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2006ドイツワールドカップの第一関門・アジア一次予選を目前に控えた2月15日、元日本代表FW3名を招いて行なわれたトークバトルの模様を、余すところなくお届けします。

ぴあトークバトルVol.35
「どうなる!? サッカー日本代表」
~2006ワールドカップ一次予選 オマーン戦を前に~

前編

<ホスト>
中西哲生
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンをつとめ、'00年にJ1昇格を果たした。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「ニュース23」(TBS系)などに出演中。

<ゲスト>
福田正博
'66年、神奈川県生まれ。相模原工高から中央大を経て、'89年に三菱重工(現浦和レッズ)入り。'95年にはJリーグ日本人初の得点王に輝く。'00年にチームがJ2へ降格してもチームに残り、'02年の引退まで生涯レッズを貫く。J1リーグ通算216試合91得点(歴代5位、'02シーズン終了時)。日本代表通算45試合9得点。

武田修宏
'67年、静岡県生まれ。'86年、清水東高から読売クラブ(後のヴェルディ川崎、現東京ヴェルディ1969)入り。'01年の引退までに、磐田、京都、さらにパラグアイの名門スポルティボ・ルケーニョなど延べ7チームでプレイした。Jリーグ通算237試合94得点(歴代4位、'02シーズン終了時)。日本代表通算18試合1得点。

高木琢也
'67年、長崎県生まれ。国見高、大阪商業大を経て、'90年フジタ工業(現湘南ベルマーレ)入社。'91年にマツダ(現サンフレッチェ広島)に移籍し、'92年日本代表デビュー。同年のアジアカップでは決勝でゴールを決め、日本を初優勝へ導く。広島、ヴェルディ川崎でJリーグ通算191試合64得点。日本代表通算45試合27得点。

中西:ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2004 VOL.35「どうなる!? サッカー日本代表」~2006ワールドカップ一次予選 オマーン戦を前に~。本日のホスト役を務めさせていただきますスポーツジャーナリストの中西哲生です。
会場:拍手
中西:いよいよ水曜日('04年2月18日、対オマーン代表、埼玉スタジアム) から日本代表チームのワールドカップ予選が始まりますけど、僕もすごくドキドキしてます。たぶんそれ以上に皆さんもドキドキしていらっしゃると思うんですけど、今日はオマーン戦に向けてですね、今どういう状態で、日本代表は何を気を付けて戦って、そしてこの後、オマーン戦も含めたワールドカップ一次予選、そして最終予選に向けてどういう方向に向かっていくのかっていうことを伺っていきたいと思います。今、盛んに叫ばれています「決定力不足」。先日、僕が出ている某番組で福田さんがこの話をしたときに「イヤな言葉ですね」って言ってましたけど、そういった話を中心に、今日はストライカーの方々をお呼びしていますので、お話を聞いていきたいなと思っています。さあそれでは、すばらしいゲストの方々をお呼びしましょう。“アジアの大砲”、サッカーコメンテーターの高木琢也さんです。
会場:拍手
中西:サッカー解説者の武田修宏さんです。
会場:拍手
中西:そして“Mr. レッズ”、JFA アンバサダーの福田正博さんです。
会場:拍手
中西:ということで、まずは高木さんお久しぶりです。
高木:どうもごぶさたしてます。
中西:もう6 回目。
高木:ですね。長いですよね。
中西:長いですよね。今日は先輩の福田さんもいらっしゃいますし。
高木:たぶん僕がいじめられるんだろうなと思います。
中西:まだ何もしゃべってないです、福田さん。そして武田さん。
武田:はい、よろしくお願いします。
中西:昨日のバレンタインデーは大変だったんじゃないですか。
武田:何言ってるの。
中西:だって。
武田:仕事、仕事。
中西:ね、福田さん。大変そうですよね、バレンタインデー。
福田:「大変だった」って言ってましたよ。
武田:言ってない、言ってない。
中西:言ってましたよね。
福田:「食べきれない」って言ってました。
中西:今日もまたスーツでビシッと。
武田:福田さんジーパンじゃないですか、今日。大丈夫ですか。
福田:武田はスーツでって話だから。
武田:そうですね。いやあ、席悪いですね、これ。
中西:席はですね、福田さんが決めました、今日。しかも1分ぐらい前まで違う席だったんですけどね。福田さん、今日もお願いします。
福田:お願いします。
中西:席はやっぱり端がいいですか。
福田:何かこう、みんなが見渡せるのがいいなと。本当は高木の席だったんですけど。
中西:前回真ん中に座って、ちょっと背後から。
福田:イヤな視線を感じたんで。
中西:誰から。
福田:このふたりから。
中西:じゃあ今日はその席で。
福田:はい、よろしくお願いします。

質問 高木氏 武田氏 福田氏
1.格下のマレーシア戦には、あまり意味がない no no no
2.日本代表は、確実に強くなっている yes yes yes
3.海外組抜きの日本代表は、力が劣る no no yes
4.中盤は中田、中村、小野、稲本の4人に任せるべきだ no no no
5.U-23代表選手は、オリンピック予選に専念させるべきだ no yes no
6.平山相太はすぐにでもA代表に招集すべきだ no no no
7.オマーンは危険な相手だ yes yes yes
8.4-4-2 の日本代表より、3-5-2 の日本代表の方が強い no no no
9.移動が大変な海外組より、国内の選手で臨む方がいい no no no
10.一次予選は必ず突破できる yes no yes
11.オマーン戦で負けたらジーコ監督は解任だ no no no

中西:よろしくお願いします。では、今日も質問コーナーを設けております。それをまずやっていただいて、その質問に沿って後ほど話を進めていきたいと思うんですが。いってみましょう、「日本代表についての11の質問」です。順番にいきましょう。質問1「格下のマレーシア戦には、あまり意味がない」という質問なんですけど、これは当然皆さん「no」ですけど。マレーシア戦('04年2月7日、カシマサッカースタジアム、4-0 日本の勝ち) の話を少ししたいと思いますが。福田さんどうでしたか、マレーシア戦。
福田:かなり。相当な格下だと思いますけど。
中西:僕、ちょっとマレーシア代表のキーパーやりたかったですもん。
福田:やっぱりサッカーってキーパー大切ですね。
中西:ですよね。
福田:あれでちょっと試合が締まらなくなってしまったっていうのはあると思いますけど。その試合をする2週間ぐらい前から、オフをあけてシーズン入りして、そしてマレーシアとの試合だったから、コンディションを上げるとか、試合感を戻すっていう意味での試合だったので意味がないっていうことは全くないと思いますね。できはよくなかったですよ。いい選手もいるし、あまりよくない選手もいましたし。システムの問題とかそういうことではなくて、無駄な試合ではなかったと思いますけど。
中西:武田さんは。
武田:その通りだと思います。確かに無駄な試合はないと思いますし、やはり紅白戦とかやるより、本当にああいった国際試合をした方が選手のコンディショニングもよくなると思うので、そういう意味では結果よりは内容ということで、コンディショニングを上げるためには非常にいい試合だったと思います。
中西:高木さん、シーズンが開けて2週間ぐらいだった思うんですけど、2週間でしかもかなりきつい体力トレーニングをしているじゃないですか。スーパーなパフォーマンスっていうのは難しいですよね、やっぱり。
高木:そうですね。基本的にそういう状況のなかでやってますから、そんなにいいゲームができるとはあまり期待してない部分がありますね、首脳陣からすると。福田さんもおっしゃってましたけど、どんな相手に対してもマッチメイクをするときには何か目的があってやるわけで、たぶん一般の人たちが見てると、「マレーシア? 何でそんなとことやるの」っていうのはちょっとあるとは思うんですよね、力的に。だからその辺はジーコ監督にするといろんな狙いがあってマッチメイクをしていくわけなんで、その辺の一般の人たちと現場とのズレっていうものがあると思うんですよね。
中西:福田さん、例えばあのマレーシア戦と、イラン('04年2月8日、埼玉スタジアム2002、1-1)とやったじゃないですか、オリンピック代表が。「あのイランと変えたらどうだ」とか、「ちょっと弱すぎたんじゃないか」っていう声が上がっていますけど、どうですかそこは。要するにA 代表がやっているチームと、オリンピック代表がやっているチームとの差がちょっとあったじゃないですか。あの相手でやっぱりよかったんですかね。
福田:高木も言ってましたけど、その狙いですよね。シーズンオフからシーズンインして2週間ということで、コンディショニングを上げるゲームということを考えたら、強いチームとやる必要性はないと思いますね。
中西:そうですよね。
福田:ただちょっとテレビで放映されたりとか、ちょっと注目度が高すぎたっていうことで。そういうレベルの試合ではなかったと思うんですけどね。
中西:そうですね。
福田:人をこうたくさん入れてやるような試合ではなかったと思います。ただ、そうせざると得ない状況があったと思いますけど。そういうふうに考えれば別に、あの相手でよかったと思うし、紅白ゲームよりもコンディションを上げる意味では全く知らない相手とやった方がコンディションは上がりますから。シーズンに入っていく段階ではよく。
中西:ありますよね。
福田:J リーグなんかでも、高校生と試合やったり大学生と試合やったりっていうことで。徐々に力の強い、自分たちと力の近いチームとどんどんやっていくっていうやり方でコンディションを上げていくっていうやり方がありますから。そういう意味じゃ、マレーシアとの試合はそういう位置付けだったんだと僕は思いますけど。
中西:たぶんここに来ていらっしゃる方も理解しがたい部分があると思いますけど、J リーグのチームも代表チームも全く同じなんです。シーズン頭っていうのはいきなり強いチームとやるんじゃなくて、ちょっと下の方のチーム、高校生とか。「何で高校生とやるんだろう」って思ってらっしゃる方もいるかと思うんですけど、やっぱり下のチームとやって、相手にどう対応するかっていうことよりも、まず自分たちがどう動けるかっていうことをチェックする場合には高校生とか大学生とか、下のチームとやることは非常に有効なんですよね、武田さん。
武田:そうですね。よくね、J リーグのとき高校生とやってましたから。あまり強いところと早めにチームを作る前にやっていい試合をやってないと、気持ち的にもですね、仕上がりがあまりうまくいかなくなってしまうんで、少しずつですよね。そういう意味では僕はよかったなっていうのと、ただ、マレーシア戦の2日前に紅白戦を見に行ったんです。やっぱり選手のなかで、残る残らない、そういったテストマッチじゃないんですよね、選考兼ねてやっていたので、そういった意味では、そういった選手のなかではチャンス、競争の一つの試合って感じでやってましたけどね。
中西:高木さんはそういう選考争いに加わって、代表に残る残らないっていう局面があったと思うんですが、ちょっと力の入り具合も変わってきますよね。
高木:ありますね。だいたい、このゲームって選考されるゲームなんだなって。
中西:自分で考えますよね。
高木:わかると思うので、ちょっとやっぱり固くなったり力が入ったりっいうのはありますね。そういうゲームであんまりいいパフォーマンスができないと落ち込みますね。
中西:落ち込みますか。
高木:やばいなって。
中西:福田さんは落ち込みますか。
福田:そういう経験はあんまりないですね。
高木:僕はね、加茂(周、元日本代表監督)さんのときに最終、ワールドカップ・フランス('97年) の。浦和で、外国人選抜との試合が要は選考試合だったんですね。それで、まあ言われてたんですけど、その後、メンバーから外れる人は試合が終わった後ホワイトボードに名前を書いておくからって。それで終わってから、フィールドでサポーターの人に挨拶をして戻ったら、俺と何人か名前がありましたね。きーちゃん(北澤豪、JFA アンバサダー) もあったし。そういう思い出がありますね。
福田:それ、やり方としては強烈だよね。ホワイトボードに書く必要はないしね。
中西:そうですよね。
福田:わざわざ書いて、帰ってきたら書いてあるわけでしょ。いやがらせだな。
会場:笑い
福田:高木に対するいやがらせ。
高木:俺だけじゃない。
福田:いや、高木に対するいやがらせだ。絶対にね、特別な感情があったと思うぞ(笑)
高木:そういう苦い経験はありました、選考でね。
福田:辛かっただろ。
会場:笑い
高木:辛かった。
中西:でも、J リーグの試合の日のメンバー、例えば金曜日に移動するじゃないですか。そのときのメンバー書いてなかったですか、武田さん。
武田:ヴェルディ(東京ヴェルディ1969) は移動する前に風呂場の前の黒板に選手のボードが貼られて、それを見て、16名に入ってないと入ってないんだなって。
中西:そうですよね。僕もそうでした。
武田:練習が終わった後、不安なんですよね。入ってるかなって思って、見た瞬間に入ってる人、入っていない人がはっきりわかる。
中西:かなりリアルですよね。そこに入るか入らないかっていうのは。書いてあると行けるわけで、行ったら行ったで当然お金も発生しますんで。
武田:一応荷物を持ってくるんですよ。17人目、18人目、一応荷物を持ってきておいてって。入ってないときはね。
中西:僕はいつも16人目か17人目かギリギリのところで。サブに入るかなっていうところだったんで。入っても16人しかベンチに入れないんですよ、J リ-グって。僕よく17人目だったので、「うわ、17人目だよ」って思ってかなりブルーになってました。だからそういうのも当然あったんでしょうね、福田さん。この2試合で。
福田:当然人数が多いですから、選考っていうことは兼ねていると思うんだけれども、難しさとしては、コンディショニングを上げていくっていう名目もありますよね。一番大切なのは、オマーン戦にベストコンディションを持っていくことなんだよね。でもその前に選考が入ってくると、コンディションを早く上げてしまうっていうこともあるので、その辺の難しさっていうのは。シーズンオフからシーズンインして、そしてオマーン戦に向けて4週間前ぐらいからトレーニングをして。そして2 週間経って試合をして、1週間前に試合をしてっていう形だから、選考も兼ねてるんだけど。その辺の入ったり入らなかったりの選手たちは、その余裕がないからコンディションを上げていくっていうね。オマーン戦にコンディションを合わせるっていう形では臨めないと。だからあのチームのなかにも、そういう意識を持った選手とそうでない選手ということで、チームのなかでモチベーションっていうか、コンディションがバラバラになるのは仕方ないと思うんだけど。はっきりさせた方がよかったかもしれないけど、ただ、ヨーロッパ組の問題もあるんで。
中西:ありますね。
福田:ヨーロッパ組が何人帰ってこられるかどうかわからないと。そのなかで多くの人数を見なければいけないと。そういうことの難しさっていうのをやはり今の日本が抱えているのは事実だと思うんだけど、すごく難しい合宿だったと俺は思うんだよね。
中西:高木さん、やっぱりマレーシア戦にある程度ピークを持っていかないといけない選手と、俺はもう絶対オマーン戦にはスタメンで出るから、まだ俺はピークじゃなくていいなって思う選手と。ここでミスしたら次は出られないかもしれないって思う選手の意識、コンディションの違いってかなりありますよね。この3試合ぐらいで。
高木:あるでしょうね。この辺はだから選考の仕方ですよね。早めにメンバーを決めてそういうリラックスした状態のなかで全員が同じ考えのもとでコンディションを作りながらやるっていうやり方と、バラバラなコンディションであったり考え方だったりモチベーションであったりっていうところがあるので、選考の仕方っていうのはすごく。
中西:デリケートですよね。
高木:人によっても違いますしね、監督によっても。難しい問題ですよね。
中西:ジーコ監督はどうやって選んでるんでしょうかね。最終的に選手を選ぶときに。
武田:ジーコ監督は、ある程度やり方を考えてるんじゃないですかね。
中西:先に決めてて。
武田:だいたい自分のイメージはもう決めていて、フォワードに関してもある程度のメンバーは決めていて、調子のいい選手と悪い選手っていうだけで決めるかなっていう気はしますけど。ただこの間のね、紅白戦とか行くとずっとおもしろいんですよ。今の代表チーム、例えば左サイドに三都主(アレサンドロ、浦和レッズ)選手がいるじゃないですか、右サイドに石川(直宏、FC東京) 選手がいるわけですよ、オリンピックの。その辺のぶつかり合いなんか見てるとね、マレーシア戦より全然おもしろいですよ。お互いの特徴を知ってるじゃないですか。だから逆にこの間のマレーシア戦は三都主選手はすっごいやりやすかったんじゃないかなって見てて。逆にそういった紅白戦の方が白熱するんですけど、そういった意味で、この間のイラク戦もそうですけど、メンバーに入ってホッとしちゃってる感じが。
中西:試合に選ばれてスタメンに入っただけで。
武田:そういうのをちょっと感じながら。あと、ジーコ監督の考えもあるし。
中西:その辺がやっぱり難しいですかね。次の質問にいきたいんですけど、質問2「日本代表は、確実に強くなっている」。これは当然、3人とも「yes」なんですけど。当然進化はしてますよね。
福田:してます。間違いないです。選手個人の能力が上がってます。
中西:あとはコンビネーションだったり戦術的な部分であったりというところのすり寄せって感じですか。
福田:ジーコ監督になって、海外組が今までの日本では考えられないくらい多く出てって、そういうなかで一緒にプレーする時間がないんで、すごく難しい状況だと思うんだよね。その辺をどうやってやっていくのかなってこと。今後日本が抱えていく問題なのかなって思いますね。ヨーロッパから日本に帰ってきて、またヨーロッパに帰るっていうのは、すごい移動距離と時差があって、コンディションを調整するのは難しいと。本来であればヨーロッパに行っている選手っていうのは日本国内にいれば当然そのチームの中心選手で、全部試合に出るんだけど、ヨーロッパではなかなかそういう環境には恵まれないと。例えば向こうであんまり出てなくて、日本に帰ってきて試合をして、また帰ってコンディションが悪いから試合に出られないという悪循環も当然出てくるだろうから。難しさはあるのかなって思いますね。相当、大変な仕事をしてると思いますね。
中西:そこで質問3「海外組抜きの日本代表は、力が劣る」っていう話をしたいんですが、武田さんと高木さんはそんなことはないと。福田さんは「yes」になってるんですけど、やっぱり海外組が福田さんの場合は入った方が。まあ「力が劣る」っていうよりも、海外組が入ってプラスαがあるって考えた方が。
福田:そうそう、そういう意味ですけどね。「劣る」っていうのとは違いますけどね。
中西:ニュアンス的に。
福田:当然ヨーロッパでプレーできるってことは評価されて行ってるわけだから。国内の選手たちがヨーロッパでプレーできのかなって言ったら、できないですよね。やりたいけどなかなかチャンスない。それは実力だけの問題じゃないと思うけど、当然力がなければオファーが来ないわけだから、個としての力はあるわけ。それがチームになったときにどうかっていう話はまた別で。当然中田(英寿、イタリア・ボローニャ)は今までの日本人のなかでは飛び抜けた存在であることは間違いないし。その選手が向こうでやってる活躍、また経験っていうものは計り知れないものがあるから。そういう意味では海外組の力って相当のものだと思いますけど。
中西:武田さんね、一時期海外に行ってらしたじゃないですか。その移動とか、相当大変でしょう。
武田:そうですね。でもやっぱり中田選手なんかは慣れてますからね。そういったのはどこのチームもトップになってくると慣れてくることで。やっぱり海外って経験っていうのが一番大きいでしょうね。海外の選手と日本の選手で何が違うかって言ったら、その自信とかそういった海外の経験が違うんですけど、国内のなかでも「海外海外」って言ったら日本の選手は絶対「何だよ、海外に行けば出れるのかよ」って思っていると思うんですよ。日本でも海外でも、今とにかくベストコンディションで、チームとして機能する選手がいれば、海外の選手はもちろん経験とか自信の面では必要だけど、個人よりチームとして勝てるような選手がいれば、十分日本でもやっていけると思うんですけど。
中西:高木さんは海外組の試合を解説されてますけど、中田選手は最近どうですか。僕らは見ててすごく調子が上がってきてるなって思うんですけど、実際は。
高木:今の海外組のなかでは中田が一番光っていると思います。
中西:ですよね。
高木:ボローニャに移籍して、それまでパルマにいたなかで、本当に彼が言ってたのは「自由がない」っていう話をしてて。それで彼が右サイドで起用されてて、パルマのときですね、よく監督さんの指示が中田に対しては「左のサイドに張れ」と。だから中に入っていくことも許されなかった。要は縦の動き、上下の動きしか許されなかった。そういった部分を考えると、今ボローニャで自由なポジションを与えてもらっていて、なおかつゴールに近い位置。最初はボランチの位置から、最近は少しずつ前に上がって。
中西:上がってますよね。
高木:そのなかで得点もしましたし、今一番乗っていると思いますね、中田の場合はね。基本的に日本のサッカー文化っていうのも、ドンドン海外に行って、そこでまた招集されて、日本代表が強くなる。将来的には海外に行く選手も増えて、自然とそうなっていかないと強くならない。全てじゃないですけど、やっぱりあると思うんで。そのなかで確かに海外組の必要性ももちろんあるんですけど、日本でやっている選手たちも。海外組の選手は日常的に海外の選手と練習していつもコミュニケーションを取って、経験っていう意味ではたくさん培っている。ただ国内組の代表選手に関しても、A マッチの試合とかフレンドリーマッチとかたくさんやってますから、それなりの感覚的なものっていうのは海外の選手とやるときの感覚ですよね、それが何となくつかめてきている選手もたくさんいると思うので。ハンディの部分は確かに海外組の選手に比べてあると思いますけど、国内組でも十分頑張っていけば経験はできますからね。そういった意味での必要性はもちろん海外組にありますけど、国内組の選手にも頑張ってほしいなと思いますね。
中西:福田さん、この間の対マレーシアと対イラクの試合を見て、国内組でこの選手は代表でやってもいいなっていう選手はいましたか、誰か。
福田:小笠原(満男、鹿島アントラーズ)とか。J リーグでもね、ずっとコンスタントに力を出してるし、それはみんなも認めてる選手だから問題ないと思いますし。ディフェンスでもイラクの試合なんか福西(崇史、ジュビロ磐田)、遠藤(保仁、ガンバ大阪)といった、あの辺のバランスとかは非常によかったと思いますね。
中西:武田さんは。
武田:そうですね。やっぱり小笠原選手とか気持ちが入っていますよね。「体張ってんな」っていう闘志とかを感じるんでね。そういったものがワールドカップみたいな試合では、「闘将・柱谷(哲二、浦和レッズコーチ)」とかね、やっぱり生きるんじゃないかなということで。
中西:後でワールドカップ予選については聞きますけど、やっぱりそういう選手がほしいですよね。高木さんは誰か。
高木:僕も小笠原が一番よかったかな。
中西:コンディションもよかったですよね。
高木:そうですね。
中西:ちょっとケガ人が出たのが、心配なんですけど。本山(雅志、鹿島アントラーズ)選手がケガしてるって話がありますし、山田(暢久、浦和レッズ)選手はもう離脱しちゃったじゃないですか。それだけがちょっと心配です。
高木:見たかったですよね、山田選手ね。
中西:見たかったですよね。マレーシア戦である程度のパフォーマンスをして、さあイラク戦でっていうところでしたが。ケガっていうのが、僕から見ててもいたたまれないなって感じがしましたね。
高木:悔しいでしょうね。
中西:悔しいでしょうね。福田さん、遠藤選手はすごくよかったなって思ったんですが。
福田:いいですよ。遠藤も福西もいいと思いますよ。そういう意味では、誰が出てもって感じがあるんじゃないですか。選択肢としては増えたんじゃないですかね。
中西:質問4「中盤は中田、中村、小野、稲本の4人に任せるべきだ」っていうのに対しては、皆さん当然「no」なんですけど。今回小野(伸二、フェイエノールト、オランダ)選手は招集されないことが決まってますし。どういう組み合わせになるかっていうのは楽しみだと思うんですけど。福田さんはどういう組み合わせを見てみたいですか。
福田:一番のポイントはコンディションでしょう。さっきの質問とちょっと重なってるけど、今までは親善試合で勝っても負けてもよかったわけですよ。
中西:極端な話ね。
福田:今回は負けることが許されないわけですよね。ということは、コンディションのいい選手を使うということですね。その判断を監督がするということです、ジーコが。これはすごく難しいことだと思います。
中西:僕らわからないですもんね。
福田:ただコンディションのことを考えたときに、国内組の選手はこのぐらいやるだろうっていうことは把握できると思う。合宿してるし長い間見てるから。ヨーロッパ組がわからない。例えば前の日に来たりとか、まあ16日に来るのかもしれないけど。
中西:16日ですね。16日に高原(直泰、ドイツ・ハンブルガーSV) 選手と中田選手、稲本(潤一、イングランド・フルハム)選手、みんな来ますね。
福田:ちょっと中盤の話とは違うけど、柳沢(敦、イタリア・サンブドリア)と俊輔(中村、イタリア・レッジーナ)のコンディションをどう見るのか。来日したばかりで、移動と時差でコンディションが悪いのか、それらとも試合から離れててコンディションが悪いのか。それを4日、5日でどうやって判断していくか。やっぱり負けれない大きな一番の試合だから、90分っていうことを考えて試合に送り出さなきゃいけない。
中西:そうですね、3人しか代えられない。
福田:それを考えると、今までの親善試合とはやっぱり違う。今までの親善試合はヨーロッパ組を招集してやることがなかなかないんで、できる限りそのメンバーでやったということは一つ、狙いとしてはあると思うんだけど、今度はその段階ではないから確実にいいコンディションの選手を使うべきだと思う。その判断は難しい。
中西:相当難しいですよね。
福田:今度のオマーン戦はとても楽しみにしてるんですよ。ジーコがどういうふうにメンバーを構成するのか。たまたま伸二がケガで来ないってことがあるにしても、どういうメンバーを組むのかっていうのは非常に楽しみですね。
中西:中村俊輔選手と柳沢敦選手。中村俊輔選手は本当は17日だったんですよね、柳沢選手も本当は16日だったんですけど、ふたりがちょっと早く来てそのふたりに関しては長く見られる。しかも日本で長く調整できるっていうのはプラスになるでしょうね。
福田:間違いなく俊輔は使うと思うのね。
中西:僕も使うと思います。
福田:ああいうコンディションのなかで試合に出させたってことは、やっぱりジーコは俊輔に対して相当の信頼を置いてるし、そういう表れだと思います。コンディションを上げる意味で使ったということだと思うので、たぶんオマーン戦は出ると思いますよ。
中西:昨日、イタリアにいる中村俊輔選手から電話があって話したんですが、今まで腰を痛めて、膝も足首も痛めてたじゃないですか。「大丈夫、絶対大丈夫」って言ってたんですけど。そのイラク戦の日はさすがに。朝7時に着いて夜7時の試合に出たんですけど、飛行機に乗ってちょっとだけ固くなったから、張りが出たけど、もう痛みも張りもなくなっている状態で次はできると言ってました。イラク線は僕の感覚ですが、重そうだなっていうのはあったし、ボールが足に付いてなかったじゃないですか。グラウンドとボールに慣れる前に試合が終わってしまったって感じで。
福田:俊輔らしいプレーもあったけれども、彼の本来のパフォーマンスはほとんど見れなかったから。当然移動とかそういうものが関連してるのは事実だけど。例えばオマーン戦まで時間はあるけど、本当にそれが90分そういうふうになるのかっていうのを見るのは、監督の采配ってことになってくるんじゃないかなって思いますけど。
中西:高木さん、俊輔選手は出るとして、どういうメンバーになりそうですか。
高木:メンバーですか。メンバーはちょっとわからないんで。ただそのオマーン戦が初戦っていうこともあるので、本当に攻撃的にガンガンいくのか。
中西:どっちかですよね。
高木:入り方って大事だと思うので。ワールドカップ予選の、本当に一発目ですからね。そういうところで見ると、中盤のボックスの前の方は攻撃的な選手でもいいですけど、中盤のボランチって言われるふたりっていうのをどういうメンバー構成にするのか。僕はちょっと守り気味かなっていう。
中西:おそらく、わからないですけど、1 ボランチにして、4人ダイヤモンドにするか。後ろふたり並べて、前ふたりボックスにするか、形もまだわからないじゃないですか。でも、ワールドカップの初戦っていう、福田さん、前回のワールドカップの予選はフランスまで遡らないといけないんですけど、フランスの最初の試合ってタイでしたっけ。
福田:それはアメリカ。
中西:アメリカだ。初戦のタイの試合('93年4月8日神戸ユニバ-記念競技場) は圧倒的に差があったんですけど、1-0 ぐらいでしたよね。
福田:そうです。すごいプレッシャーですよ。
高木:あれ福田さん?
中西:福田さんのゴールですよね。
武田:福田さんのアシストですよね。
中西:あ、勉強不足でした。すみません。その試合のときはどうでしたか。
福田:もう、緊張感があって。
中西:半端じゃないですか。
福田:前半に点が取れたけど、1-0 ではすごい怖いんだよね。
中西:怖いですよね。
福田:負けられないっていうプレッシャーはね、ものすごいプレッシャーだと思う。固くさせるし。タイも強かったから。タイってみんなそんな強くないって思っているけどすごいうまいですし、小さいですけど技術があってスピードもありますから。すごいやっかいなチームでしたけど。やっぱりすごい怖いですよ。ほとんど覚えてないですから。1点取って、その後はピンチしか覚えてないですよ。ゴール前まで行ってシュート打たれるとやっぱりハラハラドキドキするような、そういう感じですよ。負けれないっていうのはそんなにもプレッシャーになりますから、固くなりますよ。高木も言ってましたけど、少しディフェンシブルになるっていう。中盤の並びの問題ではなくて、誰を使うかってことですね。どういう役割をその選手に任せるかってこと。ディフェンシブふたりにしても、ひとりは「ドンドン攻撃的なサッカーをしなさい」って言えば攻撃的なサッカーになるし、「どちらかと言えば抑え目にしなさい」って言えば、ディフェンシブルになるだろうから。だからどうしても最初は慎重になると思います。
中西:武田さんもそうですか。
武田:俺はもう、ジーコは決めてそうな感じがするんだよね。統計取ると、ブラジルの監督って頑固な人が多いので。
中西:どういう統計ですか。
武田:例えばラモス(瑠偉、元日本代表)さんを見たりね。この間の日本と韓国がやって('03年5月31日国立競技場、日本 0-1 韓国)、日本がひとり退場して負けたときのメンバーがすごいよかったから、そのままのメンバーを次の試合に使うとか。試合の流れのなかでいいメンバーはジーコはあんまり代えないので。基本になるメンバーって、ジーコ監督、海外組を入れてもだいたい一緒じゃないですか。中盤辺りは中田、中村・・・
中西:あんまり代わってないですよね。
武田:代わってないんで、そこをどうやってやるかぐらいでね。そうかなとは思うんですけど、今さらポンッとは代えないと思うんですけどね。
中西:高木さん、誰になる可能性がありますか。とりあえず遠藤選手は出る可能性が高いじゃないですか、守備的になると。今メンバーを見てると、あとはボランチをやる選手って言ったら福西選手。
高木:そうですね。稲本は14日にUEFAカップをやって、僕が中継したんですけど、結局稲本は出ずに。ちょっとかわいそうでしたけどね。その辺のコンディションでしょうね。
中西:最近ほとんど出てないじゃないですか。
高木:出てないですね。そう言えばですね、オマーンって、'97年のワールドカップの一発目('97年3月23日マスカット)。
中西:オマーンでしたね。
高木:あのとき緊張感っていうのはすごくありました。
中西:どんな感じでしたか。
高木:岡田(武史、横浜F.マリノス監督) さんがコーチで、加茂さんが監督で。
中西:そのとき出てました?
高木:僕は先発で出なかったですけど、加茂さんとか岡田さんとかの表情を見てると、加茂さんも岡田さんも初めての経験だったので、すごい緊張してました。ガチガチに。僕は一回、アメリカっていうのを経験してたので、予選をですね。意外と流れ的なものとか雰囲気的なものはわかってたんですけど、ちょっとこう下がった位置から見ると、「ああ緊張してんだな」って。
中西:どういう試合展開だったんですか。
高木:1-0 でしたね。小村(徳男、サンフレッチェ広島)が入れて。加茂さんの指示が、そのとき山口(素弘)、今新潟(アルビレックス)にいますけど、彼がボールを持ってて、本当にミスパスで簡単にボールを取られて。最初に蹴ってればいいものをちょっとボールを持って。そしたら加茂さんがバーッと出ていって、「何言うのかな」って思ったら「山! 蹴ってろ!」。そういう指示があって、加茂さんってそういう指示がけっこうあるんですけど、すごく固くなってましたね。
中西:あのときアウェイでしたっけ、スタートは。
高木:アウェイです。
中西:こぼれ球を一発、小村選手が入れたんですよね、確か。それがやっぱり最初は固くいきたい? 福田さん、ジーコ監督はどうなんですかね。固くなってるんですかね。
福田:固くなっているかわからないですけど、固いですね、サッカーは。
中西:サッカーは固いですよね。
福田:どちらかと言うと、手堅い。
中西:手堅くいきますよね。
福田:非常に慎重なタイプだと思いますね。あまりそういう高いリスクを冒して何かをしようっていう形は、今までの流れからすると見えないですし、本当にしっかりとしたサッカーと言いますか、手堅いサッカーをしようと思ってると思いますよ。
中西:おそらくダブルボランチでやると思いますけど、福田さんだったら誰ですか。
福田:遠藤と稲本をやっぱり使いたいと思うんですよね。コンディション次第だと思いますね。福西は全然問題はないと思いますけど。
中西:その辺はさっき言ったコンディション次第で、福西選手なのか稲本選手なのかっていうところですか。
福田:そうですね。そこのふたりがどれだけ攻撃参加するかっていうのが、ポイントになると思うんですよね。そこが攻撃的にいくのか、ちょっと抑え目にするのかっていうことで、かなり試合の流れは変わってくるから、その辺の選手がどういう気持ちでやるか。その辺のふたりの選手がかなりキーになるんじゃないかと思いますね。
中西:どうですか。
福田:立ち上がりは相当慎重にいくと思いますよ。
中西:ガチガチに。
福田:積極的にはいかないのかなって気はしますけど、いってもらいたいという気持ちはありますけど。チャンスがあれば当然ね。でもやっぱり怖いですから、まずはやられたくないっていうところから入っていくと思うので、慎重な立ち上がりになると思うんですよね。点がずっと入らないと結局は焦ってきて自分たちでリズムを壊すことがあるので、そういう状況にだけは陥ってほしくないなって思うので、早く点が入ればいいなって。
中西:前半にね。
福田:そのためにはセットプレーかなという気はしますよね。そうすると俊輔かな。
中西:大事になってきますよね、そういうところはね。武田さんはそのボランチに関しては誰がいいと思いますか。
武田:向こうが引いてきたときに、中盤の底でゲームを作るんだったら中田選手が。ボローニャではそこでゲームを作っていたし。もうひとりのサイドには、三都主選手が上がったり下がったりするんで、そこのカバーがしっかりできるような稲本選手がいいかなって。
中西:中田選手と稲本選手のダブル。
武田:稲本選手が調子悪かったら遠藤選手かな。前は俊輔選手に攻撃を好きに任せて、トップに小笠原選手が最近調子がいいんで。やっぱり相手に引かれちゃったときに横パス、横パスが日本はすごく多くてですね、そうなったときにやはり中田選手がボールをたくさん振れればチャンスが広がるっていうことで、やっぱり中盤でやってほしいかなって。
中西:中田選手には一歩引いたところで。
武田:そうですね。
中西:高木さんは今うなずいていらっしゃいましたけど、そういう考え方ですか。
高木:いや、僕は武田のとはちょっと違います。
中西:違いますか。何でうなずいてたんですか。
高木:そういう考え方もあるんだなっていう。それぞれ武田も福田さんも違うんで。
中西:高木さんはどうですか。
高木:今の段階では、遠藤と福西がセンターの真ん中っがいいんじゃないかと。
中西:理由は。
高木:ふたりとも守備もできるし、攻撃も「じゃあ、今からいけよ」って言ったらある程度できる選手ですから。
中西:そうですね。
高木:まあ一番バランスも取れてて、コンディション的な部分も問題ない選手なんで。
中西:そのふたりで。
高木:はい。
中西:さあ続いて、質問5 「U-23代表選手は、オリンピック予選に専念させるべきだ」という話なんですが、高木さんが「no」、福田さんも「no」、武田さんだけ「yes」。武田さんこれはどうですか。いきなり話がポーンと変わっちゃいますけど。
武田:もう大会が近いですし、ある程度メンバーを固めていかなきゃいけないんで。大久保(嘉人、セレッソ大阪)選手が代表からいきなりオリンピックに戻ったりとか。石川選手も。そういうのを考えたら、もうオリンピックが近いんで、メンバーでしっかりやらせてやりたい。そんなにオリンピックの予選も甘くはないんでね。
中西:甘くないでしょうね。
武田:途中から入れたりするとコンビネーションとか難しいから。もう集中させてあげる時期じゃないかなということで。もっと早くやってもよかったかなって。
中西:もっと早く合流させてあげるべきだったかもしれないと。
武田:大会とかなかったら、オリンピック選手の代表もいいですけど。
中西:福田さん、どうですか。結果論としては、茂庭(照幸、FC東京) 選手だけ残って、大久保選手と石川選手が外れるということになりましたけど、この状況で。
福田:結果としてそうなったら、最初からオリンピックにやっとけばよかったっていうふうになりますよね。
中西:ですよね。
福田:でも、過程があってそういう結果になっただけだから、当然代表の方でどういうケガ人が出るかわからないし、そのときに大久保っていう選手は非常にいい選手だと思うので、そういう意味で代表で準備させとくことは問題ないし、18日が終わればその後オリンピックに集中できるわけだから。それにシーズンインですよね。で、体をまずは1 週間、2週間で作っていく段階だから、それは別によかったのかなっていう気がしますね。ただオリンピックの方でのコンビネーションとか、監督の山本(昌邦)さんにしてみれば、早く来てやる準備は当然必要だったと思います。代表の方でも不安があるわけだし。
中西:そうですね。
福田:18日を期限に考えれば、切り換えがしやすいと思うのね。18日までは代表。その後オリンピックっていうことになれば、選手としては迷いなくできると思うので。それはそれでよかったのかなっていう気はしますけどね。結果としては、「そんならもっと早くオリンピックをやってりゃよかったじゃねぇか」っていうのはありますけど。
中西:結果論ですからね、たまたまね。高木さんどうですか。
高木:やっぱりフル代表に呼ばれた選手っていうのは、そのなかでいろんなトレーニングをしたり、精神的な部分の強さとかいろいろ経験できたと思うので。それをオリンピック代表にいって浸透させていくっていうキャプテンシーじゃないですけど、チームリーダー的な部分っていうのも少し養ってもらわないと困ると思うんですけど、その辺を今のオリンピックチームにうまく持っていければ。

後編へつづく

取材・文:CREW
撮影:田中秀宏