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'05年12月8日(木)、青山ベルコモンズにて開催された「ぴあトークバトルスポーツ快楽主義Vol.48」。「どうなる!? FIFAクラブワールドチャンピオンシップ トヨタカップジャパン2005」をテーマに、激論が交わされたトークの模様を完全レポート!

『ぴあトークバトル スポーツ快楽主義2005Vol.48 どうなる!? FIFAクラブチャンピオンシップ トヨタカップジャパン2005』

特別協賛: TOYOTA
協賛:クレディセゾン
協力:日本テレビ放送網(株)

青山ベルコモンズ クレイドールホール

前編

<ホスト>
中西哲生(スポーツジャーナリスト)
'69年、愛知県生まれ。同志社大から'92年に名古屋グランパス入り。'97年に川崎フロンターレへ移籍してからはキャプテンをつとめ、'00年にはチームをJ1昇格へ導いた。Jリーグ通算95試合7得点。現在はスポーツジャーナリストとして「ニュース23」(TBS系)、「GET SPORTS」(テレビ朝日系)などに出演中。

<ゲスト>
北澤豪(サッカー解説者)
'68年東京都生まれ。修徳高校から本田技研を経て'91年読売クラブ(現・東京ヴェルディ1969)へ移籍。Jリーグ初年度の'93年と'94年の優勝メンバー。日本代表としてもフランス「W杯」出場に貢献した。'03年に引退。現在は月曜日の「スポんちゅ」(日本テレビ系)に出演する他、日本サッカー協会国際委員、JFAアンバサダーとしてサッカーの発展・普及につとめている。

武田修宏(スポーツ解説者)

'67年静岡県生まれ。'86年清水東高から読売クラブ(現・東京ヴェルディ1969)入り。'01年の引退までにジュビロ磐田、京都パープルサンガ、さらにパラグアイの名門スポルティボ・ルケーニョなど延べ7チームでプレーした。Jリーグ通算237試合出場94得点(歴代4位)、日本代表通算18試合出場1得点。現在は各メディアで活躍し、JFAアンバサダーも務める。

司会:みなさんこんばんは。今日は「ぴあトークバトルスポーツ快楽主義 VOL.48」へご来場いただきまして、本当にありがとうございます。本日イベントナビゲーターを努めます日本テレビアナウンサーの炭谷宗佑です。どうぞよろしくお願いいたします。
会場:拍手
司会:いよいよ開幕が今週末、3日後に迫って参りました、地球一のクラブを決める「FIFAトヨタカップクラブ選手権」。本日は今大会のオフィシャルブロードキャスター、日本テレビで解説を努めていらっしゃいます武田修宏さんと北澤豪さんのお2人、さらにスポーツジャーナリスト中西哲生さんをお迎えして、大会の見どころ、そして注目選手、さらには気になる優勝予想など、たっぷり語っていただきたいと思います。さあ、お待たせしております。それではさっそくスタートいたしましょう。「ぴあトークバトルスポーツ快楽主義 VOL.48」このイベントは、トヨタ自動車株式会社特別協賛、株式会社クレディセゾンの協賛でお送りいたします。さあ、それではさっそく本日の進行役をご紹介しましょう。スポーツジャーナリスト中西哲生さんです。
会場:拍手
司会:さあ中西さん、いよいよ今年のトヨタカップもあと3日というところまで迫って参りました。かなりワクワクしているんですが、中西さん、いかがですか。
中西:毎朝「ズームイン!」で6時10分ぐらいからお伝えしています。
司会:ということは、朝起きるのは4時くらいですか?
中西:明日も3時45分に起きます。明日っていうか、もうすぐ。
司会:もうすぐですけど。
中西:毎日コーナーやってて、試合のことは「あと1週間だな」と月曜日くらいから思ってたんですけど、今日とかは「あぁ、もう始まるんだな」という感じでしたね。
司会:そうですね。物理的に寝られないのと、盛り上がりで寝られないのとありますよね。
中西:物理的に寝られないんですけど。
司会:そうですか。ただ、今年からちょっと大会形式も変わって参りまして。
中西:そうですね。今までは1試合しかなかったじゃないですか。1試合しかなくて、チケット買えない、チケット買えないって。僕も観に行きたくても行けないみたいな、そういう時期もありましたけど、今回はけっこう試合がたくさんあるんで、いろんな試合を観られますし。基本的にはヨーロッパと南米が強かったんで、その2チームで世界一を決めてたんですけど、今回からは6大陸、全世界、地球一をかけて争うということになったんですけど、これは僕らにとっては嬉しいことですね。観られる試合が多くなったということで。
司会:今回から、アジア、アフリカ、オセアニア、北中米カリブということで。ただやはり、プレミアリーグとかは観られるかも知れませんが、我々があまり知らない大陸ですからね。
中西:アフリカとアジアもけっこう強いと思いますけど。
司会:そうですか。開幕戦ですけど。そのあたりも、あとでたっぷりうかがっていきたいと思います。まず大会形式なんですけど、もともとは1960年、ヨーロッパチャンピオン、そして南米チャンピオンが対戦する、インターコンチネンタルカップとして始まったのが大会の最初でございます。ただ、サポーターの過剰な盛り上がりとかで、中立国日本で行われるようになりました。そして、1981年からトヨタカップがスタート。ここからが一発勝負になったわけですね。25回行われましたが、中西さん、印象に残っている回はありますか?
中西:僕は雪が降ってボールがパンクしたとき(1987年第8回大会、FCポルト2-1 ペニャロール)ですね。あんなのあり得ないですよ、世界一を決める試合でね。今だったらボールが転がらなかったら、試合は延期されちゃうんですけど。雨の日でも、ちゃんとボールが転がらない試合は延期になりますからね。あの試合はいまもちょっと印象に残っています。
司会:結果的に25回行われまして、ヨーロッパが13勝で南米が12勝。
中西:よく覚えてますね。
司会:勉強して参りました。ただ、他の大陸にもチャンスが巡ってきたましたが、ヨーロッパといっても意外と南米の選手が混ざるようになったり。
中西:まぁそうですね。W杯だと各国の選手しか出られないけど、クラブチームは外国人枠がありますから、いろんな選手を呼べるわけですよね。世界的に見ても地域格差がなくなっていると思うんです。そういった意味でも、僕はW杯よりも違う地域にチャンスのある大会かなと思うんです。
司会:W杯に比べても遜色のない大会という捉え方でいいんでしょうか。
中西:基本的に、W杯に出てくるチームっていうのは1年に1週間か2週間しかまとめて練習できないチームですから。それを考えると、毎日一緒に練習しているチームほどコンビネーションはないですからね。サッカーの質に関しては、僕は同レベル、もしくはそれよりも上の可能性もあると思います。
司会:その6チームを、今日はしっかりと紹介していただきますが、まずはここで本日のゲストをご紹介しましょう。武田修宏さん、そして北澤豪さんです。
会場:拍手
司会:それではまずお2人に一言ずつ。この大会に向けてあと3日ですが、今の心境を聞かせてください。
武田:今日このトークバトルが終わったら、最終の新幹線で名古屋に行って、明日デポルティボ・サプリサとシドニーFCを取材に行くんで、モードはもう開幕してます。
中西:武田さん痩せましたね。
武田:僕はいまS級監督の合宿行ってるんで。ちょっとお腹がへっこみました。
司会:拍手が起こってますけど。
中西:半年ぐらい前に会ったとき「武田さん、大丈夫ですか?」って感じでしたもんね。
武田:そうなんです。
中西:「恰幅いいな」っていう感じで。
北澤:らしくなってきましたよね。
中西:現役時代は痩せ過ぎだったじゃないですか。いまは現役時代と変わらないんじゃないですか?
武田:変わらないですね。シドニーFCで「試合に出ろ」って言われたらすぐやれちゃうくらい。
中西:おっと。カズさん(三浦知良)とツー・トップで。
武田:よろしくお願いします。
司会:北澤さんもかなりVTR はじめ、研究が続いているということなんですが。
北澤:皆さんもわからないことがたくさんあるんじゃないかなと思いますし、3日前になったので、いい情報がお伝えできればなと思います。
中西:そうですね。今日ここで話を聞いて、本大会が楽しみになるといいですね。
北澤:恥ずかしいことは全くありません。第1回なんで、どんな大会なのかっていうのがわからなくて当然だと思うので、みなさん一緒になってどんな大会で、どういうチームかっていうのをわかっていただければ、いい8日間を過ごせるんじゃないかなと思います。
中西:最初ですからね。ここからスタートですからね。
北澤:はい。
中西:それを今日、お昼の「午後は○○ おもいッきりテレビ」で言ってましたもんね。
会場:笑い
中西:「ズームイン!」が終わって家に帰ってきて、あまりに眠くて寝たんですよ。で、起きたら「午後は○○ おもいッきりテレビ」でみのもんたさんが出ていて、「あれ、北澤さんかな?」って。半分寝ぼけてるじゃないですか。「北澤さんが『午後は○○ おもいッきりテレビ』に出るわけない、出るわけない」。僕はあり得ないと思ったんですよ。
北澤:いや、そういった層の方にも、サッカーを楽しく観られるような状況を作ろうかなと思って。でもあのスタジオのお客さんがいるじゃないですか。みのもんたさんに釘付けね。
中西:すごいよ。あの人たちみのもんたさんを見る目がもうハートになってるでしょ。
北澤:すごいね。俺、全く目合わず。
会場:爆笑
中西:ストライクゾーンじゃないんだ。
北澤:全然違うのかも知れない。
中西:でもね、見ていてやっぱり違和感ありましたよ。
北澤:そうですね。
中西:もっと違和感あったのは、上戸彩ちゃん。
武田:朝見た。
北澤:彼女も来てくれて、1日中テレビジャックしてましたけど。非常にサッカーを素敵に観てますよね。
司会:そう。サッカーゲーム大好きで。さあ、北澤さん、どうぞよろしくお願いします。
北澤:よろしくお願いします。
司会:これから2時間、たっぷりと6チームの研究、そして初回となりましたこの新しい大会、みなさんには勉強して帰っていただきたいと思います。それでは皆さん、よろしくお願いします。
会場:拍手
中西:2時間たっぷりですから。どっかりと腰をおろして。
武田:2時間?
中西:2時間です。
武田:大丈夫かな。
中西:まず最初に話をしたんですけど北澤さん、トヨタカップ自体が新しくなったということについてはどうですか。
北澤:どこかのきっかけでこういう形を作りたかったんじゃないかと思うんですよね。今までは皆さんご存じのように、ヨーロッパと南米の2チームで決勝を行っていた。というのは、レベルが世界の中で突出していたから。
中西:そうですね。その2つの地域は圧倒的に強かったですからね。
北澤:うん。ワ-ルドカップを観てもらってわかるように、毎回毎回決勝トーナメントに上がってくる国が変わってきているということは、世界の構図が変わってきているっていう証拠なんですよね。
中西:ワールドカップの決勝トーナメントに残るチームもアフリカ勢が増えてきましたしね。アジアのチームも上がったりしてますしね。
北澤:ということは、全大陸を合わせての世界一、地球一を決められるレベルになってきたのかなと。だから世界のサッカーが拮抗してるっていうことですよね。それが今回のタイミングであると同時に、またその大会が日本で行われるということは、すごくいいことだと思う。日本で行われるというのは、日本がサッカー国になってきたという部分も感じてっていうことですね。でも、さっきも言ったように始めてのことなので、わからないことが多いんですよね。
中西:そうですね。実際問題どうだっていうのがね。僕らもまだわからないし。前は一発勝負の試合だったので、何日か前に来て。いつも南米がちょっと早く来て、ヨーロッパが本番ギリギリに来て「大丈夫かな?」というイメージしかなかったんですけど。今回はもう、最初に試合するチームは早く来てるじゃないですか。
北澤:早いですね。ここでクラブチーム、大陸の代表が優勝していくと、この大会が終わった後には、今まで言われていたヨーロッパとか南米とかの立場が引っくり返る可能性がありますからね。
中西:プライドを賭けた戦い。
北澤:選手たちの間で、「おまえの国はワールドカップで何位だった? うちの国は優勝してるんだ」と言われてしまうと、格付けされちゃうんですよ。
中西:4年間はそれで黙ってなきゃいけないですからね。特にワールドカップで強い国のサポーターはそう言いますよね。
北澤:そう。日本のクラブチームにも、ブラジル人がいるじゃないですか。いろんな討論になって、「じゃ、お前の国はワールドカップで優勝したことがあるのか?」って。
中西:僕も言われたことある。
北澤:「すみません」って。すごく威張ってますけどね、そういう点で。それがもう実力主義であって。今回、アジア大陸のアルイテハドっていうチーム、アフリカ大陸のエジプトのアルアハリっていうチームなんかはチャンスだからね。いろんな戦略立ててますからね。
中西:武田さん、クラブチームは代表チームと違って毎日練習できるわけじゃないですか。そのあたりのコンビネーションって、代表チームにまさる部分ってかなりありますよね。
武田:そうですね。今回僕はコスタリカのデポルティボ・サプリサをメキシコに取材に行きましたけど、同じメンバーで2、3年やってますし。ほとんど国内チームということで、代表のメンバーよりは非常にコミュニケーションも取れますし、非常にいいチームです。そういう意味で今回クラブチーム世界一ということで非常に楽しみにしてますし。実際僕もコスタリカとメキシコのクラブチームの決勝観たり、テレビでこの間やったアフリカの決勝観たり、アジアの決勝もテレビで観ましたけど、想像以上にレベルが高いです。横浜F・マリノスが予選でアルイテハドに負けましたけど、やっぱり負けるなっていうくらいの本当に強い相手だよね。ぜひ今回、開幕戦もそうなんですけど、観たいですよね。本当にすばらしい試合をすると思うし。例えば今回はアフリカ、北中米っていうのはレベルが高いですよ。特に、17歳以下の大会でメキシコがブラジルを破って優勝していますし、非常にレベルが高くなってますから。その辺のサッカーのレベルっていうのを知ってもらいたいですね。日本にいるといろんな情報が入ってきて、何でも知っているような錯覚に陥ってしまうんですけど、僕も向こうに留学しているときに向こうから日本のことを見ると、北澤さんが言ったように「まだまだ日本のサッカーってうまくない」って認めていないわけです。だからこそ、本場のトーナメントということで、親善試合でもなければプレシーズンマッチでもない、ガチンコ対決。僕は非常に楽しみにしてますね。
中西:いま日本のチームの話が出てきましたけど、まず僕らとして残念なのは、日本のチームが出てないことなんですけど。やっぱりジュビロ磐田も横浜F・マリノスも早めに姿を消してしまったじゃないですか。そのあたりについて、原因はどのへんにありますか。
北澤:よく言われていることは試合数の多さだったりするけど、出場を決めたアルイテハドだって、たぶん年間70試合くらいしてるんじゃないのかな。リバプールだって同じくらい試合してるでしょうね。タフさっていう部分では、世界基準に乗っかっていかないといけないんじゃないかと思いますね。
中西:そうですね。試合数は、まだ日本は圧倒的に少ないですね。
北澤:もちろん大変なんですけどね。毎回1週間に2試合していくっていうことは。ただ、それが出てきたチームの圧倒的な強さなのかな、アジア代表の。
中西:アルイテハド。
北澤:サッカーとしては日本と同じようなスタイルを組んでますよね。3ラインをきちっと取って、ゆっくり攻めるのか、早く攻めるのかっていう。すごく日本のクラブチームに近いんじゃないかなっていう印象があるよね。僕は優勝できないことはないなって見た。ただやっぱり、爆発的な力だったり、フィジカルの強さだったりとか、そういう差はやっぱりあるのかなっていう気はしたけどね。
中西:日本のクラブチームが勝てなかった部分っていうのは今言ったような、基本的な部分では同じなんだけど、それ以上に全体的なにレベルが上だったと。
北澤:あと、「絶対にアジアでチャンピオンになる!」っていう意気込みがすごいよね。アジアって世界的に見ると、どうしてもランク付けされると下の方にある。ただ、今回の大会に出れば、優勝のチャンスもあるわけじゃない。またあとで話したいけど、サウジはお金があるからとんでもない補強を考えたりとか。
中西:お金の使い方がすごいですからね。
北澤:そういうロマンみたいなのが、サッカーチームにはあって欲しいなっていうのはすごく感じることなの。
中西:言い方は悪いですけど、日本のJリーグは当然大事だし、Jリーグで勝つことも大事にしたいじゃないですか。でも、こういう大会ができたら日本のチームにアジアのチャンピオンになって欲しいじゃないですか。日本のチームがアジアで勝つためにどうするかっていうことを考えて欲しいなって思うんですけど。武田さん、どうですか。
武田修宏
武田:この間、田嶋(幸三、日本サッカー協会技術委員長)さんともそういう話をしていたんですけど、日本はJリーグの予定がすごく優先していて、その日程はどうしても変えられないんですよね。ヨーロッパやブラジルなんか、チャンピオンズリーグなんかで予定を変えるじゃないですか。変えてそっちを優先しながら戦っていくから。その辺のスケジュールの面で、リーグの試合があってアジアクラブ選手権が入ってきたときに、そっちを優先できないスケジュールの問題もあるっていうことは、北澤さんが言ったように、サウジとかは国家を挙げてこの大会に賭けるんだっていう意気込みが違うのかなって。本当にこの大会の前身の大会の時は。僕は読売クラブ(現・東京ヴェルディ1969)時代に優勝したことがあるんですけど、古河電工(現・ジェフユナイテッド千葉)も優勝してましたし。昔は中東とか、他のクラブはそんなに力入れてなかったんで。でも、最近は本当に力をつけて、マネーの力でやってたりするんで、アジアも本当に意気込みを持ってやらないと難しいと思いますね。
中西:今シーズンは横浜F・マリノスとジュビロ磐田が出場して、来シーズンはガンバ大阪と東京ヴェルディ1969なんですけど。この話題に触れずにはいられないんですけど、いいですか? どうですか実際問題。自分がいたチームですけど。言うなればですよ、僕は当時、名古屋グランパスにいましたけど、絶対勝てなかったんですよ、ヴェルディにあの当時は。2,3年に1回勝てるくらい。圧倒的に強かったじゃないですか。それが今年J2に落ちることになったじゃないですか。どうですか。
北澤:ありがたく、会場に当時のユニフォームを持ってきて下さった方がいらっしゃいますけど。
中西:懐かしいですね。僕はあまり見たくないですけど。
会場:笑い
北澤:落ちたことは、当然OBとしてすごく寂しいことだと思うし。これをいい機会に、いいチームとしてまJ1に帰ってくる必要もあるだろうし。すぐまたチャンスがあるわけだから、アジアチャンピオンズリーグの。もちろんもう一つの目標として1年でJ1に上がるっていうことも。2本あるっていうのは相当大変なことかなと思う。
中西:大変ですよね、チャンピオンズリーグとJ2を戦って。しかもJ2は44試合だったんですけど、また増えるじゃないですか。愛媛FCが入ってくるんで。
北澤:けどね、落ちるか優勝するかなんて、絶対にあることなの。そこのリーグに所属してれば。それがサッカーの面白さでもあるだろうし、怖さでもあるわけ。こういうことをやっぱりしっかりと認識してやらなきゃいけないだろうし、選手ももっとクラブが進んで、時代が進んでいる中で必要な、時代に合わせたサッカーを展開していかないと勝てていけないっていうことはわかってることだよね。それは世界のサッカーを見てれば、進み方はわかるわけじゃないですか。何が主流になってて、守備的なのか攻撃的なのか、何が必要とされているのかっていうのは。どこの試合を観ていても、たぶんそれは感じることだと思うよ。そういうのが少し欠けてると、そういったところで歯止めがきかなくなってそういう結果になるっていうことだよね。今回の大会も、優勝候補として絶対的な本命があるわけじゃないですか。リバプールFCとサンパウロFC。でも、わかんないよね。これホーム&アウェイでやったらやっぱり有利。強いよ。ただ一発勝負っていうところに魅力があって、しかも順位が付けられる。
中西:第3国ですからね、しかも。
北澤:1位から6位まで順位が付けられてしまう。3位決定戦もあれば、5位決定戦もある。そんな大会なんて聞いたことがないからね。
中西:そこまで優劣つけなくてもいいんじゃないかと思いましたけど。
北澤:ということは、どの大陸が1番であり6番であるかが出るっていうことは、相当やる選手たちやチームにとってはプレッシャーがあるわけです。
中西:ですよね。それはそう思いますよ。さっきも言ったように、プライドを賭けた戦いなんですけど、そのヴェルディも来年出ますけど、どうですか? キツイでしょう、まず。
武田:都並(敏史、前ベガルタ仙台監督)さんを監督にしたら?
中西:武田さんもいまS級に行ってて、もうすぐ取れる可能性があるじゃないですか。武田さん、やりたくないですか?
武田:……
中西:やりたくないですか? 僕はフロンターレの監督やりたいですよ、自分で。
武田:あの……どうなのかな。
会場:笑い
中西:じゃ、S級は何のために受けてるんですか? ヴェルディはイヤなんですか?
武田:いや、やるからには責任がありますし、ある程度自分の中の考えもありますけど。やりたくても監督っていうものは向こうが選ぶもので自分で判断できるものじゃないし、向こうが本当に「やって下さい」っていう気持ちと、こっちがやりたいっていう気持ちがないと。例えばラモス(瑠偉、柏レイソルコーチ)さんがヴェルディの監督やって「タケ、今来い」って言ったら、僕仕事全部辞めて行きますよ、ヴェルディに。それぐらいの気持ちはありますけど、それなりの情熱とか、そういうものがないと。「どうする?誰にする?」っていうような感じだと、僕はやりたくないですし。ちょどヴェルディがJ2に落ちたときに、カズさんのお兄ちゃんのヤス(三浦泰年、ヴィッセル神戸チーム統括部長)さんとS級コーチの合宿で帰りながら、車の中でヴェルディが落ちたっていうのを2人で携帯で3-1 、4-1 、5-1 ・・・ってやってて。読売クラブに一緒に入ったのが三浦ヤスさんで、ちょうどヴェルディがJ2に落ちたときにヤスさんと話していて、やっぱり選手がプロなんだから、フロントも情熱を持っている人がいたら、僕らももう1回やりたいなっていう気持ちはありますよね。
中西:僕はやっぱり、都並さんもラモスさんもいるし、武田さんも北澤さんもそうだしOBの人がやった方がいいんじゃないかと思いますけどね。
北澤:そういう財産はすごく持っているチームだと思うし、それぞれが考えているんじゃないですか。現実にやるかどうかはわからないけど、たぶんみんな「何とかしたいな」と思っているはずだと思う。それがクラブの伝統だと思うし、チームカラーっていうか、大切な部分じゃないかと思うんだけど。武田さんもそうだろうし、俺もそう。もちろん、オファーがあるかないかっていう問題はあるにせよ、「俺だったら、こうするな」っていうのはずっと思って来ているわけだから。武田さんだったら、ラモスさんだったら、今のヴェルディこうするだろうなっていうのは、たぶんそれぞれが持っていると思う。
武田:今回こういう大会があって、いろんな世界のクラブチームが来て、クラブチームを持つっていうのはすばらしいんだなって再認識するんじゃない? J2に落ちてもクラブのチームって大事なんだなっていう。世界にはいろんなクラブチームがある。そういうチームが夢を与えてきて、大事なんだなって思うな。
北澤豪
北澤:前の話になるけど、僕もフランス・ワールドカップの選考でスイスまで行って外されたときに、ずっと「自分には日本代表しかない」っていうか、もちろんすごくあのときはワールドカップに出たいからそういう頭でいたんだけど。それを外されたときに、居場所がなくなったような感じがしたの。ただ、人から「ヴェルディに帰って練習がどうのこうの」って言われたときに、すごく自分の元の家みたいな気がして。クラブチームの大切さっていうのをすごく感じたの。だからこういった話もそうだろうし、今回の大会を観ることによって、本当にクラブチームだっていうことが原点にあるっていうこと、そしてチームとして成熟できるっていうことを理解してもらえると、相当盛り上がれるんじゃないかな。相当見どころがいっぱいあるんじゃないかなと思いますけどね。たぶん、それぞれの選手も感じていると思いますね。
中西:さあ、この大会の方なんですけど、今回残念ながら日本は出られませんが、来年に夢は託して、一日も早く日本のチームがこの大会に出てくれると嬉しいんですが。第1戦、開幕戦が日曜日。すぐ近くの国立なんですけど、アルイテハドとアルアハリ。
武田:ホント、キーちゃん、面白いよね。
中西:この試合は僕も、サッカー玄人的には相当面白いと思いますよ。
武田:解説やピッチじゃなくて、生で客席でしっかり観たいですよ。
北澤:会場にいらしている方で、この試合に行こうと思っている方。国立のアルイテハド対アルアハリ。
北澤:何人かいらっしゃいますね。ありがとうございます。
中西:恐らく情熱はみんな変わりないかもしれないですけど、この大会にかける意気込みはこの2チームが一番あるかもしれないですよね。
北澤:実際にアジアの代表で出たチームだから、俺はすごくイヤだったの、何か。敵対心あるわけ。「サウジ? 何だよ」みたいなのがあって。「アフリカ? エジプトだからどうなの」って思ってたの。「そんな大したことないんだろうな」とか思ってたんだけど、決勝を観たの、立ち上がりを。そうしたらもう画面に食い入ったもん。
中西:動きが違いますよね。
北澤:すごいサッカー展開してるのね。「もしかしたら、これって近代サッカー?」って思うもん。新しいサッカーなのか、クラシカルなサッカーなのかそれがミックスされてるのね。聞けば、今、55戦無敗? その意味がわかるくらいチームスタイルが出てるんだよ。アルアハリはエジプトの代表なんですけど、優勝する可能性十分あるよ。
中西:やっぱり55戦無敗はダテじゃないですよね。
北澤:55戦負けてないって、じゃんけんでも難しいよ。それが、試合だよ。
中西:いや本当に体、違いません?
北澤:強い。フィジカルがしっかりしてる。みんななんかこう、下半身が長谷川健太(清水エスパルス監督)さんみたい。ガチッとしてて。
会場:笑い
中西:わかる人はわかりますけど、わかんない人は全然わかんないですよ。ガチッとしてて、地面に根が生えてる。
北澤:そう。だから、ちょっとやそっとの横の当たりでも全然大丈夫で、ミドルシュートとかも正確。強烈なわけ。
中西:スゴイですよ。
北澤:22番のアブータリカっていう選手なんですけど、本当うまいですよ。俺、長谷川健太さんかと思ったもん。
中西:また・・・長谷川健太さん右サイドじゃないですか。
北澤:そんな感じなのね。しかも負けないっていうことは、守備がすごく堅そうな感じがするじゃないですか。
中西:そういうイメージ持つ人多いですよね。堅守速攻! みたいなね。
北澤:そうじゃないの、超攻撃的なの。
中西:そこがやっぱり魅力的ですよね。
北澤:でね、決勝のときかな、攻めてるのにコーナーキックが1本しかなかったの。意味わかんないでしょ?
中西:意味わかんない。
北澤:相手陣内で攻撃をするんだけど、3-5-2 システムで、すごくワイドに開いてくるのね、外は。それは当然じゃないですか、20人くらい片方のエリアに入ってしまうわけだから。
中西:攻めっぱなしですからね。
北澤:そうそう。外に開いてるから、外でボールもらったら縦に突破してクロスボール上げようとするじゃないですか。行かないんだよ。中に行く。グーッと。
中西:あぁ、ドリブルでね。
北澤:ポジションを入れかえしながら、あらゆるポジションチェンジがあって、ドリブルは取られないし、相手が来たら働くし。逆の方に向かったりとか。「おい、どっち攻めてんだ?」っていうシーンもあるわけ。すごくゆっくり攻めたりとかするんだけど、そういうふうにしてる間にゴール前にスキがあった瞬間、スポーンと早いボールが入って、ズドーンとヘディングで決めちゃったりするわけ。スキがないわけ。
中西:そういうサッカーを東京でも見せられますかね?
北澤:いや~これね、結構こういう大会になると固くなると思うんだけどぜひやってもらいたいと思うし、たぶんずっとどんなときでもこのサッカーを貫いてきたと思うんだ。
中西:55戦負けてないっていうことはね。
北澤:だからある程度のスタイルは変わらずに来るんじゃないかと思うんですよね。
中西:あと、自信はすごく持ってるでしょうね。
北澤:負けてないっていうことで、自分たちのやってることは間違っていないというのはあると思うね。
中西:監督(マヌエル・ホセ)だって記者会見で「優勝する」って言ってましたよ。
北澤:監督はポルトガル人なのかな。多少ポルトガル語が話せる選手がいたりっていうのもあって。ただ、これはもしかしたら、新しいサッカーっていうのが発見できる現場になるかも知れないね。
中西:サッカーっていろんな時代で変わっていくんですけど、流行もあるし、ワールドカップで流行ったシステムが世界的に流行ったりとか、いろいろあるじゃないですか。今はもう世界中至るところで違うサッカーが行われていて、その地域の特徴が出てますね、北澤さん。
北澤:そう思う。
中西:アルアハリのサッカーなんて、僕なんかエジプトスタイルか何かわかりませんけど、アフリカのスタイルなのかも知れないけど、別に身体能力が売りじゃないですよね。
武田:セネガルとか、ナイジェリアとか、カメルーンみたいなパワーじゃないんですよ。エジプトはヨーロッパに近い。ヨーロッパの組織のサッカーやるね。
中西:洗練されてますよね。
武田:だから違うんですよね、全くサッカーが。
中西:だから観ていて、ひとりのいい選手がドリブルでガーッと持っていって、人を抜いてシュートするとか、でかい選手がいて跳躍力があってヘディングシュートを決めるとか、そういうサッカーじゃないですもんね。
武田:違うんですよね。
中西:要するに、みんながどういうことをやりたいか、まず理解した上でボールを回していて保持して、どうやって点取るか、どうやって守るかっていうことを理解しながやってますもんね。
武田:だから観てると変わりますよね、アフリカのサッカーのイメージが。
北澤:実際やりたいサッカーなんでしょう。ずーっと攻撃してるというサッカーというのが。けどあれって、個人の能力がなければできないし、チーム戦術としてベースがしっかりしてないとできないでしょ、あれって。逆にやられちゃう。結局攻めてるときはいいけど、ボール取られた瞬間に自分たちのポジションが定まってないからやられちゃう可能性がある。
中西:そうですね。いちばん攻めてるときってボール保持していて、隙があるっていうイメージだもんね。
北澤:逆に言えばね。裏返しになるわけだから。それも整えながら攻撃しているわけよ。だから55戦無敗なんだよ。
武田:そうなんだよねぇ。
中西:武田さんどうですか、アルアハリって。
武田:今言ったような要素はアフリカの身体能力じゃなくて、しっかりとパスをつなぎながらのサッカーですよね。北澤さんが言ったんですけど、エジプト代表の選手が2人にいるんですけど、本当にうまいです。この間観ていて、僕もいいなと思いましたし。逆にまたアジアのアルイテハドもルーマニア人の監督(アンヘル・ヨルダネスク)で、ルーマニアがワールドカップでベスト8とベスト16に入ったときの監督ですけど、アジアで2連覇してますし、非常にしっかりとしている。センターフォワードにカロンっていう選手が来てますから、これは本当に楽しみですね。
北澤:シエラレオネだっけ? アフリカの。
武田:よく覚えてるね、キーちゃんそんなの。
中西:アルイテハドは、サウジアラビアのチームですけど、北澤さん、サウジアラビアのチームと対戦したことあります?
北澤:代表とはあるけど、クラブチームとはないね。ただ、このアルイテハドは、守備陣ほとんどサウジアラビア代表なんだ。だから、ワールドカップ予選でも失点も少なかったし。この間AFC で年間優秀選手だっけか、中村(俊輔、スコットランド・グラスゴー・セルティック)と中田(英寿、イングランド・ボルトン・ワンダラーズ)を抑えてアジアのMVP だったのは、モンタシュリっていうディフェンスの選手なんですよ。ディフェンスの選手がそういう賞を獲得できるって、本当にズバ抜けた能力を発揮できてないと、なかなかもらえないポジション。
中西:そうですよね。ディフェンスで比較的みんなで守って、ひとりが際立つようなディフェンスだと絶対もらえないですからね。
北澤:この選手がいて、キーパーもサウジアラビアの代表。ディフェンスの片割れもサウジアラビアの代表。ボランチのハリリっていう選手、これも代表。守備陣はサウジアラビアでまとめられてて、攻撃は今武田さんがおっしゃったカロンっていうアフリカの選手。で、チェコっていうゲームメーカーがブラジル人選手。ジョブっていうカメルーンの選手がいたんですけど、これが出場停止なんですよ。アフリカ強力ツー・トップって言われてたんですけど。あと、サイドバックだけだったかな、代表経験がない選手が。何とそこに、サウジの不動産のオーナーがお金を使って……
武田:石油のマジックだよね。
北澤:ブラジルで決勝やったサンパウロとアトレチコの、負けたチームのキャプテンと右のサイドバックを獲っちゃったんですよ、お金で。最初の試合で勝ったら、次サンパウロですよ。
中西:しかも、短期間で獲ったんですよね。
北澤:1週間か2週間のレンタルじゃないですか? 認めるチームもどうなんだみたいなね。
会場:笑い
中西:そんなのあり得ないよ。でも、ものすごい高いお金でしょ?
北澤:50何億円だったね、1週間でね。
中西:あり得ないですよ、やってることが。
北澤:あり得ない。でもね、僕はそういう野望好きなんだよ。
会場:爆笑
中西哲生
中西:僕も好きですよ。僕はサウジに行ったこともあるし、キングハワードっていうスタジアムがあるんですけど、そこで試合したこともあるんですよ。ものすごいスタジアムですよ。FIFAの世界大会やるようなスタジアムで、当時すごく強かったアル・ヒラルとアジアカップウィナーズカップの決勝やったんですけど、まぁすごいですよ。まず選手みんなめちゃめちゃタフ。全然疲れないもん。「こいつら心臓あるのか?」って。全然疲れ
なくて。
北澤:能力高いよね。
中西:効果的に外国人選手をいいとこに置いてますよね。で、後ろは比較的サウジの代表で固めてて、みんなこう目の色が違うんですよね、決勝とかになると。国王とか大臣とかも全員ロイヤルボックスに来てて、みんな観てて。ものすごいお金がかかってるらしいんですよ、1試合ごとに。みんな勝ったら家だの車だのって。1試合にかかるものもすごいし。
北澤:負けるとまた大変だよね、サウジはね。いろんな刑罰もまだ残ってるっていうからね。
武田:でも、クラブチームの方がサウジの代表よりは絶対強いですよね。
中西:僕も強いと思う。すごい強かったもん。びっくりしました。
北澤:ただ中東のチームって、これまでもボールへの執着心がすごく強いから、どちらかというと戦う我々にとっても、展開していくと逆サイドがノーマークだったりするわけ。ボールウォッチャーになっちゃう、みんな。そういうのが欠点だって言われてる部分もあったわけ。ただ、このアルイテハドだけはちょっと違ってて、ちゃんとディフェンスライン、中盤のライン、フォワードラインってコンパクトに保たれたサッカーするんですよ。それが日本のスタイルに多少似てるところじゃないかな。これは中東ではそんなになかったのね。
中西:基本的にバーッとあいちゃいますからね。
北澤:そう。すごく間のびしてるサッカーだからね。特徴をいかすために、逆にその方がリスキーじゃなかったりするわけよ。
中西:後ろはしっかり守る人は守る役目に徹していて、前は攻める方に徹していてっていうサッカーは、ある意味リスクは少ないですよね。逆に。
北澤:だからトータルとして自分たちのやりたいサッカーが出せないんだよ。けど今回は3ラインをきっちり保つ。で、左サイドにボールがあればみんなが連動した動きをするので、それを僕はテレビで観てても、ちょっと抜けてるチームかなと思う。
武田:そのレベルをJリーグと比較して、やっぱり日本はこれぐらいいかなきゃいけないんだっていうのを僕は観て欲しいですね。
中西:僕はあとちらっと思ったんですけど、ひとりひとりの粘っこさが違うんですよ、全然。ボール取りに行って、淡泊にかわされることないですよね。絡みつくように体を押さえてきて、ファウルはしないけどうまくボールを取るし。ディフェンス力高いですね、みんな。
北澤:感覚的に言うと、深いよね。
中西:そう。入り方がすごく深くて、しかも倒れないですよ、全然。一緒にやっててもうざったいですもん、絡みついてくるから。やっててイヤでしたもん、ホント。で、僕ら負けたからよかったんですよ。よくないけど。3-1 で負けたんですよね。で、負けたけど終わって2時間帰れなかったですもん。
北澤:帰りにくいよね。
中西:試合会場から。勝ったらもっと帰れないらしいですけど。
北澤:熱狂的だからね、ホントに。
中西:あそこでサッカーやってたら、そりゃ選手たちもね。たぶん国に帰ってああいう人たちが待ってると思うと負けられないでしょう。
武田:負けられないよね。だって世界一ですもん。地球一ですからね、今回。
中西:第1戦、恐らく今の話を聞いて、これは何も知らなくてもそのサッカーとか、スタイルだけでも楽しいっていうことがわかったんですけど、かみ合わせはどうですかね?アルイテハドとアルアハリの。僕はガチンコでかみ合うと思うんですよ。どっちかが攻めてどっちかが守るっていうんじゃなくて。がっちりかみ合って、お互いにいいサッカーを見せられるようになると思うんですけど。北澤さんどうですか?
北澤:そう思うね。変なプライドはないだろうし、「実際にやってどうだ」っていうチームだと思うんだよね。そういった中では、すごくこの組み合わせっていうのは、予想以上の展開になるんじゃないかなと思う。ここを観ておかないと、後でわからなくなるよ。俺が見る限り、他のカードの結果は何となく予想できるの。逆に言うと、このカードだけが予想つかない。
中西:要するにプロレスでもそうですけど、組み合った瞬間にわかるみたいなもんでしょ?
北澤:そう。
中西:始まった瞬間にすべてわかる。それまでは僕も全然わかんないです。
北澤:この両者の特徴を見ると、アルアハリはワイドに開きながらコンコンコンコン行くわけですよ。サウジの粘っこいサッカーで、ボール取ったらブラジル人のチェコに預けて返りをもらって、みたいな。すごくやりあいになるんじゃないかな。
中西:普通サッカーで、どっちかが力関係で強い弱いってわかっちゃうと、武田さん、相手の良さを消しにいくじゃないですか。
武田:そう。だってもう一発勝負だし、守備的じゃないと思う、今回は。どんどん挑戦していくと思うから面白い試合になると思うし。たぶん全く違うサッカーをすると思うんで、どっちかが守備的って言うより、点の取り合いになると思う。攻め続けるんじゃない、お互いに。
中西:どっちもいいところを出せる可能性もあるし、当然消し合うこともあるでしょうけど。はっきり言って僕も北澤さんも武田さんもサッカーおたくじゃないですか。サッカー選手でしたけど。サッカーはめっちゃ観るし、海外もヨーロッパも、スペインとかイングランドとかミーハー的なサッカーもいいと思いますけど、そういうところにないよさがありますよね、この2チーム。
北澤:そうやらないでしょう。このカードっていうのはそうない。
中西:そういう意味では面白いと思うんですよ。ここまでしゃべらないと面白さが伝わらないんで、テレビでは言いにくいんですよね。今日も「ズームイン!」で言いたかったけど、どうやって説明しようかなと思って。これだけしゃべれば、みんな「ちょっと面白そうだ」と思うと思うんですよ。
北澤:って言いながらも、「観て!」っていう感じ。
会場:笑い
北澤:いや本当に、観てハマったんだから、俺も。
中西:僕は宣伝じゃないですけど、一番チケットが売れてないんですよ、このカード。
北澤:そうなの?
中西:売れてないんですよ。でも僕は、一番面白いかも知れないと思う。
北澤:と、思うけどなぁ。
中西:一番近いところ(国立競技場)で観られるからね。本当に。これ大事ですよ。
北澤:あとは大会の第1試合目だから。第1回大会の開幕戦っていう価値も感じてもらいたい。10年後に語りたいでしょ?
中西:語る楽しみっていうのがまた。「あのときのアルアハリすごかったよね」って。
武田:「雪降る中、観に行ったんだよ」とかね。
北澤:俺よく言うんだけど、1930年の第1回ワールドカップ・ウルグアイ大会を観に行った人が語ってると「いいなぁ」とか思うじゃない。ここからだから。10年後、20年後に俺は言いたい。
中西:そういうふうになる可能性ありますよね。
北澤:十分あるよ。だって成熟しているクラブチームの戦いだよ。
中西:いわゆる新興勢力対ヨーロッパの強豪みたいな組み合わせじゃないですからね。クラブチームっていうのはある意味熟成されたチームで、勝ってきたチームが出てきているわけですからね。急造チームじゃないし。ひとつ気になるのは、僕は2週間だけのレンタルで取った選手が気になる部分はありますけど。
北澤:確かに。でもあれは、2回戦目にサンパウロと当たるわけだから、そこを見越した部分っていうのもあると思うよ。実際、先発メンバーがどうなるかっていうのは……チームに融合していれば観られるだろうけど、そうじゃなければ元のメンバーでOKなわけでしょ。
中西:要するに、最悪のことを想定しながら取っているわけですからね。
武田:サンパウロはイヤだよねぇ。相手チームのキャプテンで、サンパウロのことを全部知っている選手なわけだからねぇ。イヤだと思うよ。
北澤:「また、お前かよ」って。
中西:そろそろ次の対戦に行きたいんですけど、一応どっちが勝つか聞いておきましょうか。
北澤:俺はアルアハリ。ごめんねアジアなんだけど。
武田:ごめんねキーちゃん。アルイテハド。
中西:そうなるとサンパウロと対戦するの楽しそうですよね。別に予想は予想ですから。
北澤:僅差の試合だと思うよ。
武田:いい試合だと思いますよ。
北澤:会場で話聞いて、行きたくなった方?
中西:あんまりいないですよ。僕ら広報力ないのかなぁ。
北澤:もうちょっと話すか、この試合。
会場:笑い
中西:説得力ないのかなぁ。僕もビデオ観てたけど。すごいと思いますよ。まず、エジプトの選手はデカい。
北澤:デカいし、ホント長谷川健太。
中西:また言ってるし。別にテレビでもいいですよ。日本テレビで7時からでしたっけ。観て欲しいです、日曜日(12月11日)。次はmatch2、シドニーFCとデポルティボ・サプリサですが。これも一見、一方的になりそうな感じですけど。


後編へつづく

取材・構成:CREW
撮影:新関雅士