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豪華ゲストたちとともにあらゆるスポーツについて、熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。今回は11月17日に行われた「どうなる!? サッカー日本代表 ~キリンチャレンジカップ2002アルゼンチン戦を前に」をテーマにした模様をそのままお届けします。

ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2002 Vol.21
「どうなる!? サッカー日本代表~キリンチャレンジカップ2002アルゼンチン戦を前に~」 

Supported by KIRIN

前編


<ホスト>
中西哲生
(スポーツジャーナリスト・右)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から、'92年に名古屋グランパス入り、戦術眼に長けたDFとして活躍。'97年から川崎フロンターレでキャプテンを務め、2000年にJ1昇格を果たす。その後引退し、現在はテレビ、ラジオ、執筆などで活躍中。

<ゲスト>
武田修宏(元サッカー日本代表・右)
'67年、静岡県生まれ。清水東高1年時には高校選手権準優勝を果たす。'86年、読売クラブ(現東京ヴェルディ1969)入り。ポジショニングが良く、得点感覚に秀でたFWとして、20歳にして日本代表のエースストライカーに。'00年にはパラグアイに移籍、その後東京ヴェルディ1969に復帰し、今年、現役を引退した。

村上てつや(ゴスペラーズ・中央)
'71年、大阪府生まれ。ゴスペラーズのメンバーとして、'94年シングル「Promise」でメジャーデビュー。'00年発売のシングル「永遠に」、アルバム「Soul Serenade」はオリコン市場稀に見るロングセールスを記録、その勢いは現在も止まるところを知らない。12月4日(水)には、完全アカペラアルバム「アカペラ」(キューンレコード)が発売!


中西:みなさん、こんにちは。今回は10月16日のジャマイカ戦を振り返りつつ、11月20日に行われますアルゼンチン戦を前に、「どうなる!? サッカー日本代表」をテーマに2時間お送りしていきます。今日も素晴らしいゲストが来ています。テレビで大活躍中。サッカー界で一番格好いい人といえばこの人しかいないでしょう。武田修宏さんです。
武田:こんにちは。よろしくお願いします。
中西:テレビで見てますと、いつも海外にいますよね。
武田:しょうがないじゃない、仕事だから。
中西:最近どこに行かれました。
武田:先週はスペインのレアル・マドリーに行って、その前はイタリアのレッジーナとパルマに2 週間。
中西:じゃあ、中村俊輔(レッジーナ)選手と。
武田:俊輔選手と飯を食って。中田(英寿、パルマ)選手とは忙しくて食えなかったけど。でもロナウド(レアル・マドリー、ブラジル代表)選手と対談しました、トヨタカップの関係で。
中西:海外に行って、一度日本に帰ってきてから、また行ったんですか。
武田:3日間だけ日本にいて。
中西:で、今度はスペインに行ったんですか。
武田:そう。あとは、高校サッカーですね。昨日は静岡県大会に行ったり、熊本県大会に行ったり。全国各地。
中西:大変ですね。そして、この人が来てくれたから、今日はこれだけ若い女性が集まりました。
武田:こんなにいるんだもんね、びっくりした。
中西:僕は、この人がサッカー好きであることがすごくうれしい。サッカーを盛り上げてくれる、サッカー業界以外の人って大事ですよね。
武田:僕たちより、サッカーに詳しいと思う。
中西:ミュージシャン界きってのサッカー通、ゴスペラーズの村上てつやさんです。
村上:こんにちは。いやもうねぇ、緊張するんですよ。
中西:なんでですか。
村上:サッカーのことを話す方が、音楽について語るよりも責任があるかなと。
中西:言いたいことを言ってもらえればいいんですよ。
武田:責任ない、責任ない。
村上:適当でいいっすか?(笑)
中西:村上さん本人は「サッカーが好きだ」と言ってますけど、世間には本当に好きなのかと疑問に思っている人もいっぱいいると思うんですよ。
村上:そりゃあ、いるでしょうね。
中西:でも、僕は2002年ワールドカップの時に会場で会ったんですよね、いきなり。
村上:イングランド対ブラジルですね、エコパ(静岡)で。
中西:この間、安岡(優、ゴスペラーズ)君も言ってましたけど、ワールドカップはめちゃくちゃ試合を見に行ったでしょ。

村上:8試合です。
中西:しかも、その時はツアーの最中だったんですよね。
村上:6月はコンサートが17回で、ワールドカップが8回。
中西:どっちが大事なんですか。
村上:あとは移動日で終わりですよ。
中西:エコパで会った時も、若干グッタリしてましたからね。
村上:試合前にグッタリ。武田さんともお会いしましたよね。新潟のイングランド対デンマークで。あれは夏でしたから、武田さんが素足に革靴を履いているのを見て、「やっぱりヴェルディはこれだな!」と。青山とかを歩いていると、ラモス(瑠偉、元ヴェルディ川崎)さんとか見かけるじゃないですか。遠くでもわかるんですよね。で、足元を見ると「あ、今日も素足だ」。
武田:よく見てるねー。
村上:「ヴェルディが匂ったら、足元を見ろ」が僕らのテーマですけど。
中西:でも会場で会った時に、わからなかったですね。「絶対に村上てつやと安岡君だよな」とは思いつつ。で、すれ違うときに、オオッと気づいて。
村上:そりゃあ、わかる格好はできないっすよ。
中西:しゃべっていたら、どんどん周りに人が集まってきて「もうダメだ」と、逃げていったんですよね。でも、本当にサッカーが好きですよね。
村上:イングランド対ブラジルの時は沖縄に移動しなければならなくて、試合後半5分で席を立ったんですよ。で、後半5~6分に点が入ったでしょ。ロナウジーニョ(フランス・パリSG、ブラジル代表)のフリーキック。あれ、見れていないんですよ。
中西:あ~、もったいない。
村上:あと準決勝のブラジル対トルコ戦で、トイレが混んじゃって席に戻ってきたら、いきなりロナウドのトーキックのシュートが入っちゃってた。あまり見ないタイプのゴールだったじゃないですか。とてつもない2 ゴールを見逃しちゃったんですよね。
中西:まあ、またワールドカップはありますから。それでは「ジーコジャパンへの11の質問」にいきます。

質問武田村上中西
1:ジーコジャパンのサッカーは面白いyesyesyes
2:ジーコ采配にひと言、言いたいnonoyes
3:“黄金の中盤”には不満があるnonono
4:ジャマイカ戦の引き分けはがっかりnoyesno
5:もっと若い選手の活躍が見たいnonoyes
6:今の日本代表には入れたい選手がいるyesyesyes
7:中田英寿のファッションに度肝を抜かれたnonono
8:今度のアルゼンチン戦は勝てるnoyesyes
9:アルゼンチン戦の日本代表メンバーに異議ありnoyesyes
10:中田英寿、小野伸二のいない日本代表は不安だnonono
11:“バティゴール”が見たかったyesnono

中西:まず1問目。「ジーコジャパンのサッカーは面白い」。これはみんな「yes 」。
村上:まだわからないですけどね。そういうのあるじゃないですか。最初はワーッ!と盛り上がって。でも、やっぱり期待しちゃいますよね。
中西:次が「ジーコ采配にひと言、言いたい」はふたりとも「no」なんですけど。
武田:だって、そんなことを言える立場じゃないもん。
中西:ちょ、ちょ、ちょっと待ってください。終わるじゃないですか、今日の企画も。
武田:ジーコ監督は僕たちよりも試合を見に行ってるし、選手もよく見ているし、采配に関しても経験してるからさ。俺は何も言わない。人の悪口をあんまり言いたくないから。
中西:武田さんが言えないなら、僕なんか何も言えないじゃないですか。
武田:スポーツジャーナリストはしゃべらないと。
村上:嫌な牽制ですね(笑)。
中西:僕がひと言言いたいのは、采配ですよ、采配。ジーコジャパンはまだ始まったばかりなので、いろいろな選手を使ってほしい。10月のジャマイカ戦では招集しても、あまり選手交代をしなかったじゃないですか。

村上:おふたりに聞きたいんですけど、ジーコ監督のスタメン発表が恒例になってるじゃないですか。もし明日が試合なら、誰を使うか。あれって選手の立場としてはどうなんですか? 代表に選ばれても、スタメンに入るか入らないかあるじゃないですか。ジャマイカ戦の時も、発表したスタメンがそのまま出場したけど、ああいうのってモチベーションとしてはどうなんですか。
中西:僕は、代表に選ばれたことがないからわからない。
村上:いや、代表に限らず。
武田:代表に選ばれたら近所の人からも「良かったね、良かったね」って言われるんですよ。
村上:武田さん、どういう暮らしなんですか、それ。
武田:ゴン(中山雅史、ジュビロ磐田)もそうだったけど、代表に選出されると1日に100 件、200 件は「おめでとう」って電話がかかってくる。
中西:そんなにかかってくるんですか。
武田:ゴンなんて2日間か3日間、電話鳴りっぱなしだったから。僕も代表に選ばれたりすると、期待されるわけですよ。で、頑張ろうと思うけど、先発を外れるとそれはショックですよ。
中西:しかも、スタメンが事前にわかってしまう。
村上:逆に煽られる選手もいるんですか。自分の名前が11人に入ってないということで。
中西:「あ、スタメンじゃないんだな」と思うでしょうね。
村上:やっぱり人間だから、軽くへこみますよね。だって、俺の方がうまいと全員がそう思ってやってるわけですよね。いくらメディアが“黄金の中盤”と盛り上げたって。
中西:そうですよね。
村上:音楽の世界には序列がないじゃないですか。スタメン落ちて悔しかったっていうのは、サッカーをやっていた高校時代にはよくあったけど。
中西:ゴスペラーズにスタメン3人なんて決まってないですからね。
村上:一応ね、俺と北山(陽一、ゴスペラーズ)が一軍。
中西:でも全員試合には出られますからね。「今日、コンサートに出ちゃダメだよ」なんてことはないですよね。
村上:でも多少は「安岡、今日はちょっと控えとけよ」とかありますよ。「あんまり前にいくな。お前はバランス取れ」って。
中西:やっぱりそういうのは、サッカーと音楽の違うところですね。確かに軽くへこむところってあるかもしれないですよね。
村上:だから、発表したのと実際のスタメンが若干変わっててほしいなと思ったりするんですよね。
中西:コンディションで多少変わってはくると思いますけど。そして「“黄金の中盤”には不満がある」。これは全員ないんですよね。
武田:ないない。村上さんはないの。
村上:全然ないっすよ。だってさ、楽しいじゃないですか。観ていて、選手がうまくなきゃ、つまらないじゃないですか。
中西:彼らはすご過ぎますね。小野伸二(オランダ・フェイエノールト)、中田英寿、中村俊輔、稲本潤一(イングランド・フルハム)、あの4人は。前回のトークバトルで中山さんも言ってました、「あの子らはうまいねぇ」って。
武田:うまいよ。昔はさ、ラモスさんや木村和司(元横浜F・マリノス)さんぐらいしかスルーパスを出す選手がいなかった。今はみんな出せるしね。
中西:ヨーロッパで活躍している選手ですからね。では次の「ジャマイカ戦の引き分けはがっかり」。僕と武田さんが「no」、村上さんは「yes 」なの?
村上:なんで、「no」なんですか。
武田:いや、結果にこだわってないんだよね。楽しんでやっていて、あのメンバーで面白いサッカーができたし、ジーコ監督も1試合目だから仕方がないかなと。
村上:でも前半8分で点が取れたのに、やっぱり勝たなくていいやって思うんですか。
中西:そりゃ勝ちたいですけど、うまくいき過ぎるのはどうかなって。
村上:俺は0対0か3対0のどっちかだろうと予想してたんですよ。日本が点を入れて1対0になって5分くらいたってからテレビの仕事に行って、帰ってきたらジャマイカに追いつかれてた。
中西:でも、3対0になってもおかしくない試合でしたよね。ただ、サッカー界の人間からすると、今、結果がほしい時期ではないですよね。
武田:まだジーコジャパンは始まったばかりだから。そこまで結果を求めなくても。
中西:そして「もっと若い選手の活躍が見たい」。武田さんと村上さんが「no」で、僕だけ「yes 」。若手は別にいいんですか?
武田:いや、俺は年齢は関係ないと思う。ジーコさんもよく言ってるでしょ、日本はベテラン、ベテランって言うけど、もうベテランと呼ばないでくれって。あれは確かだと思うんですよ。
中西:それは僕も思いますよ。
武田:若手にこだわるよりも、とにかく実際に見ていい選手を使ってほしい。
中西:'05年の3月に'06年ワールドカップの予選があるじゃないですか。今、ベストの選手を選んでおくのも大事なことですけど、僕はたとえ使わなくても若い選手をふたりぐらい入れておいてもいいと思う。ワールドカップ予選の頃に、最高レベルに達しそうな選手を入れておく。ある日、突然代表に呼ばれても難しいでしょう。代表の雰囲気もあるし。
武田:代表に入ってベンチにいるだけでも、雰囲気を味わえるからね。
中西:いきなり呼ばれて緊張して出場するより、事前にコミュニケーションを取った上で、スタメンに入ればすんなりチームにとけ込めると思うんです。
武田:俺は18歳で初めて代表に入って、試合には出なかったけど、ベンチで先輩たちの雰囲気や戦っている姿勢を見て勉強になったしね。
中西:だから、そういう選手を毎回ひとりかふたり、入れてほしい。経験させるために。
武田:例えば誰ですか。
中西:僕は新井場(徹、ガンバ大阪)。可能性を感じる選手ですよ。
村上:新井場さんって何歳なんですか。
中西:23歳ですね。
村上:ということは、小野君たちと同じ世代。
中西:全く同じ歳ですね。稲本や小野と。
村上:「若い選手」と言うと、それより下の世代を思い浮かべちゃう。
中西:20歳ぐらいですか。
村上:でも、小野君たちの世代って若いんですよね。
中西:小野選手が最初にワールドカップに出たのが19歳。
村上:やっぱり日本リーグ時代からサッカーを観てるから。武田さんは高校卒業してすぐ読売クラブ(東京ヴェルディ1969の前身)に入ったけど、大学を出てから日本リーグで活躍する選手がいっぱいいたじゃない。そういう意味では23歳って新人の年齢だったんですよね。
中西:昔は大学に行くのが当たり前でしたからね。武田さんだけですよ、いきなり読売クラブに入って、いきなり点を取って、いきなり日本代表に選ばれて。
武田:まだ、プロができてない時だから。15年前くらいかな。
村上:行きましたよ、等々力競技場に。俺、読売クラブが優勝決まった時、ピッチに乱入とかしましたから。
中西:じゃあ、本物のサッカーファンだね。
村上:あの頃、すごかったですよ。スタンドから平気でピッチに入れた。
武田:入れた、入れた。
中西:誰も制止する人がいない。
村上:そうそう。俺が参加した優勝祝賀会には武田さん、いたのかな?
中西:参加したの!?
村上:ピッチの上で、ジョージ・与那城(元読売クラブ)さんからね、ジュースをもらったんですよ。
武田:2部から1部に上がった時だよ、多分。
村上:そんなことない。1部優勝ですよ。
武田:当時は俺、いたのかなあ。読売クラブは結構優勝が多かったからね。
村上:スパイクの白い部分にサインをしてもらいたくて、ラモスさんを追っかけ回して。昔“マラドーナモデル”ってあったじゃないですか。ラインにサインが入ってたでしょ。あれをやりたいって、スパイクとペンをもってラモスさんを追っかけ回した。“ラモスモデル”、勝手にカスタマイズしちゃって。今でも家にありますよ。
中西:マジっすか!?
村上:ラモスさんに何回会っても、言えないんですけどね、恥ずかしくて。
中西:今度、僕が言っておきます。僕も高校2年生の時、武田さんが読売クラブに入った頃、練習に参加してたんですよ。覚えてないでしょ?
武田:わからない。いっぱい参加者が来るからね。
中西:12月くらい。冬休みによみうりランドに行って。武田さんが入って1年目ですよ、僕が高校2年だから。一緒に練習しましたよ。武田さんはすごく優しかった。
武田:俺の話はいいよ。
中西:その時ちょうど、代表に選ばれた頃ですよ、12月ですから。菊地新吉(元東京ヴェルディ1969)さんも同い歳で、ふたりはいつも仲良くて。同期入団でね。菊地新吉さんと武田さんと、あと菊原志郎(元浦和レッズ)の4人で車に乗って送ってもらった。
武田:まだ俺が小田急線で通ってた頃だ。
中西:そう、だから小田急線の下の公園まで連れていってもらったり。2週間ぐらいいました。ふたりともサッカーファンですね。
武田:俺よりサッカー詳しいんじゃない。
中西:そんなことはないですよ。ちょっと話がそれちゃいましたけど。次、「今の日本代表には入れたい選手がいる」。武田さんは誰ですか。
武田:最近、廣山(望、ポルトガル・ブラガ)とメールをしていて。廣山は最近試合に出てるんで、ポルトガルから呼んでプレイを観てみたい。
中西:一度パラグアイでプレイしている時に日本代表に呼ばれたんですけど、出ませんでしたね。
村上:あれは、キツかったですね。
武田:キツいよね。
中西:あんなに“廣山”コールがかかって。
村上:飛行機に長時間乗って、着いてすぐに仕事するのはつらいですよ。僕らもあるんですけどね。3時間くらいですか。でも、3時間でもけっこうきついですよ。降りた瞬間に歌わされたりとか。
中西:そういうのあるんですか。
村上:国内だったらまだいいですけど、ヨーロッパや南米からですよ。
武田:パラグアイから日本へは飛行機で26時間。だから、代表に呼んだからには試合に出してほしいなと。
中西:実際、ケガをしてない時はすばらしいプレイでしたからね。
村上:俺は山瀬(功治、コンサドーレ札幌)選手に入ってほしいです。でもケガをしちゃいましたからね。シュートを打つ選手が好きなんで、中盤のポジションでも、どんどんつっかけていくのを見てると楽しいから、山瀬選手には期待してます。
中西:早くケガが治ってほしいですね。札幌にとっても痛いですよね、クリエイティブな選手ですから。では、次の質問「中田英寿のファッションに度肝を抜かれた」。全員「no」ですね。ファッションは、自分がしたい格好をすることですから。
武田:だってカズ(三浦知良、ヴィッセル神戸)さんもさ、いつも帽子をかぶってるけど、本人がカッコいいと思っているなら、それでいいんだよ。
中西:ちょっと今、トゲがありましたね。
武田:ないない、何もない。中田だってマフラーを下にひきずっていたって、本人がカッコいいと思ってればいいんですよ。
村上:ファッションなんて、別にどうでもいいっすよ。
武田:ね。
中西:どうでもいいんですか。
村上:中田が帰って来る時のファッションって、男はあまり楽しみにはしないでしょ。女の子はそりゃ、それも「ステキ~」とか騒ぐだろうけど。
中西:それでは次、「今度のアルゼンチン戦は勝てる」。武田さんが「no」で、僕と村上さんが「yes 」。やり方次第ですよね。勝てる可能性はあると思います。
武田:まあ、まともにいったら、勝てないと思うんだけどね。
中西:「アルゼンチン戦の日本代表メンバーに異議あり」。これは武田さんが「no」、僕と村上さんは「yes 」。そして「中田英寿、小野伸二のいない日本代表は不安だ」。いいじゃないですかね、それはそれで。また新しい選手が見られて。
村上:僕ら、いちファンからすると、日本代表に入る選手なんて富士山より上ですよ。
中西:本当。僕はいつも関係ないから、すごいなって思うもん。
村上:観る人のモチベーションが、そんなことで下がっちゃいけないですよね。マスコミが書いて煽るのはいいけど、さっきのスタメンの話じゃないですけど、今回の代表はすごいわけですよね、間違いなく。それで当然、ふたりが出ない代わりに別の選手が出るわけじゃないですか。当然、やってくれると思いますよね。
武田:そうだね。呼ばれたのに「何で三都主(アレサンドロ、清水エスパルス)を出さないんだよ」と思っている人も多いだろうから。今回は久々に出るチャンスだから、頑張ってほしいよね。気持ちがわかるから、出してあげたいね。たまには。
中西:呼ばれても呼ばれてもベンチにいて。若い選手は別ですけど、やっぱり旬の選手は試合に出たいですよね。では、「“バティゴール”が見たかった」。
武田:俺ね、バティ(ガブリエル・バティストゥータ、イタリア・ASローマ)、好きなのよ。アルゼンチンとは'92年のキリンカップで日本と試合をやって、バティに1点取られて負けてるんですよ。その時に試合に出ていた同じ世代の人間を見たいんですよ。
中西:同い歳なんですか。
村上:バティは今、33歳ですよ。
中西:武田さんは今何歳ですか。
武田:35。
中西:35歳には見えないですよね。
武田:俺の話はいいよ。あとさ、バティは2002年ワールドカップで期待されていたのに点を取れなかったじゃない。だから今回はいい機会かなと。
中西:もう、代表から引退するって話が出てますよね。
村上:引退はしてないんですね、一応。あれ、シメオネ(ディエゴ、イタリア・ラツィオ)は引退したんですか。
中西:どうなんでしょう。
村上:シメオネもバティと同じくらい偉大な選手なんじゃないですか。だって、最多記録ですよね、アルゼンチン代表出場回数では。
武田:彼は英雄だからね。
村上:でも、いくらなんでも顔が悪人過ぎる。やることもすごいですけどね。
中西:では、ジャマイカ戦の話を。ジャマイカ戦はどうでしたか、武田さんは。
武田:ジャマイカ戦は、“黄金の中盤”が注目されてて、すごく楽しかったですけど。俊輔選手とイタリアへの帰りの飛行機で一緒になって、話をしたんですけど。俊輔選手は結構ディフェンスする場面が多かったじゃないですか。もう「疲れた」と言ってましたね。ジーコ監督って、役割分担を指示しないんだって。だからもう少し役割分担をしてくれたら、もっと頑張れるって。ジャマイカ戦は自分で納得できないから、アルゼンチン戦はどうしてもやりたいって。ジャマイカ戦で俊輔選手はディフェンスを頑張ったから、今度は攻撃で頑張ってもらいたい。
中西:全体としては、何かありますか、村上さん。
村上:ゴールのチャンスが多かったですよね。やっぱり決まらないとつまらないという気持ちがありましたから、イライラしちゃった。
中西:決定力が足りない。
村上:俺もフォワードをやっていたんですけど、やっぱりどんなシュートでも、結果第一というか、入ることが大事じゃないですか。たとえ膝に当たってでも。
中西:どこに当たってでも。
村上:こぼれ玉を詰めてゴールしたっていいじゃないですか、きれいに入らなくても。そういう意味では、面白いんだけど、なんとなくスカッとはしなかったかなと。
中西:爽快感がなかった。
村上:本音を言うと。ジャマイカってそんなに必死こいてやってくるチームじゃなかったじゃないですか。どんなレベルのチームでも必死こいてやられたら、どんどん点は入らなくなりますよね。そういう意味では、あのくらいの緊張感の試合で、ゴールが決まらないのは不安だなぁと。そんなにガチガチの緊張感ではなかったじゃないですか、あの試合自体。相手のレゲエボーイズは楽しそうじゃないですか、どんな時も。
中西:楽しそうにやってましたね。試合2日前に来日して。
村上:負けてても楽しそうですからね。
中西:僕は、前にも話ましたけど、高原(直泰、ジュビロ磐田)選手が活きていないのがもったいない印象を受けました。ジュビロ磐田であれだけ点を取っているわけですから。ジュビロでの形を、どうにか代表に持ち込めないかと思いますね。高原選手が代表の核になっていかないと、フォワードに関しては厳しいと思います。周りは高原選手を活かすことも考えながらやるべきなんじゃないか。中盤は中盤で大事ですけど。
村上:Jリーグで久々じゃないですか。日本人であれだけゴールを決めるのは。
中西:そうですよ。高原選手を除いて得点ランキングの2位から4位ぐらいまで、外国人選手ですからね。しかも今、25点ですよね。すごいですよ。
武田:すごいよね。
村上:どうなんですか。今までで25点以上の記録ってあるんですか。
中西:年間30試合制になってからは最高ですよ。
村上:ただ得点ランクの上位にいるだけでなく、本当にすごく点を取ってるんですね。
中西:中山選手にパスを出しながら、自分でもあれだけ点数を取っているのがすごい。
村上:高原と中山2人で40点くらい取ってるんでしょ、今年。
武田:ゴンがもっと決めてたら、もっと取ってるんだろうね。
中西:武田さんから見ていて、不満があるわけですか。
武田:不満はないよ。でもフォワードって強いチームに行くと、すごくボールが来るけど、弱いチームだと全然来ない。高原がすごいのは、自分でボールを取りに行って決めていること。高原がもし下位のチームにいって点を取ったら、もっとすごいと思うよ。
中西:今は周りがお膳立てしてくれるところにいる。
武田:あいつは、アルゼンチンに行って変わったと思うよ。
中西:アルゼンチンに行って、何が変わったんですか、ストライカーとして。
武田:やっぱり日本人は性格が優しいから、ゴール前にボールが来たら、「パスしなきゃいけない、パスしなきゃいけない」という感覚なのよ。でも外国に行ったら、全部自分だもん。周りの選手は絶対にパスをしてくれないから。自分で強引に行く。
中西:ゴール前で、本当にパスをしないんですか。武田さんがパラグアイにいた時も。
武田:パスなんて全くしてくれないよ。
中西:ここでパスをもらったら入れられるって時でも、自分で打っちゃう?
武田:打っちゃう。だからゴール前を見てても、ブラジル人は絶対にパスしない。自分でバーッと上がっていって点を取っちゃう。そういうノリで高原は「自分で行かなきゃいけない」というプレイが増えてきたと思うよ、前より。
中西:ゴールに向かう姿勢をすごく感じますね。
村上:高原がアルゼンチンにいた時、試合を観てると、いくらゴール前のいいところにいても、全然パスが来ない時間が何回もありましたもん。
中西:ボールを出してあげればいいのになって思いましたね。
村上:ねぇ。サッカーなんだから、勝負なんだから、決められる選手に決めさせろよって思うくらい、南米の選手は自分で行く。
武田:それと高原はワールドカップで代表から外れたじゃない。その影響も大きいよ。
村上:あれはショックでしたね。
中西:見ている方もショックでしたね。病気ですから、どうしようもないけど。
村上:しかもわかりづらい病気で、それがなおさら辛そうだなって。
中西:でも、それを糧に随分レベルアップをした。身体が違いますもんね。この間、中山さんが言ってました、「あの子はよく筋トレしてるよ」って。
武田:でも、中山もすごいんだよ。ジュビロに入った時は全然だったけど、この間宴会で、中山が裸になったの。あいつの身体、前にジュビロにいた勝矢(寿延、セレッソ大阪チーフスポーツディレクター)さんみたいな筋骨隆々に変身してた。
中西:勝矢さんってすごいですよ。
武田:「こいつは見えないところで筋トレしてるんだな」って思った。びっくりしたよ、身体の変わり方に。高原もそのくらい筋トレをやってたんだよね。
中西:僕がやってるテレビゲームのパッケージで中山さんが裸になってるんですけど、あの撮影の時もすごかったですからね。前の日にちょっと筋トレをしたって。
村上:俺なんかでも、ステージの前は筋トレをやりますからね。
中西:やるんですか?
村上:一応。ステージで軽くはだけたりするんで。
中西:ジムに行ったりしてるんですか。
村上:ジムは入ってますけど、全然さぼってます。腕立て伏せをやって、ゴムチューブがあるじゃないですか。あれで。必ず鏡の前でね。
中西:裸になって。
村上:本当の効果というより、気持ちの効果。スポーツ選手じゃないですから。
中西:でも、コンサートをやるとすごく体力を使うでしょ。
村上:使いますね。
中西:そういう体力は、筋トレで養う?
村上:でも、筋トレは歌のためにはならないですよ。ただ単に、カッコつけのため。歌にいいのは本当は中距離走ですね。
中西:そういうの、やってるんですか。
村上:やってないです。できないです。サッカーをやると、もう30分もたないですよ。
中西:でも、たまにやってるんですね。
村上:たまに。でも、キッツいですね。学生時代はダッシュはあんまりですけど、トータル的には動けないこともない選手だったんですよね。多分、そのころ鍛えたものの残りで、今なんとかやってるんですよね。
中西:ひとつ聞いていいですか。僕も武田さんも話せないとアウトな仕事じゃないですか。村上さんは歌う職業ですよね。どうやってノドを管理してるんですか。歌えないと困るじゃないですか。
村上:私の場合はプロポリスですね。
中西:プロポリス!? 効きますか?
村上:やっぱりプロポリスがいいですね。何がいいって、やっぱりノドにとって。
中西:聞きたかったんです。僕は、話せなかったら終わりですから。
村上:わかりますよ。突然声が出なくなること、ありますもんね。とにかく声は外から入ってくるものを防ぐのが一番ですよ。こまめにマスク着用するとか、そういう具体的なテクニックもありますが、やっぱり免疫です。免疫を強くするのが一番です。でも、お二人は普通の人の免疫力よりはるかに上だと思いますよ。
中西:いろんな空気を吸い込んでいますからね、土ぼこりとか。
村上:外で暴れまくる仕事をしてたわけですからね。ともかくプロポリスとかで、外から来るものを完全にシャットアウトする。これは基本ですね。自分のレベルの最低線を上げることを考えないと、プロとして。たとえ前の日に飲んじゃっても、次の日の試合は出ないといけないじゃないですか。
中西:前日は飲まないですよ。飲んだら動けないですからね。
村上:本当にないんですか。
中西:ないですよ。ないですよね?
武田:ないよ。飲んじゃいけないもん。試合前夜は外出もできないし。
村上:でもホテルの部屋にビールが入っているんじゃないですか。
中西:抜かれてますよ、冷蔵庫から。
村上:やっぱりそうなんだ。
中西:だって僕らホテルに監禁されてるんです。
村上:前泊という名目で。
武田:しかも監督が下のロビーで待ってるの。誰が出ていくかどうか。
中西:試合が終わった後とか飲みに行きたいじゃないですか、僕たちも。しかもナイターの試合で、例えば博多に行ったりとかすると。
村上:やっぱり博多ですか。
中西:例えば、博多ですよ。ラーメンも食べたいし。試合が終わった後、そのまま泊まる時があるじゃないですか。飯は全員で同じものを食わないといけないから、食べた後に部屋に戻ってきて「じゃあ、出かけようか」って。すると電話がかかかってくるんですよ、「いるか?」って。マネージャーから順番にかかってきますからね。他の地域の時はかかってきませんでしたけど、博多の時に限ってかかってくる。
武田:1回電話がかかってきてから、出かければいいじゃない。
中西:またかかるんです。夜の12時半や1 時に。で、誰かがいないとかいう話になって。
村上:誰かが探しに行くんですか。
中西:探しには行かないですけど、「アイツはいない」ってことになりますよね。
村上:チェックされるわけですね。それはプロとして打撃ですよね。
中西:ベンゲル(アーセン、元名古屋グランパス監督)監督の時はそうされてました。
武田:もしラモスさんがいたら、怒っちゃってるね。監督に文句を言っちゃうからね。「なんで試合の後、出かけちゃいけないんだ。子どもじゃない」って。
中西:そうなんですか。
武田:でも、大体試合が終わって、移動する時にサングラスをしている人は、寝不足の人だね。サングラスでごまかそうとしてる。
中西:絶対わかりますよね。ともかく前の日に飲むことは絶対にないです。ゼロです。
村上:僕たちも前の日は基本的にないですね。飲み過ぎなきゃいいんですけど。
武田:村上さんに聞いていい? カラオケで自分の歌って歌う?
中西:それ、僕も聞きたいな。
村上:歌いますよ。
中西:歌うんだ~!
武田:あれ、ずるくない?
村上:何がずるいんですか。俺の何を知ってるんですか!? カラオケって結構面白いです。カラオケで歌って楽しい曲と楽しくない曲があることがはっきりとわかりますから。
中西:じゃあ「この曲はカラオケでは歌わないでください」って言うわけですね。
村上:言わないですけど、カラオケに向いてる、向いてない曲というのがあるんですよ。聞くのと歌うのは違う世界ですから。俺もね、カラオケをガンガン歌う子どもでしたよ。
中西:子どもなの。
村上:子ども。昔、家にカセットでガチャッとやる通販のカラオケセットがあったんですよ。オヤジので、あれだと若い子の歌が入ってないじゃないですか。それで、子どもの頃から演歌を歌いまくってた。カラオケで育ったんで、カラオケ大好きなんですよ。今はほとんど行かないですよ。行っても年に2、3回ですね。
中西:そろそろアルゼンチン戦の話を。日本代表の前に、まずはアルゼンチン代表の話をしましょうか。どうですか、このメンバーは。
村上:イヤァ~うれしいですね。キリ・ゴンサレス(スペイン・バレンシア)がメンバーに残りましたね。
中西:クラウディオ・ロペス(イタリア・ラツィオ)だったら、キリ・ゴンサレスの方がいいですね。
村上:本当にそう思いますよ。ね! クラウディオ・ロペスって雰囲気だけだなって。顔もかっこいいし、足も速いです、素晴らしいです。でもなんか仕事してない。
中西:職人肌じゃないね。
村上:そうそう。キリ・ゴンサレスはすごいですよ。
中西:顔からして悪人ヅラだからね。
村上:もう時代劇ですからね、顔が。
中西:でも、クラウディオ・ロペスも代表に選ばれてますよ。
村上:う~ん、ビエルサ(マルセロ、アルゼンチン代表監督)はけっこうクラウディオ・ロペスより、キリ・ゴンサレスの方が……。
中西:最初は好きだったのに。
村上:ワールドカップ予選の時は、ビエルサもキリ・ゴンサレスを使ってたのに。
中西:ねぇ。
村上:だからね、'02年ワールドカップでキリ・ゴンサレスは世界的に大ブレイクすると俺は読んでたんですよ。テレビとかでも煽ってたんですけど。
武田:そんな裏を。
村上:でもダメだったですねぇ。ほら、メンディエータ(ガイスカ、スペイン・バルセロナ、)がいた頃のバレンシアは、すごかったですよね。
中西:すごかったですね。
村上:あの時にキリ・ゴンサレスが大好きになって。俺のサッカーチームも、あの時のバレンシアのユニフォームの型で、背番号もキリ・ゴンサレスの18番にしてました。
中西:キリ・ゴンサレスは予選にずっと出てたけど、ワールドカップが蓋を開けたら……。
村上:活躍できなかった。
中西:試合にもあまり出られなかった。そんな感じだったんだよね。
村上:でも、女の子に人気があるのは、100 %、クラウディオ・ロペス。
中西:間違いないですね。
村上:でもそれを言ったら、サビオラ(ハビエル、スペイン・バルセロナ)がいますね。
中西:サビオラ、ワールドカップに来てほしかったですね。
武田:俺、彼がリバープレートにいた時に南米に行ったんだけど、サビオラとオルテガ(アリエル、トルコ・フェネルバフチェ)とアイマール(パブロ、スペイン・バレンシア)がいたの。そのリバープレートと、パレルモ(マルティン、スペイン・ビジャレアル、元アルゼンチン代表)がいた時代のボカ・ジュニオールとの試合を見て、「こいつらうめえなー」って思ってたの。そうしたらヨーロッパに移籍して。
中西:チビッコ3人トリオですけどね。すごい3人ですね。
村上:スターになるのは、あっという間でしたね。
武田:サビオラ、観たいね。
村上:どんなところでも、こじ開けちゃいますからね。
中西:日本選手にああいうタイプの選手は出てこないんですかね。何が違うんですかね。あんなに小さくても、速くてテクニックがあって。フォワードって、でかくなきゃいけないっていうイメージがあるじゃないですか。
村上:あれだけ点を取ってくれるといいですよね。でも、サビオラもガタイがいいわけじゃないですよね。
中西:全然ね。
村上:マラドーナ(ディエゴ、元アルゼンチン代表)みたいに太股68センチなんて。女の子のウエストよりも、米倉涼子(女優)のウエストよりも太いなんてことないし。

後編へ続く

構成・文:CREW
撮影:源賀津巳