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10月15日(土)、FIVBワールドグランドチャンピオンズカップ2005(グラチャン)大会の開催を記念して行なわれた「ぴあトークバトル」。大会の見どころや注目選手について豪華ゲスト陣が熱く語ったイベントの模様を完全掲載!

ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2005 Vol.46
~グラチャンバレーはこんなにすごい! <中編>

青山ベルコモンズ クレイドールホール
森:となると、中国は非常にグラチャンでも強いんじゃないかということなんですけど。4つ目の質問でありました「日本選手で注目のプレイヤーがいる」では、皆さんYESということだったんですが。
川合:たまにはそっちから。
大林:まだ12人のメンバーが発表されていなので、そのメンバー次第で戦い方がどんどん変わってきますし。アジア選手権までのメンバー、かおる姫(菅山かおる、JT・マーヴェラス)とか吉澤智恵(武富士・バンブー)とか、木村沙織(東レ・アローズ)とか新たなヒロインが集まりましたけど、そこからやっぱり、加奈ちゃんなりメグちゃんなりがどこまで戻ってくるのか。熊前(知加子、JT・マーヴェラス)とかいい選手がいっぱいいるんで、そのへんが入ってきたら即注目というか。変えてくれますよ、何かを。
川合:菅山かおるって、いまJTでリベロやってるの?
大林:はい。
川合:全日本に入ったらスパイク打たないの?
大林:本人はリベロもやりたいと言ってるんですけど、出られる場所を考えると、アタッカーもやらないと。櫻井(由香、デンソー・エアリービーズ)もいますからね。忘れてたでしょ、いま。
川合:櫻井って、始まってまだ1セット目1点くらいでもうハァハァしてるでしょ。
森:それは気合いが入っているっていうことですよ。
川合:「お前、何もう疲れてるんだよ」って言いたくなるじゃない。
森:疲れてるわけじゃないですよ。
大林:でもまぁ、年齢が一番上ですから。
川合:疲れやすい。
森:そういうことじゃない。
会場:笑い
大林:それくらいアドレナリンを出してる。
森:なるほど。
大林:もし誰でもいいとしたら、いまVリーグ見ていて一番「おっ!」っていうのが大山加奈。彼女は腰が痛くて、皆さんも「どうしちゃったのかな?」と思ってると思うんですが。完治はなかなかしないんですけど、ほぼヘルニアが治って、スパイクの打ち方が変わったんですよ。腰が痛い間にちょっと変な打ち方をしていたのを直して、ちょうどいい形になった。それですごく自信をつけて。アジア選手権とか、テレビでほとんど見なかったんですって。悔しくて。「その分を出したい」って、今一番張り切って、全日本に呼ばれるのを待っている状態なんで、期待したいですね。
森:なるほど。益子さんはどうですか。
益子直美
益子直美
益子:私は今イタリアで頑張っている高橋みゆき選手。NEC・レッドロケッツからイタリアに行って、グラチャンに合わせて戻ってきてくれるということなので。ちょっとイタリアでレギュラーになれずに苦しんでいるという情報を聞いたんですね。高橋選手が第一線から外れるっていうことはいままでなかったことなので、精神的にもすごくいい経験をしているんじゃないかなと思います。そのへん帰ってきてどういう気の使い方とか、声のかけ方とか、自分のプレイとかを出してくれるのかがすごく楽しみですね。
川合:高橋は海外だとやるのが難しいね。何でかっていうと、竹下(佳江、JT・マーヴェラス)っていうのは、やっぱりすごいセッターなんですよ。速いトスを正確に上げるっていう。この間チラッと見たけど、やっぱりね、イタリアではそんなに速いトスじゃないのが正確に来ないから、ちゃんと打ててない状態だった。
森:その実力を発揮し切れていない。
川合:うん。竹下あっての高橋っていう感じだもんね。
大林:私がイタリアに行ったのは10年前なんですけど、正直Vリーグでやっているチームの半分くらいが、向こうのセッターより絶対うまい。何か粗いんです。
川合:竹下みたいな選手を見つけてくるのはなかなか難しいもんね。そうすると高橋はなかなか生きてこない。
森:もし日本に戻って来ることになれば、これまた強力な得点源になるわけですよね。
川合:なりますよね、腕ぶっといですからね。
益子:ほめてるんですよね?
川合:スポーツ選手に「筋肉がある」っていうのはほめ言葉じゃないですか。
益子:変な顔とかやめて下さい。
会場:笑い
森:今日本にいないのをいいことに。
益子:でも「早く帰りたい」って杉山(祥子、NEC・レッドロケッツ)選手にいつも電話して。楽しいけど、恋しいみたいですよ。
川合:何か俺のマイク、音量低くしてない?
森:それは若干あるかもしれませんね。危険な発言があるたびにボリュームが下がっていって。
大林:もっと音量下げておいて。声大きいから。
川合:ホント、だんだん下がってくるんだよ。何か知らないけど。
会場:笑い
大林:うるさいんだよ、きっと。
川合:会場の歓声ばっかりになってさ、俺の実況が全然聞こえないんだよ。
森:川合さん、いなかったことになっちゃったりね。もうグラチャンはおまかせしますよ。
川合:国民性を語りますから。
会場:笑い
森:そろそろスペシャルゲストお呼びしていいですか? それではお呼びしましょう、全日本男子バレーボールチーム植田辰哉監督です。拍手でお迎え下さい。
会場:拍手
森:どうぞよろしくお願いします。もちろん皆さんご存じだと思いますけど、プロフィールをご紹介させていただきます。日本リーグでは新日鐵に所属いたしまして、現役時代は日本リーグ・ベスト6に5年連続で選出されるなどミドルブロッカー、センターでご活躍され、バルセロナオリンピックにも出場されました。指導者としては新日鐵監督、堺ブレイザーズ監督の他、国際大会でジュニアの監督などを歴任されております。そして2004年のワールドリーグ予選ラウンドから、急遽監督として全日本男子チームの指揮をとられまして、2004年11月、改めて全日本男子バレーボールチームの監督に就任されました。就任後は、チーム作りはもちろんのこと、選手選びにおいても明確なコンセプトを掲げまして、強い全日本男子の復活に力を注いでいらっしゃいます。そして何と言っても、9月タイで行われましたアジア選手権で、5大会ぶり10年ぶりの金メダル、アジアNo.1の座に輝いています。
会場:拍手
森:今日は監督にもいろいろなことをズバズバとうかがっていきたいと思います。どうぞ監督、よろしくお願いします。
植田辰哉監督
植田辰哉監督
植田:よろしくお願いします。
森:いつも画面で見る時はシビアな真剣な表情をされていることが多いですけど、今日はかなり柔和な表情で。
植田:川合さんはよく知ってますけど、久美ちゃんもみんなも知ってますけど、私はふだんは面白いんですよ。
会場:笑い
川合:そういうこと、自分でなかなか言わないですよ。
森:こういった機会じゃないとなかなか植田監督の素顔に迫れませんからね。
川合:試合中はすごく怖い顔してるでしょ。でも、ふだんは怖い顔全然ないです。
森:そうですか。まずは先日のお話を先にうかがいたいなと思いますけど、アジア選手権No.1、本当におめでとうございました。
植田:ありがとうございました。
森:いかがでしたか。苦しい戦い、8連戦というところもあったと思うんですけど。
植田:正直わけわからへんっていうか。僕、去年春までずっとジュニアの監督やってたんですね。大学生を教えたりしてて。それがいきなり5月でしたかね。僕もワールドリーグ予選ラウンドを見に東京まで行ってたんですね、応援しに。それで大阪に帰って子どもの運動会に行ったら、「新聞に載ってるぞ」ってほかの父兄から言われて。
会場:笑い
植田:「暫定監督植田氏に」って新聞に載ってて、もう目パチクリしながら見ました。そうしたら、その日携帯電話がずっと鳴りっぱなしで、「お前監督?」、「わかりませんよ」って。それでいきなり東京に行って、練習1日も見ずに試合ですよ。12連敗。そこから私はスタートです。正直言って、わけのわからない1年を過ごしたんです。
川合:まぁ去年から今年の頭まで、とばっちりくらったよな、ホントに。
植田:とばっちりっていうか、初めてっていうか、まぁわけわからへんかった。
会場:笑い
大林:でも、植田さんのそういう噂ってかなり前からあったじゃないですか。
植田:そんなことは一切聞かされてないし、本当に僕は田中幹保さんの下でずっとジュニアを作って。2008年の北京オリンピックには1人でも2人でも上に上げるっていうことが僕の仕事でしたから。まさか子どもの運動会で弁当食ってビールでも飲んでる時に電話が鳴って、「暫定監督になってるぞ」って言われて、そこからポンポンポンですよね。
森:そういうものは新聞で知ることなんですかね、普通。
植田:だから、そのへんがおかしいんですよね。
森:それで全日本を率いるようになって、暫定というところから始まって。
植田:僕はそこで初めて「暫定」っていう言葉の意味を知りましたね。
森:今までは「暫定」って耳で聞いただけで、あんまり考えてなかった。
植田:考えてないし、自分で「何やってるのかな」っていうか。「植田さん今何やってるの?」、「わからへんのや、俺も」っていうのが正直この1年間でしたね。
森:そうですか。となると、ようやく自分の力でチームを作りあげるという段階に。
植田:これからですね、やっぱり。
森:その第1歩、アジア選手権というのが手応えといいますか、どんなことを心がけて戦っていらっしゃったんですか。
植田:やっぱり先輩方が今までオリンピックでずっと作ってきて、そこには応援してくださる方々が、本当にバレーボールが好きな、ジャニーズとかそういうのではなくて……僕はそういうストレートな人間なんですけど、ジャニーズも大事かも知れないけど、バレーボールを本当に好きな方々、玄人の方々が見ていて「あぁいいチームだな」とか、自然に前に引き込まれるようなチームというのを作らないといかんのが、ちょっとここ最近、何か勘違いしているナショナルチームのような気がしていたんですよ。ここでは言えませんけど、「ちょっとお前ら間違えてるんちゃうんか」っていう。たとえば僕も今、これから監督として勝たないかんのですけど、やっぱり見てくれている方々が、勝つ、負けるももちろんありますけど、「あぁいいチームだな、応援したいな」っていうのがあるのが当然ナショナルチームだと思うんでね。そういう意味では、今年の4月からずっと選手たちには厳しいことも求めましたし。ドンドン落とし込んでいく厳しい合宿から上げていく調整の合宿まで、今のところ順調に来たかなというのはあります。
森:厳しい指導の合宿ということもありましたけど、具体的にはどんな厳しさを徹底されたんですか。言える範囲でもかまわないんですが。
植田:たとえば「声を出せ」と。「お腹の底から“OK!”とか声を出せ」と。「笑うな」とか。「コートの中でニヤニヤするな」とか。「最後の1点取るまでは相手と勝負してるから」とか。「俺は笑ってませんよ」って選手が言っても、「いや、俺には笑ってるように見える」とか。「僕は一生懸命やってます」、「お前はやってるつもりでも、俺が見てやってなかったらやってないんだ」とかっていうようなことですよね。人は人に評価をされるんだから、やっぱりチームっていうのは連帯責任だから。グループっていうのは仲良しグループだから。グループというのは僕が頑張ったらそれでいいんですけど、チームというのは「僕が頑張っても、君がダメだったらダメだね」というのがあるので、徹底的に。だから、1人が寝坊したら全員が連帯責任で、死ぬまで走らせるっていうことですね。
会場:笑い
植田:死ぬまでじゃなくて、死にそうになるまでっていうことですけど。
大林:大変ですよ。
植田:そうそう。ここにおられる方はみんなそういう練習をされてきたんだけども。例えば1人が寝坊しました。じゃ全員で責任とって400メートルを1分20秒以内でダッシュしなさいって言ったら、もう必死になって走るんですよ。1人でもダメだったら、もう一度走らされますから。そうしたら杉山マルコス(堺ブレイザーズ)が「頑張れ~~!」って日本語で応援するし。チームっていうのは、1人がダメだったらみんなで責任を取るっていう、そういうことも含めてですね、ずっと北海道の合宿から青森とやってきて、まぁ結果的にはたまたま今回は我々が勝たしてもらったっていうことですけどね。
大林:私ね、アジア選手権に出発する前に合宿所に行って選手と話をしたんです。普通、女子バレーだったらコンビが合わなかったら打ち込むんですよ、何百本とかね。吉原(知子、パイオニア・レッドウィングス)選手、竹下選手が朝4時からやった。女子では当たり前ですけど、男子はそういう話はどうしてもなくて、何か調整っていうイメージがあったんですけど、選手が「今回はすごい打ち込んだ」と。特にセンター陣が、今の「死ぬほど」の話じゃないけど、「死ぬほど打った」って言ってたんですよ。山村選手(宏太、サントリー・サンバーズ)とかかなりやってたようですけど、あれ自主的に練習してたんですか?
植田:うん、選手もよく頑張ってくれましたね。
大林:「何百本も打ちましたから」みたいな。
川合:ちょっと前くらいは、すごい変な風潮があってさ。昔だったらウサギ跳びがいいっていう時代があって、いまダメでしょ全然。昔は練習中に水飲んじゃいけないって言って、今は飲んだ方がいい。そういうので日本のスポーツは考え方がおかしいって風潮が流れた時に、アメリカとかヨーロッパのすごく考えられたスポーツ科学が入って来て、あんまり練習時間長くやらない方がいいっていうようなことがあった。いろんなことが入ってきたおかげで、今言ったみたいな根性を出さなくたっていいんだとか、個々が勝手に頑張ればいいんだとか、そういう変なことまで入って来ちゃったね。それでスポーツ全般そうだけど、バレーにも一時期ちょっとそういう時代があった。「何でこんなに練習ラクなんだよ?」みたいな。
森:根性論の否定。
川合:そうそう。でも日本の国民って根性出さないとさ。昔は根性も出して勝ってきた国民だから。
森:国民?
会場:笑い
川合:マラソンとか、最高に根性出してガーッと行くようなの強いじゃん。100メートルって根性じゃないでしょ、ああいうの弱いでしょ。
森:そういうもんなんですかね。
川合:お前、今鼻で笑ったろ。
森:そういうことなんだ。
川合:そういうことだよ。根性を出せば出すほど頑張れる国民なんだから。だからこういうのは必要だと。その代わり最初は大変だよね。ついて来ない奴いっぱいいたでしょ。
植田:そうですね。やっぱり今でも「わかりました」って言いながらも、まだ本当に納得できない選手もいると思いますよ。でもね、やっぱりそれはね、やらないと勝てないと僕は思うし。
川合:マルコスなんか、やっぱり最初ダメだったんじゃない?
植田:マルコスは、実はアジア選手権が始まる前の合宿で、僕は何回も怒ったんです、優しくね。
会場:笑い
植田:優しく接してるんですけど、厳しくね。そうしたらマルコスが、通訳を通して僕に話をしたんです。普通の話がまだブラジル人ですから通じませんから。彼が初めて言ってきたのは、「植田さん、僕はワールドリーグの期間中は、正直言ってまだおつき合い短かったし、監督に言われることなんてどうでもいいやと思いながらやってました。でも、最近だんだんだんだん、そういうのは理解できるようになってきました」という風に言うんですよね。でも、それは何から始まったかと言ったら、僕とマルコスのぶつかり合いとか摩擦から、本物のものが生まれてくると思うんですね。ただコートの中で、女子も男子も、女子は吉原とかがいたときは見ていて「わぁ、すごいな。本当に真剣にぶつかってるな、ケンカしてるな」っていうのがあったんだけど、最近の女子は見られないですよね、残念ながら。男子もそういうコートの中で「お前しっかりやれや」、「やってるよ」、「やってへんわ」、「やってるよ」と、そういうのがここ何年もないんですね。そういうのがやっぱり練習の中で少しずつ見え始めてきたのが、合宿の中でありましたね。
川合:マルコスとは今仲良くなったもんね。
植田:仲いいですよ。
川合俊一
川合俊一
川合:この間練習見に行ったら、、マルコスが何か「辰哉ボール持ってこい」って。だかから、マルコス入れるの大変だなと思ってたの。そういうのがあったって知らなかったから、これは2人とも絶対に仲悪くなるなと思ったら、この間オーストラリアが日本に来て、練習試合やったんだよね。で、練習試合終わった後に、植田辰哉監督がお客さんに向かって決意表明したの。「これから僕は日本を率いてアジア選手権に行きますけど、頑張ってきます」って、マイクで。そういうことあんまりやったことないでしょ。ワーッとお客さんに話をして、「頑張ってきます!」ってパチパチって拍手されて、ベンチに帰ってきたらマルコスだけ監督の肩ポンポンたたいて「Good!」って。
会場:笑い
森:友だちの接し方じゃないですか、それ。
川合:でも、まぁブラジル人だから。で、辰哉も「Good」とかやってたから、何かがあっていい関係になったなっていうのがすごく見えて。やっぱりそういう話し合いとかあったの?
植田:けっこうありますね。
大林:マルコスが出発前に「どう?」って聞いたら、「苦しいけど楽しい」って言ってたんですよ。これがすごく意外で、去年までって何かあんまりこう、本人もアピールしたくなくて、「頑張ります」でごまかしてたような人が、何かすごく笑顔で、余裕を持ったのかなって思いました。
森:実は僕、アジア選手権の取材に行っていたんですね、タイまで。その時に、監督と杉山選手が抱き合って喜ぶようなシーンって本当にあったし、選手にいろいろ話を聞くと、開口一番必ず「練習は厳しかったけど」って皆さん言うんですよね。
川合:いいなぁ。最近そんなの聞いたことないよ。でも、田中幹保さんの時は、やっぱりね……。
植田:いやでもね、それは川合さんとか大林さんとか中田さんとか益子さんとかの頃の練習と比べたらね、同じか、僕はもっとラクだと思いますよ。本当に正直言って、たぶん。だって今回のアジア選手権も、松平(康隆)名誉会長、大古(誠司)さん、みんな見に来てるわけですよね。で、彼らの話を聞くと、やっぱり「まだまだ足りない」っていうしね。世界一から見るとまだまだ足りないんだと思うし。
川合:僕は20歳で全日本に入ったんだけど、そのときコーチが大古さんと南(将之)さんで、監督は中野(尚弘)さんで「史上最悪の3人組」って言われてた。
会場:笑い
川合:ホンットに厳しい。
大林:「最高」って言ってください。
川合:最高か。大古さんが「はい、今から腹筋やるぞ」って、外をガンガン3キロくらいダッシュした後。30メートルダッシュとかやった後に。「1、2……」全員でやる。「50」っていうところで終わりかなと思うと、「51」。30から50で1セットだよ、普通は。「あ、100回で1セットかな?」、「100、101……」、「え?」
森:また始まっちゃった。
川合:で、大古さんに「すみません、これ何回やるんですかね?」って尋ねたら、「できなくなるまで」。「えっ??」ですよ。それ聞いた瞬間、みんなできなくなっちゃった。
会場:笑い
川合:何回で終わりじゃなくて、極限まで腹筋やる。
植田:あとね川合さん、長崎の合宿でね、今選手達にとにかく食べることを僕は教えてますけど、そんな厳しい練習をした後、長崎ちゃんぽんの熱いの食わされましたよね。その頃はみんなに揃えなさいっていうのがチームだから、熱いのに、俺なんか猫舌だから、まわり見ると先輩なんか早く食べるから、熱いちゃんぽんを。練習終わって体中ほてって、大盛りですよちゃんぽん。ガンガン食うから口の中やけどして。その当時は食べることと練習することと寝ること。これがもうすべてだった。
川合:若い者は、ちょっと先輩が残したの回って来たりするしさ。お客さんで下の話とかダメな人いるの?
森:まぁ、いたとしても手挙げられないですけどね。
川合:今度は南さんっていう人が必ず、何かカレーとかネットリしたものを食べると×××の話をするの。そういう話をしてても食べる。海外行ったら変なものも出てくるんだからって。
森:食欲なくても食べろと。
川合:食べろと。ず~っと×××の話されたんですよ、カレーとか食べるとき。「そういう精神力をつけろ」って。
会場:笑い
森:精神力ですか、それ?
川合:俺も「ちょっと違うんじゃないか?」って思うんだけど、ホントに変わった人たちがコーチと監督だったの。
森:それは変わっていると思います。
川合:変わってるよ。でも、練習も厳しい時代でね。
森:それももしかしたら強さの秘訣になっているのかも知れないと思うと、不思議なものですよね。
川合:僕らの時はあれだもんね、試合とかで負けそうになると全員同じこと考えることがある。「あんだけ練習やったんだから絶対負けたくない!」って。そうしたら勝っちゃう。そう思うのが、昔の日本のバレーだったの。すごい自信があったから。「オレたちは今試合では負けてるけど、練習量は絶対負けてない」って。ヤワラ(谷亮子)ちゃんなんかもそんなこと言ってたし。やっぱり練習量で負けてないと、すごい自信がつく。
森:植田監督も、アジア選手権で優勝された後のインタビューで、「練習は嘘をつかない」っておっしゃってましたね。あれはやはりそこですかね。
植田:そうですね。今の日本の選手は、250ccのコップに水をいっぱい入れたらあふれますよね。たぶん250ccが満タンだと思うんですよ。でも、今年それは満たせたと思うんです、ベースとして。で、来年になるとそれが500ccになって、やがて1リットルになっていくんだと思うんですけど。今年250cc以上やるとオーバーワークだとか故障が出たりして、モラルダウンとかバーンアウトとかするんですけど、そうじゃなくてまず今持っている選手たちの個々の能力は出してくれよと。それだけの練習はこなしたと思いました。だからそういう話をしましたけど、来年、再来年になってくると、その容量をドンドンドンドン大きくしていかないといけないんで。



取材・構成◎CREW
撮影◎新関雅士

後編へ続く