チケットのことならチケットぴあチケットぴあ

こんにちは、ゲストさん。会員登録はこちら



2004年J1リーグ戦1stステージの激闘が横浜F・マリノスの優勝で幕を閉じた翌日、惜しくも優勝を逃したジュビロ磐田の藤田俊哉選手がトークバトルに駆けつけてくれた。今回は藤田俊哉公式サイトリニューアルスタート記念、"藤田俊哉スペシャル"として開催された。Jリーグのこと、日本代表のこと、そして貴重なプライベートトークまで、中西哲生、福田正博の3人で語り合ったトークバトルの模様を、余すところなくレポート。

"藤田俊哉公式サイト<www.toshiya.tv/> リニューアルスタート記念"
ぴあトークバトルVol.36
「ジュビロ磐田の羅針、日本代表の行方」

Supported by ネスレ ミロ

前編

<ホスト>
中西哲生
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンをつとめ、'00年にJ1昇格を果たした。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ系)、「ニュース23」(TBS系)などに出演中。

<ゲスト>
福田正博
'66年、神奈川県生まれ。相模原工高から中央大を経て、'89年に三菱重工(現浦和レッズ)入り。'95年にはJリーグ日本人初の得点王に輝く。'00年にチームがJ2へ降格してもチームに残り、'02年の引退まで生涯レッズを貫く。J1リーグ通算216試合91得点(歴代5位、'02シーズン終了時)。日本代表通算45試合9得点。

藤田俊哉
'71年静岡県生まれ。清水商、筑波大を経て94年にジュビロ磐田入り。ルーキーイヤーからレギュラーをポジションを獲得し、3度のJリーグベストイレブンに輝く。01年にはMVPを獲得し、'03年にはオランダリーグ・ユトレヒトでもプレイした。今季Jリーグ通算300試合出場を達成し(1stステージ終了現在91得点)、日本代表としても活躍している。

中西:“藤田俊哉公式サイトリニューアルスタート記念”「ぴあトークバトルスポーツ快楽主義VOL.36 藤田俊哉スペシャル Supported by ネスレ ミロ」。
会場:拍手
中西:527 名、超満員に埋め尽くされたこのスタジオドリームメーカー。いよいよ始まります。盛り上がっていきましょうね。では、さっそく、出演者の皆さんをご紹介いたします。皆さん、大きな拍手でお迎えください。JFA アンバサダーとして活躍。テレビを通じてサッカーの楽しさを皆さんに伝えております。“Mr. レッズ”福田正博さん。
会場:拍手
福田:こんにちは。よろしくお願いします。
中西:よろしくお願いします。
福田:やっぱりすごいね、藤田俊哉は。後ろ、立ってるんじゃないの?
中西:すごいですよね。
福田:違うね。気合入ってきたよ。楽しみにしてもらいたいですね。
会場:拍手
中西:それでは本日のメインゲスト、ジュビロ磐田の10番を背負う男、そして日本代表には欠かせないプレーヤー、藤田俊哉さん。
会場:拍手
藤田:こんにちは。
中西:よろしくお願いいたします。今日はですね、「ジュビロ磐田の羅針、日本代表の行方」ということで、まずは藤田さんに11の質問に答えいただきたいと思います。よろしいでしょうか。それでは11の質問、福田さんもよろしくお願いします。質問1 「1st ステージの結果に満足している」。
藤田:「no」。
中西:当たり前じゃないですか。これ、「yes 」だと困りますよね。質問2 「一番強いのはジュビロ磐田だ」。
藤田:「yes 」。
中西:質問3 「一番いい選手が揃っているのもジュビロ磐田だ」。
藤田:「yes 」。
中西:質問4 「一番楽しいサッカーをしているのもジュビロ磐田だ」。
藤田:「yes 」。
中西:質問5 「年間優勝はいただく」。
藤田:「yes 」。
中西:質問6 「ついでにMVP もいただく」。
藤田:「no」。
中西:えー本当?
藤田:2 回はもらえないでしょ。
中西:詳しくは後で聞きましょう。質問7 「今年の日本代表の結果に満足している」。
藤田:「yes 」。
中西:会場の皆さん、「えー」って。選手が満足ならいいじゃないですか! 質問8 「しばらく代表を離れていた間『なんで俺を呼ばないんだ』と思っていた」。
藤田:「no」。
中西:後でじっくり。質問9 「シンガポール戦では『早く俺を出せ』と思っていた」。
藤田:「no」。
中西:質問10「アジアカップはいただく」。
藤田:「yes 」。
会場:拍手
中西:それでは最後、質問11「日本代表をドイツワールドカップに導く自信がある」。
藤田:「yes 」。
会場:拍手

質問藤田氏
1. 1st ステージの結果に満足しているno
2. 一番強いのはジュビロ磐田 yes
3. 一番いい選手が揃っているのもジュビロ磐田だyes
4. 一番楽しいサッカーをしているのもジュビロ磐田だyes
5. 年間優勝はいただくyes
6. ついでにMVP もいただくno
7. 今年の日本代表の結果に満足しているyes
8. しばらく代表を離れていた間『なんで俺を呼ばないんだ』と思っていたno
9. シンガポール戦では『早く俺を出せ』と思っていたno
10. アジアカップはいただくyes
11. 日本代表をドイツワールドカップに導く自信があるyes

中西:質問1 「1st ステージの結果に満足している」で「no」ですね。
藤田:してない。
中西:満足してても困りますけど、これはね。
藤田:優勝できなかったってことで満足してない。
中西:6 月26日は残念でしたね。
藤田:勝って(ヤマハスタジアム、ジュビロ磐田4-2 サンフレッチェ広島)、鹿島アントラーズがいいことしてくれるかなって思ったんですけど(横浜国際総合競技場、鹿島アントラーズ0-1 横浜F.マリノス)。人に頼っちゃいけないですね。
中西:昨年優勝できなかったじゃないですか。1st ステージ始まる前は、今年は取るぞっていう意気込みは当然あったわけですよね。
藤田:そりゃそうですよ、だって。やるからには優勝したいなと思ってますから。しかも僕、オランダから帰ってきてね。帰ってきてもっと悪くなったら恥ずかしいし。
中西:最初ずーっと勝ち続けていたじゃないですか。その後ちょっと、失速しかかったときがあって。それは何か理由があったんですか。
藤田:失速した感じがあった?中にいると気づかないんだよね。上がってんじゃないかなって思ってた。
福田:結果としてね。ちょっと何か元気ないかなって感じはしたよね。
藤田:反省しなきゃいけないなって思います。
福田:ちょっと疲れはあったのかな。
藤田:うーん、僕だけの感じで言うと、試合数も多かったし、移動も多かったし。ちょっと日程的にどうなのかなって。
福田:J リーグ、変えてもらうか。
藤田:釜本(邦茂、元日本代表、JFA 副会長)さんも言ってたんですよ、代表に行ったときに。ちょっと試合数が多すぎるから。だって空いた時間に代表の移動があって、また空いた時間にAFC チャンピオンズ・リーグのジュビロの試合が入ったり。
福田:実際どうなの、多く感じるの。
藤田:うん。
福田:幸せだな。俺はね、少なかったな。
会場:笑い
藤田:そうそう、だから。だってさ、よく考えたら、弱いチームだったら。
福田:ああ、弱いさ!
会場:笑い
藤田:2 カ月分ぐらいで、弱いチームの1 シーズン分ぐらいやっちゃう勢いなんだもの。「もう1 シーズン分やっちゃったよ、俺」みたいなさ。
福田:何か説教されてるみたいだ。「そうだな」なんて思いながら聞いたんだけど、やたら説得力があるんだよね。本当にそうだよね。そういう意味じゃ、選手層って大切になってくるんじゃないの。
藤田:そういうところがマリノス(横浜F.マリノス) はいいんじゃないのかな。
福田:そこの差かな、最後は。
藤田:まあ、そういう感じかな。
福田:ちょっとな、語尾が弱かった。ちょっと元気がないよ。
中西:試合が多かったこと、藤田選手個人で言うとまだ膝に痛みがあるのかな。
藤田:マリノス戦で膝痛めて。一回ちょっとひどくなって。
中西:痛めた翌日会ったら、すごいブルーだった。
藤田:あのときか。そうそうそうそう。
中西:『Begin 』(世界文化社)っていう雑誌で対談してまして今月号に出てますよ。
藤田:最高に痛いときで、行くの止めようと思った。そんくらい痛かったんだよ。
中西:次の日会って、すごいブルーだったんですよ。珍しいなって思ったんです。
藤田:ケガするとブルーだよね。福ちゃんが足骨折したとき、俺、電話したじゃん。
福田:優しいんですよ。
中西:本当ですか。
福田:好感度上がっちゃって。
中西:いつですか。
福田:えーと、1996年かな。
藤田:足首骨折してね。
福田:ボキッと折ったときね。
中西:それで。
福田:かなりブルーだったよ。たぶん俊哉のブルーとは違う。もっとブルーだと思う。
中西:それで藤田さんから電話があったんですか。
福田:また、声も甘いでしょ。
中西:男の人の甘い声って・・・男なんだから関係ないでしょ。
福田:ちょっと惚れたね、優しさに。
中西:でも、いいときに電話をかけてきてくれるってことですよね。
藤田:電話は簡単だからね。かければいいんだから。
福田:そんなことないぞ。そういう電話ってうれしいもんだよ、落ち込んでるときは。
藤田:その後はしてないんだけど。
会場:笑い
福田:だからその後、ずーっと寂しい思いしてるよ。
中西:失礼ですけど、おふたりはどういうご関係なんですか。
福田:似てるかもしれないね。
藤田:仲いいって言っても。
中西:同じチームでやってますか。
福田:代表で。
藤田:代表で。代表に僕が入り始めの頃に一緒にやってた。
中西:アンブロカップの頃ですか。
藤田:そうそう。1995年。加茂(周、元日本代表監督)さんのとき。
中西:そっからずっと仲がいい。
藤田:大先輩だから仲がいいっていうか。
中西:福ちゃんって言ってるし。
藤田:福田さんって呼んでますよ!
福田:一度一緒にチームメイトでやれば、そりゃ仲いいに決まってるじゃないですか。高い次元で結びついて、ね。
中西:話が逸れましたけど、その対談のときに怪我しててブルーだったんで「大丈夫?」、「いやあ、ちょっとやばいかも」って。そんなにひどくないから試合はできるかもしれないけど、けっこう痛いって言ってたんですよね。
藤田:はい。
福田:その怪我は大丈夫なの?
藤田:ちょっと痛い。だけどそのときに比べれば随分よくなった。水も溜まってたし。まだちょっとあるけど、だいぶ。やっとサッカーができるようになったかな。
中西:この前も試合、出てましたよね。
藤田:やってたけど、自分のフィーリング通りに少しずつ動けるようになってきた。
福田:言うことが違うよ、やっぱり。フィーリングだよ。
中西:僕は一生、フィーリングでは動けなかった。
会場:笑い
福田:俺も一緒だね。
中西:いやいや、福田さんは動けるじゃないですか。
福田:フィーリングって言葉がわかんない。使ったことねえもん、その言葉。
中西:僕も使ったことないです。
福田:すごいよね。サッカーでフィーリングとか。使わないもん、あんまり。そういう選手なんだよね。繊細だしさ。
中西:確かにそうですね。「サッカー久しぶりにやった」とか言わないですもんね。
福田:自分の納得するプレーをしないとやっぱり納得しない。でもそのくらい繊細なわけよ。だからちょっとした怪我でも気になるんだな、どっちかと言うと。
中西:でしょうね。でもこの間また会ったんですよね。けっこう会うんです。
藤田:アントラーズ戦の後。
中西:電話がかかってきて、「どっか飯食うとこない」って。
藤田:そういう関係。
中西:僕は『weeklyぴあ』みたいな存在。
福田:そういうことか。
中西:藤田選手にレストランを斡旋してるの。
福田:そうかそうか。
中西:他にも活用してる人、けっこういますよ。
福田:でもよく『weeklyぴあ』って出てきたな。
中西:はい。
福田:偉いよ。今日はぴあのイベントだからね。
会場:笑い
福田:さすがだな!
藤田:で、あのとき一緒にご飯食べた。
福田:俺にも電話しろよぉ。
藤田:番号、変わってるんじゃないの。
福田:変わってない、変わってない。
中西:福田さんはだから、たまたま、家が埼玉の方じゃないですか。たまたま帰ってきて東京でご飯食べるって言って。
福田:ああ、どうせ田舎さ。
会場:笑い
中西:そんなこと言ってないじゃないですか。なんでそんなマイナス思考なんですか。負けた後で中山(雅史、ジュビロ磐田)さんとふたりで行ってきた。
藤田:別に荒れてなかったでしょ。
中西:何も言わない。中山さんもね。
藤田:今日ここに連れてくればよかったね。
会場:笑い
中西:藤田さんと三人で店に入ってって、藤田さんのマネージャーもいたんですけど、みんな見てましたよ「中山さんだ」って。
藤田:ちょっと飛ばしてたね、あのときね。
中西:飛ばしてた。かなり飛ばしてた、中山さん。
福田:相当、辛かったんじゃないの。そういう奴だよな。辛いときこそ明るく振る舞うっていう。
藤田:中山さんと同い歳だっけ。
福田:俺の方が一つ上なんだよ。
中西:普段は誰と一緒に食事に行くんですか。
藤田:誰?
中西:選手で。
福田:例えばチームメイトで誰と行くか。家族か、とか。
藤田:マコ(田中誠)、誠と山西(尊裕)。
中西:その三人。そのとき何話してます?
藤田:三人集まったらあんまりサッカーの話はしない。
中西:しないんだ。何の話してるんですか?
藤田:次、何がほしいとかさ。
中西:服? 靴?
藤田:山西とはこの車はどうとか話したり。新しいものが出て、どうかって話をするときには山西に聞けばいい。あいつは雑誌、全部見てるから。「これ買おうと思うんだけどいくらぐらいする?」って聞くと、「あれは」って言って全部教えてくれるから。
中西:松森(亮、ジュビロ磐田web プランナー)君から電話があって「哲生さん、ヘッドポーターに行ってソニーの携帯のケース、買ってきてもらえませんか」って。
藤田:それは一体何?
中西:携帯電話のケースです。それを「買ってもらえませんか」って。「東京行けないんで、僕」って言われて。「山西君がほしいって言ってる」って。
会場:笑い
藤田:なるほどね。ほしいんだよ、あいつ、いろんなものが。
中西:そう。入手しにくいものだったりね。そういう係なんですか、山西君は。
藤田:山西はなかなかね。絶対今日喜んでると思う、ここに名前出てきたから。
福田:そういうタイプなの。そんな感じに見えないね。
藤田:見えないでしょ。だけどいい奴。
福田:かわいい奴だ。
藤田:マメだし。
福田:俊哉もマメじゃん。
藤田:違うよ。また全然違ったタイプのマメ。例えば山西は、選手会のお金の管理をきちんとやれるわけ。
福田:それはマメなんじゃなくてしっかりしてるってこと?
藤田:しっかりしてる。最初は僕がやろうと思ったんだけど、「ちょっと待て」っていう話になって。
福田:お金は危ないな。
藤田:ちがうっ。危ないっていうか、僕はきっちりできないと思われている。自分ではやれると思うんだけど。
中西:でも藤田さんは食事に行ったりすると、ちゃんと料理を取り分けたりしてくれる。
藤田:言って言って。
会場:笑い
中西:けっこうサーブしてくれる。
福田:焼肉行ってってもさ、全部取り分けたり。
中西:藤田さんと焼肉食べたことないからわかんない。焼肉奉行なの?
藤田:何で俺の焼肉の話するの?
福田:そのぐらい気配りをするのかなって。
藤田:そんなことない。好き勝手にやろうよって感じ。
福田:えー、そんなこと言って結構・・・。
藤田:あったらどうぞってやるけど、みんなの分を全部自分がやって、自分が食べられないみたいな、そういうことはないですよ。俺の焼肉はいいからサッカーの話しましょうよ。
中西:サッカーの話だけじゃなくて、そういう話もいろいろ聞きたい。まだ1 時間半もあるんだから、いろいろ聞きたいですね。田中選手はどうなんですか。
藤田:マコ?
中西:僕のイメージではダジャレしか言わない。
藤田:そうそう。そういう感じなんだけど、あいつは繊細。あいつが一番繊細かな。
中西:チームの中で? それとも三人の中で?
藤田:三人の中で。
福田:狭い世界だなあ、おい。三人の中で順番的にはどうなるわけ? 繊細順。
藤田:いや、難しいね。
中西:簡単、簡単。あとふたりだけでしょ。
藤田:マコでしょ、次が山西だね。
中西:藤田さんは繊細じゃないんだ。
藤田:本当言うと、今日も後ろにいてほしんだよね、ふたり。俺が言ったことを「違う」とかさ。
中西:突っ込んでくれる。
藤田:そうそうそう。だから本当にマコは繊細で、すごい気を使うし。ふたりともディフェンスの選手って感じ。わかるでしょ。
中西:僕もそうだった。
福田:違うじゃん。
中西:よかった、突っ込んでくれて。流されたらどうしようと思った。
藤田:そういう感じ。付き合って、僕が回して。
中西:ボール回して。
藤田:それで後ろでフォローしてくれる。だから助かるんだよね。
中西:だから、そのふたりとご飯食べてるんですか。
藤田:そんなことはないんだけど。
福田:それじゃ俊哉、イヤな奴じゃん。
藤田:みんな誘うんだけど、あの。
中西:来てくれない。
藤田:来てくれないっていうか。いろんなグループがあるからさ、やっぱり。おそばに行きたい班みたいなさ。ね。ひっそり食べたい人とかさ。
中西:ひっそり。
藤田:例えば何か買ってきて食べたい人とかさ。あと、決まったところに必ず行きたい人とかさ。そういう自分のスケジュール的な部分で、よく固まるのがその三人。
中西:あと奥さんいたりとかね、そういうのもあるじゃない。独身組とか。
藤田:昼だよ。
中西:あ、昼。夜は。
藤田:夜?
福田:夜は家族だろ。
藤田:だね。それか友達か。あんまりサッカー選手とは夜行かない。
中西:僕と中山さんと飲んだのは珍しいってことですか。
藤田:中山さんは行く。
会場:笑い
藤田:中山さんはやっぱり一番上だから、みんな誘わないよね、基本的には。
中西:なぜ? 中山さん行きそうだけど。
藤田:行かないね。試合終わった後とか見てるとね、みんな「行こうよ、行こうよ」って話になると、「お、またひとりになってるかな」って思うわけよ。ゴンちゃんが。
会場:笑い
藤田:「あれ、誰も誘ってねえぞ」みたいな。ね。やっぱり誘いたいんだけど、中山さんは年齢も上過ぎちゃって、みんな言えないんだよ。
中西:上過ぎ?
藤田:いやいや、僕は近いけど。
中西:前田(遼一)選手とかはそうなんでしょうね。
藤田:いやいや、マコとかそうなんだって。「ふたりで行けばいいじゃん」って言うんだけど、緊張しちゃうんだって。
中西:この間初めて飲んだんですけど、最初緊張しました、やっぱり。
藤田:だから俺が誘うわけよ。「行こうよ」って。入団したときから一緒だから。
中西:一番歳が近いのって藤田さん? その間は誰もいないの。
藤田:いない。
中西:福田さんはそういう経験ありますか。
福田:年齢重ねるとみんなそうよ。
藤田:浮いちゃうでしょ。悪い意味じゃなくて。
中西:ひとりだったんですか?
福田:ぽつーんってひとりでいたな。嘘、嘘。だから、最後の2 シーズン、井原(正巳、元日本代表、JFA アンバサダー) が来たのは大きいんだよ。
藤田:わかるでしょ。
福田:自分では思ってないけど、下の方はそういう風に思ってるよ。
藤田:自分が誘わないとダメなんだよね。
福田:そう、そういうこと。
藤田:それに中山さん、あまり誘うタイプじゃないから。
中西:あ、そうなんですか。
福田:あいつ自分が気を使うから。
藤田:そうそうそう。
福田:いろんなこと考えちゃうから誘えなくなっちゃうんだよ。あ、俺と一緒だな。
藤田:似てると思う。
福田:な。表現の仕方がちょっと違うけど。
藤田:まあ、そこそこ毒持ってるしね、ふたりとも。
会場:笑い
中西:だから鹿島戦の後はふたりで帰ってきたの?
藤田:鹿島遠いでしょ。中山さんが都内まで出てくる足がないってことで、「じゃ、行きましょうか。車ありますよ」って。車のドアを開けてね。
中西:あ、やってた。東京に着いてもドア開けてた。
会場:笑い
藤田:「着きました。こちら予約しました」みたいな。
中西:予約したの俺だから。
藤田:あ、そうか。車の中で「じゃあ、ご飯どこ行こうか」って話になって。で、中西さんに電話したの。予約するからって。
会場:笑い
藤田:そしたら電話出ないの。まいったよ、あんときは。
中西:俺も仕事してるんだから。
藤田:すぐ折り返し電話くれたんだよね。
中西:すぐ折り返して。ちょうど試合を見てたんですよ。で、終わって、あわよくば優勝決まって祝勝会みたいな。
藤田:東京プリンスで祝勝会みたいな、ね。
中西:で、電話かかってきたからすぐかけ直して。「ご飯?」って言ったら「うん」って。
福田:便利だな。
中西:結構僕、便利だと思いますよ。どんな店でも知ってる自信はあるんです。
福田:お客さんも電話した方がいいですよ、予約取るときは。
中西:しかも今日みたいな日曜日で開いてるかとか、遅い時間だけどやってる寿司屋がいいとかね。だいたい全部知ってるんで。焼肉屋も煙が出る焼肉屋か、臭くない焼肉屋か。あと、子供もOKのところとか。
福田:本、書いちゃえばいいじゃん。売れるぜ。
中西:代表の試合が終わったときも行った。
藤田:タク(山田卓也、東京ヴェルディ1969) と。卓也が足怪我してるからさ。
中西:そうそう。あれ、どこでしたっけ。埼玉スタジアムのオマーン戦('04 年2 月18日、日本1-0オマーン)のときじゃないですか。
藤田:タクは代表外れたのに帯同してたの。で、ご飯行こうかって。
福田:優しいな。
藤田:それで電話して。だから結局、僕がやってるわけじゃない。
福田:ある意味仲介業だな。
中西:選手と食事に行っていろいろ話しすると思いますけど、やっぱりサッカーの話はしないですか。
藤田:ちょこちょこっとは。サッカーの話をしようって行くとやっぱりね、固いよ。
中西:固くなっちゃう。
藤田:普通に話してるときに出てくるサッカーの話の方がおもしろい。意外なことが出てきたり。
中西:例えばどんな。
藤田:このプレーはどうだったとか、なんでこうしちゃったのとか。だからご飯食べながらっていう方がいいかな、サッカーの話は。
中西:なるほどね。前に『Number』(文藝春秋)で藤田さんにインタビューして、ジュビロのサッカーを解析するみたいなのやったじゃないですか。
藤田:けっこう前だね。
中西:2 年ぐらい前。
藤田:よく覚えてるね。
中西:覚えてますよ。そのときも言ってましたけど、ジュビロって偶然で決まったゴールを許さなそうな雰囲気がありますよね。
福田:あるね。
中西:意図がなきゃダメみたいな。
福田:そういうこだわりを持ってる奴が多い。でもそれが行き過ぎると、勝敗っていう意識がちょっと薄くなったりする傾向があるの。きれいなサッカーを追求するがために。よりいいプレーで、見に来てくれてる人も楽しい、やってる人も楽しいっていうことをあまりに追求するがために、勝敗を意識しなくなることも多々あると。中西:僕に向かって言われても。
福田:昔は特に多かった。昔っていうか大昔だよ。
藤田:どれぐらい前?
福田:えーと、10年ぐらい前かな。
中西:けっこう前ですね。
福田:強くなる前。
藤田:5 割でいいと思ってた時代だね。
福田:そう、そういう時期。そこからちょっと勝つことに執着心を持ってやるようになった。
中西:それでよくなった。
福田:よくなったって言うか、戦う内容は変わってないけどフィニッシュで終わる、点を取って勝つってことに執着するようになってきたんじゃないかな。元々やってるサッカーはすばらしいし、日本中探してもあんなにいいサッカーをしてるところはちょっと見当たらないからね。本当にすごいと思うけど、優勝できない。マリノス(横浜F.マリノス)が去年の1st ステージ、2nd ステージ、今回の1st ステージで優勝したでしょ。最終的な違いって、直接対決で負けてるのよ。たぶんそれだけなんだよ。
中西:そうですね。
福田:マリノスに直接対決で勝てれば、ジュビロが優勝するんじゃない? 両方とも同じくらい勝ち星を落としてるんだから。それだけだよ。そこで差がついてるんだもん。そうだよね。あとねぇ、ジュビロの関係者がいるとあれだけど・・・。
会場:笑い
藤田:いないんじゃないの。
中西:今日、広報の方がいらしてますよ。
福田:ホームのときさ、やっぱエコパ(静岡スタジアム エコパ)でやるのはあんまりねぇ。
会場:拍手
福田:だから勝てない。
藤田:遠いってこと?
福田:お客さんは入るけど。ジュビロのサッカーってやっぱりヤマハスタジアムが合ってるから。やりづらいんだよな、相手が。
中西:なるほど。
福田:ボールも走るでしょ、あそこ。
藤田:うん。
福田:それがジュビロのサッカーには。
藤田:だけどね、だけどね、今は試合始まる前に水まいてくれって言ってんだけど。もっと水があるとボールスピードが上がる。
福田:ジュビロのサッカーはそれだもんね。
中西:やりにくいですよ。僕も現役時代にやってますけど、勝てる気しないですもん。
藤田:じゃあむしろ、大切な試合ほどホームで。
福田:プロである以上、営業的なこともあるんで何とも言えないけどさ。でもマリノスと2 回やって、2 回とも負けてるってことはさ。そういうのも少し影響があるのかなっていう気はしないでもないけど。
藤田:結果に表れてるってことは、何らかの改善するところがあるってことですね。
福田:そうかもしれないな。
中西:前の話に戻りますけど、やってるサッカーがすごいって話をしたじゃないですか。例えば名波(浩)選手と話とかするんですか。
会場:笑い
藤田:するよ。
中西:でもこの間、このトークショーをやったときに、名波選手が言ってた。「俊哉とは飯を食いに行かない」。
藤田:それがウリになってるのかもしれない。だってこの間、水曜日に行ったよ。
福田:あのね、大体そういうのを言うこと自体ちょっとよそよそしいよ。
藤田:本当のことを言うと、全員で行った。あ、全員じゃない。山西より上の年齢。
福田:山西より上って言われてもわかんないじゃん、俺。
藤田:あいつが27歳。
中西:そこでサッカーの話は出るんですか。どういう話するんですか。
藤田:「頑張ろうぜ」。
中西:そんなわけないじゃないですか。
藤田:本当だって。別にテーマはなく、声を掛けてくれた人がいたからその辺のメンバーを集めておいしいもんを食べようねって。そういう感じ。だってさ、10人ぐらい集まったら会話もこっちはこっちで話して、あっちはあっちで話してってなるでしょ。みんなそれぞれサッカーの話をする。
中西:じゃあ、よく考えたら名波選手とは話してないとか。
藤田:隣だった。
会場:笑い
中西:そのツーショットはあまり見れない。
藤田:名波でしょ、右隣が森下(仁志)で、その向こうが中山さんで、カウンターでL 字になってたから、一番奥がハット(服部年宏)。
会場:笑い
藤田:ハットとか洋平(佐藤)が座って。で、カウンターに入りきれないふたりが山西と福(福西崇史)だった。その中で一番年下だからカウンターには来れなかった。で、俺たちはカウンターにいて「次は何食べる」とか言うでしょ。山西と福の場合は「ちょっと適当に握っといて」って。そういう会だった。
福田:おもしろいよね、なかなか。そういうのが聞けて。ジュビロの中身がね。
中西:ああ、そうなんだってね。
福田:貸切りだ。
藤田:そう。人数的にも12、3 人ぐらいだから。
福田:ところでそのときは名波とどんな話をしたの。
藤田:あいつ、腰が痛いって言ってて。寄りかかりたいからって、壁側に座って。
会場:笑い
福田:背中向けてたわけだ。
藤田:腰が痛いって言うから。カウンターだからさ、基本的にはみんな前を向いちゃう。
福田:でも、名波は横向き。それはつまりしゃべりたくなかったんじゃないの。
藤田:しゃべったしゃべった。何か話したんだけど。
福田:覚えてねえんじゃん。
藤田:いや、あの。まあよくわかんない。内容はくだらな過ぎて。でも話したことは話した。
中西:僕、何でこういう話をしたかって言うと、話さないのになんであんなサッカーできるのって思いませんか。
藤田:話してるんだよ。外的に発信してるときにはそうやって言ってるだけ。
中西:ポーズ?
藤田:ポーズ、ポーズ。今まで隠してたけど仲いいんだ。本当はよくしゃべる。
中西:グラウンドで話してるときは何を話してるんですか。
藤田:こっちに出せとか、ちょっと中に入るから外に出ろとかさ。でも、話してるってことはうまくいかないってことだから。サッカーは話さなくたってできるんだから。何か言葉を交わすってことは、単純にちょっとずれてるってことよ。ちょっとプロっぽい発言しちゃったな。わかるかなぁ。
中西:福田さんはわかるでしょ。
福田:よくわっかんねえなあ。
会場:笑い
福田:試合中よくしゃべってたな、今思うと。うまくいってなかったんだな。
中西:端から見るとうまくいってるように見えますよね。
福田:でも言うことはわかるよ。その通りだね。よくコミュニケーションがどうのって言うけど、そういう次元じゃないもん。長ーくやってんだから。
中西:例えば試合中、うまくやるためにはいろんなことを話さなきゃいけないじゃないですか。ひとりの選手がボールを持ってるときに前の動きをどうするかとか、どの選手がどこで受けるだとか。優先順位があるじゃないですか。誰が一番先に動き出してとか。そういうのは話し合ってるんですよね。
藤田:何個かのオプションはあるけど、話し合ってできるもんじゃないでしょ。
中西:でも練習中にタイミングみて。
藤田:そうそう。そういうタイミングはもうみんな持ってるんだけど、どれを出すかはその一瞬で。誰かが動き出したときにこのパターンが当てはまるってなるわけだから。
中西:でも、パターンはある程度決まってて。ジュビロの強さはひとりが動き出した瞬間に、選手みんなが同時に同じイメージを描いてるところ。それが全員同じようにできるっていうのは、普段からそういう練習をコミュニケーション取ってやってんのかなって。
藤田:長くやってるっていうのはすごい大きい。同じメンバーで長くやれてるのが。だから逆にメンバーが欠けて他の選手が入ったときに、それが崩れちゃうのが弱さにもなるんじゃないのかな。
中西:新しい選手が入ってきたときにね。
藤田:それが選手層の薄さって言われちゃって。選手は薄くないと思うんだけど、ちょっとしたずれが生じるから。その辺は直さなきゃいけないかなって。
中西:あまりにも熟成度が高まり過ぎていて、代わりに入った選手が“あ・うん”の呼吸についていけない部分が多少ある。
藤田:かもしれない。それはわからないけど。

後編へつづく

取材・文:CREW
撮影:フレンダー田中