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8月17日、TOKYO FM ホールに豪華メンバーが集結した。元日本代表で、この夏引退試合を行なったばかりの福田正博と北澤豪、そして音楽界のサッカーフリーク・川上つよし。中西哲生をホストに行なわれた、真夏のサッカー日本代表談議を、余すところなくお届け!!

ぴあトークバトルVol.28
「どうなる!? サッカー日本代表」

~キリンチャレンジカップ・ナイジェリア戦を前に~
Supported by キリンビール大学サッカー部"

前編

<ホスト>
中西哲生(なかにしてつお、スポーツジャーナリスト)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンを務め、'00年にJ1昇格を果たした。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「ニュース23」(TBS系)などに出演中。

<ゲスト>
福田正博(ふくだまさひろ、元サッカー日本代表)
'66年、神奈川県生まれ。相模原工高から中央大を経て、'89年に三菱重工(現浦和レッズ)入り。'95年にはJリーグ日本人初の得点王に輝く。'00年にチームがJ2へ降格してもチームに残り、'02年の引退まで生涯レッズを貫く。J1リーグ通算216試合91得点(歴代5位、'02シーズン終了時)。日本代表通算45試合9得点。

北澤豪(きたざわつよし、元サッカー日本代表)
'68年、東京都生まれ。修徳高校から本田技研を経て'91年読売クラブ(現・東京ヴェルディ1969)へ移籍。Jリーグ初年度の'93年と'94年のチャンピオンシップ優勝メンバー。日本代表としてもフランスワールドカップ出場に貢献した。'02年に引退。Jリーグ通算265試合41得点。日本代表通算59試合3得点。

川上つよし(かわかみつよし、東京スカパラダイスオーケストラ)
'67年、東京都生まれ。スカパラ・リズムセクションを支える屋台骨にして、メンバー中一番のスカ・コレクター兼ソウルフリーク。その守備範囲の広さからDJとしても活躍。最近では若手ロックステディバンド、Rocking Timeをはじめとし、プロデューサーとしての活動も多い。自他共に認める釣り好き・サッカー好きであり、以前に刊行したCDつきエッセイ集「川上つよしのつれづれ日記~無類の面倒くさがり屋がゆく~」に、その思い入れの強さが伺い知れる。また、スカパラとしての活動の他に、謎のスペシャル・スカバンドSUPER Xのベーシストとしても暗躍中。


中西:ぴあトークバトル スポーツ快楽主義 VOL.28 「どうなる!? サッカー日本代表」~キリンチャレンジカップ・ナイジェリア戦を前に~Supported by キリンビール大学サッカー部。このイベントは、サッカー日本代表オフィシャルスポンサー、キリンビールの協賛でお送りします。さあ、今日はどんな話が聞けるのか本当に楽しみですが、お盆最終日、こんなにたくさんの方に来ていただいてうれしいです。後ろで盛り上がっていたんですけど、ゲストのおふたり、自分たちはサッカー界のおすぎとピーコだって言ってましたよ。
会場:笑い
中西:何のことかは後で本人たちに聞いてください。偉大な先輩なんですけど、かなり盛り上がってますから。どっちがおすぎでどっちがピーコかって。楽しいと思います。せっかくキリンビールさんにも協賛いただいてますから、ガンガン飲んで。冷夏ですけど、熱く熱くいきましょう。それではよろしくお願いします。それでは、ゲストの皆さんをお迎えしましょう。温かい拍手でお迎えください。このトークバトルには2 回目のご登場です。前回も最高でした。今日も熱い話をたっぷり聞かせてくれることでしょう。元日本代表ストライカー、ミスターレッズこと、福田正博さんです。
会場:拍手
福田:こんにちは。
中西:2 回目ですけど。
福田:緊張してます。
中西:またぁ。
福田:たくさんのお客さんの前でしゃべれるか、緊張してます。
中西:前回同様、熱いトークを期待していますので。
福田:そうですね。今日は脇役で。
中西:え!
福田:今日はキーちゃん(北澤豪)が来るんで。
中西:それでも、最後は必ず主役を取っていきますからね。どんどん突破していってくださいね。
福田:はい。行けるときにはパッと。
中西:よろしくお願いします。続いては、トークバトルには初登場の方です。来ていただけてたいへんうれしいです。6 月21日、福田さんに続いて引退試合を行いました、元サッカー日本代表、北澤豪さんです。
会場:拍手
中西:今日も素足で。
北澤:もちろん。
中西:その「もちろん」っていうのは何なんですか。
北澤:これはラモス瑠偉さんから直伝で。
中西:それ、武田(修宏、スポーツキャスター)さんも言ってましたよ。革靴には素足じゃないといけないんですか。
北澤:いやいや。こういう靴に靴下を合わせるのって難しくないですか。
中西:確かに難しいですね。今日は初登場ですけど、どうですか? 意気込みは?
北澤:サッカーをやる場はあるんですけど、語る場というのはあまりないので、今日は楽しみにしています。前回出ている福田さんもいらっしゃるし。
中西:どちらが年上なんですか。
北澤:福田さんが僕より2 つ上の丙午です。
会場:笑い
中西:丙午! 貴重な存在ですね。
福田:貴重です。大切にしてください。
中西:今日は大切にしつつ、もうひとり、丙午の方を呼んでみましょう。スポーツと音楽というのは、どこかでリンクしていると思いますが、このトークバトルでも何回かミュージシャンの方に参加していただいております。今日は東京スカパラダイスオーケストラのベーシスト、この方をお迎えしております。川上つよしさんです。
会場:拍手
川上:本当にもう、場違いで。なんでここに僕がいるんでしょう。
中西:そんなことはないですよ。サッカー好きで有名ですから。
川上:いやいや。今日はいちファンとして、言いづらいところをズバズバと。
中西:お二人とは交流はあるんですか。
川上:いえ。でも、もちろん僕はずっと見ていた側ですから緊張してますよ。よろしくお願いします。お手柔らかに。
中西:丙午でいらっしゃる。
川上:ええ。厳密に言うと、その下の羊なんですけど。学年が福田さんと一緒なんです。
福田:丙午じゃないの? 早生まれなの?
川上:早生まれです。
中西:北澤さんとは名前が一緒ですね。
北澤:はい、ダブルで。
中西:「ダブルつよし」で。
福田:俺も仲間に入れてくれよ。
中西:福田さん、寂しがり屋ですねぇ。立って話をするのもなんですから、まずは乾杯をしましょうか。ただでさえおもしろいトークバトルですけど、飲めばさらにおもしろくなりますから、ぜひ飲みましょう。それでは日本サッカー界の発展と、皆さんのご健勝を祈願しまして、乾杯したいと思います。乾杯!
会場:拍手
中西:本日はテーマを三つ用意してます。今まではですね・・・ちょっと福田さん、何やってるんですか?
福田:何もやってないよ、別に。テーブルのドリンクを直してたの。こうやってキリンのラベルが正面向くように。非常に几帳面だから。
中西:ああ。
会場:拍手
福田:スポンサーだからね。
中西:福田さんは勝手に進行するからなぁ。では質問から行きましょう。普段は最初にズラズラズラっと質問をしてから話を進めていくんですが、今日はテーマを三つに分けました。ゲストのみなさんにはすでに質問に答えていただいてますが、あらためてテーマごとに質問を聞いていきましょう。まずはテーマ1「福田、北澤のいた日本代表」について。質問は三つあります。順に皆さんにお答えいただきたいと思います。まずは質問1、福田さんは解答権なしでお願いします。「福田正博さんは、まだまだ現役でプレイできたはずだ」。福田さん、解答権なしなのになんで「Yes 」の札を挙げるんですか。
会場:笑い
川上:おもしろい。
中西:脇役って言ったのに、全開じゃないですか。
福田:関係ない。
中西:狙ってるなぁ、わざとでしょ。始まる前と言ってることが全然違う。
川上:福田さんって、二の線のイメージがあったんですけど。
中西:二の線ですよね。
川上:意外とおもしろい。
中西:意外とじゃなくて、本当におもしろい。北澤さん川上さんとも「Yes 」ですけど、この質問について話をしていこうと思います。北澤さん、どうですか。先輩の福田さん、まだ現役でできましたよね。
北澤:もちろん。
中西:それで終わりですか。
北澤:福田さんの引退試合もその後の僕の引退試合のときも、ものすごくうまかった。
中西:うまいのもそうなんですけど、ボランチでしたよね。
北澤:ボランチもできると。
中西:判明しました。
福田:どこでもやるよ。
中西:あそこのポジションで評価されたら、あと2 、3 年はできたんじゃないですか。
福田:発言していい?
中西:どうぞ。
福田:もう、無理だったと思うよ、俺は。たぶんね。燃え尽きた。
川上:ちょっと聞いていいですか。移籍っていうのは全く考えなかったんですか。
福田:うーん、難しいですねえ。
川上:やっぱりミスターレッズですからね。
中西:今だから言える、こんなオファーがあったよっていうのは。
福田:ない、オファーは。
中西:ない?
福田:ない!
川上:ミスターレッズっていうイメージが強いから。
中西:絶対そうですよ。他のチームも声掛けづらいですもん。声を掛けたチームもサポーターに怒られちゃう。福田さん、愛されてるから。
福田:そこまでの選手じゃなかったと思いますよ、オファーが来るだけのね。本当にいい選手であればオファーが来るはずですから。
中西:北澤さん、何か言ってあげてくださいよ。どこ見てるんですか。
北澤:いやいや。そういうのって難しいですよ。それだけの決意を持って引退を決断してるわけだから。ギャグを挟みにくいですね。
中西:すみません。でも僕はまだまだできると思ったんですけど。前のポジションの選手って、年齢を重ねれば重ねるほどうまくなる部分があるじゃないですか、福田さん。
福田:うーん。確かにあるけど、やっぱりどうしてもスピードがね。スピードで勝負できなくなってきている自分がいるというのは、やっぱり苦しいかなって。それを何かでカバーしなくちゃいけないんだけど、それはあくまでも自分にとってごまかしみたいなものだから。ゴール前でスピードで勝負できなくなっているのは。練習でも思ったようにスピードで抜けなくなってくると、自信を失ったりするから。自信がなくなるっていうのは、弱気になってくるってことなんだけどね、精神的に。それが年齢的なことなのかなって。
中西:なるほど。
福田:年齢的なことと結び付け始めるとダメだと思うのね。肉体的には急激に落ちることはないけど、精神的なものだね。それは何かというと、自信を失うってこと。今までできていたことができなくなってしまう。もっともっと技術があれば、もっとできたと思う。今言ったディフェンシブハーフでも。もっともっと技術があれば、他のポジションもできたと思うけど、やっぱりそこまでの技術が僕にはなかったし、スピードが一番の武器だったんで、それが衰えてきたっていうのは厳しいのかなって思ったよね。
中西:技術・・・そんなことはないですよね。
川上:何て言うんですか、ゴール前の嗅覚。点取り屋としてすごかったですよね。
中西:ゴール前でボールの置く位置を変えたりしてたじゃないですか。
福田:もっともっと技術が高くないと。自分のイメージしているスピードがなくなってきたときに、それを補えるほどの技術ではなかったよね。自分にとってはね。
中西:理想が高いんでしょうね。僕なんかはすぐに諦めちゃいますけど。北澤さんはどうですか。ものすごい難しそうな顔をしてましたけど。
北澤:いや。考えますよね。そのときのシーンとか。
中西:じゃあ、先に北澤さんの質問にいきましょう。質問2 「北澤豪さんはまだまだ現役でプレイできたはずだ」。北澤さん、解答権ナシ。おふたりとも「Yes 」。ですよね。
福田:発言していい?
中西:どうぞ。イチイチ僕に発言許可を求めなくていいですよ。
福田:脇役だから、一応手を挙げてから。
中西:学校じゃないんですから。
福田:キーちゃんはね、まだやらなきゃいけなかった。ケガの問題があったから仕方ないと思うけど、本当はまだ続けてもらいたかった。気持ちの部分で強い選手だから、年齢的なことは関係なかったと思う。ただ、ケガのことがあってそういう決断に至ったと思うけど。ツラい決断をしたと思う。今J リーグを見ても、うまい選手はたくさんいるけど、戦っている姿勢を見ている人に伝えられる選手は少ないと思うのね。サッカーって基本的には一つのボールを22人が取り合う、戦うスポーツだから。戦いに勝つために、いろいろな技術、戦術が必要なわけだよね。でも、一番大切なのは戦えるってことなのね。外で見ている人に伝わるっていうのは絶対的に必要なことで、それを表現できるのが日本人のなかではキーちゃんだったと思うし。そういう意味では長くやってもらいたかった、俺は。だからちょっとビックリしたというかさ、相当ケガの問題があったんだろうなって。辞めるってことはすごく勇気のいることだし、相当な決断だったと思うんだよ。そういう選択をしたってことは相当なケガだったと思うよ。もちろんケガだけではないと思うけど。
中西:川上さん、どうですか。
川上:今、福田さんがおっしゃられた通り、数少ない戦う姿勢をアピールできる選手ですよね。特に今、ヴェルディって若手が中心じゃないですか。だから、北澤さんのようにボランチとかで締める選手がいたらいいんじゃないかなって思います。
福田:生意気そうな顔でサッカーする選手って少ないんだよね。
川上:今の若手とかってうまいんだけど。
福田:うまいんだけどね、生意気じゃないんだよね。
中西:そ、それは北澤さんが生意気そうってことですか。
福田:試合になるとなんでこんなに生意気なのって。試合が終わった後との違いっていうのがキーちゃんの魅力だと思う。
川上:ギャップがね。
福田:いいフォローだろ。
会場:笑い
中西:北澤さん、おふたりの言葉を受けてどうですか。
北澤:もちろん、ずっとサッカーはやっていたいです。それは気持ちの中に絶対的にありますよ。今さっき裏でも福田さんと引退について話をしたし、ヒザのことっていうのが一番大きくて。3 年前に前十字靱帯をやったんですけど、それよりも前に内側靱帯を伸ばしてしまっていて、横にはグラグラに揺れる状態だった。それが今度は縦にもズレてしまったので。横なら何とかなるんだけど、横も縦もズレてくるとどうにもならなくて。
中西:グラグラになりますよね。
北澤:前十字のときは1 年半ぐらいリハビリをしたんだけど、その後の試合ではずっと上を目指そうって思ってやってきたのに、自分の思うようなプレイができない。これは選手としては辛いものがあるんですよ。つまり今言われていた、戦うプレイというのができないわけじゃないですか。どこかで引いてしまう自分がいたり、足をかばってしまう自分がいたりとかってなると、自分らしさってなくなってしまう。じゃあ、プレイを少し変えて、それを補えるようなやり方をすればいいんじゃないかって思うけど、ずっとやってきた自分のスタイルだから、それを大きく変えることってなかなか難しいんだよね。自分のイメージするプレイができないとなると、プロとしてやってるわけだから、お客さんに対して申し訳ない気持ちもあるわけで。いいプレイができないにも関わらず、プロの肩書を付けてプレイするのはちょっと。それなりのプライドを持ってやってきたから、それは失礼じゃないかなって。まあ、いろいろ思いはあるけれども、また違う形で思いをぶつけるのも一つかなという判断です。
中西:その違う思いというのは。
北澤:いろいろなサッカーがあるじゃないですか。やるサッカーもあるし、もちろん皆さんのように見るサッカーもある。指導者としての教えるサッカーもあるし。そういった捉え方に転換していくと。決断は結構厳しいものがありましたけどね。
中西:お二人が辞められるたのはすごく残念だけれども、逆に僕はこのふたりの選手が引退することによって、サッカーを伝えられる人がまた増えたって思うんですよね。
川上:両方ありますよね。僕も現役で何人か仲のいい選手がいるんですけど。
中西:誰ですか。
川上:まだ、若い選手なんですけど、石川直宏(FC東京)君とか。あと、レッズの都築龍太君はよくライブを見に来てくれます。キーパーの。
福田:僕はあんまりよく知らないです。
会場:笑い
福田:入れ替わりだから、すれ違いだもん。
川上:ガンバ(大阪)から。彼はすごい気が強くて。
福田:そういう面構えをしてますよね。
川上:ちょっと監督とぶつかって移籍してきた。
中西:まあ、お二人はこれからもサッカーを伝えていただけると。
川上:同世代なんでね、やっぱり寂しいものはありますよね。でも、これからいろんな方面で。さっき顔って言いましたけど、見る方の立場で言うと、顔は大事ですよ。
中西:例えば?
川上:何て言うんですか、きれいにプレイするのももちろんアリですけど、戦っている感じが伝わってくる選手はいいですよ。北澤選手とかね。
北澤:試合中の写真って、どうしようもないですよ。
会場:笑い
川上:あれがいいんですよ。
福田:それがかっこいいんだよ。
川上:そうですよね。昔スタジアムに見に行っていて、ストイコビッチ(ドラガン、元名古屋グランパスエイト)選手とかって、審判に対して不満があったりすると客の方を向いてアピールするんですよね。それが2 階席の後ろの方で見てても、盛り上がれるんですよ。ああいうのはすばらしいなって。
中西:彼は何をしてもかっこいいですからね。福田さんは内に秘めるタイプですよね。
北澤:そんなことないですよねぇ。
中西:内に秘めて戦うタイプじゃないですか。顔に出してガーッといかないですよね。
福田:そんなこともないけど。何? それはキーちゃんと比べてってこと?
中西:そういうわけじゃないですけど。
福田:キーちゃんと比べたら、みんな内に秘めるぜ。すごい顔して戦ってるから。
北澤:確かに。
川上:ボールを取り合うときでも、すごい顔して来られるとイヤですよね。
福田:それは絶対。気迫を感じますから。相手の気をね。そういうのってすごく大切じゃないですかね。戦いですから、サッカーは。
中西:三つ目の質問にいきますけど、「福田さん、北澤さんが日本代表だった頃の試合で、忘れられない試合がある」。当然、これは皆さんありますよね。
福田:これ、「ない」って言ったらおかしいよ。質問自体がおかしいよ。だって、2 、3 試合しか出てないわけじゃないもんね。
中西:日本代表の試合ですよ。
福田:あ。
中西:福田さん、また質問ちゃんと読んでないんじゃないですか。
福田:感覚でやってたからさぁ、サッカーも。
会場:笑い
中西:日本代表だった頃ってちゃんと書いてあるじゃないですか。
福田:俺だって45試合。キーちゃんだって50・・・
中西:わかってます。
福田:練習試合を入れればもっと多いし。
会場:笑い
北澤:倍ぐらいになりますからね。
中西:福田さんが45試合、北澤さんが59試合。そのなかで忘れられない試合は?
福田:忘れられないっていうのは、やっぱりドーハ(1993年10月、ワールドカップ・アジア最終予選、日本対イラク)とかさ、そういう印象深い試合はあるんじゃない。
中西:それだけですか。
福田:あんまりドーハの話はしたくないんだけどさ。
中西:やっぱりしたくないんですか。
福田:したくなくないんだけど。
中西:どっちですか!
福田:時間がいくらあっても足りないくらい思い出深いってことですよ。
中西:その一端をちょっとダイジェストで。
福田:J リーグがスタートした年に、そういうことがあったわけでしょ。本当にあそこからがプロとしてスタートかなっていう気持ち。
中西:気持ちの上で。
福田:そう。勝負に対してね。それまではプロじゃないから、そこまで勝負に対するこだわりってなかったと思うけど、改めて勝負っていうことに対しての重要性を認識させられたゲームかなって思うけどね。もう二度と行きたくない、あんなところ。
中西:ドーハ。
福田:ドーハだけじゃなくて中東に。暑いんだもん。
中西:暑かったですか、やっぱり。
福田:暑い。キーちゃん、どうぞ。
北澤:中東は暑かったですね。夜の試合が多いんですけど、僕たちのときはわざと昼間に練習やったりしてね。50度くらいのところでダッシュの練習。
福田:やった、やった、やった。
北澤:陽炎って遠くに見えるじゃないですか。それがすぐ目の前に見えるんですよ。
福田:そんな近くじゃなかったでしょ。
会場:笑い
北澤:そのくらい暑かった。わざとやったんですよね、ダッシュの繰り返しを。
中西:うわあ。でも、試合はナイターでしたよね。練習だけ昼間にやったんですか。
北澤:通常は夜なんですけど、何日か場所が取れなかったりとか、コンディションを整えるためにわざと昼間の暑い中でやったんですけど。
中西:ほお。
北澤:今のようにコックも一緒に行ったんですけど、ご飯とか持って行くわけにはいかなくて。お肉とかもダメなところってあるでしょ、中東って。
中西:ありますね。
北澤:で、料理は制限されるし。ほとんど現地のものを食べてたんですよね。
中西:現地の素材を調達して。
北澤:いやいや。もう、中東のホテルが作るものをそのまま。だから日によってカレーライスが出たりとかして。その記憶がすごくあります。
中西:カレーがうまかった記憶。
北澤:食べ物とか、日本のものが力になったりするなって思って。
中西:そうですよね。
北澤:あと日本代表の思い出って言ったら、福田さんからのセンタリングを受けたヘディングシュート。
中西:もしかしてトットナム・ホットスパー(イングランド)ですか。
北澤:今、戸田(和幸)君がいるトットナムなんですけど。
中西:懐かしい。
福田:J リーグの前だから、会場の人は知らないんじゃないかな。
北澤:まだ赤いユニフォームの頃です。
中西:代表が赤いユニフォームの頃です。
北澤:そうそう、キリンカップでしたよ。
福田:リネカー(ガリー、元イングランド代表)がいたんだよね。
中西:そうそう。ニアでヘッドでドカーンと。
川上:そのときは横山(健三)監督?
北澤:横山監督の最後のとき。
中西:あの大会、優勝したんですよね。
北澤:優勝ですよ。あのときは日本サッカー協会の会長とか、そういう人たちともめましたね、いろいろと。日本代表にだけギャラというか、賞金の設定がないわけですよ。
中西:あれ、何年ですか。
北澤:1991年かな。来日しているトットナムとかバスコ(バスコ・ダ・ガマ、ブラジル)はお金をもらって試合をやっているわけです。
中西:はい。
北澤:僕らはお金をもらって試合をやってないわけですよ。グラウンドに出る前に、もう僕らは負けてるわけじゃないですか。
中西:ああ。まずそういう概念がないですよね。
北澤:ないでしょ。勝つと思ってない。だから2 位になった場合、1 位になった場合って設定が全くないわけです。それを1 試合目が終わった後にみんなで言いに行って。
中西:バスコに勝ったんですよね。
北澤:バスコの前にタイと試合があったんですね。それは1 対0 で勝ったんですけど、その後でそういう設定がないのはおかしいってことで、前夜祭みたいなのがあったときに会長のところに行って「なんで僕らにはそういう設定がないんですか。出る前に負けてるじゃないか。負ける気でいるじゃないですか」って。そしたら「勝てばいい」って言われて、「じゃあ勝つから、そういう設定をしてくれ」と。何日後かに、3 位になったらいくら、2 位になったらいくら、1 位になったらいくらっていう設定を作ってくれた。
中西:日本代表にギャランティが払われたのはそれが初めてですか。
北澤:そうですね。日当とかはあったんですけど、1991年のあの大会からです。最初から負けるという設定をするのはおかしいんじゃないかってね。
中西:それは誰が言ったんですか。
北澤:ラモス(瑠偉、サッカー解説者)。
会場:笑い
北澤:カズ(三浦知良、ヴィッセル神戸)さん、哲(柱谷哲二、浦和レッズコーチ)さん。
中西:誰も勝てないですね。
北澤:協会も今までそういう設定でやってないですからね。少しずつ変わっていったかなっていうのはあります。そこで、じゃあみんなで頑張ろうじゃないかって。でも次の対戦相手がバスコ・ダ・ガマなんですよ。ブラジルじゃ有名な強豪ですよ。
中西:ビスマルク(ヴィッセル神戸)選手がいた頃ですか。
北澤:いました。で、バスコは午前、午後に練習して。昔、カズさんがブラジルでプレーしたりしてましたから、相手も日本のレベルが上がってきているのを知ってて、キッチリ練習をしてたんですね。だから、言ってる僕らもヤバイかなっていうのはあったんです。ここで負けたら会長に言った意味がないじゃないですか。で、結局勝った。
中西:覚えてます。
北澤:それで3 戦目、これを勝てば優勝ってことで。優勝賞金が・・・あまり言わない方がいいと思うけど。
中西:いやいや。もう時効ですから。
北澤:で、トットナムと試合じゃないですか。しかも相手選手は秋葉原で買物しまくってるわけですよ、試合前に。
中西:何で知ってるんですか。
北澤:どういうことをしてんのかなって、チェックしてましたから。買物行ったりとかして、それは日本がなめられてるってことでしょ。このままじゃ日本の力は認められないだろうなっていうのが思いとしてありましたよ。ここで勝っておかないとって。それで勝てたというのもありますけど、みんなの思い入れにはそういう背景もあったんです。
中西:あれは4 対2 でしたっけ。
北澤:4 対1 かな。福田さんがウイングバックをやらされてて。
福田:そうですね。僕は前半でケガをして代わっちゃいますけど。
中西:その前にクロスボールを上げてますよね。
福田:まあ偶然ね。
中西:偶然じゃないでしょう。
福田:いいゴールだったと思いますよ。
中西:すごくいいボールでしたよ。
福田:僕のボールがよかったですね。
北澤:けど、目が合ったつもりでいたけど、僕じゃなかったらしいじゃないですか。
福田:そんなことないよ! うーん、どうだったかな。
中西:縦に突破して並びながらパスを上げて、ニアで受けて。
福田:そう。すごいきれいなボールだったよね。あのときの日本代表はその前にバスコ・ダ・ガマに勝って。キーちゃん、点を取ってるよね。
中西:取ってますね。
福田:チームとして盛り上がっているときだったから。チームの状態よかったよね。
北澤:よかったですね。盛り上がりましたし、協会に言ったっていう意気込みもありましたからね。
川上:今ね、話を聞いてて実感しました。それまで完全にプロフェッショナルじゃなかったんですね、賞金はないし。
中西:名誉のためという。
川上:今考えると、すごい話ですよね。
中西:でも、それを変えたのは、福田さんや北澤さんの世代ですからね。
川上:僕なんか少し後のオフト(ハンス、浦和レッズ監督)になってからの、ダイナスティ・カップとか、アジア・カップとか・・・
中西:ありましたね。
川上:あの辺で強くなっていって。で、やっぱりドーハ。
中西:ドーハね。やっぱり。
川上:すごく印象に残ってますね。
中西:家で泣きましたよね。
川上:ええ。あれで引き込まれて,サッカー好きになった人は多いんじゃないですか。
中西:絶対そういうのはありますよね。
川上:ドーハは悲劇だけじゃなくて、例えばイラク戦の前の韓国戦ってどうですか。感動したんですけど。
中西:1 対0 のときですよね。カズさんが入れたとき。
北澤:ああ。あのときずっと俺は出てなかったんですよね。で、韓国との試合になると、いつも切羽詰まった状況で、負けたら終わりってときに出番が回ってきたりして。あのときは急に出番がきたんで、寝れなかったですもん。
中西:出る選手は決まってたんですか。
北澤:前の日には決まってました、大体。俺はもう、一睡もしないで試合しましたよ。
中西:ええ!
北澤:終わったときに「寝てなくてもやれるんだ」って。変な自信がついちゃいました。
川上:しかも気温40度くらいのところで。
中西:それまで韓国に勝ってなかったじゃないですか、特にあの頃は。
北澤:韓国は強かったですからね。
中西:延長とかPKとかはありましたけど、90分でというのは。
川上:しかも日本以外で。すごいことですよね。今でこそやっと日本と韓国というのはトントンぐらいというか。でもその前は、ねえ。
中西:実際、ちょっと差がありましたよね。内容は別として結果においては。
川上:おふたりの時代ぐらいから、韓国と対等になった。
中西:日本代表の昔の話をしましたが、次に行きましょう。テーマ2 はですね、いきなりガラッと話が変わって「ジーコジャパンの1 年」。ここは4 つ質問があります。では1 つずついきましょうか。ジーコ監督が就任して1 年経ちました。まずは1 つ目の質問「3-5-2 より4-4-2 の方が好きだ」。北澤さんと川上さんが「Yes 」、福田さんが「No」。
中西:福田さん、またフィーリングで答えましたか。3-5-2 の方が好きなんですか。
福田:どっちでもない。システムは別にどうでもいいかな。だって4 バックだっていろいろやり方があるしさ。3 バックだってフラットなものもあれば、しっかりリベロを置くような深さをもったものもあるから。できる選手がいればね、選手に合わせてもらいたい。例えば4 バックなら、今左のサイドバックがいないってずっと言われているけど、そこにいい選手がいるんであれば、そういう選手を生かせるシステムを取ってもらいたい。
北澤:それって3-5-2 でも4-4-2 でも、2 トップは変わらないじゃないですか。
福田:やり方だよ。2 トップというか。
北澤:システムよりも人の起用だっていうことですよね。
福田:そこにいい選手がいるんであれば、3 バックにしても、4 バックみたいな形になったり。ジュビロは3 バックなんだけど、ある意味では4 バックになったりとか。スタートの位置はそうかもしれないけど。藤田俊哉(ユトレヒト、オランダ)はいなくなったけど、普通の3-5-2 でいったら、彼のポジションで中に入るなんてあり得ないでしょ。
北澤:あり得ない。
福田:でしょ。だけど彼は入っていくんだよね。で、中盤の選手、服部(年宏)がその後ろにいて、名波(浩)、福西(崇史)がいてって、うまく形が取れてるわけだからさぁ。それは別に3 バックであろうが、4 バックであろうが、いいような感じがするんですよね。3 バックはこういう形、4 バックはこういう形っていう固定概念はあまり持たない方がいいのかなって気がするけど。トルシエ(フィリップ、前日本代表監督、カタール代表監督)の3 バックだって完全にラインでしょ。
北澤:フラットだったね。
福田:3 人の方が4 人より人数が少ないからラインを合わせやすいし、それは理に適っていると思うしね。いろいろなやり方があっていいと思んだよ。
中西:じゃあちょっと質問を変えたいんですけど、具体的に今のジーコジャパンのシステムはどれが一番合うと思いますか。選ばれているメンバーが今のメンバーだとして。
川上:僕は中村俊輔(レッジーナ、イタリア)選手が大好きなんで、中田(英寿、パルマ、イタリア) 選手と共存させるようなシステムをしてほしいです。
中西:北澤さんはどうですか。出発点は難しいと思いますけど、この間代表が発表されましたよね。ジーコ監督が選んだメンバーでシステムを組むんだったら。
北澤:そうですね。まあ、いろいろ模索していたけれども、ヒデと俊輔の使い方っていうのは生かされてきたかなって思います。ジーコ監督本人が、4-4-2 が好きそうじゃないですか。で、4-4-2 でやってるっていうのが理想じゃないですか。選手起用、招集しているメンバーもそれに合った人たちだから。それはジーコが狙っているところかなって思いますよ。3-5-2 、4-4-2 というシステムの部分は福田さんが言ったように関係ないと思うんだけど、中盤の選手にしてみたら、3-5-2 でもジュビロみたいにワイドに開く置き方をしてくれるといいんだけど、サイドにウィング的な選手を置かれちゃうと実際は中盤って3 人になるんですよ。
中西:要するに、中盤と言われる選手がプレイする場所によってね。
北澤:そうなんです。4-4-2 だと中盤は4 人なんですよ。3-5-2 だと1 人減るんです。現役時代はすっごく嫌いだった、3-5-2 が。でも選手の生かし方となると話は別ですね。
中西:3-5-2 だと5 の中の外の2 枚というのは、アウトサイドっていう意味合いが強いですけど、実際はそうじゃない選手もいるってことですよね。
北澤:そうです。後ろの3 人がしっかりしていれば、外の2 枚をウィング的に使える。
中西:もしくは中盤の選手がかなり能力の高い選手とかね。福田さんは。
福田:今キーちゃんが言ってたけど、ジーコは4-4-2 でやりたいから、4-4-2 でできる選手を招集してる。当然今のメンバーを見れば、4-4-2 でやるべき。やれる選手を招集してるわけだから。だから3 バックでやるんであれば、メンバーを代えるってことは当然あると思うから。監督のやり方だし、それに沿った形でメンバーも招集してるから。
中西:逆に選ばれたメンバーは置いといて、今の日本にいる選手たちを見て、自分が監督であればどういうシステムを考えますか。
川上:難しいっすね。
中西:自分の好みもありますからね。どんなシステムが日本に合うと思いますか。
川上:ミーハーなんで、ヨーロッパで最近多い4-2-3-1 。中盤5 人使えますから。
中西:1 トップでその後ろにトップ下を置くと。レアル(マドリッド、スペイン)がやってる形ですね。北澤さんは。
北澤:僕はやっぱり4-4-2 で中盤がフラットな4 。オーソドックスなタイプが好きです。ユベントス(イタリア)のような。去年のチャンピオンズリーグでは、すごい整ってましたよね。どこでもラインがしっかりしていて。
中西:攻撃に移った瞬間にポーンと。
北澤:4-4-2 って昔からあるけど、そのなかでも進化してるから。今の4-4-2 っていうのはグラウンド全面が埋まるからね。
中西:要するに日本代表にとっての4-4-2 というシステムは、ディフェンスの4 人はフラットで、その前は台形気味ですよね。
北澤:まあ、完全にはならないけどね。
中西:ほぼフラット。で、前2 人は横に並んでいると。
北澤:ずっとマークに付くよりも中盤の4 人もゾーン気味で。攻撃に移りやすいし、バランスが崩れない。
中西:プレミアリーグはそういうチーム多いですよね。
北澤:マンU (イングランド・マンチェスター・ユナイテッド)がそうです。
福田:うーん、難しいね。ただ今のサッカーはキーちゃんも言ってたけど、両サイドなんだよね。だから4-2-3-1 にしても両サイドなんだよね。両サイドをいかに崩すか。なんで両サイドを崩すかって言うと、両サイドにしかスペースがないんだよ。だからアウトサイドの攻撃が変わるのってすごく大きいから、そこを4 バックであろうが3 バックであろうが、中盤の形をどう置こうが、そこがうまく機能できる形にしないと。キーちゃんが言っていたように、攻めたときにバランスが崩れない。バランスを崩して攻めるよりは、バランスを崩さずにいられれば、ボールを取られたときも守れるから。結果的に中盤5 人のうちアウトサイド2 人っていうのは理想だと思うけど、そうなってくるとオフェンスもディフェンスも非常に高い能力が要求されてくるからね。中盤はディフェンスが得意な選手、オフェンスが得意な選手って並べればいいんだけど、両方こなせる選手をうまく配置するのは難しいのかなって思う。4 バックの場合は、今の日本だったらセンターバックをどうしたらいいかだよ。センターフォワードとセンターバックっていうのは、日本のなかではメインのテーマになっているけど、そこにはかなり能力の高い選手がいないと。レベルが高くなればなるほど、スペースを与えて前を抜かれてしまったら・・・例えばフランス代表のアンリ(ティエリ、アーセナル)にそういう状況を作られて、1 対1 で仕掛けられたら相当苦しいと思う。その辺がうまくクリアできれば、なんだけどね。
川上:おふたりの選手を選ぶ基準って聞いてみたいですね。
中西:どういう選手を選んでどういうシステムでやるか、聞いてみたいですね。じゃあとりあえず11人にしましょうよ。例えば今の代表は4-4-2 というシステムですから、その枠のなかで選ぶんだったら。結構現実的ですけど、こんな選手が見てみたいなとか。こういうメンバーを並べてみようかなという11名。聞いてもいいですか? まずキーパー。
北澤:うーん。キーパー。今やっている人たちのね・・・。
福田:知らないんじゃないの、選手の名前。
会場:笑い
中西:知らないわけないじゃないですか。J リーグで試合をやってたんですから、あり得ないでしょ、福田さん。
福田:結構知らないんだよ。ね、キーちゃん。他のチームの選手。
北澤:知らないの?
福田:最近やっと覚えてきたもん。若い選手とかってわからないでしょ。
北澤:うーん勉強しましたよ、好きだし。
福田:俺も好きだけどさ。昨日だってジュビロ対浦和の解説やったんだけどさ、成岡(翔、ジュビロ磐田)と菊地(直哉、ジュビロ磐田)が一緒に並んでたらわからないよ。背番号を付けてポジションにつけばわかるけど、顔と名前は一致しないもん。
中西:わかりますよ。
福田:わかんない。そこまで認識できてないってこと。背番号あればわかるよ。あとポジションについてくれれば。
北澤:っていうか、背番号で見ないの。何かね・・・
福田:雰囲気!
北澤:本当にそれで名前がわかるの。
中西:そうですよね。
北澤:ボールの持ち方とかパスの受け方とか蹴り方で、あいつは誰ってわかるの。
中西:それはわかりますよね。あとポジションの消去法でいって、ここにいるのは誰々だから、たぶんあそこにいるのは誰々だって。
北澤:そう。
福田:ポジションにつけばわかるよ。
中西:つかなくてもわかりますよ。
福田:顔だけじゃわかんないよ、俺。
北澤:1 試合やったら大体わかるでしょ。
福田:あーわかんねえな。背番号とポジションについてくんねえと。
北澤:レッズは?
福田:まあ、レッズはね。
北澤:よかった。
福田:若い選手はわかんねえけど。
中西:他のチームは。
福田:だいぶわかってきた。だいぶJ リーグの選手がわかってきた。
中西:まあ、菊地選手と成岡選手は今年入った、U-20の代表選手ですからね。
北澤:うん。
福田:よくわからない。
中西:それはいいんですけど何人か選んでくださいよ。サラサラっと。キーパーは?
福田:楢崎(正剛、名古屋グランパスエイト) 。
中西:キーパー楢崎選手しか知らないんだ。
川上:確かに、レッズの都築を知らなかった人ですからね。
北澤:楢崎とくれば、あとは能活(川口、ポーツマス、イングランド) とか。ヴェルディの高木(義成) 。
福田:何、そんなにたくさん言っていいの?
北澤:キーパーは大体3 人でしょ。
福田:あ、そういうことか。11人って言ってたじゃん。
中西:じゃあひとりじゃなくていいですよ。では、3 人ずつぐらい挙げてください。一応、逃げ道を作っておかないとね。右は? 今はレッズの山田(暢久)選手がレギュラーですけど。
福田:どうかなぁ。
北澤:もっとセンターバックっぽい人がいいですね。そんなに上がらなくてもいい。サイドって結局裏の取り合いだから。だからサイドのセンタリングがどうこうよりは、守れるほうがいい。
川上:三都主(アレサンドロ、清水エスパルス)は左ですか。
福田:それは今キーちゃんが言ったバランスなんですよ。誰がサイドを破るかっていうのが問題だから、中盤の前の方に右サイドで言えば破れる選手、1対1で仕掛けて破れるフィーゴ(ルイス、ポルトガル代表)みたいな選手がいるんであれば、後ろは守りが強い選手でいい。要はバランスだから。キーちゃんが言っているのはそこだと思いますよ。
中西:それで、後ろの右サイドをしっかり守れるのは誰ですか。
北澤:コンバートしないといけないでしょ。それは一番難しいところですね。
中西:センターバック的な選手ってことですか。
北澤:難しいですね。
中西:やらせてみたい選手は。
北澤:・・・
中西:何を気にしているんですか。2 人、3 人名前を挙げていいですよ。
北澤:だけどさ、あんまりこういうのって言わないよね。っていうか、すごい真剣になっちゃってパラパラって言えないよ。今までの歴代のとか、海外のとかだったら、まだああいうのは言いやすいかもしれないけど、日本代表って現実的過ぎちゃって。
中西:それを聞きたいって皆さんは思うんですけどね。じゃあ次回ってことで。
北澤:福田さんに先に聞いてください。
中西:福田さん、パラパラッと。
福田:うーん。名前は難しいね。だけど基本的にサイドバックもそうだし、サイドを破る選手は。日本で一番問題になっているのは、フィニッシュの精度とラストパスのクロスの精度ってことになるのね。
中西:はい。
福田:そういうときに、日本にいたジョルジーニョ(元鹿島アントラーズ、元ブラジル代表)のように直接ゴールを狙えるような、そういうキックを持ったサイドの選手が日本の場合いないから。でも、そういう選手は必要なのかなって思います。キーちゃんが言ったように、そんなに攻撃サッカーはしないけど、やっぱりクロスを上げたときに正確に入れられる選手じゃないと。日本の場合、サイドでそういう選手ってなかなか育ってこないから。やっぱり必要なのかなって思うんだよね。クロスの精度はあまりよくないから。それでしっかり守れれば。ドリブルでガンガン行く必要はないけど、その分しっかりボールを蹴れる選手というのは必要なのかなって思う。名前を挙げるのは、仕事柄難しいし。

後編につづく

取材・文:CREW
撮影:山口裕朗