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豪華ゲストとともに、あらゆるスポーツについて熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。3月31日には、これまでで最も多く取り上げてきた日本代表をテーマに第26弾が開催された。ゲストにはフォワードとして日本サッカーの一時代を支えた元選手達がズラリ。それぞれが抱く日本代表への想い、フォワードとしてのこだわりを余すところなくお届けします。

ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2003 Vol.26
「どうなる!? サッカー日本代表 ~日韓戦を前に~」

前編

<ホスト>
中西哲生(なかにしてつお、スポーツジャーナリスト、左)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、'00年にJ1昇格を果たした。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「ニュース23」(TBS系)などに出演中。

<ゲスト>
大竹奈美(おおたけなみ、元サッカー女子日本代表、左から2人目)
'74年、東京都生まれ。'89年に読売ベレーザ入り。日本女子代表としてオリンピックに1度、ワールドカップにも2度出場。Lリーグ初の100得点到達をはじめ、'99年のアメリカワールドカップでゴールを挙げるなど、女子サッカー界のエースとして活躍した。Lリーグ通算157試合104得点。日本女子代表通算45試合30得点。

福田正博(ふくだまさひろ、元サッカー日本代表、中央)
'66年、神奈川県生まれ。相模原工高から中央大を経て、'89年に三菱重工(現浦和レッズ)入り。'95年にはJリーグ日本人初の得点王に輝く。'00年にチームがJ2へ降格してもチームに残り、'02年の引退まで生涯レッズを貫く。J1リーグ通算216試合91得点(歴代5位、'02シーズン終了時)。日本代表通算45試合9得点。

武田修宏(たけだのぶひろ、元サッカー日本代表、右から2人目)
'67年、静岡県生まれ。'86年、清水東高から読売クラブ(後のヴェルディ川崎、現東京ヴェルディ1969)入り。'01年の引退までに、磐田、京都、さらにパラグアイの名門スポルティボ・ルケーニョなど延べ7チームでプレイした。Jリーグ通算237試合94得点(歴代4位、'02シーズン終了時)。日本代表通算18試合1得点。

高木琢也(たかぎたくや、元サッカー日本代表、右)
'67年、長崎県生まれ。国見高、大阪商業大を経て、'90年フジタ工業(現湘南ベルマーレ)入社。'91年にマツダ(現サンフレッチェ広島)に移籍し、'92年日本代表デビュー。同年のアジアカップでは決勝でゴールを決め、日本を初優勝へ導く。広島、ヴェルディ川崎でJリーグ通算191試合64得点。日本代表通算45試合27得点。


中西:皆さんこんばんは。今日は日韓戦を前に『どうなる!? サッカー日本代表』をテーマにお送りしていきます。2 時間にわたって、攻撃的な熱いトークバトルをお届けいたしますので、最後までよろしくお願いいたします。
会場:拍手
中西:サッカーのトークバトルができてうれしいですね。ウキウキして、外苑前駅の階段で転んじゃいました。ここに来る人に見られてたらどうしようって。それではゲストの方々をご紹介させていただきます。まずはトークバトルではもうお馴染み、元サッカー日本代表、現在はサッカー解説者としてご活躍中です。アジアの大砲、高木琢也さんです。
会場:拍手
中西:今日はどうしてスーツなんですか。
高木:トークバトルに来るときは、いつもラフ過ぎたんで、今日は。
中西:僕は高木さんが来るということで、こんなラフな恰好なんですけど。ものすごい裏をかかれてます。
高木:今日は武田(修宏)ともう一人、僕の先輩というか“ミスター”が来てるんで。やっぱり出迎えるときは……
中西:正装ですか。
高木:はい。
中西:よろしくお願いします。続きまして、またまたトークバトルではお馴染みのこの方、元サッカー日本代表、現在はサッカー解説者としてご活躍中の武田修宏さんです。
会場:拍手
中西:どうも。こんばんは。
武田:こんばんは。
中西:日焼けしてますよね。かなり黒くなってますよね。
武田:朝公園を走ってるんで、それで焼けたんだと思います。ところで今日は福田(正博)さんが来るんでね。
中西:これはすごいことですよ。
武田:楽しみです。
中西:今日も軽快なトークでお願いしますよ。
武田:今日は楽だね。
中西:何が楽なんですか。
武田:楽しい人がいっぱいだから。
中西:続いての方はトークバトル初登場です。男性ばかりじゃむさ苦しいですから。本当におきれいですよね。この方は双子なんです。元女子サッカー日本代表のフォワードでした。皆さん温かい拍手でお迎えください、大竹奈美さんです。
会場:拍手
中西:女子の元日本代表ですからね。日本代表の話もいろいろ聞きたいですし、サッカーをよく見ていらっしゃるので、その辺りもね。全然しゃべらないですけど大丈夫ですか。
大竹:いつ会話に入っていいのか。
中西:「ジャンクスポーツ」では軽快なトークをされてましたよね。で、今日は。
大竹:あ、しゃべるんですよね。よろしくお願いします。
会場:笑い

中西:いいっすね、マイペースで。ではトリですね。この方もトークバトル初登場です。僕も楽しみにしておりました。もうすでに会場から拍手が沸いております。元サッカー日本代表、ミスターレッズ、福田正博さんです。
会場:拍手
中西:本当にお疲れさまでした。
福田:ありがとうございます。
中西:今日この会場に来た人は、ほとんど福田さんのファンじゃないですか。
会場:拍手
福田:しゃべりづらいですね。客席じゃないところを見てしゃべります。
中西:今まで静かだったんで、今日はみんなテンションが低いのかなと思ってたんですけど、ものすごいテンションが上がりました。
福田:これから盛り上げていきましょう。
中西:よろしくお願いします。それでは皆さん、まず乾杯をしたいと思います。ドリンクをお持ちいただいて。会場の皆さんもご一緒に。今日ここに来ていただいている皆さんと、そして日本代表のますますの発展を祈願して乾杯しましょう。乾杯!
会場:拍手
中西:今日はいろいろなお話をしていただくんですが、その前にウォーミングアップとして、恒例になりました11の質問にいきたいと思います。答えづらい質問もありますが。お手元に「yes 」「no 」の札がありますので、こちらでお答えいただきたいと思います。
 
質問大竹氏福田氏武田氏高木氏
1:ウルグアイ戦の内容には満足した?noyes/noyes/noyes
2:やっぱりキャプテンは中田英寿で決まり?yesyesyesyes
3:中田英寿より小野伸二のパスの方が好き?yes/noyes/noyes/noyes
4:ジーコ監督と一緒に日本代表として戦いたかった?yesyesyesyes
5:今日のゲストの中で自分が最高のFWだ?yesnonono
6:試合に負けてもゴールだけは決めたい?yesyesyesyes
7:韓国戦で涙を流したことがある?nononono
8:今でも、韓国代表選手の顔が浮かぶ?yesyesnoyes
9:今でも、忘れられないゴールがある?yesyesyesyes
10:今でも、ゴールを決めた夢を見ることがある?yesnoyesno
11:いずれは、日本代表の監督になりたい?yesyesnono

中西:
では、さっそくいきましょうか。第1 問「ウルグアイ戦(3月28日)の内容には満足した?」。高木さんは「yes 」。どういうところに満足したんですか。
高木:本当に申し訳ないんですけど、あんまり試合を見れなかったんですよね。
中西:何を言っているんですか!
高木:飛行機で移動していて、その後も見る時間がなくて。ハイライトで見たんですが、負けなかったし、点を取って引き分けまで行ったからいいかなと。楽観視ですね。
中西:そうですね。そして、大竹さんは「no」。
大竹:結果がついてこなかったということもあるんですけれど、中田(英寿、パルマ)選手が会見で選手同士のコミュニケーションが足りないと言ってましたよね。まだ3 戦目ということで、もっとグラウンド内で自分たちを表現したら良かったんじゃないかなと。
中西:表現しきれていないと。
大竹:そうだと思います。
中西:武田さんは「yes 」と「no」。
武田:「yes 」は、コンビネーションが良くなってきたから。以前の試合よりは中盤の組織がうまくできたと思います。「no」は結果。中田選手が勝たなきゃダメだと言ってましたけど、やはり勝たないとね。向こうは2 日前に日本に来ましたよね。日本代表はベストメンバーで、しかもホームでたくさんのサポーターがいた。昔の日本代表だったら引き分けでもいいけど、ワールドカップで活躍することを考えたら勝ってほしかった。
中西:ウルグアイぐらいの相手だったら。
武田:ぐらいというか、向こうがベストじゃないから。
中西:コンディションが悪かったんだから、勝たなきゃいけなかったと。
武田:そう。でも、内容は良かったから「yes 」と「no」。
中西:福田さんはどうですか。
福田:えー……
中西:あ、ちょっと待ってください。
福田:しゃべれないの?
中西:いやいや。福田さんと高木さん、武田さんはどっちが年上なんですか。
福田:僕が一つ上ですね。彼らがふたりとも同じ年で。
中西:だから、ふたりとも今日はソワソワしてるんだ。
武田:そうそう。先輩ですから。
中西:まあ、それは冗談ですけど。福田さんはどうして「no」なんですか。
福田:満足しているかって質問だったんで、満足には至っていないかなと。「yes 」でも「no」でもないということです。初戦のジャマイカ戦(2002年10月16日) よりははるかに良くなってますし、得点チャンスもたくさん作ってるしね。内容としては非常に良かったんですけど、いろいろな課題というか問題点もたくさん出たんで、これからですね。
中西:そうですよね。
福田:なので高木の見解はどうかなって思いますけど。
中西:その前に、試合を見てないのはどうかなって思いますけど。
福田:もっともっと高いものを要求しているから、とても満足できる内容ではなかったですね。ただ、悪い内容ではなかったと思いますけど。
中西:福田さん、中田選手がキャプテンでいいというのはその通りですか。
福田:そうですね。キャプテンが他の選手に指示を出しても、実績がないとなかなか聞いてもらえないですから。でも中田はそれだけの実績を持っていて、彼が言えばみんな聞く耳を持ちますから。僕はピッチサイドからずっと見てたんですけど、攻撃の選手にもディフェンスの選手にも声をかけていて、チームをまとめようとしてました。そういう意味では申し分ないと思います。彼以外見当たらないかなというくらい、中田が中心だったと僕は思いますよ。
中西:高木さんはどうですか。
高木:僕も福田さんと同意見で。
会場:爆笑
中西:顔色をうかがっているんじゃないですか。
高木:福田さんが言ったように、やっぱりヒデ(中田英寿)という選手は言うときは激しく言えるし。福田さん、武田も知ってますけど、昔、柱谷(哲二、元日本代表キャプテン)さんもゲーム中にどんどん厳しいことを言える人でした。ああいうタイプのキャプテンというのは、現日本代表の中ではヒデしかいないのかなという気がしますね。
中西:第3 問「中田英寿より小野伸二のパスの方が好き?」で、高木さんは「yes 」だったんですけど。
高木:どっちも好きなんですけど、どちらかと言うと小野(伸二、フェイエノールト)の方がボールを受けやすいかなと。ヒデの場合はすごくボールスピードが速い。フォワードにとってはいいパスなんですよね。相手に寄せる時間を与えないという意味では。
中西:フリーでもらうとき、緩いボールだとその間に相手が寄せてくる。
高木:相手が寄せて、インターセプトがある。それを考えて出している部分があると思うんですけど、小野の場合はすごく柔らかいボールもあるし、速いボールもある。緩急があるという意味では少し、小野の方がいいかなと。
中西:武田さんは両方の札を上げてましたけど。
武田:お互い個性があっていいパスを出してくれるんで、どちらがいいとは言えないなと思って。ただ、一緒にやりたかったなというのはありますね。フォワードとしてパスを受けてみたかったですね。
中西:福田さんは小野選手と一緒にプレイされてましたけど。
福田:伸二とは一緒にやってたんでどんなパスかわかりますけど、中田とはやっていないんで。そういう意味では、分からないから比べられない。ただ、伸二のパスは、高木が言ったように、柔らかい。僕は特に彼の左足のキックがすごく好きですけど。
中西:それはどうしてですか。
福田:左足のキックは非常に丁寧ですよね。右足の方が器用なんでいろいろなことをやってしまうんですが、左足だと素直なボールを蹴ってくる。受け手としては受けやすい。
中西:これは福田さんじゃないとわからないですよね、高木さん。
高木:そうですね。逆に、僕は小野選手はないんですけど、中田とは代表のときに少しやったことがあって。僕はあまり足が速くないので、スペースに出すボールってキツいんですよね。それを「もっと足元に」ってヒデに言ったことがあります。
福田:それ、普通言うでしょ。思い切って言ったんだね、高木は。
会場:笑い
大竹:そういうとき、中田選手はなんて言うんですか。
高木:「ああ、わかったよ」って言ってくれました。
大竹:次からは合わせてくれるんですね。
福田:言ってることがわかっただけで、プレイを合わせようとは思ってないんじゃない。
会場:笑い
高木:結局、僕が合わせてる。
福田:そうそう。
中西:でも、そうやって要求し合うのはサッカーのいいところですよね。大竹さんはどちらからボールを受けたかったですか。
大竹:両方です。個性が違うんでどっちがいいって言えないじゃないですか。それにその場面場面によって必要なパスも変わってきますんで。もし私が男だったら、どっちともやってみたかったです。むしろ私は来るボールに反応するのではなくて、自分が「ここに出して」って要求したプレイができたら良かったなって。無理なんですけど。
中西:女子の代表のときはフォワードとして、そういう要求をされてたんですよね。
大竹:そうですね。フォワードって使われる選手じゃないですか。でも、使われるだけだとフォワードとして寿命が短いと思うので、使いながら使われる。私は自分から要求して使われる選手というを目標に、フォワードとしてやってきましたから。
中西:武田さん、どうですか。
武田:あの2 人がいたら、もうちょっと現役をやれてたのかなっていうのはありますよね。やっぱり中盤でいいパスを出す選手がいてくれたらねぇ。最後の方はあまりいなかったんで。
会場:笑い
中西:それは言ってもいいんですか。
福田:愚痴ですかねぇ。
武田:いやぁ、福田さんが一緒だったらもう少し頑張れたかもしれないね。
中西:どうですか、福田さん。
福田:俺、中盤じゃないよ。
高木:中盤やってたじゃないですか。
福田:やってない。
武田:やってました。
中西:1 年間やってましたよ。
福田:でも、俺はパスを出す選手じゃないから。彼らはパスを出すパッサーでしょ。俺はパッサーじゃなくて、どちらかと言うと使われる選手の部類だから。
中西:まあ、小野選手も中田選手もすばらしいパスが出せるということですよね。そして第4 問「ジーコ監督と一緒に日本代表として戦いたかった」。これは当然、全員「yes 」ですけど、やっぱりジーコさんは監督として魅力がありますか。
福田:当然そうですよね。僕らの世代はジーコが現役バリバリの頃を知ってますから。日本にJ リーグというプロがない時代ですから、テレビの中でしか見たことがない人で。ただ、ジーコの日本代表でやりたいんじゃなくて、みんな日本代表でやりたいんですよ。特にジーコの元でやりたいっていうのは強くありますけど。やっぱり特別ですよ。ウルグアイ戦は仕事でずっとピッチにいたんですけど、90分間ジーコと10メートルくらいの距離で。「一緒に戦ったな」という充実感がありましたね。
中西:あははは。高木さんはどうですか。
高木:現役でやっていれば目指すのは代表ですし、そういう意味ではジーコが監督になったらそこでもやってみたいなと。他の人がなっても代表でやってみたいという気持ちはありますね。ジーコさんが現役を引退する年に僕もオールスターに選ばれたんですけど、そのとき「これが最後かな」と思ったんで、2 ショットで写真を撮らせてもらいました。
福田:俺は撮ったことないよ、高木と。
会場:笑い
福田:高木が俺にそんなことを言ってきたことがない。
高木:でも、福田さんと一緒に撮ってる写真は家にいっぱいあるんですよ。
中西:武田さんはどうですか? ジーコと写真を撮ったことはありますか。
武田:ないですよ。オールスターとかJ リーグでも対戦してますけど。対決してるから福田さんや僕らのプレイをよくわかってるじゃないですか、ジーコは。僕たちの個性もいいところも悪いところも。だから、ジーコ監督が試合を見に来てくれて、僕たちがいいパフォーマンスをしたら代表に入りやすいんじゃないかなって思いますね。
中西:けっこうベテランの選手も選んでますしね。
武田:秋田(豊、鹿島アントラーズ)選手とか名良橋(晃、鹿島アントラーズ)選手、中山(雅史、ジュビロ磐田)選手とかね。僕は対戦したことがある選手と写真を撮ったことはないですね。だって、さっき福田選手にサインをもらったのが初めてですもん。
福田:大体、選手同士でもらうことはないですからね。照れ臭そうに「ください」って言ってましたけど。こっちの方が照れ臭い。
中西:大竹さんはジーコ監督どうですか。
大竹:私もジーコ監督は好きですけど、先程お三方がおっしゃってたように誰が監督かではなくて、日本代表としてプレイすることが選手の目標なので。もちろんジーコ監督の元でっていうのはありますけど、代表というのは最終目的ですよね。
中西:第5 問「今日のゲストの中で自分が最高のFWだ」とおっしゃっていますけど。
大竹:はい。
中西:言い切りましたね。
大竹:たぶん、会場の方は「ふざけるな」くらい思ってると思うんですけど、むしろ引いちゃってるみたいな。でも、私にも言い分がありまして。
中西:言い分があるんですね。
大竹:あります。皆さんにこの場を借りて言いたいんですけども、私は女子サッカーと男子サッカーの違いはスピードとパワーだけだと思っているんです。やる戦術とか頭を使ってプレイをするというのは全く同じことであって。ただ、筋力が足りないからパスの飛距離が短かったり、走るスピードが遅くて、皆さんから見ると「走ってんのかよ」って思うと思うんですけど。でも、逆に女子だからトラップを丁寧にしなくてはいけないとか、そういう部分もあるんです。男子だと少しくらいトラップミスをしても、自分のスピードがあるのでごまかせちゃう部分があるじゃないですか。
中西:逆に、相手も速いから寄せられるってこともありますけどね。
大竹:はい、そうですね。でも……
会場:笑い
大竹:フォローしてくださいよ。
中西:会場の皆さんが思っていることをちょっと感じたんで。
大竹:でも見てるとトラップミスをしてるのに、特に足の速い方は平気じゃないですか。でも女子の場合はちゃんと止めるトラップをしなきゃいけなかったり、ボールを置く位置に気を遣ったり。そういった女子サッカーの繊細さを見てもらいたいです。
中西:わかります。デリケートにやっているところを見て欲しいということですね。
大竹:はい。武田さん、フットサルとか一緒にやるとわかりますよね。もっと言ってくださいよ!
武田:俺よりうまいから。
中西:本当ですか?
武田:フットサルやると本当にうまいよ。
大竹:うふふ。
中西:武田さんより点を取ったりするんですか。
武田:点も取るし。ビックリするもん。
中西:ボールの置く位置だったり、テクニックに関して。
武田:フェイントとかも種類があるし。最低でも僕と高木君よりはうまいと思います。
大竹:すいません気を遣っていただいて。
中西:そして第6 問「試合に負けてもゴールだけは決めたい?」。やっぱりフォワードとしてはそうですよね、福田さん。
福田:そうですね。フォワードの仕事って点を取ることですから。どんな試合でも点は取りたいと思ってるし、負けた試合でも最低限点を取りたいという気持ちは絶対みんなあると思う。そうやってチームに貢献できるようになってくるので、点を取ることに関しては4 人ともこだわりがあるんじゃないですかね。全員「yes 」は当然だと思います。
中西:続く韓国がらみの質問は後ほど韓国戦について話し合いたいと思いますので、そのときにお聞きします。第9 問「今でも忘れられないゴールがある?」。これはちょっと聞きたいですね。高木さん、いつですか? 福田さん当ててみてくださいよ。
福田:あれですよ、アジアカップ(’92年)、アウジアラビアとの決勝。
高木:違います、違います。
福田:胸でボーンとトラップして、左足でドーンと。
中西:決勝ですか。
福田:そう。坊主頭をかきながら喜んで。
高木:聞いてください! 福田さんが来てるからじゃないですけど、自分の思い出のゴールは最初と最後なんです。もちろん、福田さんが言ってくれた試合もいいんですけど。代表でのファーストゴールは、オフト(ハンス、浦和レッズ監督)が代表監督のときにダイナスティカップ('92 年)があって、そのときの中国戦なんです。福田さんからのパスで。覚えてます?
福田:そうだったっけ。自分のゴールしか覚えてない。俺は点取ってるんですよ。
高木:僕も取ったんですよ。
福田:知らねえな。
中西:ものすごくつれないですね。高木さんが先制ゴールですか。
高木:いえ、2 点目です。
福田:俺が先制ゴール。俺もA マッチで初ゴールなの。あ、俺の話じゃないか。
高木:最後がカザフスタン戦('97 年、フランスワールドカップ予選)だったかな、途中から出てきて。
中西:国立競技場ですよね。5 対1 で。
武田:覚えてるよ。うれしかったもん、俺。
中西:え、なんでですか。
武田:高木選手が選ばれて、しかも決めてくれたから本当にうれしかった。警告か何かで出られなかったんだよね。
高木:カズ(三浦知良、ヴィッセル神戸)さんと呂比須(ワグナー)さんが。
福田:覚えてる、覚えてる。あれでしょ、5 点入った試合ですよね。
中西: 俺が言ったことじゃないですか。
福田:今タケ(武田)が言ったけど、僕も同じ気持ちですよ。ああいう苦しいときに岡田(武史、横浜F.マリノス監督) さんが同世代の高木を選んでくれて、しかも点を取ってくれたからうれしかった。自分が点を取ったみたいな気持ちなんですよ、やっぱり。
中西:あのとき中山さんも点を取りましたよね。
福田:中山のときもそう思いましたよ。
中西:福田さんからもらったパスはどういうのだったんですか。
高木:福田さんが強引に切り込んで行って、マイナス気味のボールに僕は合わせただけなんですけどね。
中西:ごっつぁんゴールですか。
高木:キーパーがいたんで、一応は。
福田:あー! 覚えてる、それ。思い出した、思い出した。
武田:俺も覚えてるよ、ベンチで一生懸命アップしながら試合見てたんだもん。
福田:後半だよね。
中西:右サイドから行ったんですか。
福田:だって、右エリア担当だもん。
武田:みんなはわからないかもしれない。テレビでやってなかったからね。
中西:武田さんの忘れられないゴールは。
武田:福田さんの涙のゴールですね。
福田:自分のゴールを言えよ。言おうと思ってたのに、言えなくなったじゃねえか。
武田:僕はオーバーヘッドキックで点を取ったことがなかったんですけど、日本リーグのときにカズさんのボールをオーバーヘッドキックでダイレクトにボーンと入れて。そのキックがオーバーヘッドで決めた最初で最後のシュートだったので、それですね。
中西:見た記憶あります。
武田:入るわけがないだろうっていうボールを。
中西:めちゃくちゃきれいなゴールでしたよね。
武田:それが唯一思い出のゴールです。
中西:福田さんは考え中なので大竹さん。
会場:笑い
大竹:'98 年にタイで行われたアジア大会です。女子はアジア大会がワールドカップの予選なんですけど、絶対に3 位以内に入らなくてはいけなくて。3 位決定戦のときの1 点目ですね。センタリングから右サイドに私がニアに入っていって。本当にボールに触るか触らないかだったんですけど、体をひねって入れたゴールです。
中西:どこで入れたんですか。足とか頭とか。
大竹:あ、足です。細かくは右足。
中西:それで勝ったんですか。
大竹:はい。勝ちまして、ワールドカップへの出場権を得たので。
中西:印象に残りますよね。
武田:それはねえ。ワールドカップ出場を決めたゴールでしょ。
中西:それは何対何だったんですか。
大竹:2 対1 です。他に決めた選手もいたんですけど、私が先制点だったので。
中西:そして福田さん。
福田:本当はさっきタケに言われちゃったから、J リーグのファーストゴール。
武田:あ、今思い出したでしょ。作ったでしょ。
福田:違う違う。カシマスタジアムで。
中西:それ知ってますよ。後で何が起こったのかも。
会場:笑い
福田:前半に決めて。もう7 試合ぐらい点を取ってなかったんですよ。すごいプレッシャーがかかってて。
中西:あの、水色のユニフォームのときですね。
福田:ゴール決めて喜んでたら、その間に試合始まっちゃって相手に点入れられた。
中西:衝撃的でしたね。
福田:あれでみんな、ああいうルールがあるのを知ったの。
中西:わからない人に説明しますと、福田さんがゴールを決めて、チーム全員で喜んでたんですよ。そしたら、いきなりアントラーズにキックオフされて、そのままドリブルで持っていかれて。黒崎(久志、大宮アルディージャ)選手でしたっけ。
福田:黒崎です。忘れもしない。あれは鹿島アントラーズの非紳士的行為ですよ。あれはしちゃいけない。でも本当にああいうルールがあるの知らなかった。
高木:それは思い出のゴールじゃなくてネタじゃないですか。
福田:ネタじゃない。だってJリーグでのファーストゴールだよ。
武田:ネタにしてんじゃないの? 福田さんがこんなにしゃべると思わなかったもん。
福田:失礼な。
会場:笑い
中西:開幕何戦ぐらいでしたか。
福田:7 戦目ぐらいですよ。
中西:それまで1 度も勝ってなかったんですか。
福田:1 度勝ってるんですよ。5 試合目ぐらいにPKでヴェルディに。
中西:あ、そうでしたね。
福田:僕自身、それまでいい動きができなくて。それは結構いいゴールだったんですよ。ふたりぐらいかわして、すごいシュートだったんですけど……その後が。
中西:もう一つの話もしてくださいよ。
福田:涙のV ゴール。あれはJ2に落ちたときの最後のゴールですけど。延長になる前に落ちることが決まってたんですよ。
中西:知ってたんですか。
福田:知ってました。知らない選手がひとりいましたけど。
会場:笑い
中西:僕、その人が誰か知ってます。
福田:そういうのを当てるコーナーじゃないでしょ。
中西:福田さんのゴールの後、抱きついたんですよね。
福田:びっくりしました。なんだコイツって思いましたけど。
中西:天然なんで許してやってください。
福田:っていうかね、空気を読めって。
武田:俺もあのシーンを思い出すけど、かっこ良かったよね。
中西:本当に。池田(学)はねぇ。今は湘南ベルマーレにいますけど。
武田:池田選手が来なかったらあのままで終わっちゃうもんね。福田選手が池田選手を振り払うから、余計にあのシーンが焼きついて。
福田:解説してどうすんだ。
中西:だってサッカー解説者ですもん。でも、ゴールを決めた瞬間はどうでしたか。
福田:そこに行くまでの過程がいろいろとあって、僕自身最終戦では残り9 分しか出られなかったわけですよ。監督に対する不満もあったし、チームにずっと在籍してたんでその責任感もあったし。とにかく延長に入ったときは早く終わらせなきゃと思ってたんで。
中西:そういう気持ちがあったんですか。
福田:監督に対しても、点を取って自分のことを認めさせたいっていう気持ちが強かったから。ただ、そういうのって虚しいもので、寂しさだけしか残らなかったなって。
中西:でも、あのゴールがあったからこそJ2から上がれたんじゃないですか。
福田:いや、どうかな。
中西:「そうだな」って言って欲しかったですねぇ。第10問「今でも、ゴールを決めた夢を見ることがある?」。大竹さんは見るんですか。
大竹:はい。私は2 年前に引退したんですけど、やっぱり今は現役のときより体が動かないじゃないですか。でも、夢の中で試合があるんですよ。そこで私は醜い動きで。
中西:醜い?
大竹:本当だったら足が出るのに。本当だったら切り返せるのにと思うんですけど、今の自分の体の状態を知っているので。そんなに切れ切れじゃないですから。
中西:夢の中で切れ切れじゃないんですか。
大竹:はい。それがもどかしくて夢の中で言い訳を。「こんなはずじゃないのに」って自分に対して言い訳をしてるんです。そういうことってないですか。「自分はこんなはずじゃないのに」みたいな。
中西:僕は昔っから動けないから。
大竹:オイ。
中西:そういうのはあんまりないです。武田さんはどうですか。
武田:ありますよ。現役に復帰して点取ってるみたいなの。
中西:マジっすか。
武田:あるある、夢の中で。
中西:福田さん、半笑いですよ。
武田:え、ないの?
大竹:ありますよね。
福田:すごい前向きな夢だね。
武田:え、なんで?
福田:だって夢なんて見ないもん。熟睡。
中西:高木さんは代表に復帰する夢は見ますか。
高木:今は見ないですよ。
中西:サッカーをしている夢も見ないんですか。
高木:見ないですね。武田さんはゴールをたくさん決めてるしさ。
武田:いや、福田さんの得点王にはかなわないですよ。
中西:第11問「いずれは日本代表の監督になりたい?」。大竹さんはなりたいですか。
大竹:はい。
中西:女子ですか。
大竹:はい。え、男子の監督にもなれるんですか。
中西:男子は難しいですね。
大竹:そうですよね、女子ですよね。ゆくゆくはですよ、将来的に。
中西:ライセンスはどうなんですか、女子の場合。
大竹:日本代表レベルはわからないですけど、C 級を取っていれば監督できるんです。
中西:代表の監督も。
大竹:代表は……今まで女性の監督っていないんですよね。
中西:女子の代表監督にはなりたいと。で、武田さんは。
武田:恐れ多くて代表はまだ早いです。いつかはやりたいと思いますけど。
中西:いつかは代表監督になりたいんじゃないですか。
福田:「yes 」じゃねえかよ。
中西:質問でも「いずれは」ですよ。
武田:でもさ、代表の監督って全部責任を取らなきゃいけないじゃん。だったらあまり責任のないコーチあたりでのんびりサッカーを楽しみながら、監督に言いたい事をいいながら選手たちと楽しくね。その方がいいかなって。監督になっちゃったらプレッシャーが大きいじゃん。性格的にそっちの方が合うのかなって。今までだってキャプテンやってないし、ずっと副キャプテンなんだよね。なんでかなって思ったけど、性格的に明る過ぎるし、騒ぎ過ぎるからなれないのかなって。ずっと性格的に副キャプテンなんだよね。だから代表でも監督よりコーチの方が合ってるのかなって最近は思ってきました。
中西:高木さんは武田さんとずっと一緒にやってるじゃないですか。本当に明る過ぎるし、騒ぎ過ぎるんですか。
高木:武田とC 級の研修が一緒だったんですよ。同じ部屋だったんですけど、余裕こいて勉強を全然しない。本当はしてるんですけど、周りにはしてないようなフリをする。
中西:マラソンで、「俺、練習してないし走れないよ」って言っておきながら一番先に走る人。
高木:そうですそうです。
武田:違うよ。全然そんなことないじゃない。
中西:高木さんはどうですか。
高木:武田が言ってたように、代表はいろいろなものを背負わなきゃいけない部分があって、大変な仕事だと思うんですよね。特に代表監督というのはクラブチームよりもすぐに首を切られると思うんですよ。そういう意味ではクラブチームの方が長いスパンで任せられるし、まずはそこから始めていって。そっちの方が自分のサッカーができるかなと。

後編へ続く

構成・文:CREW
撮影:星野洋介