。
中西:「ディフェンスラインはこうなってて」とか、「ここを観てください」って。それで好きになってくれたんですよ。それで、南原さんもいろんなところで説明してたから。そうやって、みんなが1人、5人とやっていけばね。でも南原さん、内村(光良)さんに、「お前にわかファンの意見だろう」っていつも言われてたらしいですけど。それでも、言わないと変わっていかないと思うんで、みんなひとりひとりがサッカーをネズミ講のように広げていってくれると。
高木:いいねえ。
中西:では、盛り上がったところで、聞きたいことがあれば。じゃあ、質問のある方、挙手をしてください。
客:お三方で、印象に残っている試合とゴールを教えていただけますか。
中西:じゃあ、1つずつ。印象に残った試合を高木さんに。
高木:試合でも中継をした韓国対イタリア。
中西:あれ、すごかったですね。言葉では語り尽くせない?
高木:ちょっと。あの時間帯とか、スタジアムの雰囲気とか。そういったものを考えると、ボクは最高の試合だったなって。
白石:私も覚えました。「テ~ハミング~」。
高木:「チャチャンチャ、チャン」ってね。
中西:たぶんそれ、みんな覚えたと思いますよ。
会場:爆笑
中西:美帆ちゃんだけじゃないと思う。
白石:そっか。
中西:美帆ちゃん、印象に残ったゴールは。
白石:ゴールは、たくさんあるんですけど、やっぱり稲本選手のゴール。あの「俺、俺、俺!」っていうゴールが。
中西:じゃあボクは、印象に残った選手を言いますね。ディウフ(エルハジ、ランス、セネガル代表)がすごくなかったですか?
高木:すごいよね。
白石:すごかった。
中西:ビックリしましたよ。開幕戦、フランスとの試合で点を取った後に、ユニフォームを脱いで、その周りで踊ってたじゃないですか。あれ、ボクは最高に好きだったね。
白石:かわいかったですよね。
中西:ユニフォームで何をやるのかなって。その周りで踊りましたからね。
高木:あれはね、アップでやってるんだ。ああいう感じで。
中西:あ、踊りはやってますよね。
白石:ウォーミングアップ?
高木:そう。並んで。
中西:ブラジル対策でやってましたよね。ボクは、ユニフォームを置いたのがわからない。こうやって,置いたじゃないですか。何か儀式かなって。
高木:アフリカ、なんかあるよね。黒魔術っていうね。
白石:ありますねえ。
高木:カメルーンのゴールキーパーのコーチが、アフリカネーションズ・カップで、それを何かやったらしくて、警察に連れて行かれた。
白石:エー。
中西:でも本当になんか、ハクション大魔王が出てくんのかと。
白石:ニョキニョキって。
中西:何が始まるのかなって。あれは最高におもしろかった。
高木:前日の練習を観にスタジアムに行ったんですよ。グラウンドレベルで見ていた報道陣には15分しか見せてくれないの。いつものことなんですけどね。でも、ボクらはずーっとコメンタリー・ボックスっていう席にいてね、誰も何も言ってこないんで、上からずっと1時間半ぐらい観てて。
中西:いいんですか。
白石:ウソー。
高木:1時間半だからね、前日練習で。
白石:メモしちゃえば。
高木:メモしました。
白石:それはどっかに流したんですか。
高木:それは流さない。
中西:どうしてそう、マイナスな方、マイナスな方にいくんですか。
白石:いや、そういうのしてるのかなーと思って。気になりますよね。
中西:テレビで言えないことをここで言ってるでしょ、いつも。
高木:そうそう。
白石:そんなことないですよ。
中西:これでよろしいですか。
客:ありがとうございました。
客:次期監督が決まりそうなんですけど、今回のワールドカップで、「この監督だったら、絶対、日本は決勝リーグで勝てた」っていうようなことを聞きたいんですけど。
中西:はい。では、一人ずついきましょうか。高木さん。
高木:難しくて挙げられないね。やっぱり結果オンリーの世界でもあるし、いい監督だからって呼んできて、果して、監督がすること、やることが日本に合うかっていうと、そういうんでもないと思うし。
中西:ボクも難しいです。誰かやってほしい人いますか。
白石:情熱家の方がいいですね。やっぱり冷静な監督さんよりも、クールな監督さんよりも、「走れー!」とか。
中西:やってましたね、トルシエ監督も。「走れー!」って手を振って。
中西:普段の、好きな男性のタイプじゃないですよね。
白石:あ、好きな男性のタイプ、情熱家です。
高木:ラテン系。
白石:ラテン系って、ちょっと違うんですけど。
中西:ボクは誰とかじゃなくて、日本に来ることが、仕事として来る人ではなくて、サラリーをもらうために来る人ではなくて、日本という国を本当に、心の底から強くしたい人にやってほしいですよね。それが、一番の命題で、それがジーコかもしれないし、誰だかわからないですけど。日本のサッカーの発展を心から願っていて、強くしたいと、強く思っている人に、監督になってほしいですね。
白石:個人的に、レバークーゼンのトップメラー監督さん。もうゴールした瞬間に、両手を挙げて喜ぶんですよ。
中西:喜んでますね。
白石:そういう、情が厚そうな方にやってほしいな。
中西:以上で、よろしいですか。次いきましょうか。
客:今回の大会でのMVPは、誰だと思うかって聞かせてほしいんですけど。
中西:わかりました。美帆ちゃんは。
白石:いやあ、もう世界を見たらキリがないので、日本代表の選手の皆さんですかね。1人はちょっと決められないですね。
中西:高木さんは。
高木:ボクはもう、韓国に行ってたんで、申し訳ないんですけど、韓国の選手でいえば朴智星(京都パープルサンガ)。
中西:あの能力の高さ、どこでもできますよ。
高木:あれたぶん、ロイターが選んだベストゴールでしょ。あのゴールっていうのは。
中西:ポルトガル戦ですよね。トラップして、切り返して。あのコースでできるとは思わなかった。
白石:ねえ。あれでポルトガルは泣きましたもんね。
高木:沈没。好みがあるからね、ベストの選手っていうのは。
中西:ボク、誰だろうなあ。やっぱりディウフですね。あれはすごいよ。ドリブル。あれだけリスクを背負って勝負できる選手っていうのは、すごいと思った。そんな感じでよろしいでしょうか。
客:ありがとうございました。
中西:次、女性の方、どうぞ。
客:あの、中村俊輔選手がイタリアのセリエAに決まったじゃないですか。日本代表選手も、どんどんこれから行くって言われてるんですけど、行くんじゃないかっていう選手をうかがいたいんですけど。
中西:ボクはディフェンスの選手に行ってほしい。松田(直樹、横浜Fマイノス)選手とか、服部(年宏、ジュビロ磐田)選手とか、森岡(隆三、清水エスパルス)選手とか、宮本選手とか。ボクがディフェンスだったんで。ディフェンスって、一番難しいじゃないですか。一番、大変だと思うし。そういうところをあえて、打破して行ってほしいと思います。高木さんは?
高木:ボクはクボタツ(久保竜彦、サンフレッチェ広島)。
中西:出ましたね、愛弟子。
高木:彼、いろいろ問題はあるんですけど、ただ。
中西:どういう問題があるんですか。
白石:どうして皆さんも笑うんですか。久保さんの話題が出ると。
高木:あのーなんでかっていうのは、久保っていうのはポテンシャルを秘めているのね。
中西:そりゃ、秘めてますよ。
高木:スピード、高さ、テクニックもあるし、意外性のシュートも持ってる。後はやっぱり環境に慣れることさえできれば、もう間違いなく通用するでしょう。
中西:美帆ちゃんは。
白石:いやあ、誰だろう。広島の藤本(主税、サンフレッチェ広島)選手。
中西:なんか、行けない話になってきましたよね。
白石:うーん。残念ですけど、まだどうなるかわからないので、藤本選手には頑張ってもらいたいですね。後はやっぱりディフェンダーの選手にも行ってほしいなっていうのはありますね。後、フォワードの選手も。どうなんですか、難しいですか、フォワード。
中西:いや、ボクは難しくないと思いますよ。柳沢選手とか鈴木選手とか高原(直泰、ジュビロ磐田)選手もみんな行ってほしいですからね。
白石:そうですよね。また底辺がこう、層が厚くなってくるとうれしいですよね。
中西:そうですよね。彼らが行ったことによって、また新しい選手が出てくるわけですから。それも楽しいしね。やっぱり野球と違ってサッカーは日本代表というものがあるから、還元する場所があるじゃないですか。それでは最後になりましたが、お別れする前にみなさんにひと言いただいて、終わりにしたいと思います。まずは白石美帆さん、今日お集まりの皆さんに、ひと言お願いいたします。
白石:はい。今日は本当にどうもありがとうござました。ワールドカップもすごく盛り上がりましたけども、これからJリーグも始まりますので、私も一生懸命取材したいと思います。後、今日は「スーパーサッカー」見てください。ありがとうございました。早く帰ってくださいね。
会場:拍手
高木:今日は本当にありがとうございました。ボクは韓国ラウンドで、このワールドカップの1ヵ月を過ごしたんですけど、すごくいい経験をしました。それとボクは、ワールドカップ燃え尽き症候群の1人になったんですけれども、気持ちを切り換えて、Jリーグを盛り上げていきたいと思いますし、この経験を生かして、いい話のある解説をやって、頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
会場:拍手
中西:今日も楽しくやらせていただきました。お疲れさまでした。
会場:拍手
中西:いつも楽しくやっているんで。もし良かったら、このトークバトルに誰かを連れてきて、こんなおもしろいことやってて、酒もたんまり飲めるよ、とか。こういうのがあるからね、ぜひ皆さん、お誘い合わせの上、来ていただければ、また会場も大きくなると思うんで、よろしくお願いします。今日は、ありがとうございました。
会場:拍手

取材・文:CREW
撮影:源賀津己