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10月15日(土)、FIVBワールドグランドチャンピオンズカップ2005(グラチャン)大会の開催を記念して行なわれた「ぴあトークバトル」。大会の見どころや注目選手について豪華ゲスト陣が熱く語ったイベントの模様を完全掲載!

ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2005 Vol.46
~グラチャンバレーはこんなにすごい! <後編>

青山ベルコモンズ クレイドールホール
森:3年後の北京に向けての容量を大きくしていく。
植田:その時はもう、本当に世界に十分通用する。例えばブラジルは今1リットルのガソリンが満タンで入る車だとしたら、日本はまだ250ccくらいかなと思うんですよ、正直言って。
森:となると、この250ccでまず優勝できたアジア選手権の次、この秋のグラチャンというのは全日本男子にとって、どういった位置づけになっていくんですか?
植田:選手は自信を持つと非常に伸びますからね。その容量も大きくなるし、やっぱり精神的にも肉体的にもタフになってくると思いますから。やっぱり500ccくらいのエンジンを備えたものにしていきたいし、Vリーグ見ていて、少しずつですけどそういうのが見えてくればいいなとは思いますけどね。
森:さあ、それではここで先ほど5つの質問をやったんですけど、監督を交えてその話に移っていきたいと思うんですが。「グラチャン2005」について、「優勝国予想とダークホースのチームがある」ということなんですが、監督の前で優勝国予想というのも非常に私も微妙な立場になっていくんですけど、そこをあえてお伺いします。「優勝国の予想はできている」と言ったのが4人全員だったんですよね。ズバリわかりますか?
川合:ブラジル。よくできたチーム。あのね、僕が一番好きな形のチーム。組織だっているっぽいんだけど、個々が自由に考えながら動いているっていうね。で、速いバレーだし。平均的に言うとバカでかいっていうわけじゃないんですよ、あそこは。大きい人もいれば小さい人もいるでしょ。だけどもよくジャンプするし、パワーがあって速くて。すごく日本がマネできるバレーなんですよ。
森:マネできる?
川合:マネできます。今日本でエースって言われてる人間の身長が190cm台なんですよね。真ん中が205cmが2人くらいいますけど。でも、ブラジルにもそんな身長の選手がいるんですよ。そういうのがバカバカ打ってくるんですよね。だから、日本がマネできるスタイルの国なので。 あのまんまできるよね? イタリアとかロシアをマネしろというのは無理なんです、みんなデカイから。でも、そんなチームより、ブラジルの方が今は抜け出ているんで、すごく大好きなチームですよ。
森:体格でも、システムでも似ている。
川合:システムと個人能力ですね。小さいときからボールに触ってたんだろうなっていう。
森:ゲームやらずに。
川合:そうそう。サッカーやらせてもうまい。バレーの選手は。
森:身体能力が高い。
川合:高いのね。だから水泳なんかやらせてもすごく速いんだろうな。何やらせても体の使い方がうまい。日本のセンター2人、205cmの山村と斎藤(信治、東レ・アローズ)がいるけど、バレー以外ほぼ何もできないよ、あれ。
会場:笑い
森:そんなことないんじゃないですか?
川合:いやいや、サッカーやらせてもそんなうまくないよ。自分の体の使い方がまだうまくできてない。だから、他のものも器用にいろいろできるようになれば、ブラジルに追いつくと思う。
森:中田さんいかがですか、優勝予想は。
中田久美
中田久美
中田:私もブラジル。やっぱりちょっと出てるのかなと。私も男子のブラジルのバレーがすごく好きなんです。私、基本的にすごい選手っていうのがあんまり好きじゃないんですね。うまい選手が好きなんです。そういう選手がけっこう揃っていて、ゲーム勘って言うんですかね、ゲームの運び方とか、勝負どころというのをよく知っている選手が揃っていて、見ていてすごくいいチームだなって思いますね。
森:益子さんはいかがですか。
益子:私もブラジルですね。川合さんは山村選手と斎藤選手はバレー以外できないって言ってましたけど、植田監督はいろいろアクロバティックなトレーニングも取り入れてるってお聞きしたんで、相当良くなってきているんじゃないかと思います、ちょっとは。
植田:いやぁ……。
川合:わかんないですけど、いますぐ他のスポーツって無理でしょうね。他のスポーツって言うか、僕らがよくやらされたのが回転ボールで、バレーボールに網を被せてひもをつける。で、フカフカのマットの上に小学校の体操の時のようなマットを敷くと、上が固いんだけど下がフカフカだから、ジャンプしようと思っても全然ジャンプできない。全部吸い取っちゃうから。そこの上でジャンプしてボールを回して跳ぶっていうのがあるんですよ。いろんな跳び方があって、たとえば普通にジャンプしたりとか、あとはジャンプしてフライングしてとか。
大林:川合さん、またやるとぎっくり腰になる。
川合:フライングした後、すごいスピードで来ますから、上通ったと思ったらジャンプして、空中で半回転してまたフライングしてまた半回転する。あと腕立て伏せとか、座って縄跳びでケツと腹筋で跳んだりとか。背筋で縄跳びしたりとか。
森:背筋で?
川合:うつぶせになって、縄が来たら跳んで。体を思いっきり反らないと縄に顔がボンボン当たるから。すごい反った状態からドンドン背筋で縄跳びするんです。そんなのとか、あと逆立ちが基本的に9メートル往復できないと練習には参加させてもらえない。
森:えっ? 逆立ちで9メートル往復?
川合:逆立ち大事なんだよ、バレーボールはね。空中バランスって、ジャンプしたときって何もさわるものがないからすごく大事なの。地面に立っていると踏ん張れるから平気だけど、空中で打ったりすると何もないから、バランスが大事。逆立ちっていうのはバランスだから。必ずバレーのトップレベルの選手は9メートル往復できるようになってから練習やる。
大林:女子バレーも94年に横田 (忠義) さんという、ミュンヘンオリンピックの金メダリストの方が監督になった時に、いま言ったのほとんどやらされましたね。ハンドスプリングとか。私ほとんどできないんです。
会場:笑い
大林:久美さん、逆立ちできる?
中田:私は15歳のときからできましたよ。
大林:3人ぐらいできない人がいて。本当に無理でした。
川合:やらされるよね、絶対ね。
中田:吉原だけが9メートル、その頃から往復して。
川合:だから、ああいういい選手はやっぱりそうなんですよ。
大林:すみません。
森:穏便にお願いしますよ、穏便にね。ということで、大林さんも優勝候補はやっぱり……。
大林:私もブラジル。やっぱりアテネのブラジルとイタリアの戦いが忘れられなくて。イタリアもひかれたんですけど、完成度、かっこよさ、すべてにおいてブラジル。もうファン目線。アンドレっていう左利きのカッコイイ選手がいるんですけど、絶対に人気出そうな。いろいろ考えて強いなと。
森:植田監督、ここでは今ブラジルという声が圧倒的なんですけど。もちろん我々としては日本が上にいってほしいという気持ちはあるんですけど、その中でもこういったお声を聞いていかがですか。
植田:本当にブラジルは力持っていると思います。ダンテっていう選手がいるんですね、205cmぐらいの。本当にネットから胸の番号が出るくらい跳ぶんです。あと、セッターのリカルドっていうのがいますね。この2人がキーポイントでしょうね。世界一のコンビでしょう。0.7秒くらいでドッカーンと打ちますよ、ネットから胸まで出て。ネットの高さ2m43cmだから、これぐらい。で、胸ぐらいまで出て。すごいでしょ。
森:すごいですね。努力では越えられない壁を今感じました。
会場:笑い
川合:昔はサビンっていう選手がいたでしょ。知ってるでしょ? ロシア人で2m、そのうえ1m垂直跳びするサビンていうのがいて、そいつも跳ぶとネットから腹まで出て、ユニフォームの「CCCP」っていうのが出てたね。それと戦ったことがあるの。「サビンか。すげ~! 」と思った。20歳の時。サビンがAクイックだと思ったら、本当に思いっきりAクイックしてきたのでブロックにいって。ワーッとブロックしたら、サビンが打とうとして、フッと空中でやめた。で、俺が「あれっ?」と思ったけど、ヒューッと落っこちていって。俺が落っこちていくのを見ながら、ボコンって打たれて。ホントにピュッて浮いてる感じ。空中ですごく浮いてる。キューバはピューン、ピューンって空中で伸びる。全然落ちてこない。
会場:笑い
森:世界レベルですね。
川合:サビンも落ちてこなかった。それと似てる。
森:やはりちょっとブラジルは強豪になってくるということなんですが、時間がだんだん少なくなってきました。アジア選手権優勝の勢いをそのままに、日本がグラチャンで羽ばたいてほしいと思うんですが、ここで皆様方には日本の注目の選手、この選手のこういうところを見てほしいというのがありましたら、ぜひ伺いたいのですが。
川合:越川(優、サントリー・サンバーズ)っていますよね、190cmくらい、背は低いですけど。この間もそうでしたけど、ジャンプサーブが入ればすごいですよ。この間オーストラリアとやったときは、日本はそれまでとちょっと違ってた。前はすごいサーブが入らなかった。すごいんだけど入らない。だって俺でも打てるんだよ、思いっきり打てば。それが今はいいサーブが入る。この間の試合、1試合見ただけだけどね。あの感じでいけば戦えるよね。
植田:そうですね。
川合:あともう1人すごいサーブ入れるヤツがレフトでいる。北島(武、堺ブレイザーズ)。
森:越川さんのサーブは、アジア選手権でも得点源になってました。
川合:柴田恭平(東レ・アローズ)っていうのもいるんだけど、あの柴田恭平と同姓同名で。
植田:スタンディングで98cm跳びましたね、この前。4月から比べて、平均して7cmくらい伸びてますね、越川と柴田は。ジャンプっていうのは技術、跳び方とバランスですからね。
森:柴田さんはライトの選手ですけど、今回植田ジャパンはセッターの対角は確定はしてないですよね。
植田:スーパーエースっていう、打つだけのエースは今は置いてません。去年まで山本( 隆弘、松下電器・パナソニックパンサーズ)君がそこにいましたけどね。打つだけっていったら失礼ですけど、打つ人はレシーブする人の気持ちがわかって、トスを上げる人の気持ちがわかっていなくては。山本君がポーンと打った時、「ナイストス!」とかね、「いいレシーブだったよ」とか、生きた声がポーンと出ると、チームっていうのはワーッと盛り上がるんですよ。ただ上がってきたボールを打って、「はいはい、はいはい」では困るよっていうことを僕は山本君には言ってるんですけど、そういうことが見えてくると、来年はまた山本をそういうポジションで、ということも考えられると思います。
森:まぁ、アジア選手権では大きな選手が入ったりというのもありましたけど、グラチャンでも変わるかもしれない、その先も変わるかもしれないということですね。
植田:グラチャンでも拾える選手、一番守備ができて計算できる選手が、セッターの対角っていう難しいポジションをこなすと。
森:そういった意味では、現在は荻野(正二、サントリー・サンバーズ)選手を置いているということですね。中田さんいかがですか、注目の選手は。
中田:私はセッターの宇佐美選手(大輔、NEC・ブルーロケッツ)。ずっとケガで苦しんでいたけど、ここでそろそろ花開いてもらいたいなと。
森:もう十分戻ってこられるほど回復はしている。
植田:ええ。リーグ戦を見る限りではチームも3連勝してますし、世界に十分通用するセッターです。彼も世界に目を向けてますしね。彼はジャンプ力がすごくある。
森:本当に身体能力の高い選手ですよね。
植田:ブロックの形はたぶんチームで一番いいです。セッターはよくブロックしますからね。1mくらい跳びますからね。
川合:ブロックが悪いのがマルコス。
会場:笑い
川合:マルコスはたぶん、今大会を通じて左手でブロックすることはないですよ。あいつの左手は外に向いてる。「お前あっちに落とすのに、何でそっち向いてるんだ」って。逆に荻野は左手でしかブロックしないですよ。左手だとすごくいいボールだよね。右手だとダメだけど。「味方に落ちるだろ!」って。だから2人足したらいい感じなんだよね。もったいないけど。ブロックは瞬間芸みたいなものだから、練習ではできるんだけど、試合でやれっていうと、ガッとクセが出ちゃう。
森:さぁ、益子さんに伺ってみましょう。
益子:私はさっき、「注目選手がいる」の質問でYESにしたんですけど、いまずっと植田監督の話を聞いていて、やっぱり全体的なチームとして見ていきたいなという気持ちになったんですね。ですから、いいです。
川合:お前が全責任取るんだな?
会場:笑い
森:ちょっと勘弁して下さい。
益子:前監督(田中幹保)の時に話を聞くと、チーム全体というよりも、選手個々を伸ばしていきたいという話をいつもしていたんですね。選手1人1人のスキルをアップさせたいっていうことを常に言ってて、前監督の口から「チームとして」っていうのはほとんど聞いたことがなかったんです。だから、オリンピック予選の時なんか、もしオリンピックが決まったとしても、「たぶん監督のところには抱きつきにいけないな」って、選手たちは言ってたんですよ。やっぱり、チームとしての一体感みたいなものが取材していても見られなかったんですね。でもこの間、私はアジア選手権をテレビで見たときに、優勝が決まった瞬間、選手たちみんなが植田監督のところにワーッと集まって、けっこう涙を流しているのを見たときに、あぁ何かかつての強かった時代の日本が戻ってきたなっていう印象がすごくありました。誰か1人っていうよりはチームとして、先ほど山本選手に対しての気持ちも言ってましたけど、そのへんを期待して見ていきたいなっていうのに変わりました。
森:植田監督はずっとうなずいていらっしゃいました。
植田辰哉監督
植田辰哉監督
植田:山本君が悪いとかじゃなくて、彼は必要なんですよね。日本のために彼ができることっていっぱいあるんですよ。チームとしては本当に、彼のことを大きく手を広げて待っているんです。でも、そこで誰かが彼に対して、ファンの皆さんも我々ももっとこうしたらいいよっていうことをアドバイスしてあげないと、後を押してもらわないと。そういうところを今彼に期待しているわけで、今日本中にいい選手いっぱいいますから、そういう選手を我々は待っているんで。益子さんが言われましたけど、チームですから。個じゃないから。やっぱりチームとして、チームワークを大事にしてほしいし、それを我々は待っているという意味ですけどね。
森:チームワークという言葉が出ましたけど、大林さんが注目されている選手は。
大林:やっぱりチームワークを作る先頭に走る選手というのが必要で、キャプテンの荻野選手っていうのは、女子の吉原選手がすごかった、とにかく練習した、激しかったというのとはまたちょっと違って、何となく内に秘めた静かな感じがするんですけど、一番監督を知ってて、オリンピックも一緒に戦って。いまだに何かあると、一番最初にコートに立つ。自分から行くわけですよ。普通ベテランだったらやっぱり、ちょっと最後の方とか調整したい気持ちがあるのに、もう今年36歳になるのかな。荻野選手が本当に頑張っているので。ちょっと気になるのは、今年の最初かな、「荻野さん、すごいんですよ。僕らはなかなかできないです」って言った若手がいたんですよ。それが変わってきているんですね。「負けませんよ」っていう発言に変わったのがすごく嬉しくて、「荻野さんなんか、ちょっとで抜かしちゃいますよ」ぐらいの強さに変わってきたので、彼が先頭に立つことによって、みんなが大きくなってきたなと思います。最後までっていうのはヘンですけど、ちゃんとキャプテンとして、自分自身のために頑張ってほしいなと思います。
森:皆さんから挙がった名前だけでも、本当にものすごいチームが今できあがりつつある、成長しつつあるというのがわかるんですが、植田監督にズバリ、来月開幕するグラチャン、星取予想というのは非常に難しいと思うんですけれども、どんな戦い方を、何勝何敗という具体的な数字を挙げていただきたいのですが。
植田:できれば4勝1敗したいです。でも、3勝2敗がひとつの目標かなというところですね。
森:4勝1敗といいますと。
植田:ワールドリーグでブラジルと戦ってみた感想からすると、ブラジルと日本は春の段階では非常に差が大きかったかなと思います。でも、アメリカ、中国、エジプトあたりは非常に力を持っていますけど、日本が頑張れば何とかなるんじゃないかなと。イタリアについては、新しくチームも変わっているでしょうし、そういった意味ではサーブレシーブさえセッターのところにきっちり返れば……。我々は今複雑なコンビネーションを作ろうとしているんですが、それができればもしかしたら足元をすくえるかなっていうことで、一応4勝1敗ということで予想は立てましたけど。
森:もちろん我々も4勝1敗を願っていますし、どんな試合展開になるか非常に楽しみです。
川合:イタリアにフェイっていうヤツがいる。これがうまいんだよね。ちょっとヒゲはやしてて、うまい。フェイっていうヤツをつぶしたらいける。玄人受けする。打球の速度を変える。ブロックってこうネットに出て、空中で止まってないでしょ。打たないで、こうやって平行ぐらいのときにパーンと当てて出すの。打つ速度を変えてる。フェイってやつをやっつける。
会場:笑い
森:4勝1敗も夢ではない。
川合:あるいはフェイがジャンプして降りた時に足ピッて出して。
森:川合さん、そういうのばっかりじゃないですか。
大林:川合さん、手引っ張らない。
森:そこはちょっとメモしないところ。今回男子は各大陸のチャンピオン、そして推薦国と開催国ということですが、日本は今回開催国であり、同時にアジアチャンピオンということでグラチャンを迎えるわけですから、またちょっと違ってきますしね。日本の戦い方をよく見ていただきたいと思うんですが、それでは質問コーナーに移っていきたいと思います。
客1:世代交代ということでお聞きしたいんですが、基本的に女子も男子もセッターについては後継者というか、新生というのがずっと生まれ続けないで停滞して来ているような気がするんですが、そのへんについては今後はどうなんでしょうか。
川合:セッターというのなかなか生まれないです。いいセッターがいても、竹下みたいにちっちゃかったりとかね。竹下はたぶん、春の高校バレーくらいのレベルの身長なんです。何でいいセッター、大型セッターが出てこないかっていうと、学校スポーツなんです、バレーボールは。たとえば中学校のバレー部では、うまい選手、デカイ選手がいたら、必ず勝ちたいからエースにする。どこの学校でもデカイヤツをエースにする。そうすると、そのチームで一番小さいヤツにセッターやらせるんですよ。高校に行ってもそういうシステムになっているから。このシステムだと、絶対にでかいセッターは生まれてこないです。まずムリです。今日本の女子はやっているんですけど、今年は11名、全国から170cm以上の中学生の女の子を集めて、1か所で合宿させるんです。中学校の女子で172cmあったら、普通なら絶対にエースです。でも、セッターをやらせる。他がみんな175cmとかあるから。全国からでかいのを集めておいて、一つの中学、高校に入れる。そういうシステムをやっと日本のバレー界はやりだしました。ですから、女子に関してはこれからはでかいセッターが生まれてくる可能性が高いです。男子はまだそういうシステムをやってないんで、ちょっとわかんないです。そのシステムを変えていけば。で女子でも、180cmくらいの左いなかったっけ、スパイカーだけど。セッターになりそうなやつ。
大林:有田(沙織)ですか?
川合:有田っていうのがいて、春の高校バレーではアタッカーだけど、セッターのセンスがある。
大林:セッター練習はちょっとしてます。
川合:そういう180cmでサウスポーで、ちょっとセッターのセンスがある人間をチームの考えでセッターにしていけば、本当はいいんですけどね。久美ちゃんなんか英才教育だよね。小さいときからずっとセッターって決められてて。普通の学校に行ったらアタッカーにされてた。
森:なかなかシステムの話になると難しいことにはなりますけどね。
川合:だから、セッターのできるでかい選手を育てた監督がそこの校長になれるとか。
会場:笑い
川合:そういうシステムをやれば、でかいやつは日本中で全部セッターやってると思うけど。人事システム。文部科学省に言ってやってもらえれば。
森:こんなに大きな話になるとは思いませんでした。
川合:そういうのがないと出てこないです。
森:中田さん、いかがですか。天才セッターの名をほしいままにした中田さんとしては。
中田:私は身長175cmなんですけど。それでも小さいから、日本の女子バレーはセッターを大型にしなくちゃいけないって言われていて。それが今は159cmですからね。まぁ実業団の監督さんも柳本さんも、大型セッターということはもちろん考えているとは思うんですが、でも勝負ということをまず大前提にしてしまうと、セッターっていうのは小さくてもトス出しがちゃんとできたりとかいうことを優先してしまうがために、育てるっていうことがちょっとの二の次になってしまっていると思うんですよね。私が柳本さんに期待することは、今出た有田もそうですし、木村をセッターにという話も出てきていますんで、それをいち早く本格的に考えて。セッターって最低5年やらないと育たないと思うし、この間アジア選手権の最後に木村がちょっとやりましたけども、勝ち試合の最後にちょっとトス上げてもセッターとしての自信はつかないですから。監督がどこまでガマンし続けて大型セッターを育てることができるのかというところだと思うんですよね。元々セッターっていうのは、アタッカーを経験していた方がいいと思うんですよ。元々スパイクを打っていて、転向するっていうのが女子バレーの中ではけっこう続いているんですよね。それはなぜかというと、やはりアタッカーが要求しているトスが、自分が経験があるからわかるんですね。そういう意味では、木村とか有田とかっていうのはすごくいいものを持っていると思うんで、どの段階で柳本さんが思いきって切り替えるのかっていうのは、ひとつ興味のあるところなんですけど。
森:監督いかがですか。
植田:今おふたりがおっしゃった通りですね。深刻な問題ですね、これは。特に男子はセッターに限らず、アタッカーが本当に、少子化っていうこともあるのかもしれないけどいなくなってるね。
森:バレーボールっていうのは国の問題だと。
植田:国の問題です。
川合:ホントですよ。セッターが小さいと、2つイヤなことがある。1つはブロックの上から打たれること。だいたいレシーバーっていうのは、ブロックがいないところに入るんだけど、上から打たれちゃうから、誰もいないところに打たれちゃう。予測がつかないようなところに。もうひとつはセッターが低いと、特にクイックを打つ人間が打ちにくい。簡単に言うと、俺と同じ身長の高さのセッターだったら、ボールがすぐ出てくるからすぐスパイクが打てる。
益子::近いから正確になる。
川合:離れてても、近い高さからボールがくるから色んなパターンのスパイクが打てる。だけどセッターが小さいと、まず自分のヒジで見づらくなる。そうすると、タイミングやバリエーションが限られてくる。角度が悪いと届かないっていう。小さいセッターだと、一点でしか打てない。だから日本のセンターていうのはすごいの。あんな小さいところから上がってきて、一点でしか打てないのによく打ってる。もしかして天才かも知れない。
会場:笑い
大林:でも、竹下選手が今上げてるから全日本はあそこまで成長したんだと思うんですよね。やっぱりテンちゃん(竹下)はテンちゃんで、チームにとって今すごく必要な選手なので、そのへんも起用の仕方とか、柳本さんがどういうふうに考えるのかなというところだと思うんですよね。
川合:あと、日本の女子はBクイックが少ない。やっぱりライトがビューっと流れていって、自分の好きなところに走っていってバンと打つ。Bクイックも小さなところから上がってくると一点でしか打てないから、日本の女子はBクイックが少ない。
森:セッターがチームの性格を変えてしまうということですね。他に質問はありませんか。
客2:技術面の質問なんですけど、レシーブをする時の心構えってどういうことがありますか。
川合:ちょうどレシーブがうまいやつがいないかぁ。
中田:何で?
大林:うまいやつがいないとか言わないでください! 川合さんが一番しなかった人でしょ、悪いけど。
会場:笑い
川合:俺は地味な作業が嫌いなんです。じゃ、レシーブうまい人。
益子直美
益子直美
益子:私ですか? 心構え、それは絶対ノータッチで落とさないっていうことが前提ですよね。私たちの頃と今のバレーって、構えるポジションがもう違うじゃないですか。昔は後ろから前に突っ込むっていうレシーブだったんですけど、今はすごく鋭角なスパイクになってるから、昔よりも2メートルくらい前のポジションで構えなくてはならない。やっぱり相手のデータをしっかり頭の中に入れて、自分のポジショニングをしっかり取る。これはすごく大事なことだと思います。あと現役時代にやっていたのが、私は右に走るボールがすごく苦手なんですよ。右に全然足が出なくて、左にはいくらでも走っていけるんだけど。なので、苦手な方を薄く、得意な方を厚く。そういうポジションニングをして、得意な方は広く。狭い方は1歩ぐらい。そういうふうに作ってました。だいたい得手不得手があるから、きっと苦手な方向もあると思うんで。
川合:あと、サーブレシーブの時にすごい緊張するよね、固くなるでしょ。
中田:川合さんはしない。
会場:笑い
川合:固くならない方法。俺これは自分で編み出した。サーブレシーブがあんまりよくないから、イヤだったの。敵がサーブ打つ前に、俺のこと探して「あ、いたいた」って言うのよ。
森:狙われちゃう。
川合:その時に固くなっちゃうとレシーブも固くなっちゃうから、固くならない方法をどうしようかなと思ったときに、「何で固くなるのかな? あ、レシーブをちゃんとセッターに返さなくちゃいけないから固くなるんだ」って。
森:でも、それは普通のことじゃないですか?
川合:ただ来たボールを取るなら全然固くならない。すごいサーブ打たれても軽く取っちゃう。だけど「そこに返そう」と思うからすごく固くなっちゃう。「じゃ取っちゃえ」と、そういう感じでやるとすごく簡単にできるし。あともうひとつ、考え方として3本までミスっていい。
森:結構ミスっていいんですね。
川合:2本までだと1本ミスると、「うわ~、あと1本しかない」ってなるでしょ。そうするとすごく楽。逆に言うと、本当に緊張する場合は3本までミスっていいとか、それぐらいまで思うとすごく楽。ミスっちゃいけないと思うからすごく緊張するだけで。バレーボールってミスしなきゃいけないスポーツなの。何でかって言うと、両チームで誰もミスしなかったら、ず~っと続く訳よ。ブロックしてフォローして、またブロックしてフォローしてだと。だからミスしてくれないと困る。審判とかお客さんから、「いい加減にしろ、お前ら。30分経って、まだ1点も入ってないじゃないか」って話になっちゃう。
森:これは確かに大変だ。
川合:絶対ミスしなきゃいけないから。ミスしても「ああ、これがバレーボールだ」って。
森:心なしか、お客さんのメモするスピードが遅くなっています。ミスしていいっていうアドバイスもビックリしましたけどね。さあ、あっという間に時間が過ぎてしまいましたね。あと2時間くらいやりたいですけど。
川合:僕はまだしゃべりたいですよ。
森:それでは、90分のトークバトルを振り返っていただいて、大林さんいかがでしたか?
大林:川合さんの話が楽しかったです。本当に日本中が「日本チャチャチャ」のフレーズになって、今年は流行らせていただいて、新しいバレーブームが来るように応援していただきたいなと。私も本当にいろんな形で盛り上げていこうと心を新たにいたしました。
森:益子さん、いかがでしたかこのトークバトル。
益子:こんなにたくさんの方が来てくださると思っていなかったんですね。若い方、そこそこの年齢の方、いろんな年齢層の方、男性女性。今までバレー関係というとちょっと固定したファンの方が多かったんですけど、いろんなジャンルに広がってすごくよかったなと、今日はつくづく実感しました。こんな風に写真取られるの久しぶりです。ありがとうございました。
森:じゃ次、中田さんお願いします。
中田:川合さんのトークショーにお越しいただきありがとうございました。アテネが去年終わり、2005年の集大成がグラチャンだと思うんですけども、また北京オリンピックの第一歩が始まる試合だとも思うので。私は解説者という立場で、愛を込めてズバズバとやっていきますので、こちらもよろしくお願いします。
森:川合さん、暴露トーク満載でしたけど。
川合:でも、すごくいい話もできたと思うので。僕の方はたいしたことないですけど。これからグラチャンが始まりますが、日本の男女ともすごく頑張ってます。これからまた合宿とかして、もう一回り大きくなって戦うと思います。ぜひ皆さん、応援してもらいたいと思います。
会場:拍手
森:植田監督、グラチャンに向けて意気込みのほどをお願いします。
植田:まぁ苦しい試合が続くと思いますけど、本物のチームを作りたいと思いますし、ファンの方と北京オリンピックに行きたいと思います。今後ともよろしくお願いします。今回この後、宮崎、鹿児島で合宿をして、その後に岐阜でまた2週間ほど合宿をして、それから名古屋に入る予定です。ぜひ応援またよろしくお願いします。
会場:拍手
森:進行表にはなかったんですが、いま大林さんも言って下さった「日本チャチャチャ」を最後にやっていただけますか。皆さん、ぜひこれ大会中に覚えて下さい。両手で、「日本中が」と言ったら、「日本チャチャチャ」で合わせて下さい。それでは参りましょう。「日本中が」。
会場:「日本チャチャチャ」
森:ありがとうございました。本日のゲストは川合俊一さん、中田久美さん、益子直美さん、大林素子さん、スペシャルゲスト植田辰哉監督でした。どうもありがとうございました。
会場:拍手
司会:と言うことで、あっという間に過ぎました。
森:大変なトークバトルになりましたね。本当に、若干「川合俊一トークショー」になった部分は否めないと思いますけど。
司会:川合さんの声がずっと聞こえていたんで安心しましたけど。
森:ひとつだけ心配なのは、グラチャンの解説をしているときに川合さんの声が入っていないということですね。本当に心配なんですけどね。
司会:今日をきっかけに、川合さん自身も実況に目覚めていましたね。
森:いや、今回はいい取材にもなりましたし、これから1ヶ月間で、それぞれの国民性について考えていこうと思います。
会場:笑い
森:「この国民は」っていうフレーズが絶対出ると思いますので。私は11月23日の日本対アメリカ戦を実況することが決まっておりますので、ぜひアメリカの国民性について勉強されたいという方は、こちらの方もぜひ。もちろん大会期間中全試合、日本戦は放送しますので、見ていただければと思います。
司会:ホスト役どうもお疲れさまでした。
森:いえいえとんでもない。ありがとうございました。
会場:拍手
司会:聞いていて、グラチャンバレーって本当に素晴らしいと同時に、全日本に頑張ってほしい、全日本はこんなにすごいということをわかっていただけたら本当によかったなと思っております。ホスト役は日本テレビの森圭介アナウンサーでした。
会場:拍手
司会:ということで皆さん、グラチャン2005開幕前に「グラチャンバレーはこんなにすごい!」ということでお送りして参りましたけど、いかがでしたでしょうか。いよいよ11月15日から開幕となります。チケットがなかなか取りづらいという状況なんですが、先ほども申し上げましたように、日本テレビでは日本戦全戦を放送いたします。今日の解説陣も参加されますので、ぜひテレビの前で今日の話を思い出しながら、全日本を応援していただきたいと思います。


取材・構成◎CREW
撮影◎新関雅士

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