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豪華ゲストとともに、あらゆるスポーツについて熱く語り合ってきた「ぴあトークバトル」。6月1日、これまでで最も多く取り上げてきた日本代表をテーマに第27弾が開催された。ゲストには井原正巳が初登場!! おなじみの宮澤ミシェル、中西哲生の3人で繰り広げられたトークの完全版を公開!!

ぴあトークバトル
スポーツ快楽主義2003 Vol.27
「どうなる!? サッカー日本代表 ~キリンカップサッカー2003を前に~」

完全版・前編

<ホスト>
中西哲生(なかにしてつお、スポーツジャーナリスト)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、'00年にJ1昇格を果たした。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「ニュース23」(TBS系)などに出演中。

<ゲスト>
宮澤ミシェル(みやざわみしぇる、スポーツコメンテーター)
'63年、千葉県生まれ。'86年にフジタ工業(現湘南ベルマーレ)入り。'92年にジェフ市原へ移籍し、Jリーグ開幕を迎える。'93年には日本国籍を取得し、アジア大会日本代表候補に。Jリーグ通算58試合2得点。'96年現役引退後は、スポーツコメンテイターとして軽快なトークを披露している。

井原正巳(いはらまさみ、元日本代表キャプテン)
'67年、滋賀県生まれ。筑波大時代の'89年から日本代表DFとして活躍。'90年に日産自動車入り、DFの要として横浜マリノスを牽引した。'00年、ジュビロ磐田へ移籍。'01年からは浦和レッズでプレイし、昨年現役を引退。Jリーグ通算297試合5得点。日本代表通算123試合5得点。現在はサッカー解説者として活躍している。


中西:ぴあトークバトルVOL.27『どうなる!? サッカー日本代表』~キリンカップサッカー2003を前に~。最近はラグビーが続いていたので、久しぶりのサッカーです。今日もすばらしいゲストの方が来ています。それではご紹介しましょう。このぴあトークバトルではすっかりお馴染み、ほぼ準レギュラー。現在はサッカー解説者、宮澤ミシェルさんです。
会場:拍手
中西:お久しぶりですよね。
宮澤:だって呼んでくんねぇんだもん。皆さん、お久しぶりです。
中西:今日もよろしくお願いします。それでは大変長らくお待たせしました。トークバトル初登場です。出ていただいて本当にうれしいです。元サッカー日本代表キャプテン、日本代表123試合という最多出場。
宮澤:きっともう、お年寄りだね。
中西:そういうことじゃないでしょ(笑)。井原正巳さんです。
会場:拍手
中西:よろしくお願いします。
井原:よろしくお願いします。お年寄りの井原です。
宮澤:この中で誰が一番年寄り? 
中西:それでは乾杯したいと思いますので、皆さんお飲み物を(笑)。アルコール類もどんどん飲んでいただきたいと思います。
宮澤:昼間からビール。
中西:昼間にビールを飲むっていいですよね。憧れるパターンです。日本代表が益々発展するように、そしてここにいる方々のご健勝を記念して乾杯したいと思います。乾杯! それでは皆さん、お席に座っていただいて。さっそくトークバトルをスタートさせていきたいと思いますが、その前に、ウォーミングアップ代わりとして恒例となっております、ゲストへの11の質問からいきたいと思います。お手元には「yes」「no」の札がありますので、これからの質問に「yes」「no」でお答えいただきたいと思います。どちらかわからない場合はダブルでも結構です。よろしくお願いします。

質問中西井原宮澤
1:昨日の日韓戦の内容には満足した?yesnono
2:ワールドカップ予選では韓国代表と同じ組に入りたくない? yes/noyesyes
3:日本代表で見てみたい選手がいる?yesyesyes
4:日本代表のディフェンスラインに自分のような選手が欲しい?nonono
5:サイドバックの三都主を見てみたい?nonoyes
6:日本代表には“黄金の中盤”が欠かせない?yes/noyesyes
7:“黄金の中盤”よりもいい組み合せがある?yes/noyes/noyes
8:キリンカップのアルゼンチン戦。日本は勝てる?yesyesyes
9:サビオラを抑え切るのは難しい?yesnoyes
10:キリンカップのパラグアイ戦。日本は勝てる?yesyesyes
11:日本代表監督になりたい?noyesno
中西:それでは11の質問を受けて、ここからゆっくり話をしていきたいと思います。第一問「昨日の日韓戦の内容には満足した?」。井原さんも宮澤さんも「no」で、僕は「yes」。
井原:結果的に負けちゃったというのもありますし、前半はそれなりにいい形はあったと思うんですが。後半は完全に押されまくっていて負けゲームだったと思うので。シュートもほとんど打ってないし。
中西:後半は0本でしたよね、確か。
井原:後半は1本くらいじゃないのかな。トータルで2本ですよね。
宮澤:俺なんてスタンドで見てたのに覚えてねぇもん。
中西:鈴木(ベルギー・ゲンク)選手が打ってたじゃないですか。
井原:後半覚えてるのはあれだけですよ。
宮澤:鈴木、打ってた?
中西:試合見てたんですか。
井原:あれは結構いいシュートでしたよ。
宮澤:ああ、あのボレーか。お~見た、見た。
中西:一杯飲むとすぐに忘れちゃう。
宮澤:本当に忘れてたよ。でも、そのぐらいだったよ。スタンドで見てたけど、本当に最悪。昨日のゲームを語ったら、2時間ひとりでいくよ、悪いけど。ジーコ(日本代表監督)にも来てもらわないといけなくなっちゃう。冗談じゃないよ!高いチケット買ってよ、シュート2本だぜ。1本いくらだよ。
中西:割る必要はないと思いますけどねぇ。シュートだけを見るために行ったわけじゃないでしょ。
宮澤:シュートを見るために行ったよ、俺は。
中西:それはそうですけど、シュートだけじゃないでしょ、当然。井原さんは?
井原:圧倒されてしゃべれないよ、俺。
宮澤:真面目に行こう!
中西:今まで真面目に話してなかったんですか(笑)。
宮澤:真面目じゃなかったな。井原さん、ちょっと僕の話を聞いてください。
井原:あ、どうぞどうぞ。
宮澤:韓国はアウェイの戦い方をしましたよ。金南一(キム・ナミル、オランダ・エクセルシオール)、柳想鉄(ユ・サンチョル、韓国・蔚山現代)、李乙容(イ・ウルヨン、トルコ・トラブゾンスポル)の3人ボランチがいて、ガッと引いて。日本はいい感じで行けるなと思ったけど、守られてるからダメよ。サイドから上がって行ってセンタリング上げられたれたのって、名良橋(晃、鹿島アントラーズ)からの2本くらいか。がっちり引かれて3人で固められて。そういうときはどうすんだ? 唯一攻撃のきっかけをつかんだのは小笠原(満男、鹿島アントラーズ)だけだった。どうにかゲームを動かそう動かそうとしてね。
中西:すごく成長してましたね。
井原:小笠原が2列目から飛び出してチャンスになりかけたのが何回かあったんですけど、チャンスはあれぐらい。鈴木隆行のシュートも、小笠原が前に飛び出して、相手がクリアしたボールが隆行のところに行ってボレーシュート。そういうのがないと、なかなか攻撃の形を作れなかった。
宮澤:コンディションが良かったのは、中田浩二(鹿島アントラーズ)。攻めには行かないけど、守りとしてすばらしかった。稲本(潤一、フルハム)は正反対。
中西:後半疲れてましたね。
宮澤:「うわぁ、かわいそうだな」って思ってました。サイドも全く上がれない状態に引かれてるし。僕はこの間韓国でやった試合と逆だと思いました。前回は内容では韓国、結果では日本だったけど、今回の韓国に内容は関係ない、勝たなきゃ先がないみたいな感じでしたから。「こんなんでいいのか、韓国は!」って感じで見てました。そうしたら、後半逆にやられた。柳想鉄が前に出て2列目から崩されてさ。
中西:最初、韓国のメンバーを見たときこれでいいのかなって思いました。メチャメチャ守備的な感じでしたもんね。
宮澤:後半から変わったよね。柳想鉄が小笠原みたいに2列目から飛び出してきて。
中西:ゲームプランがしっかりあった感じですよね。
宮澤:安貞桓(アン・ジョンファン、清水エスパルス)と李天秀(イ・チョンス、韓国・蔚山現代)はこれまたキレキレだもの。
中西:髪型もね。
井原:あれ、わからないよね。
宮澤:髪型について言われると、俺は長いぞ。でも、あれで本当に変わったよ。
中西:変わりましたね。こういうやり方で来たんだっていうのがわかりました。
宮澤:安貞桓は清水エスパルスであそこまでやらないだろ。
中西:なんであんなに違うんですかね。
宮澤:大したもんだよ。
井原:よく森岡(隆三、清水エスパルス)とマッチアップするんですよね。
中西:しましたね。見ていておもしろかったです。
井原:一回、PKかなっていうのがありました。
中西:それっぽいのがありましたね。
宮澤:あったねー。
井原:あれ、取られなくて良かったですよね。
宮澤:俺、その角度にいたのよ。思わず笛を吹きそうだったね、ピーッと。
中西:主審じゃないんですから。でも逆に小笠原も。
井原:そう。だから取られなかったんですよね。
中西:宮澤さん、また覚えてないんですか。
宮澤:飲み始める前だったからね。小笠原が自分から足を入れていったなというのはあった。秋田(豊、鹿島アントラーズ)と崔龍洙(チェ・ヨンス、ジェフユナイテッド市原)とか、森岡と安貞桓はおもしろい、スゴイよ。一発目に後ろから秋田が行ったら、今度は崔龍洙がガーッと。崔龍洙が「ゴメンゴメン」って言ったら、秋田は「ふざけんな!」って。何をするかと思ったら秋田、レフリーに告げ口に行ったよ。崔龍洙も戻ってきて・・・いいよなぁ秋田。
井原:あの2人は昔からやってるの。'98年のワールドカップ予選のときに、秋田が崔龍洙の鼻にヘディングして骨折っちゃった。
宮澤:でも、やれって言ってるのは井原でしょ。
井原:何も言ってないですよ。アイツは何も言わなくても自分でやってます。
中西:井原さんとしては、秋田選手が前にいると頼もしいですか。
井原:そうですね。ストッパーとしてはすばらしいものがありますよね。
宮澤:柱谷(哲二、浦和レッズコーチ)だって秋田だって、号令を出してるのは井原さんでしょ?
井原:哲さんに号令は出せないですよ、恐かったですもん。
宮澤:柱谷は、井原選手・・・あれ、今は解説者だっけ。
中西:井原さんのことは、ついつい「選手」って言っちゃいますよね。
宮澤:「さん」でいいですか?
井原:「井原」でいいですよ。
宮澤:イヤです! アジアの壁に向かってヨーロッパのハゲがそんなことを言えません。えーっと、何の話だっけ?
会場:笑い
中西:柱谷さんと井原さんの話。
宮澤:そう。井原選手は後ろでいろいろなことを結構やってますよ。でも、柱谷が井原さんと同じことをやっても違うんですよ。井原さんは見た目がスマートだけど。柱谷は「俺は“闘将テツ”だとか訳のわからないことを言われて傷ついてるのに、同じことかそれ以上のことをやっても井原ってクール、みたいなこと言われる」って。
中西:井原さん、スマートですよね。柱谷さん、僕にも同じことを言ってました。
井原:それはひがみですよ。絶対あの人の方が汚いと思う。秋田にも同じようなことを言われるんだけど、お前の方が汚いだろって。あいつは本当にやってますからね。ボンボンボン殴ってますからね。
宮澤:柱谷がテレビ朝日系の「NANDA!?」にウッチャンナンチャンの南原さんと一緒に出ていて。
中西:井原さんの話になったんですよね。それは見ました? 井原さん。
井原:オンエアーは見ませんでしたけど、「そう言ってたよ」っていうのは聞きました。
宮澤:テツ(柱谷)が、南原さんにこうやってボールを受けるんですよって教えていて、一番最初に何をしたかって、南原さんのアキレス腱を蹴っ飛ばした。もう癖だよな。
中西:でも、ディフェンスはそれやってなんぼってところがあるじゃないですか。
宮澤:俺なんて一回もない。抜かれてもいいから、一生懸命やろうって思ってたもん。
中西:かっこいい。
宮澤:昨日は小笠原が日本の中で一番のやり手だったね。踏んづけたりすごかったよ。13番の李乙容。小笠原は俺の席からよく見えたんだけど、笑ってんの。しかもやり続けてるからね、アイツ。
中西:そういうところはちゃんと見てますよね。
会場:笑い
宮澤:俺は見に行くと、大体そういうところしか見てないもん。
中西:さっきはシュートを見たいって言ってたじゃないですか。
宮澤:とにかくアイツの心臓はすごいよな。
井原:すごいですよね。淡々とやりますから。
宮澤:ホント。俺が一番嫌いなタイプ。もし俺が現役だったら、後ろからガーンと、思いっきりな。でも、チームメイトだったらいいよな。やってくれてるよ小笠原! って。
中西:ちゃんと話を戻しますけど。
宮澤:俺、ちゃんと話ししてるよ。
中西:してますけど。日韓戦はダメだったと。シュートも少なかったし。じゃあ、どうすればいいですか。
宮澤:良かったって答えてた人がいたよな。
中西:はい、僕は前向きなんで。ああいうふうに負けて良かったなと。勝つとまた問題が先送りされちゃうじゃないですか。負けたら選手も話し合いをするし、イヤなことは言い合うじゃないですか。監督も言うし、選手の方も監督にもっと要求するし。何か問題点が出て負けた方が、中途半端に結果が出るよりはいい。実はこの1ヵ月、負けた方がいいと思ってるんです、僕は。この1ヵ月ぐらいしかないじゃないですか、ワールドカップ予選までにまとめて戦えるときって。
宮澤:大人だなぁ。
中西:そうじゃなくて! 代表のゲームに関しては一喜一憂しちゃいけないと思うんです。2005年の3月にワールドカップの予選があって、そのときに一番いいパフォーマンスができるように、今どうすべきかってことだから。勝ったり負けたりいろいろなことが起こるんですけど、負けた方が問題点は先送りにされないですからね。
宮澤:昨日勝ってたらこのイベントもなかったからな。
会場:笑い
中西:ありますよ! 課題は見つかりましたよね。ディフェンスは良くなってましたね。前後関係じゃなくて横の4人。
井原:前半は良かった。後半は、粘り強く守ってたからいいところもあったんですけど、全体のディフェンスを見ると良くない。
中西:そうなんですよね。
宮澤:柳想鉄が邪魔してきたんだよ。
中西:前半はチームとしてプレスもしっかりかかってたし、最終ラインにボールが入ったときも、後ろは狙える状況だったじゃないですか。インターセプトも狙えるし、秋田選手もバーンといけるし。でも後半はプレスが効かないし、しかも相手にバランスを崩されたから。最終ラインの4人がなんとか耐えた。
井原:そう。前半は、韓国も全然ポジションチェンジをしないで、ほとんど3トップ気味で、各自勝負してくる感じでした。後半はいろいろなポジションチェンジがあって、2列目からドンドン飛び出されて。日本は恐いからバックラインが下がっちゃって、その分中盤にスペースができてボールを支配されてしまった。それで余計にしっかり守るしかないってことで、ドンドン下がってしまった。なんとか凌いでましたけどね。
中西:4人で凌いでいるのを見て、コンビネーションが良くなったなと思いました。4人がピシッと絞って、ペナルティエリアの外に洩れなくなったじゃないですか。あの4人で守ったら簡単に洩れないというのがわかりました。
宮澤:最終ラインのところはね。ただ、後半のバランスがね。
井原:そう。下がったぶん攻めることができなくなった。
中西:それで攻撃に行けなくなっちゃいましたよね。
宮澤:攻めは問題だぞ。
中西:課題はどこだと思いますか、井原さん。
井原:サイドをどれだけ突破できるかだと思うんだけど、名良橋とかサイドバックのオーバーラップだけに頼るっていうのも良くないと思う。中盤でサイドをもっと突破できるのがいないと。三都主(アレサンドロ、清水エスパルス)がいると、左サイドはある程度可能性があると思うんですけど。
中西:宮澤さんが何か言いたそうですよ。
井原:昨日はクロスボールをほとんど上げられませんでしたからね。中に入ったときは多少、いい仕事はできていたと思います。
中西:宮澤さん、三都主についてどうぞ。
宮澤:個人的に悩んでいると思うよ、三都主は。縦には行けないし。中に入ってキュッキュッキュッとはたいてくれるのはいいんだけど、全く良さが出てない。非常に悩んでると思うな。1対1の接し方を見ていると、縦には出せないな、ボールを出すコース切られてるなっていう反応の仕方をするのよ。いいときはリアクションでポンポンと出してガーッと行ってたじゃない。今は縦に行って取られたくない、みたいな。
中西:今は必ずスピードダウンするから、後ろにカバーが入れますもんね。
井原:勝負をかけるのが遅いんです。1回止まってという状況が多すぎるんですよね。
宮澤:俺もそうだったけど、左利きの悪いところで左足でしか持たないから。ひとつ中に入って打つとか、いろいろやることは覚えたけど、ディフェンスには見えやすいんだよな。だからボールも取られやすい。しかも攻撃型の人にとっては一番イヤな取られ方。
中西:印象が悪いですよね。監督に対しても。
宮澤:そうそう。体を入れられて先に進めなくて、後ろから蹴っ飛ばしてファウルを取られちゃうとかね。あったでしょ。あれが恐いんだと思う。もう少し時間を与えてあげないと、いいときの三都主は全く戻ってこないと思うよ。
中西:僕だったらボールを置いて、すぐクロスボールを上げられるのがイヤですね。
宮澤:勝負をする前に?
中西:そう。それで精度の高いボールが上がってきたら、抜く必要はないですもん。そうして欲しいなって場面がいくつかありました。
井原:今は止めて勝負するしか自分の中に選択肢を持ってないという感じですよね。だから早くアーリークロスを上げるとか、違うことをやれば逆にポンと抜けるかもしれないし。今は抜いてから上げてやろうというこだわりがあるのかな、っていう印象があります。
宮澤:スピードに乗った状態でボールもらって、ポーンと2本ぐらいいいセンタリングが上がれば、蘇って自信を持てるようになるんだろうけど。左の服部(年宏、ジュビロ磐田)は上がらないでしょ。バランスを保って思いっきりディフェンシブに戦ってて、右の名良橋が上がっていくっていう考えだから。三都主は服部の分まで勝負していいよって、監督から言われていると思う。
中西:後は、何かありますか。
井原:トップとの絡みで、くさびを受けるのは鈴木もゴン(中山雅史、ジュビロ磐田)も良かったと思うんだけど、その次。ゴールに向かうときに人数が足りない。クロスが上がらないから中の人数が少ないと思うんだけど、どうしてもゴール前に人数が足りない。ゴールに向かう恐さがないと、ディフェンスもあまり恐くないから。くさびはトップの2人とも結構受けるのはうまいんです。鈴木なんか体も強いから。ただシュートを打ってない。1本こぼれ球を打ったぐらいで、ゴンもゼロだし。トップがもうちょっとゴールに向かう恐さを見せないと、なかなかディフェンスを崩せないかなと思います。トップとサイドと2列目の組み合わせを、もっとうまく使っていく必要があるかな。
宮澤:前線の選手は本当に献身的に動いてくれてるし、あちこちに顔を出してくれて運動量は多い。でも向こうに引かれちゃってる面もあって、くさびのときにチャンスだったら前に抜くだとか、はたいといて中盤と相手ディフェンスとの間でもらって、前を向いて「ソーレ!」みたいな勝負がないから。やっぱり恐さはないね。
井原:1対1で仕掛ける、勝負する。韓国の前の選手はするじゃないですか。
中西:しますね。
井原:三都主はしようとしてましたけど、ほかの選手は確実なパスをするっていうイメージが強いのかな。
宮澤:小笠原選手が後半からボールに触れなくなったのね。自分で攻めを作ることをやらなくなっちゃった。経由しなくなったら日本の攻めにならなくなってきた。
中西:僕が見ていて一つは、4月16日に韓国とやったときの後半はすごく良かったと思っていて。なぜ良かったかというと、崩す中でダイレクトパスが随所に入ってましたよね。昨日は落とすんじゃなくて、前に出すダイレクトパスがほとんどなかった。一回一回止めてからパスするから、ディフェンスとしてはやりやすいじゃないですか。それから、ひとり飛ばしてパスを出すことができない。一つ飛ばせばマークを外すのも楽なんですけど、飛ばすこともできないし、飛ばすコースも作れない。三都主みたいにドリブルで勝負して、スペースを作れる選手がいればおもしろいと思います。だから大久保(嘉人、セレッソ大阪)選手、石川(直宏、FC東京)選手、松井(大輔、京都パープルサンガ)選手を出しても良かったかなと。ダイレクトパスと、ドリブルを出していかないと相手が崩れないと思うんですよ。特に遅攻の場合は。後は2列目から飛び出す、追い越すとか。それがなかったから昨日は崩せなかった。前回の日韓戦では、奥(大介、横浜F・マリノス)選手が入ったときにドリブルもダイレクトパスもやったし。昨日はそういうところが課題だったかな。後はジョーカーですよね。
井原:韓国はすごく引いて守っているんじゃなく、結構ラインは高く保ってたから裏にスペースはあった。だから後半に大久保が出て、最終的なシュートまでは行かなかったけど何かやりそうだなっていうところまでは行ってたかな。
中西:裏を狙うしドリブルするから、ラインを引かざるを得ない。
井原:オフサイドにはなったけど永井(雄一郎、浦和レッドダイヤモンズ)からいいボールが入って、コントロールしながらゴールを狙ったり。可能性は感じました。
宮澤:中央ってそんなに使っちゃいけないわけ? 取られたらカウンターを受けるかもしれないけど、例えば小笠原が前に向いたときに、三都主が中に入ってきて中央を切り込んで行っちゃうとか。見ていて攻めが恐くないんだよ。そりゃあ取られたときのリスクはわかるし、サイドから上げるのが一番チャンスになるだろうっていうのもわかるけど。ディフェンスは真ん中を攻められると恐いよね。
中西:真ん中は一番イヤですよね。
井原:4バックだと真ん中が空く可能性もありますから。ストッパーの関係がちょっと悪いときなんかは。
中西:ボランチのポジショニングが悪いときとか。
宮澤:ドリブルが入ったときに、当たり前なんだけど詰まっちゃうんだよな。オリンピック予選で松井がドリブルをしたときに、日頃2タッチだ、ダイレクトだって教えられてるからだと思うんだけど、周りが合わないというか見ちゃうんだよな。昨日も小笠原がなんかやろうと他の選手を探してるのに、誰も合わないみたいな。もっと真ん中からの攻めをやってもいいんじゃないのかな。
中西:そういうの欲しいですよね。
宮澤:もちろん、リスクもわかってるけど。
井原:あとはシュートを打ってもいいシーンが何度かあったんだけど、打たなかった。小笠原にも1本あったんですよね。
宮澤:俺は逆にすげぇフェイントだなって思ったよ。ラインを抜けていってボール落としたでしょ。
井原:中山にね。あれも前を向いていればシュートに行けたかもしれない。
宮澤:あれはどう見てもシュートのタイミングだけどな。これがボールの落としもうまくてな。
中西:めちゃくちゃうまかったですよ。ディフェンスにしてみれば完全に裏をかかれましたよね。あれでシュートがバコンと入っていれば、それでOKなんでしょうけど。
井原:前半にも一回あったんです。左サイドから真ん中に寄りつつ正面に向かってドリブルしていて、ミドルシュートを打てるんだけど右に流した。昨日のようなスリッピーなグラウンドだったら打ってもいいんじゃないかと思ったんですけどね。ミドルシュートを打っていれば、次の局面で違いが出てくるし。積極性を出してもいいのかなと。
宮澤:安貞桓が右のペナルティエリアから、打つぞ、フェイント、打つぞ、またフェイントって。そんな感じだよな、強引に行くみたいな。
中西:いつもスゴイなって思うんだけど、安貞桓はなんでいつもキレてるんだろうって。
井原:なんで清水エスパルスのときはキレないんだろう。
中西:昨日の試合を見ても、すごいキレてるじゃないですか。ターンもパキーンと切り替えしするし、右足でも左足でもボール持てるし、すごいじゃないですか。
宮澤:ゴールしたら真っしぐらに韓国の応援団の前に行ってユニフォームを脱いで。俺はコノヤローって思ったね。
中西:いい体してるなって思いました。いい筋肉してますよ。薬指の指輪にはキスしてませんでしたね(笑)。
宮澤:ああ。奥さんに?
中西:珍しくやっていませんでしたけど、昨日はそれぐらいうれしかったんですかね。
宮澤:喧嘩してたんじゃねぇのか。
会場:笑い
中西:おもしろい! じゃあ、次に行きましょう。「ワールドカップ予選では韓国代表と同じ組に入りたくない」。僕は「yes」と「no」の両方なんですけど。そりゃあ同じ組に入りたくないですけど、たぶんシードされるからあり得ないですよね。
井原:シードあるのかな。何組に分けるかによると思うんだけど。
中西:そうですね、最終予選で。
井原:わからないでしょう。
中西:最終予選で総当たりって場合もありますからね。
井原:どういう形で最終予選を迎えるかによって違ってくると思うけど。ワールドカップはまだ先ですけど、オリンピックは4チーム中1チームだっけ?
中西:そうです。
井原:2位になったらダメですよね。そういう状況で韓国と一緒だったらどっちかが行けないわけでしょ? それはキツイでしょ。
中西:それはキツイですよ。井原さんは代表でずっと韓国と試合やってますけど、そういうのはやっぱりイヤですか。'98年のときもあったじゃないですか。
井原:そうだね。やっぱり韓国とは外れた方がいいね。お互いに意識してるし、アジアの中では一番だっていうのがありますからね。
中西:他の国とやるときと違うところってあるんですか。
井原:韓国の選手の方が日本を意識していて、「絶対日本には負けない」というのは感じてました。もちろんそれをを受けて、日本の選手たちも韓国とやるときはちょっと違うなっていうのは感じたし。
中西:ちょうど井原さんが代表に入ってバリバリ試合に出るようになった頃に、日本も韓国に勝つようになってきたじゃないですか。余計に韓国の強いプレッシャーを感じたんじゃないですか。'95年のダイナスティカップのときやワールドカップ・アメリカ大会の予選のときとか。
井原:勝つようになってからは、実力的にはほとんど変わらないので自信みたいなものは生まれました。10年ぐらい前の勝てないときは、韓国とやったら負けるかな、実力の差があるなって思ってた時期もあったので。でも、今はもうありません。
中西:ほぼ互角ですよね。
井原:ほぼ互角だと思います。
宮澤:追いついて追い越され、また追いついてってやってるよな。
中西:'98年の国立競技場と蚕室(チャムシル)競技場での試合は忘れられませんね。
宮澤:本番になるとまた違うんだろうな。
中西:昨日とは違いますよね。
井原:全然違うでしょうね。
中西:試合自体が戦争みたいですよね。
井原:そうなると思います。
宮澤:韓国チームはガンガン仕掛けてくるじゃん。
井原:前に蚕室競技場に行ったときは、もう韓国はワールドカップ出場が決まっていた状況だったから。本当のワールドカップ予選で、全く先が決まってない状況でアウェイの試合ってかなり違うんじゃないかな。
中西:相当すごそうですよね。
宮澤:でもいいんじゃないか。アジアにそういうチームがあって。
中西:いいと思います。テストマッチってテストマッチの雰囲気になっちゃうけど、韓国とやるときにそういうわけにはいかないですもんね。いい練習試合の相手ですよ。一番身近で真剣にできる相手。
宮澤:彼らもそう感じてるしな。そういうふうに感じさせられるようになったわけだよね、ここ何年かの歴史の中で。
中西:中国も強いじゃないですか。
宮澤:不気味だよね。たぶん平均身長180cmぐらいで合わせてくるよ。オリンピック代表チームがアジア選手権か何かで2位になったときに話を聞いたんだけど、もう一度試合やったら勝てない気がするのはどこのチームだって質問したら「中国だって」。中国に勝てる保証は全くないって。それぐらい差を感じたって。あの時はカウンターから1対0で日本のオリンピックチームが勝ったけど、今度は大変だって。120%の力を出さないと勝てないって言ってたよ。
中西:今回東アジア選手権がなくなって中国の選手はガッカリしてたみたいですよ。
井原:別の場所に隔離して合宿してたみたいですからね。
中西:練習試合中に大会中止の知らせを聞いて、みんな帰っちゃったって。どうしても韓国や日本とやりたかったみたいです。勝ちたい、勝てるっていう気持ちがあるみたいで。
宮澤:韓国、中国、日本。
中西:サウジアラビア、クウェート、UAE。イランも強い。ここで4ないし5ですからね。厳しいですよ、やっぱり。
井原:簡単じゃないでしょうね。
宮澤:ちょっと飲もうよ。
中西:飲んで忘れたい? さて、「日本代表で見てみたい選手がいる?」は全員「yes」です。
宮澤:この間大久保選手、石川選手、松井選手が入ったけど、我々のポジション、ストッパーで誰かと言うと、坪井(慶介、浦和レッドダイヤモンズ)選手とか。大きくて強くてっていう選手が早く出てこないとね。
中西:デカくて速いっていうのが最近の世界標準ですからね。
宮澤:左サイドのベガルタ仙台の根本(裕一)。彼はオリンピックチームでグンと伸びてきたと思う。左サイドはなかなかいないでしょ。
中西:大きくて速いストッパーというのは誰ですか。
宮澤:これはまだいないですね。探して見ても、誰かなぁ、みたいな。
中西:角田(誠、京都パープルサンガ)はいいと思います。
井原:角田とか松田(直樹、横浜F・マリノス)もいいと思います。松田は今回は入ってないけど。
中西:他はないですか。
宮澤:なかなか見当たらないね。ディフェンスを4枚でやるなら、足が速くて身長が185cmだとかいうのが出てくるといいけど。今の選手たちもすばらしいんだけど、日本が世界のスケールを超えて行くことを考えた場合に、まだ全然だけど柏レイソルの根引(謙介)ぐらいの大きさがあって柔らかくて強いのが出てきたら戦える。彼はまだ弱いんだけど。昔ね、クロアチアの選手でゴラン・バシリエビッチっていう選手がジェフ市原に来て、同じ左利きで。何が違うかっていうと、コンタクトが違うのよ。それで俺がベンチに座らされて。俺は大っ嫌いな奴だったの。
井原:ベンチに座らせられたからでしょ。
宮澤:ほとんど練習しないんだけど、週末のミーティングになると監督がバシリエビッチって呼ぶんだよ。宮澤ミシェルとは呼んでくれないの。で、サイドバックで出されたり、ボランチで出されたりするわけ。何が違うかっていうと、グッと寄せられたときやフォワードがボールを取りに来たりしたとき、お前らは関係ないんだって感じでプレイができる。ハーフウェイラインを過ぎたところから狙うからね。そういう選手が見たいなと思います。いないですかね?
中西:井原さんは?
井原:今のところ根本とか、ミシェルさんが挙げたような選手ぐらいですかね。なかなか出てこないですよ。
宮澤:こういう選手ってのは、環境がそうするのかもしれないけど出していかないといけないな。点取り屋と守備の核と。
中西:3バックだったら角田選手で、後は、新井場(徹、ガンバ大阪)選手。それからテル(岩本輝雄、ベガルタ仙台)は使ってもいいんじゃないかなと思います。
宮澤:いいときのテルはね。
井原:いいときのテル。
中西:テルはいいですよ。
井原:テルは、50分くらいならいいと思う。
会場:笑い
井原:彼は試合の途中、消えるんですよね。
中西:クロスボールの精度の高さ、それと抜かなくても上げられる。タッチラインギリギリのところから上げるアーリークロス、あれだけ速くて長いボールをドリブルしながら上げられる人はいないですよ。
宮澤:オフのときにやりたいっていうからスペインに連れて行ったの。アトレチコ・マドリーの、これからプロになる22、3 歳の若い選手の中に入れたら全然遜色ない。すばらしいクロスを上げてたわけ。
中西:すごいボールがきますよ、本当に。
宮澤:チームの関係者にあいついくつだって聞かれて、31歳かなって答えたら、21、2歳じゃねえのか! なんでこんなヤツ連れてくるんだって。でもいいぞって。
中西:あとはセットプレイですよ。入ってないけど今シーズンも何本ポストバーに当たってるか。ものすごい正確性ですよ。距離があっても角度がなくても狙いに行くもんね。外から逆サイドのポストの上を狙ってるんですよ。
宮澤:狙ってるね。
中西:角の一番上を。だから一回やってみていいかなって。もしかしたらいいジョーカーになるかもしれないし。大きい選手、ヘディングする選手が中にいればクロスボールもバンバン上がってくるし、セットプレイだったら確実に枠に行く力を持ってるから。使って欲しいなって気がします。次に行きましょうか。「日本代表のディフェンスラインに自分のような選手がほしい」。なんで、2人も「no」なんですか。

後編につづく

構成・文:CREW
撮影:源賀津己