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「2005 Jリーグナビスコカップ決勝」を目前に控えた10月31日(月)に開催されたぴあトークバトル。初の2部構成で行なわれ盛況を博したトークの模様を完全掲載!

『ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2005 どうなる!? ナビスコカップFINAL』

supported by
協賛:

青山ベルコモンズ クレイドールホール

前編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト)
'69年愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンをつとめ、'99年にはチームをJ2優勝・J1昇格へ導いた。J1リーグ戦通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとしてテレビ、ラジオ、雑誌など各メディアで活躍中。

<ゲスト>
巻誠一郎(ジェフユナイテッド千葉)
'80年熊本県生まれ。県立大津高校から駒澤大学を経て'03年にジェフユナイテッド市原(現千葉)入り。長身を生かしたヘディング・シュートと高い運動量を誇るチームのエース・ストライカー。駒大時代には全日本大学選手権優勝、ユニバーシアード北京大会優勝など数々のタイトルを獲得している。「東アジア選手権2005」北朝鮮戦で日本代表初選出・初出場を果たした。


大黒将志(ガンバ大阪)

'80年大阪府生まれ。ガンバ大阪ジュニア~ジュニアユース~ユースを経て'99年にガンバ大阪入り('01年はコンサドーレ札幌へ期限付移籍)。'04年シーズンに日本人最多の20得点を挙げベストイレブンに輝く。同時に日本代表入りを果たし、ドイツ「W杯」最終予選の北朝鮮戦で決勝ゴールを決め、一躍時の人に。ポジショニングの上手さとゴールに対する貪欲な姿勢は、チームはもとより日本代表にとっても欠かせない存在。

福田正博(元サッカー日本代表)
'66年神奈川県生まれ。相模原工高から中央大を経て、'89年に三菱重工(現浦和レッズ)入り。'95年にはJリーグ日本人初の得点王に輝く。'00年にチームがJ2へ降格してもチームに残り、'02年の引退まで生涯レッズを貫いた。J1リーグ通算216試合91得点(歴代6位、'05年11月12日時点)。日本代表通算45試合9得点。現在はサッカー解説者としてテレビ、ラジオ、雑誌など各メディアで活躍中。

井原正巳(元サッカー日本代表主将)
'67年滋賀県生まれ。筑波大時代の'89年から日本代表DFとして活躍。'90年に日産FC(現横浜F・マリノス)入り、DFの要として横浜マリノスを牽引した。'00年、ジュビロ磐田へ移籍。'01年からは浦和レッズでプレイし、'02年に現役を引退。J1リーグ通算297試合5得点。日本代表通算123試合5得点。現在はサッカー解説者として活躍する傍ら、S級ライセンス取得を目指している。

司会:ぴあトークバトルスポーツ快楽主義 VOL.47「どうなる!? ナビスコカップFINAL!」。出演の方々を紹介します。まずスポーツジャーナリストの中西哲生さんです。
中西:お客さん、いましたね。福田さん、大黒選手、巻選手と「静かだから人がいないんじゃないかな」って話してたんです。
司会:いよいよ両チーム初のタイトルをかけて戦うわけですが。
中西:楽しみですね。例年この時期は盛り上がりますよね。今回も盛り上がるチーム同士の対決ですし、しかも今回は両チームのエースが来てくれて。ジェフとガンバに感謝ですね。選手は試合に備えなければいけないんで、大黒選手は大阪に帰らなきゃいけないんですが。
司会:それではゲストの方々をご紹介していきたいと思います。まずは2002年のナビスコカップ決勝の舞台にも立った男、「ミスター・レッズ」こと福田正博さんです。
中西:相変わらずおしゃれで。
福田:ありがとうございます。以上ですか、質問は?
中西:最初しゃべらないんですか?
福田、僕は今日はメインじゃないんで。今日は後から出てくる二人がメインですから。
中西:控えめじゃなくてもいいですから。
福田:とりあえずお願いします。いいですね。このライブ感。静かだったのは、ジェフとガンバのサポーターは非常にしつけがいいっていうことなんじゃないでしょうかね。
中西:しつけって。行儀がいいとか。
福田:ごめんなさい。行儀がいいですね。今日は普段よりちょっと客席が近いですよ。
司会:福田さんの話も楽しみにされている方もたくさんいらっしゃると思いますよ。
中西:みんな社交辞令で拍手してくれてるじゃないですか。
福田:ガンバファンは優しいですね。
司会:それではゲストプレイヤーをご紹介していきましょう。まずはジェフユナイテッド千葉、ナンバー18、巻誠一郎選手! そしてガンバ大阪、ナンバー16、大黒将志選手!
中西:巻選手、ちょっと「マズイ」っていう風に思ってませんか?
巻:ちょっと近いですよね。
中西:あと、服装が自分だけ違う。
巻:間違えちゃいました。
中西:僕と福田さんはこれでいいんですけど、大黒選手はスーツは普段あんまり着ないですよね。
大黒:そうですね。移動のときぐらいで。
中西:ということは、これは移動のスーツということですか?
大黒:そうですね。
中西:昨日試合だったんで?
大黒:はい。
中西:どうですか、こういうトークショーは?
大黒:初めてです。
中西:でも、お二人は同い年なんですね。代表とかでも話をしたりするんですか?
巻:そんなにしないです。そこそこ。
中西:仲良くない?
巻:いや、普通です。
中西:井原さんが後から来るみたいなので、皆さんよろしくお願いします。
福田:忙しいんですね。巻選手と大黒選手も忙しくて帰られて。僕と哲生は・・・
中西:ヒマ?
福田:といえばヒマですね。まぁ、いい2時間にしたいですね。
中西:ということで、あえて大黒選手から行きたいんですけど。昨日(2005年10月30日、味の素スタジアム、FC東京2-1 ガンバ大阪)は残念でしたね。
大黒:そうですね。
中西:ものすごいあっさりしてますね。あんまり過去は引きずらないタイプですか?
大黒:ちょっとは引きずったりしますけど、仕方ないです。負けることもあるんで。
福田:僕は相当気にしてましたけど、切り替えるって重要なことじゃないですかね。それができる選手はやっぱり一流選手なんじゃないですかね。
大黒:いや、とんでもないです。
中西:ものすごい社交辞令みたいな会話ですね。普通にしゃべって下さい。
大黒将志
大黒:もっとうまくなりたいですね。
中西:昨日はどうでしたか。ここ最近ちょっと厳しい試合が続いてるけど。
大黒:そうですね。チャンスがあったんですけど決められなくて。それはすごい残念というか、へタクソなんでしょうがない。もっと練習しないとダメですね。
中西:昨日は、橋本(英郎)選手からボールもらって、決めなきゃっていう場面で。
大黒:はい。決めないとダメですね。
中西:ちょっとあせりました?
大黒:そうですね、ちょっと。メッチャいいボール来たんで。オ~ッって。
中西:ちょっとつまずき加減でしたね。
大黒:はい。まぁ、そういうところはちゃんと入れられるようにしていきたいです。
中西:あれだけ長い間首位に立っていると、どのチームも研究してくるじゃないですか。
福田:勝たなきゃいけないというプレッシャー。研究されるといっても、研究したからってどうなる問題でもないですから。相手と言うよりはガンバ自身の問題ですかね。
大黒:そうですね。
中西:でも、ガチガチに狙われてますよね。
大黒:そうですね。でも、そこをいかに突破するかっていうのが大事だと思うんで。そういうのをもっと追求していきたいですけど。
中西:最近あんまり試合に勝てなくなってきて、チームの雰囲気はどうですか?
大黒:でも、全然雰囲気はいいですけどね。
中西:昨日も特に悪くなってない?
大黒:やっぱり、負けた後はロッカーとかちょっとシーンとしてますけど。
中西:そういう時、西野朗監督はどうなんですか?
大黒:西野さんは何かダンディに水を飲んだり。そんな感じです。
中西:選手の間では西野監督はダンディな感じで通っているんですか。常に表情をくずさないみたいな。
大黒:いや、表情をくずすんですけど、くずし切らないみたいな。
中西:あんまり喜びを全面に押し出さないですか。
大黒:喜ぶときはすごく激しい表情するけど、顔はいつもダンディ。
中西:じゃ、宮本(恒靖)選手と一緒ですか? くずれない感じで。
大黒:はい、そうですね。
中西:喜んでいるときも落ち込んでいるときも。そういう意味では選手としてはいいですか? 試合終わったときも、あんまりガーッと怒られたりしないんですか?
大黒:勝ったときも淡々としてますし、負けたときも淡々としてますし。「次行こう、次またあるから回復しよう」ってあっさりしてますよ。
中西:僕は試合直後、監督にインタビューしたんですけど。負けたら話すのがイヤじゃないですか、特に監督は。でも、すごく淡々と答えてくれてましたよ。「打つ手がない」とかって。「最近ちょっと研究されてるから」とはっきり言ってましたよ。テレビのインタビューだったんですけど。
大黒:そうなんですか。選手がやっぱりやらないとダメだと思うんで。監督は選手に任せるというか、ピッチに出した後は選手がやるべきだと思うんで。
中西:福田さん、監督がそういうことを選手に思わせようと思うとなかなか難しいじゃないですか。「選手がもっとやらなきゃダメです」みたいな。そういう風に思っているということは、チームがいい状態だっていうことですよね。
福田正博
福田:そうだと思いますね。
中西:たとえば負けたとしても、たとえばダメなチームの場合ですよ。
福田:俺に言うなよ、ダメだ、ダメだって。
中西:福田さんはダメじゃないですけど(笑)、監督で、たとえば典型的なダメなパターンですよ。チームが悪くなるパターン。
福田:だからなんじゃないの。ナビスコの決勝にも残ってるし、リーグでも両チームともそうだけど、上の方にいるというのは。そういう選手たちの自覚が、非常に高いからこの位置にいられるんじゃないかな。
中西:ですよね。
福田:連敗してるんだっけ、リーグ戦?
大黒:はい。
中西:逆じゃない!
福田:違う違う。長いシーズン、いろいろあるんだよ。そういうときにどうやって乗り切って行くかっていうのが試されてるんだよ。いま試練なんだよ。
大黒:そうですね。やっぱりここで乗り越えるか、乗り越えられないか。いつものガンバで終わるか・・・
福田:「いつもの」じゃなくて、「今までの」って言ったほうがいいよ。
大黒:今のはちょっと語弊がありました。
中西:変われるか変われないか。一皮むけるか。
大黒:去年よりだいぶチームの状態もいいんで。一生懸命やればいいと思いますけど。
中西:逆にオシム監督(イビチャ、ジェフユナイテッド千葉)はどうですか。僕なんか知りたいんですけど、たとえば試合終わってロッカールームではどうなんですか。たとえば負けたときは怒るんですか?
巻:けっこう荒れてますよ。
中西:荒れるんですか? どんな感じですか?
巻:「ふざけんじゃねぇ」みたいな。
中西:たとえば「あそこでああしてればよかった」とか?
巻:そうです。そういう細かいところから。本当に細かいところを突いてくるんですよ。
中西:選手にいきなり言うんですか? 名指し?
福田:個人的に言うの?
巻:まぁ、そういうときもありますけど。
中西:たとえば巻選手が「お前があそこで決めていれば勝ってたのに」とか?
巻:あぁ、それはよく言われます。それはしょっちゅうです。
中西:それ言われるの? 珍しいですね。
巻:言われますよ。それはやっぱり信頼関係で成り立っている。
中西:信頼関係。
福田:いい言葉だね。
中西:それは選手がそう言われてもしょうがないなと思うんですか。
巻:だいたい的を射ているんで、納得するしかないですね。「そうです」って。
中西:やっぱりオシム監督の指摘は常日頃から鋭いですか。
巻:そうですね。見ていなさそうに見えて細かいところまで見てますね。練習でも、後ろにも目があるような。パッと振り返って、見た瞬間に怒られますからね、僕とか。
中西:巻選手はオシム監督になって、さらにグッと伸びてきた感じじゃないですか。
福田:そうですね。もともと持っていたものを引き出してくれたんじゃないですかね。
中西:オシム監督になってから、プレイの幅が広がっているじゃないですか。ポストプレーもそうだし、自分の特徴を全面に押し出してちゃんとプレイしているっていうのも。
福田:厳しさというものを普段の練習から植え付けられているから、そういうものが身に付いてきているんじゃないのかな。1プレイ、1プレイに対する厳しさというか。
中西:けっこう練習は厳しいですよね。何回も見にいってますけど。キツイですね。
巻:慣れました。あれは慣れないとキツイです、精神的に。ガーッと言われるんで。
中西:どういう風に言われるんですか? 「こういう風に動け」とか? 「シュート決めろ」とか?
誠一郎
巻:それも言いますね。
中西:ナビスコカップ決勝なんですけど。昨日僕、西野監督に聞いたんですけど、良くも悪くもリーグ戦の優勝も今回のナビスコカップで決まる可能性もあると。それぐらい今度の試合は大事だと。ここでタイトルを獲れるか獲らないかはものすごく大事だと言ってたんですけど。
大黒:そうですね。すごく大事な試合だと思うし。だから勝てるように、みんなが練習から集中してやっていけばいいと思うんですけど。
中西:ジェフに対してどういうイメージがありますか?
大黒:ジェフは「よく走る」とか言われますけど、やっぱり走りの質が高いと思うし、それを計算してやっていると思いますね。誰かが走ったらそこにまた誰かがそのスペースに走り込んでという動きをずっと連続してやっていると思うので。運動量では負けないということが大事だし、ボールを取ってからカウンターとかも速いんで、注意しないとダメやなあと思いますけど。
中西:おっしゃる通りで、走りの質が高いですよね。
大黒:はい。そう思います、僕は見ていて。
中西:どうですか。練習中も言われますよね。
巻:そうですね。誰かが動いたらそこのスペースに入って、そこの空いたところにまた誰かが入って、で後ろからまた誰かが入って。本当にみんな考えてます、たぶん。
中西:たぶんね。巻選手は一番前だから、一番先に動く選手ですもんね。
巻:僕が一番最初に動き出す方なんで。
中西:自分が動いて、そのスペースを使ってもらおうと。
巻:そうですね。そういう動きを意識してますけど。
中西:オシム監督と初めて会ったとき、すごく印象に残っている言葉があって、「サッカーはただ走るだけのスポーツじゃなくて、何かを考えながら常に走ってやるスポーツだ」って言ったんですよ。だから、意味なく走ってるということはたぶんないでしょ。みんな必ずどこのスペースに入っていくかっていうことを考えて。やみくもに突っ込んでいかないじゃないですか。
巻:そうですね。最初の頃は本当に「走れ、走れ」言われるんで、「とりあえず走っとけ」みたいな流れで走ってたんですけど。徐々に「何でお前そこに走ったんだ?」って聞かれるんですよ。だから「こういうスペースがあったから」って。「そこにボールは出てくるか?」とか、そういうことを聞かれて。
中西:「出てくるところに走れ」と。
巻:そうですね。「危険なところに走れ」ってよく言いますけど、監督風に言えば。「相手がいやがる危険な場所に走れ」って。表現が難しいところなんですけどね。
中西:わかります。でも、それは大黒選手も得意とするところですよね。
巻:そうですね。うまいですね。代表で一緒にやってたり、試合見ててもうまいです。
中西:うまいですよね、動き出しが。いちばんイヤなところに入って行くのが。
巻:はい。
中西:大黒選手は何か考えているんですか?
大黒:まぁ、考えているふりしてます。
巻:本能だったらスゴイっすよね。
大黒:それはまぁ考えてやってますけどね、ちゃんと。
中西:いつも必ずふくらむじゃないですか。ふくらんで相手のディフェンスの背後とかに入って、視界から消えてから必ずボールをもらいに前に出てくるじゃないですか。
大黒:それはもう、わざと動いてもらうときもあるし。そう動くことによってディフェンスがついてこなかったら、そこでもらえばいいわけだし、ついてくればまた逆を取ればいいわけだし。そういうふうに考えています。
福田:ボールをもらう前の動きというのが非常にうまいと思います。ボールをさわっている時間って、90分のうち3分とか言われてるでしょ。それ以外は準備だから。いかにいい準備ができているかというのは、その選手の資質にも関わってくるわけで。その準備に関して、巻もそうだし大黒もそうだけど、しっかりした準備をしているってことだよね。フリーランニングをするっていうのは準備でしょ? さわってないんだから。ボールを持っ
ていないときにどういう動きをしているか。たとえば3分しかボールにさわってないんだったら、87分間はボーッとしてるわけじゃないんだから。その間に何が考えられて、何ができるかっていうのは。ちょっと解説者っぽいでしょ。
中西:解説者っぽいと思った、今。
福田:それが選手の重要なことで、それができる選手はいい選手で、ゴール前でたくさん点の取れる選手になっていくと思いますけどね。偶然来て入るなんていうのは、年間を通じて何点もあるわけじゃないから。
中西:そうですね。
福田:何点も挙げられる選手というのは、やっぱりその準備がいいっていうことだよね。だって準備が良かったら、難しいシュート打たないですむんだから。そうでしょ?
中西:はいはい。
福田:ポジショニングが悪いと、後ろ向きでコントロールしてからシュート打たなきゃいけなくなったりするわけでしょ。そのへんのポジションの取り方というのが非常に重要になってくるんだよ、ゴール前は。ほんの一瞬だもんね。
大黒:そうですね。スペースも時間もないですし、そういう中でいかに打とうかというのは大事です。
中西:大黒選手から見て、巻選手のいいところというのはどういうところですか。
大黒:ヘディング、ヘディングって言われてますけど、ヘディング以外でも足でもできますし。自分でも「頭きき」とか言ってるじゃないですか。
中西:さっきも言ってました。
大黒:でも、足もホンマにできるし、走れるし。日本人に珍しいタイプやと思います。
中西:上が強い人はだいたい下がおろそかになりますからね。
大黒:デカくて走れる人っていうのはなかなかいない。やっぱりそういうタイプの巻っていうのは、日本の中でスゴイ貴重なタイプやと思います。
中西:僕はこの2人組んだら合うと思うんですけどね。どう?
大黒:そうですね。でも一緒にやったことあんまないな?
巻:そうですね。僕はやってみたいと思います。
中西:とても合うと思うんですよ。
巻:僕はすごく動きやすいと思います。スペースをあけてくれるし。
中西:お互いにスペースを意識するタイプだし。そのうえ、巻選手はヘディングが強いから。こぼれ球を拾うのは。大黒選手が得意じゃないですか。
大黒:はい。いまは僕がヘディング競ってますからね。
中西:ガンバはフェルナンジーニョとアラウージョ(ガンバ大阪)、大黒選手がヘディングするしかないからね。
巻:けっこう決めてる。
大黒:そうですね。ボールがいいから。
中西:ヘディングは得意じゃないの?
大黒:あんまり得意じゃないですね。味方のボールがいいんで入れさせてもらってますけど、もっとうまくなって入れられるようになりたいです。
福田:この二人はお互いにないものを持っているということでは非常に組みやすい。僕もタイプとしては巻と組みたいなと。自分にないものを補ってくれるから、非常にやりやすいでしょ。だって競りたくないんだから、高いボールなんか。勝てると思ってないんだからさ。しょうがなくてやってるわけだよ。「フォア・ザ・チーム」なんだよ。だけど、自分の本当の一番の特徴はそうじゃないっていうことでしょ。
大黒:はい。
福田:自分の特徴が出せるということは、自分の一番弱いところを持っているパートナーがいるっていうことは、いい組み合わせになるんじゃないかなと思うんだけど。
中西:代表で見たいですよね。
福田:俺がいうことじゃないけどさ。とりあえずやってみてもらってさ。「あ、いいじゃん」なんてさ。「じゃ、代表でもやってみれば」なんて。
中西:逆に、ジェフから見たガンバというチームはどうですか。
巻:やっぱり前線の3人が注目されがちですけど、中盤の選手もディフェンスの選手もしっかりとボールポゼッションして攻めてくる。
中西:ビルドアップしてきますよね。橋本(英郎)選手とか遠藤(保仁)選手とか。
巻:そういうところのチーム力が素晴らしいと思いますし、前の3人も攻撃だけじゃなくて守備への切り替えが相当速い。
中西:かなり守備してますもんね。
巻:手ごわいと思います。
中西:ジェフがガンバとやる時に気をつけていることとかってあるんですか。言えないですか? 言ったらオシム監督に怒られますかね。
巻:やっぱり前の3人にすごく神経を使いながら守ってます。そうしてると、サイドからいい選手が出てくるんですよ。そういう意味でつかみどころのないチームです。
中西:ジェフもガンバも比較的どこからでも攻撃できるチームですよね。
福田:本当に。誰か1人ということではなくて、チーム力は非常に高いと思います。両チームとも攻撃的なチームなんで、試合はすごく面白くなると思いますよ。これはぜひ見に行って欲しいですね。宣伝じゃなくて、本当に。本心からそう思っています。
中西:大黒選手、両チームとも今年になってからさらにチーム力が上がってますよね。
大黒:はい。
中西:決勝の内容自体も面白くなりそうじゃないですか。
大黒:そうですね。たくさんのファンに見に来てもらって、楽しんでもらえて。「いい試合だった」と言ってもらえる試合を見せて。戦う姿勢とかそういうのを見てもらって、そこでガンバが勝って喜んでもらうっていうのが一番いいです。
中西:まぁガンバとしてはね。やっぱりタイトル欲しいですか?
大黒:なかなかこういうチャンスはないし、僕は予選に出てないんですよ。
中西:代表の試合に出てましたからね。
大黒:そういう時に普段リーグ戦に出ていない選手みんなが頑張って、みんなの力で決勝に来たと思うので。誰が出るかわからないですけど、出た選手がベストを尽くして、頑張って一生懸命やって。チーム一丸となってタイトルが取れれば一番いいと思います。そのために頑張るだけです。
中西:ケガ人はけっこういっぱい出てますけど、大丈夫ですか?
大黒:それは仕方がないと思うんで。たぶんツネさん(宮本恒靖)とか治ると思う。
中西:治りそうなんですよね。
大黒:わかんないです。僕の中では「治るんちゃうかな」って。
中西:それって個人的な見解でしょう。でも、僕も昨日聞いたら、「もうボール使ってますよ」って言うから。
大黒:言っちゃダメでしたね。
中西:やっぱり、宮本選手がいたほうがいいですか。
大黒:そうですね。それはいたほうがいいです。でも、いなくても出てる選手が頑張ると思うんで。でも、それは監督が決めることなんで。
中西:スタメンで出たいですか。
大黒:そうですね。
中西:昨日は途中からだったですけど。
大黒:まぁそれはしょうがないんで。
中西:あまりそういうのを気にしないタイプですか、途中から出るのとか。
大黒:気にしないというか、やっぱり監督が決めることがすべてだし。
中西哲生
中西:代表のときでも、「監督が、監督が」ってよく言うじゃないですか。自分が出たいっていう感情よりはチームのことが優先?
大黒:出たいという感情はもちろん、それはプロだから当たり前にあるんですけど。出る出ないは監督が決めることなんで。出たときに、いかにいいパフォーマンスを出すかっていうことが一番大事なので、そこにこだわってますね。
中西:そこでいいパフォーマンスをしたいと。
大黒:はい。それだけです。
中西:巻選手は頭から試合に出るタイプですけど、90分やったほうがいいですか。
巻:そうですね。できれば長い時間やったほうが自分のリズムも作りやすいんで。
中西:代表とかけっこう短い時間出るということが多いじゃないですか。そういうのは別に問題ないですか。
巻:そうですね。1年目も2年目も途中出場多かったですから。フォワードなのに守備固めみたいな。そういう部分も多々ありましたけど。前線からガンガン追えみたいな。
中西:もう勝ってるから?
巻:勝ってても負けてても。とりあえず前からガンガン行ってました。
中西:ガンバで誰か、「このディフェンスはイヤだな」みたいな選手はいるんですか。
巻:そうですね・・・
中西:たぶん3人相手にしなきゃいけないじゃないですか。昨日だったらシジクレイ選手、實好(礼忠)選手、山口(智)選手。
巻:シジクレイとかはヘディング強いので、あんまり寄りたくないですね。
中西:シジクレイ選手は相当強いですからね。強くないですか?
大黒:強いですよ。たまにボールがツルッと。
中西:僕、1997年くらいからJFLでやってたんですけど、そのときにもうシジクレイ選手はいたんですよ。昔から異常に強かったからね、ヘディング。
大黒:音がちょっと違います。
中西:昨日のヘディングもけっこう高いボールだったんですけど、首をこうやって落としてヘディングしてなかった? じゃ、シジクレイには近寄らない?
巻:はい、基本は。
中西:自分がイヤな選手には近寄らないタイプですか?
巻:そうですね。基本的には近寄らないですけど、「来ないかな」といった瞬間にパッと裏を取ったりとか。そういうの得意ですけど。
中西:そういうのも狙っているんですか?
巻:あまり言いたくないですけど。
中西:ジェフで「この選手のこのプレイは注目だよ」という選手はいますか?
巻:ジェフの場合は個人というよりもチームで、みんなで動いてナンボみたいなところがあるんで、やっぱりチームとして見て欲しいですね。
中西:僕は見ていていつも思うんですけど、ジェフはボールを取ったら、必ず取った選手がそのまま前に行くじゃないですか。あれは言われてるんですか? たとえばディフェンスの3バックの選手も、ボール取ったらそのままボール前へ預けて、前へ飛び越えるじゃないですか。
巻:普段のトレーニングから監督が「行け行け」って言ってますね。そこで飛び出すことで数的優位ができるので。
中西:福田さん、ボール取ったディフェンスとか3バックの選手とかが、必ずインターセプトしてボールを取った瞬間にそのままボールを前に預けて、その選手の前に飛び出すんですよ。
福田:知ってる、知ってる。
中西:知ってるんだ。
福田:知ってるよ。だって好きだもん、ジェフのサッカー。ガンバのサッカーも好きだけど、ジェフのサッカーも好きだよ。
中西:すごくないですか、あの追い越すの。
福田:追い越していくのもすごいんだけど、そこのカバーをちゃんとするわけでしょ。
巻:してますよ。
福田:そのへんも何でもかんでも行ってるわけじゃなくて、バランスも考えて。阿部(勇樹)なんかそうでしょ。ストヤノフがガーッと上がったときに、しっかりポジションを取ってる。あのへんなんか、非常にチームとしていいなと思う。
中西:一番状態のいい、スピードに乗っている選手が常にボールを追い越すような。
巻:はい、そうです。
中西:あれも言われてるんですか。「ボールを取った選手は、スピードが上がったら前に出ろ」って言うんですか。
巻:いや、やっぱり状況ですね。体勢というか、危険なプレイができそうな選手が、相手がいやがるところにみんな基本的に走ります。
中西:上がったところには、そこに一番速く行ける選手が入っていく。
巻:そうです。そこに入っていったらまた次の選手が入って。それにディフェンスがつられるじゃないですか。空いたスペースにまた次の選手が入って、そこを埋められたらまた次の選手が入って。
中西:連動して。でもそういう風にしていくとグチャグチャにならない?
巻:グチャグチャですよ。普段の練習も一応、最初はポジションがあるんですけど、グチャグチャです。
中西:それでその後どうなるんですか?
巻:そのバランスは後ろの選手がしっかり見てます。
中西:一番最後の選手が見るんだ。
巻:そうです。残った選手が。
中西:攻撃に関しては、どんどん危険なところに走って、その攻撃に加わった選手がどうケアしていくか。
巻:そうです。コーナーキックの後なんか、ディフェンスの選手がガーッと上がっちゃうんで、「上がれない」と思うときがあるんですよ、たまに。「ディフェンスに残ってなきゃ」って。それぐらいみんなもう切り替えは速いと思いますね。
中西:僕は見ていて、いつも「計算してるのかな」と思うんですけど、やっぱりしてるん
ですねすべて。バランスもすべて後ろの選手が。
巻:計算というより、普段のトレーニングから試合に限りなく近い、むしろちょっと難しいような状況の設定でトレーニングしてるんで、自然にそういうプレイが出ちゃう。
中西:たとえば同数で守ったりとか。
巻:むしろ1人少ない状況とか。
中西:数的不利で守ったりとか。
巻:はい。ひどい時には2人少ない状況で守ったりとか。そういうトレーニングをすごいやります。
福田正博
福田:すごいですね。でもトレーニングって、普段から慣れるっていうことだから、走ることに関しても体が慣れてくるし。トレーニングしてると、実際の試合でそういう状況になっても、落ち着いてプレイできるということなんじゃないの。人数が少なければ遅らせるとか、いろいろな判断が生じてくると思うけど、そうやって時間を稼いで、一瞬の危機を回避していくっていうみたいなトレーニングとか。トレーニングだからこそできるわけで、それをしていけば本当の試合でもできるようになっていくっていうことなんじゃないかな。なかなかしないけどね。
中西:そこまで自由に走っていくサッカーってあんまりないですよね。
大黒:そうですね。
中西:普通グチャグチャになったら怒られますもんね。だから、ジェフでは佐藤(勇人)選手と阿部(勇樹)選手の得点が多いですね。2列目から上がってきた選手が多いから。
巻:そうですね、けっこう多いです。
中西:2人で15点ぐらい取ってるんじゃないですか?
巻:もうちょっと多いです。
中西:阿部選手はPKとか蹴ってるので、セットプレイがあるから多いけど。そういうのも練習の中から出てきていることなんですよね。
巻:そうです。
中西:佐藤選手なんてやたら多いですもんね。鹿島の試合(2005年10月1日、カシマスタジアム、鹿島アントラーズ 2-2 ジェフユナイテッド千葉)も巻選手が落として、佐藤選手が決めた得点があったじゃないですか。ああいうのけっこう多くないですか。
巻:この間の大分戦(2005年10月29日、大分スタジアム、大分トリニータ 0-1 ジェフユナイテッド千葉)も、勇人が最終的に点を取ってますから。
中西:あれはサインプレイですか?
巻:いや、あれも本当にトレーニングの中から。セットプレイになったんですけど、普通にディフェンスの選手が上がってきている中で、スペース空けてそこをうまく使うようにトレーニングをやってるんで。
中西:あれ3人とも無意識だったの?
巻:無意識ですよ。本当にサインもなく。
中西:大黒選手、見ましたその瞬間?
大黒:見ました。
中西:セットプレイ、サインプレイっぽくないですか? 普通にやったんですか?
巻:たぶんみんな瞬時に、とっさに出たプレイだと思います。
中西:それはすごいですよ。練習しなきゃムリですよ。見ました?
福田:見たよ俺。左サイドを行ったやつでしょ。
中西:瞬時にできないでしょ? 「これやろうぜ」「じゃ1番」みたいな。
福田:でもやっぱり練習なんだね、聞くとね。
中西:そう思いました。そこまでできるのすごいと思いますよ。たとえば5番くらいまでサインプレイがあって、「そのうち今日は5番やるぞ」って決めてあるならわかりますよ。そうじゃないって、すごいと思う。普通はゴール前に蹴った方がリスクが少ないし、蹴ろうと思うじゃないですか。
巻:たぶんある程度、方程式みたいなのがあるんですよ。方程式っていうか、そういう流れが。それをみんな何回も何回も繰り返してるんで。
中西:オシムの方程式がある。
巻:そうです。
中西:たとえば空いたスペースをどう使うかとか。
巻:この前の場合だと、工藤(浩平)だったんですけどスペースを作って、そこにストヤノフ(イリアン)が走って、僕とマリオ(ハース)がファーに逃げて。
中西:そこも考えているんですか?
巻:まぁ、一応ファーに釣ろうという。
中西:自分が点を決めたいっていう気持ちがゴール前だとあるじゃないですか。
巻:特にないですよ。
中西:ない?
巻:そういう動きも・・・
中西:昔はあったでしょ?
巻:今もありますけど、やっぱりそれは状況ですよね。
中西:釣ったんですか?
巻:僕は釣ったんですけど。マリオに終わってから聞いたんですよ。「あれは俺もファーに動いた」みたいな感じで言ってたんで。
中西:佐藤選手にスペース空けるために。
巻:勇人に空けたかどうかわかんないですけども。「後ろから入ってくる選手にスペース空けた」って言ってたんで。
中西:ゴール前にいる選手はそこから点決めに行くんじゃなくて、1回離れるんだ。
巻:まぁ、あの状況であれば。
中西:ああいう状況だったら離れる。それが方程式なんでしょ。
巻:そうですね。
中西:説明できない? 体が覚えた方程式?
巻:はい。
中西:それがオシム監督にはあると。手ごわそうですけど。
大黒:すごい方程式ですね。
中西:しかも、それが連動してるからすごくないですか?
大黒:そうですね。そのへんがやっぱりオシムさんのすごいとこやと思いますし、それを意識せずに試合でみんなができるようにまで持って行ってるっていうのは監督の手腕やと思いますけど。
中西:大黒選手、ガンバには逆に「この選手は見て欲しい」という選手はいますか。
大黒:まぁ二川(孝広)とか。あと橋本くんとか。
中西:いい選手ですよね。僕、橋本選手すごく好き。
大黒:橋本くんはやっぱり、ユース時代から「橋本くん」って呼んでるんですけど、すごく危険なところをドンドンつぶしていくんで。ああいう選手がいるからガンバの攻撃も始まると思うし。そういうところがすごいなと思うんですけど。
中西:二川選手は昨日大黒選手と一緒に入りましたけど、やりやすいんじゃないですか?
大黒:やりやすいですよ。
中西:ボールが出てくるタイミングとか。
大黒:そうですね。何も言わんでも、あいつはいいボール出してくる。
中西:二川選手はいつも大黒選手のこと見てますよね。ボールを持ったときに動き出しが速くて。
大黒:はい。それもそうですけど、やっぱりあいつ自身がすごいいい選手なんで。そこを見て欲しいっていうのはありますね。
福田:なかなかいないですね。でも今、二川自身がいい選手だから見てくれと言ったけど。フォワードって受け身だからさ。ボールが出てこないと、「俺はすごくいい動きしてるのに、そっちかよ」という話になるわけよ。そういう意味じゃ、合う合わないってすごく重要なことなんじゃないの。
中西:僕は二川選手とかを代表に呼んで、もし彼が試合に出続けてちゃんと結果を出して、大黒選手と組んだらすごいなと思いますよ。昨日の試合を見てても、すぐ探すのは大黒選手のことですからね。しかも右足も左足も使えるし、ボールを失わないし。すごいいい選手だと思いますよ。西野監督もそう言ってたんですよ。「今はフェルナンジーニョとアラウージョがいるんで真ん中で使いづらい状況だからサイドになってるけど、基本的には二川選手は真ん中で使いたい」って。
大黒:あいつは能力が高いんで、どこでもできるんですよ、ハッキリ言って。サイドやれって言われればサイドもできるし。素直なんで。あいつ文句言わへんから。
中西:素直なんですか。
大黒将志
大黒:「前半右やって、後半左やって」みたいなこと平気でできる選手だから。能力が高くないとそんなことできないし。素直なんであいつ。
福田:素直ってスゴイよね。できないでしょ?
大黒:僕もやれって言われればどこでもやりますよ。
福田:いや、またそれ。
大黒:僕サイドバックとかやってましたもん。
福田:ホント? 俺もやってたことある。
大黒:そうですか。ちょっと不満でしたけど。
福田:不満だったでしょ? 俺はものすごい不満だったからね。
中西:やってたじゃないですか、サイドバック、ウィングバック。
福田:代表の最初、ウィングバックだった。でもね、何も考えないというか、そういう不満を持たないでやれるのはすごい才能だと思う。「何で俺ここなんだよ」って少しは不満に思うこともあるじゃない。そう思わないでやれるっていうのはすごい才能だと思う。
中西:勝つ自信は? プレッシャーって選手は感じてるんですか?
巻:どうなんですかね。
中西:練習してるじゃないですか、毎日一緒に。
巻:僕はとりあえずはないです。いつもどおり。全然まだ実感ないです。
中西:決勝という舞台は初めてですか?
巻:そうですね。プロになってからは初めてです。
中西:それに対してはプレッシャーない?
巻:全然ないですね。こういう場の方が緊張します。
中西:あんまり緊張しているように見えないんですけど。
巻:すごい緊張してます。プレイをやってる方が楽。
中西:オシム監督からは、決勝になったら特別なアドバイスとか出るんですかね。それとも普段どおりやれと言うんですかね。決勝に臨んだことはまだ1回もないですからね。
巻:そうですね。オシム監督の場合、心理学がすごい。
中西:選手の心理を考えてアドバイスしたりするんですか。
巻:そういう要素をたぶん持ってますね。
中西:自分で見ていて、まだ1週間前で何とも言えないですけど。みんな、決勝戦であたふたしちゃいそうな感じはありますか。
巻:それはないですね。チームの雰囲気もそんなに悪くないので。
中西:悪くないっていうか、今、12戦負けなしでしょ。
巻:みたいですね。でも、選手としては勝ちゲームを引き分けに持っていかれたり。そういうのがあるんで、勝っているというのは特にないです。
中西:引き分けなのにものすごく落ち込んでたもんね。監督はそういうときにまた怒っちゃうんですか。
巻:怒ってましたね。まぁ、でもそれはしょうがないです。
中西:今回は一発勝負で、しかも引き分けだとPK戦まであるんで、そういう意味じゃ一発で決まるんですけど。予想としてはだいたいどのくらいのスコア?
巻:スコアまではちょっと・・・
中西:僕は打ち合いになるような気がするんですけどね。
巻:お互いのいいところが出せて、それなりの結果が出れば一番いいと思います。とにかくお互いにいいところを出しあって、いいゲームをしたいですね。
中西:で、結果を出したいと。かなりチケット売れてるみたいですけど。
巻:そうですね。多くのお客さんにジェフのサッカー見てもらって、足を運んでもらえるように魅力的なサッカーをして勝てれば一番いいと思います。
中西:そしてフクダ電子アリーナに足を運んでもらいたい。いいサッカー見せたいと。
巻:はい。
中西:大黒選手どうですか。自信は当然あると思いますけど。
大黒:やっぱりジェフは強いんで。そこで僕らも自分らの持ち味出して、それで勝てればいいと思うんですけど。
中西:点を取りたいですか?
大黒:そうですね。
中西:決めて勝ちたいですよね。
大黒:やっぱり点を取ることが僕の仕事なんで。
中西:大黒選手が点を取れば、当然ガンバも勝利に近づくわけですし。
大黒:やっぱり点を狙うことによって、他が空いたりということになると思うし。ゴールを狙わなかったら相手が全然怖くないと思うんで、ドンドン狙っていきたいです。
中西:何対何くらい?
大黒:わかんないですね。
中西:僕はやっぱりお互い攻撃にいいものを持っているチームなんで・・・
福田:3-3くらいの試合してもらいたいですね。PKかなんかでね、最後どっちかがはずしちゃう。
中西:何でそう縁起の悪いことを言うんですか。
福田:だって、外すまで終わらないんだから。
中西:何でまたマイナスなことを。
福田:選手にとって最悪なんだ、あれ。誰かが涙を流さない限り終わらないんだからさ。そんな最悪のルールはないんだけども、3-3くらいで。
中西:PKどうですか? 蹴ったことあります?
巻:大学時代は蹴ってましたけど。
中西:試合中は阿部選手が蹴ってますよね。5人あったら蹴りたいですか?
巻:・・・10番目ぐらいで。
中西:キーパーの前じゃない。
巻:11人目はちょっと・・・ある意味、逆にプレッシャーかかるんで。
中西:得意じゃないじゃない? 大黒選手は?
大黒:監督が蹴れと言えば。
中西:PKは得意ですか?
大黒:いや、得意じゃないですけど。
中西:しょうがないからやろうと。10番目くらい?
大黒:何番目でも。その時出てるかどうかもわからないですけど。
中西:最後の方でね。できればPK戦になる前に決まって欲しいですけどね。
福田:いや違う、そのくらいいい試合だから長く見たいっていうことよ。延長まで行くようなね。見たいじゃないですか。
中西:じゃあ時間が来てしまいましたので、質問コーナーに行きたいと思うんですが。
客1:大黒選手にお伺いしたいんですけど、パナソニックとダイハツのCMは、ファンにとっては感慨深いんですけど。CMの秘話というか、何もしゃべらないでけっこうコストパフォーマンスはいいと思うんですけど。宮本選手と同じギャラだったらちょっとトクかなと。それと、息子がガンバのジュニアなんで、ぜひひとこと励ましの言葉を。
中西:まずCMの方から。あれは自分としてはどうなんですか?
大黒:CMを撮ってるときに、「そのままにしていてください」って。「演技とかせんでいい」って言われて。「ホンマ、素のままにしといて下さい」って言われたんで。僕はすごい楽で、ホンマそのまんまにしてただけなんで。監督さんがうまいことやってくれて、まぁいいCMになりましたけど。
中西:自分としてはどうなんですか?
大黒:「あれでいいんかな」っていうのがちょっと心配になりましたね。やってるときに「これでホンマに車売れるのかな」とか。
中西:僕は、昔からサッカー教室とかで知ってますけど、大黒選手ってけっこうしゃべる人間じゃないですか。今日だってけっこうしゃべってるじゃないですか。
大黒:そうですね。聞かれたら答えるっていう。
中西:みんなけっこう大黒選手ってしゃべらないっていうイメージなんですよ、きっと。だから、ああいうCMになったんだと思います。
大黒:ツネさんとの1回目のCMがあんな感じだったんで。
中西:パナソニックのナビのCM?
大黒:はい。あれもみんなに言われましたね。「『はい』だけやんけ」「『はい』って何やねん」って。
中西:あれは自分としては納得してるんですか?
大黒:そうですね。でも、「はい」って言うのにけっこうミスりましたからね。メッチャ緊張して、なかなか「はい」が言えなくて。脇にダーッとすごく汗かいて。「はい」がなかなか言えなくて、初めての時は「CMって大変やなぁ」って思いました。
中西:「はい」でNG出したっていうことですか?
大黒:そうですね。僕が「はい」って言わなあかんのに、言わないからみんなずっこけたり。「お前やぞ」みたいな。
中西:では、息子さんにメッセージを。
大黒:僕もジュニアからガンバに入ってずっと上がってきたんですけど。僕らのときは、まだトップに上がることが目標だったんですけど、それもまずは一番大事なことですけど、それ以上に今の時代は世界をめざして頑張ってやっていって欲しいと思います。
客2:お二人に質問なんですけど、もし世界的に有名なプレイヤーと組めると言われたら、誰と組んでみたいですか。
中西:おお、いい質問ですね。すばらしい。巻選手は?
巻:いっぱいいすぎて。
中西:瞬時に言われたら考えますよね。誰かな。タイプはポストプレイヤーじゃないですよね。誰なんですか? シェフチェンンコ(アンドリー、イタリア・ACミラン、ウクライナ代表)?
巻:そうですね。俺、今言おうと思いました。
中西:あと誰か他にいませんか? ロナウド(スペイン・レアル・マドリー、ブラジル代表)とかはどうですか。
巻:すごいですね。
中西:他に誰かいないですか。フォルラン(ディエゴ、スペイン・ビジャレアル、ウルグアイ代表)? リカルド・オリベイラ(スペイン・ベティス)?
巻:スゴイですね。
中西:あとはアンリ(ティエリ、イングランド・アーセナル、フランス代表)じゃない? 合うのは。
巻:まぁそのへんです。
中西:いつかやれるといいですね。フレンドリーマッチとかチャリティーマッチとかね。
巻:自分がそこまでのレベルに達するように頑張ります。
中西:大黒選手は?
大黒:そうですね、一番やりたいのはやっぱりシェフチェンコですね。でも、さっき出たんで、インザーギ(フィリッポ、イタリア・ACミラン)。
中西:おお。
大黒:あとビエリ(クリスチャン、イタリア・ACミラン)のあのゴリゴリしたのを間近で見たいですね。だから、3トップで、僕はあの二人の動きをボケッと見てみたいなっていうのがあるんですよね。
中西:で、おいしいところを持っていく。
大黒:おいしいところはやっぱりインザーギ。
中西:確かに。
大黒:でも、彼はやっぱりおいしいところを持っていくとか言われますけど、すごくいい動きをしてるんで。大好きです。
中西:手本にしている選手とかいます? オフ・ザ・ボールの動きとか見たりしてます?
大黒:見ますね。でも外国人はみんなうまいんで、すごい動きしてますね。
中西:手本にしてる選手とかいます?
誠一郎
巻:代表チームで大黒の動きとか見ていて、動き出しって大事だなと思って、すごく意識するようになりました。
中西:本当に、オフザボールの動きとかうまいですからね。
大黒:いえ、あんまり・・・もっともっとうまくなりたいです。
中西:あとは決めることですか?
大黒:そうですね。それが一番大事なんで。何のためにそんなことをしてるかって、点を取るためにしてるんで。
中西:やっぱりこの二人がゴールを決めると、ナビスコカップ決勝も盛り上がると思うし。
福田:じゃないと3-3にならないと思うよ。2点ずつくらい決めてもらって。
中西:間違いない。福田さんの予測どおりにならないですからね。
福田:そのぐらいの力は充分あるし、普通にやってればそのぐらいの結果はついてくるんじゃないですかね。
中西:あとは来年、二人とも代表でワールドカップに行ってもらって、本大会で点を取って欲しいです。
大黒:行けるように頑張ります。
巻:僕も頑張ります。
中西:行けると思いますよ、ターゲットマンが誰もいないんだもん。期待してます。ということで、大黒選手と巻選手は帰らなければいけないので。
司会:今、井原さんが到着しました。皆さん大きな拍手でお迎え下さい。
井原:こんばんは。遅くなってすみません。
中西:福田さん、シカトしてる。
井原:冷たいね。
司会:両選手には、最後にひとこといただきたいと思います。
中西:どうでしたか今日のトークショーは?
巻:緊張しました。
中西:こういうことをしていくことによって、サッカーに興味を持って下さる方が増えると思いますしね。決勝に向けて非常に楽しみだと思います。
巻:そうですね。本当にお互いのいいところを出し合えば一番いいと思いますし、ジェフが勝てば最高ですね。
中西:試合の後わざわざ残ってもらいましたけど、どうでしたトークショーは?
大黒:すごく楽しかったです。ジェフの練習のやり方もいろいろ聞けて楽しかったです。
中西:また出てくれますか?
大黒:はい。
中西:あとは決勝ですけど。
大黒:やっぱりここまで来たら勝たないと意味がないですし、頑張ります。ありがとうございました。
司会:お二人に大きな拍手をお送り下さい。ありがとうございました。
会場:拍手

後編へつづく

取材・構成:CREW
撮影:新関雅士