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Jリーグ開幕を翌日に控えた2005年3月4日に開催された「どうなる!2005年のJリーグ~ Amazing,J. アリエナイ瞬間、ガアル」。中西哲生、白石美帆、福田正博、井原正巳の4氏による熱いトークの模様を、完全掲載!

ぴあトークバトルスポーツ快楽主義VOL.42 supported by
「~どうなる!2005年のJリーグ~
Amazing,J. アリエナイ瞬間、ガアル」

前編

<ホスト>
中西哲生
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンをつとめ、'00年にはチームをJ1昇格へ導いた。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ニュース23」(TBS系)、「GET SPORTS」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>
福田正博(サッカー元日本代表)
'66年、神奈川県生まれ。相模原工高から中央大を経て、'89年に三菱重工(現浦和レッズ)入り。'95年にはJリーグ日本人初の得点王に輝く。'00年にチームがJ2へ降格してもチームに残り、'02年の引退まで生涯レッズを貫く。J1リーグ通算216試合91得点(歴代5位、'02シーズン終了時)。日本代表通算45試合9得点。現在はサッカー解説者として活躍中。

井原正巳 (サッカー元日本代表主将)
'67年、滋賀県生まれ。筑波大時代の'89年から日本代表DFとして活躍。'90年に日産FC(現横浜F・マリノス)入り、DFの要として横浜マリノスを牽引した。'00年、ジュビロ磐田へ移籍。'01年からは浦和レッズでプレイし、'02年現役を引退。Jリーグ通算297試合5得点。日本代表通算123試合5得点。現在はサッカー解説者として活躍している。

白石美帆(タレント・女優)
'78年、茨城県生まれ。短大ではスポーツに携わる栄養学を専攻し、食物栄養士の資格を取得。'98年10月より、TBS系列の 「J-SPORTS SUPER SOCCER PLUS」でキャスターとして人気を博している。現在はタレント・女優としてドラマ、CM、グラビアなど幅広く活躍中。

司会:「ぴあトークバトル スポーツ快楽主義 Vol.42 supported  by サントリー~どうなる!2005年のJリーグ~ Amazing,J. アリエナイ瞬間、ガアル」。このイベントは、Jリーグオフィシャルスポンサー・サントリーの協賛でお送りします。 皆さん、こんばんは。私、本日のナビゲーター、枦山南美です。どうぞよろしくお願いいたします。さて、開幕を明日に控えたJリーグ。「どうなる!2005年のJリーグ」というテーマでお送りする本日は、Jリーグに精通する論客3名を迎えています。まず、本日のホストをご紹介しましょう。スポーツジャーナリストとして、テレビ、ラジオで活躍中。明日は日産スタジアム開幕戦での「ヒストリカル・エキシビジョンマッチ」出場されます。中西哲生さんです。
会場:拍手
司会:続きまして、ゲストをご紹介しましょう。白石美帆さん、福田正博さん、井原正巳さんです。今日も豪華なゲストがいらしてくださいました。
中西:美帆ちゃん久しぶりですね。
白石:ご無沙汰してます。いつもテレビでは見てます。
中西:僕もテレビで見てます。僕とは違う次元に行っちゃってますね。今はドラマとか出てますからね。
白石:すみません。
中西:サッカー界でドラマに出てるの、武田(修宏)さんと白石さんですからね。サッカー界で一番成功してるのは美帆ちゃんじゃないかって。
白石:そんなことないですよ。
中西:サッカーもちゃんと見てますか?
白石:はい。明日ももちろんJリーグ行きますよ。
中西:今日は普段話せないことをどうぞここで話して下さい。あんまりサッカーのこととか話せないでしょ、ドラマの現場では?
白石:いえ、大杉蓮さんとかサッカー大好きで、一緒にサッカーやったりしてます。
中西:あっそうですか。今日もいろいろ話して下さい。
白石:よろしくお願いします。
会場:拍手
中西:福田さんは…、よかったですね、今日は座る場所がセンターで。さっき楽屋で打ち合わせしてるときに出る順番が変わったんです。本当は井原さんがセンターだったんですけど。
井原:権力で負けました。
会場:笑い
福田:違う違う、場所じゃなくて順番だよ。井原のあとがイヤなの。「俺のほうが先だろう」って。年齢的に。
中西:いくつ違うんでしたっけ?
福田:ひとつだけ。サッカー的には全然彼のほうが上なんですけど、年齢的には僕のほうがちょっと上なんで。
中西:そして井原さん。今日はいっぱい人が来てますね。
井原:僕もトークバトル6回目なんですけど、毎回楽しいですね。
中西:福田さんと井原さんが出ると大変です。
白石:何が大変なんですか?
福田:よくわからない。
中西:井原さんはイタリア帰りなんですよね。明日Jリーグは?
井原:行きますよ。横浜日産スタジアム。
白石:私も横浜に。
井原:明日OB戦出るんで。哲生と対戦します。
中西:レベルが違うんですよ。元日本代表のキャプテンと、僕はJ2落ちのキャプテンですから。
井原:レベルの問題じゃないから。
中西:僕もたまたま選ばれたのはテレビ出てるからで。現役時代だってオールスターには一度も選ばれたことないし、行った機会もないから。たまたま選ばれただけです。福田さんだって「呼ばれたかった」と思ってるんじゃないですか?
福田:みんな横浜行くんでしょ? 俺だけ浦和なんだよね。
中西:だって福田さんは浦和じゃないですか。
福田:OB戦があることも知らなかったっていうのはどういうことなのかな。嫌われてるのかな、井原に。
井原:僕がメンバー一応人選したんで・・・ウソですよ。
福田:どうせそういうことだと思うんです。
中西:明日はすごいですよ。2時から福田さん、4時から井原さんが解説ですから。
井原:福田さんが先で、僕があと。
中西:それで納得できました?
福田:まぁいいかな。
中西:じゃあとりあえずよろしくお願いします。
会場:拍手  
司会:こんなにオープニングから楽しいトークを聞かせていただいて、この後も楽しみですね。それでは、皆さんお座りください。では、まず恒例となりましたゲストへの「10の質問!」に参りましょう。ゲストの皆さんは、机の上にあります「YES 」「NO」の札で、回答をお願いします。

質問白石氏井原氏福田氏
第1問 J2:とても気になるクラブがある。YESYESYES
第2問 J2:とても気になるプレーヤーがいる。YESYESYES
第3問 J1:に注目すべき外国人選手がいる。YESYESYES
第4問 J1:横浜F ・ マリノス3 連覇がある。YESYESYES
第5問 J1:浦和のリベンジがある。YESYESYES
第6問 J1:鹿島・磐田もあなどりがたい。YESYESYES
第7問 J1:優勝は難しいかもしれないけど…気になるクラブがある。YESYESYES
第8問 J1:優勝予想は、できている。YESNONO
第9問 J1:プレーする場合も、観戦する場合でもいいのですが…お気に入りのスタジアムがある。YESYESYES
第10問 J1:通算10,000ゴールを決める選手を、既に予想した。YESYESYES

司会:以上、10の質問でした。それでは中西さん、よろしくお願いします。
中西:ではJ2からです。「気になるクラブがある」っていうのが全員YES でしたけど。
井原:はい。
中西:すっごいしゃべりたそう。ガン飛ばして。どうぞ。
井原:僕は今年は、仙台(ベガルタ)は都並(敏史)さん監督じゃないですか。京都(パープルサンガ)だったら柱谷(幸一)さんが監督ですし、札幌(コンサドーレ)は柳下(正明)さんが監督とか、けっこう知っている方が監督のチームが多いんで。
中西:ほとんど同年代ですからね。
井原:同年代ではないですけど、一緒にプレーしていたことがありますから。
中西:井原さん的に、「今年はここが来る!」っていうのは? J1に昇格するチームが最高3 チームあるじゃないですか。
井原:アビスパ福岡でしょ、京都でしょ、それからまぁ仙台かな。あと、J2に昇格したチームも面白いなと思うんですけど。ザスパ草津とか、ヴォルティス徳島とか。徳島の監督の田中真二さんって、僕と日産(現横浜F・マリノス)でDFライン一緒にやってたんですよ。
福田:僕も浦和で一緒にやってたよ。レッズでも2年間。
中西:じゃあ福田さんも気になるんじゃないですか。
福田:そう、井原と一緒。選手じゃなくて、監督が俺たちと一緒にやったような人たちだから。人間としてもいろんなこと知っているので、そういう意味ではJ2は監督を見る楽しさがあるってこと。それは井原と一緒だけどね。選手はあまりよくわからない。
会場:笑い
福田:知らなくはないけど詳しくは知らないから、どちらかというと監督の方が色みたいなものがよくわかるし、都並さんなんか特に一緒にやってたし、どんなチームを作っていくのかな、どんなサッカーするのかなというのがすごい楽しみでね。
中西:都並さん、どんな監督になりそうですか?
井原:選手と一緒に練習やってたみたいですけどね、ずっと。「まだ俺のほうがうまい」って。
会場:笑い
白石:でも聞いた話では、お子さんとサッカーする時に、子ども相手なのにちゃんと削ったりとかするみたいですよ。
中西:ちゃんと削るのね。
白石:私も対戦したことがあるんですけど、けっこう私がボール持ったりすると近くまで寄ってきて威嚇しますね。
中西:いつもまじめはまじめですよね。
白石:本当に。遊びがない感じです。だからチーム作りも徹底するんでしょうね。
福田:サッカーに関しては、いつも一生懸命やる方だと思いますよ。手を抜くっていうのは、どんな時にもない人なんで。そういうチーム作りをしていくと思いますけど。ちょっとマジメに答えすぎた。
井原:どういう理想のサッカーをす目指すかというのはちょっと僕もわからないところがありますね。理想はあっても、仙台のメンバーがそれに近づけるかどうか。いまいるメンバーで戦わなければならないので、そのあたりが勝負にこだわってくるサッカーをすると、理想とは違うかも知れない。難しいとは思うんですけど、都並さん自身はファミリーというか、そういういい雰囲気のチーム作りをすごく考えていると思いますし。何人かはJ1でやっていた選手も引っ張って、ヴェルディでやっていた選手もたくさん引っ張ってますし。そういう部分では、自分の考えをユース年代で教えた選手たちをうまく使って作ろうとしているんじゃないのかな。
中西:福田さんはどうですか。
福田:まぁ一緒ですけど、都並さんはずっと下部組織から読売クラブ(現東京ヴェルディ1969)で来ているから、サッカーとしては全員で攻撃して全員で守備をするような流れのサッカーをしていくのかなという気はしていますけどね。
中西:他の監督はどうですか?
井原:監督同士が同年代ですから、すごくライバル意識もあるでしょうし。柱谷さんなんかはけっこう京都のメンバーをガラリと変えましたからね。軸になっていた選手を出して、新たに自分の目で見た外国人を獲得してきたりしてますし。チーム内全部をGM兼監督みたいな感じでやってますよね。だから、結果を出さないということもあると思いますけど。まぁ戦力的には揃っていると思います。お金もあるチームですし。
中西:美帆ちゃんはどこか気になっているチームはありますか?
白石:私は取材にも行ったことがあるんですけど、草津ですね。まず、群馬特有の風がすごいんですね。ロングボールで、本当にボールが止まって見える時があるんですよ、向かい風だと。そうかと思えば、追い風の時は本当にゴールネットに突き刺すようなすごいスピードが出て。フリーキックとかスピードが出て、その落差が面白いなと思いました。
中西:草津のホームゲームだとね。それをうまく利用していると。
白石:トレーニングも、けっこう標高の高いところでしていて苦労もあったりもするんですけど。プロ契約を結んでいない選手もいて、レストランで働いていたりする選手も中にはいるんですよ。だからこそ、そういうチームが実際にいるんだっていう誇りを持って戦って欲しいなと思いますし、ゴールキーパーの小島(伸幸)さんなんかは「まだまだやるよ! 試合後のビールがうまいんだよ」なんて。
中西:まだ飲んでるんだ。
白石:すごく飲んでるらしいですけど。そういう意味では注目している選手でもあります。
中西:小島さんは井原さんや福田さんよりも上だからね。僕の大学の先輩なんですけど、僕が1年生で入学したときに、もう卒業してるはずなのに寮にいましたから。
会場:笑い
井原:それはどういうこと?
中西:留年。「デカイ人がいるなぁ」と思ったら小島さんで。「小島さん、何でいるんですか?」って聞いたら、「まだ卒業してないんだよ」っていまの調子で。
福田:のんびりしてるよね。
中西:けっこうマイペースで。
井原:そうそう。
中西:でも、まだ動けるもんね。
白石:去年の天皇杯の前にケガをして、「飲んじゃだめ」って言われてるのに「いや、飲んだほうが俺、調子いいんだよな」って。
中西:でも、草津は可能性あるんじゃないですか? おもしろいと思いますよ。
井原:でもキーパーは補強してきたから、小島さんが出られるかどうか。岩丸(史也)でしたっけ、入りましたよね。どこまで先発を取れるかっていうのは微妙だと思いますけども。いろいろな選手を集めながらやりくりはしてますね。そんなに資金的に豊富なチームじゃないし、働いている選手がいるわけですからね。その中でも地域の盛り上がりはあるので、そういうものを生かしてほしいし。楽しみは楽しみですね。監督は手塚(聡)さんでしたっけ? 手塚さんも大学で一緒にやっていたので。
中西:どれくらい違うんですか?
井原:10歳は違うと思います。
中西:じゃ、J2の監督はほとんど知ってたんですか?
井原:ほとんど知ってる感じですね。
白石:じゃ、アドバイスとかするんですか?
井原:俺がするの?
会場:笑い
白石:「こうしたほうがいいよ」とか。
井原・福田:言えないね。
中西:井原さんが福田さんに「こうしたほうがいいですよ」って言ったら、福田さんイヤでしょ?
井原:ブン殴られるよね。
中西:ということは、この後数年したら福田さんとか井原さんとかがJ2の監督になる日が来るんじゃないですか?
福田:たぶんなるんじゃないかな。
井原:わからないですね、どうなるかは。
福田:一応目指しているんで、チャンスがあればそういうこともあると思うけど。
中西:例えば、いまJ2が12チームあるじゃないですか。今年だと、どこのチームの監督をやりたいですか?
井原:監督ならどこでもいいけど、京都とかいいね。資金もあって、ある程度選手も獲れて。あとは福岡、札幌。それは行きたいところ。
会場:笑い
中西:ごはんがおいしいとか、それで行きたいところじゃないですか。
井原:でも、地域でサッカーが盛り上がっているのもひとつの理由ですね。そういうところでやっていきたいですね。サポーターが集まってくれて、期待してくれているチームが、一番やりがいはあると思います。
中西:僕はモンテディオ山形がすごく好きなんですよ。
福田:何で?
白石:行くのが?
会場:笑い
中西:チームが。鈴木淳さんっていい監督だってみんな選手が言ってるんですよね。試合に出ていない選手も言ってましたから、すごい信頼感があるんだなって。去年もすごくいいチームだと思ったんですよ。ただ、監督就任1年目であそこまでいいチームになったのはすごいですよね。しかも、また今年は幹になる選手を出しちゃったんですよ。
井原:出しちゃった、って言うか、取られちゃうんだよね。
福田:山形って、ずっとそれの繰り返しでしょ。柱谷さんがやってた時からね。
中西:選手はJ2の山形で再生して、再生したら持っていかれて。
井原:持っていかれてもそんなに落ちないで、また上がってくるから、それだけ監督が選手を見つけて、またチームを作っているということなんだろうけどね。
中西:今度、阿部祐太朗選手がマリノスから行ったじゃないですか。これはいい選手で、あそこに行けばたぶんハングリーさも備わるだろうし、試合に出て実戦経験もつめるだろうし、また1年で成長しそうだなと思うし。あと、去年サガン鳥栖にいたんですけど、元マリノスの本橋卓巳選手もすごくいいんですよ。鳥栖ですごくいいプレーしていたんですけど、そこから山形に移籍して。山形でたぶんいいプレーをすると思うんで、そうしたらマリノスにまた取られちゃうかもしれない。そういう選手を見ていると、けっこうJ2は面白いですよ。J2で僕はいろんな選手見てきましたけど、去年の川崎フロンターレにも実はいい選手がいっぱいいて、そこからけっこう引き抜かれちゃったりするんですよね。
井原:選手の質としては紙一重だと思うんですよ、J1もJ2も。チャンスをものにする、しないというのもあるし。J1ではレギュラーで試合に出られないけど、J2に行ってそこで経験を積んでいる間に、J1の選手よりも実力をつける場合もたくさんあるわけですから。そのあたりは面白いですね。
中西:J2で試合に出ているとぜんぜん変わるんですよね。
井原:本当にそうですね。だから、J2からJ1に新しく上がって、またいい選手になって欲しいですね。
白石:J1の黒部(光昭、セレッソ大阪、元京都パープルサンガ)選手なんか、J2の時にすごく活躍して、日本代表にも選ばれてますからね。
中西:そういう楽しみ方もあるし、あと、小倉(隆史、ヴァンフォーレ甲府)くんとか城(彰二、横浜FC)くんも頑張っているんで。特に小倉は相当頑張っているんで、甲府にも頑張って欲しいですね。
福田:そういうふうにJリーグもやっと13年目のシーズンに入って、J2の役割もはっきりしてきたよね。さっき山形の話も出てたけど、そうやって山形に行って再生してJ1に行くっていうのはすごくいいことだし、山形にとってもそういう色ができているし。地域ごとに自分たちの役割というか、色がはっきり出てきたのはいいことだと思うけどね。すべてがJ1で優勝を狙えるチームというのはあり得ないわけだから。経済的なこともあるし。そういう意味じゃ、その地域に合った特色が徐々に出てきている、そういうチームが増えてきたというのは、Jリーグにとってはすごくいいことだと思うけどね。
中西:甲府も僕はずっと前から行ってたんですけど、全然お客さんが入らなくて、チームがなくなりそうな時があったんですよ。年間平均入場者数が3000人以上ないとチームが終わりっていう年から頑張ってきて、いまはお客さん入りますよね、甲府は本当に。ちゃんとアベレージ超えて、3000人以上確実に入ってるし。小さい子どもも「小倉~」って応援してるし、そういう結びつきがうまく地域の中で回っている感じがします。ああいうチームがJ1に上がってきたら甲府の人たちは元気になるし、新しいそういうパターンがひとつ欲しいなと。小さいクラブで頑張ってきて、そんなにお金はないけど町ではすごくお客さんが入っていて、それが強みで上がっていくっていうのが見たいです。
白石:私もチーム存続の危機の時に取材に行ったことがあるんですけど、そういう危機があって、市民が使うスポーツジムとかスポーツクラブに選手たちが行ってトレーニングしていたんですね。今までは選手と市民との交流もなかったんですが、「あぁ、この土地で頑張ってくれているんだ」というのを見て、「チームを応援しようと思いました」という声もけっこう多かったんですよね。
中西:選手を知っているとやっぱりスタジアムに行くよね。選手が隣でバーベル上げてて、ちょっと話したりしたら「試合見に行こう」とか思いますよね。
白石:思いますよね。
中西:それが地域の良さだと思うんですよ。
福田:そうだよね。地方ではそうやって密着しているっていうか、町に選手が普通にいるっていうのがすごくいいのかも知れないね。海外なんかでもそういうところはたくさんあるしね。哲生が言ったように、そういうクラブがJ1に上がってくるっていうのはすごく夢があるし、そうなると活性化されていくのかなと思うけど。J2に関して言うと、本当に地方都市にチームがすごく多いので、そういうところがJ1に上がってくると、もっともっとJ1が盛り上がるのかなっていう気はするけどね。
中西:2チームがJ1に上がって、また2チームが入れ替え戦ですけど、僕は1チームはそういう大企業がついているクラブではないところだといいなと思いますね。
井原:どこが来るか本当にわからないからね。
中西:僕、今年は今までで一番わからない年だと思いますよ。優勝予想も、上がってくるチームも。どこもチャンスがあると思いますし、恐らくは大混戦になると思いますね。J2好きなんですよ、僕。J2マニアなんで。じゃ次の質問「J1の注目選手がいる」。美帆ちゃん誰かいる?
白石:やっぱりワシントン(東京ヴェルディ1969)選手とか、ジュニーニョ(川崎フロンターレ)選手とか。
中西:いい選手だよ! エメルソン(浦和レッズ)以上の衝撃ですよ。
白石:だから、エメルソン選手とジュニーニョ選手の2人が戦うところを早く見たいんですよね。仲いいんですもんね。
中西:福田さん知ってますよね?
福田:知ってる知ってる。プレーは見たことないけど仲がいいのは知ってる。
中西:ジュニーニョは本当にすごい選手。速いんだけど柔軟性もあるし、エメルソンみたいな速さとはちょっと違いますね。シュート力とかは絶対エメのほうが上。短い距離で人を抜くのが異常に速いですよ。
白石:短距離?
中西:3メートルくらい。
白石:それってフォワードにはすごく必要っていいますよね。そういうトレーニングってされてたんですか?
福田:トレーニングはしないですけど…、才能じゃないですけど…
会場:笑い
白石:そういう練習をされたのかなぁと思って。
福田:まぁ、しましたけど。そこはフォワードとしてはすごく重要です。そこだけ速ければ大丈夫です。だってゴール前のフォワードのプレーって、スペースと時間がないんですよ。10メートルも走る距離ってないですし。本当にちょっとだけ。ゴール前で1センチでも先に触ればゴールになるわけだし、そのほんの一瞬の速さがあれば、フォワードとしては十分やっていけると思うんで。その速さがなければ、逆に言えばフォワードとしてはきついですよね。高さがあるとか強さがあるとかいう特徴がないと、なかなかゴール前では仕事をさせてもらえないんで。速さがある選手というのは、ディフェンダーにとって一番怖いと思いますけどね。
中西:僕が練習や試合を見ていて思うのは、ゴールエリアの角からゴールラインまでで約5~6メートルですよね。ボール持った瞬間、その間に1人置き去りにしてクロスボールを上げられるくらい速いですよ。何もフェイントかけないで。ここに来るってわかっててもですよ。ボール持った時に非常に速いです。
井原:楽しみだよね。J1でどれくらいやれるのか。J2で2年間で65点取ったんでしょ。
中西:スペインやイタリアのチームからオファーが来てるのに、それを断ってフロンターレに残っていいのかなと思ったけど、僕は残ってくれて嬉しかったですね。あの衝撃をJ1で見たかったんで。100 %通用すると思いますよ。
白石:フロンターレに残るという気持ちがあるのが、私たちには嬉しいですよね。「せっかくJ1に上がったから、もう1年日本でやりたい」って思っているわけですよね。
中西:けっこう僕はジュニーニョはおすすめ。1回見て欲しいです。2試合目レッズでしょ? 川崎ホームで。フロンターレも大変ですよ。レッズにスタジアム埋められないようにしないといけないから。
会場:笑い
福田:そうだね。
中西:大変ですよ。相当頑張ってる。
井原:それでも赤が半分くらい行くんじゃないの?
中西:武蔵小杉の駅前なんかすごいもん。相当キャンペーンやってて、神奈川県の人に早くチケット発売しようとしてたんだから。だって去年のチャンピオンシップの時に、マリノスのファンクラブに入ってチケット取ろうとしたの、レッズのサポーターですよ!
白石:そうですよね。
中西:侮れない侮れない。どこでどうやってチケット取ってるんだか。
福田:賢いね。
中西:本当にすごいですよね。それを岡田(武史、横浜F・マリノス)監督が記者会見で言ってた。「うちのファンクラブに入って、レッズのサポーターがチケットを取ろうとしているらしい」って。「それを何とかしないと」って。でも本当、レッズはサポーターがすごいですもんね、福田さん。
福田:本当にすごいと思うね。
中西:ハンパじゃないですよね。サポーターがチームを強くしたひとつの顕著な例ですよ。
福田:確かに、そういうサポート体制がチームを盛り上げていると思う。
白石:実際に観客動員数が多かったから、お金が入るわけじゃないですか。それで補強ができて、チームが強くなっていくっていう海外の形ができてますよね。
福田:お客さんが入れば当然スポンサーもつくし、クラブとしては収益が増えるから選手に補強費が回せるっていうことでチームが強くなっていくっていう図式にはなっているし。本当にそういうクラブになりつつあるのかなという気はしますけどね。
中西:レッズの話が出ましたが、レッズどうですか? ちょっとケガ人が出ているじゃないですか。
福田:トップ下の山瀬(功治、横浜F・マリノス)が赤から青に変わっちゃったからね。
会場:笑い
福田:あそこをどうするのかっていう話はあるよね。去年の後半は山田(暢久)がやったりしてましたけど、山田は右サイドが専門だし、山田には代表にも入ってもらいたいと思うので、右サイドで使ってもらいたいなっていう気はするんですけどね。性格的にはトップ下の選手じゃないから。
中西:どういうことですか?
福田:性格的にはじっこの方が好きなんじゃない?
会場:笑い
中西:だからどういう性格なんですか?
福田:トイレ行くといつもはじっこの方に入るとか。
白石:ホテルで壁際のベッドを選ぶとか。
福田:そうそう。窓際だとヤバイけどね。
中西:わけわかんない。
福田:本当にそこがポイントなのよ。たぶん6月にJ1が中断するでしょ。うまくいかなければ、優勝を狙った時にそこで補強するっていう形にもなるのかなって。シーズン通して選手層って重要だと思うんだけど、前はいるけどトップ下がいないので。そこはちょっと考えないと浦和としてはいけないのかなと。山瀬が浦和にいて、ケガが直って戻ってくればっていう構想がなくなってるから。そういう意味で補強っていうのはひとつポイントになるのかなって気はするけど。さっきの話じゃないけど、補強するお金はたぶんあると思うんで。
中西:レッズは今年は進化が問われる年というか、追いかけられる年じゃないですか。ジュビロも鹿島アントラーズもマリノスも、追いかけられて、はねのけて強くなった。レッズは今年、どのチームからもターゲットにされると思う。非常に厳しいシーズンになると思うんですけど、それをはねのけて優勝するにはどうしたらいいんですかね。
井原:やっぱり戦力を整えていかないと。ケガ人が多いのは不安材料ではありますよね。エメルソンも毎年のようにキャンプには参加しないで。
会場:笑い
福田:あいつ、あれわざとだと思う。
中西:わざとなんですか?
井原:でも、今回は本当にケガをして、そのリハビリをしてたから。
福田:でも毎年常習犯だよね。年の最後と年の始めはいないんだ。天皇杯5シーズン連続で出てないから。クリスマスは必ずブラジルで過ごすことになってて、そこからオフが長い。
会場:笑い
福田:日本にはもう少し暖かくなってからじゃないと来ないタイプだから。
白石:今年は奥様の出産があるからって聞いてたんですけど。
福田:まぁ理由は何でも。そういう賢さを持ってるんですよ。そういう意味では彼は侮れない選手なんです。いいんですよ、1シーズン制ですから秋口くらいにバーッと行ってくれれば。去年は最初からマジメにやりすぎた。で、最後疲れてきちゃったから、あれはよくない。最初ゆっくりで、最後にガーッと上がってもらいたいね。
中西:福田さんと同じストライカーだし、気分屋じゃないですか。
福田:違う違う。気分屋じゃないよあいつは…あ、気分屋だ。
中西:どっちなんですか。
福田:去年くらいからちょっと変わってきた。人間としての成長が見られるようになって、いつもコンスタントに自分を見失わずに90分間しっかりプレーする、1シーズンプレーするっていうのがすごく強かったし、チャンピオンシップ第2戦(2004年12月11日、埼玉スタジアム2002、浦和1-0横浜、PK浦和2-4横浜)で退場とか荒々しいプレーに走ったけど、それまでのシーズンはほとんどなかったから。最後にああいう形になったのは残念だったけど、すごく成長したなっていう気はするんで。ジュニーニョもすごいと思うけど、エメルソンはもっとすごいよ。
中西:速いの?
福田:速いけど、馬だよな。
会場:笑い
福田:いや、本当なんだから。ショートダッシュの練習するでしょ、彼がバッと地面をつかむと、めくれ上がるんだよ芝生が。本当すごいからね。そんな選手見たことないよ。
井原:あれは生まれながらに持っている天性だよね。
福田:本当だよ。もう馬!
中西:1回言えばわかる。
福田:馬!
中西:そういうしつこいの好きでしょ。
福田:しつこい。
白石:福田さんおもしろい人だったんですね。
福田:いや~ありがとうございます。
白石:いつも控え室ではすごくおもしろいんですよね。
福田:そういうことですか。僕はテレビはダメってことですね? スーパーサッカーでは。
白石:いつも報道ステーションとか、シリアスにやってるじゃないですか。
中西:報道ステーションの時、マジメすぎませんか?
福田:報道だから。
白石:来ていただいた時も、すごくマジメにやっていただいてるなぁと思って。
福田:ありがとうございます。マジメにやってるって、もっといいかげんにやれってことですか?
白石:そういうわけじゃないんですけど、特に高木(琢也、サッカー解説者、元日本代表)さんとからむ時はすごいはじけてるなぁと思って。
中西:高木さんとからむとはじけてますよね。
福田:高木と井原と。
中西:どうしてはじけてるんですか?
福田:好きだから。
会場:笑い
福田:一方的にね。彼らがどう思ってるかわからないけど。落ち着けるんです。何でも許してくれるから。
井原:そんなことないよ。
福田:違う違う。井原も高木も僕のひとつ下なんで。ゴン(中山雅史、ジュビロ磐田)だとね、負けちゃうんですよ。力関係があるんですよ。中山がいると、僕は井原と高木のタイプなの。
会場:笑い
中西:すごくよくわかる。
福田:いろいろ力関係がありまして、上とか下とかいうことじゃなくて。役割があるから。サッカーも役割があるでしょ。ゴンが来ちゃうと俺はディフェンシヴにやるんだけど。ちょっと後ろ気にしながら攻撃参加するみたいな。彼らがいる時は「俺、行くぜ」って。
中西:井原さんは福田さん好きなんですか?
井原:俺? もちろんですよ。
福田:だって、18、19から知り合いだからね。初めて会ったのが井原が大学1年、俺が大学2年の時。
井原:坊主頭だったんです、その時。
福田:もう鳴り物入りで入ってきたんで。B代表って、今で言うオリンピック代表みたいなもので、18歳で入ってきたのは井原と中山だけだったから。その上は俺1人だけ。まぁ俺もけっこうすごかったってことが言いたいんですけど。
会場:笑い
福田:10代では3人だけだったけど。だって大学入ってすぐだからね、その頃は。5月くらいに遠征があって、すぐに入ってきて「すごいな」って。そこから知り合いだから。「だから何だ」っていう話だけど。
中西:「長い」っていうことですね。その時から力関係は変わってないんですか?
福田:いや、その時は井原が上だった。だってユースとかでバリバリやってるんだもん。俺なんか大学で選ばれたのが初めてだし、その時飛行機乗ったの初めてだし。
会場:笑い
福田:19だよ、19。その時ブラジルとアルゼンチン行ったんだけど、2度と飛行機乗りたくないと思った。
中西:20何時間だもんね。
井原:そう。まるまる1日はかかりましたよね。
福田:かかったよ。だってロサンゼルス行って、そこからサンパウロ行って、そこからブエノスアイレス行ったんだから。それもエコノミー。今だったらエコノミー症候群になっちゃうよ。
白石:往復の時間の問題じゃないですからね、あれは。
福田:まぁそうだけどね。でも水分も取ってないし。緊張してるわけだから、初めて飛行機乗って、20何時間よ。スチュワーデスさんとかにジュース頼めないもん。窓が開くか開かないかって。パスポートだってそのために取ったんだから・・・J1の話に戻そう。
中西:戻そうと思ったんですけど、力関係の話からドンドンドンドン違うほうへ脱線していくんで。
福田:そうか。
中西:でも、レッズは今年チャンスですよね。
福田:レッズの一番良かったことは、去年タイトルを取れなかったことだと思うんだよね。去年1年目で監督のギド(ブッフバルト)がタイトルを取ってしまうと、当然他のチームから追われるし、選手たちも受ける気持ちになってしまうと思うんだけど、ナビスコも取れなかった、チャンピオンシップも取れなかった。そういうものを目標に、チャレンジ精神を持ってやれるっていうのは、浦和のためにとっては良かったのかなと思ってるけど。サポーターもそういうものを望んでいると思うし、注目されるのは間違いないと思うよね。
白石:ギド監督がチームに残るかどうか考えている時,「監督が残るんだったら僕もチームに残ります」っていう選手のコメントを雑誌か何かで見て、残ることに決めたっていうんですけど。それだけ信頼関係ができているんですね。
福田:いつですか、それ? 去年?
白石:去年です。このオフ。
福田:そんな話があったんですか。
白石:すごくそれに感動してしまったんですけど。
福田:だまされたね。
会場:笑い
中西:だましてないと思いますよ。
福田:したたかだよ。監督はいろん戦略、戦術を取ってきますからね。でも、そういうことに長けた人じゃないから、本心だと思います。
中西:どっちなんですか。
福田:彼はね、裏表がないんですよ。本当にまっすぐな人間なんで、たぶん駆け引きはなかったと思います。たぶんその話は本当なんじゃないかなと思いますけどね。だけど、井原とかがそういうこと言ったらウソだと思ってください。
会場:笑い
井原:監督っていうのはしたたかですから。やっぱり、そういうのがないとなかなかできないじゃないですか。「裏と表」って言ったらイヤな言い方だけど。したたかな監督はいっぱい見てきましたもんね。
福田:やっぱりいろんなことを計算して、先を見て手を打ってくるわけだから。イヤな言い方をすれば計算高いってことだろうし、表に対しての発言と中に対しての発言は違って当然だから。そういうのに長けた監督がいい監督だし、結果を残せる監督。プロでいい監督っていうのは、結果を残せる監督だけだからね。ある意味、人間としてはどうかなって思える人がよかったりすることもあるだろうし。だから、俺と井原はたぶんダメじゃないかな。人が良すぎるから。
中西:何で僕が言う前に自分で言っちゃうんですか! 言おう言おうとしてたのに。

後編へつづく

取材・構成:CREW
撮影:新関雅士