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豪華ゲストたちとともにあらゆるスポーツについて、熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。今回は7月7日に行われた「~2002W杯を終えてPART2・感動編~」をテーマにした模様をそのままお届けします。

ぴあ30th Anniversary
ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2002 スペシャル2DAYS Vol.20 Supported by
KIRIN
~2002W杯を終えてPART2・感動編~
前編

<ホスト>
青島健太(スポーツライター・左)
'58年、新潟県生まれ。慶応大から東芝へ進み強打の大型三塁手として注目を集めた。'85年にヤクルトスワローズに入団。'89年退団後、スポーツライターに転身。現在は、スポーツライター、キャスターとして、テレビ、ラジオ、雑誌等で活躍している。

<ゲスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト・右から2番目)
'69年、愛知県生まれ。'92年に名古屋グランパス入り。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たした。その後引退し、現在はスポーツジャーナリストとして活躍中。

宮澤ミシェル(スポーツコメンテーター・右)
'63年、千葉県生まれ。'86年にフジタ工業(現湘南ベルマーレ)に入社。'92年にジェフ市原に移籍。'93年には日本国籍を取得、アジア大会日本代表候補に。'96年現役引退後、スポーツコメンテイターとして活躍している。

川原みなみ(スポーツキャスター・左から2番目)
静岡県生まれ。2000年、2001年のJリーグアウォーズで司会を務めるなど、サッカーファンにはおなじみ。現在、「ベストタイム」(TBS系)等にレギュラー出演中。韓国に魅せられ独学で言語を学び、2月には「川原みなみのもっと韓国! もっとサッカー!」(ブックハウスジャパン刊)を出版している。


青島:それでは今回のワールドカップ、皆さん応援、本当にありがとうございました。お疲れさまでした。日本、決勝トーナメント進出、でもあんまり祝っちゃいけないかもしれないですね。でもまあ、ご苦労さんという思いを込めて。そして、また2006年に向かって、皆でがんばっていこうという思いも込めて。それでは、ご唱和ください。乾杯!
全員:乾杯!
青島:それではここからスタートしていきたいと思います。皆さんへ11の質問をいたします。お手持ちの「YES 」「NO」の札でお答えください。優勝候補のフランス、アルゼンチン、ポルトガルがまさかの予選リーグ敗退。日本、韓国、セネガルといった新しい国の活躍が決勝トーナメントで見られました。そして、サッカーの勢力図の変化を大変感じた大会だったんですけれども、ブラジル、ドイツという強豪同士によります初対決で幕を閉じたワールドカップをプレイバックしていきましょう。

質問青島川原中西宮澤
1:ベッカムよりロナウドの髪型の方が好きだyesnonoyes
2:セネガルの躍進には驚いたyesnonoyes
3:正直言って、ブラジルの優勝を予想していたnoyesnono
4:得点王はロナウドだと思っていたnoyesnono
5:ジダンのプレイはもっと見たかったyesyesyesyes
6:アイルランドの試合で熱くなったyesyesyesyes
7:バティの涙を見て泣いたnononono
8:カメルーンのユニフォームを着てみたいyesyesyesno
9:審判の判定にはひと言、言いたいyesyesyesyes
10:今回のMVP はオリバー・カーンだyesnonono
11:ドイツ大会は絶対に見に行くyesyesyesyes

青島:いつの間にこんなかっこいい演出になってしまったんでしょうか。
中西:日々、進化してるんですよ。
青島:進化してるんですね。いつもは、ホントなにげなく始まってたんですけど。
中西:昨日からですよ。
青島:『ぴあ』もおめでたいことに30周年になりましたんで、気合い入ってますね。
川原:トークバトル自体は何回目くらいなんですか。
青島:20回目ですか。さあ、ということで。今日、私ですね、めちゃめちゃ気合いが入っております。
宮澤:すごい気合い入ってるよね。控室から、もう。
青島:実は、昨日はテッちゃんがホストということでずいぶん盛り上がったと伺っております。今日は私が進行でやらせていただこうと思います。どうも私が進行をやりますとトークバトルの内容が硬くなって、非常にアカデミックになりすぎるというご指摘をいつもいただいちゃうんですよ。
宮澤:え?
中西:そうなんですか?
青島:たぶん持ってるものが出ちゃうんで、仕方ないんですけど。
会場:爆笑
宮澤:でも、かっこいいよ、アカデミックになっちゃうんだって。いいねぇ。
青島:学術的な硬いトークになってしまうと言われることが多いので、今日はまず格好からね、リラックスして入ろうかなと。2002 FIFA ワールドカップTMが日韓両国に及ぼした経済的波及効果、そしてこれからのサッカーのあるべき姿について分析を進めていこうと。
川原:はい、わかりました。
宮澤:それだったんだな。俺、台本見て読めなかったもん。波及なんて字、わかんなかった。中西くんに聞いちゃったもん。
青島:ほんと、珍しいよな、ミシェル。江戸弁話すフランス人。
宮澤:そうそう、だからアカデミックにって言ってたから、俺のべらんめえ調じゃ今日だめだなって思って。何も語れない。
青島:解説もあなた、江戸弁だもんね。てやんでぇって感じだもんね。
中西:でも解説、おもしろいですよね。ボク、いつも見てましたもん。
宮澤:おもしろくないじゃん。硬いじゃん、俺の解説。
青島:でも、なんとなくミシェル、頭がちょっとジーコ(日本代表監督)入ってきてるね。
宮澤:そうそう。さっきロナウド(ブラジル代表、インテル)の質問があったじゃないですか。あの髪型が俺に残されてるなと思ったの。前だけ残せばいいのか、みたいな。
中西:それ以上つっこめないじゃないですか。
宮澤:あまりにリアリティありすぎちゃってね。
青島:皆さん、気をつけてください。今日もいきなりミシェル全開です。
会場:爆笑
青島:このままほっとくと、みなみちゃん話す場面が全然ないと思うんで。じゃ、いきますか。せっかく今日はすばらしい皆さんがお集まりなんで、今回のワールドカップ、どんな形でどんなふうに観戦されて、どんなふうに思ったかというところをですね。
中西:硬いじゃないですか。
青島:ま、クロストークの前にちょっとずつその辺をご披露していただきながら。で、まず川原さんからちょっと伺いましょうかと。
川原:すいません、ありがとうございます。
青島:ちょっと3 分ぐらい、君たち黙っててくれる?
宮澤:3 分も? 無理だよな。
中西:無理です、無理です。
宮澤:みなみちゃん、30秒にしといて、30秒に。
川原:私はスカイパーフェクTV!の番組で、韓国のスタジオから伝えるという仕事をしてました。夜11時からの放送だったので、スタジオに確実に夜8 時までには帰っていなければいけなかったので、韓国では4 試合ぐらいしか見れらなかったんですよね。こういう仕事をしていると、ワールドカップをすべて見られるんだろうと錯覚する方もいらっしゃるんですが、番組に出演していると見られないということがありますよね、中西さん。
中西:いきなりボクにふらないでくださいよ。
川原:先ほどお話聞いたら、1 試合しかご覧になってないと言うので。
青島:あれだけテレビ出てたら、見に行けないよね。
中西:そんなに出てないですよ。気のせいですよ。
青島:でもずっと、韓国だったんでしょ。すごかったでしょう、韓国は。
川原:そうですね、何をどう話していいのかっていう感じで。街頭で応援する人の数が予選リーグの時には100 万人。それが300 万人、500 万人と増えていって、最後の3 位決定戦の時には700 万人。韓国の総人口が5000万人ですから、そのうちの1 割以上の方が外で応援したということになるんですね。スタジアムの周りだけでなく、韓国の国中がそういった状態なんです。画面があれば人が集まる。いちばん驚いたのは、例えば、ここが大画面だとしますよね。ワーッと人が20万人くらい、そこに集まるんですけども、20万人いたら絶対見えないところってあるんですよ。
青島:そうですよ、幕張のGLAYのコンサートだって20万人集まって、すごかったですからね。後ろの人たち、GLAYがほんとに小さくしか見えてなかったですよ。
川原:でも、それは会場なので皆さん見られたかと思うんですけど。韓国は街の中に大画面があるので見えないところがいっぱいあって、街路樹の裏側にいる方とか、こんなところから絶対見えないのになんでいるんだろうって。そういう状況があちこちに見られました。でも、その応援は次の回に人数が減ってしまうと選手たちが寂しい思いをするので、毎回人数を増やしていこうという気持ちが国民の皆さんの中にあって、どんどん人数が増えていったんですね。
青島:我々だって覚えちゃいましたからね。皆さん同じ拍手できると思いますよ。
青島、川原:テーハミング!
川原:失神しちゃう人とかいて。目の前で見ちゃったんですけど、結構びっくりしますよ。選手が得点すると、「はぁ~っ」てそのまま失神して救急車で連れ去られる。私もその傾向があって、もう「テーハミング」をくり返し叫んでいて、ゴールが決まった瞬間、頭が白くなって頭痛がしてきて、倒れるかもしれないって。そこまでのめり込める応援なんですよね。というか、韓国代表チームがそこまでのめり込める戦いをしてくれたと思うんですけどね。あ、いっぱいしゃべってごめんなさい。ミシェルさん、つらいですね。
青島:寝てた? ミシェル。テツも寝不足だから。
宮澤:いやー、正面もいいけど、横顔もイケてるよ、みなみちゃん。
中西:そこ見てたんだ。
会場:爆笑
青島:というわけで、ずっと韓国にいたみなみちゃんですけど、テツはずっとテレビ局にいたよな。すごいよね、チャンネルをひねれば出てたもん。
中西:そんなことないですよ。スケジュール入れたのはボクじゃなくて、ボクのマネージャーですから。
青島:寝る間なかったでしょ。
中西:一応、寝てましたよ。1日、1 時間か2 時間くらい。
宮澤:でも、テレビで試合全部見ただろ?
中西:全部見ました。
宮澤:あれ、苦痛だよな。多分、日本でいちばんテレビ見たと思うよ。
川原:1日4 試合の日はつらかったですよね。
宮澤:そう、両目だもん。左と右、画面ふたつあって両方違う試合。
会場:爆笑
宮澤:笑ってる場合じゃない。お・し・ご・と! 
中西:グループリーグの最終戦、大変でしたよね。
宮澤:大変だった。ほんとにテレビ局に行くのがいやになったもん。
中西:でもミシェルさんはひとつの局でしたけど、ボクは結構いろんな局に行ってたんで。ローテーションで朝、昼、夜と。
宮澤:ボクは外出禁止だから。あれはサッカーマンとしてつらいよな。で、文句言うと週末、ぽーんと韓国。毎週末、韓国行けって。参った。
中西:それ、きついですよね。
川原:文句って、どういうこと言ったんですか。
宮澤:試合を見させてくれよって。サッカーマンじゃん、だって。そしたら、韓国行けって言われて。で、韓国までの飛行機がまたサポーターと一緒。俺の隣の岡田(武史、元コンサドーレ札幌監督)さんはずーっと新聞で顔隠してるもんだから、皆、俺のとこ来るんだよ。「ちわっす」って。「岡田さ~ん」って新聞めくったら、「なんだよ~。お前が勝手にやってて」みたいな。
会場:爆笑
中西:でも、ボクもせっかく全試合見られるIDカード持ってたんですけど、1 回も使わなかったですよ。
青島:もったいな~い。
中西:1 試合だけ、イングランド対ブラジル戦に行ったんですけど、それも一般の客席で見たんで。
宮澤:ずいぶん、いい試合行ってるじゃない。
中西:それはたまたまその試合のチケットを大会前から持ってて、偶然いいカードになったんですよ。
川原:でも、あのIDカードは試合の席には着けないカードなんですよね。
中西:そうなんですよ。オブザーバーシートがないと座れないんです。だから、競技場に入ってプレスルームまで行って、そこのモニターでは見られるんですけど、そこまでなんです。カードを持ってても席を持ってない限りは直接試合見られないんですよ。
宮澤:業界の人もこれだけ苦労してるんだから、やんなっちゃうよな。
青島:ミシェルは朝の番組もやってたね。
宮澤:あれは、いけないね。家に帰る暇ないもん。
中西:ボクは1 回帰って、また違う局に行ってましたよ。そんなにストレス溜まってたんですか?
宮澤:今日はちょっといけないな。中西くんの横にいると本音のボクが出ちゃいそう。
青島:ちょっと聞いてみましょうか。生でスタジアムで試合をご覧になったという方。
川原:すごい、半分ぐらいの方ですね。
青島:結構いますね。
宮澤:手に入れた方法、聞いちゃおうかな。
川原:どうやってチケット手に入れたんですか、ネット?
宮澤:サポーター枠? ああ。
青島:今、4 割ぐらいいらっしゃいましたよね。やっぱり関心高いね。
川原:でも、燃え尽き症候群になってないですか。大丈夫ですか?
青島:お、そっちにふってくれる? 俺もさっき気になって、日刊スポーツの記事切り抜いてきたよ。ワールドカップ燃え尽き症候群、これ日本も韓国もですって。なんか終っちゃって、ポカーンとしちゃって、何も手につかなくて会社を休んでる人が多いらしくて。韓国では、あのワールドカップの公式スポンサーにもなった現代の自動車生産台数が前年度に比べて4 割も減っちゃったんだって。ワールドカップ観戦のために有給休暇を取って休んじゃった。あと、街頭応援に出た市民の中には虚脱感で仕事が手につかなかったり。これもすごい、応援歌の幻聴が聞こえ続けてる人がいるって。
会場:爆笑
川原:すごくよくわかります。韓国は会社にユニフォームを着て来ましょうとか、試合の日会社は午前中で終わり、あるいは休みとか。学校さえも休みになりましたからね。
青島:で、そのカウンセリングの窓口が結構混んでる。でもね、「この空虚感は元に戻る時の第一段階で、そんなに不健康な状態ではありません」って書いてある。ただ、「今は元々人生が空虚だった人が多いので、祭りが終ってしまったら完全に空虚になってしまったパターンも多いので心配です」っていうことも言ってますけどね。
川原:ちょっと、私も心配ですね。
青島:ちょうど終ってから1 週間ですね。でも、終ったにも関わらず、まだこういう集まりごとに出ようとしている皆さん、ちょっと危ない気があるかもわかんないですよ。
宮澤:いや、一緒に危なくなろうよなー。
会場:爆笑
青島:先週から今週ずっと会社休みっぱなしっていう人いますか。その方は今日帰りにちょっとカウンセリングに行かれたほうがいいかもしれないですよ。
中西:それはいないんじゃないですか。
宮澤:カウンセリングよりボクの前に来なさい。一緒にお前もか、なんて。
青島:でもね、男性はだいたい空虚感に襲われてる方が多いんですが、一方、女性の中にはこのワールドカップを通じて、元気になってる方が増えてるって精神科のお医者さんが言ってます。「男性と違って、女性の中には盛り上がりが続いてる人も多いです。ベッカム様と連呼したり、選手の写真集を集めたりして、拒食症だった女性がワールドカップの興奮ですっかり治った例もあります。サッカーの細かい技術を知らない女性などは落ち込まないのかもしれませんね」って書いてある。
川原:なるほどね。違う方向にいってるんでしょうね、タレントを好きになる感じで。
青島:でも、信じられないな。今日の新聞に載ってたけど、いきなり9 月に“ベッカムツアー”っていうの売り出すらしいですね。女性向けにプレミアリーグ(イングランド)を見に行くってのを。
中西:でも、それを見れば本物がわかると思う。
青島:商魂たくましいというか。たくさんの女性が寄ってくるんでしょうね。
中西:でも、ワールドカップではベッカムは本調子じゃなかったから、本調子のベッカムを見てほしいですね。
宮澤:日本代表がトルコ戦で負けた後に、違う国のユニフォーム着て応援した人っているかな、やっぱり。違うチームを応援した人、いますか?
客:トルコ。
宮澤:ああ、日本を破ったトルコか。あのユニフォームなかなか売ってねぇだろ。
青島:ということで、全然サッカーの話してないね。ま、少しほかの国の話をしつつ、日本代表の話にいこうかなと思いますが。先ほどの質問にブラジル絡みのものが3つ4つ入ってますね。ロナウドの髪型、そして得点王はロナウドだと思っていた、ブラジルの優勝を予想していた。
中西:予想してましたよね、みなみさん。すごいですよね。
川原:試合を観ていて、ブラジルがだんだん試合ごとによくなっていく感じが見えたので、このままブラジルかも、という気持ちと。開幕前からロナウド選手を応援していて、彼が復帰してきて活躍してくれたので、そんな気持ちで予想はしていたんですけど。
宮澤:だんだんよくなってきたよな、ブラジルはね。予選の組み合わせがよかったよ、どこだっけ?
中西:トルコ、中国……。
宮澤:コスタリカだろ、そうそう。ほんと思ったよ、これ、いいチームとやってるな、みたいな。最初、ディフェンスがひどかったもん。
中西:だって、コスタリカ戦なんて、10点ぐらい取られてもおかしくなかったですよ。
宮澤:通訳さんが言ってたけど、ディフェンスのロッキ・ジュニオール(ACミラン)とルシオ(レヴァークーゼン)がずーっとケンカしてるんだって。ルシオの方は最終ラインを上げろって言ってるんだけど、ロッキの方はブラジル本来のやり方でラインを下げろって言って。それがだんだんまとまってきたんだよな。
中西:妥協点を見出して。最初、バラバラでしたよね。それで、ディフェンスがまとまって、中盤がまとまって、最後にフォワードがやっと得点するようになって。
川原:あと、監督への信頼もどんどん厚くなっていきましたよね。
宮澤:そうだなぁ。どんどんどん薄くなっていくチームとどんどんどんどん……。
中西:またそういう話ですか。
会場:爆笑。
宮澤:何言ってるんだ、韓国なんか素晴らしかったね。
川原:はい。もう本当にヒディンク(フース、前韓国代表監督)のチームでした。
宮澤:韓国行くと、ヒディンクの下から上のガッツポーズばっかり。こればっかりだよ。
川原:そう、試合の日になると暑いのにヒディンクのお面を被ってスーツを着て、ガッツポーズをして街を歩いてるんですよ。
宮澤:ヒディンクは選手に胴上げされたの。胴上げの最中にもガッツポーズだもん。
青島:でも、ミシェルもテツもブラジルの優勝は予想してなかったんだよね。どこだったんですか。
中西:ボクはイタリアです。
宮澤:ドイツとブラジルっていうのはいちばん予選を苦しんで、最弱だったんですよ。ブラジル代表にしても、今までのブラジルに比べたら最悪だって言われて。ドイツにしても。ところがだんだんだんだん強くなっていった。
中西:だって、ベッケンバウアーなんて今回のドイツはベスト8までいければ上出来だって言ってましたから。
宮澤:ベスト16のドイツ対パラグアイを韓国に見に行かれた方いますか? あ、いたいたひとり。寝たでしょ、試合中に。済州島のスタジアム、すごい眺めはいいんですよ。俺、試合中に4 回ぐらい見たよ、あ、船がだんだん近くなってきたなぁって。加茂(周、元日本代表監督)さんがNHK 総合テレビの解説してて、ボクはハイビジョンの解説だったかな。ハーフタイム中にニュース番組が入るじゃないですか。そしたら加茂さんが俺の方を見て、「ミシェル、ミシェル。お前、よくこんな試合でしゃべることあるなぁ。わしゃ、寝たぞ」って。ほんとの話だよ。
青島:でも、加茂さんは盛り上がった試合でもまったりした解説でしたね。
会場:爆笑
青島:お客さんの入りはどうだったの?
宮澤:最初は寂しかった。徐々にお客さん入ってきたからよかったけど、試合も試合だもんなぁ。ドイツが守り倒して、セットプレイでボンと入って、ほらドイツって感じで終っちゃったもん。
中西:セットプレイでしたっけ? シュナイダー(ベルント、レヴァークーゼン)が右からクロス上げて、ノイビル(オリバー、レヴァークーゼン)が決めたんですよね。
宮澤:そうだ! さすが見てるね。
中西:見てないんじゃないですか。
宮澤:いや、思い出した思い出した。パラグアイが珍しく前線からプレスをかけた。で、ドイツはカーン(オリバー、バイエルン・ミュンヘン)にボールを戻して、カーンが右サイドにカーンと上げたんだよ。
中西:つまんねー。
宮澤:流してくれ。で、ポンポンとこぼれて、シュナイダーが右サイドからセンタリングして、シュナイダーがボンと入れて、チラベルト(ホセ・ルイス、ストラスブール)は見送っただけ。
青島:よくシラベルト(調べると)、入ってたってやつだね。
会場:爆笑
宮澤:上手いね。
中西:ふたりとも、それでいいんですか。
宮澤:メモしといてくれる、メモ。次の解説で使わなきゃ。それは眠たくなった試合だったっていう、それで終わりだよ。
中西:確かにあの試合、眠くなりましたよね。
宮澤:ドイツ絡みはすごかった。それでも、強いんだよ。ドイツ対アメリカもそうだったな。あれはツィーゲ(クリスチャン、トットナム)のフリーキックからバラック(ミヒャエル、レヴァークーゼン)のヘッドで、セットプレイ一発で決まった。もうこれでもか、これでもかってアメリカが押してたけど入らなくて、ドイツがセットプレイを取るようになってきて。で、セットプレイで1 点取ったら、また守りに入ったんだよな。
中西:それが前半30分ぐらいだったと思うんですけど、その後ずっと守ってましたね。
川原:でも、そのパターンが決勝では崩れたんですよね。先制できなくて。
青島:ブラジル対ドイツの決勝だっていう時には、どっち勝つと予想してたの?
中西:それはブラジルですね。
宮澤:やっぱり、ドイツは無理があったな。最後、出場停止でバラックって攻め手も欠いてたし。
中西:アクセントをつけられる選手がノイビルしかいないっていうのはね。ダイスラー(セバスチャン、ヘルタ・ベルリン)とショル(メーメット、バイエルン・ミュンヘン)がいればね。
青島:それにしても、この大会中は街中でベッカムヘアをよく見かけましたね。私の行ってる床屋さんのお兄さんも「青島さん、やっぱりワールドカップの影響力はすごいですよ。多い日だと、3 人はベッカムにしてくれって人が来ましたよ」って言ってました。昨日あたり東京ドームに行くと、ジャイアンツの元木(大介)選手がまだベッカムヘアしてますけどね。誰にも取り上げられなくて、寒い思いしてますよ。ま、それはいいんですけど、さすがにロナウドヘアは私、まだ見てないです。
宮澤:ロナウドはホテルで自分でやったらしいね。ガーっと刈り込んで間に合わなくなっちゃったらしいよな。
川原:でも、あの髪型にしたっていう話にはすごい思いがあって、ロナウド選手が自分のケガのこととかコンディションのこととか、4 年前あったじゃないですか。なので、いろいろ聞かれることがいやだったんですよ。それで、髪型をああしたら、髪型の話題に集中して、そういうことには触れられないかもしれないっていう思いもあったらしいですよ。
中西:そうなんですか。
宮澤:あれ、いつからだっけ?
中西:準決勝の前からですよ。セルジオ(越後、サッカー解説者)さん曰く、あれは準決勝でトーキックのシュートを決めるための前振りだって。「トーキックだから前の方だけ髪の毛残したんだよ」って力説してましたよ。
宮澤:そういうことか。
川原:それはセルジオさん的見解かもしれませんね。
宮澤:ジーコは「ホテルで切ってる間に試合の時間がきちゃって、間に合わなくなってあそこだけ残った」って言ってたよ。ジーコもセルジオもブラジル人だからなぁ。
中西:ところで、青島さんは試合見に行ったんですか?
青島:5 試合、行きましたよ。
宮澤:5 試合も行ったんですか。どちらのゲームですか?
青島:ロシア戦以外の日本戦、サウジアラビア対カメルーン、ブラジル対トルコ。
宮澤:俺が見に行けないのになぁ。
青島:そうだ、俺ロナウドの話がしたかったんだよ。ちょっとオーバーな言い方かもしれないけど、あの髪型見た時に得点王とブラジルの優勝を確信してしまったね。だってさ、真似する人がいないでしょ。あれはロナウドしかできないと思ったもん。ルーツに関しては、ブラジルで流行ってるアニメの主人公がああいう髪型をしてるとか、ブラジルの北部の方に伝統的にある髪型だとか、いろいろメディアの方で理由づけはしてたけども。人が真似できないような、なんで?って思うような髪形で全世界の人が見るステージに乗り込む彼の感性を計りきれないって思った。だからプレイでも何をするかわからないっていうものを感じた時に、セルジオさんじゃないけど、こんなタイミングで、あんな場面でトーキックするか、みたいなのがやっぱり髪型と同じ感性なのかなと思って。
中西:じゃあ、やっぱりセルジオさん、すごいんじゃないですか。
川原:自分の中の決意表明って感じもしますよね。
宮澤:あのシュート、すごかったよなぁ。
青島:だって、何がすごいってブラジルに帰ったら、ロナウドの子供がお父さんじゃないと思ったって言うんだから。泣いちゃったんだから、子供が。
宮澤:それでもまだやってるんだよね。
青島:あのままゴルフやってたんだよね。
会場:爆笑
宮澤:でも、よくロナウド戻ってきたよね。決勝の後のヒーローインタビューの時に、カフー(ASローマ)が横から入ってきて「こいつは2年半も苦しんだんだ」って言ったけど。熱くなったなぁ。
中西:相当苦しんだでしょうね。
宮澤:強いんだよな。ロナウドがボールを持つと、皆、相手のディフェンスがグッと構えるよな。あの怖さってあるな、やっぱりスピードもあるし。
川原:ロナウド選手が合流してからブラジル代表もよくなっていきましたよね。
宮澤:いや、ほんとそうですよ。ロナウドが最初から快調だってわかってれば、さっきの得点王の予想だって「YES 」って挙げられましたよね。
中西:でも、よく復帰してあんなにいきなりガーンと調子が上がりましたよね。
宮澤:あの何戦だっけ? クロスボール。
中西:初戦ですよ、初戦の同点ゴール。トルコ戦ですよ。
宮澤:あれでOKだと思ったな。
中西:あれがブラジルの今大会1 点目でしたからね。
宮澤:よく見てるね~。
中西:見てるのに忘れてるだけですよ。もうリセットしちゃったんじゃないですか?
青島:さっきからチラチラっと目線を下に落としますと、川原みなみさん、真っ白な出で立ちですけども足の指に塗ってらっしゃるペディキュア、日本代表のブルーなんですね。こんなところにもね、代表を意識してね。
川原:実はこれは韓国でネイルサロンに行って塗ってもらったんですけども、もう韓国にいる時からブルーで。
宮澤:韓国にいるときは赤じゃなかったの?
川原:Tシャツは赤、着てました。バンダナまでしてました。日本も韓国も同じくらいの気持ちなんですよね。
宮澤:でも40日は長いよな、韓国。
川原:あの、高木琢也(サッカー解説者)さんがもう慣れなくて。
宮澤:食生活がな。
中西:言ってましたよ、浦島太郎状態だったって。わからないじゃないですか、ハングル語。
川原:そうなんです、情報もなかなか入って来ませんし、ネットで見るくらいなんです。
宮澤:食文化も3、4日までだな。ずーっ胃袋が熱い状態になるじゃないですか、辛いものって。そうすると、必ず1 回は腹にくる。腹に来て、ブーンといっちゃう。その後、落ち着いてくるんだけど、高木は苦しんでたね。2 週間後に会った時には少し元気になってた。で、最後は韓国人になってた、あいつは。
会場:爆笑

後編へ続く

構成・文:CREW
撮影:正井玲子